説明

室圧コントロールシステム

【課題】第2クリーンルームの室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる室圧コントロールシステムを提供する。
【解決手段】システム10Aは、第2クリーンルーム12の室圧コントロールを再開する場合、第1および第2ダンパ17,18のダンパ開度を次第に開く開操作を行いつつ、クリーンルーム12の上下限室圧と測定室圧とを比較し、測定室圧が上下限室圧の範囲内にある場合、それらダンパ17,18のダンパ開度を次第に開く開操作を継続し、測定室圧が下限室圧を下回った場合、ダンパ17のダンパ開度の開操作を行いつつダンパ18のダンパ開度の開操作を一時的に停止する。また、測定室圧が上限室圧を上回った場合、ダンパ18のダンパ開度の開操作を行いつつダンパ17のダンパ開度の開操作を一時的に停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室圧コントロールを実施する対象室のうちの中断した室圧コントロールを再開する再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻す室圧コントロールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
隣接する複数の室の設定室圧を変動させる外乱がない場合、各室につながる排気装置に取り付けられた制御ダンパの風量調整手段によってそれら室の室圧を設定室圧に保持する第1室圧制御プロセスと、外乱が発生した場合、室圧の変動が予想される室に制御ダンパの風量調整手段を介して制御ダンパを通過する風量を予め設定した変更風量値にする第2室圧制御プロセスと、外乱が終息した場合、制御ダンパの風量調整手段を介して制御ダンパを通過する風量を設定室圧に保持する安定風量値に戻す室圧コントロール方法がある(特許文献1参照)。
【0003】
この室圧コントロール方法は、室の設定室圧を変動させる外乱が発生した場合、室圧の変動が予想される室に制御ダンパの風量調整手段を介して制御ダンパを通過する風量を予め設定した変更風量値とし、外乱が終息した場合、制御ダンパの風量調整手段を介して制御ダンパを通過する風量を設定室圧に保持する安定風量値に戻すから、風量調整手段の変位幅を小さくすることができ、各室の室圧を設置室圧に速やかに戻すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−198651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の室のうちのいずれかの室を燻蒸処理や熱処理等をする場合、それらの処理をする室に対する室圧コントロールを中断し、燻蒸処理や熱処理等を行った後、室圧コントロールを再び開始する必要があるが、前記公報に開示の室圧コントロール方法では、室圧コントロールを中断していた室に対して室圧コントロールを一気に再開すると、その室や他の室の給気風量と排気風量とのバランスが著しく崩れ、それら室が過度な陰圧や過度な揚圧となり、室内から汚染物質が流出したり、室外から室内に塵埃や微粉、ガス、細菌等の不要物が流入する場合がある。また、室が過度な陰圧や過度な揚圧になると、周壁に極度な荷重がかかり、周壁が倒壊したり、周壁を接続するシール部に亀裂が発生する場合がある。
【0006】
本発明の目的は、複数の対象室のうちの室圧コントロールを再開する再開対象室を除く残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、その再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻すことができる室圧コントロールシステムを提供することにある。本発明の他の目的は、再開対象室の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる室圧コントロールシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の前提は、室圧コントロールを実施する少なくとも2つの対象室と、それら対象室に空気を給気する給気ファンと、それら対象室から空気を排気する排気ファンとを備え、それら対象室のうちの中断した室圧コントロールを再開する再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻す室圧コントロールシステムである。
【0008】
前記前提における本発明の特徴は、室圧コントロールシステムが、再開対象室に給気される空気の流量を調整可能な第1ダンパと、再開対象室から排気される空気の流量を調整可能な第2ダンパと、再開対象室の室圧に基づいて第1ダンパおよび第2ダンパのダンパ開度を操作するコントローラと、再開対象室の室圧を測定してその測定室圧をコントローラに出力する第1室圧センサとを含み、再開対象室の室圧コントロールを再開する場合においてコントローラは、第1および第2ダンパのダンパ開度を全閉状態から次第に開く開操作を行いつつ、再開対象室の上下限室圧と第1室圧センサから出力された再開対象室の測定室圧とを比較する室圧比較手段と、再開対象室の上下限室圧と測定室圧とを比較した結果、測定室圧が上下限室圧の範囲内にある場合、第1および第2ダンパのダンパ開度を次第に開く開操作を行う第1開操作手段と、測定室圧が下限室圧を下回った場合、第1ダンパのダンパ開度の開操作を行いつつ第2ダンパのダンパ開度の開操作を一時的に停止する第2開操作手段と、測定室圧が上限室圧を上回った場合、第2ダンパのダンパ開度の開操作を行いつつ第1ダンパのダンパ開度の開操作を一時的に停止する第3開操作手段とを実行することにある。
【0009】
本発明の一例として、コントローラは、下限室圧を下回っていた測定室圧が下限室圧を下回らなくなった場合、第2開操作手段を中断して第1開操作手段を再開し、上限室圧を上回っていた測定室圧が上限室圧を上回らなくなった場合、第3開操作手段を中断して第1開操作手段を再開する。
【0010】
本発明の他の一例としては、室圧コントロールシステムがそれら対象室から排気する空気の流量を調整して各対象室の室圧を設定室圧に保持する制御ダンパを含み、制御ダンパは、コントローラが第1〜第3開操作手段を実行中に、再開対象室とその再開対象室を除く残余の対象室との室圧を設定室圧に保持するために、それら対象室から排気する空気の流量を調整する。
【0011】
本発明の他の一例としては、室圧コントロールシステムが再開対象室を除く残余の対象室の室圧を測定してその測定室圧をコントローラに出力する第2室圧センサを含み、コントローラは、第1〜第3開操作手段を実行中に、残余の対象室の設定室圧と第2室圧センサから出力された残余の対象室の測定室圧とを比較し、残余の対象室の設定室圧と測定室圧とを比較した結果、残余の対象室の測定室圧が設定室圧から外れた場合、第1〜第3開操作手段を中断し、残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻った場合、第1〜第3開操作手段を再開する。
【0012】
本発明の他の一例としては、室圧コントロールシステムが再開対象室とその再開対象室を除く残余の対象室とに給気する空気の流量変化に対してその流量を一定に保持する定風量ユニットを含み、コントローラは、第1〜第3開操作手段の実行時に、定風量ユニットから再開対象室に流入させる空気の流量を第1〜第3開操作手段の実行直前の流量に保持する。
【0013】
本発明の他の一例として、コントローラは、第1〜第3開操作手段を実行中に、給気ファンのインバータをコントロールし、給気ファンから給気する空気の静圧を一定に保持した状態で給気ファンから給気する空気の風量を所定の上がり勾配で増加させる給気ファン制御手段を含む。
【0014】
本発明の他の一例として、コントローラは、給気ファン制御手段を実行中に、残余の対象室の設定室圧と第2室圧センサから出力された残余の対象室の測定室圧とを比較し、残余の対象室の設定室圧と測定室圧とを比較した結果、残余の対象室の測定室圧が設定室圧から外れた場合、給気ファン制御手段を中断し、残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻った場合、給気ファン制御手段を再開する。
【0015】
本発明の他の一例として、コントローラは、残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻り、給気ファン制御手段を再開する場合、再開前の給気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の給気ファン制御手段の処理速度を上げる。
【0016】
本発明の他の一例として、コントローラは、第1〜第3開操作手段を実行中に、排気ファンのインバータをコントロールし、排気ファンから排気する空気の静圧を一定に保持した状態で排気ファンから排気する空気の風量を所定の上がり勾配で増加させる排気ファン制御手段を含む。
【0017】
本発明の他の一例として、コントローラは、排気ファン制御手段を実行中に、残余の対象室の設定室圧と第2室圧センサから出力された残余の対象室の測定室圧とを比較し、残余の対象室の設定室圧と測定室圧とを比較した結果、残余の対象室の測定室圧が設定室圧から外れた場合、排気ファン制御手段を中断し、残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻った場合、排気ファン制御手段を再開する。
【0018】
本発明の他の一例として、コントローラは、残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻り、排気ファン制御手段を再開する場合、再開前の排気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の排気ファン制御手段の処理速度を上げる。
【0019】
本発明の他の一例としては、上限室圧が再開対象室の設定室圧の+3〜+10Paの範囲にあり、下限室圧が再開対象室の設定室圧の−3〜−10Paの範囲にある。
【0020】
本発明の他の一例として、コントローラは、第1〜第3開操作手段を実行中に、第1ダンパのダンパ開度と第2ダンパのダンパ開度とのいずれか一方のダンパ開度が1〜10%になった場合、他方のダンパのダンパ開度が1〜10%になるまで、一方のダンパのダンパ開度の開操作を中断し、他方のダンパのダンパ開度が1〜10%になった場合、一方のダンパのダンパ開度の開操作を再開する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る室圧コントロールシステムによれば、再開対象室の測定室圧が上下限室圧の範囲内にある場合に第1および第2ダンパのダンパ開度を次第に開く開操作を行うから、再開対象室の室圧コントロールを再開する場合において、再開対象室およびそれを除く残余の対象室の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、それら対象室の室圧が過度に陰圧や揚圧になることはなく、残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、再開対象室の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。システムは、再開対象室の室圧コントロールを再開し、再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合において、それら対象室からの汚染物質の流出を防ぐことができ、室外からそれら対象室への塵埃や微粉、ガス、細菌等の不要物の流入を防ぐことができる。システムは、測定室圧が所定の下限室圧を下回った場合、第1ダンパのダンパ開度の開操作を行いつつ第2ダンパのダンパ開度の開操作を一時的に停止するから、再開対象室の室圧のそれ以上の下降を防ぎつつ、再開対象室の室圧をスムーズに大気圧から設定室圧に戻すことができる。このシステムは、再開対象室の測定室圧が上限室圧を上回った場合、第2ダンパのダンパ開度の開操作を行いつつ第1ダンパのダンパ開度の開操作を一時的に停止するから、再開対象室の室圧のそれ以上の上昇を防ぎつつ、再開対象室の室圧をスムーズに大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0022】
下限室圧を下回っていた測定室圧が下限室圧を下回らなくなった場合、第2開操作手段を中断して第1開操作手段を再開し、上限室圧を上回っていた測定室圧が上限室圧を上回らなくなった場合、第3開操作手段を中断して第1開操作手段を再開する室圧コントロールシステムは、再開対象室の測定室圧が上下限室圧の範囲内に戻った場合、第2および第3開操作手段を中断して第1開操作手段が再開され、第1開操作手段において第1ダンパのダンパ開度の開操作と第2ダンパのダンパ開度の開操作とが行われるから、再開対象室の室圧コントロールを再開する場合において再開対象室の室圧を短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0023】
それら対象室から排気する空気の流量を調整して各対象室の室圧を設定室圧に保持する制御ダンパを含み、第1〜第3開操作手段を実行中に、制御ダンパが再開対象室とその再開対象室を除く残余の対象室との室圧を設定室圧に保持する室圧コントロールシステムは、第1〜第3開操作手段を実行中に制御ダンパを利用してそれら対象室の室圧が設定室圧に保持されるから、再開対象室の室圧コントロールを再開し、再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合において、再開対象室およびそれを除く残余の対象室の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、それら対象室の室圧が過度に陰圧や揚圧になることはなく、残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、再開対象室の室圧をスムーズに大気圧から設定室圧に戻すことができる。このシステムは、制御ダンパによって再開対象室および残余の対象室の測定室圧を設定室圧に保持しつつ、第1開操作手段において第1ダンパのダンパ開度の開操作と第2ダンパのダンパ開度の開操作とが行われるから、再開対象室の室圧コントロールを再開する場合において再開対象室の室圧を短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0024】
再開対象室を除く残余の対象室の室圧を測定する第2室圧センサを含み、第1〜第3開操作手段を実行中に、残余の対象室の測定室圧が設定室圧から外れた場合、第1〜第3開操作手段を中断し、残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻った場合、第1〜第3開操作手段を再開する室圧コントロールシステムは、残余の対象室の測定室圧が設定室圧から外れると、第1〜第3開操作手段を中断するから、残余の対象室の給気風量と排気風量とのバランスを取ることができ、残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻すことができる。このシステムは、再開対象室の室圧コントロールを再開し、再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合において、残余の対象室からの汚染物質の流出を防ぐことができ、室外から残余の対象室への塵埃や微粉、ガス、細菌等の不要物の流入を防ぐことができる。
【0025】
再開対象室とその再開対象室を除く残余の対象室とに給気する空気の流量変化に対してその流量を一定に保持する定風量ユニットを含み、前記コントローラは、第1〜第3開操作手段の実行時に、定風量ユニットから再開対象室に流入させる空気の流量を第1〜第3開操作手段の実行直前の流量に保持する室圧コントロールシステムは、空気の流量に変化があった場合、その流量を一定に保持するように定風量ユニットが作動すると、再開対象室の室圧が所定の下限室圧を大きく下回ったり、所定の上限室圧を大きく上回り、再開対象室の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができないが、第1〜第3開操作手段の実行時に定風量ユニットから再開対象室に流入させる空気の流量を第1〜第3開操作手段の実行直前の流量に保持するから、空気の流量に変化があったとしても、再開対象室の定風量ユニットが作動することはなく、定風量ユニットが再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻す妨げになることはなく、再開対象室の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0026】
第1〜第3開操作手段を実行中に、給気ファンのインバータをコントロールし、給気ファンから給気する空気の静圧を一定に保持した状態で給気ファンから給気する空気の風量を所定の上がり勾配で増加させる室圧コントロールシステムは、再開対象室の室圧コントロールを再開する場合において、給気ファンから給気する空気の静圧を一定に保持しつつ、再開対象室に給気が必要な空気の風量分を所定の上がり勾配で増加させるから、再開対象室およびそれを除く残余の対象室の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、それら対象室の室圧が過度に陰圧や揚圧になることはなく、残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、再開対象室の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0027】
給気ファン制御手段を実行中に、残余の対象室の測定室圧が設定室圧から外れた場合、給気ファン制御手段を中断し、残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻った場合、給気ファン制御手段を再開する室圧コントロールシステムは、残余の対象室の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻すことができる。このシステムは、再開対象室の室圧コントロールを再開し、再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合において、残余の対象室からの汚染物質の流出を防ぐことができ、室外から残余の対象室への塵埃や微粉、ガス、細菌等の不要物の流入を防ぐことができる。
【0028】
残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻り、給気ファン制御手段を再開する場合、再開前の給気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の給気ファン制御手段の処理速度を上げる室圧コントロールシステムは、再開後の給気ファン制御手段の処理速度を上げることにより、給気ファン制御手段の上がり勾配に追従させた状態で再開対象室に給気が必要な空気の風量分を増加させることができ、再開対象室およびそれを除く残余の対象室の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、再開対象室の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0029】
第1〜第3開操作手段を実行中に、排気ファンのインバータをコントロールし、排気ファンから排気する空気の静圧を一定に保持した状態で排気ファンから排気する空気の風量を所定の上がり勾配で増加させる室圧コントロールシステムは、再開対象室の室圧コントロールを再開する場合において、排気ファンから排気する空気の静圧を一定に保持しつつ、再開対象室から排気が必要な空気の風量分を所定の上がり勾配で増加させるから、再開対象室およびそれを除く残余の対象室の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、それら対象室の室圧が過度に陰圧や揚圧になることはなく、残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、再開対象室の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0030】
排気ファン制御手段を実行中に、残余の対象室の測定室圧が設定室圧から外れた場合、排気ファン制御手段を中断し、残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻った場合、排気ファン制御手段を再開する室圧コントロールシステムは、 残余の対象室の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻すことができる。このシステムは、再開対象室の室圧コントロールを再開し、再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合において、残余の対象室からの汚染物質の流出を防ぐことができ、室外から残余の対象室への塵埃や微粉、ガス、細菌等の不要物の流入を防ぐことができる。
【0031】
残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻り、排気ファン制御手段を再開する場合、再開前の排気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の排気ファン制御手段の処理速度を上げる室圧コントロールシステムは、再開後の排気ファン制御手段の処理速度を上げることにより、排気ファン制御手段の上がり勾配に追従させた状態で再開対象室から排気が必要な空気の風量分を増加させることができ、再開対象室およびそれを除く残余の対象室の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、再開対象室の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設置室圧に戻すことができる。
【0032】
上限室圧が再開対象室の設定室圧の+3〜+10Paの範囲にあり、下限室圧が再開対象室の設定室圧の−3〜−10Paの範囲にある室圧コントロールシステムは、上限室圧および下限室圧を前記範囲とし、測定室圧が前記下限室圧を下回った場合、第1ダンパのダンパ開度の開操作を行いつつ第2ダンパのダンパ開度の開操作を一時的に停止し、測定室圧が前記上限室圧を上回った場合、第2ダンパのダンパ開度の開操作を行いつつ第1ダンパのダンパ開度の開操作を一時的に停止するから、再開対象室の測定室圧のそれ以上の下降を防ぐことができるとともに、再開対象室の測定室圧のそれ以上の上昇を防ぐことができ、再開対象室の室圧コントロールを再開する場合において、再開対象室の測定室圧を設定室圧の範囲内に戻しつつ、再開対象室の室圧をスムーズに大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0033】
第1〜第3開操作手段を実行中に、第1ダンパのダンパ開度と第2ダンパのダンパ開度とのいずれか一方のダンパ開度が1〜10%になった場合、他方のダンパのダンパ開度が1〜10%になるまで、一方のダンパのダンパ開度の開操作を中断し、他方のダンパのダンパ開度が1〜10%になった場合、一方のダンパのダンパ開度の開操作を再開する室圧コントロールシステムは、第1ダンパのダンパ開度と第2ダンパのダンパ開度とのバランスをとることで、再開対象室の室圧コントロールを再開する場合において、再開対象室およびそれを除く残余の対象室の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、それら対象室の室圧が過度に陰圧や揚圧になることはなく、残余の対象室の室圧を設定室圧に保持しつつ、再開対象室の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】一例として示す室圧コントロールシステムの構成図。
【図2】第2クリーンルームの室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合の室圧の時間的な変化の一例を示す図。
【図3】システムにおいて実行される昇圧コントロール方法の一例を説明するフローチャート。
【図4】図3から続くフローチャート。
【図5】他の一例として示す室圧コントロールシステムの構成図。
【図6】システムにおいて実行される昇圧コントロール方法の一例を説明するフローチャート。
【図7】図6から続くフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0035】
一例として示す室圧コントロールシステムの構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる室圧コントロールシステムの詳細を説明すると、以下のとおりである。図1では、第1クリーンルーム11(前処理室)と第2クリーンルーム12(作業室)とをそれら側方から示している。
【0036】
この実施の形態では、クリーンルーム11,12の設定室圧が室外の気圧よりも高く、クリーンルーム11,12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す昇圧コントロール方法を例として説明する。また、この実施の形態では、第2クリーンルーム12を再開対象室(実行中の室圧コントロールを燻蒸処理や熱処理等の理由で中断して室圧を大気圧に戻した後、室圧コントロールを再開し、室圧を大気圧から設定室圧に戻す室)とし、第1クリーンルーム11を再開対象室を除く残余の対象室(実行中の室圧コントロールを継続する室)としてこのシステム10Aが実施する昇圧コントロール方法を説明する。
【0037】
図1(後記する図4を含む)では隣り合う2室のクリーンルーム11,12を図示しているが、クリーンルームを隣り合う2室に限定するものではなく、隣り合う3室以上の第1〜第nクリーンルームまたは独立した3室以上の第1〜第nクリーンルームに対してこのシステム10A(後記するシステム10Bを含む)の昇圧コントロール方法を適用することもできる。システム10A(システム10Bを含む)の昇圧コントロール方法は、クリーンルーム11,12のみならず、他のあらゆる用途の室に対して適用することもできる。室圧コントロールシステム10Aは、第1クリーンルーム11の室圧を設定室圧に保持しつつ、第2クリーンルーム12の中断していた室圧コントロールを再開し、クリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す。
【0038】
室圧コントロールシステム10A(昇圧コントロール方法)は、第1および第2クリーンルーム11,12と、それらクリーンルーム11,12に空気を供給する給気ダクト13と、それらクリーンルーム11,12から室外に空気を排出する排気ダクト14と、それらクリーンルーム11,12に空気を給気する給気ファン15と、それらクリーンルーム11,12から空気を排気する排気ファン16と、第1ダンパ17および第2ダンパ18と、第1および第2室圧センサ19,20と、コントローラ21(制御装置)とから形成されている。
【0039】
それらクリーンルーム11,12は、天井22と床23と周壁24とに囲繞された所定容積の気密な空調空間を有し、天井22、床23、周壁24によって室外と仕切られている。天井22には、給気ダクト13から供給される空気をクリーンルーム11,12に取り入れるための給気口(図示せず)が施設されている。周壁24には、クリーンルーム11,12の空気を排気ダクト14に取り入れるための排気口(図示せず)が施設されている。周壁24には、図示はしていないが、室外からクリーンルーム11,12に出入りするための扉やクリーンルーム11,12どうしを行き来する扉が設置されている。扉には、クリーンルーム11,12の気密を保持するためにエアタイトのそれが使用されている。
【0040】
このシステム10Aでは、室圧コントロールの実行中にそれらクリーンルーム11,12の室圧が厳密に管理され、室圧があらかじめ設定された設定室圧に維持されている。それらクリーンルーム11,12の設定室圧に特に限定はなく、クリーンルーム11,12の用途や容積等によって設定室圧を自由に決定することができる。なお、第1および第2クリーンルーム11,12の設定室圧が室外の気圧よりも低い場合がある。この場合、システム10Aではクリーンルーム11,12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す減圧コントロール方法を実施する。
【0041】
給気ダクト13は、基幹ダクト25と、基幹ダクト25から分岐する2本の第1および第2分岐ダクト26,27とから形成されている。基幹ダクト25には、クリーンルーム11,12に所定量の空気を給気する給気ファン15(給気用送風機)が設置されている。第1分岐ダクト26は、第1クリーンルーム11の天井22に施設された給気口(図示せず)につながり、クリーンルーム11に連結され、第2分岐ダクト27は、第2クリーンルーム12の天井22に施設された給気口(図示せず)につながり、クリーンルーム12に連結されている。第2分岐ダクト27には、第1ダンパ17が設置されている。
【0042】
排気ダクト14は、基幹ダクト28と、基幹ダクト28から分岐する2本の第1および第2分岐ダクト29,30とから形成されている。基幹ダクト28には、クリーンルーム11,12から室外に所定量の空気を排気する排気ファン16(排気用送風機)が取り付けられている。第1分岐ダクト29は、第1クリーンルーム11の周壁24に施設された排気口(図示せず)につながり、クリーンルーム11に連結され、第2分岐ダクト30は、第2クリーンルーム12の周壁24に施設された排気口(図示せず)につながり、クリーンルーム12に連結されている。
【0043】
給気ファン15は、所定風量の空気を第1および第2クリーンルーム11,12に強制的に給気する。給気ファン15には、インバータ(図示せず)が取り付けられ、給気ダクト13(基幹ダクト25)の静圧を測定する静圧センサ(図示せず)が設置されている。給気ファン15のインバータは、インターフェイス31(有線または無線)を介してコントローラ21に接続され、ファン15の風量(風速)をコントローラ21に出力するとともに、ファン15の稼働中に静圧センサが測定した給気ダクト13の測定静圧をコントローラ21に出力する。給気ファン15は、インバータのPID制御またはPD制御によってその風量が変更される。
【0044】
排気ファン16は、所定風量の空気を第1および第2クリーンルーム11,12から強制的に排気する。排気ファン16には、インバータ(図示せず)が取り付けられ、排気ダクト14(基幹ダクト28)の静圧を測定する静圧センサ(図示せず)が設置されている。排気ファン16のインバータは、インターフェイス31を介してコントローラ21に接続され、ファン16の風量(風速)をコントローラ21に出力するとともに、ファン16の稼働中に静圧センサが測定した排気ダクト14の測定静圧をコントローラ21に出力する。排気ファン14は、インバータのPID制御またはPD制御によってその風量が変更される。
【0045】
第1ダンパ17および第2ダンパ18は、制御器(図示せず)と、モジュトロールモータ(図示せず)と、モータの駆動力によって旋回する旋回羽根32,33と、旋回羽根32,33の旋回によって開閉される空気流路(図示せず)とから形成されている。第1ダンパ17は、旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)によって第2クリーンルーム12(再開対象室)に給気される空気の流量を調整する。第2ダンパ18は、旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)によって第2クリーンルーム12から排気される空気の流量を調整する。それらダンパ17,18は、その制御器がインターフェイス31を介してコントローラ21に接続され、旋回羽根32,33の旋回角度をコントローラ21に出力する。
【0046】
第2室圧センサ20は、第1クリーンルーム11に設置され、インターフェイス31を介してコントローラ21に接続されている。第2室圧センサ20は、第1クリーンルーム11の室圧を測定し、測定室圧をコントローラ21に出力する。第1室圧センサ19は、第2クリーンルーム12に設置され、インターフェイス31を介してコントローラ21に接続されている。第1室圧センサ19は、第2クリーンルーム12の室圧を測定し、測定室圧をコントローラ21に出力する。
【0047】
コントローラ21は、演算処理を行う中央処理装置と各種条件を記憶可能な主記憶装置(メモリ)とを有するコンピュータである。コントローラ21には、図示はしていないが、各種条件を入力するための入力装置、入力確認のための表示装置がインターフェイスを介して接続されている。コントローラ21は、第1ダンパ17や第2ダンパ18に開度制御信号を出力する。
【0048】
それらダンパ17,18は、コントローラ21から制御器に出力された開度制御信号によってモジュトロールモータが回転し、それによって旋回羽根32,33が所定角度に旋回する。旋回羽根32,33の旋回角度を変えることで、ダンパ17,18の空気流路の開度が変わり、空気流路を通過する空気の流量を全開と全閉との間で変えることができる。また、ダンパ17,18の空気流路の開度を全閉にすることで、空気流路を通過する空気の流量を0にすることができ、第2クリーンルーム12に給気する空気の流量を0にすることができるとともに、クリーンルーム12から排気する空気の流量を0にすることができる。ダンパ17,18の空気流路の開度を全閉にすることで、第2クリーンルーム12の室圧コントロールを中断することができる。また、ダンパ17,18の空気流路の開度を開くことで、第2クリーンルーム12の室圧コントロールを再開することができる。
【0049】
コントローラ21の主記憶装置には、第1および第2クリーンルーム11,12の設定室圧が格納されている。コントローラ21の主記憶装置には、第2クリーンルーム12の上限室圧および下限室圧が格納されている。上限室圧は、第2クリーンルーム12の設定気圧に対して+3〜+10Paの範囲、好ましくは、+5Paである。下限室圧は、クリーンルーム12の設定気圧に対して−3〜−10Paの範囲、好ましくは、−5Paである。
【0050】
コントローラ21の主記憶装置には、給気ファン15が稼働中の給気ダクト13(基幹ダクト25)の設定静圧が格納され、排気ファン16が稼働中の排気ダクト14(基幹ダクト28)の設定静圧が格納されている。コントローラ21の主記憶装置には、第1ダンパ17および第2ダンパ18を閉操作または開操作する場合の旋回羽根32,33の旋回速度(ダンパの開閉速度)が格納されている。
【0051】
図2は、中断していた第2クリーンルーム12の室圧コントロールを再開し、第2クリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合の室圧の時間的な変化の一例を示す図であり、図3は、このシステム10Aにおいて実行される昇圧コントロール方法の一例を説明するフローチャートである。図4は、図3から続くフローチャートである。図2では、測定室圧が下限室圧を下回った場合や測定室圧が上限室圧を上回った場合を点線で示す。
【0052】
図2〜図4に基づいて、このシステム10Aが実施する昇圧コントロール方法を説明すると、以下のとおりである。システム10Aを起動すると、コントローラ21は、給排気ファン15,16の風量を設定風量に保持し、第1および第2クリーンルーム11,12に対する室圧コントロールを実行する(S−10)。それらクリーンルーム11,12に対する室圧コントロールの実行中では、給気ファン15によって給気ダクト13からクリーンルーム11,12へ所定風量の空気が供給され、排気ファン16によってクリーンルーム11,12から排気ダクト14へ所定流量の空気が排出されている。室圧コントロールの実行中では、それらクリーンルーム11,12の室圧がコントローラ21によって設定室圧に保持される。室圧コントロールの実行中、コントローラ21は、第1および第2ダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を所定の角度(全開の角度または全閉ではない全開以外の角度)に保持する。
【0053】
なお、システム10Aの稼働中において第1および第2室圧センサ19,20は、それらクリーンルーム11,12の室圧を測定し、測定した測定室圧をコントローラ21に出力している。また、給気ファン15のインバータは、ファン15の風量(風速)をコントローラ21に出力し、静圧センサが測定した給気ダクト13(基幹ダクト25)の測定静圧をコントローラ21に出力している。排気ファン16のインバータは、ファン16の風量(風速)をコントローラ21に出力し、静圧センサが測定した排気ダクト14(基幹ダクト28)の測定静圧をコントローラ21に出力している。第1および第2ダンパ17,18の制御部は、旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)をコントローラ21に出力している。
【0054】
第2クリーンルーム12に対して燻蒸処理や熱処理等を行う場合、クリーンルーム12の室圧コントロールを一時的に中断する。クリーンルーム12の室圧コントロールを中断する場合、コントローラ21は、第1ダンパ17や第2ダンパ18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を全閉にしてクリーンルーム12の室圧を大気圧に戻す。クリーンルーム12に対する室圧コントロールの中断中、コントローラ21は、第1クリーンルーム11に対する室圧コントロールを続行しつつ、第1ダンパ17や第2ダンパ18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を全閉に保持する(S−11)。コントローラ21は、給排気ファン15,16の風量を設定風量(クリーンルーム11のみに給気する風量、クリーンルーム11のみから排気する風量)に保持し、第1クリーンルーム11の室圧を設定室圧に保持する。
【0055】
第2クリーンルーム12に対する室圧コントロールが中断している場合、図2に矢印X1で示すように、給気ファン15によって給気ダクト13から第1クリーンルーム11へ所定風量の空気が供給され、矢印X2で示すように、排気ファン16によって第1クリーンルーム11から排気ダクト14へ所定流量の空気が排出されている。第2クリーンルーム12に対する燻蒸処理や熱処理等が完了した後、第1クリーンルーム11(残余の対象室)に対する室圧コントロールを継続しつつ、第2クリーンルーム12(再開対象室)に対する室圧コントロールを再開してクリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す必要がある。
【0056】
第2クリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合、室圧コントロール再開信号がコントローラ21に送信される。コントローラ21は、室圧コントロール再開信号の有無によって第2クリーンルーム12の室圧コントロールを再開し、クリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻すかを判断する(S−12)。第2クリーンルーム12の室圧コントロールを再開しない場合(室圧コントロール再開信号無の場合)、コントローラ21は、第1クリーンルーム11に対する室圧コントロールを続行しつつ、第2クリーンルーム12に対する室圧コントロールの中断を続行する。
【0057】
第2クリーンルーム12に対する室圧コントロールを再開し、クリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合(室圧コントロール再開信号有の場合)、コントローラ21は、昇圧コントロール方法を実施する。コントローラ21は、第1および第2ダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を全閉状態から一定の旋回速度で次第に開く開操作を行いつつ、クリーンルーム12に設定された上限室圧と第1室圧センサ19から出力されたクリーンルーム12の測定室圧とを比較するとともに、クリーンルーム12に設定された下限室圧と室圧センサ19から出力されたクリーンルーム12の測定室圧とを比較する(室圧比較手段)(S−13)。コントローラ21は、クリーンルーム12の測定室圧が上下限室圧の範囲内にあるかを判断する(S−14)。
【0058】
コントローラ21は、第2クリーンルーム12の測定室圧と上下限室圧とを比較した結果、測定室圧が上限室圧の範囲内にあるとともに、測定室圧が下限室圧の範囲内にあると判断した場合、第1および第2ダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を一定の旋回速度で次第に開く開操作を継続して行う(第1閉操作手段)(S−15)。第1および第2ダンパ17,18に対する開操作を行うと、図2に矢印X3で示すように、給気ファン15によって給気ダクト13から第2クリーンルーム12へ所定風量の空気が供給され、矢印X4で示すように、排気ファン16によってクリーンルーム12から排気ダクト14へ所定流量の空気が排出される。
【0059】
コントローラ21は、第1開操作手段を実行中に、給気ファン15の測定静圧と設定静圧とを比較しつつ、ファン15のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン15から給気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させ、ファン15から給気する空気の風量を第2クリーンルーム12に給気が必要な空気の風量分だけ増加させる(給気ファン制御手段)(S−15)。
【0060】
さらに、コントローラ21は、第1開操作手段を実行中に、排気ファン16の測定静圧と設定静圧とを比較しつつ、ファン16のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン16によって排気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させ、ファン16によって排気する空気の風量を第2クリーンルーム12から排気が必要な空気の風量分だけ増加させる(排気ファン制御手段)(S−15)。なお、給気ファン制御手段や排気ファン制御手段においてコントローラ21は、PID制御またはPD制御によるフィードバック制御を行う。
【0061】
コントローラ21は、第1開操作手段と給排気ファン制御手段とを実行中に、第1クリーンルーム11の設定室圧と第2室圧センサ20から出力されたクリーンルーム11の測定室圧とを比較し、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にあるかを判断する(S−16)。コントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にある場合、第1開操作手段と給排気ファン制御手段とを続行する(S−17)。
【0062】
ステップ15(S−15)やステップ17(S−17)においてコントローラ21は、第1開操作手段を実行中に、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)と第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)とのいずれか一方の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になった場合、それらダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を比較する。コントローラ21は、それらダンパ17,18のうちの他方のダンパの旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になっていない場合、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になるまで、一方のダンパの旋回羽根の開操作を中断し、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になった場合、一方のダンパの旋回羽根の開操作を再開する(開操作待機・再開手段)。
【0063】
たとえば、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度が全閉0%から1〜10%開になった場合、それらダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度を比較し、第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度が全閉0%から1〜10%開になっていない場合、第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度が1〜10%開になるまで、第1ダンパ17の旋回羽根32の開操作を中断し、第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度が1〜10%開になった場合(たとえば、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度が10%開であり、第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度が10%開のみならず、8%開や5%開、3%開、1%開等になった場合)、第1ダンパ18の旋回羽根32の開操作を再開する。
【0064】
次に、コントローラ21は、第1室圧センサ19から出力された第2クリーンルーム12の測定室圧を参照しつつ、クリーンルーム12の測定室圧が設定室圧になったかを判断する(S−18)。コントローラ21は、第2クリーンルーム12の測定室圧が設定室圧になったと判断すると、このシステム10Aの昇圧コントロール方法を終了する。第1開操作手段においてコントローラ21は、第2クリーンルーム12の測定室圧が設定室圧になった時点における第1および第2ダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を保持する。または、第1および第2ダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を全開にまで開く場合とがある。
【0065】
なお、第2クリーンルーム12の室圧が設定室圧になった後、コントローラ21は、それらクリーンルーム11,12に対する室圧コントロールを実行し、給排気ファン15,16の風量を設定風量に保持し、第1および第2クリーンルーム11,12の室圧を設定室圧に保持する。ステップ18(S−18)においてコントローラ21は、第2クリーンルーム12の測定室圧が設定室圧になっていないと判断すると、ステップ13(S−13)からの手順を実施する。
【0066】
ステップ16(S−16)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲から外れた場合、実行中の第1開操作手段と給排気ファン制御手段とを中断し(S−19)、ステップ16(S−16)からの手順を実施する。ステップ16(S−16)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の室圧が設定室圧の範囲内に戻ったと判断すると、第1開操作手段と給排気ファン制御手段とを再開する(S−17)。
【0067】
給排気ファン制御手段を再開する場合においてコントローラ21は、再開前の給気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の給気ファン制御手段の処理速度を上げるとともに、再開前の排気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の排気ファン制御手段の処理速度を上げる(処理速度アップ手段)。処理速度を上げる一例としては、PID制御またはPD制御の内のPの傾きを変える場合、測定室圧の単位時間当たりのサンプリング回数を増やす場合等がある。なお、コントローラ21は、給排気ファン制御手段を再開する場合において給排気ファン制御手段の処理速度を再開前のそれと同じにする場合もある。
【0068】
ステップ14(S−14)においてコントローラ21は、第2クリーンルーム12の測定室圧と上下限室圧とを比較した結果、図2に点線で示すように、測定室圧が上下限室圧の範囲内になく、測定室圧が上限室圧を下回っていると判断した場合、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を一定の旋回速度で次第に開く開操作を行いつつ、第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)の開操作を一時的に停止する(第2開操作手段)(S−19)。
【0069】
コントローラ21は、第2開操作手段を実行中に、給気ファン15の設定静圧と測定静圧とを比較しつつ、ファン15のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン15から給気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させ、ファン15から給気する空気の風量を第2クリーンルーム12に給気が必要な空気の風量分だけ増加させる(給気ファン制御手段)(S−20)。
【0070】
さらに、コントローラ21は、第2開操作手段を実行中に、排気ファン16の設定静圧と測定静圧とを比較しつつ、ファン16のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン16によって排気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させ、ファン16によって排気する空気の風量を第2クリーンルーム12から排気が必要な空気の風量分だけ増加させる(排気ファン制御手段)(S−20)。
【0071】
コントローラ21は、第2開操作手段と給排気ファン制御手段とを実行中に、第1クリーンルーム11の設定室圧と第2室圧センサ20から出力されたクリーンルーム11の測定室圧とを比較し、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にあるかを判断する(S−21)。コントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にあると判断した場合、第2開操作手段と給排気ファン制御手段とを続行し(S−22)、ステップ13(ステップ13)からの手順を実施する。
【0072】
ステップ20(S−20)やステップ22(S−22)においてコントローラ21は、第2開操作手段を実行中に、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)と第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)とのいずれか一方の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になった場合、それらダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を比較する。コントローラ21は、それらダンパ17,18のうちの他方のダンパの旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になっていない場合、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になるまで、一方のダンパの旋回羽根の開操作を中断し、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になった場合、一方のダンパの旋回羽根の開操作を再開する(開操作待機・再開手段)。
【0073】
ステップ21(S−21)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲から外れた場合、実行中の第2開操作手段と給排気ファン制御手段とを中断し(S−23)、ステップ21(S−21)からの手順を実施する。ステップ21(S−21)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内に戻った場合、第2開操作手段と給排気ファン制御手段とを再開する(S−22)。
【0074】
ステップ14(S−14)においてコントローラ21は、第2クリーンルーム12の上下限室圧と測定室圧とを比較した結果、図2に点線で示すように、測定室圧が上下限室圧の範囲内になく、測定室圧が上限室圧を上回っていると判断した場合、第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)を一定の旋回速度で次第に開く開操作を行いつつ、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)の開操作を一時的に停止する(第3開操作手段)(S−20)。
【0075】
コントローラ21は、第3開操作手段を実行中に、給気ファン15の設定静圧と測定静圧とを比較しつつ、ファン15のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン15から給気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させ、ファン15から給気する空気の風量を第2クリーンルーム12に給気が必要な空気の風量分だけ増加させる(給気ファン制御手段)(S−20)。
【0076】
さらに、コントローラ21は、第3開操作手段を実行中に、排気ファン16の測定静圧と設定静圧とを比較しつつ、ファン16のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン16によって排気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させ、ファン16によって排気する空気の風量を第2クリーンルーム12から排気が必要な空気の風量分だけ増加させる(排気ファン制御手段)(S−20)。
【0077】
コントローラ21は、第3開操作手段と給排気ファン制御手段とを実行中に、第1クリーンルーム11の設定室圧と第2室圧センサ20から出力されたクリーンルーム11の測定室圧とを比較し、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にあるかを判断する(S−21)。コントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定静圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にあると判断した場合、第3開操作手段と給排気ファン制御手段とを続行し(S−22)、ステップ13(ステップ13)からの手順を実施する。
【0078】
ステップ20(S−20)やステップ22(S−22)においてコントローラ21は、第3開操作手段を実行中に、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)と第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)とのいずれか一方の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になった場合、それらダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を比較する。コントローラ21は、それらダンパ17,18のうちの他方のダンパの旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になっていない場合、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になるまで、一方のダンパの旋回羽根の開操作を中断し、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になった場合、一方のダンパの旋回羽根の開操作を再開する(開操作待機・再開手段)。
【0079】
ステップ21(S−21)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定静圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲から外れた場合、実行中の第3開操作手段と給排気ファン制御手段とを中断し(S−23)、ステップ21(S−21)からの手順を実施する。ステップ21(S−21)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定静圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内に戻ったと判断すると、第3開操作手段と給排気ファン制御手段とを再開する(S−22)。
【0080】
給排気ファン制御手段を再開する場合においてコントローラ21は、ステップ17(S−17)と同様に、再開前の給気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の給気ファン制御手段の処理速度を上げるとともに、再開前の排気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の排気ファン制御手段の処理速度を上げる(処理速度アップ手段)。なお、コントローラ21は、給排気ファン制御手段を再開する場合において給排気ファン制御手段の処理速度を再開前のそれと同じにする場合もある。
【0081】
システム10Aは、第2クリーンルーム12(再開対象室)の測定室圧が上下限室圧の範囲内にある場合に第1および第2ダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を次第に開く開操作を行うから、第2クリーンルーム12の室圧コントロールを再開する場合において、第1クリーンルーム11や第2クリーンルーム12の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、それらクリーンルーム11,12の室圧が過度に陰圧や揚圧になることはなく、第1クリーンルーム11の室圧を設定室圧に保持しつつ、第2クリーンルーム12の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。システム10Aは、第2クリーンルーム12の室圧コントロールを再開し、クリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合において、第1クリーンルーム11や第2クリーンルーム12からの汚染物質の流出を防ぐことができ、室外からそれらクリーンルーム11,12への塵埃や微粉、ガス、細菌等の不要物の流入を防ぐことができる。
【0082】
システム10Aは、第2クリーンルーム12の測定室圧が所定の下限室圧を下回った場合、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度の開操作を行いつつ、第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度の開操作を一時的に停止するから、第2クリーンルーム12の室圧のそれ以上の下降を防ぎつつ、クリーンルーム12の室圧をスムーズに大気圧から設定室圧に戻すことができる。システム10Aは、第2クリーンルーム12の測定室圧が上限室圧を上回った場合、第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度の開操作を行いつつ、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度の開操作を一時的に停止するから、第2クリーンルーム12の室圧のそれ以上の上昇を防ぎつつ、クリーンルーム12の室圧をスムーズに大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0083】
システム10Aは、第2および第3開操作手段を実行中に、第2クリーンルーム12の測定室圧が上下限室圧の範囲内に戻った場合、第2および第3開操作手段を中断して第1開操作手段を再開し、第1開操作手段において第1および第2ダンパの旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)の開操作を行うから、クリーンルーム12の室圧コントロールを再開する場合においてクリーンルーム12の室圧を短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0084】
図5は、他の一例として示す室圧コントロールシステム10Bの構成図であり、図6は、システム10Bにおいて実行される昇圧コントロール方法の一例を説明するフローチャートである。図7は、図6から続くフローチャートである。このシステム10Bが図1のそれと異なるところは、システム10Bが定風量ユニット34,35と高速制御ダンパ36,37とを含む点にあり、その他の構成は図1のシステム10Aと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1のシステム10Aの説明を援用することで、このシステム10Bにおけるその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0085】
昇圧コントロール方法を実施する室圧コントロールシステム10Bは、第1および第2クリーンルーム11,12と、それらクリーンルーム11,12に空気を供給する給気ダクト13と、それらクリーンルーム11,12から室外に空気を排出する排気ダクト14と、それらクリーンルーム11,12に空気を給気する給気ファン15と、それらクリーンルーム11,12から空気を排気する排気ファン16と、第1ダンパ17および第2ダンパ18と、第1および第2室圧センサ19,20と、コントローラ21(制御装置)と、第1および第2定風量ユニット34,35(CAV)と、第1および第2高速制御ダンパ36,37(PCD)(制御ダンパ)とから形成されている。
【0086】
第1定風量ユニット34は、第1クリーンルーム11に連結された第1分岐ダクト26(給気ダクト13)に設置されている。第2定風量ユニット35は、第2クリーンルーム12に連結された第2分岐ダクト27(給気ダクト13)に設置されている。第1および第2定風量ユニット34,35は、モータダンパおよび制御器と、それらを収容する筐体とから形成されている(図示せず)。第2定風量ユニット35の制御器は、インターフェイス31を介してコントローラ21に接続されている。
【0087】
それらユニット34,35のダンパは、モジュトロールモータ(回転機)と、モータの駆動力を介して旋回する旋回羽根と、旋回羽根の旋回によって開閉される空気流路とから形成されている。それらユニット34,35では、制御器からの制御信号によってモジュトロールモータが回転するとともに旋回羽根が所定角度に旋回する。それらユニット34,35は、分岐ダクト26,27の内部気圧の変動に対してユニット34,35内を通る空気通過量を調整し、クリーンルーム11,12に供給する空気量を一定に保持する。
【0088】
定風量ユニット34,35の制御器は、演算処理を行う中央処理部と各種条件を記憶可能な記憶部とを有するマイクロプロセッサである。定風量ユニット34.35の制御器は、空気流路を通過する空気通過量があらかじめ設定された値となるように、空気流路に対する羽根の開度を調整する。定風量ユニット34,35の制御器の記憶部には、ダクト26,27の設定気圧と、ユニット34,35の空気流路を通過する空気通過量との相関関係が格納され、設定気圧に対応する空気通過量と、その空気通過量に対応するダンパの旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)との相関関係が格納されている。
【0089】
第1高速制御ダンパ36は、第1クリーンルーム11に連結された第1分岐ダクト29(排気ダクト14)に設置されている。第2高速制御ダンパ37は、第2クリーンルーム12に連結された第2分岐ダクト30(排気ダクト14)に設置されている。それら制御ダンパ36,37は、制御器(図示せず)と、モジュトロールモータ(図示せず)と、モータの駆動力によって旋回する旋回羽根38,39と、旋回羽根38,39の旋回によって開閉される空気流路(図示せず)とから形成されている。
【0090】
制御ダンパ36の制御器には、第1クリーンルーム11の室圧を測定する第3室圧センサ40が接続されている。室圧センサ40は、第1クリーンルーム11の室圧を測定し、測定室圧を制御ダンパ36の制御部に出力する。制御ダンパ37の制御器には、第2クリーンルーム12の室圧を測定する第4室圧センサ41が接続されている。室圧センサ41は、第2クリーンルーム12の室圧を測定し、測定室圧を制御ダンパ37の制御器に出力する。
【0091】
それら制御ダンパ36,37の制御器は、演算処理を行う中央処理部と各種条件を記憶可能な記憶部とを有するマイクロプロセッサである。制御ダンパ36,37の制御器は、空気流路を通過する空気通過量があらかじめ設定された値となるように、空気流路に対する旋回羽根38,39の開度を調整する。制御ダンパ36,37の制御器の記憶部には、クリーンルーム11,12の設定気圧と、ダンパ36,37の空気流路を通過する空気通過量との相関関係が格納され、設定気圧に対応する空気通過量と、その空気通過量に対応するダンパ36,37の旋回羽根38,39の旋回角度(ダンパ開度)との相関関係が格納されている。
【0092】
第1高速制御ダンパ36は、制御器から出力された開度制御信号によってモジュトロールモータが回転し、旋回羽根38が所定角度(ダンパ開度)に旋回することによって第1クリーンルーム11から排気される空気の流量を調整する。第2高速制御ダンパ37は、制御器から出力された開度制御信号によってモジュトロールモータが回転し、旋回羽根39が所定角度(ダンパ開度)に旋回することによって第2クリーンルーム12から排気される空気の流量を調整する。システム10Bの運転中、それら制御ダンパ36,37は、クリーンルーム11,12の室圧を設定室圧の範囲に保持するように動作する。
【0093】
図6,7に基づいて、このシステム10Bが実施する昇圧コントロール方法を説明すると、以下のとおりである。システム10Bを起動すると、コントローラ21は、給排気ファン15,16の風量を設定風量に保持し、第1および第2クリーンルーム11,12に対する室圧コントロールを実行する(S−30)。それらクリーンルーム11,12に対する室圧コントロールの実行中では、給気ファン15によって給気ダクト13からクリーンルーム11,12へ所定風量の空気が供給され、排気ファン16によってクリーンルーム11,12から排気ダクト14へ所定流量の空気が排出されている。
【0094】
クリーンルーム11,12に対する室圧コントロールの実行中では、分岐ダクト26,27(給気ダクト13)の内部を流れる空気に圧力変動が生じたとしても、定風量ユニット34,35によってダクト26,27の空気通過量が一定に保持され、常時一定量の空気がそれらクリーンルーム11,12に供給される。また、クリーンルーム11,12の測定室圧が設定室圧の範囲から外れたとしても、第1および第2高速制御ダンパ36,37によってクリーンルーム11,12から排気される空気の流量が調整され、クリーンルーム11,12の室圧が設定室圧の範囲に保持される。なお、室圧コントロールの実行中、コントローラ21は、第1および第2ダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を所定の角度(全開の角度または全閉ではない全開以外の角度)に保持する。室圧コントロールの実行中では、それらクリーンルーム11,12の室圧がコントローラ21や定風量ユニット34,35、制御ダンパ36,37によって設定室圧に保持される。
【0095】
なお、システム10Bの稼働中において第1および第2室圧センサ119,20は、それらクリーンルーム11,12の室圧を測定し、測定した測定室圧をコントローラ21に出力している。また、第3および第4室圧センサ40,41は、それらクリーンルーム11,12の室圧を測定し、測定した測定室圧を制御ダンパ36,37の制御部に出力している。さらに、給気ファン15のインバータは、ファン15の風量(風速)をコントローラ21に出力し、静圧センサが測定した給気ダクト13(基幹ダクト25)の測定静圧をコントローラ21に出力している。排気ファン16のインバータは、ファン16の風量(風速)をコントローラ21に出力し、静圧センサが測定した排気ダクト14(基幹ダクト28)の測定静圧をコントローラ21に出力している。第1および第2ダンパ17,18の制御部は、旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)をコントローラ21に出力している。
【0096】
第2クリーンルーム12に対して燻蒸処理や熱処理等を行うため、クリーンルーム12の室圧コントロールを中断する場合、コントローラ21は、第1ダンパ17や第2ダンパ18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を全閉(ダンパ開度0%)にしてクリーンルーム12の室圧を大気圧に戻す。クリーンルーム12に対する室圧コントロールの中断中、コントローラ21は、給排気ファン15,16の風量を設定風量に保持し、第1クリーンルーム11に対する室圧コントロールを続行しつつ、第1ダンパ17や第2ダンパ18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を全閉に保持する(S−31)。第1クリーンルーム11に対する室圧コントロールの実行中では、給気ファン15によって分岐ダクト26からクリーンルーム11へ所定風量の空気が供給され、排気ファン16によってクリーンルーム12から分岐ダクト29へ所定流量の空気が排出されている。
【0097】
第1クリーンルーム11に対する室圧コントロールの実行中において定風量ユニット34は、分岐ダクト26の内部気圧の変動に対してユニット34内を通る空気通過量を調整し、クリーンルーム11に供給する空気量を一定に保持する。また、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲から外れたとしても、第1高速制御ダンパ36によってクリーンルーム11から排気される空気の流量が調整され、クリーンルーム11の室圧が設定室圧の範囲に保持される。第1クリーンルーム11に対する室圧コントロールの実行中では、クリーンルーム11の室圧がコントローラ21や定風量ユニット34、制御ダンパ36によって設定室圧に保持される。
【0098】
第2クリーンルーム12に対する室圧コントロールが中断している場合、図5に矢印X1で示すように、給気ファン15によって給気ダクト13から第1クリーンルーム11へ所定風量の空気が供給され、矢印X2で示すように、排気ファン16によってクリーンルーム11から排気ダクト14へ所定流量の空気が排出されている。第2クリーンルーム12に対する燻蒸処理や熱処理等が完了した後、第1クリーンルーム11(残余の対象室)に対する室圧コントロールを継続しつつ、第2クリーンルーム12(再開対象室)に対する室圧コントロールを再開して、クリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す必要がある。
【0099】
第2クリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合、室圧コントロール再開信号がコントローラ21に送信される。コントローラ21は、室圧コントロール再開信号の有無によって第2クリーンルーム12の室圧コントロールを再開し、クリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻すかを判断する(S−32)。第2クリーンルーム12の室圧コントロールを再開しない場合(室圧コントロール再開信号無の場合)、コントローラ21は、第1クリーンルーム11に対する室圧コントロールを続行しつつ、第2クリーンルーム12に対する室圧コントロールの中断を続行する。
【0100】
第2クリーンルーム12に対する室圧コントロールを再開し、クリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す場合(室圧コントロール再開信号有の場合)、コントローラ21は、昇圧コントロール方法を実施する。コントローラ21は、第1〜第3開操作手段の実行時に定風量ユニット35の制御器に制御信号を出力し、ユニット35からクリーンルーム12に給気する空気の流量を第1〜第3開操作手段の実行直前の流量に保持する(S−33)。なお、定風量ユニット34は、第1クリーンルーム11に供給する空気量を一定に保持する(S−34)。また、高速制御ダンパ36,37は、クリーンルーム11,12の室圧を設定室圧の範囲に保持する(S−35)。
【0101】
コントローラ21は、第1および第2ダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を全閉状態から一定の旋回速度で次第に開く開操作を行いつつ、クリーンルーム12に設定された上限室圧と第1室圧センサ19から出力されたクリーンルーム12の測定室圧とを比較するとともに、クリーンルーム12に設定された下限室圧と室圧センサ19から出力されたクリーンルーム12の測定室圧とを比較する(室圧比較手段)(S−36)。コントローラ21は、クリーンルーム12の測定室圧が上下限室圧の範囲内にあるかを判断する(S−37)。
【0102】
コントローラ21は、第2クリーンルーム12の測定室圧と上下限室圧とを比較した結果、測定室圧が上限室圧の範囲内にあるとともに、測定室圧が下限室圧の範囲内にあると判断した場合、第1および第2ダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を一定の旋回速度で次第に開く開操作を継続して行う(第1閉操作手段)(S−38)。第1および第2ダンパ17,18に対する開操作を実行すると、図5に矢印X3で示すように、給気ファン15によって分岐ダクト27から第2クリーンルーム12へ所定風量の空気が供給され、矢印X4で示すように、排気ファン16によってクリーンルーム12から分岐ダクト30へ所定流量の空気が排出される。
【0103】
コントローラ21は、第1開操作手段を実行中に、給気ファン15の測定静圧と設定静圧とを比較しつつ、ファン15のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン15から給気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させる(給気ファン制御手段)(S−38)。さらに、コントローラ21は、第1開操作手段を実行中に、排気ファン16の測定静圧と設定静圧を比較しつつ、ファン16のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン16によって排気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させる(排気ファン制御手段)(S−38)。
【0104】
コントローラ21は、第1開操作手段と給排気ファン制御手段とを実行中に、第1クリーンルーム11の設定室圧と第2室圧センサ20から出力されたクリーンルーム11の測定室圧とを比較し、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にあるかを判断する(S−39)。コントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にある場合、第1開操作手段と給排気ファン制御手段とを続行する(S−40)。
【0105】
ステップ38(S−38)やステップ40(S−40)においてコントローラ21は、第1開操作手段を実行中に、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)と第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)とのいずれか一方の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になった場合、それらダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を比較する。コントローラ21は、それらダンパ17,18のうちの他方のダンパの旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になっていない場合、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になるまで、一方のダンパの旋回羽根の開操作を中断し、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になった場合、一方のダンパの旋回羽根の開操作を再開する(開操作待機・再開手段)。
【0106】
コントローラ21は、第1室圧センサ19から出力された第2クリーンルーム12の測定室圧を参照しつつ、クリーンルーム12の測定室圧が設定室圧になったかを判断する(S−41)。コントローラ21は、第2クリーンルーム12の測定室圧が設定室圧になったと判断すると、このシステム10Bの昇圧コントロール方法を終了する。第2クリーンルーム12の室圧が設定室圧になった後、コントローラ21は、それらクリーンルーム11,12に対する室圧コントロールを実行する。それらクリーンルーム11,12の室圧は、コントローラ21や定風量ユニット34,35、制御ダンパ36,37によって設定室圧に保持される。ステップ41(S−41)においてコントローラ21は、第2クリーンルーム12の測定室圧が設定室圧になっていないと判断すると、ステップ36(S−36)からの手順を実施する。
【0107】
ステップ39(S−39)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲から外れた場合、実行中の第1開操作手段と給排気ファン制御手段とを中断する(S−42)。この場合、高速制御ダンパ36は、第1クリーンルーム11の室圧を設定室圧に戻し(S−43)、コントローラ21は、ステップ39(S−39)からの手順を実施する。ステップ39(S−39)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、制御ダンパ36によってクリーンルーム11の室圧が設定室圧の範囲内に戻ったと判断すると、第1開操作手段と給排気ファン制御手段とを再開する(S−40)。
【0108】
給排気ファン制御手段を再開する場合においてコントローラ21は、再開前の給気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の給気ファン制御手段の処理速度を上げるとともに、再開前の排気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の排気ファン制御手段の処理速度を上げる(処理速度アップ手段)。コントローラ21は、給排気ファン制御手段を再開する場合において給排気ファン制御手段の処理速度を再開前のそれと同じにする場合もある。
【0109】
ステップ37(S−37)においてコントローラ21は、第2クリーンルーム12の測定室圧と上下限室圧とを比較した結果、測定室圧が上下限室圧の範囲内になく(図2援用)、測定室圧が上限室圧を下回っていると判断した場合、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)を一定の旋回速度で次第に開く開操作を行いつつ、第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)の開操作を一時的に停止する(第2開操作手段)(S−44)。
【0110】
コントローラ21は、第2開操作手段を実行中に、給気ファン15の設定静圧と測定静圧とを比較しつつ、ファン15のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン15から給気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させる(給気ファン制御手段)(S−44)。さらに、コントローラ21は、第2開操作手段を実行中に、排気ファン16の設定静圧と測定静圧とを比較しつつ、ファン16のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン16によって排気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させる(排気ファン制御手段)(S−44)。
【0111】
コントローラ21は、第2開操作手段と給排気ファン制御手段とを実行中に、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較し、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にあるかを判断する(S−45)。コントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にあると判断した場合、第2開操作手段と給排気ファン制御手段とを続行し(S−46)、ステップ36(ステップ36)からの手順を実施する。
【0112】
ステップ44(S−44)やステップ47(S−47)においてコントローラ21は、第2開操作手段を実行中に、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)と第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)とのいずれか一方の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になった場合、それらダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を比較する。コントローラ21は、それらダンパ17,18のうちの他方のダンパの旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になっていない場合、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になるまで、一方のダンパの旋回羽根の開操作を中断し、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になった場合、一方のダンパの旋回羽根の開操作を再開する(開操作待機・再開手段)。
【0113】
ステップ45(S−45)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲から外れた場合、実行中の第2開操作手段と給排気ファン制御手段とを中断する(S−47)。この場合、高速制御ダンパ36は、第1クリーンルーム11の室圧を設定室圧に戻し(S−48)、コントローラ21は、ステップ45(S−45)からの手順を実施する。ステップ45(S−45)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、制御ダンパ36によってクリーンルーム11の室圧が設定室圧の範囲内に戻ったと判断すると、第2開操作手段と給排気ファン制御手段とを再開する(S−46)。
【0114】
給排気ファン制御手段を再開する場合においてコントローラ21は、ステップ40(S−40)と同様に、再開前の給気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の給気ファン制御手段の処理速度を上げるとともに、再開前の排気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の排気ファン制御手段の処理速度を上げる(処理速度増加手段)。コントローラ21は、給排気ファン制御手段を再開する場合において給排気ファン制御手段の処理速度を再開前のそれと同じにする場合もある。
【0115】
ステップ37(S−37)においてコントローラ21は、第2クリーンルーム12の上下限室圧と測定室圧とを比較した結果、測定室圧が上下限室圧の範囲内になく、測定室圧が上限室圧を上回っていると判断した場合、第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)を一定の旋回速度で次第に開く開操作を行いつつ、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)の開操作を一時的に停止する(第3開操作手段)(S−44)。
【0116】
コントローラ21は、第3開操作手段を実行中に、給気ファン15の設定静圧と測定静圧とを比較しつつ、ファン15のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン15から給気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させる(給気ファン制御手段)(S−44)。さらに、コントローラ21は、第3開操作手段を実行中に、排気ファン16の測定静圧と設定静圧とを比較しつつ、ファン16のインバータをコントロールし、測定静圧が設定静圧になるように静圧を一定に保持した状態で、ファン16によって排気する空気の風量を一定の上がり勾配で増加させる(排気ファン制御手段)(S−44)。
【0117】
コントローラ21は、第3開操作手段と給排気ファン制御手段とを実行中に、第1クリーンルーム11の設定室圧と第2室圧センサ20から出力されたクリーンルーム11の測定室圧とを比較し、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にあるかを判断する(S−45)。コントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定静圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲内にあると判断した場合、第3開操作手段と給排気ファン制御手段とを続行し(S−46)、ステップ36(ステップ36)からの手順を実施する。
【0118】
ステップ44(S−44)やステップ47(S−47)においてコントローラ21は、第3開操作手段を実行中に、第1ダンパ17の旋回羽根32の旋回角度(ダンパ開度)と第2ダンパ18の旋回羽根33の旋回角度(ダンパ開度)とのいずれか一方の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になった場合、それらダンパ17,18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)を比較する。コントローラ21は、それらダンパ17,18のうちの他方のダンパの旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)が1〜10%(全閉状態からの開度が1〜10%)になっていない場合、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になるまで、一方のダンパの旋回羽根の開操作を中断し、他方のダンパの旋回羽根の旋回角度が1〜10%になった場合、一方のダンパの旋回羽根の開操作を再開する(開操作待機・再開手段)。
【0119】
ステップ45(S−45)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定静圧と設定室圧とを比較した結果、クリーンルーム11の測定室圧が設定室圧の範囲から外れた場合、実行中の第3開操作手段と給排気ファン制御手段とを中断する(S−47)。この場合、高速制御ダンパ36は、第1クリーンルーム11の室圧を設定室圧に戻し(S−48)、コントローラ21は、ステップ45(S−45)からの手順を実施する。ステップ45(S−45)においてコントローラ21は、第1クリーンルーム11の測定室圧と設定室圧とを比較した結果、制御ダンパ36によってクリーンルーム11の室圧が設定室圧の範囲内に戻ったと判断すると、第3開操作手段と給排気ファン制御手段とを再開する(S−46)。
【0120】
給排気ファン制御手段を再開する場合においてコントローラ21は、ステップ40(S−40)と同様に、再開前の給気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の給気ファン制御手段の処理速度を上げるとともに、再開前の排気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の排気ファン制御手段の処理速度を上げる(処理速度増加手段)。コントローラ21は、給排気ファン制御手段を再開する場合において給排気ファン制御手段の処理速度を再開前のそれと同じにする場合もある。
【0121】
このシステム10Bは、図1のシステム10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。システム10Bは、第1〜第3開操作手段を実行中に第1および第2高速制御ダンパ36,37を利用してそれらクリーンルーム11,12の室圧を設定室圧に保持するから、クリーンルーム11,12の室圧コントロールを再開する場合において、クリーンルーム11,12の給気風量と排気風量とのバランスが崩れず、それらクリーンルーム11,12の室圧が過度に陰圧や揚圧になることはなく、クリーンルーム11の室圧を設定室圧に保持しつつ、クリーンルーム12の室圧をスムーズに大気圧から設定室圧に戻すことができる。システム10Bは、それら制御ダンパ36,37によってクリーンルーム11,12の室圧を設定室圧に保持しつつ、第1開操作手段において第1ダンパ17および第2ダンパ18の旋回羽根32,33の旋回角度(ダンパ開度)の開操作が行われるから、クリーンルーム11,12の室圧コントロールを再開する場合において、クリーンルーム11,12の室圧を短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【0122】
システム10Bは、空気の流量に変化があった場合、その流量を一定に保持するように定風量ユニット35が作動すると、クリーンルーム12の室圧コントロールを再開する場合において、クリーンルーム12の室圧が所定の下限室圧を大きく下回ったり、上限室圧を大きく上回り、クリーンルーム12の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができないが、定風量ユニット35からクリーンルーム12に流入させる空気の流量を第1〜第3開操作手段の実行直前の流量に保持するから、空気の流量に変化があったとしても、クリーンルーム12のユニット35が作動することはなく、ユニット35がクリーンルーム12の室圧を大気圧から設定室圧に戻す妨げになることはなく、クリーンルーム12の室圧をスムーズかつ短時間に大気圧から設定室圧に戻すことができる。
【符号の説明】
【0123】
10A 室圧コントロールシステム
10B 室圧コントロールシステム
11 第1クリーンルーム
12 第2クリーンルーム
13 給気ダクト
14 排気ダクト
15 給気ファン
16 排気ファン
17 第1ダンパ
18 第2ダンパ
19 第1室圧センサ
20 第2室圧センサ
21 コントローラ
34 第1定風量ユニット
35 第2定風量ユニット
36 第1高速制御ダンパ
37 第2高速制御ダンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室圧コントロールを実施する少なくとも2つの対象室と、それら対象室に空気を給気する給気ファンと、それら対象室から空気を排気する排気ファンとを備え、それら対象室のうちの中断した室圧コントロールを再開する再開対象室の室圧を大気圧から設定室圧に戻す室圧コントロールシステムにおいて、
前記室圧コントロールシステムが、前記再開対象室に給気される空気の流量を調整可能な第1ダンパと、前記再開対象室から排気される空気の流量を調整可能な第2ダンパと、前記再開対象室の室圧に基づいて前記第1ダンパおよび第2ダンパのダンパ開度を操作するコントローラと、前記再開対象室の室圧を測定してその測定室圧を前記コントローラに出力する第1室圧センサとを含み、
前記再開対象室の室圧コントロールを再開する場合において前記コントローラは、前記第1および第2ダンパのダンパ開度を全閉状態から次第に開く開操作を行いつつ、前記再開対象室の上下限室圧と前記第1室圧センサから出力された該再開対象室の測定室圧とを比較する室圧比較手段と、前記再開対象室の上下限室圧と測定室圧とを比較した結果、前記測定室圧が前記上下限室圧の範囲内にある場合、前記第1および第2ダンパのダンパ開度を次第に開く開操作を行う第1開操作手段と、前記測定室圧が前記下限室圧を下回った場合、前記第1ダンパのダンパ開度の前記開操作を行いつつ前記第2ダンパのダンパ開度の前記開操作を一時的に停止する第2開操作手段と、前記測定室圧が前記上限室圧を上回った場合、前記第2ダンパのダンパ開度の前記開操作を行いつつ前記第1ダンパのダンパ開度の前記開操作を一時的に停止する第3開操作手段とを実行することを特徴とする室圧コントロールシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記下限室圧を下回っていた測定室圧が該下限室圧を下回らなくなった場合、前記第2開操作手段を中断して前記第1開操作手段を再開し、前記上限室圧を上回っていた測定室圧が該上限室圧を上回らなくなった場合、前記第3開操作手段を中断して前記第1開操作手段を再開する請求項1記載の室圧コントロールシステム。
【請求項3】
前記室圧コントロールシステムが、それら対象室から排気する空気の流量を調整して各対象室の室圧を設定室圧に保持する制御ダンパを含み、前記制御ダンパは、前記コントローラが前記第1〜第3開操作手段を実行中に、前記再開対象室とその再開対象室を除く残余の対象室との室圧を設定室圧に保持するために、それら対象室から排気する空気の流量を調整する請求項1または請求項2に記載の室圧コントロールシステム。
【請求項4】
前記室圧コントロールシステムが、前記再開対象室を除く残余の対象室の室圧を測定してその測定室圧を前記コントローラに出力する第2室圧センサを含み、前記コントローラは、前記第1〜第3開操作手段を実行中に、前記残余の対象室の設定室圧と前記第2室圧センサから出力された該残余の対象室の測定室圧とを比較し、前記残余の対象室の設定室圧と測定室圧とを比較した結果、前記残余の対象室の測定室圧が設定室圧から外れた場合、前記第1〜第3開操作手段を中断し、前記残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻った場合、前記第1〜第3開操作手段を再開する請求項1ないし請求項3いずれかに記載の室圧コントロールシステム。
【請求項5】
前記室圧コントロールシステムが、前記再開対象室とその再開対象室を除く残余の対象室とに給気する空気の流量変化に対してその流量を一定に保持する定風量ユニットを含み、前記コントローラは、前記第1〜第3開操作手段の実行時に、前記定風量ユニットから再開対象室に流入させる空気の流量を前記第1〜第3開操作手段の実行直前の流量に保持する請求項1ないし請求項4いずれかに記載の室圧コントロールシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第1〜第3開操作手段を実行中に、前記給気ファンのインバータをコントロールし、前記給気ファンから給気する空気の静圧を一定に保持した状態で該給気ファンから給気する空気の風量を所定の上がり勾配で増加させる給気ファン制御手段を含む請求項1ないし請求項5いずれかに記載の室圧コントロールシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記給気ファン制御手段を実行中に、前記残余の対象室の設定室圧と前記第2室圧センサから出力された該残余の対象室の測定室圧とを比較し、前記残余の対象室の設定室圧と測定室圧とを比較した結果、前記残余の対象室の測定室圧が設定室圧から外れた場合、前記給気ファン制御手段を中断し、前記残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻った場合、前記給気ファン制御手段を再開する請求項6記載の室圧コントロールシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻り、前記給気ファン制御手段を再開する場合、再開前の前記給気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の該給気ファン制御手段の処理速度を上げる請求項7記載の室圧コントロールシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1〜第3開操作手段を実行中に、前記排気ファンのインバータをコントロールし、前記排気ファンから排気する空気の静圧を一定に保持した状態で該排気ファンから排気する空気の風量を所定の上がり勾配で増加させる排気ファン制御手段を含む請求項1ないし請求項8いずれかに記載の室圧コントロールシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記排気ファン制御手段を実行中に、前記残余の対象室の設定室圧と前記第2室圧センサから出力された該残余の対象室の測定室圧とを比較し、前記残余の対象室の設定室圧と測定室圧とを比較した結果、前記残余の対象室の測定室圧が設定室圧から外れた場合、前記排気ファン制御手段を中断し、前記残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻った場合、前記排気ファン制御手段を再開する請求項9記載の室圧コントロールシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記残余の対象室の測定室圧が設定室圧に戻り、前記排気ファン制御手段を再開する場合、再開前の前記排気ファン制御手段の処理速度よりも再開後の該排気ファン制御手段の処理速度を上げる請求項10記載の室圧コントロールシステム。
【請求項12】
前記上限室圧が、前記再開対象室の設定室圧の+3〜+10Paの範囲にあり、前記下限室圧が、前記再開対象室の設定室圧の−3〜−10Paの範囲にある請求項1ないし請求項11いずれかに記載の室圧コントロールシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記第1〜第3開操作手段を実行中に、前記第1ダンパのダンパ開度と前記第2ダンパのダンパ開度とのいずれか一方のダンパ開度が1〜10%になった場合、他方のダンパのダンパ開度が1〜10%になるまで、一方のダンパのダンパ開度の開操作を中断し、他方のダンパのダンパ開度が1〜10%になった場合、一方のダンパのダンパ開度の開操作を再開する請求項1ないし請求項12いずれかに記載の室圧コントロールシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−78049(P2012−78049A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225503(P2010−225503)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(591023479)ダイダン株式会社 (82)
【出願人】(505268437)株式会社制御技研 (4)
【Fターム(参考)】