説明

家庭用浴槽

【課題】楽な姿勢で入浴し、水圧の負担を軽くする入浴方法の改善。
【解決手段】浴槽内壁に直接繋留した用具類を、浴槽内に定置し、これに入浴者が座位することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入浴者が水深の浅い寛いだ姿勢で入浴するのに使用する補助用具類を,槽内に定置し、繋留する機能を備えた家庭用の浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
わが国の風呂に関する起源は古いが、家庭風呂が普及したのは、ここ数十年のことである。その後、健康志向の高まりもあり、現在では浴室のない住宅は皆無といえる程にまでになった。更には、住宅建設の進化とともに浴室の設備も一段と充実し、多種多様な浴槽が揃い、内装、給湯設備から空調まで全てシステム化された浴室が完成されている。このように入浴に関するハード面は、ほぼ極致の状態に近づいている。
【0003】
一方、入浴の仕方、方法については旧来と殆ど変化がなく、入浴者は浴槽に入ると底面に腰を下ろして温まる。高齢者、要介護者は半身浴を一部取り入れているといったことが長期間続いているのが現状である。
入浴の効用は温熱効果による疲労の回復、健康の維持,癒しへの期待等々である。これらの入浴に関する有益な利用ソフトの開発が次に残された課題である。
【発明の開示】
【0004】
高齢化社会になり、入浴の在り方を考えるとき、入浴の効果と負の両者について対処しなければならない。
体質、体調により注意をようする人の場合、最近の入浴設備では其のまま半身浴を可能とする浴槽があり、浴室の暖房設備も備わり、床の保温や滑性防止床等々充分な対策が施されている。
ただし、一般的な家庭を基準として考えると,例えば、半身浴を寒冷地では年間を通してどの程度実施できるのか、行えないときはどのように対処するのか等々問題がのこる。
入浴の健康効果は、比較的低温で時間を充分にかける方がよいとされているが、浴槽の中でどのような状態でいるのがよいのか、また、癒しの効果を期待するならば、どのようにこの時間を過ごすのがよいのか。
以上は、すべて入浴の仕方、方法に関するものである。湯の中でどのような姿勢でいると筋肉の疲労が取れ、血液の循環がよくなるのか等々に関する情報が必要である。
【0005】
わが国の一般的な標準浴槽は、肩まで湯につかる全身浴のもので、健康体であれば無視される水圧の負担も、体調や気象の変化、室温等々の悪条件が重なると、思わぬ事故を誘発しかけない要因となる。
また、健康体であっても、加齢とともに水圧の負荷により長時間の入浴を無意識のうちに回避するようになる。自己の諸条件と好みに添った「ゆったり」した姿勢で入浴できれば「ゆっくり」することができ、入浴効果も享受され癒しのひと時をすごすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本来、入浴は温熱による効果を利用して、健康の維持へつなげるもので、低体温傾向にあるといわれている現代人にとって、単に湯につかるだけでなく楽な姿勢で入浴することが望ましい。
これは、居室でソファーやチェアで体を休息するときの姿勢で過ごす行為と全く同じで本案では、体を浴槽の中で浮上させる補助策として、目的に合った入浴用具を選び、その姿勢の位置へ定置する。入浴用具は入浴者の直近にある左右の浴槽内壁上縁の係留用プレートに固定するのみで、取扱いは極めて簡単かつ安全である。入浴用具は利用の形態に合わせて数種類用意する。
【発明の効果】
【0007】
第一の効果は、体を横にする横臥浴の利用が可能となる。専用の入浴用具を使用して、入浴者を浴槽の上層部に浮上させ、全身が湯水の中にあって水圧の負担のすくない姿勢をとることができる。医療、介護の施設では機械式浴槽等を使用するところがあるが、これが一般の家庭の浴槽で可能となる。
また、座浴の姿勢は、リクライニング仕様の入浴具を適宜個々の好みに応じた位置に定置して利用する。居間の寛ぎと同じ姿勢で入浴することができれば、今までシャワーだけで済ます若年層にも入浴の習慣が生まれることが予想される。和式浴槽を洋風に利用するかたちである。
いずれも、現行の半身浴を代替えすることができ、保温対策を不要とする効果は大きく年間を通して、かつ、地域を問わず実施することができる。
【0008】
浴槽内壁の左右上縁に、それぞれ装備した繋留プレートは入浴用具の繋留だけにとどまらず、空いている繋留口を使って、取手、吊り輪などを用意することができるので、浴槽にプロテクター機能を付加し、介護施設などの利用が考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態は次のとおりである。
【0010】
図1は本発明の斜視図であり、図2は横臥浴使用例の透視図、図3は座浴使用例の透視図、図4は同下肢伸展浴使用例の透視図、図5は半身浴使用例の透視図である。
【0011】
使用される入浴具は材質上から二種類に大別される。図2図3の使用例で示したものは軟質系樹脂で成形されたフロート様式で、内部へ温水を注入し、使用時の条件に合せてバランスをとる。この用具の横幅は、一般標準浴槽の内径を基準とし、別に大小用意する。
入浴具の側面には、繋留バンドを取り付け、長さの調節を可能とし、同バンドの上方先端はそれぞれ金属製のスプリング式フック等の留め具となる。この用具は使用しない場合は、折りたたんで収納することができる。
【0012】
図4図5の使用例で示した入浴具は,硬質系樹脂製の中空平板で、使用する際に温水を注入し、ウエイトの機能をもたせる。同用具の側面にも前述同様の仕様繋留バンドを取り付ける。この入浴用具は予備を用意し、複数同時に利用する場合もある。
以上のほか、入浴用具は利用者に応じて多種多様なものを用意することができる。即ち、幼児用には自動車のチャイルドシート類似型のものを、とくに初めての育児入浴は気を遣うものである。また、高齢者が利用する場合は、シートベルト同様の保護ベルトを用意する。以上これらの入浴具類の浴槽内使用については,椅子持ち込みの半身浴が先例となる。
【0013】
図1の浴槽内壁に設備する繋留プレートは、等間隔複数個の繋留口を有する帯状の金属板である。これは対向する内壁の各上縁へ入浴者の出入りに支障がない位置と仕様にもとずき設置する。
【0014】
図2の横臥浴は浴槽のサイズ上の制約があるため、下半身はその際の事情に合わせた姿勢となる。完全な姿ではないが上半身部の水圧調整効果は充分可能である。
図3図4の座浴は、健常者用として考えられるが、安全面からは入浴経過時間のチェックが必要となる。図5は、現行の半身浴と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明の斜視図である。
【図2】 本発明の横臥浴使用例の透視図である。
【図3】 本発明の座浴使用例の透視図である。
【図4】 本発明の座浴下肢伸展浴使用例の透視図である。
【図5】 本発明の半身浴使用例の透視図である。
【符号の説明】
【0016】
1 浴槽
2 繋留プレート
3 繋留口
4 軟質系入浴具
5 硬質系入浴具
6 繋留バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水深を浅くして、入浴するため使用する用具類を、浴槽内に繋留し定置する機能を、備えた家庭用浴槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−41784(P2011−41784A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212401(P2009−212401)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(599084957)
【Fターム(参考)】