説明

家具エレメントのフラップドア用ヒンジ

【課題】例えば家具のフラップドアの縁と家具エレメントの壁のそれぞれの縁が実質的に互いに面一をなすようにするヒンジを提供する。
【解決手段】家具のフラップドア用のヒンジは、家具のベース(B)又は頂壁(T)の内面に固定された第1の中空本体(10)及びフラップドア(A)の内面に固定された第2の中空本体(11)を有し、第1の本体と第2の本体は、1対のレバー(23)及びレバー(24)によって互いに連結され、レバー(23,24)は、これら本体及び中間調節ブロック(18)に枢着されている。フラップドア(A)の底端部及び上端部は、フラップドアの開閉動作中、それぞれ、家具のベース(B)の底面の上方に且つ家具の頂壁(T)の上面の下方に位置したままであるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具のフラップドア用、特に壁掛け家具エレメント用、更に積み重ね型家具エレメント及び床置き家具エレメント用の改良型ヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、家具エレメントは、閉鎖フラップ又はドアを備えている場合があり、かかる閉鎖フラップ又はドアは、家具の側壁にヒンジ留めされ、垂直軸線回りに回転することにより開き、或いは、フラップは、家具エレメントの下壁(ベース)又は上壁(頂部)にヒンジ留めされていて、水平軸線回りに回転することにより開く。
【0003】
本発明は、この第2の形式のフラップドアに関する。一例は、英国特許第1374661号明細書に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】英国特許第1374661号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フラップドアに関する主要な課題のうちの1つは、ドアの縁と家具エレメントの壁のそれぞれの縁が実質的に互いに面一をなすよう家具エレメントの閉鎖を可能にし、ドアの縁が家具壁と面一をなす位置を開放状態で提供することにある。これらの条件は、ドアと家具壁との間の表面に隙間が生じないよう閉鎖状態と開放状態の両方においてドアの正確な位置決めを保証するよう満たされなければならない。特に、ドアの開放位置又は閉鎖位置において家具エレメントの下又は上へのドアの縁の突き出しにより、ユーザにとって幾つかの問題が生じる場合がある。
【0006】
フラップドアに関するもう1つの課題は、ヒンジをドアの本体内及び家具エレメントの壁内に完全に埋め込んで物体が家具エレメント内に収納され又はこれから取り出されるときに物体の運動に対して障害物とならないようにすることにある。
【0007】
フラップドアに関するもう1つの課題は、特にドア及びドアがヒンジ留めされている家具エレメントが当然のことながら或る特定の限度内で互いに異なる厚さのものである場合、この種のドアを備えた家具エレメントの積み重ね又は床上へのこれらの設置を可能にすることにある。
【0008】
フラップドアに関する別の課題は、ほこりと汚れが締結ねじ、特に調節ねじ上に積もって衛生上及び機能上の問題を生じさせる恐れをなくすようヒンジを密閉することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かくして、本発明の主目的は、上述の課題を解決するフラップドア用改良型ヒンジを提供することにある。これら目的及び他の目的は、本願の請求項1に記載された特徴を有するヒンジで達成される。
【0010】
本発明のヒンジのそれ以上の細部は、従属形式の請求項に特定されている。
【0011】
本発明の特徴及び利点は、添付の図を参照して非限定的な例として与えられる実施形態の以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のヒンジの斜視図である。
【図2】図1のヒンジの分解組立て図である。
【図3】ドアが本発明のヒンジを備えた家具に連結された完全開放位置にある状態の家具エレメントの部分断面側面図である。
【図4】ドアが開放位置と閉鎖位置との中間の2つの互いに異なる動作位置にある状態の図3の家具エレメントの側面断面図である。
【図5】ドアが開放位置と閉鎖位置との中間の2つの互いに異なる動作位置にある状態の図3の家具エレメントの部分断面図である。
【図6】ドアが完全閉鎖位置にある図3の家具エレメントの部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に図1及び図2を参照すると、本発明のヒンジは、家具エレメントの下壁又はベースBの内面に締結された第1の本体10及び家具エレメントのドアAの内面に締結された第2の本体11を有している。第1の本体と第2の本体は、ドアの開閉を可能にするよう第2の本体が第1の本体に対して回転することができ又は第1の本体が第2の本体に対して回転することができるよう互いに連結されている。
【0014】
本明細書において説明する解決手段は、開放位置まで上方に回転するよう家具エレメントのベース(B)のところにヒンジ留めされたフラップドアに関する。当然のことながら、この解決手段は、閉鎖位置に向かって下方に回転するよう家具エレメントの頂壁(T)にヒンジ留めされたドアにも同様に利用できる。
【0015】
第1の本体10は、好ましくは、中空円筒形部分を有し、この中空円筒形部分は、家具エレメントのベースBに形成された対応の形状の受座内に挿入される。第1の本体の円筒形部分は、互いに直径方向反対側に且つ本体の軸線と直交した2つのウイング12を備え、ウイングの各々には、第1の本体のベースBに締結するために用いられる少なくとも1本のねじ(図示せず)のための貫通穴13が形成されている。第1の本体をベースB内に挿入してこの中に締結すると、そのウイングは、ベースBの表面と同一平面内に位置する。
【0016】
同様に、第2の本体11は、中空円筒形部分を有し、この中空円筒形部分は、ドアAに形成された対応の形状の受座内に挿入される。第2の本体の円筒形部分は、本体の軸線と直交したフランジ14を備え、このフランジには、ドアAの第2の本体を締結するために用いられる同数のねじ(図示せず)のための2つ又は3つ以上の貫通穴15が形成されている。第2の本体をドアA内に挿入してこの中に締結すると、フランジ14は、ドアAの表面と同一平面内に位置する。
【0017】
本発明の主要な特徴は、ヒンジを構成する部品の連係システムにある。
【0018】
この点に関し、第1及び第2の本体の円筒形部分は、それぞれ、これらの側壁に開口部16,17を備え、2つの開口部は、互いに向かい合っている(図2)。
【0019】
本発明のヒンジは、第1及び第2の本体の中空円筒形部分内に納められていて、第1及び第2の本体の側方開口部16,17を貫通する中間調節ブロック18を更に有する。
ヒンジの第1の本体の中空部内に収容された中間ブロックの部分は、ブロックを第1の本体に締結するために用いられる第1のねじ20が挿入された第1の受座19及びヒンジを調節するために用いられる第2のねじ22が挿入された第2の受座21を有する。
【0020】
中間ブロック18は、互いに平行であり且つヒンジの第2の本体及び調節ブロック内でそれぞれ回動する好ましくは直線状の1対のレバー23及びこれら直線状レバー相互間に介在して配置されると共にヒンジの第1の本体及び調節ブロック内でそれぞれ回動する好ましくは弧状のレバー24によってヒンジの第2の本体11に連結されている。
【0021】
当然のことながら、レバー23,24は、これらが以下に説明するように必要な機能を維持することを条件として、異なる形状を有していても良い。レバー23は又、単一部品で作られても良く、或いは、別の横方向ピンで互いに連結されても良い。さらに、レバー23,24は、レバー23を2つのレバー24相互間に介在して配置させることができるという意味で、これらの相互位置が互いに逆であっても良い。
【0022】
各直線状レバー23は、一端が第1のピン25に回転可能にヒンジ留めされており、第1のピン25は、中間ブロックの逆U字形状の延長部26内に挿入され、関連の穴27(図2では1つしか示されていない)を貫通している。逆U字形のこの延長部は、ヒンジの第2の本体のフランジ14の表面と同一平面内に位置するようヒンジの第2の本体の中空部内に収容されている。
【0023】
直線状レバーの互いに反対側の端部は、第2のピン28に回転可能に枢着されており、第2のピン28は、ヒンジの第2の本体の円筒形部分に締結されると共に関連の穴29(図2では1つしか示されていない)を貫通している。
【0024】
2つの直線状レバー23相互間に配置された弧状レバー24は、第3のピン30に回転可能に枢着された端部を有している。この第3のピン30は、ヒンジの第2の本体11の円筒形部分に締結され、弧状レバー24の他端部は、中間ブロック18に締結されると共に関連の穴32(図2では1つしか示されていない)を貫通した第4のピン31に枢着されている。
【0025】
本発明のヒンジを構成する要素又は部品の特定の形状及びこれらの関節連結部は、家具エレメントのドアを家具エレメントのベースに整列させるよう家具エレメントのドアを開くことができるようにするヒンジを実現するという所望の結果をもたらす。
【0026】
加うるに、図3〜図5に示されているように、ドアAの下端部及び上端部は、それぞれ、ドアの開閉動作中、家具エレメントのベースBの底面の上方及び家具エレメントの頂壁(T)の上面の下方に位置したままである。
【0027】
この特徴は、ピン25,28,30,31の相対位置の結果として得られる。具体的に説明すると、ピン28は、固定ピン25の高さ位置よりも低い高さ位置に常時あり、そして、この固定ピン25回りに制限された円弧にわたり旋回する。ピン30は、固定ピン31回りに旋回し、端が固定ピン25の高さ位置よりも常時低い位置にある円弧を描く(図3〜図5を比較参照されたい)。
【0028】
この新規な解決手段により、フラップドアを備えた家具エレメントを互いに上下に積み重ねることができると共にこれら家具エレメントをどのようなトップ又は上部にも載せることができ、ドアの動作が邪魔されないようになる。
【0029】
本発明のヒンジの別の特徴は、ヒンジの第1の本体10が蓋33を備え、蓋33が本体それ自体の2つのウイング12相互間の空間を完全に閉鎖することにある。蓋33は、好ましくは、第2の本体と反対側の第1の本体の側にヒンジ留めされ、この蓋をC字形ばね34の作用に抗して閉鎖状態にスナップ嵌め可能である。ばねは、その中間側部が第1の本体内のフック35に嵌合状態で結合され、その端部が蓋の自由縁部に当たった状態で作用する。
【0030】
かくして、蓋33は、ヒンジの締結ねじ20及び調節ねじ22を保護すると共にこれらを覆い隠し、この蓋は、第1の本体のウイング12と同一平面内に位置する。このように、ヒンジの外面は、完全に平らであり、それにより、家具エレメントの内壁の障害物をなくすことができる。
【0031】
当然のことながら、ヒンジの中間ブロック18の逆U字形の延長部は、第2の本体の回転を可能にする必要があるので、ヒンジの第2の本体の中空部を完全には閉鎖することはない。
【0032】
図3は、フラップドアが完全開放位置にある本発明のヒンジの断面側面図であり、図3は、家具エレメントのドアAとベースBが実質的に同一平面内に位置している状態を示している。湾曲レバー24は、固定ピン31回りに反時計回りの方向に完全に回される。第1の本体10と第2の本体11は、互いに整列する。
【0033】
図4及び図5は、ドアAの開放位置と閉鎖位置との間の2つの中間動作位置にある状態で示された本発明のヒンジの断面側面図である。湾曲レバー24は、図3の位置と比較して、固定ピン31回りに時計回りの方向に部分的に回されている。第2の本体11は、固定ピン31回りに反時計回りの方向に部分的に回されている。
【0034】
図6は、フラップドアAが家具エレメントのベースBと直交した完全閉鎖位置にある状態の本発明のヒンジの断面側面図である。湾曲レバー24は、図2の中間開放位置と比較して、固定ピン31回りに更に時計回りの方向に回されている。
【0035】
本発明のヒンジの別の改良例では、調節ねじ22は、ヒンジの第1の本体10の表面部分37と協働するのに適した先端部36を備えるのが良く、この表面部分は、場合によっては凹んでおり又は波形である。この細部は、ヒンジの2つの本体10,11がドアの特定の動作条件の間、互いに滑って外れる恐れをなくす。
【0036】
かくして、本発明のヒンジは、現在使用中の家具フラップドア用のヒンジの問題を解決する。当然のことながら、上述の解決手段は、特許請求の範囲に記載された本発明の保護範囲から逸脱することなく、改造可能である。
【0037】
例えば、ドアの開放又は閉鎖回転運動中におけるドアの縁がたとえドア及び壁の厚さが異なる場合であっても家具エレメントの基準面を超えて邪魔にならないところに位置したままであるようにするために、薄いシムを第1の本体10のウイング12の下に取り付けるのが良い。加うるに、調節ブロック18の寸法も又、ドアの回転の適正な調節を可能にするよう適切に変更可能である。
【0038】
このように、ドア及び家具壁の厚さに関する広汎な組み合わせが本発明の範囲に含まれ、かくして、フラップドアの最適な動作及び位置合わせが可能である。
【符号の説明】
【0039】
10,11 中空本体
16,17 孔
18 中間調節ブロック
21 受座
22 ねじ
23,24 レバー
28,30,31 ピボット
33 カバー
A フラップドア
B 家具のベース
T 頂壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具のフラップドア用のヒンジであって、前記フラップドアは、家具内部へのアクセスを可能にする実質的に平行な開放位置及び実質的に垂直な閉鎖位置に達するために水平軸線回りに回ることができ、前記ヒンジは、前記家具のベース(B)又は頂壁(T)の内面に固定された第1の中空本体(10)と、前記フラップドア(A)の内面に固定された第2の中空本体(11)と、を有し、
前記ヒンジの前記第1の本体及び前記第2の本体は、互いに平行な1対のレバー(23)及び前記1対のレバー(23)の間に配置されたレバー(24)によって連結され、前記レバー(23,24)は、前記第1の本体(10)及び前記第2の本体(11)に枢着されると共にそれぞれ中間調節ブロック(18)にも枢着され、前記フラップドア(A)の底端部及び上端部は、前記フラップドアの開閉動作中、前記家具の前記ベース(B)の底面の上方及び前記家具の前記頂壁(T)の上面の下方にそれぞれ位置したままであるようになっている、家具のフラップドア用ヒンジ。
【請求項2】
前記1対のレバー(23)は、2本の真っ直ぐなレバーで形成され、前記レバー(24)は、湾曲した形状を有し、或いは、前記1対のレバー(23)は、2本の湾曲したレバーで形成され、前記レバー(24)は、真っ直ぐな形状を有する、請求項1記載の家具のフラップドア用ヒンジ。
【請求項3】
前記レバー(23)の一端部は、前記調節ブロック(18)に固定されたピボット(25)に枢着され、前記レバー(23)の反対側の端部は、前記ヒンジの前記第2の本体(11)に固定されたピボット(28)に枢着され、前記レバー(24)の一端部は、前記ヒンジの前記第2の本体(11)に固定されたピボット(30)に枢着され、前記レバー(24)の前記反対側の端部は、前記ヒンジの前記第1の本体(10)に固定されたピボット(31)に枢着されている、請求項2記載の家具のフラップドア用ヒンジ。
【請求項4】
前記ピボット(28)は、常時、前記固定ピボット(25)よりも低い高さ位置に位置していて、制限された円弧に沿って同一の前記ピボット(25)回りに旋回し、前記ピボット(30)は、端部が前記固定ピボット(25)の高さ位置よりも常時低い高さ位置にある円弧に沿って前記固定ピボット(31)回りに旋回する、請求項3記載の家具のフラップドア用ヒンジ。
【請求項5】
前記第1及び前記第2の本体(10,11)は、これらのそれぞれの側壁に孔(16,17)を備え、前記孔は、互いに向かい合っており、前記調節ブロック(18)は、前記孔(16,17)を貫通して前記第1及び前記第2の本体(10,11)のキャビティ内に保たれる、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の家具のフラップドア用ヒンジ。
【請求項6】
前記調節ブロック(18)は、少なくともねじ(20)によって前記第1の本体(10)に固定されるとともに受座(21)を備え、前記ねじ(22)は、前記ヒンジを調節するために嵌まり込む、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の家具のフラップドア用ヒンジ。
【請求項7】
前記第1の本体(10)内には調節ねじ(22)が配置され、前記調節ねじは、前記第1の本体(10)の表面部分(37)と協働することができる箇所(36)を備え、前記表面は、前記第1の本体(10)と前記第2の本体(11)の相互離脱が阻止されるよう凹んでおり又は波形になっている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の家具のフラップドア用ヒンジ。
【請求項8】
前記ねじ(20,22)を閉鎖保護するカバー(33)が前記第1の本体(10)内にヒンジ留めされている、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の家具のフラップドア用ヒンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−207524(P2012−207524A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−77290(P2012−77290)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【出願人】(510045678)フェラメンタ リヴェンツァ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (3)
【Fターム(参考)】