説明

家屋侵入解説装置

【課題】毎回同じように同じ時間で説明することができ、見学者が理解し易く興味を持ってもらうことができるように解説することができる家屋侵入解説装置を提供する。
【解決手段】住宅展示棟10内に、住宅建物の外観を模した第一住宅建物2、第二住宅建物3、第三住宅建物4が、「情報流出」、「見通しの良否」、「やりっ放し」の各テーマ毎に設けられてなり、これら第一住宅建物2、第二住宅建物3、第三住宅建物4にはスイッチ20,30,40が設けられ、これらスイッチ20,30,40を押すことにより、第一住宅建物2、第二住宅建物3、第三住宅建物4のそれぞれで、家屋侵入の手口や泥棒の行動の解説が自動音声で行われるようになされた家屋侵入解説装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅建物における家屋侵入の方法や泥棒の行動をわかり易く説明するための解説装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅建物においては、泥棒などが家屋内に侵入しないように、数々の防犯対策が施されている。これらの防犯対策は、住宅建物のカタログに紹介したり、展示住宅に訪れた購入予定者に、口頭で説明したりしていた。そして、この説明によって、防犯対策に優れた住宅建物とはどのようなものであるのかを理解してもらっていた。
【0003】
しかし、防犯に関して専門知識の無い者がカタログのみで説明することは難しく、住宅展示棟に訪れた購入予定者に対しても充分に説明することができない。
【0004】
そこで、従来より、このような防犯対策を把握する前に、泥棒の行動を容易に理解することができるものとして、住宅建物の外観を模した屋外で泥棒を模した人形を動かし、この人形の動きにあわせて泥棒の家屋侵入手口や行動を説明するようになされた家屋侵入解説装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−249899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の解説装置の場合、住宅展示棟内に設けた住宅建物に、あらゆる要素を盛り込んだ形で装置を構成しているため、説明する側の案内者によっては、案内者の知識によって説明に差を生じてしまい、全ての見学者に対して同じ説明ができないといった不都合を生じることとなる。
【0006】
また、案内者によっては、説明に要する時間が異なるため、時間配分が上手く行かず、複数の見学グループを複数の案内者で案内するような場合、無駄な待ち時間を生じてしまったり、予定時間をオーバーしてしまうこととなる。
【0007】
さらに、説明を受ける側の見学者にとっても、色々な説明を一度にされるので、疲れ易く、退屈してしまう。
【0008】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、毎回同じように同じ時間で説明することができ、しかも見学者が理解し易く興味を持ってもらうことができるように解説することができる家屋侵入解説装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の家屋侵入解説装置は、住宅展示棟内に、住宅建物の外観を模した複数の住宅建物が、家屋侵入の手口や泥棒の行動のテーマ毎に設けられてなり、各住宅建物にはスイッチが設けられ、これらスイッチを押すことにより、各住宅建物で、家屋侵入の手口や泥棒の行動の解説が自動音声で行われるようになされたものである。
【0010】
また、上記家屋侵入解説装置であって、住宅展示棟内に、住宅建物の外観を模した3つの住宅が設けられてなり、第一住宅建物は、駐車スペースに車が設けられ、玄関先には電話番号や住所が記載された自転車が設けられ、郵便物が溢れ出した郵便ポストが設けられ、家族構成が記載された表札が設けられ、この第一住宅建物前には携帯電話で通話している泥棒を模した模型が設けられ、第二住宅建物は、門扉に鍵がかかっておらず、外からの見通しが悪くなる高い塀が設けられ、家の前には高い木や電柱が設けられ、泥棒を模した模型が、塀に隠れて設けられるとともに、二階バルコニーから出没するように設けられ、第三住宅建物は、窓が開けられ、庭先には洗濯物が干した状態となった物干しが設けられてなり、各住宅建物付近にはスイッチが設けられ、第一住宅建物のスイッチを押すと、第一住宅建物において情報流出に関する内容の説明が自動音声で行われ、第二住宅建物のスイッチを押すと、第二住宅建物において見通しの良否に関する内容の説明が自動音声で行われ、第三住宅建物のスイッチを押すと、第三住宅建物においてやりっ放しに関する内容の説明が自動音声で行われるようになされたものである。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように、本発明によれば、各住宅建物において、自動音声で内容を説明するため、案内者によって説明に差を生じることを防止することができる。また、自動音声のため、毎回決められた時間内で説明することができる。さらに、内容の説明は、テーマ毎に異なった構造で構成された住宅建物で行われるため、見学者が理解し易く、かつ、見学者に興味を持ってもらうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は家屋侵入解説装置1の全体構成の概略を示している。
【0014】
すなわち、この家屋侵入解説装置1は、住宅展示棟10内に、住宅建物の外観を模した第一住宅建物2、第二住宅建物3、第三住宅建物4が設けられてなり、各住宅建物2,3,4にはスイッチ20,30,40が設けられ、これらスイッチ20,30,40を押すことにより、各住宅建物2,3,4で、防犯住宅の解説が自動音声で行われるようになされている。
【0015】
第一住宅建物2は、住宅建物の玄関周辺の一部の外観を模して形成されており、住宅展示棟10の壁面11から突出するように設けられている。玄関21に隣接した駐車スペース22には、自動車22aが設けられている。玄関先には自転車23が設けられている。また、玄関先の郵便ポスト24には郵便物24aがあふれ出るように設けられており、また、表札25には家族構成がわかるように家族全員の名前が記入されている。また、この第一住宅建物2の塀26は高く形成されており、その背後には、窓サッシ27を開けようとする泥棒を模した模型28が設けられている。また、この第一住宅建物2の玄関先の道路には、携帯電話で通話している泥棒がスーツを着た模型29が設けられている。
【0016】
スイッチ20は、この第一住宅建物2の玄関付近の塀28に設けられており、このスイッチ20を押すと、第一住宅建物2の説明があらかじめプログラムされた自動音声で行われる。この音声は住宅展示棟10内の第一住宅建物2の付近に設けられたスピーカー(図示省略)から行われる。
【0017】
第二住宅建物3は、第一住宅建物2に隣接して設けられており、この第一住宅建物2と同様に、住宅建物の玄関周辺の一部の外観を模して、住宅展示棟10の壁面11から突出するように設けられている。玄関先の門扉31は開いた状態となっており、塀32は、背後に人が隠れることができる程の高さに形成されている。また、塀32に隣接して電柱33が設けられ、塀32の内側の敷地内には第二住宅建物3に近接して高い木34が設けられている。塀32の上には、二階バルコニー35へと乗り移ろうとする泥棒を模した模型36が設けられ、二階バルコニー35には、この他の泥棒を模した模型37がバルコニー35から出没するように設けられている。この模型37の出没はモーターやエアシリンダー(図示省略)の駆動によって行われる。
【0018】
スイッチ30は、この第二住宅建物3の玄関付近の塀32に設けられており、このスイッチ30を押すと、第二住宅建物3の説明があらかじめプログラムされた自動音声で行われる。この音声は住宅展示棟10内の第二住宅建物3の付近に設けられたスピーカー(図示省略)から行われる。
【0019】
第三住宅建物4は、第二住宅建物3に隣接して設けられており、住宅建物の庭先周辺の一部の外観を模して、住宅展示棟10の壁面11から突出するように設けられている。庭41に面した窓42は開けられており、庭41の物干し43には洗濯物44が干したままになっている。
【0020】
スイッチ40は、この第三住宅建物4の庭先付近の塀45に設けられており、このスイッチ40を押すと、第三住宅建物4の説明があらかじめプログラムされた自動音声で行われる。この音声は住宅展示棟10内の第二住宅建物3の付近に設けられたスピーカー(図示省略)から行われる。
【0021】
次に、このようにして構成される家屋侵入解説装置1の使用方法について説明する。 まず、住宅展示棟10の案内員は、見学に訪れた住宅建物の購入予定者を、第一住宅建物2の前に案内する。
【0022】
案内後、スイッチ20を押すと、第一住宅建物2のテーマである「情報流出」に関する内容の説明が自動音声で行われる。
【0023】
この説明は、泥棒がつぶやく形で行われる。
【0024】
具体的には、まず駐車スペース22の自動車22aからの情報流出、すなわち自動車22aの車種を見て、高級車であるか否かを見極めることによってどの程度の金品を持っているか否かを見極める趣旨の説明が行われる。
【0025】
玄関先の自転車23からの情報流出、すなわち自転車23に記載された住所と電話番号から、その自転車23が第一住宅建物2の居住者が所有するものであることを確認し、携帯電話で電話をかけ、留守であるか否かを確認する趣旨の説明が行われる。
【0026】
郵便ポスト24からの情報流出、すなわち郵便物24aがあふれ出るようになされた郵便ポスト24から、第一住宅建物2の居住者は留守であることを確認する趣旨の説明が行われる。
【0027】
表札25からの情報流出、すなわち家族全員の名前が記入された表札25から、第一住宅建物2に居住する居住者の家族構成を確認する趣旨の説明が行われる。
【0028】
また、上記の情報流出を確認する泥棒は、スーツを着ているので、単に住宅街を歩くセールスマンか近所のサラリーマンにしか見えず、泥棒自体からは何の情報流出もされない趣旨の説明が行われる。
【0029】
上記の第一住宅建物2での説明は、音声以外に、効果音や照明によっても演出され、スイッチ20を押してから所定の時間で説明が完了する。
【0030】
上記の説明を通して、日常の住宅建物からは情報流出がされており、この情報流出によって泥棒が入り易くなっていることを理解してもらう。
【0031】
次いで、案内員は、見学に訪れた住宅建物の購入予定者を、隣接する第二住宅建物3の前に案内する。
【0032】
案内後、スイッチ30を押すと、第二住宅建物3のテーマである「見通し」に関する内容の説明が自動音声で行われる。
【0033】
この説明は、泥棒がつぶやく形で行われる。
【0034】
具体的には、まず、塀32が高く形成されているが、門扉31には鍵がかかっていない場合が多いので、門扉31から中に入ってしまえば、道路側からは塀32の背後に身を隠すことができ、人目に付かない趣旨の説明が行われる。
【0035】
また、門扉31に鍵がかかっている場合であっても、塀32の近くに電柱33が設けられているような場合には、この電柱33を利用して簡単に塀32の内側に侵入することができる趣旨の説明が行われる。
【0036】
塀32を利用したり、高い木34を利用して二階バルコニー35に侵入し、この二階バルコニー35の手すり壁の内側に隠れることも簡単にできる趣旨の説明が行われる。この説明にあわせて泥棒の模型37は、二階バルコニー35から出没するように動かされる。
【0037】
上記の第二住宅建物3での説明は、音声以外に、効果音や照明によっても演出され、スイッチ30を押してから所定の時間で説明が完了する。
【0038】
上記の説明を通して、見通しを悪くした住宅建物は、泥棒が隠れる場所が多くなってしまい、この多くの死角によって泥棒が入り易くなっていることを理解してもらう。
【0039】
次いで、案内員は、見学に訪れた住宅建物の購入予定者を、隣接する第三住宅建物4の前に案内する。
【0040】
案内後、スイッチ40を押すと、第三住宅建物4のテーマである「やりっ放し」に関する内容の説明が自動音声で行われる。
【0041】
この説明は、泥棒がつぶやく形で行われる。
【0042】
具体的には、まず、玄関ドアが開けっ放し、道路にゴミを出しっ放し、塀45には落書きがされっ放し、洗濯物44は物干し43に干しっ放し、窓42は開きっ放し、になっており、全てがやりっ放しになっている趣旨の説明が行われる。上記のうちゴミや落書きは放送による説明で行われ、実際の第三住宅建物4には設けられていない。
【0043】
上記の第三住宅建物4での説明は、音声以外に、効果音や照明によっても演出され、スイッチ40を押してから所定の時間で説明が完了する。
【0044】
上記の説明を通して、何事もやりっ放しにしただらしない住宅建物は、防犯意識が低く見えてしまうので、泥棒が入り易くなっていることを理解してもらう。
【0045】
このように、本発明の家屋侵入解説装置1によると、第一住宅建物2で「情報流出」について説明し、第二住宅建物3で「 見通しの良否」について説明し、第三住宅建物4で「やりっ放し」について説明し、家屋侵入に関して、それぞれテーマ毎に異なった構造で構成した住宅建物を利用して説明を行うため、見学者が理解し易く、かつ見学者に興味を持ってもらうことができる。また、各住宅建物2,3,4において、自動音声で内容を説明するため、案内者によって説明に差を生じることを防止することができる。さらに、自動音声のため、毎回決められた時間内で説明することができ、案内者は、自動音声の説明中に、次の段取りを整えたり、見学者のフォローをすることができる。
【0046】
なお、本実施の形態において、家屋侵入解説装置1は、3つの住宅建物2,3,4で構成されているが、特に3つに限定されるものではなく、2つまたは4つ以上の住宅建物でテーマ毎に構成されたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
住宅建物の販売促進を図る装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る家屋侵入解説装置の全体構成の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1家屋侵入解説装置
10住宅展示棟
11壁面
2 第一住宅建物
20 スイッチ
21 玄関
22 駐車スペース
22a 自動車
23 自転車
24 郵便ポスト
24a 郵便物
25 表札
29 模型
3 第二住宅建物
30 スイッチ
31 門扉
32 塀
33 電柱
34 高い木
35 二階バルコニー
36 模型
37 模型
4 第三住宅建物
40 スイッチ
41 庭
42 窓
43 物干し
44 洗濯物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅展示棟内に、住宅建物の外観を模した複数の住宅建物が、家屋侵入の手口や泥棒の行動のテーマ毎に設けられてなり、
各住宅建物にはスイッチが設けられ、これらスイッチを押すことにより、各住宅建物で、家屋侵入の手口や泥棒の行動の解説が自動音声で行われるようになされたことを特徴とする家屋侵入解説装置。
【請求項2】
請求項1記載の家屋侵入解説装置であって、住宅展示棟内に、住宅建物の外観を模した3つの住宅が設けられてなり、
第一住宅建物は、駐車スペースに車が設けられ、玄関先には電話番号や住所が記載された自転車が設けられ、郵便物が溢れ出した郵便ポストが設けられ、家族構成が記載された表札が設けられ、この第一住宅建物前には携帯電話で通話している泥棒を模した模型が設けられ、
第二住宅建物は、門扉に鍵がかかっておらず、外からの見通しが悪くなる高い塀が設けられ、家の前には高い木や電柱が設けられ、泥棒を模した模型が、塀に隠れて設けられるとともに、二階バルコニーから出没するように設けられ、
第三住宅建物は、窓が開けられ、庭先には洗濯物が干した状態となった物干しが設けられてなり、
各住宅建物付近にはスイッチが設けられ、第一住宅建物のスイッチを押すと、第一住宅建物において情報流出に関する内容の説明が自動音声で行われ、
第二住宅建物のスイッチを押すと、第二住宅建物において見通しの良否に関する内容の説明が自動音声で行われ、
第三住宅建物のスイッチを押すと、第三住宅建物においてやりっ放しに関する内容の説明が自動音声で行われるようになされたことを特徴とする家屋侵入解説装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−139960(P2010−139960A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318386(P2008−318386)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】