説明

家畜用食品添加物および/または飲料水添加物

本発明は、少なくともStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)種の細菌を含有し、イヌリンに加えてBacillus種および/またはStreptococcus種および/またはBifidobacterium種由来の他の標準化細胞壁成分を含有する家畜用食品添加物および/または飲料水添加物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともStreptococcus faecium IBM 52(DSM3530)種の細菌を含有する家畜用飼料添加物および/または飲料水添加物に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜用飼料および/または飲料水添加物において生菌成分として細菌を使用することは、たとえばAT−B383856から長い間知られてきた。AT−B383856では、腸球菌群の種、特にStreptococcus faecium IBM 52(DSM3530)種を飼料に混合して、微生物増殖促進剤として機能させた。因みに増殖促進剤は、使用した飼料量および飼育期間をベースにして屠畜用、特に肉生産に関した動物の生産性を助長する飼料添加物に関する。さらに、Streptococcus faecium IBM 52(DSM3530)種を使用すると、病原体による毒素形成のように、腸内における病原細菌および/またはウイルスのコロニー形成を著しく抑制できたことを示すことができた。
【0003】
牧畜または家畜の免疫を増強するための飼料および飲料水の添加物は、特にストレス状態の間に生じる、特に器官の免疫系に対する負担を最小限に抑えるか、または緩和するために、久しく研究されかつ試験されている。したがって、若い動物では特に、子豚の離乳時あるいはグループ再編成中または輸送に関連した負担過剰または子牛および家禽の肥育中の飼料転換によって、ストレスによる負担が生じる。ストレス因子が多すぎると、慢性疾患または持続的な外傷性傷害はまた家畜の器官に負担となり、したがってそれらの生産性を低下させてしまう。動物の器官には、このようなストレス状態の間に著しい負担がかかっており、さらに動物はその他のいかなる時点においても密かに防御の弱点が生じる可能性があり、したがって潜在的病原性および病原性の微生物の両方ならびにその他の病毒の作用を特に受けやすくなる。このとき、家畜の直接的な能率低下を導き、最終的に飼育者にとって無視できないほどの経済的損失をもたらす因子による疾患が特に生じる可能性がある。
【0004】
現在では、家畜動物飼育の重要な段階で、たとえば、子豚の離乳期またはヒヨコの生後初期などに、殺菌性抗生物質を予防的または感染後予防的(metaphylactic)に投与することによって、ストレス要因または疾患要因発生に対処することに焦点をあてた試みがなされている。特に増殖を抑制された細菌を除去する目的では、制菌および化学療法の場合、免疫系が機能していることが前提条件であるが、これはもちろん、ストレス上昇状態にある家畜にいつも存在しているとは限らない。抗生物質の使用はまた、処置された動物の健康状態が不安定であることに加えて、抗生物質投与後に、食料生産所に動物を供給する前に、待機時間を遵守しならないという欠点が伴う。法律によって規定されたこれらの待機時間は、健康な動物の代謝に関係したものであり、健康な動物の代謝からかけ離れている病気の動物の代謝は、指定された待機時間後でさえしばしば完全には抗生物質を分解できないことは言うまでもない。その結果、動物に由来する食品によって消費者が危険にさらされないことを確認するために、一層多くの正確な残留物検査を実施しなければならない。
【0005】
さらに、大部分の細菌種は、時間が経過するにつれて、投与された抗生物質に対して耐性を示すようになり、したがって論題の物質の効果は衰えることを考慮しなければならない。その結果、このような抗生物質の投与量を増量しなければならず、次には待機時間を長期化することになるのである。全体的に見て、抗生物質投与に関係した欠点は残留物および毒性ならびに動物の抵抗性の問題に存在するだけでなく、長期的には、人々の健康のために抗生物質投与はまた避けなければならないという事実は疑いない。
【0006】
さらに、様々な炭化水素および非澱粉性多糖またはオリゴ糖は、食餌において重要な役割を果たすことが文献によって知られている。これに関しては、たとえば、とりわけ栄養物におけるプレバイオティクスの使用について論じており、このような物質が病原性の微生物などに対する抵抗性の増強をもたらし得ることを指摘した、表題「Dietary Modulation of the Human Gut Microflora Using the Prebiotics Oligofructose and Inulin」、Glenn R.Gibson、American Society for Nutritional Sciences、1999、pp.1438以下参照、の文献が引用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、牧畜または家畜に本来備わっている免疫系を強化すると同時に、家畜の生産性を助長するためだけでなく、有意に脱落率(dropout rate)を減じるために、病原体による毒素形成および腸内における病原体のコロニー形成を阻止する飼料添加物および/または飲料水添加物を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を解決するために、本発明による飼料添加物および/または飲料水添加物は本質的に、Bacillus種および/またはStreptococcus種および/またはBifidobacterium種の標準化細胞壁成分ならびにイヌリンをさらに含有することが特徴である。飼料添加物および/または飲料水添加物はまた、生菌成分としてStreptococcus faecium IBM 52(DSM3530)の他に、標準化細胞壁成分、特に、マクロファージ表面受容体との相互作用によって引き起こされる免疫誘発能力を示す、いわゆるBacillus種および/またはStreptococcus種および/またはBifidobacterium種を含有するという事実によって、マクロファージ活性の増強が得られ、本来備わっている免疫系が全体として強化される。特にマクロファージの貪食活性の増加によるマクロファージ活性の増強は、標準化された細胞壁成分を投与された動物が感染に対する抵抗性の増大を示させ、したがって成長を加速させ、死亡数を減少させる原因となる。生菌成分、すなわち、Streptococcus faecium IBM 52(DSM3530)を同時投与することによって、同細菌が腸内において迅速に増殖し、したがってコロニー形成が生じ、次には腸内における病原体の定着が妨げられる。同時に、Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530)は、病原体に対して拮抗作用を示し、したがって、細胞壁成分および生菌成分を一緒に投与すると、一方で感染に対する抵抗性を著しく高めると同時に他方病原体による腸でのコロニー形成を妨げ、したがって、飼育中の動物脱落率を明らかに減少させることができる。飼料添加物および/または飲料水添加物はまた、生菌成分および標準化細胞壁成分の他にプレバイオティックフルクトオリゴ糖が含有されるという事実によって、特に栄養源としてプレバイオティックフルクトオリゴ糖を利用することができるビフィズス菌の増殖、したがって動物の腸における腸管常在菌によるコロニー形成が刺激され、次には、そこへの病原体の定着が阻害される。さらに、プレバイオティックフルクトオリゴ糖を投与すると、腸内フローラのバランスが好ましい菌に傾き、特にプレバイオティックフルクトオリゴ糖の作用は動物の胃腸管全体に渡るために、病原菌が小腸に遡るのを阻止することができる。このように、いかなる抗生物質も投与することなく、腸内における病原体のコロニー形成をほとんど完全に阻止することが実現可能である。
【0009】
本発明の他の展開によると、標準化細胞壁成分はBacillus subtilis種から選択される。記載した種の細胞壁成分は現在の生成方法によって比較的生成または不活性化が簡単で、したがって経済的に大量生成することができる。さらに、記載した種の細胞壁成分は特に、マクロファージの表面受容体と相互作用するために特に良好な免疫誘発能力を表し、したがって好ましい方法で使用される。
【0010】
他の展開によると、Bacillus subtilisの標準化細胞壁成分は0.2から40g/kg飼料添加物および/または飲料水添加物、特に5から15g/kgの量で含める。スクリーニングによって、1x10から1x1017cfu/kgの量のStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)種と一緒に、標準化細胞壁成分として0.2から40g/kg飼料添加物および/または飲料水添加物の量でBacillus subtilisを使用することによって、生菌成分と細胞壁成分との間に個々の成分の累加効果を大きく上回って作用する相乗効果が得られ、したがって細胞の活性化作用を大きく増大させることが実現可能であることが示され、これはBacillus subtilisの生菌成分の相乗作用によってのみ説明することができる。
【0011】
他の展開によると、イヌリンはネギ、タマネギ、ニンニク、アーティチョーク、コムギ、チコリ、キクイモ、トマト、バナナおよび/またはライ麦から単離して、100から950g/kg飼料添加物および/または飲料水添加物の量で含める。他の展開によると、前記イヌリンは、100から700g/kg、特に320から540g/kgの量で飼料添加物に含め、530から950g/kg、特に820から920g/kgの量で飲料水添加物に含める。特に飲料水添加物を使用するとき、イヌリンは大量に使用することができ、水に溶解しやすく、したがって動物の胃腸管内におけるビフィズス菌の増殖の十分な誘発を誘導するので、プレバイオティックに作用するフルクトオリゴ糖として特に重要である。本発明の他の展開と対応するように、特に褐色海藻をさらに海藻成分として飼料添加物および/または飲料水添加物に含めるので、イヌリンを飼料添加物で使用するときは、使用する量はより少量でよい。
【0012】
他の展開によると、前記褐色海藻はAscophyllum nodosumから選択される。飼料添加物および/または飲料水添加物において海藻成分として含有される褐色海藻は、細胞壁成分と同様の方法で機能し、その上、細胞壁成分とは対照的に、入手しやすく、抽出しやすいので、かなり大量に使用することができる。本発明では、他の展開による前記褐色海藻は、300から800g/kg、特に450から550g/kg飼料添加物の量で含有される。褐色海藻は、比較的低い水溶解性を示し、したがって飲料水添加物における使用は限られた範囲でのみ実現可能で、その理由のため本発明で提案する増加された量は、飼料添加物においてのみ使用することができる。使用する海藻成分の量が多いため、病原体のコロニー形成は海藻成分の免疫誘発能によって安全に回避できるので、したがって飼料添加物で使用するイヌリンの量を減らすことができる。この理由のため、この場合はビフィズス菌増殖の誘発に特別な注意を払う必要はなく、したがって飲料水添加物よりも飼料添加物においてずっと少ない量のイヌリンを生菌用フルクトオリゴ糖として使用することができる。
【0013】
さらに、海藻成分である褐色海藻は、生菌成分と一緒になると個々の成分の累加効果を上回る細胞壁成分と同様の相乗効果を示し、したがって、細胞壁成分、いわゆるBacillus subtilisと一緒に海草成分と生菌成分、いわゆるイヌリンを使用すると、個々の成分の効果の合計から考えて、動物の胃腸管における病原体のコロニー形成とマクロファージ活性の両方を、動物の損失率を減少させ、飼料転換を著しく増大させることができる程度まで高めることができた。この増加は、本発明の他の展開と対応するように、Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530)種の細菌の10から15%を少なくとも1種の他の細菌種と置換すると特に著しくなる。
【0014】
本発明の他の展開では、この少なくとも1種の他の細菌種は、Bifidobacterium thermophilum(I−01)(DSM14411)、Bifidobacterium thermophilum(I−07)(DSM14412)、Bifidobacterium boum(I−12)(DSM14413)、Bifidobacterium thermophilum(I−15)(DSM14414)、Bifidobacterium thermophilum(I−19)(DSM14415)およびBifidobacterium thermophilum(I−20)(DSM14416)から選択する。前述の種から選択した細菌は、Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530)種と一緒になって、ビフィズス菌によって利用される効果を増大させるため、相乗効果を示す。さらに、動物のアンモニア排出はアンモニア形成細菌の抑制によって減少し、アンモニアはビフィズス菌によって利用される範囲が増大し、さらに免疫系を強化するのに役立つ。最終的に、Bificobacterium種の細菌は、特に飼料転換および動物による飼料利用に関して、短鎖脂肪酸を産生することによって動物に吸収されやすいエネルギー源を提供し、胃腸消化液のpHを減少させ、無機物の吸収を増加させるため、ビタミン産生ならびにミネラル吸収に関してもまた、顕著な利点を提供することができる。
【0015】
本発明の他の展開では、飼料添加物および/または飲料水添加物1kg当たり、それぞれBacillus subtilis 8g、Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530) 60.0g、Bifidobacterium thermophilum 432g、残部Ascophyllum nodosumを含有する飼料添加物および/または飲料水添加物、特に飼料添加物および/または飲料水添加物1kg当たり、それぞれBacillus subtilis 10g、Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530)24.75g、Bifidobacterium thermophilum(DSM14414)10.5g、チコリ由来の残部イヌリンを含有するものは、動物の飼育および維持に特に適していることが明らかになった。
【0016】
以下に、例示的実施形態によって、添付の図面を参照にして、本発明をさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1では、個々の物質の作用に対して、本発明による生成物の作用に関連した試験の結果を%陽性対照に対する濃度としてプロットしたところ、個々の物質はマクロファージに対して刺激効果を有するが、組み合わせると、特に約0.2から19.5μg/mlの濃度範囲では、個々の成分の累加効果を大きく上回る相乗効果を示すことは明らかである。したがって、標準化細胞壁成分および生菌成分から構成され、イヌリンを補給した飲料水添加物を用いて、胃腸管に存在するマクロファージを著しく刺激し、病原体のコロニー形成を阻害することは実現可能である。
【0018】
この場合、飲料水添加物中にプレバイオティックフルクトオリゴ糖として追加的に含められたイヌリンは、ビフィズス菌の増殖を単に刺激しそのゆえにビフィブス菌効果を示すだけなので、それは確かに所望する追加的効果ではあっても、マクロファージ活性および病原体コロニー形成の阻害に関しては無関係であり、相乗効果に対して何ら寄与しない。
【0019】
類似した図である図2は、生菌成分および標準化細胞壁成分に加えて海藻成分を含む飼料添加物の相乗作用を示す。図2から、この場合、特に約0.5から5mg/mlの濃度で特に相乗効果が高く、したがって、本発明の飼料添加物をわずかな量使用して、病原体コロニー形成の阻害およびマクロファージ刺激の増強に非常に良い結果をもたらすことが明白である。
【0020】
混合物を評価するために、個々の物質およびそれぞれの物質の組み合わせを一緒に試験して、その後結果を互いに比較した。これらの研究によって、飼料添加物および飲料水添加物が個々の物質の累加効果よりも効果的に細胞の貪食活性を上昇させることをまた示すことができた。したがって、飼料添加物および飲料水添加物に含有される成分の相乗効果は、この試験系でも立証することができた。
【0021】
本発明による所望する効果を得るために使用する個々の物質の必要濃度範囲は、細胞培養試験系を使用したin vitro実験で決定した。その実施において、たとえば、Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530)、Bacillus subtilis細胞壁、生菌成分および海藻成分などの異なる物質を図3および図4に示した濃度でこの試験系で使用し、記載した結果を得た。これらの発見はその後、示した比を維持しながら得られた以下の結果と共にin vivoでの飼育実験に移した。したがって、in vitroにおける細胞壁成分の最適量が0.2と19.5μg/mlとの間であることから、結果として既製試料中における使用量は0.2と20g/tとの間である。この物質の量は、1キログラムの飼料添加物中に存在させるべきで、該添加物がこの物質を1kg/t既製飼料の投与量で1000倍濃度で含有しなければならないことを意味する。したがって、結果として飼料添加物1キログラム当たり細胞壁成分0.2から20gの量が得られる。プレバイオティック成分および海藻成分の量はそれに応じて計算し、これらの2成分の使用量は、in vivoでの使用についてのさらなる研究から、25倍から35倍に増加させた。この係数は、in vivoにおいて消化管に存在するグラム当たりまたはミリリットル当たりの微生物の量は、in vitro系と比較して多いことを考慮している。したがって、結果として飼料添加物および/または飲料水添加物における生菌成分および海藻成分について示した量が得られる。対照的に、生菌成分の量は、コロニー形成単位の数によって決定する。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
実験1による飲料水添加物、実験2による飼料添加物、実験3による飲料水添加物と飼料添加物の組み合わせ、および実験4によるサルモネラ感染時における飼料添加物と飲料水添加物の組み合わせをヒヨコに投与することによって、本発明による飼料添加物および/または飲料水添加物をヒヨコで実験によって試験した。
【0025】
実験1
ブロイラーのヒヨコ1400羽(雄50%、雌50%)を日齢1から42までモニターし、それぞれ280羽ずつの群に分けた。飲料水および飼料は自由に摂取させた。飲料水添加物を投与された動物群は、1日目に飲料水添加物を噴霧し、2および3日目に飲料水を適用することによって飲料水添加物を投与した。
【0026】
群分けは、以下の方法で実施した。対照群には飲料水添加物を全く投与せず、群1にはBacillus subtilisの細胞壁成分およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖からなる飲料水添加物を投与し、群2にはStreptococcus faecium IMB52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖を投与し、群3にはBacillus subtilis細胞壁成分、Streptococcus IMB 52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖を投与し、群4にはBacillus subtilis細胞壁成分およびStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖およびビフィズス菌を投与した。ブロイラーの体重増加ならびに死亡率を以下の表に示す。これらの研究によって、Bacillus subtilisおよびStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)両方の細胞壁成分を投与された動物は、体重増加に関しても死亡率に関しても、その他のいずれの群よりも明らかに勝っていることがはっきりと分かる。
【0027】
【表3】

【0028】
実験2
ブロイラーのヒヨコ1250羽(雄50%、雌50%)は、日齢1から42までモニターし、それぞれ250羽ずつの群に分けた。1日目から21日目までは開始用飼料を与え、さらに飲料水は自由に摂取させた。
【0029】
群分けは、以下の方法で実施した。対照群には飲料水添加物を全く投与せず、群1にはBacillus subtilisの細胞壁成分およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖を投与し、群2にはStreptococcus faecium IMB52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖を投与し、群3にはBacillus subtilis細胞壁成分、Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖を投与し、群4にはBacillus subtilis細胞壁成分およびStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖およびAscophyllum nodosumを投与し、群5にはBacillus subtilis細胞壁成分およびStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖およびAscophyllum nodosumおよびビフィズス菌を投与した。実験2では、ブロイラーの体重増加および死亡率ならびに飼料摂取量を調べた。これらの実験から、Bacillus subtilis細胞壁成分およびStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)ならびにその他の成分を投与された群3から5は、体重増加に関しても、死亡率および飼料摂取量に関しても、その他いずれの群よりも明らかに勝っていることがはっきりと分かる。
【0030】
【表4】

【0031】
実験3
ブロイラーのヒヨコ1750羽(雄50%、雌50%)を日齢1日目から49日目までモニターして、それぞれ350羽ずつ群に分けた。群1の動物には飲料水添加物を投与し、群2の動物には飼料添加物を投与し、群3の動物には飲料水添加物と飼料添加物の組み合わせを投与し、さらに飲料水および飼料は自由に摂取させた。群分けは以下の方法で実施した。対照群には飼料添加物も飲料水添加物も全く投与せず、群2にはStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖を投与し、群3にはBacillus subtilis細胞壁成分、Streptococcus faeium IMB 52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖を投与した。これらから、飼料添加物および飲料水添加物の両方を投与された動物群は、体重増加に関しても、死亡率に関してもその他のいずれの群よりも勝っており、この優位は個々の成分の効果の和を上回っていることがはっきりと分かる。
【0032】
【表5】

【0033】
実験4
ブロイラーのヒヨコ450羽(雄50%、雌50%)を日齢1日目から49日目までモニターして、それぞれ90羽ずつ群に分けた。1日目に噴霧によって動物に飲料水添加物を投与し、2日目および3日目に飲料水を介して飲料水添加物を投与し、21日間は開始用飼料を介して飼料添加物を投与した。飲料水添加物投与後24時間して、ヒヨコにSalmonella enteridis(4x10cfu/ml)0.25mlを接種した。
【0034】
群分けは以下の方法で実施した。対照群(+)には飼料添加物も飲料水添加物も全く投与しないが接種は行い、群1にはBacillus subtilis細胞壁成分およびStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖およびビフィズス菌を投与し、群2にはBacillus subtilis細胞壁成分およびStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)およびプレバイオティックフルクトオリゴ糖およびAscophyllum nodosumおよびビフィズス菌を投与し、群3には飲料水添加物および飼料添加物の組み合わせを投与し、対照群(−)には飼料添加物および飲料水添加物を全く投与せず、接種も行わなかった。この実験から、飼料添加物および/または飲料水添加物を投与しなかった対照群に対して、本発明による飼料添加物および/または飲料水添加物を投与した動物では、Salmonella enteritidisによる器官感染を著しく低下させることができ、飼料添加物および飲料水添加物の両方を投与された動物は添加終了時にはもはや器官感染を示さなかったことが明らかである。要約すると、本発明による飼料添加物および/または飲料水添加物によって、動物の体重を有意に増加させ死亡率を低下させるだけでなく、病原性の微生物による器官感染のほとんど完全な抑制が実現できることに注意されたい。
【0035】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】標準化細胞壁成分および生菌成分、いわゆるStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)から構成された飲料水添加物の相乗作用を、個々の成分の効果に対して示す図である。
【図2】Bacillus種および/またはStreptococcus種および/またはBifidobacterium種標準化細胞壁成分、生菌成分および褐色海藻から構成された飼料添加物の相乗作用を、個々の成分それぞれの効果に対して示す図である。
【図3】貪食作用/対照の割合によって、試験物質の結果を個々の成分それぞれの効果に対して示した飲料水添加物の図である。
【図4】貪食作用/対照の割合によって、飼料添加物における試験物質の結果を個々の成分それぞれの効果に対して示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともStreptococcus faecium IMB 52(DSM3530)種の細菌を含有し、Bacillus種および/またはStreptococcus種および/またはBifidobacterium種の標準化細胞壁成分ならびにイヌリンをさらに含有することを特徴とする家畜用飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項2】
前記標準化細胞壁成分がBacillus subtilis種から選択されたことを特徴とする請求項1に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項3】
Bacillus subtilis由来の前記標準化細胞壁成分が0.2から40g/kg飼料添加物および/または飲料水添加物、特に5から15g/kgの量で含有されることを特徴とする請求項1または2に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項4】
イヌリンはネギ、タマネギ、ニンニク、アーティチョーク、コムギ、チコリ、キクイモ、トマト、バナナおよび/またはライ麦から単離して、100から950g/kg飼料添加物および/または飲料水添加物の量で含まれることを特徴とする請求項1に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項5】
前記イヌリンが100から700g/kg、特に320から540g/kgの量で飼料添加物に含有されることを特徴とする請求項4に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項6】
前記イヌリンが530から950g/kg、特に820から920g/kgの量で飲料水添加物に含有されることを特徴とする請求項4に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項7】
前記Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530)種の細菌を部分的に少なくとも1種の他の細菌種に置換したことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項8】
前記Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530)種の細菌の10から50%を少なくとも1種の他の細菌種に置換したことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の他の細菌種がBifidobacterium thermophilum(I−01)(DSM14411)種、Bifidobacterium thermophilum(I−07)(DSM14412)種、Bifidobacterium boum(I−12)(DSM14413)、Bifidobacterium thermophilum(I−15)(DSM14414)、Bifidobacterium thermophilum(I−19)(DSM14415)およびBifidobacterium thermophilum(I−20)(DSM14416)から選択されたことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項10】
褐色海藻をさらに含有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項11】
前記褐色海藻はAscopyhllum nodosumから成ることを特徴とする請求項9に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項12】
Ascophyllum nodosumは300から800g/kg、特に450から550g/kg飼料添加物の量で含有されることを特徴とする請求項10または11に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項13】
飼料添加物および/または飲料水添加物1kg当たりBacillus subtilis 8g、Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530)60.0g、Bifidobacterium thermophilum 432g、残部Ascophyllum nodosumが含有されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。
【請求項14】
飼料添加物および/または飲料水添加物1kg当たりBacillus subtilis 10g、Streptococcus faecium IMB 52(DSM3530)24.75g、Bifidobacterium thermophilum(DSM14414)10.5g、特にチコリ由来の残部イヌリンが含有されることを特徴とする請求項1から12までのいずれか一項に記載の飼料添加物および/または飲料水添加物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−501828(P2006−501828A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542080(P2004−542080)
【出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【国際出願番号】PCT/AT2003/000308
【国際公開番号】WO2004/032645
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(500303696)エルベル・アクチエンゲゼルシヤフト (6)
【Fターム(参考)】