説明

家具用脚

【課題】上部に突設された固定ねじを用いて家具に固定される家具用脚において、任意の面を家具の正面に合わせて脚を家具に対し容易に固定することができ、取付作業性の良好な家具用脚を提供する。
【解決手段】上端部に固定ねじが上向きに突設された脚本体1と、脚本体に対し係合部を介して係合可能に且つ所定の角度範囲で回転可能に脚本体1の外側に被せて装着されるカバー体2と、脚本体1の下端部に設けためねじ部にねじ込まれる調節足3と、を備える。家具の底部に設けためねじ部に、固定ねじ11をねじ込んで締め付け固定する。固定ねじ11を家具の底部のめねじ部にねじ込んだ後、カバー体2を反ねじ込み側に回してカバー体2の向きを適正にした状態で、調節足3を持って脚本体1を回して固定ねじ11を締め付け固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドボード、テレビ台など家具の脚として使用される家具用脚に関し、特に正しい姿勢で容易に取り付けることができる家具用脚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サイドボード、テレビ台など家具の脚として、家具本体の底面に、ねじなどで固定されて使用される家具用脚が、下記特許文献1などで知られている。この種の家具用脚は、通常、円柱形の脚本体の上部に固定ねじ(ボルト)を突設して形成され、家具の底面に脚を取り付ける場合、家具の底面に予めねじ止めされた取付座金に、その固定ねじをねじ込み、家具用脚を家具の底面に固定するように使用される。
【特許文献1】実開平6−29446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このように円柱形の脚本体を有する家具用脚は、固定ねじを軸にそれを回しながら締め付け固定されるところ、全ての方向を正面とすることができるため、固定ねじを取付座金にねじ込むように、脚本体を回して固定しても、何ら問題は生じない。
【0004】
しかしながら、ユーザの要望として、円柱形の脚本体を有する家具用脚のほかに、断面を四角形とする角柱形或は異形断面を持った脚本体を有する家具用脚を希望される場合があり、このような角柱形或は異形断面を持った脚本体の家具用脚が上部にねじ込み式の固定ねじを設けて形成された場合、以下のような問題が生じる。
【0005】
すなわち、角柱形或は異形断面の脚本体を有した家具用脚は、その正面が角柱の平坦面、或は特定の部分に限定される場合があり、そのような場合、家具用脚を家具の底面に固定するために、その上部に突設した固定ねじ(ボルト)を家具底面の取付座金に嵌め、脚本体を回して完全に固定ねじをねじ込んで固定すると、角柱の平坦面など特定の部分が正面にきたときに、家具用脚が完全に固定されるとは限らず、脚の正面以外の面が家具の正面となって脚が固定される不具合が生じる。
【0006】
そこで、このような角柱形或は異形断面の脚本体を有した家具用脚は、家具用脚の上部に、固定ねじに代えて、フランジ状の固定座部を設け、その固定座部に穿設した複数の固定孔と木ねじを用いて脚を家具の底面に固定することが、一般的である。
【0007】
しかし、家具を販売して顧客の家などに設置する際、家具の搬入時に脚を傷つけないように、脚を外した状態で搬入し、搬入場所で家具の底部に家具用脚を取り付けるようにしており、このような場合には、1個の脚に対し、3本或は4本の木ねじをねじ込んで固定する作業が、家具の搬入場所において必要となり、取付作業が煩雑となるという課題があった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、上部に突設された固定ねじを用いて家具に固定される家具用脚において、任意の面を家具の正面に合わせて脚を家具に対し容易に固定することができ、取付作業性の良好な家具用脚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の家具用脚は、上端部に固定ねじが上向きに突設され、下端部にめねじ部が設けられた脚本体と、該脚本体に対し係合部を介して係合可能に、且つ所定の角度範囲で回転可能に、該脚本体の外側に被せて装着されるカバー体と、該カバー体の上端部に設けた上開口部に被着される蓋体と、該脚本体の下端部に高さ調節可能にねじ込まれて装着される調節足と、を備え、家具の底部に設けためねじ部に、該固定ねじをねじ込んで締め付け固定する家具用脚であって、該固定ねじを該家具の底部のめねじ部にねじ込んだ後、該カバー体を反ねじ込み側に回してカバー体の向きを適正にした状態で、該調節足を持ち該脚本体を回して該固定ねじを締め付け固定することを特徴とする。
【0010】
ここで、上記脚本体と前記カバー体には、所定の角度範囲でのみ回転可能に係合する上記係合部として、脚本体の外周部の一部とそれに対応したカバー体の内側の一部に、凸部と凹部を係合可能に設けることができる。
【0011】
また、上記脚本体は、略円錐台形に形成し、上記カバー体は略角錐台形に形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
このような家具用脚は、家具の底部に設けためねじ部に対し、脚本体上端部の固定ねじをねじ込み、簡単な操作で固定することができる一方、固定ねじを一旦、家具の底部のめねじ部にねじ込んだ後、カバー体の向きを適正にするようにカバー体を反ねじ込み側に回した状態で、調節足を持って脚本体を回し、固定ねじをめねじ部に締め付け固定するから、家具用脚の正面つまりカバー体の正面が特定の面となる多角形断面或は異形断面の脚であっても、その正面を家具の正面に一致させて脚を固定することができる。したがって、例えば、四角錐台形の外形形状の脚であっても、その正面となる平坦面を家具の正面に適性に合わせて簡単に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は家具用脚の斜視図を示し、図2はその分解斜視図を示している。この家具用脚は、上部に突設された固定ねじ11を用いて、家具Kの底部にめねじ部として設けられた取付座金K1に、締め付け固定される家具用脚であり、固定ねじ11は脚本体1の上部に上方に突設される。脚本体1の外周部には、カバー体2が係合部を介して係合可能に、且つ所定の角度範囲で回転可能に嵌め込まれ、脚本体1の底部には、調節足3が高さ調節可能に取り付けられている。
【0014】
脚本体1は、図2、図4に示すように、上を大径、下を小径とする略円錐台形に形成され、その円錐台状の外周面には、0°〜90°の範囲と180°〜270°の範囲で、円周凸部13が上記係合部として、外周部に僅かな厚さだけ膨出するように形成される。つまり、軸を中心とした対称位置に90°の範囲で円周凸部13が形成される。
【0015】
一方、その円錐台状の外周面における、90°〜180°の範囲と270°〜360°の範囲には、円周凹部12が形成される。つまり、円錐台状の外周面の90°〜180°の範囲と270°〜360°の範囲の部分が、層状に除去されて、円周凹部12が形成されている。この90°の範囲で層状に除去された円周凹部12には、後述のカバー体2の内側の凸状リブ22が他方の係合部として配設され、90°の角度範囲内でカバー体2を回転可能とする。一方、カバー体2を右方向に回して脚本体1の固定ねじ11を家具の底部にねじ込む際は、凸状リブ22が脚本体1の円周凸部13の端部に係合して脚本体1に回動力を伝え、これを回すことになる。
【0016】
また、脚本体1の上端部中央には、固定ねじ11となるボルトがそのねじ部を上方に突出して埋設される。また、脚本体1の下端部の底面には、円柱状凹部15が形成され、さらにその上方に打ち込みナット14がめねじ部として埋設されている。打ち込みナット14には、後述の調節足3の調節ねじ31が高さ調節可能にねじ込まれ、円柱状凹部15には、調節足3の円柱部32が進入する。脚本体1はABS樹脂などの合成樹脂により成形することができ、その場合、固定ねじ11はインサートとしてインサート成形により定位置に取着することができる。
【0017】
カバー体2は、図2、図5に示すように、略正四角錐台形に形成され、横断面及び上面が正方形に形成され、そこに方形開口部23が形成されている。また、カバー体2の下端部には、略円形の円形開口部24が形成され、カバー体2の内部には円錐状中空部21が形成されている。さらに、カバー体2の円錐状中空部21の内周面の、軸を中心に対向する2箇所には、上記係合部となる凸状リブ22が、内周面の対向位置に軸方向に沿って形成されている。
【0018】
この円錐状中空部21は、上記の脚本体1の外形形状に対応して形成され、脚本体1をカバー体2の上部の方形開口部23から円錐状中空部21内に挿入する、つまりカバー体2を脚本体1の下側からその円錐状中空部21内に通して、脚本体1の外側を覆うように嵌入することができる。カバー体2の上端部つまり方形開口部23には、方形板状の蓋体4が嵌着される。図2に示すように、蓋体4の中央には、固定ねじ11を通すための孔42が形成され、その孔42の周囲に環状凹部41が形成されている。カバー体2及び蓋体4は、合成樹脂により成形することができる。
【0019】
調節足3は、その上部中央に円柱部32が突設され、円柱部32の上部に調節ねじ31が上方に向けて突設されている。調節ねじ31はボルトを用いて形成され、ボルトの頭部を円柱部32内に嵌着しそのねじ部を上方に突き出すように取り付けることができ、または調節足3が合成樹脂で成形される場合、ボルトの調節ねじ31をインサートとしてインサート成形することができる。
【0020】
上記構成の家具用脚を組み立てる場合、図2のように、カバー体2の円錐状中空部21内に脚本体1を上から挿入し、或いは脚本体1の下側からカバー体2を被せるように挿入し、蓋体4をカバー体2の上部の方形開口部23に嵌着し蓋をする。このとき、カバー体2内の凸状リブ22は脚本体1の円周凹部12に進入し、蓋体4の中央の孔42から固定ねじ11が上方に突出した状態となる。
【0021】
次に、カバー体2の下部の円形開口部24から、調節足3の調節ねじ31をカバー体内に挿入し、内側の脚本体1の打ち込みナット14に調節ねじ31をねじ込む。このとき、調節ねじ31には平座金33を嵌入しておく。調節ねじ31を打ち込みナット14内にねじ込むと、調節足3の円柱部32がカバー体2内に進入し、平座金33を介して円柱部32が脚本体1の下面に締付けられた状態となる。この状態で、カバー体2を持って調節足3を回すと、調節足3と脚本体1は、約90°の範囲で回転可能である。つまり、カバー体2内の凸状リブ22が脚本体1の円周凹部12(90°の角度範囲)内に位置しているため、図5に示すように、凸状リブ22が円周凸部13の端部に当るまで、脚本体1とカバー体2は相対的に約90°の範囲で回転可能である。
【0022】
このように構成された家具用脚は、図7、図8に示すように、例えば、テレビ台、サイドテーブルなどの家具Kの底面に、固定ねじ11をねじ込むようにして取り付けられる。家具Kの底部には、めねじ部として取付座金K1が埋設されている。
【0023】
先ず、カバー体2を持ってそれを右方向に回しながら、家具用脚の上端の固定ねじ11を底面の取付座金K1にねじ込む。そして、ねじ込み端に達したとき、家具用脚は、一旦、家具Kの底面に対し停止しロックされる。このとき、角錐状の家具用脚のカバー体2の正面(通常はその正方形断面の一辺を含む平坦な一面)が、家具Kの正面と一致した状態であれば問題はないが、通常は、家具用脚の正面が家具の正面に対して斜めを向いて停止する。
【0024】
このような場合、カバー体2を持って、固定ねじ11が緩む方向(反ねじ込み方向)つまり反締付方向(左方向)に回して、家具用脚の正面が家具Kの正面を向くように操作する。この場合の回転角度範囲は、カバー体2の形状が略四角錐台形であって、その横断面が正方形である場合、90°以内の回転範囲である。このカバー体2の反締め付け側への回転時、カバー体2は脚本体1と共に回転し、正面を向く正しい姿勢となる。
【0025】
次に、調節足3を持って脚本体1をねじ込む方向(右方向)つまり締め付け方向に回す。このとき、一方の手でカバー体2を把持しながら、他方の手で調節足3を回すと、カバー体2内の脚本体1のみが固定ねじ11と共にねじ込む側に回転し、脚本体1は蓋体4を介して固定ねじ11により締付け固定される。
【0026】
このとき、脚本体1はカバー体2内で約90°の範囲で回転可能であり、上記のように、最初に固定ねじ11が締付けロックされた状態から45°以内の左方向の回転で角度を調節し緩めた後であるから、略45°前後の角度の回転で、再び締付けロックすることができる。これで、家具用脚の外面のカバー体2の正面が家具Kの正面と一致した正しい状態で、家具用脚が家具Kに固定される。
【0027】
このように、先ずカバー体2を回してロックし、その後、少し戻すように角度を調節してカバー体2の向きを家具に合わせて正しい姿勢とし、その後、調節足3を持って再び締付けロックするから、家具用脚を、家具に対し適正な向きとし、且つ非常に簡単に固定することができる。
【0028】
この後、同様な操作を行なって1台の家具Kに対し通常4本の家具用脚が取り付けられるが、このような取付状態で、調節足3は最も短い状態にあり、脚の長さを調節する必要が場合は、調節足3を持って左に回すと、調節ねじ31に嵌めた平座金33が滑って、調節足3がその上部の調節ねじ31と共に左に回転し、調節ねじ31が下方に突き出すように進み、家具用脚の長さが調節される。このように、家具用脚の取り付けと、脚の高さ調節は、カバー体2または調節足3を回すだけで、簡単に行うことができる。
【0029】
なお、上記カバー体2は、四角錐台形としたが、他の多角錐台形或は角柱としてもよく、正面が特定される異形断面など、正面と他の面が形成される形状のものであればよい。また、係合部として脚本体の外周部に設けた円周凹部とカバー体の内側に設けた凸状リブは逆の関係としてもよく、所定の角度範囲で脚本体とカバー体とが相対的に回転する係合部であればよい。
【0030】
また、上記実施形態では、調節足3を合成樹脂で形成したが、調節足はアルミニウム合金、亜鉛合金などの金属で一体成形することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態を示す家具用脚の斜視図である。
【図2】同家具用脚の分解斜視図である。
【図3】脚本体の平面図(a)と正面図(b)である。
【図4】カバー体の平面図(a)と正面図(b)である。
【図5】カバー体の内部に脚本体を挿入した状態の平面図である。
【図6】組み付けた家具用脚の平面図(a)と正面図(b)である。
【図7】家具に固定する際の家具用脚の動きを示す正面図と断面図である。
【図8】家具に固定した家具用脚の正面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 脚本体
2 カバー体
3 調節足
4 蓋体
11 固定ねじ
12 円周凹部
13 円周凸部
14 打ち込みナット
21 円錐状中空部
22 凸状リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に固定ねじが上向きに突設され、下端部にめねじ部が設けられた脚本体と、
該脚本体に対し係合部を介して係合可能に、且つ所定の角度範囲で回転可能に、該脚本体の外側に被せて装着されるカバー体と、
該カバー体の上端部に設けた上開口部に被着される蓋体と、
該脚本体の下端部に高さ調節可能にねじ込まれて装着される調節足と、
を備え、家具の底部に設けためねじ部に、該固定ねじをねじ込んで締め付け固定する家具用脚であって、
該固定ねじを該家具の底部のめねじ部にねじ込んだ後、該カバー体を反ねじ込み側に回して該カバー体の向きを適正にした状態で、該調節足を持って該脚本体を回し該固定ねじを締め付け固定することを特徴とする家具用脚。
【請求項2】
前記脚本体と前記カバー体が所定の角度範囲でのみ回転可能に係合する前記係合部として、該脚本体の外周部の一部とそれに対応したカバー体の内側の一部に凸部と凹部が係合可能に設けられたことを特徴とする請求項1記載の家具用脚。
【請求項3】
前記脚本体は、略円錐台形に形成し、前記カバー体は略角錐台形に形成されたことを特徴とする請求項1記載の家具用脚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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