説明

家具等における配線処理構造

【課題】 通孔にコンセントが取り付けられた状態であっても、通孔から取り外された閉塞部材を無駄にすることがなく再利用可能であり、通孔からコンセントが取り外された場合には、再び通孔を閉塞部材で閉塞可能な家具等における配線処理構造を提供すること。
【解決手段】 家具等に設けた通孔12に、コンセントユニット20を着脱可能に嵌合した家具等における配線処理構造において、通孔12における前方側の第1開口12aよりも、後方側の第2開口が大きくなるように形成されるとともに、この通孔12からコンセントユニット20が取り外された際には、第1開口12aに嵌合して通孔12を閉塞する閉塞部材32を設け、コンセントユニット20が通孔12に嵌合した場合には、閉塞部材を第2開口に嵌合させ、該第2開口と前記閉塞部材とで形成された隙間より、コード類を挿通可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具等に設けた通孔に、コンセントユニットを着脱可能に嵌合した家具等における配線処理構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家具等における配線処理構造では、家具等に形成された通孔に、コンセントを着脱可能に嵌合したものがあり、通常の状態では、通孔には予め開口を閉塞する閉塞部材が取り付けられた状態で家具が販売され、オプション品としてのコンセントが、閉塞部材を外した状態の通孔に取り付け可能となっている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−177249号公報(段落0015〜段落0017、図4図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、家具類にコンセントを取り付ける場合に取り外される閉塞部材は一時的に保管または廃棄されていた。すなわち、通孔に取り付けられたコンセントが取り外されると、以前に取り外された閉塞部材が紛失したり、廃棄されてしまっていることがあるため、通孔を通常の閉塞状態に回復できないことがあった。したがって、開口状態となり見栄えが悪くなるばかりでなく、通孔から塵やホコリ等が入る恐れがあり、通孔を閉塞しようとする場合には、再度メーカー等から閉塞部材を取り寄せなければならず、手間と費用がかかるといった問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、通孔にコンセントが取り付けられた状態であっても、通孔から取り外された閉塞部材を無駄にすることがなく再利用可能とし、通孔からコンセントが取り外された場合には、再び通孔を閉塞部材で閉塞することができる家具等における配線処理構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の家具等における配線処理構造は、家具等に設けた通孔に、コンセントユニットを着脱可能に嵌合した家具等における配線処理構造であって、前記通孔における前方側の第1開口よりも、後方側の第2開口が大きくなるように形成されるとともに、前記通孔からコンセントユニットが取り外された際には、前記第1開口に嵌合して前記通孔を閉塞する閉塞部材を設け、前記コンセントユニットが前記通孔に嵌合した場合には、前記閉塞部材を前記第2開口に嵌合させ、該第2開口と前記閉塞部材とで形成された隙間より、コード類を挿通可能にしたことを特徴としている。
この特徴によれば、通孔にコンセントユニットが取り付けられた状態であっても、通孔から取り外された閉塞部材を無駄にすることがなく、閉塞部材を通孔の第2開口に嵌合させて、第2開口と閉塞部材の隙間より延出されるコード類の保持案内に利用可能であり、通孔からコンセントユニットが取り外された場合には、再び通孔を閉塞部材で閉塞して、通孔内に塵や埃が侵入することを阻止する。
【0007】
本発明の請求項2に記載の家具等における配線処理構造は、請求項1に記載の家具等における配線処理構造であって、前記閉塞部材の前記通孔内に嵌合される嵌入部には、コードガイド溝が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞部材が第2開口側より通孔に取り付けられた際には、コード類がコードガイド溝に沿って配線されるので、常に一定の方向にコード類を案内できる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の家具等における配線処理構造は、請求項1または2に記載の家具等における配線処理構造であって、前記嵌入部の外周面には、前記第1開口への内挿方向に向けて嵌合凸条を設け、前記通孔の内周面に前記嵌合凸条と摺動可能な摺動溝を形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞部材を通孔に内挿させていくと、通孔の摺動溝に嵌合凸条が摺動されながら、円滑に通孔内に案内させることができるとともに、嵌合凸条が摺動溝に摺動可能に嵌合されることから閉塞部材の全体のガタツキが防止される。
【0009】
本発明の請求項4に記載の家具等における配線処理構造は、請求項3に記載の家具等における配線処理構造であって、前記嵌合凸条を前記第2開口から前記通孔内に嵌合させたことを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞部材を第2開口側より通孔に向けて内挿させると、通孔の内周面に嵌合凸条が嵌合されるので、閉塞部材が第2開口にガタツキなく取り付けられるとともに、コード類を安定して保持できる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の家具等における配線処理構造は、請求項1乃至3のいずれかに記載の家具等における配線処理構造であって、前記第1開口に前記閉塞部材が取り付けられると、前記閉塞部材の外表面は、前記第1開口が形成された前記家具等の外表面と面一になることを特徴としている。
この特徴によれば、家具等の外表面と閉塞部材の外表面とが面一となっているため、家具等の外観が美感に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1におけるコンセント付きテーブルの全体像を示す斜視図であり、図2は、天板支持部材に設けられるコンセントユニットを示す斜視図であり、図3は、天板支持部材と脚柱の分解組立斜視図であり、図4は、天板支持部材の背面構造を示す斜視図であり、図5(a)は、天板支持部材にコンセントユニットが取り付けられた斜視図であり、図5(b)は、天板支持部材に閉塞部材が取り付けられた例を示す斜視図であり、図5(c)は、天板支持部材に通信ユニットが取り付けられた変形例を示す斜視図であり、図6(a)は、コンセント付きテーブルの下方内側より、天板のコーナー部側を見上げた斜視図であり、図6(b)は図6(a)のB−B線の断面図である。
【0013】
このコンセント付きテーブル1(以下、テーブル1)では、後で詳述するが天板2上に載置された電気機器類に電源を供給可能となっている。そこで、本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、図1に示されるように、テーブル1は主に上面視矩形状の天板2と、天板2の各隅部が切り欠かれたように形成されたコーナー部2c下面に設けられた脚柱3(本実施例では4脚)と、この両者(天板2と脚柱3)の間に設けられた天板支持部材10(本実施例では4つ)と、から構成されており、脚柱3の下端には高さ調整可能な接地部材であるアジャスタ33が取り付けられ、テーブル1が安定して床面39に載置されている。
【0014】
テーブル1の周囲には椅子35が複数設置され、天板2には、飲料が注がれた複数のカップKと、電気機器であるノート型パソコン(以下、パソコン)34が複数設置されており、それぞれのパソコン34に接続される電源ケーブル34aの先端に設けられたプラグ34bが、近傍に位置する各天板支持部材10に設けられた後述するコンセントユニット20に形成された差込口に差し込まれている。このコンセントユニット20の背面側からは電源コード26が脚柱3の背面に沿って延設され、電源コード26の先端に設けられたプラグ26aが、壁面36に設けられたコンセント37に差し込まれている。なお、一部の天板支持部材10には後述する閉塞部材32が設けられている。
【0015】
以下、実施例1の説明において、天板支持部材10の外側を前方とし、天板支持部材10の内方および背面側を後方とし、天板支持部材10の両側方向を左右方向として説明する。
【0016】
コンセントユニット20は、図2に示されるように差込口20bが設けられた表面板20aと、表面板20の後方に向かって延出するように形成された矩形ボックス状の嵌入部20cと、嵌入部20cの差込口20bの反対側から延出された電源コード26から構成され、電源コード26の先端にはプラグ26aが設けられている。電源コード26の所定間隔周りにはスパイラルバンド29が巻き付けられている。
【0017】
嵌入部20cの上下端面の差込口20b側には、それぞれ2本の案内片21が形成され、嵌入部20cの左右端面の差込口20b反対側には、それぞれ後方から下方に向かって「く字形」に折り曲げられた係止片23が形成され、先端部に操作部23aが設けられている。この係止片23の折り曲げ近傍には、外方に突設された係合部に相当する係合凸部25が形成されている。
【0018】
次いで、天板2を支持する天板支持部材10および脚柱3について詳細に説明すると、図3に示されるように、天板支持部材10の上面には、天板2と連結可能な一対の扇状支持部14が設けられており、扇状支持部14の複数箇所に上下に貫通する貫通孔15が形成され、この貫通孔15を介してボルト27で天板2と連結可能になっている。天板支持部材10の下面には、下方に向けて一対の挿入片17が延設されている。
【0019】
天板支持部材10の外側面には、外方を向く第1開口12aから内方に向かって略水平方向に通孔12が形成され、通孔12の内周上下面に内方に向けて摺動溝11が形成され、コンセントユニット20の案内片21が摺動可能に嵌合されるようになっている。通孔12の内方側方には上下方に向けて被係合部に相当する係合凹部18が形成されている。通孔12下面には下方に貫通するボルト用の貫通孔16が形成され、通孔12の上面には上方に貫通する開口12cが連通されている。
【0020】
脚柱3には上下に貫通する溝条5が前後左右に形成され、後方の溝条5には上下方向に挿入溝6が形成されている。脚柱3の上端部3aと下端部3bにはその中央位置に螺合穴4が形成され、下端部3bには貫通孔7aが形成されたカバー部材7が嵌合され、この貫通孔7aを介して下端部3bの螺合穴4に向けてアジャスタ33が取り付けられる。
【0021】
天板支持部材10と脚柱3の連結は、天板支持部材10の挿入片17を左右の溝条5に嵌合させて、脚柱3の上端部3aに位置固定させた後、ボルト28を天板支持部材10の開口12cから貫通孔16に向けて挿し込み、脚柱3の螺合穴4に螺合させ締め付けることで連結が完了する。このように、ボルト28による螺合と、挿入片17により天板支持部材10と脚柱3が確実に連結される。このようにして連結された天板支持部材10と脚柱3は分離も容易であるので、脚柱3の高さの変更を行いたい場合にも、長さの違う新たな脚柱3の交換が容易に行える構成になっている。
【0022】
そして、天板支持部材10と脚柱3の連結完了後、コンセントユニット20を天板支持部材10の第1開口12aから通孔12に向けて内挿可能になっている。なお、コンセントユニット20の取り付けについて簡単に説明すると、通孔12の第1開口12aに向けてコンセントユニット20を矢印に示される方向に、天板支持部材10の第1開口12aから通孔12に向けて内挿されると、係合凸部25が通孔12の内周面に当接され係止片23が内方に弾性付勢されて撓みながら、徐々に通孔12内に嵌入部20cが内挿されていく。
【0023】
そして、コンセントユニット20の表面板20aが第1開口12aの前端面に当接される位置まで内挿されることにより、左右の係止片23に形成された係合凸部25がそれぞれ通孔12に形成された係合凹部18に嵌合し、係止片23の撓みが解除されることで、天板支持部材10にコンセントユニット20が位置固定され、コンセントユニット20の取り付けが完了する。なお、嵌入部20cの上下面に形成された案内片21が第1開口12aの近傍に形成された摺動溝11に摺動可能に嵌合されるので、円滑にコンセントユニット20が通孔12内に案内されるとともに、コンセントユニット20全体のガタツキが防止される。
【0024】
さらに、通孔12にコンセントユニット20を取り付けずに、第1開口12aを閉蓋する部材として、閉塞部材32を取り付けることも可能であり、この閉塞部材32はコンセントユニット20と同様に表面板32aの後方に向かって延設された嵌入部32cと、嵌入部32cの表面板32a側の上下端面には、コンセントユニット20の案内片21と略同型の嵌合突条32eがそれぞれ2本形成されており、嵌入部32cの両側面には半月形状のコードガイド溝32dが形成されている。この閉塞部材32の通孔12への取り付けについては、前述したコンセントユニット20と略同様のため説明を割愛する。
【0025】
次いで、天板支持部材10の背面構造について説明すると、図4に示されるように、天板支持部材10の後方には、下方に向けて第2開口12bが形成され、通孔12に連結されている。つまり、第1開口12aおよび第2開口12bは通孔12を介して連結されている。第2開口12bの内周面の前方両端部には、係合凹部18が上方向に向けて形成されており、第2開口12bの前端近傍から前方斜め下方に向けて配線溝19が形成され、電源コード26が案内可能となっている。
【0026】
この第2開口12bには、閉塞部材32のコードガイド溝32dが斜め前後方向を向く状態で、嵌入部32cの両面に設けられた嵌合凸条32cを通孔12の左右両端面に圧入嵌合させることで取り付け可能になっており、閉塞部材32が第2開口12bにガタツキなく取り付けられ、コードガイド溝32dで電源コード26を保持案内させることが可能になっている。
【0027】
天板支持部材10の後端上部には、後方に突設された連結部13が形成され、連結部13の中央位置に前後に貫通する連結孔13aが形成されている。ボルト27を第2開口12bから連結孔13aを介して、連結部13の螺合穴45aに螺合させることで、連結部13に後述する連結部材45が接続される。第2開口12bは第1開口12aより大きく形成されており、このようなボルト螺合作業も第2開口12b側より容易に行える。
【0028】
天板支持部材10にコンセントユニット20が取り付けられると、図5(a)に示されるように、差込口20bおよび表面板20aの外表面が天板支持部材10の外表面と面一になることにより、プラグ差し込み時の突出が極力避けられ、且つ面一となった面を脚柱3の外表面とも面一とすることも可能で、美感に優れたテーブル脚を提供できる。
【0029】
さらに、コンセントユニット20が通孔12内に取り付けられた状態では、第1開口12aの外側面が表面板20aにより閉蓋されるので、通孔12内に塵や埃が侵入することが阻止される。なお、天板支持部材10の扇状支持部14には、複数のボルト27が上方に向け貫通され、天板2下面に形成された図示しない螺合穴に螺合され堅固に固定されている。
【0030】
図5(b)は、天板支持部材10の第1開口12aに前述した閉塞部材32が取り付けられた例を示したものであり、コンセントユニット20を必要としない場合は、閉塞部材32が通孔12に内挿され、閉塞部材32の表面板32aによって、第1開口12aが閉蓋され天板支持部材10の外表面と面一になっている。そして閉塞部材32を取り外せば、いつでもコンセント付きテーブル1に変更できる。
【0031】
図5(c)は、天板支持部材10の第1開口12aに通信ユニット41を取り付けた変形例であり、表面板41aの中央部にLANケーブル等を接続可能な差込口41bが設けられている。なお、通信ユニット41の天板支持部材10からの着脱は、上記したコンセントユニット20と略同様のため説明を割愛する。このように、本発明において、電源供給用のコンセントユニット20や通信接続用の通信ユニット41等に限定されることなく、各種接続用コンセントユニットに対しても対応可能である。
【0032】
コンセントユニット20の背面側に接続される電源コード26の配線について説明すると、図6(a)に示されるように、第2開口12bに閉塞部材32を取り付けることで、嵌入部32cの上下に形成されたコードガイド溝32d内に配線コード26が案内保持され配線され、常に一定の方向に電源ケーブル26が案内されることになる。第1開口12aよりも大きく形成された第2開口12bで配線コード26が反転する空間が形成されるので、コンセントユニット20からの配線コード26はこの空間部分で反転し、配線溝19に沿って下方向に配線され、脚柱3の上端部3aから下端部3bに延び、カバー部材7およびアジャスタ33の近傍から図示しない床面に沿って配線されている。
【0033】
そして、下方に配線された電源コード26は、図6(b)に示されるように、脚柱3の背面側に形成された挿入溝6に嵌入され溝条5内に内挿されており、配線コード26の外周に巻き付けられたスパイラルバンド29によって、安易に電源コード26が挿入溝6から抜け出ることのない構成になっている。また、挿入溝6より電源コード26だけを溝条5内に内挿すればよく、プラグ26aは溝条5内を通す必要がないので、配線作業が楽である。
【0034】
このように、コンセントユニット20に接続された電源コード26は、天板支持部材10の第2開口12bから宙吊り状態で配線されることなく脚柱3内に納められ、テーブル1を利用する利用者の手や足に引っ掛かることがなく安全性が高められるとともに、外部からの見栄えも良いものとなる。
【0035】
また、図6(a)に示されるように、このテーブル1のコーナー部2cに各々設けられた天板支持部材10の後端側の連結部13には、一対毎にアーチ状に連結部材45が連結され、さらに一対の連結部材45間に連結部材46が連結されることにより、強固な枠組みが構成されている。
【0036】
以上の説明により実施例1では、通孔12にコンセントユニット20が取り付けられた状態であっても、通孔12から取り外された閉塞部材32を無駄にすることがなく、閉塞部材32を通孔12の第2開口12bに嵌合させて、第2開口12bと閉塞部材32の隙間より延出される電源コード26等のコード類を保持案内に利用可能であり、通孔12からコンセントユニット20が取り外された場合には、再び通孔12を閉塞部材32で閉塞可能となる。
【実施例2】
【0037】
次に、本発明の実施例2を図7,図8に基づいて説明する。図7は、コンセントユニットのテーブル配線における第2実施例を示す斜視図であり、図8は、図7のテーブル配線構造の全体図を示す一部破断斜視図である。なお、以下の実施例2において前述の実施例1と同様の構造部分に関しては、同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略することにする。
【0038】
図7に示されるように、第2開口12bに閉塞部材32が嵌合されて通孔12内に取り付けられた状態(図4参照)では、第2開口12bが第1開口12aより大きいため、閉塞部材32の上端部と第2開口12bの間に隙間が形成されていることから、コンセントユニット20の後端に接続された電源コード26は、閉塞部材32と第2開口12bの隙間から延出され、連結部材45の下面に沿い天板下面内方に配線されている。この電源コード26は、所定箇所に設けられた金属板状の固定具30により、連結部材45、46に位置固定されている。
【0039】
これら各脚柱3の上部から配線される電源コード26は、図8に示されるように、連結部材46に沿って、天板2の中央方向に向かって集線され、天板2の中央位置から下方に向けて延設された可撓性を有するスパイラル管43内に内挿されて、図示しない床面に向けて配線されている。
【0040】
したがって、電源コード26をまとめて一カ所の電源に導くことができる。また、連結部材46には上向きコ字状の遮蔽板42が取り付けられることにより、電源コード26を下方に弛ませない構成になっているとともに、電源コード26を外部から遮蔽して美観を損ねないようになっている。
【0041】
このように、コンセントユニット20の差込口20bの反対側に第2開口12bが形成され、この第2開口12bに閉塞部材32が取り付けられているので、閉塞部材32と第2開口の隙間より延出される電源コード26を閉塞部材32で保持案内させることができ、上述の如くコンセントユニット20を各脚柱3の上部に設けた場合でも、電源コード26の配線処理の複雑化を防止することができる。
【実施例3】
【0042】
次に、本発明の実施例3を図9,図10に基づいて説明する。図9は、コンセント付き棚の上部を示す一部破断斜視図であり、図10(a)は、図9の棚のC−C線の断面図であり、閉塞部材を取り付ける過程を示す断面図である。なお、以下の実施例3において前述の実施例1と同様の構造部分に関しては、同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略することにする。
【0043】
図9に示されるように、コンセント付き棚(以下、棚装置1’)では、後で詳述するが天板2’上に載置された電気機器類に電源を供給可能となっている。以下、実施例3の説明において、棚装置1’の正面を前方とし、棚装置1’の背面側を後方とし、棚装置1’の両側方向を左右方向として説明する。
【0044】
棚装置1’は主に上面視矩形状の天板2’と、天板2’の下面2b’の各コーナー部に設けられた脚柱3’(本実施例では4脚)と、から構成されている。各脚柱3’の内面側には、上下方向に沿って設けられた係止レール47と、上下方向に沿って溝条5’が形成されている。係止レール47には、特に図示しないが複数のダボ穴が形成され、ダボ穴の所定間隔毎にダボが設けられることにより、これらダボに棚板8が係止されて棚装置1’の上下方向に複数段の棚板8,8が形成されている。
【0045】
天板2’の下面2b’前方側には、下方に向けてコンセント取付部材9が設けられており、左の脚柱3’の近傍には2つのコンセントユニット20(実施例1と同様の構成である)が所定間隔離間されて取り付けられ、右の脚柱3’の近傍にはコンセントユニット20と閉塞部材32(実施例1と同様の構成である)が所定間隔離間されて取り付けられている。天板2’および各棚板8,8にはパソコン34や照明用の電気スタンド34’等の電気機器が載置されており、これら3つのコンセントユニット20の差込口20bから電気を供給可能になっている。
【0046】
次いで、コンセントユニット20が取り付けられた状態と閉塞部材32の取り付けについて説明すると、図10に示されるように、コンセント支持部材9の前面側には、表面板20および閉塞部材32の表面板32aを嵌合可能な第1開口12a’と、背面側には第2開口12b’とが形成され、第1開口12a’および第2開口12b’を連通する通孔12’が形成されている。この通孔12’の内周面の上下には、第1開口12a’から第2開口12b’側に向けて一対の摺動溝11’がそれぞれ形成されており、通孔12’の内周面の左右の第2開口12b’側には上下方向に向けて被係合部である係合凹部18’が形成されている。
【0047】
コンセントユニット20がコンセント取付部材9の第1開口12a’から通孔12’に向けて内挿された状態では、通孔12’内に嵌入部20cが内挿され、係合凸部25が係合凹部18’に嵌合されるとともに、係止片23の撓みが解除されコンセントユニット20が通孔12’内に位置固定されて取り付けられている。このようにして、コンセント取付部材9に取り付けられたコンセントユニット20から後方に向かって延出される電源コード26は、脚柱3に形成された溝条5’に収納され長さ方向に沿って配線されるようになっており、棚装置1’の外部からは見えないようになっている。
【0048】
次いで、閉塞部材32を矢印に示される方向に内挿させていくと、嵌入部32cの通孔12’への内挿時に嵌合凸条32eが摺動溝11’に摺動可能に嵌合されていくので、通孔12’内に嵌入部32cが円滑に案内されるとともに、閉塞部材32全体のガタツキが防止されている。このことから、コンセントユニット20を使用しない状態においても、閉塞部材32で通孔12’を閉塞でき、棚装置1’の前面側から通孔12’内に塵や埃が進入しないようになっている。
【0049】
なお、コンセント取付部材9から閉塞部材32を取り外すには、利用者の指等で第2開口12b’側より、閉塞部材32の嵌入部32cの背面を棚装置1’の前方向に向けて押圧させることにより、棚装置1’の前面方向に引き出しことができ、簡便に取り外し作業を行えるようになっている。
【0050】
このように、棚装置1’にコンセントユニット20を設けない場合にも、通孔12’に閉塞部材32を取り付けることができ、コンセント取付部材9の外表面と面一になることから見栄えを損ねず、コンセントユニット20を必要としない棚装置1’としても利用可能となり、再度、閉塞部材32を取り外してコンセントユニット20に交換するだけで、いつでもコンセント付き棚装置1’に変更できる。
【0051】
以上の説明により実施例3においても、閉塞部材32およびコンセントユニット20を通孔12’に向けて内挿させるだけで、容易にコンセント取付部材9に取り付けることができることから、本発明は棚装置1’や実施例1のテーブル1等に限らず、様々な家具等に通孔を形成するだけで、閉塞部材32およびコンセントユニット20を単体で取り付け可能となるので、一形体の通孔12’のみで共通化でき家具等への取付構造の複雑化を防ぐとともに、製造コストも低く抑えることができる。
【0052】
以上、本発明の実施例1〜3を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれ、例えば上記実施例では、通孔12に電源供給用のコンセントユニット20や通信接続用の通信ユニット41が取り付け可能になっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種接続用コンセントユニットに対しても対応可能であり、これらのユニットを通孔12に取り付けない場合には、閉塞部材32を取り付けて、通孔12の第1開口を閉塞することが好ましいことは言うまでもない。
【0053】
また、上記実施例2では、スパイラル管43を介して電源コード26を下方に向けて配線することで電源コードを束ねているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図1に示すように、壁面36に設けられたコンセント37の最も近傍に位置する一本の脚柱3からの電源コード26と集線して電源を受けることも可能であり、配線処理の複雑化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例1におけるコンセント付きテーブルの全体像を示す斜視図である。
【図2】天板支持部材に設けられるコンセントユニットを示す斜視図である。
【図3】天板支持部材と脚柱の分解組立斜視図である。
【図4】天板支持部材の背面構造を示す斜視図である。
【図5】(a)は、天板支持部材にコンセントユニットが取り付けられた斜視図であり、(b)は、天板支持部材に閉塞部材が取り付けられた例を示す斜視図であり、(c)は、天板支持部材に通信ユニットが取り付けられた変形例を示す斜視図である。
【図6】(a)は、テーブルの下方内側より、天板のコーナー部側を見上げた斜視図であり、(b)は、図6(a)のB−B線の断面図である。
【図7】第2実施例におけるコンセントユニットのテーブル配線構造を示す斜視図である。
【図8】図7におけるテーブル配線構造の全体図を示す一部破断斜視図である。
【図9】第3実施例におけるコンセント付き棚の上部を示す一部破断斜視図である。
【図10】図9における棚のC−C線の断面図であり、閉塞部材を取り付ける過程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 テーブル(コンセント付きテーブル)
1’ 棚装置(コンセント付き棚装置)
2、2’ 天板
3、3’ 脚柱
3a 上端部
3b 下端部
8 棚板
9 コンセント取付部材
10 天板支持部材
11、11’ 摺動溝
12、12’ 通孔
12a、12a’ 第1開口
12b、12b’ 第2開口
18、18’ 係合凹部
19 配線溝
20 コンセントユニット
20a 表面板
20b 差込口
20c 嵌入部
21 案内片
23 係止片
23a 操作部
25 係合凸部
26 電源コード
26a プラグ
29 スパイラルバンド
32 閉塞部材
32a 表面板
32c 嵌入部
32d コードガイド溝
32e 嵌合突条
34 パソコン
34’ 電気スタンド
34a、34a’ 電源ケーブル
34b、34b’ プラグ
36 壁面
37 コンセント
39 床面
41 LAN等の通信ユニット
42 遮蔽板
43 スパイラル管
45、46 連結部材
45a 螺合穴
47 係止レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具等に設けた通孔に、コンセントユニットを着脱可能に嵌合した家具等における配線処理構造であって、前記通孔における前方側の第1開口よりも、後方側の第2開口が大きくなるように形成されるとともに、前記通孔からコンセントユニットが取り外された際には、前記第1開口に嵌合して前記通孔を閉塞する閉塞部材を設け、前記コンセントユニットが前記通孔に嵌合した場合には、前記閉塞部材を前記第2開口に嵌合させ、該第2開口と前記閉塞部材とで形成された隙間より、コード類を挿通可能にしたことを特徴とする家具等における配線処理構造。
【請求項2】
前記閉塞部材の前記通孔内に嵌合される嵌入部には、コードガイド溝が形成されている請求項1に記載の家具等における配線処理構造。
【請求項3】
前記嵌入部の外周面には、前記第1開口への内挿方向に向けて嵌合凸条を設け、前記通孔の内周面に前記嵌合凸条と摺動可能な摺動溝を形成した請求項1または2に記載の家具等における配線処理構造。
【請求項4】
前記嵌合凸条を前記第2開口から前記通孔内に嵌合させた請求項3に記載の家具等における配線処理構造。
【請求項5】
前記第1開口に前記閉塞部材が取り付けられると、前記閉塞部材の外表面は、前記第1開口が形成された前記家具等の外表面と面一になる請求項1乃至3のいずれかに記載の家具等のコンセントユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−102119(P2006−102119A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292722(P2004−292722)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】