説明

家庭用薄葉紙収納箱

【課題】底面積を小さくしても使い勝手の良い家庭用薄葉紙収納箱を提供する。
【解決手段】家庭用薄葉紙1が引き出される取出口3を備える家庭用薄葉紙収納箱100であって、家庭用薄葉紙は、略矩形状に形成され、当該家庭用薄葉紙の上下方向の両端部どうしを合わせるように左右方向に延在する折り目に沿って折曲されるとともに、複数の家庭用薄葉紙が隣合うものどうしで係合しあって交互に折り重ねられて紙束を構成し、紙束の左右方向の両端部どうしを合わせるように上下方向に延在する第2折り目に沿って折曲されてなり、取出口は、上面部の左右方向の長さに対する当該取出口の左右方向の長さの割合が69%以上であるとともに、当該取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さが23mm以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシューペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の家庭用薄葉紙を収納する家庭用薄葉紙収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティシューペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の家庭用薄葉紙は、複数積層された状態で家庭用薄葉紙収納箱に収納されている。具体的には、家庭用薄葉紙収納箱の内部から取出口を介して継続して引き出せるように交互に折り重ねられており、一の家庭用薄葉紙が引き出されると、次の家庭用薄葉紙が取出口まで引き出される折り方となっている。
【0003】
ところで、ティシューペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の家庭用薄葉紙のボックスは、略矩形状の家庭用薄葉紙の左右方向の折り目に沿って折曲したものを上下に積層した状態で収納するのが一般的となっているが、かかる形状では、底面積が大きく設置場所に広いスペースを必要とする。
そこで、ティシューペーパーにおいては、一般的なティシューペーパーボックスに比べて底面積をより小さくして高さをより高くしたティシューペーパーボックスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、宿泊施設用の家庭用薄葉紙収納箱としても、一般的なティシューペーパーボックスに比べて底面積が略半分にされたものが知られている。
【特許文献1】特許第3898708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように、家庭用薄葉紙収納箱の底面積を小さくすると、一般的な家庭用薄葉紙収納箱に収納されている家庭用薄葉紙をそのまま収納することはできないため、シート面積をより小さくするか、或いは、底面積がより小さくなるように折り畳まなければならない。
しかしながら、家庭用薄葉紙の面積を小さくすると、一般的な寸法でないために使い勝手が悪くなってしまうといった問題が生じる。また、小さく折り畳んだ状態で収納すると、家庭用薄葉紙収納箱からの家庭用薄葉紙の継続した引き出しを確保することが困難となり、使用の際に開く手間が生じてしまうといった問題が生じる。なお、家庭用薄葉紙収納箱からの家庭用薄葉紙の継続した引き出しをポップアップという。
さらに、家庭用薄葉紙の折り畳み方によっては、取出口を介して引き出される際に破れてしまい、使い勝手を低下させてしまうといった問題もある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、底面積を小さくしても家庭用薄葉紙のサイズを小さくすることなくポップアップを確保し、家庭用薄葉紙を使用する際に開く手間のない使い勝手の良い家庭用薄葉紙収納箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明の家庭用薄葉紙収納箱は、
内部に収納された複数の家庭用薄葉紙の各々が上面部に形成された取出口から引き出される家庭用薄葉紙収納箱であって、
前記家庭用薄葉紙は、略矩形状に形成され、当該家庭用薄葉紙の上下方向の両端部どうしを合わせるように左右方向に延在する第1折り目に沿って折曲されるとともに、前記複数の家庭用薄葉紙が隣合うものどうしで係合しあって交互に折り重ねられて紙束を構成し、前記紙束の左右方向の両端部どうしを合わせるように上下方向に延在する第2折り目に沿って折曲されてなり、
前記取出口は、前記上面部の左右方向の長さに対する当該取出口の左右方向の長さの割合が69%以上であるとともに、当該取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さが23mm以上であることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記紙束の前記第2折り目に沿って折曲された際に内側となる最内側家庭用薄葉紙は、左右方向に延在する第3折り目に沿って外側に折り返され、当該最内側家庭用薄葉紙の第1折り目よりも上側に配置された折り返し部を具備することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記取出口は、左右方向略中央部における前後方向の長さが左右方向両端部における同方向の長さに比べて長くされた略六角形状に形成され、当該取出口の左右方向両端部における前後方向の長さが1〜10mmであることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記取出口は、略菱形状に形成され、前記上面部の左右方向の長さに対する当該取出口の左右方向の長さの割合が77%以上であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、家庭用薄葉紙収納箱の上面に形成された取出口は、上面部の左右方向の長さに対する当該取出口の左右方向の長さの割合が69%以上とされるとともに、当該取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さが23mm以上とされているので、略矩形状に形成された家庭用薄葉紙の上下方向の両端部どうしを合わせるように左右方向に延在する第1折り目に沿って折曲するとともに、複数の家庭用薄葉紙が隣合うものどうしで係合しあって交互に折り重ねられて紙束を構成し、紙束の左右方向の両端部どうしを合わせるように上下方向に延在する第2折り目に沿って折曲した場合、即ち、継続して引き出せるように複数の家庭用薄葉紙を折り重ねた場合であっても、取出口を介して引き出される家庭用薄葉紙に破れを生じさせることなく、一の家庭用薄葉紙が引き出されると、次の家庭用薄葉紙を取出口まで引き出すことができる。
特に、一般的な家庭用薄葉紙収納箱に比べて家庭用薄葉紙収納箱の底面積を小さくして、一般的なティシューペーパーボックスに収納されているティシューペーパー等の家庭用薄葉紙を折り畳んで収納する場合であっても、家庭用薄葉紙に破れを生じさせることなく、家庭用薄葉紙がポップアップせずに家庭用薄葉紙収納箱の内側に落ち込んでしまうことを防止することができる。
従って、家庭用薄葉紙収納箱の底面積を小さくしても家庭用薄葉紙のサイズを小さくすることなくポップアップを確保し、家庭用薄葉紙を使用する際に開く手間のない使い勝手の良い家庭用薄葉紙収納箱を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、複数の家庭用薄葉紙からなる紙束の第2折り目に沿って折曲された際に内側となる最内側家庭用薄葉紙は、左右方向に延在する第3折り目に沿って外側に折り返され、当該最内側家庭用薄葉紙の第1折り目よりも上側に配置された折り返し部を具備するので、当該折り返し部を掴むことにより家庭用薄葉紙収納箱に収納されている一組目の家庭用薄葉紙の引き出しを容易に行うことができる。なお、家庭用薄葉紙の組については後述する。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、左右方向略中央部における前後方向の長さが左右方向両端部における同方向の長さに比べて長くされた略六角形状に形成され、当該取出口の左右方向両端部における前後方向の長さが1〜10mmとした取出口を具備する家庭用薄葉紙収納箱であっても、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、略菱形状に形成され、家庭用薄葉紙収納箱の上面部の左右方向の長さに対する当該取出口の左右方向の長さの割合が77%以上である取出口を具備する家庭用薄葉紙収納箱であっても、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
ここで、図1は、本発明を適用した一実施形態として例示する家庭用薄葉紙収納箱100を示す斜視図であり、図2は、家庭用薄葉紙収納箱100の家庭用薄葉紙1の収納状態を模式的に示す平面図である。
なお、図2にあっては、家庭用薄葉紙収納箱100の上面部2の図示を省略している。
【0015】
本実施形態の家庭用薄葉紙収納箱100は、例えば、図1及び図2に示すように、上下方向に長い略直方体状に形成され、その内側に複数の家庭用薄葉紙1、…が二枚一組ずつ継続して引き出せるように交互に折り重ねられて収納されている。
なお、本発明における家庭用薄葉紙は、取出口での引き出しの抵抗を抑止するためにも一枚一組又は二枚一組、三枚一組が好ましいが、家庭用薄葉紙の強度や水分拭き取りの吸収性や裏抜け防止の観点から、二枚一組が最も好ましい。
【0016】
家庭用薄葉紙収納箱100は、例えば、左右方向の長さが120〜180mm、前後方向の長さが55〜60mm、上下方向の長さ(高さ)が80〜120mmに形成されている。
また、家庭用薄葉紙収納箱100の上面部2には、家庭用薄葉紙1の取出口3が形成されている。
【0017】
取出口3は、上面部2の略中央部に当該取出口3の長手方向が左右方向と略平行となるように設けられている。具体的には、取出口3は、対向する辺どうしが略平行で、且つ、左右方向略中央部における前後方向の長さが両端部における同方向の長さに比べて長くされた左右方向に長尺な略六角形状に形成されている。
ここで、取出口3は、略長方形状としたり、左右方向略中央部における前後方向の長さを両端部における同方向の長さに比べて短くした鼓形状とすると、取出口3を介して家庭用薄葉紙1を引き出した際に破れが生じてしまう虞があることから、略六角形状に形成されるのが好ましい。
【0018】
また、取出口3の左右方向の長さは、家庭用薄葉紙収納箱100の上面部2の左右方向の長さに対して69%以上、且つ、77%未満となっている。
下限が69%未満では、取出口3を介して家庭用薄葉紙1を引き出した際に破れが生じてしまうためである。また、上限が77%以上では、取出口3の縁部と家庭用薄葉紙1との接触面積が小さく当該縁部による家庭用薄葉紙1の係止力が低下してしまい、継続して次に引き出される家庭用薄葉紙1がポップアップせずに家庭用薄葉紙収納箱100の内側に落ち込んでしまうためである。
【0019】
また、取出口3の左右方向略中央部における前後方向の長さは、23mm以上となっている。
下限が23mm未満では、前後方向の長さが短くなり取出口3に指を入れ難くなって、家庭用薄葉紙1が取り出し難くなるためである。
【0020】
また、取出口3の左右方向両端部における前後方向の長さは、1〜10mmとなっている。
上限が10mmを超えると、取出口3の縁部と家庭用薄葉紙1との接触面積が小さく当該縁部による家庭用薄葉紙1の係止力が低下してしまい、継続して次に引き出される家庭用薄葉紙1がポップアップせずに家庭用薄葉紙収納箱100の内側に落ち込んでしまうためである。
【0021】
なお、取出口3は、例えば、家庭用薄葉紙収納箱100の最初の使用の際に、家庭用薄葉紙収納箱100の上面部2に設けられたループ状の破断用切目線(図示略)に沿って取出口形成部分を切り取ることにより形成されるようにしても良い。
【0022】
また、図2に示すように、家庭用薄葉紙収納箱100の内側には、複数の家庭用薄葉紙1、…が所定の折り目L1〜L3に沿って折り畳まれた状態で収納されている。
【0023】
以下に、家庭用薄葉紙1について図3(a)及び図3(b)並びに図4を参照して説明する。
図3(a)は、各家庭用薄葉紙1を折り目L1に沿って折曲して複数の家庭用薄葉紙1、…が交互に折り重ねられた紙束10の側面を模式的に示す図であり、図3(b)は、紙束10を正面から見て示す斜視図である。また、図4は、紙束10を折り目(第2折り目)L2に沿って折曲した状態を正面から見て示す斜視図である。
【0024】
家庭用薄葉紙1は、例えば、ティシューペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等が適用され、左右方向の長さが200〜300mm、折り目L1に沿って折曲される前の展開状態での上下方向の長さ(高さ)が150〜200mmに形成された略矩形状に形成されたシート2枚が1組とされている。
また、家庭用薄葉紙1は、図3(a)及び図3(b)に示すように、上下方向の両端部どうしを合わせるように左右方向に延在する折り目(第1折り目)L1に沿って折曲され、複数の家庭用薄葉紙1、…が隣合うものどうしで係合しあって交互に折り重ねられて紙束10を構成している。即ち、交互に折り重ねられる複数の家庭用薄葉紙1、…のうち、一の家庭用薄葉紙1は、折り目L1に沿って略半分に山折りに折曲されるとともに、一の家庭用薄葉紙1に折り重ねられる次の家庭用薄葉紙1は、折り目L1に沿って略半分に谷折りに折曲されている(図3(a)参照)。そして、一の家庭用薄葉紙1の上下両端部のうちの一の端部を次の家庭用薄葉紙1の谷折りした内側部分に差し込み、且つ、次の家庭用薄葉紙1の上下両端部のうちの一の端部を一の家庭用薄葉紙1の山折りした内側部分に差し込むようにして、複数の家庭用薄葉紙1、…が交互に折り重ねられている(図3(a)及び図3(b)参照)。
【0025】
なお、紙束10を構成する複数の家庭用薄葉紙1、…のうち、最も手前側の家庭用薄葉紙1(紙束10を折り目L3(後述)に沿って折曲した際に内側となる最内側家庭用薄葉紙1)の下向きに延在する紙片部(折り返し部)1aは、左右方向に延在する折り目L3に沿って手前側(外側)に折り返されて、当該家庭用薄葉紙1を山折りにした際の折り目L1よりも上側に配置されている。
折り目L3の位置は、具体的には、紙片部1aを上下方向に1/2とした位置よりも上側であれば良く、紙片部1aの上下方向に沿って3等分した場合における上から略1/3の位置が好ましい。これにより、家庭用薄葉紙1を山折りにした際の折り目L1よりも上側に紙片部1aの略1/3を突出させることができる。
【0026】
また、紙束10は、図4に示すように、最も手前側の家庭用薄葉紙1の左右方向の両端部どうしを合わせるように上下方向に延在する折り目L2(図3(b)参照)に沿って略半分に折曲されている。
そして、最も手前側の家庭用薄葉紙1の折り返された紙片部1aの先端が取出口3と対向するような向きで家庭用薄葉紙収納箱100に収納されている。これにより、複数の家庭用薄葉紙1、…は、折り目L2に沿って折曲された状態で内側となる家庭用薄葉紙1から順次引き出されることとなる。
【0027】
以下、本実施形態の家庭用薄葉紙収納箱に係る実施例及び比較例について説明する。なお、以下の実施例及び比較例にあっては、家庭用薄葉紙としてティシューペーパーを用いた。
【0028】
[実施例1〜3並びに比較例1〜7]
(ティシューペーパー)
ティシューペーパーのシート一枚は、左右方向の長さが225mm、折り目L1に沿って折曲される前の展開状態での上下方向の長さが190mmである。
そして、実施例1及び実施例3並びに比較例1〜4及び比較例7については、シート二枚を一組として、50組(100枚)のティシューペーパーを所定の折り目に沿って折り重ねたものを家庭用薄葉紙収納箱に収納した。
また、実施例2については、55組(110枚)とし、比較例5については、60組(120枚)とし、比較例6については、70組(140枚)とした。
なお、ティシューペーパーの組成は、一枚当たりの坪量(JIS P 8124:1998)15.0g/m、二枚当たりの紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)180μm、一枚当たりのソフトネス(ハンドルオメーター法:JIS L 1096E法により測定)0.90cN、MMD(下記測定方法により測定)6.5、乾燥引張強度(JIS P 8113の規定方法により測定):縦200cN/25mm、横100cN/25mm、エンボス無しを使用した。
なお、このティシューペーパーのサイズおよび組成については、あくまで実施例であり、本発明はこれに限定されることはない。
【0029】
また、MMDの測定方法については、まず、摩擦子を用意した。この摩擦子は、直径0.5mmのピアノ線を10本隣接させてなり、長さ及び幅がともに5mmとなるように形成された試験シートに対する接触面を有している。接触面には、先端が10本のピアノ線(曲率半径0.25mm)で形成された単位膨出部が形成されている。
そして、摩擦子の接触面を所定方向に20g/cmの張力が付与された試験シートの表面に対して50gの接触圧で接触させながら、張力が付与された方向とほぼ同じ方向に速度0.1cm/sで2cm移動させた。このときの、摩擦係数を、摩擦感テスターKES−SE(カトーテック株式会社製)を用いて測定し、その摩擦係数を摩擦距離(移動距離=2cm)で除した値をMMD値とした。
なお、この測定方法については、例えば、特開2005−171398号公報などを参考にすることができる。
【0030】
(家庭用薄葉紙収納箱)
家庭用薄葉紙収納箱は、左右方向の長さが130mm、折り目L1に沿って折曲される前の展開状態での上下方向の長さが110mm、前後方向の長さが55mmである。
家庭用薄葉紙収納箱の上面部の略中央部に、略六角形状の所定寸法の取出口を形成した。
なお、この家庭用薄葉紙収納箱のサイズについては、あくまで実施例であり、本発明はこれに限定されることはない。
【0031】
(取出口)
取出口は、略六角形状に形成され、その左右方向の長さ(取出口の左右幅)を家庭用薄葉紙収納箱の左右方向の長さに対する割合(%)で表す。
実施例1;69%、比較例1;46%、比較例2;54%、比較例3;62%、比較例4;77%
また、取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さは、20mmであり、取出口の左右方向両端部における前後方向の長さは、10mmである。
【0032】
(引き出し試験)
50組(100枚)のティシューペーパーを家庭用薄葉紙に収納して、一組目から50組目までティシューペーパーを継続して引き出した際に、破れが生じた枚数及びポップアップされることなく落ち込みが生じた回数を試験した。
上記の引き出し試験を、実施例1並びに比較例1〜4について2度ずつ行った。即ち、50組×2の計100組のティシューペーパーを引き出した。
ここで、ティシューペーパーが破れることなくポップアップできたものを「○」と評価し、ティシューペーパーが引き出される途中で破れたり、ポップアップできなかったり、これらのどちらもが生じたものを「△」と評価し、ティシューペーパーが引き出される途中で破れたものを「×」と評価するものとする。
当該引き出し試験の結果を表1に示す。
【表1】

【0033】
また、実施例1及び2並びに比較例5及び6について、ティシューペーパーの組数(枚数)を変えたものについて、上記と同様に引き出し試験を行って、破れが生じた枚数を評価した。
上記の引き出し試験を、実施例1及び2並びに比較例5及び6について2度ずつ行った。
ここで、ティシューペーパーが破れることなく取り出せたものを「○」と評価し、ティシューペーパーが破れて取り出し難かったものを「×」と評価するものとする。
当該引き出し試験の結果を表2に示す。
【表2】

【0034】
(取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さ決定試験)
また、取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さ(取出口の中央前後幅)を決定するため、ティシューペーパーを取り出す際のシートをつまむ指二本の幅を測定した。具体的には、任意に選択した男性・女性それぞれ5名について、各人の人差し指と親指でティシューペーパーをつまんだ指二本の幅、即ち、ティシューペーパーを取り出す際に、取出口の左右方向に対して略直交する方向となる指二本の幅を測定した。
当該測定結果を表3に示す。
【表3】

【0035】
また、取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さの最大値を決定するために、引き出し試験を行った。
引き出し試験は、50組(100枚)のティシューペーパーを家庭用薄葉紙に収納して、一組目から50組目までティシューペーパーを継続して引き出した際に、シートが連れて出てくる回数を測定した。
取出口は、略六角形状に形成され、その前後方向の長さは20mm(実施例1)、30mm(実施例3)、40mm(比較例7)として試験した。また、取出口の左右方向の長さを家庭用薄葉紙収納箱の左右方向の長さに対する割合で69%のものとした。
ここで、ティシューペーパーが連れて出てきたり、折り畳まれた紙束が出てしまうことなくポップアップできたものを「○」と評価し、ティシューペーパーが連れて出てきたり、折り畳まれた紙束が出てしまってポップアップできなかったものを「×」と評価するものとする。
当該試験の結果を表4に示す。
【表4】

【0036】
[評価]
(取出口の左右方向の寸法の影響)
表1に示すように、取出口の左右方向の長さが家庭用薄葉紙収納箱の左右方向の長さに対して46%〜62%の場合では(比較例1〜3)、取出口の大きさが小さすぎるため、ティシューペーパーに破れが生じてしまった。
これに対して、取出口の左右方向の長さを家庭用薄葉紙収納箱の左右方向の長さに対して69%以上とすると(実施例1及び比較例4)、ティシューペーパーに破れが生じることがなかった。
ここで、取出口の左右方向の長さを長くすればする程、ティシューペーパーに破れが生じ難くすることがきると考えられるが、取出口の左右方向の長さを家庭用薄葉紙収納箱の左右方向の長さに対して77%とすると(比較例4)、取出口の縁部とティシューペーパーとの接触面積が小さく当該縁部によるティシューペーパーの係止力が低下してしまい落ち込みが生じた。
従って、取出口を略六角形状に形成した場合、取出口の左右方向の長さを家庭用薄葉紙収納箱の左右方向の長さに対して69%とすることが好ましいと考えられる。
【0037】
(ティシューペーパーの組数(枚数)の影響)
表2に示すように、ティシューペーパーの組数が60組(120枚)以上の場合(比較例5及び6)、家庭用薄葉紙収納箱に対してティシューペーパーの組数が多すぎるため、一枚目のティシューペーパーに破れが生じてしまった。また、ティシューペーパーの組数を70組(140枚)とすると(比較例6)、一枚目以外のティシューペーパーにも破れが生じてしまった。
これに対して、ティシューペーパーの組数を55組(110枚)以下とすると(実施例1及び2)、ティシューペーパーに破れが生じることがなかった。
従って、ティシューペーパーの組数は55組以下、即ち、ティシューペーパーの枚数は110枚以下であることが好ましいと考えられる。
【0038】
(指の太さの影響及び取出口の前後方向の寸法の影響)
表3に示すように、男性・女性合わせて10名の親指および人差し指をあわせた太さを測定したところ、18mmが3名、20mmが4名、23mmが3名と、18〜23mmであった。従って、家庭用薄葉紙の取り出し易さを考慮すると、家庭用薄葉紙をつまみ出す際の取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さは、少なくとも23mm以上が好ましいと考えられる。
また、表4に示すように、取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さを40mmとすると(比較例7)、一組目から50組目までティシューペーパーを継続して引き出した際に、次のティシューペーパーが5回連れて出てきた。従って、略矩形状に形成された家庭用薄葉紙の上下方向の両端部どうしを合わせるように左右方向に延在する第1折り目に沿って折曲するとともに、複数の家庭用薄葉紙が隣合うものどうしで係合しあって交互に折り重ねられた紙束が、一の家庭用薄葉紙を引き出す際に次の家庭用薄葉紙が連れて出てこないようにすることを考慮すると、40mm以下としたほうが良いと考えられる。
【0039】
以上のように、本実施形態の家庭用薄葉紙収納箱100によれば、一般的な家庭用薄葉紙収納箱に比べて当該家庭用薄葉紙収納箱100の底面積を小さくして、一般的なティシューペーパーボックスに収納されているティシューペーパー等の家庭用薄葉紙1を折り畳んで収納する場合であっても、家庭用薄葉紙収納箱100の上面に形成された取出口3は、上面部2の左右方向の長さに対する当該取出口3の左右方向の長さの割合が69%以上、77%未満とされるとともに、当該取出口3の左右方向略中央部における前後方向の長さが23mm以上、40mm未満とされているので、略矩形状に形成された家庭用薄葉紙1の上下方向の両端部どうしを合わせるように左右方向に延在する折り目L1に沿って折曲するとともに、複数の家庭用薄葉紙1、…が隣合うものどうしで係合しあって交互に折り重ねられて紙束10を構成し、紙束10の左右方向の両端部どうしを合わせるように上下方向に延在する折り目L2に沿って折曲した場合、即ち、継続して引き出せるように複数の家庭用薄葉紙1、…を折り重ねた場合であっても、取出口3を介して引き出される家庭用薄葉紙1に破れを生じさせることなく、一の家庭用薄葉紙1が引き出されると、次の家庭用薄葉紙1を取出口3まで引き出すことができる。特に、家庭用薄葉紙1を折り畳んで収納した場合のように、家庭用薄葉紙1を引き出した後、使用の際に開く手間を生じさせてしまうといった問題や、一般的な家庭用薄葉紙に比べて小さい寸法の家庭用薄葉紙1を収納することで使い勝手が悪くなってしまうといった問題を生じさせることがない。
また、紙束10を構成する複数の家庭用薄葉紙1、…のうち、最も手前側の家庭用薄葉紙1の下向きに延在する紙片部1aは、左右方向に延在する折り目L3に沿って手前側に折り返されて、当該家庭用薄葉紙1を山折りにした際の折り目L1よりも上側に配置されているので、当該紙片部1aを掴むことにより家庭用薄葉紙収納箱100に収納されている一枚目の家庭用薄葉紙1の引き出しを容易に行うことができる。
従って、家庭用薄葉紙収納箱100の底面積を小さくしても家庭用薄葉紙サイズを小さくすることなくポップアップを確保し、家庭用薄葉紙1を使用する際に開く手間のない使い勝手の良い家庭用薄葉紙収納箱100を提供することができる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
以下に、家庭用薄葉紙収納箱の変形例1について、図5を参照して説明する。
【0041】
<変形例1>
図5は、変形例1の家庭用薄葉紙収納箱200を示す斜視図である。
図5に示すように、変形例1の家庭用薄葉紙収納箱200の上面部2には、略菱形状の取出口203が形成されている。
なお、変形例1の家庭用薄葉紙収納箱200は、取出口203の形状以外の点で上記実施形態の家庭用薄葉紙収納箱100と略同様の構成をなし、その説明は省略する。また、図5にあっては、家庭用薄葉紙の図示を省略している。
【0042】
取出口203は、上面部2の略中央部に当該取出口203の長手方向が左右方向と略平行となるように設けられている。具体的には、取出口203は、対向する辺どうしが略平行で、且つ、左右方向に長尺な略菱形状に形成されている。
また、取出口203の左右方向の長さは、家庭用薄葉紙収納箱200の上面部2の左右方向の長さに対して77%以上、92%以下となっている。
下限が77%未満では、取出口203を介して家庭用薄葉紙1を引き出した際に破れが生じてしまうためである。なお、上限は、92%を超えても、即ち、例えば、100%においてもポップアップ可能であるが、100%とした場合、家庭用薄葉紙収納箱200の上面部2に前後方向のつぶれが生じる可能性があるため、支え部分としてある程度余裕を持たせて92%が良いと考えられる。
【0043】
以下、変形例1の家庭用薄葉紙収納箱に係る実施例及び比較例について説明する。なお、以下の実施例及び比較例にあっては、家庭用薄葉紙としてティシューペーパーを用いた。
【0044】
[実施例4〜6並びに比較例8〜11]
(ティシューペーパー)
ティシューペーパーの寸法等は、上記実施例1等と略同様となっており、その説明は省略する。
【0045】
(家庭用薄葉紙収納箱)
家庭用薄葉紙収納箱の取出口以外の寸法等は、上記実施例1と略同様となっており、その説明は省略する。
【0046】
(取出口)
取出口は、略菱形状に形成され、その左右方向の長さを、家庭用薄葉紙収納箱の左右方向の長さに対する割合(%)で表す。
実施例4;77%、実施例5;92%、実施例6;100%、比較例8;46%、比較例9;54%、比較例10;62%、比較例11;69%
また、取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さは、23mmである。
【0047】
(引き出し試験)
引き出し試験の内容及び評価方法は、上記実施例1と略同様となっており、その説明は省略する。
当該引き出し試験の結果を表5に示す。
【表5】

【0048】
[評価]
取出口の左右方向の長さが家庭用薄葉紙収納箱の左右方向の長さに対して46%〜69%の場合では(比較例8〜11)、取出口の大きさが小さく、また、左右方向両端部が鋭角となっているため、ティシューペーパーに破れが生じてしまうためである。
これに対して、取出口の左右方向の長さを家庭用薄葉紙収納箱の左右方向の長さに対して77%以上とすると(実施例4〜6)、ティシューペーパーが取出口の左右方向両端部に接触し難くなってティシューペーパーに破れが生じることがなく、また、ティシューペーパーの家庭用薄葉紙収納箱の内側への落ち込みも生じなかった。
従って、取出口を略菱形状に形成した場合、取出口の左右方向の長さを家庭用薄葉紙収納箱の左右方向の長さに対して77%以上とすることが好ましいと考えられる。
【0049】
従って、変形例1の家庭用薄葉紙収納箱200によれば、略菱形状に形成され、家庭用薄葉紙収納箱200の上面部2の左右方向の長さに対する当該取出口203の左右方向の長さの割合が77%以上、92%以下である取出口203を具備する家庭用薄葉紙収納箱200であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができ、家庭用薄葉紙収納箱200の底面積を小さくしても家庭用薄葉紙サイズを小さくすることなくポップアップを確保し、家庭用薄葉紙1を使用する際に開く手間のない使い勝手の良い家庭用薄葉紙収納箱200を提供することができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、取出口3(203)を略六角形状に形成し、変形例1では略菱形状に形成したが、取出口3(203)の形状はこれに限られるものではなく、例えば、略六角形状や略菱形状の取出口3(203)の各辺を曲線状に形成しても良い。
即ち、取出口3、203の左右方向の長さや左右方向略中央部における前後方向の長さ以外については、適宜任意に変更することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、紙束10を構成する複数の家庭用薄葉紙1、…のうち、最も手前側の家庭用薄葉紙1の下向きに延在する紙片部1aを手前側に折り返すようにしたが、紙片部1aを折り返すか否か、即ち、折り返し部を備えるか否かは適宜任意に変更することができる。
【0052】
さらに、上記実施形態では、家庭用薄葉紙1を二枚一組として折り畳んで収納するようにしたが、これに限られるものではなく、一枚ずつ折り畳んで収納しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を適用した一実施形態として例示する家庭用薄葉紙収納箱を示す斜視図である。
【図2】図1の家庭用薄葉紙収納箱の家庭用薄葉紙の収納状態を模式的に示す平面図である。
【図3】図1の家庭用薄葉紙収納箱に収納されている家庭用薄葉紙を示す図である。
【図4】図3の家庭用薄葉紙を示す斜視図である。
【図5】変形例1の家庭用薄葉紙収納箱を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
100、200 家庭用薄葉紙収納箱
1 家庭用薄葉紙
1a 紙片部(折り返し部)
10 紙束
2 上面部
3、203 取出口
L1 折り目(第1折り目)
L2 折り目(第2折り目)
L3 折り目(第3折り目)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納された複数の家庭用薄葉紙の各々が上面部に形成された取出口から引き出される家庭用薄葉紙収納箱であって、
前記家庭用薄葉紙は、略矩形状に形成され、当該家庭用薄葉紙の上下方向の両端部どうしを合わせるように左右方向に延在する第1折り目に沿って折曲されるとともに、前記複数の家庭用薄葉紙が隣合うものどうしで係合しあって交互に折り重ねられて紙束を構成し、前記紙束の左右方向の両端部どうしを合わせるように上下方向に延在する第2折り目に沿って折曲されてなり、
前記取出口は、前記上面部の左右方向の長さに対する当該取出口の左右方向の長さの割合が69%以上であるとともに、当該取出口の左右方向略中央部における前後方向の長さが23mm以上であることを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項2】
前記紙束の前記第2折り目に沿って折曲された際に内側となる最内側家庭用薄葉紙は、左右方向に延在する第3折り目に沿って外側に折り返され、当該最内側家庭用薄葉紙の第1折り目よりも上側に配置された折り返し部を具備することを特徴とする請求項1に記載の家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項3】
前記取出口は、左右方向略中央部における前後方向の長さが左右方向両端部における同方向の長さに比べて長くされた略六角形状に形成され、当該取出口の左右方向両端部における前後方向の長さが1〜10mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項4】
前記取出口は、略菱形状に形成され、前記上面部の左右方向の長さに対する当該取出口の左右方向の長さの割合が77%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−6444(P2010−6444A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170321(P2008−170321)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】