説明

家電機器

【課題】発生するミストの濃度が極力均一であり、かつ、過酸化水素が含まれるミストを収容部に供給することができる家電機器を提供する。
【解決手段】本実施形態の家電機器は、対象物を収容する収容部と、過酸化水素を生成する過酸化水素生成手段と、前記過酸化水素生成手段によって生成された過酸化水素を含む水をミスト化し、当該ミストを前記収容部に放出するミスト放出手段と、前記過酸化水素生成手段と前記ミスト放出手段との間に設けられ、当該過酸化水素生成手段によって生成された過酸化水素を当該ミスト放出手段に供給する過酸化水素移動手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は家電機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の家電機器、例えば特許文献1に示すような冷蔵庫は、食品が収容されている冷蔵室などの収容部にミストを供給するための超音波霧化装置が備えられている。この種の超音波霧化装置は、容器に溜められている水に超音波の振動を加えてミストを発生させ、発生したミストを収容部に供給している。
また、例えば、上記の水の代わりに、酸化力があり除菌および脱臭効果がある過酸化水素を含む水をミスト化し、当該ミストを収容部に供給することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−145080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の構成では、容器に溜められている水の量が異なると、発生するミストの濃度も異なってしまう。この場合、収容部に供給されるミストの濃度が不均一になりやすく、当該収容部内の除菌および脱臭が不十分となることがある。
【0005】
そこで、発生するミストの濃度が極力均一であり、かつ、過酸化水素が含まれるミストを収容部に供給することができる家電機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の家電機器は、対象物を収容する収容部と、過酸化水素を生成する過酸化水素生成手段と、前記過酸化水素生成手段によって生成された過酸化水素を含む水をミスト化し、当該ミストを前記収容部に放出するミスト放出手段と、前記過酸化水素生成手段と前記ミスト放出手段との間に設けられ、当該過酸化水素生成手段によって生成された過酸化水素を当該ミスト放出手段に供給する過酸化水素移動手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態の冷蔵庫の過酸化水素含有ミスト発生装置を概略的に示す縦断正面図
【図2】冷蔵庫の概略構成を示す縦断側面図
【図3】冷蔵庫の要部を概略的に拡大して示す縦断側面図
【図4】過酸化水素含有ミスト発生装置の斜視図
【図5】電気的構成を示すブロック図
【図6】第2の実施形態を示す図3相当図
【図7】図1相当図
【図8】図4相当図
【図9】過酸化水素生成装置と、ミスト放出装置と、過酸化水素供給部材との位置関係を示す斜視図
【図10】櫛状電極の平面図
【図11】表面弾性波の理論を説明する図
【図12】図5相当図
【図13】第3の実施形態の洗濯機の概略構成を示す縦断側面図
【図14】洗濯機の背面図
【図15】第4の実施形態を示す図13相当図
【図16】第5の実施形態を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1および第2の実施形態では、家電機器として冷蔵庫を用いて説明する。また、第3および第4の実施形態では、家電機器として洗濯機を用いて説明する。なお、これらの家電機器は、一例にすぎない。また、図面中のMの符号は、ミストを示している。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。冷蔵庫に対して扉側、例えば図2において左側を前面として説明する。
【0009】
図2に示す冷蔵庫1は、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱箱体2内に、上下方向に並んで配置された複数の収容部を有している。各収容部には、食品などの対象物が収容される。複数の収容部として、具体的には、断熱箱体2内に、上段から順に、冷蔵室3、野菜室4が設けられ、その下方に製氷室5と小冷凍室(図示せず)が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室7が設けられている。製氷室5内には、周知の自動製氷装置8が設けられている。断熱箱体2は、基本的には、鋼板製の外箱2aと、合成樹脂製の内箱2bと、外箱2aと内箱2bとの間に設けられた断熱材2cとから構成されている。
【0010】
冷蔵室3および野菜室4は、いずれも冷蔵温度帯、例えば1〜4℃の収容部であり、冷蔵室3と野菜室4との間は、プラスチック製の仕切壁10により上下に仕切られている。冷蔵室3の前面部には、ヒンジ開閉式の断熱扉3aが設けられている。野菜室4の前面部には、引出し式の断熱扉4aが設けられている。断熱扉4aの背面部には、貯蔵容器を構成する下部ケース11が連結されている。下部ケース11の上部の後部には、下部ケース11よりも小型の上部ケース12が設けられている。
【0011】
冷蔵室3内には、当該冷蔵室3を上下に複数段に区切る複数の棚板13が設けられている。また、冷蔵室3内の最下部、すなわち仕切壁10の上部において、右側にはチルド室14が設けられ、その左側には卵ケース(図示せず)、小物ケース(図示せず)、貯水タンク(図示せず)などが設けられている。この貯水タンクは、自動製氷装置8の製氷皿8aに供給する水を溜めるものである。チルド室14には、チルドケース18が出し入れ可能に設けられている。
【0012】
製氷室5、小冷凍室(図示せず)および冷凍室7は、いずれも冷凍温度帯、例えば−10〜−20℃の収容部である。また、野菜室4と、製氷室5および小冷凍室(図示せず)との間は、断熱仕切壁19により上下に仕切られている。製氷室5の前面部には、引出し式の断熱扉5aが設けられている。断熱扉5aの後方には、貯氷容器20が連結されている。小冷凍室(図示せず)の前面部にも、図示はしないが貯蔵容器が連結された引出し式の断熱扉が設けられている。冷凍室7の前面部にも、貯蔵容器22が連結された引出し式の断熱扉7aが設けられている。
【0013】
冷蔵庫1の背面部には、詳しく図示はしないが、冷蔵用冷却器24および冷凍用冷却器25の2つの冷却器を備える冷凍サイクルが組み込まれている。冷蔵用冷却器24は、冷蔵室3および野菜室4、チルド室14の冷蔵温度帯の収容部を冷却するための冷気を生成するものである。冷凍用冷却器25は、製氷室5、小冷凍室(図示せず)および冷凍室7の冷凍温度帯の収容部を冷却するための冷気を生成するものである。冷凍用冷却器25は、冷蔵用冷却器24の下方に設けられている。冷蔵庫1の下部背面部には、機械室26が設けられている。詳しく図示はしないが、この機械室26内には、上述の冷凍サイクルを構成する圧縮機27、凝縮器(図示せず)、圧縮機27および凝縮器を冷却するための冷却ファン(図示せず)、除霜水蒸発皿28などが設けられている。
【0014】
冷蔵庫1の背面下部寄り部分には、全体を制御するマイコン等を実装した制御装置29が設けられている。なお、図示はしないが、冷蔵庫1に設けられる電気機器のアース線は、外箱2aなどを介して接地されている。
冷蔵庫1内の冷凍室7の背面部には、冷凍用冷却器室30が設けられている。冷凍用冷却器室30内には、冷凍用冷却器25、冷凍用送風ファン31、冷凍用冷却器25用の除霜用ヒータ(図示せず)などが設けられている。冷凍用送風ファン31は、ファンが回転することによる送風作用によって風を発生させて冷凍用冷却器25によって生成した冷気を循環させるものであり、冷凍用冷却器25の上方に設けられている。冷凍用冷却器室30の前面の中間部には、冷気吹出口30aが設けられ、下部には、戻り口30bが設けられている。
【0015】
この構成において、冷凍用送風ファン31および冷凍サイクルが駆動されると、送風作用によって風が生成され、冷凍用冷却器25によって生成した冷気は、冷気吹出口30aから製氷室5、小冷凍室(図示せず)、冷凍室7内に供給され、戻り口30bから冷凍用冷却器室30内に戻される循環をする。これにより、それら製氷室5、小冷凍室(図示せず)および冷凍室7は冷却される。なお、冷凍用冷却器25の下方には、当該冷凍用冷却器25の除霜時の除霜水を受ける排水樋32が設けられている。その排水樋32に受けられた除霜水は、機械室26内に設けられた除霜水蒸発皿28に導かれ、除霜水蒸発皿28の所で蒸発される。
【0016】
そして、冷蔵庫1内における冷蔵室3および野菜室4の後方には、図3にも示すように、冷蔵用冷却器24、冷気ダクト34、冷蔵用送風ファン35、冷蔵用冷却器24用の除霜ヒータ(図示せず)などが設けられている。即ち、冷蔵庫1内における冷蔵室3の最下段の後方であるチルド室14の後方には、冷気ダクト34の一部を構成する冷蔵用冷却器室36が設けられ、この冷蔵用冷却器室36内には冷蔵用冷却器24が設けられている。冷気ダクト34は、冷蔵用冷却器24によって生成した冷気を冷蔵室3および野菜室4に供給するための通路を形成するものである。冷蔵用送風ファン35は、ファンが回転することによる送風作用によって風を発生させ冷蔵用冷却器24によって生成した冷気を循環させるものであり、冷蔵用冷却器24の下方に設けられている。
【0017】
冷蔵用冷却器室36の上方には、上方に延びる冷気供給ダクト37が設けられている。そして、冷蔵用冷却器室36の上端部は、冷気供給ダクト37の下端部に連通している。この場合、冷蔵用冷却器室36と冷気供給ダクト37とから冷気ダクト34が構成される。冷蔵用冷却器室36の前部壁36aは、冷気供給ダクト37よりも前方に膨出している。また、その前部壁36aの背面側すなわち冷蔵用冷却器24側には、冷蔵用冷却器24の前面を覆う断熱性を有する断熱材38が設けられている。断熱材38の上部には、前後方向に貫通する貫通孔38a(図3参照)が形成されている。冷気供給ダクト37の前部には、冷蔵室3内に開口する冷気供給口39が複数個設けられている。
【0018】
冷蔵用冷却器室36内の下部であって冷蔵用冷却器24の下方には、排水樋40が設けられている。排水樋40は、冷蔵用冷却器24からの除霜水を受けるものである。この排水樋40に受けられた除霜水も、排水樋32で受けられた除霜水と同様に、機械室26内に設けられた除霜水蒸発皿28に導かれ、除霜水蒸発皿28の所で蒸発される。排水樋40の左右の長さ寸法および前後の奥行き寸法は、冷蔵用冷却器24の左右の長さ寸法および前後の奥行き寸法よりも大きく、冷蔵用冷却器24から滴下する除霜水をすべて受けられる大きさに構成されている。
【0019】
野菜室4の後方には、図2に示すように送風ダクト42が設けられている。送風ダクト42内には、冷蔵用送風ファン35が設けられている。送風ダクト42は、下端部に吸込口43を有し、上端部が排水樋40をう回するようにして冷蔵用冷却器室36すなわち冷気ダクト34に連通している。また送風ダクト42と野菜室4とは、吸込口43を介して連通している。なお、冷蔵室3の底部を構成する仕切壁10の後部の左右の両隅部には、図示しない複数の連通口が形成され、冷蔵室3が連通口を介して野菜室4と連通した構成となっている。
【0020】
この構成において、冷蔵用送風ファン35が駆動されると送風作用によって、図2の白抜き矢印で示すように、風が発生する。すなわち、野菜室4内の空気は、吸込口43から冷蔵用送風ファン35側に吸い込まれ、送風ダクト42側へ吹き出される。送風ダクト42側へ吹き出された空気は、冷気ダクト34の冷蔵用冷却器室36および冷気供給ダクト37を通り、複数の冷気供給口39から冷蔵室3内に吹き出される。冷蔵室3内に吹き出された空気は、連通口(図示せず)を通して野菜室4内にも供給され、最終的に冷蔵用送風ファン35に吸い込まれる。このように、冷蔵用送風ファン35の送風作用により風の循環が行われる。この風の循環の過程中に冷凍サイクルが駆動されていると、冷蔵用冷却器室36内を通る空気が冷蔵用冷却器24によって冷却されて冷気となり、その冷気が冷蔵室3および野菜室4に供給されることによって、冷蔵室3および野菜室4が冷蔵温度帯の温度に冷却される。
【0021】
冷気ダクト34のうち冷蔵用冷却器室36の前方でチルド室14の後方で冷蔵用冷却器24の前方には、図3にも示すように、ミスト貯留室45が設けられている。ミスト貯留室45は、後述するミストを一時的に貯留するための部屋である。ミスト貯留室45は、冷蔵用冷却器室36の前部壁36aと、当該前部壁36aの前面に着脱可能に装着された覆い部材46とによって囲われて形成されている。この場合、ミスト貯留室45は、前部壁36aに沿って左右方向に長く、かつ前後方向の奥行き寸法が小さく、扁平な矩形箱状に形成されている。
【0022】
前部壁36aの上部であって断熱材38の貫通孔38aの前方には、ミスト貯留室45の前後方向の中央まで延びる吐出口47が形成されている。また、ミスト貯留室45の前面壁である覆い部材46の上部であって吐出口47の前方には、チルド室14内に突出する吹出口48が設けられている。これにより、冷蔵用冷却器室36を通る風の一部、すなわち冷気の一部は、貫通孔38a、吐出口47、ミスト貯留室45および吹出口48を通ってチルド室14に直接供給される。この風の流れを図3の矢印Aで示す。なお、ミスト貯留室45に設ける吹出口48と同様の構成で、冷蔵室3内に突出する吹出口、野菜室4に突出する吹出口を設けてもよい。
【0023】
冷蔵用冷却器室36のうち冷蔵用冷却器24およびミスト貯留室45の下方で排水樋40よりも上方には、過酸化水素を含むミストを発生するための過酸化水素含有ミスト発生装置51が収容されている。
過酸化水素含有ミスト発生装置51について図1、図3〜図5を参照して説明する。過酸化水素含有ミスト発生装置51は、過酸化水素生成手段たる過酸化水素生成装置52と、ミスト放出手段たるミスト放出装置53と、過酸化水素移動手段たる過酸化水素供給部材54とを備えている。
【0024】
過酸化水素生成装置52は、過酸化水素を生成、例えば水の電気分解によって過酸化水素を生成するものである。水を例えば10V以下の電圧で電気分解すると、陽極で酸素が生成され、陰極で水素が生成されるとともに、下記の反応が起こる。
【0025】
陽極:H2O→1/2O2+2H++2e-
陰極:O2+H2O+2e-→HO2-+OH-
:HO2-+H2O←→H22+OH-
全体:O2+2H2O+2e-→H22+2OH-
このようにして、陰極で過酸化水素(H22)が生成される。
【0026】
過酸化水素生成装置52は、図1および図4に示すように電気分解用の水を溜める貯留部55と、貯留部55に溜められた水に電圧を加える1対の電極56,56と、当該1対の電極56,56に例えば10Vの電圧を印加するための電源57とを備えている。電気分解用の水としては、冷蔵用冷却器24からの除霜水が用いられるが、他にも、例えば自動製氷装置8の製氷皿8aに供給する水を貯留する貯水タンク、または過酸化水素生成用の専用の貯水タンクから水を供給するようにしてもよい。
【0027】
貯留部55は、矩形箱状をなしている。
各電極56は、カーボン、チタン、白金などからなり、矩形板状をなしている。各電極56の表面には、水の電気分解によって発生する気泡を離れやすくするための撥水処理を施してもよい。電極56の表面に撥水処理を施した場合、陰極で発生した酸素は、水に溶存しやすくなり、この溶存した酸素によって陰極で過酸化水素が生成されやすく、過酸化水素の生成効率が高められる。
【0028】
1対の電極56,56同士は、互いが対向するように貯留部55内に配置されている。各電極56の上端部は、図1に示すように貯留部55の高さ方向の約半分のところに位置している。各電極56の上端部には、カーボン、チタン、白金などからなる給電棒58が電気的に接続されている。給電棒58の他端部は、貯留部55の後ろ側の側面を貫通して電源57に電気的に接続されている。貯留部55の後ろ側の壁面であって給電棒58が貫通している部分は、シール部材59によってシールされている。
【0029】
貯留部55を正面から見て左側の側壁の上部であって電極56の上端部よりも上方には、給水口60が設けられている。給水口60は、貯留部55に水を供給する入口である。また、貯留部55を正面から見て右側の側壁の上部には、排水口61が設けられている。排水口61は、具体的には、貯留部55の所定の高さ、例えば電極56の上端部よりも上方で且つ給水口60よりも下方の高さの所に設けられている。また、排水口61の出口側は、排水樋40の上方に位置している。
【0030】
給水口60の一端側の先端部には、図3に示すように、給水配管62が接続されている。給水配管62は、貯留部55の給水口60の一端部から上方に向かい、冷蔵用冷却器24の近傍まで延びている。給水配管62の一端側の上端部には、冷蔵用冷却器24からの除霜水の一部を受ける受け皿63が設けられている。除霜水は、冷凍サイクルの運転によって冷蔵用冷却器24に付着した霜が図示しない除霜用ヒータによって溶かされることによって得られる。当該除霜用ヒータは冷蔵用冷却器24の近傍に設けられている。
【0031】
受け皿63の底部には排水口(図示せず)が形成され、当該排水口は給水配管62に連通している。これにより、冷蔵用冷却器24からの除霜水が、受け皿63上に落ちると、受け皿63に落ちた水は、給水配管62および給水口60を通って貯留部55内に溜められる。また、給水口60から貯留部55に供給された水が所定量を超えた場合、すなわち排水口61の高さに水が達した場合、所定量を超えた分の水は排水口61から排水され、排水樋40に導かれるようになっている。
【0032】
過酸化水素生成装置52の貯留部55の上方には、ミスト放出装置53が設けられている。ミスト放出装置53は、過酸化水素生成装置52によって生成された過酸化水素を含む水を超音波の振動でミスト化し、当該ミストをチルド室14などの収容部に放出するものである。
【0033】
ミスト放出装置53は、ミスト発生室64と、振動を発生する振動発生手段たる超音波振動素子65と、当該超音波振動素子65の振動によって振動される振動部材たる振動板66とを有している。
ミスト発生室64は、箱状をなし、下部が開放している。また上面にミスト放出開口部67が形成されている。また、前記ミスト貯留室45の底部には図示しない開口部が形成されている。そして、ミスト発生室64のミスト放出開口部67とミスト貯留室45の開口部とは、図3に示すように、ミスト供給管68によって接続されている。これにより、ミスト発生室64はミスト供給管68を介してミスト貯留室45と連通した構成となる。
【0034】
ミスト発生室64内において、当該ミスト発生室64の高さ方向の中央には、当該ミスト発生室64を上下の2部屋に区切る矩形板状の振動板66が設けられている。これにより、振動板66は、過酸化水素生成装置52の上方に位置している。振動板66は、例えば振動板66は、上下方向、すなわち板厚方向において微小な孔(図示せず)が多数貫通している。
【0035】
超音波振動素子65は、過酸化水素を含む水をミスト化するものであり、振動板66の上側の面に載置、すなわちミスト発生室64の上部に設けられている。この場合、超音波振動素子65は、ミスト発生室64を上方から見て、過酸化水素供給部材54およびミスト放出開口部67と一致しない場所に設けられている。超音波振動素子65の振動周波数は、過酸化水素を含む水をミスト化するための値、例えば20k〜10MHzに設定されている。超音波振動素子65の電力は、例えば電源57から供給されるようになっている。これにより、超音波振動素子65に電源57から電力が供給されると、超音波振動素子65の振動によって振動板66もほぼ同じ振動周波数で振動するようになる。なお、超音波振動素子65専用の電源を設けてもよい。
【0036】
過酸化水素供給部材54は、過酸化水素生成装置52によって生成された過酸化水素を含む水を当該ミスト放出装置53に供給する通路をなすものであり、円柱状で過酸化水素を含む水が毛細管現象で移動可能な多孔質部材で構成されている。過酸化水素供給部材54は、具体的には、例えば繊維を絡ませたフェルト状のものを円柱状にしたものである。なお、過酸化水素供給部材54は、毛細管現象を行うことができるものであれば上述以外でもよく、例えば連続発泡体のものでもよい。さらに、過酸化水素供給部材54の外周を筒で覆って強度を高めてもよい。
【0037】
ここで、過酸化水素生成装置52の貯留部55の上面壁の一部に挿入用開口部69(図1参照)が形成されている。また、この挿入用開口部69は、上方から見たときにミスト発生室64のミスト放出開口部67とほぼ一致している。そして、過酸化水素供給部材54は、この挿入用開口部69に挿入され、貯留部55から振動板66に向かって上下方向に延びるように立てられている。これにより、過酸化水素供給部材54の軸方向であって上方向には、ミスト発生室64のミスト放出開口部67が位置している。また、過酸化水素供給部材54は、下端部が貯留部55の底部付近に位置し、上端部が摺動板66の下面に接している。
【0038】
貯留部55の挿入用開口部69と過酸化水素供給部材54との間には、この間をシールするシール部材70が設けられている。そして、過酸化水素供給部材54は、貯留部55の底部に設けられた支持部材71、およびシール部材70で保持されている。
【0039】
また、過酸化水素生成装置52の貯留部55には、貯留部55内の水位を検出する貯留部用水位センサ72(図5参照)が設けられている。そして、制御装置29は、貯留部55に一定量の水が溜まったことを貯留部用水位センサ72が検出することによって、電源57を駆動し、過酸化水素生成装置52およびミスト放出装置53の超音波振動素子65に電力を供給しこれらを駆動している。過酸化水素生成装置52に供給された電力によって1対の電極56,56間に例えば10Vの電圧が生じる。
【0040】
次に、上記構成の作用について述べる。
冷蔵室3および野菜室4を冷却する際には、冷蔵用冷却器24によって冷却された冷気が、冷蔵用送風ファン35の送風作用によって発生した風によって、主に図2に白抜き矢印で示すように、冷気供給ダクト37を通り、複数の冷気供給口39から冷蔵室3に供給される。冷蔵室3およびチルド室14に供給された冷気は、食品などの対象物の冷却に寄与した後、合流して、連通口(図示せず)から野菜室4にも供給される。野菜室4に供給された冷気は、野菜などの貯蔵物の冷却に寄与した後、吸込口43から冷蔵用送風ファン35側に吸い込まれ、再び冷蔵用冷却器24により冷却されるという循環を繰り返す。
また、この冷蔵室3および野菜室4の冷却時には、冷蔵用冷却器室36を通る風の一部が、図3の矢印Aで示すように、貫通孔38a及び吐出口47からミスト貯留室45内に供給され、吹出口48からチルド室14などの収容部に供給される。
【0041】
また、冷蔵用冷却器24から受け皿63上に落ちた除霜水が、給水配管62および給水口60を通って貯留部55に供給されるとともに、制御装置29が貯蔵部用水位センサ72の検出結果の出力に基づいて、当該貯留部55に溜められている水が所定水位に達したと判断した場合には、当該制御装置29は過酸化水素含有ミスト発生装置51の過酸化水素生成装置52を駆動する。これにより、貯留部55に溜められた水の電気分解が生じ、貯留部55に過酸化水素が生成される。また、生成された過酸化水素を含む水は、過酸化水素供給部材54の毛細管現象によって吸い上げられ、ミスト放出装置53の振動板66の下面から当該振動板66内および当該振動板66の上面に供給される。このとき、振動板66の下面から供給される部分の上方向の箇所にもっとも過酸化水素を含む水が存在する。この場合、過酸化水素供給部材54の上方に超音波振動素子65が位置していないので、過酸化水素供給部材54から振動板66に供給され当該振動板66の孔内を移動する水は、超音波振動素子65の所には達しにくい。
【0042】
そして、制御装置29がミスト放出装置53の超音波振動素子65を駆動すると、過酸化水素を含む水がミスト化し、ミスト発生室64のミスト放出開口部67から上方に過酸化水素を含むミストが放出される。ミスト放出開口部67から放出された過酸化水素を含むミストは、ミスト供給管68を介してミスト貯留室45に供給され、当該ミスト貯留室45に一時的に溜められ当該ミスト貯留室45内に拡散し、過酸化水素を含むミストの濃度はほぼ均一となる。そして、吐出口47からミスト貯留室45に風が取り込まれることにより、ミスト貯留室45内の過酸化水素を含むミストはより一層拡散され、対流されて、ミスト貯留室45内の過酸化水素のミストの濃度はより一層均一となる。そのとき、対流されて濃度がほぼ均一にされた過酸化水素を含むミストの一部は、吹出口48からチルド室14およびチルド室14と連通する冷蔵室3および野菜室4にそれぞれ供給される。これにより、冷蔵室3および野菜室4に収容されている食品に過酸化水素を含むミストをかけることができ、除菌、脱臭が行われる。なお、冷蔵室3、野菜室4およびチルド室14の収容部に紫外線ランプを設けて、ミストに含まれる過酸化水素に紫外線を当ててヒドロキシラジカルを生成し、酸化作用を高めてもよい。
【0043】
上記した第1の実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
過酸化水素含有ミスト発生装置51において過酸化水素生成装置52とミスト放出装置53との間に過酸化水素供給部材54が設けられているので、過酸化水素生成装置52の貯留部55からミスト放出装置53に供給される水の量は、過酸化水素供給部材54を通る一定の量となる。これにより、ミスト放出装置53で発生するミストが極力均一となり、かつ、過酸化水素を含むミストを、チルド室14などの収容部に供給することができる。
【0044】
水の電気分解によって過酸化水素を生成するようにしたので、過酸化水素を簡単に生成できるとともに、薬品によって過酸化水素を生成する方法よりも取扱いが容易である。また、電気分解における電圧の大きさ、電極の材料などの電解条件を変えるだけで、過酸化水素の生成量を容易に変更することができる。
【0045】
過酸化水素供給部材54は、過酸化水素を含む水が毛細管現象で移動可能な多孔質部材で形成されているので、過酸化水素生成装置52の貯留部55に溜められた過酸化水素を含む水をミスト放出装置53に供給することができる。また、毛細管現象を利用した水の移動を行っているので、ポンプなどの機械を用いる構成に比べて故障がなく、常に一定の速度で過酸化水素を含む水をミスト放出装置53に供給することができる。したがって、ミスト放出装置53は、極力一定の濃度のミストを発生、放出させることができる。また、多孔質部材において孔の大きさを異なる部材を選ぶだけで、過酸化水素生成装置52の貯留部55に溜められた過酸化水素を含む水をミスト放出装置53に供給する速度を変更することができる。
【0046】
ミスト放出装置53は、振動発生手段たる超音波発生素子65と、振動部材たる振動板66とから構成されているので、過酸化水素を含む水を超音波の振動によってミスト化することができる。
過酸化水素供給部材54は振動板66に接しているので、過酸化水素供給部材54からの過酸化水素を含む水を効率よく振動板66に供給することができる。したがって、ミスト放出装置53は、過酸化水素供給部材54から供給される水を効率よくミスト化することができる。
【0047】
ミスト放出装置53の振動板66が過酸化水素生成装置52の上方に設けられ、過酸化水素供給部材54が過酸化水素生成装置52から振動板66に向かって延び、当該過酸化水素生成装置52によって生成された過酸化水素を含む水が振動板66の下面から供給される構成である。したがって、過酸化水素を含むミストを、ミスト放出装置53から上方に向かって放出させることができる。よって、過酸化水素を含むミストを供給したい場所、例えばミスト貯留室45がミスト放出装置53の上方にある場合に、当該ミスト貯留室45に過酸化水素を含むミストを、複雑なミスト供給管などを設けることなく、容易な構成のミスト供給管68で供給することができる。また、振動板66に供給される過酸化水素を含む水は、振動板66の振動によって連続的にミスト化されて放出される。よって、従来構成のようなミストを放出させるための水を溜める容器を設ける必要がなく、ミスト放出装置53を小型化することができる。
【0048】
排水口61を貯留部55の所定の高さの所に設け、当該貯留部55に供給された水が所定量を超えた場合に当該所定量を超えた分の水を排水口61から排水する構成としたので、貯留部55で溜められる水の量はほぼ一定となり、過酸化水素生成装置52で生成される過酸化水素の濃度を極力均一にすることができる。これにより、過酸化水素供給部材54を介してミスト放出装置53から放出されるミストに含まれる過酸化水素の濃度もほぼ一定とすることができ、濃度が極力均一の過酸化水素を含むミストをチルド室14などの収容部に供給することができる。
【0049】
過酸化水素生成装置52の上方にミスト放出装置53を設け、過酸化水素生成装置52のさらに上方にミスト発生室64のミスト放出開口部67を設けたので、過酸化水素生成装置52から供給された過酸化水素を含む水をミスト化した後、当該ミストをミスト放出開口部67から効率よく放出させることができる。
ミスト放出装置53から放出された過酸化水素を含むミストは、ミスト貯留室45で一時的に溜められた後に、チルド室14などの収容部に供給する構成としたので、過酸化水素を含む均一な濃度のミストを収容部に供給することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について、図6〜図12を参照して説明する。第2の実施形態の家電機器は、第1の実施形態と実質的に同一の冷蔵庫に、第1の実施形態の過酸化水素含有ミスト発生装置とは異なる構成の過酸化水素含有ミスト発生装置を備えたものである。なお、上記第1の実施形態と実質的に同一内容については、その内容の説明は省略する。
【0051】
図6〜図9に示す過酸化水素含有ミスト発生装置81は、過酸化水素生成手段たる過酸化水素生成装置82と、ミスト放出手段たるミスト放出装置83と、過酸化水素移動手段たる過酸化水素供給部材84とを備えている。
過酸化水素生成装置82は、第1の実施形態の過酸化水素生成装置52と同様の貯留部55と、1対の電極56,56と、電源57と、給電棒58と、シール部材59とを備えている。また、貯留部55には、第1の実施形態の同様の給水口60、排水口61が設けられているとともに、給水口60に給水配管62を介して受け皿63が設けられている。
【0052】
過酸化水素生成装置82の貯留部55の下方には、ミスト放出装置83が設けられている。ミスト放出装置83は、過酸化水素生成装置82によって生成された過酸化水素を含む水を、表面弾性波を利用してミスト化し、当該ミストをチルド室14(図2参照)などの収容部に放出するものでる。ミスト放出装置83は、表面弾性波生成装置から構成されている。この表面弾性波生成装置たるミスト放出装置83は、振動部材たる基板85(図6〜図12参照)と振動発生手段たる1対の櫛状電極86,86(IDT:Inter Digital Transducer)(図7〜図12参照)とを有している。基板85は、LiNbO3の128°Yカット圧電結晶板などの板状伝播材、すなわち圧電材で構成されている。1対の櫛状電極86,86は、表面弾性波(SAW)を励振することのできる多数の櫛部86aを有している。1対の櫛状電極86,86は、図10に示すように、櫛部86a,86aが互いに向き合い、且つ、相手の電極86に接触しないように配置されている。この1対の櫛型電極86,86は、電源57からの高周波電圧、例えば共振周波数50MHzで励振される構成である。
【0053】
ここで、表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)による液滴飛翔原理(SAW Streaming)を、図11を用いて説明する。基材85上に設けられた櫛状電極86が励磁されると図11において右方向に向かう表面弾性波S1が発生し、伝播してゆく。また、過酸化水素を含む水である液滴Lは、表面張力によって、基材表面で半球状に吸着し、それ以上は広がらない状態となっている。今、表面弾性波S1がその液滴Lの境界部に侵入したとき、表面弾性波S1はそこから液滴Lの内部へ漏洩し、漏洩弾性波(縦波弾性波)S2となる。この漏洩弾性波S2は液滴Lの内部を伝播する。漏洩弾性波S2の進入角度θRはVRを基板85の表面弾性波S1の速度、VWを液滴Lの内部の漏洩弾性波S2の速度とした時、θR=sin-1(VW/VR)で表される角度で進入することがわかっている。θRで進入した漏洩弾性波S2は、液滴Lの内部を進行し、液滴Lの表面に到達した時、音響放射力が過酸化水素を含む水が表面張力に打ち勝ちほどのエネルギを持つ時、前記音響弾性波エネルギに対応した、飛び出し速度をもって、空気中にミストが放出される。この第2の実施形態のミスト放出装置83は、この漏洩弾性波S2による液滴飛翔原理を利用するものである。
【0054】
第2の実施形態のミスト放出装置83においては、基板85が過酸化水素生成装置82の下方に設けられている。そして、基板85の後部が前部よりも高い位置になるように当該基板85が配置されている。そして、基板85の後部に上述した櫛状電極86が設けられている。櫛状電極86は、多数の櫛部86aと、集電部86bとを有している。多数の櫛部86aは、櫛部86aの延びる方向が集電部86bに延びる方向に垂直になるようにして、当該集電部86bに一体に設けられている。櫛部86aは、基材85に対して、左右方向に延びるようにして配置されている。櫛状電極86の電力は、上述した電源57から供給されるようになっている。上記構成において、過酸化水素生成装置82の貯留部55に貯留部用水位センサ72(図12参照)が設けられている。そして、制御装置29は、貯留部55に一定の水が溜まったことを貯留部用水位センサ72が検出することによって、電源57を駆動し、過酸化水素生成装置82およびミスト放出装置83の櫛状電極86に電力を供給しこれらを駆動する構成である。
【0055】
過酸化水素供給部材84は、第1の実施形態と同じ構成であり、過酸化水素生成装置82とミスト放出装置83との間に設けられている。第2の実施形態においては、具体的には、過酸化水素生成装置82の貯留部55の下面壁の前部であって1対の電極56,56間に挿入用開口部87が形成され、過酸化水素供給部材84はこの挿入用開口部87に挿入されている。そして、過酸化水素供給部材84は、貯留部55から基板85に向かって上下方向に延びるように設けられている。このとき、過酸化水素供給部材84は、上端部が貯留部55の底部付近に位置し、下端部が基板85の上面に接している。この場合、過酸化水素供給部材54の下端部は、基板85の前部、すなわち櫛状電極86の前方に位置している。また、貯留部55の挿入用開口部87と過酸化水素供給部材84との間には、この間をシールするシール部材88が設けられている。そして、過酸化水素供給部材54の上下方向に延びる状態は、当該シール部材88および基板85で保持されている。
この基板85の前部および過酸化水素供給部材84は、図6に示すように、ミスト供給管89で覆われている。また、ミスト供給管89の上端部は、ミスト貯留室45の底部に形成された図示しない開放口と連通している。
【0056】
次に、上記構成の作用について述べる。
冷蔵用冷却器24から受け皿63上に落ちた除霜水が、給水配管62および給水口60を通って貯留部55に供給されるとともに、制御装置29が貯留部用水位センサ72の検出結果に基づいて、当該貯留部55内の水が所定水位に達したと判断した場合には、当該制御装置29は過酸化水素生成装置82を駆動する。これにより、貯留部55に溜められた水の電気分解が生じ、貯留部55に過酸化水素が生成される。生成された過酸化水素を含む水は、過酸化水素供給部材84を毛細管現象、自重、貯留部55に溜められた水の圧力で下方に向かって流れ、ミスト放出装置53の基板85の上面から当該基板85の上面に供給される。このとき、基板85の上面に供給された過酸化水素を含む水の一部は、基板85の傾斜によって前方に流れる。
【0057】
そして、制御装置29が電源57を駆動してミスト放出装置83の櫛状電極86に電力を加えると、過酸化水素を含む水が表面弾性波の作用によってミスト化し、過酸化水素を含むミストが基板85上から上方に向かって放出される。このとき、基板85の上面に供給された過酸化水素を含む水の一部が基板85の傾斜によって前方に流れているため、当該基板85上の表面弾性波の振動で共振するところで効率よくミスト化される。基板85上から放出された過酸化水素を含むミストは、ミスト供給管89を介してミスト貯留室45に供給され、ミスト貯留室45の吹出口48からチルド室14などの収容部に供給される。
【0058】
上記した第2の実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、過酸化水素生成装置82とミスト放出装置83との間に過酸化水素供給部材84が設けられている。これにより、過酸化水素生成装置82の貯留部55からミスト放出装置83に供給される水の量は、過酸化水素供給部材84を通る一定の量となり、ミスト放出装置83で放出されるミストの濃度を極力均一にできる。よって、濃度が極力均一なミストを、チルド室14などの収容部に供給することができる。
【0059】
過酸化水素供給部材84は、過酸化水素が毛細管現象で移動可能な多孔質部材で形成され、毛細管現象、自重、貯留部55に溜められた水の圧力で下方に向かって流れる構成である。したがって、過酸化水素生成装置82の貯留部55に溜められた過酸化水素を含む水をミスト放出装置83にほぼ一定の速度で供給することができる。これにより、ミスト放出装置83によって極力一定の濃度のミストを発生、放出することができる。
【0060】
過酸化水素供給部材84が振動部材たる基板85に接しているので、過酸化水素供給部材84からの過酸化水素を含む水を効率よく基板85に供給することができる。
ミスト放出装置83の基板85が過酸化水素供給部材84の下方に設けられ、過酸化水素供給部材84が過酸化水素生成装置82から基板85に向かって延び、当該過酸化水素生成装置82によって生成された過酸化水素を含む水が基板85の上面から供給される構成である。したがって、ミスト放出装置83から放出される過酸化水素を含むミストを、基板85上から上方に向かって放出させることができる。
【0061】
ミスト放出装置83は、基板85と、櫛状電極86とから構成された表面弾性波生成装置であり、表面弾性波に振動によって過酸化水素を含む水をミスト化することができる。また、同一量の水をミスト化する場合においては、超音波振動素子を用いたミスト化よりも表面弾性波を利用したミスト化の方が小スペースである。よって、過酸化水素を含む水のミスト化として表面弾性波を利用することにより、ミスト放出装置83を小型化することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について、図13および図14を参照して説明する。第3の実施形態の家電機器は、洗濯機に、第1の実施形態と実質的に同一の過酸化水素含有ミスト発生装置を備えたものである。なお、上記第1の実施形態と実質的に同一内容については、その内容の説明は省略する。また、洗濯機に対して扉側、例えば図13において左側を前面として説明する。
【0063】
まず、図13に示す洗濯機101は外殻を構成する筐体102を有している。筐体102は、前面が滑らかに傾斜したほぼ矩形箱状をなしている。また、筐体102の上面には、水道水用給水口103及び風呂水用給水口104が設けられている。
前記筐体102の前面中央部には、ほぼ円形状の扉105が設けられている。また、筐体102の前面上部には、操作パネル106及び洗剤類投入部(図示せず)が設けられている。操作パネル106の裏側には制御装置107が設けられている。操作パネル106には、例えば各種運転コースを選択したり運転を開始させたりするための各種スイッチが設けられている。制御装置107は、全体を制御するマイコン等を実装している。
【0064】
筐体102の内部には水槽108が配設されている。水槽108の内部には、収容部をなすドラム109が設けられている。ドラム109内には、対象物である洗濯物が収容される。
これら水槽108およびドラム109は、ともに一端部が閉塞された有底円筒状を成しており、前側の端面部に、それぞれ水槽108の開口部110およびドラム109の開口部111を有している。
【0065】
ドラム109の開口部111は、水槽108の開口部110によって囲われている。水槽108の開口部110は、筐体102の前面部に形成された開口部112にベローズ113によって連ねられている。開口部112には、上記した扉105が開閉可能に設けられている。これにより、開口部110,111,112からなる洗濯物の出し入れ用の投入口が扉105によって開閉されるようになっている。
また、ドラム109の開口部111の周囲には、例えば液体封入型の回転バランサ114が設けられている。ドラム109の周側部、すなわち胴部のほぼ全域には、複数の孔115が形成されている(図13に一部のみ図示)。これら孔115は、洗い行程時、すすぎ行程時及び脱水行程時には通水孔として機能し、乾燥行程時には通風孔として機能するものである。ドラム109の周側部の内面には、複数のバッフル116が突設されており、ドラム109の後側の端面部には、その中心軸と同心となる環状配置によって複数の温風導入口117が形成されている。
【0066】
水槽108の前側の端面部の上部であって開口部110よりも上方の部分には、温風出口118が設けられている。また、水槽108の後側の端面部の上部には、温風導入口117の回転軌跡に対向して温風入口119を有している。筐体102内にあって水槽108の上部には、給水ホース120を介して注水ケース121が接続されている。この注水ケース121には、給水弁122を介して、水道水用給水口103及び風呂水用給水口104が接続されている。給水弁122は、制御装置107により制御される。
【0067】
これらにより、水道水用給水口103からの水道水、或いは、風呂水用給水口104からの風呂水が、給水弁122、注水ケース121、給水ホース120を介して水槽108の内部に供給されるようになっている。注水ケース121内には、洗剤類、例えば洗剤、柔軟仕上げ剤、漂白剤などが投入されるようになっている。そして、これら洗剤類が水道水、或いは、風呂水と共に水槽108内に供給されるようになっている。
【0068】
なお、詳しく図示はしないが、給水弁122は、水道水用給水口103及び風呂水用給水口104が接続される2つの入口ポートを有すると共に、2つの出口ポートを有している。2つの出口ポートのうち、第1の出口ポートは注水ケース121に接続され、第2の出口ポートは後述する給水機構123の給水タンク124に接続されている。このとき、給水弁122は、水道水を注水ケース121に供給する状態、風呂水を注水ケース121に供給する状態、水道水を給水タンク124に供給する状態、両出口ポートを閉じた状態の、4つの位置に切替え可能に構成されている。
【0069】
一方、水槽108の底部の後端部には、排水口125が形成されている。排水口125には、排水ホース126が接続されている。この排水ホース126の途中には排水弁127が設けられている。排水ホース126のうち排水弁127よりも下流の部分は、筐体102の外部に導出されている。これにより、水槽108内の水が機外に排出できるようになっている。
【0070】
水槽108の背面部には、洗濯機モータ130が取り付けてられている。この洗濯機モータ130の回転軸131は水槽108内に突出している。回転軸131の前側の先端部には、ドラム109の後側の端面部の中心部分が連結されている。これにより、ドラム109は、水槽108に同軸状で回転可能に支持されている。即ち、ドラム109が、洗濯機モータ130によって直接回転駆動される構成であり、洗濯機モータ130によるダイレクトドライブ方式を採用している。また、洗濯機モータ130は、この場合、アウターロータ型のブラシレスDCモータから構成されている。
【0071】
水槽108は、複数のサスペンション132(図13に1つのみ図示)によって筐体102に弾性支持されており、この場合の支持形態は、水槽108の軸方向が前後方向となる横軸状で、前上がりの傾斜状である。従って、この水槽108内に上述のように支持されたドラム109も、同形態となっている。
【0072】
水槽108の背面部には、図14に示すように、水槽108内の水位が所定水位を超えたときに溢れた水を、溢水口133から機外に排水するための溢水経路134が設けられている。溢水経路134は、当該溢水口133と、水槽108の背面に取付けられた溢水トラップ135と、溢水ホース136とを備えている。溢水トラップ135は、やや縦長の矩形ケース状をなし、その上部が、水槽108の後面、すなわち図14において洗濯機モータ130の取付け位置のやや左上部の位置に設けられた溢水口133に連通されている。一方、溢水トラップ135の下部には、溢水ホース136の基端部が接続され、この溢水ホース136の先端は、排水ホース126の前記排水弁127よりも下流の部分に接続されている。
【0073】
溢水トラップ135内には、その内部を左右方向にほぼ三等分する第1の仕切板137及び第2の仕切板138が設けられている。第1の仕切板137の下端側及び第2の仕切板138の上端側は開口していて、これにより、溢水口133から溢水ホース136まで蛇行して延びる溢水通路139が形成されている。この構成により、水槽108内から溢水口133を通して溢れた水が、溢水通路139において第2の仕切板138の高さまでの空間に貯留され、溢水トラップ135内の水位が第2の仕切板138の高さを超えると、溢水トラップ135内の水が溢水ホース136を介して機外に排出するようになっている。
【0074】
図13に示すように、筐体102の底面上であって水槽108の下方には、台板141が取付けられている。この台板141上には通風ダクト142が設けられている。この通風ダクト142は、前端部の上部に吸風口143を有している。吸風口143には、接続ホース144及び還風ダクト145を介して、水槽108の温風出口118が接続されている。なお、還風ダクト145は、水槽108の開口部110の側部を迂回するように配管されている。
【0075】
通風ダクト142の後端部には、例えば遠心ファンからなる循環用送風機151のケーシング152が連なって設けられている。このケーシング152の出口部153は、接続ホース154及び給風ダクト155を介して、水槽108の温風入口119に接続されている。前記給風ダクト155は、図14に示すように、洗濯機101の背面側から見て、洗濯機モータ130の右側を迂回して円弧を描く形態に配設されている。ここで、図13に示す還風ダクト145、接続ホース144、通風ダクト142、循環用送風機151のケーシング152、接続ホース154、給風ダクト155によって、水槽108に連通接続された循環風路156が構成されている。
【0076】
循環用送風機151は、遠心羽根車157と、当該遠心羽根車157を回転させるモータ158とを有している。遠心羽根車157は、ケーシング152の内部に設けられている。モータ158は、ケーシング152の外部に設けられている。循環用送風機151は、水槽108内すなわちドラム109内の空気を、循環風路156を通して循環させるものである。
【0077】
循環風路156のうち通風ダクト142の内部の前方には蒸発器159が配置され、後方には凝縮器160が配置されている。これら蒸発器159及び凝縮器160は、何れも詳しくは図示しないが、伝熱フィンを細かいピッチで多数配設してなるフィン付きチューブ型のもので、熱交換性に優れており、それら伝熱フィンの各間を、通風ダクト142内を流れる風が通るようになっている。この風を、図13にて実線の矢印で示す。
【0078】
前記蒸発器159及び凝縮器160は、圧縮機161、及び、図示しない流量制御弁、例えば電子式の制御弁と共に、冷凍サイクルであるヒートポンプ162を構成している。このヒートポンプ162は、圧縮機161、凝縮器160、流量制御弁、蒸発器159の順に、それらを冷媒流通パイプによって閉ループ状に接続して構成され、圧縮機161が作動することによって冷媒を循環させるようになっている。そして、循環風路156内を流れる空気を、蒸発器159によって冷却除湿し、凝縮器160によって加熱して温風化する。
【0079】
循環風路156の途中部分には、第1の実施形態と同様の構成の家電機器たる過酸化水素含有ミスト発生装置51が設けられる。この過酸化水素含有ミスト発生装置51は、循環風路156の途中部分を構成する給風ダクト155において、温風入口119よりも下流であって且つ接続ホース154を上流側に越えた直後の部分に設けられている。
また、図14に示すように、筐体102内の後部であって水槽108の背面側には、過酸化水素含有ミスト発生装置51の貯留部に給水を行う給水機構123が以下のように設けられている。すなわち、給水機構123は、筐体102内の上部に位置して、上述した給水タンク124を備えている。給水タンク124の上端部は、接続ホース171を介して給水弁122の第2の出口ポートに接続されている。
【0080】
給水タンク124の底部には、開閉弁(図示せず)を介して給水経路としての給水配管172が接続されている。給水配管172の下端部は、過酸化水素含有ミスト発生装置51の過酸化水素生成装置52の貯留部に設けられた給水口60(図14参照)に接続されている。貯留部に設けられた排水口61(図14参照)には、排水ホース173(図14参照)が接続されている。排水ホース173の一端部は、筐体102の外部に導出されている。これにより、貯留部から溢れる水は、過酸化水素生成装置52の排水口61および排水ホース173を介して機外に排出できるようになっている。また、ミスト放出装置53のミスト放出開口部(図示せず)には、図13に示すようにミスト供給管174が設けられている。また、給風ダクト155には開放口175が形成されている。そして、給風ダクト155の開放口175にミスト供給管174の一端部が接続されている。これにより、ミスト放出装置53のミスト発生室(図示せず)はミスト供給管174を介して給風ダクト155と連通した構成となる。
【0081】
また、上述した給水タンク124において、当該給水タンク124の底部に設けられた図示しない開閉弁は、制御装置107により開閉制御されるようになっており、通常時は閉塞している。また、この開閉弁が開放動作されることによって、給水タンク124内に一定量、例えば20cc溜められた水が、給水配管172を通して過酸化水素生成装置52の貯留部に供給されるようになる。
【0082】
また、図14に示すように、給水タンク124の側壁部には、給水タンク124内が一定水位を超えたときに余剰水を排出するための排水口181が水平方向に延びて設けられている。つまり、給水タンク124内の底部から排水口181の下端の高さ位置までに、一定量の水が溜められるようになっている。排水口181の一端部は、給水タンク124の外側で、上下方向に延びる管路からなる排水経路182の上端部付近に接続されている。この排水経路182は、排水口181の接続部から更に上方に延びており、その先端である上端が大気に開放している。すなわち、排水経路182の上端部には、排水口181の高さ以上の高さに位置して、大気開放穴183が設けられている。また、この排水経路182の他端側は、溢水トラップ135の溢水通路139の溢水が溜まる部分よりも下流側部分、すなわち溢水ホース136の接続部分の近傍に接続されている。これにて、給水タンク124内において、排水口181の高さを越えた余剰水は、排水口181から排水経路182を通り、更に溢水ホース136を通って機外に排出される。
【0083】
次に、上記構成の作用について述べる。
ユーザが、洗濯機101において、除菌モードでの乾燥運転を行いたい場合には、操作パネル106において除菌モード選択スイッチ(図示せず)をオン操作する。すると、制御装置107は、次のように除菌モードでの乾燥運転を実行する。即ち、乾燥運転の開始前において、まず、制御装置107は、給水弁122の制御により、給水弁122の第2の出口ポートを開放して、給水機構123の給水タンク124に水道水を供給する。そして、給水タンク124内に一定量の水道水が溜められた後、給水弁122が閉じられた状態で、今度は、図示しない開閉弁が開放される。これにより、給水タンク124に溜められた水道水は、給水配管172および過酸化水素生成装置52の給水口60を介して貯留部に供給される。また、貯留部から溢れる水、この場合水道水は、過酸化水素生成装置52の排水口および排水ホース173を介して機外に排出される。
【0084】
なお、給水タンク124に供給される水の量が多い場合は、余剰の水道水が、給水タンク124から排水口181、排水経路182を介して機外に排出される。
次に、制御装置29が過酸化水素含有ミスト発生装置51の過酸化水素生成装置52を駆動すると、第1の実施形態と同様に、貯留部に溜められた水の電気分解が生じ、貯留部に過酸化水素が生成される。生成された過酸化水素を含む水は、過酸化水素供給部材54の毛細管現象によって吸い上げられ、ミスト放出装置53に供給され、ミスト化される。そして、過酸化水素を含むミストは、ミスト放出装置53のミスト放出開口部から、ミスト供給管174、給風ダクト155および水槽108を介して、洗濯物が収容されているドラム109に供給される。これにより、ドラム109内の洗濯物に過酸化水素を含むミストをかけることができ、当該洗濯物の除菌、脱臭が行われる。なお、ドラム109の近傍、例えば温風入口119に紫外線ランプを設けて、ミストに含まれる過酸化水素に紫外線を当ててヒドロキシラジカルを生成し、酸化作用を高め、当該ヒドロキシラジカルを収容部に供給するようにしてもよい。
【0085】
上記した第3の実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
過酸化水素含有ミスト発生装置51を備える洗濯機によれば、当該過酸化水素含有ミスト発生装置51によって生成した過酸化水素を含む水を、ドラム109に収容された洗濯物に供給することができる。これにより、洗濯物の除菌、脱臭を行うことができる。
その他、第3の実施形態の過酸化水素含有ミスト発生装置51は、第1の実施形態と同様の過酸化水素含有ミスト発生装置51と同様の効果を得ることができる。
【0086】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について、図15を参照して説明する。第4の実施形態の家電機器は、第3の実施形態と実質的に同一の洗濯機に、第2の実施形態と実質的に同一の過酸化水素含有ミスト発生装置を備えたものである。なお、上記第1〜第3の実施形態と実質的に同一内容については、その内容の説明は省略する。また、洗濯機に対して扉側、例えば図15において左側を前面として説明する。
【0087】
洗濯機101の循環風路156の途中部分には、第2の実施形態と同様の構成の家電機器たる過酸化水素含有ミスト発生装置81が設けられる。この過酸化水素含有ミスト発生装置81は、循環風路156の途中部分を構成する給風ダクト155において、温風入口119よりも下流であって且つ接続ホース154を上流側に越えた直後の部分に設けられている。
【0088】
給水配管172の下端部は、過酸化水素生成装置82の貯留部に設けられた給水口(図示せず)に接続されている。貯留部に設けられた排水口(図示せず)には、排水ホース173が接続されている。排水ホース173の一端部は、筐体102の外部に導出されている。また、過酸化水素生成装置82の前部、過酸化水素供給部材(図示せず)、およびミスト放出装置83の基板85は、給風ダクト155内に設けられている。
【0089】
次に、上記構成の作用について述べる。
ユーザが、洗濯機101において、除菌モードでの乾燥運転を行いたい場合には、操作パネル106において除菌モード選択スイッチ(図示せず)をオン操作する。すると、制御装置107は、次のように除菌モードでの乾燥運転を実行する。即ち、乾燥運転の開始前において、まず、制御装置107は、給水弁122の制御により、給水弁122の第2の出口ポートを開放して、給水機構123の給水タンク124に水道水を供給する。そして、給水タンク124内に一定量の水道水が溜められた後、給水弁122が閉じられた状態で、今度は、図示しない開閉弁が開放される。これにより、給水タンク124に溜められた水道水は、給水配管172および過酸化水素生成装置82の給水口を介して貯留部に供給される。また、貯留部から溢れる水、この場合水道水は、排水口および排水ホース173を介して機外に排出される。
【0090】
なお、給水タンク124に供給される水の量が多い場合は、余剰の水道水が、給水タンク124から排水口181、排水経路182を介して機外に排出される。
次に、制御装置107が過酸化水素含有ミスト発生装置81の過酸化水素生成装置82を駆動すると、第2の実施形態と同様に、貯留部に溜められた水の電気分解が生じ、貯留部に過酸化水素が生成される。生成された過酸化水素を含む水は、過酸化水素供給部材(図示せず)を通り、ミスト放出装置83に供給され、ミスト化される。そして、過酸化水素を含むミストは、ミスト放出装置83の基板85から、給風ダクト155および水槽108を介して、洗濯物が収容されているドラム109に供給される。これにより、ドラム109に収容されている洗濯物に過酸化水素を含むミストをかけることができ、当該洗濯物の除菌、脱臭が行われる。
【0091】
上記した第4の実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
過酸化水素含有ミスト発生装置81を備える洗濯機によれば、当該過酸化水素含有ミスト発生装置81によって生成した過酸化水素を含む水を、ドラム109に収容された洗濯物に供給することができる。これにより、洗濯物の除菌、脱臭を行うことができる。
その他、第2の実施形態の過酸化水素含有ミスト発生装置81は、第2の実施形態と同様の過酸化水素含有ミスト発生装置81と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について、図16を参照して説明する。第5の実施形態の過酸化水素含有ミスト発生装置51´は、過酸化水素生成装置52の側面にミスト放出装置53´が設けられた構成である。ミスト放出装置53´は、ミスト発生室64´と、超音波振動素子65と、振動板66´とを有している。第5の実施形態では、貯留部55の側面の一部、例えば図16では右側の側面の一部にミスト発生室64´が形成されている。ミスト発生室64´は、過酸化水素生成装置52の外部と貯留部55内とを連通させる筒状をなし、軸方向のうち外部側の端部にミスト放出開口部67´が形成されている。そして、ミスト発生室64´の軸方向に対して垂直になるようにして、振動板66´が設けられている。例えば、図16では、振動板66´が貯留部55の一部を構成するように設けられ、振動板66´の周囲からミスト発生室64´が右方向に突出して設けられている。ここで、振動板66´は、第1の実施形態の振動板66と同様のもの、すなわち多孔質のセラミックス製であるため、貯留部55内の水は、貯留部55側の面から、貯留部55とは反対側の面、すなわち外部側にしみ出る構成である。
【0093】
振動板66´の面のうち外部側の面には超音波振動素子65が設けられている。これにより、貯留部55内の過酸化水素を含む水は、表面張力による毛細管現象によって振動板66´の孔内を移動する。そして、振動板66´の外部側の面上にしみ出た過酸化水素を含む水は、超音波振動素子65による振動で振動された振動板66´によってミスト化され、当該ミストは、ミスト発生室64´の右側、すなわちミスト放出開口部67´から外放出される。放出されたミストは、図示しないミスト供給管を通って、収容部に供給される。
【0094】
上記構成によれば、振動板66´が、振動部材として作用するとともに、過酸化水素移動手段としても作用する。したがって、第5の実施形態では、第1の実施形態の過酸化水素供給部材54を用いなくてすむ。
その他、第5の実施形態の過酸化水素含有ミスト発生装置51´は、第1の実施形態と同様の過酸化水素含有ミスト発生装置51と同様の効果を得ることができる。
なお、ミスト発生室64´は、一例として、貯留部55の右側の側面に形成して説明したが、貯留部55の底面またはその他の方向の側面に形成してもよい。
【0095】
以上のように本実施形態の家電機器は、対象物を収容する収容部と、過酸化水素を生成する過酸化水素生成手段と、前記過酸化水素生成手段によって生成された過酸化水素を含む水をミスト化し、当該ミストを前記収容部に放出するミスト放出手段と、前記過酸化水素生成手段と前記ミスト放出手段との間に設けられ、当該過酸化水素生成手段によって生成された過酸化水素を当該ミスト放出手段に供給する過酸化水素移動手段と、を備えている。これにより、過酸化水素生成手段からミスト放出手段に供給される水の量は、過酸化水素移動手段を通る一定の量となり、ミスト放出手段で生成されるミストの濃度を極力均一にできる。よって、濃度が極力均一なミストを収容部に供給することができる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、第3及び第4実施形態で説明した前上がりの傾斜状の洗濯機の代わりに、洗濯槽の軸が上下方向に指向した縦軸型洗濯機を用いてもよい。
超音波振動素子は防水手段、例えばビニールのシートで超音波振動素子を覆うなどにより水がかからないようにしても良い。また、振動板のうち超音波振動素子が配置された部分には、水が超音波振動素子の所に達しないように孔を埋めるなどの防水処理をしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
図面中、1は冷蔵庫(家電機器)、3は冷蔵室(収容部)、4は野菜室(収容部)、5は製氷室(収容部)、7は冷凍室(収容部)、14はチルド室(収容部)、52,82は過酸化水素生成装置(過酸化水素生成手段)、53,53´はミスト放出装置(ミスト放出手段)、54,84は過酸化水素供給部材(過酸化水素移動手段)、55は貯留部、57は電極、60は給水口、61は排水口、65は超音波発生素子(振動発生手段)、66は振動板(振動部材)、66´は振動板(過酸化水素移動手段、振動部材)、83はミスト放出装置(ミスト放出手段、表面弾性波生成装置)、85は基板(振動部材)、86は櫛状電極(振動発生手段)、101は洗濯機(家電機器)、109はドラム(収容部)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を収容する収容部と、
過酸化水素を生成する過酸化水素生成手段と、
前記過酸化水素生成手段によって生成された過酸化水素を含む水をミスト化し、当該ミストを前記収容部に放出するミスト放出手段と、
前記過酸化水素生成手段と前記ミスト放出手段との間に設けられ、当該過酸化水素生成手段によって生成された過酸化水素を当該ミスト放出手段に供給する過酸化水素移動手段と、
を備えていることを特徴とする家電機器。
【請求項2】
前記過酸化水素生成手段は、電極を有し、水の電気分解によって過酸化水素を生成することを特徴とする請求項1記載の家電機器。
【請求項3】
前記過酸化水素移動手段は、過酸化水素を含む水が毛細管現象で移動可能な多孔質部材で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の家電機器。
【請求項4】
前記ミスト放出手段は、振動を発生する振動発生手段と、当該振動発生手段の振動によって振動される振動部材とを有し、当該振動部材に供給された過酸化水素を含む水を振動させてミスト化することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の家電機器。
【請求項5】
前記過酸化水素移動手段は、前記振動部材に接していることを特徴とする請求項4記載の家電機器。
【請求項6】
前記振動部材は、前記過酸化水素生成手段の上方に設けられ、
前記過酸化水素移動手段は、前記過酸化水素生成手段から前記振動部材に向かって延び、当該過酸化水素生成手段によって生成された過酸化水素を含む水を前記振動部材の下面から供給することを特徴とする請求項5記載の家電機器。
【請求項7】
前記振動部材は、前記過酸化水素生成手段の下方に設けられ、
前記過酸化水素移動手段は、前記過酸化水素生成手段から前記振動部材に向かって延び、当該過酸化水素生成手段によって生成された過酸化水素を含む水を前記振動部材の上面から供給することを特徴とする請求項5記載の家電機器。
【請求項8】
前記振動発生手段は、超音波振動素子、または櫛状電極であることを特徴とする請求項4から7のいずれか一項記載の家電機器。
【請求項9】
前記過酸化水素生成手段は、水を溜める貯留部と、前記貯留部に水を供給する供給口と、前記貯留部の所定の高さの所に設けられ当該貯留部に供給された水が所定量を超えた場合に当該所定量を超えた分の水を排水する排水口とを有していることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の家電機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−87968(P2012−87968A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233541(P2010−233541)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】