説明

家計簿作成支援システム

【課題】
小売店が管理するPOS情報を、消費者が自己の家計簿作成に利用することができるようにする。
【解決手段】
小売店からのPOS情報に、顧客情報を付与した販売商品データを受け取って蓄積する販売商品データファイル4と、商品の品目が種別、勘定科目等の家計簿用データとセットで記録される商品データベース6と、予め登録された顧客情報が蓄積された顧客データベース7と、これら商品データベースおよび顧客データベースを参照し、前記販売商品データファイルのデータを、種別、勘定科目ごとに分類するとともに顧客データと関連付けて家計簿用データを作成し、顧客ごとに用意された顧客別ファイルに仕分けて蓄積する商品分類フィルタ5を中央管理システム1に備え、顧客が、前記顧客別ファイル8に蓄積された各顧客用の家計簿用データを利用して家計簿を作成、管理できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費者が家計簿をパソコン上に作成する際、同家計簿を容易に作成できるようにした家計簿作成支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭へのパソコンの普及に伴い、家計簿をパソコンで作成、管理するケースが増えてきているが、レシートを確認しつつ、品目や金額などを入力する手間がかかるという問題があり、家計簿管理が長続きしない主な原因となっている。
【0003】
ところで、スーパーマーケットなどの商品の小売店では、レジスタにPOS(Point
of sale:販売時点情報管理)機能を備えるものを使用するのが一般的になっており、このPOS機能で収集される情報(POS情報)は、その小売店または複数の小売店を管理する企業が商品管理などに利用している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記POS情報は単独の小売店でのみ使用されたり、小売店を管理する企業内で共有管理されたりするのが一般的であり、外部に提供されることはまずない。
【0005】
また、POS情報は外部に提供されることを前提として構成されたものではないので、例えば商品名の管理を商品に付された例えばJAN(Japanese Article Number)コードなどの商品識別コードについては第三者も利用することができるが、商品の種別や価格などの情報は各小売店やその管理企業内でしか通用しない独自のものとなっているのが一般的である。
【0006】
上述のようなPOS情報を利用して、消費者が購入した商品の情報を家計簿管理用のデータとして取得が可能であれば、家計簿作成に有効なのであるが、POS情報をそのままオープンにして消費者に提供することができたとしても、前述のようにPOS情報自体に統一性がなく、また家計簿作成用として重要な品目管理も困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−30407号公報(第1〜14頁、図1〜5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、商品を販売する(サービスの提供も含む)小売店や小売店を管理する企業が主にレジスタで収集し、管理するPOS情報を、所定の中央管理システムで収集し、消費者個々の購買情報としてデータの加工を行って管理することにより、消費者が自己の家計簿作成に利用することができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明に係る家計簿作成支援システムは、小売店から提供される販売時点情報管理システムで収集される情報に、顧客情報を付与した販売商品データを受け取って蓄積する販売商品データファイルと、商品の品目が種別、勘定科目等の家計簿用データとセットで記録される商品データベースと、予め登録された顧客情報が蓄積された顧客データベースと、これら商品データベースおよび顧客データベースを参照して、前記販売商品データファイルのデータを受け取ると、販売された商品を種別、勘定科目ごとに分類するとともに顧客データと関連付けて家計簿用データを作成し、個々の顧客ごとに用意された顧客別ファイルに仕分けて蓄積する商品分類フィルタを中央管理システムに備え、顧客が、前記顧客別ファイルに蓄積された各顧客用の家計簿用データを利用して家計簿を作成、管理できるように構成したものとしてある。
【0010】
また、前記商品データベースは、個別の商品の品目を階層構造で管理することを特徴としている。
【0011】
前記家計簿用データから家計簿を作成するためのソフトウェアは、顧客のパソコン等の情報端末にインストールして利用できるように構成したり、あるいは前記中央管理システムに備え、顧客が家計簿用ソフトウェアをパソコン等の情報端末にインストールすることなく利用できるように構成したものとしてある。
【0012】
さらに前記中央管理システムは、前記商品分類フィルタおよび顧客ファイルからのデータに基づいて販売予測分析を行い、小売店に販売予測分析データを提供できるように構成したものとしてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る家計簿作成支援システムによれば、消費者は、家計を運用する上で大に重要なデータ資料となる家計簿を容易にかつきめ細かに作成できるとともに、自己のライフスタイルにおいて必要な商品情報を的確に知ることができる。
【0014】
また小売店側としては、本発明のシステムに加入することにより、商品を購入してもらえる消費者を安定して確保できるとともに、これら顧客の商品購入データから顧客の消費動向やライフスタイルの変化などを正確に把握することができ、また、顧客の消費動向やライフスタイルの変化などから一般消費者の消費動向を予測することも可能になり、企業業績の向上を期すことができる。
【0015】
また、本家計簿作成支援システムは、各店舗におけるPOS端末より送付される販売した商品の商品データを基にしているので、POS端末すなわち各店舗のレジスタに特別な改造を行うことなく導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る家計簿作成支援システムを示すシステム構成図。
【図2】家計簿作成支援システムにおける他の一例を示すシステム構成図。
【図3】家計簿作成支援システムにおける他の一例を示すシステム構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る家計簿作成支援システムの実施例を、添付図面に示す具体例に基づいて説明する。
【0018】
図1は、家計簿作成支援システムの構成の一例を示し、中央管理システム1は中央管理システムと提携する小売店2、2のPOS機能を有するレジスタ等のPOS端末2a、2aと適宜の通信回線にて接続され、また、中央管理システム1は、予め顧客登録を行った消費者3(以下、顧客と呼ぶ)ともインターネット等の適宜の通信回線にて接続される。
【0019】
前記中央管理システム1は、前記POS端末2a、2aからのPOS情報を受け取って蓄積する販売商品データファイル4と、商品を種別、勘定科目ごとに分類して顧客データと関連付ける商品分類フィルタ5と、商品の品目が種別、勘定科目等の家計簿用データとセットで記録される商品データベース6と、顧客情報が記録される顧客データベース7とを備え、前記商品分類フィルタに接続され、顧客ごとのデータを蓄積する顧客別ファイル8、8を備えている。
【0020】
また、顧客3はそれぞれパソコン9等の情報端末を使用し、中央管理システム1から提供されるデータを処理して家計簿を作成するためのソフトウェア(以下、家計簿ソフトと呼ぶ)9aがインストールされているものとしてある。
【0021】
さらに、前記顧客別ファイルに蓄積された情報は携帯電話機10等の携帯情報端末機器からも利用することができるように構成してあり、例えば携帯電話機にダウンロードしたアプリケーションによって簡易的な家計簿を管理したり、携帯電話機のカメラによるバーコードリーダー機能を利用して、買い物の際に任意の商品のバーコードを読み取って購入履歴を参照したりするという活用方法がある。
【0022】
上述のように構成された本発明のシステムの作用について以下に説明する。
消費者は中央管理システム1の管理者との間で顧客登録を行い顧客3となるが、顧客3は小売店2、2において個人を識別する必要があるので、顧客登録時に例えば個別のバーコードや磁気コードを付した識別カードあるいはICカードよりなる識別カード等の顧客識別手段の交付を受けるとともに、顧客がシステムの情報を取得する際に利用するパスワードの登録を行う。
【0023】
上記顧客識別手段は、中央管理システム1の管理者が開設するインターネットサイトの登録ページで、予め顧客が直接登録手続を行うが、顧客3が利用する小売店の店頭で行うようにしてもよい。
【0024】
また、小売店で発行されるいわゆるポイントカードやプリペイドカード等の顧客カードの会員番号すなわち小売店における顧客の識別手段と顧客識別手段の情報をリンクさせておくのが望ましく、前記登録ページにて顧客登録を行った場合には、顧客3が小売店の店頭に出向いた際に、上述した小売店における顧客の識別手段と顧客識別手段の情報のリンクを行えばよい。
なお、小売店で利用される顧客カードと、本システムで使用する顧客識別手段を共通のカードで利用するように構成する場合もある。
【0025】
顧客3は、本発明のシステムの利用可能な小売店2、2にて商品を購入する際、前記顧客識別手段を提示し、小売店のレジスタにおいて適宜のカードリーダなどで顧客データが読み取られ、購入商品のPOS情報に基づく商品の所定データ(品名、価格、数量、購入日時、購入店舗など)に、前記顧客データが付与され、販売商品データが作成される。
【0026】
上記販売商品データは中央管理システム1に送られ、同システムの前記販売商品データファイル4に蓄積される。
【0027】
上記販売商品データファイル4に蓄積されたデータは、前記商品分類フィルタ5において、商品データベース6を参照して顧客が購入した個々の商品の品目が識別され、小売店独自のデータ処理ではなく、中央管理システム1にて小売店に関係なく、商品ごとに統一された種別、勘定科目等の家計簿用データに加工され、また、加工されたデータは、商品分類フィルタ5が前記顧客データベース7を参照することによって、前記家計簿ソフト9aにて一元的に処理できる形態の商品データ、例えば購入した商品の品目、数量、購入日時、購入店舗、購入価格などを備えるデータに変換され、顧客別ファイル8、8に振り分けられる。
【0028】
前記商品データベース6は、個別の商品に付されたJANコード等の商品識別コードに基づいて、独自の統一された商品分類に基づいて品目を管理できるデータとして構成してあって、この品目管理は階層構造を基本とすることが望ましい。
【0029】
また、商品データベース6と顧客データベース7は、図中での情報の流れの線は省略したが、小売店2、2からの更新情報を常に受け入れることができるようになっており、かくすることにより、小売店独自に商品やサービスに付した商品識別コードがPOS端末から販売商品データファイル4に送られてきても、商品分類フィルタ5は上述の統一された商品分類に基づいて品目を管理することができる。
【0030】
また、顧客データベース7において管理される顧客の情報も、各小売店で独自に発行される顧客カードと最新の状態でリンクされ、顧客が各小売店におけるポイントの蓄積情報なども参照できるようにするなどの本システムとしてのサービス拡大に柔軟に対応することができる。
【0031】
具体的には、A社の低脂肪乳のJANコードに対して、食品を大分類、乳製品を中分類、牛乳類を小分類とし、この小分類中の低脂肪乳に分類されるように構成し、かくすることにより、小売店が管理するPOSデータの管理とは異なる、本発明のシステムにおいて統一された汎用性の高い商品分類が行われる。
【0032】
なお、この階層構造は、家計簿ソフトにおいて顧客が自由に変更できるようにすることも可能であり、所定の商品、例えばB社の牛乳を、「いつもの牛乳」というようなカテゴリーに分類できるように変更して顧客のライフスタイルに合わせた管理ができるようにすることができる。
【0033】
そして個々の顧客3は必要に応じ、前記顧客ファイル8から各自のパソコン9に前記商品データをダウンロードすることにより、家計簿ソフトの仕様に基づいてパソコン上に家計簿を作成することができ、パソコンの内蔵またはパソコンに接続された適宜の記憶手段に家計簿のデータを保存しておくことができるようになっている。
【0034】
これにより、顧客3は、必要に応じてパソコンのディスプレイ上に家計簿を表示して内容を確認、編集することができ、また、外出している場合などは、携帯電話機(図示は省略)などのインターネット回線に接続できてかつ表示機能を有する端末機器を介して自宅パソコンに保存する家計簿の内容を確認したり、あるいは顧客別ファイル8を直接参照して、購入履歴や他店で購入したときの価格情報などを入手したりといった利用ができる。
【0035】
上述した構成のシステムにおいては、家計簿ソフトを顧客に配布して各自のパソコンにインストールして使用してもらうことが前提となっているが、図2に示されるように、中央管理システム1に家計簿ソフトを用意し、顧客3は各自のパソコンに家計簿ソフトをインストールすることなく適宜のインターネットブラウザなどの閲覧手段によって家計簿を管理することができるクラウドタイプのもので構成する場合もある。
【0036】
この場合には、顧客側の家計簿ソフトのインストール等の手間を省くことができるとともに、家計簿データを外部の記録手段に蓄積して移動先のパソコンなどを利用することができるというメリットや、家計簿ソフトの修正などを容易に行うことができるというメリットもある。
【0037】
また、家計簿作成支援システムは、図3に示すように、商品分類フィルタおよび各顧客ファイルのデータを収集してきめ細かな販売予測分析を行い、この分析した結果を各小売店にフィードバックしたり、各種のマーケティングリサーチに利用したりすることができるシステムに構成する場合もある。
【0038】
さらに、上述した実施例のシステムでは、小売店2、2からのPOSデータがPOS端末2a、2aからそのまま中央管理システム1に送られるように構成してあるが、各小売店2のPOS端末2a内、あるいは小売店2内におけるPOS端末と中央管理システム1との間に、前記商品データベース6と商品分類フィルタ5を簡易化したものあるいは同様の構成のものを設け、各小売店で独自に付した商品コードなどのデータを予め中央管理システムで利用できる汎用の識別コードに変換しておくようにする場合もある。
【0039】
かくすると、小売店ごとの商品管理情報の更新が迅速に行われ、また小売店における商品への独自コードの付与の自由度を向上させることができる。
【0040】
また、本発明のシステムは、通信販売への導入も容易であり、小売店2を通信販売業者に、POS端末2aを通信販売業者の受発注システムにそのまま置き換えて利用することもできる。
【0041】
さらに、クレジットカード決済にも容易に対応することが可能であり、与信情報の確認や顧客情報の管理を、実店舗の小売店での商品購入においても、上述の通信販売での商品購入においても、正確かつ迅速に行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 中央管理システム
2 小売店
3 顧客
4 販売商品データファイル
5 商品分類フィルタ
6 商品データベース
7 顧客データベース
8 顧客ファイル
9 パソコン
9a 家計簿ソフト
10 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小売店から提供される販売時点情報管理システムで収集される情報に、顧客情報を付与した販売商品データを受け取って蓄積する販売商品データファイルと、商品の品目が種別、勘定科目等の家計簿用データとセットで記録される商品データベースと、予め登録された顧客情報が蓄積された顧客データベースと、これら商品データベースおよび顧客データベースを参照して、前記販売商品データファイルのデータを受け取ると、販売された商品を種別、勘定科目ごとに分類するとともに顧客データと関連付けて家計簿用データを作成し、個々の顧客ごとに用意された顧客別ファイルに仕分けて蓄積する商品分類フィルタを中央管理システムに備え、顧客が、前記顧客別ファイルに蓄積された各顧客用の家計簿用データを利用して家計簿を作成、管理できるように構成してなる家計簿作成支援システム。
【請求項2】
前記商品データベースは、個別の商品の品目を階層構造で管理することを特徴とする請求項1に記載の家計簿作成支援システム。
【請求項3】
前記家計簿用データから家計簿を作成するためのソフトウェアを、顧客のパソコン等の情報端末にインストールして利用できるように構成してなる請求項1または2に記載の家計簿作成支援システム。
【請求項4】
前記家計簿用データから家計簿を作成するためのソフトウェアを、前記中央管理システムに備え、顧客が家計簿用ソフトウェアをパソコン等の情報端末にインストールすることなく利用できるように構成してなる請求項1または2に記載の家計簿作成支援システム。
【請求項5】
前記中央管理システムは、前記商品分類フィルタおよび顧客ファイルからのデータに基づいて販売予測分析を行い、小売店に販売予測分析データを提供できるように構成してなる請求項1または2に記載の家計簿作成支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−134052(P2011−134052A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292140(P2009−292140)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(309039037)
【出願人】(309042576)
【出願人】(309039509)
【Fターム(参考)】