説明

容器のための蓋

本発明は、容器のための蓋に関するものである。本発明による蓋は、デッドスペースを有さず、好ましい媒体の流れを保証し、高度な固定を含む。本発明による蓋は、容器に接続可能な上側部分(1)を含み、開口(2)ならびに同軸に配置され中間スペースを形成する外側中空体(3)および内側中空体(4)を有する。本発明による蓋の開口(2)は、プラグ(5)によって閉じることができ、前記プラグ(5)は、保持デバイス(6)により、下側部分(7)に同軸に中空体の形態で保持することができる。開口(2)を開くために、下側部分(7)の上部は、容器から離れた中間スペース内で長手方向に変位可能である。固定デバイス(8、9)により、下側部分(7)の長手方向の変位を制限することで、下側部分(7)を完全に取り除くことによる蓋の不用意な開きを防止することができる。本発明による蓋は、媒体の容器への供給、および、容器からの取り出しを可能にし、他の容器デバイスに保持する蓋を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のための蓋に関し、該蓋は、媒体の供給および除去を保証する。この種類の蓋は、特に使い捨ての反応器(reactors)、混合反応器ならびに薬剤学およびバイオテクノロジーにおける生物反応器に利用される。
【0002】
容器の蓋は、多くの異なる態様において知られている。実験室の技術および製品の薬剤生産または食品技術などの産業利用の範囲における容器には、簡単に確実に取り扱うことが可能な蓋が要求される。特に使い捨て製品の範囲において、特に費用効率が高い生産が要求される。
【0003】
US5975369には、飲料ボトルの蓋が開示されており、飲料ボトルに接続される第一スリーブは、円筒状のラムを有する。蓋はさらに、ボトルに接続される第一スリーブの直径より小さい直径を有する第二円筒状スリーブを有し、小さい直径を有する円筒状スリーブは、その上端に開口を有し、開口は、ボトルの閉鎖時に円筒状ラムによって閉じられる。小さい直径を有する円筒状スリーブは、ラムに沿って軸方向に変位することができる。ラム上の固定デバイスおよび小さい直径を有するスリーブを用いて(例えば、小さい直径を有するスリーブの内壁上のストップを用いて)、小さい直径を有するスリーブは、ラムから取り除かれることが防がれる。この場合は、蓋自体にデッドスペースがあることが不利益であると判明している。円筒状のスリーブおよびラムの間には、構造的に生じる隙間がある。例えば、飲料ボトルとして正しく利用しても、容器カバーへのアタッチメントが提供されるため、媒体の容器への還流を可能にする。容器の底部に取り付けられる場合、この種類の蓋は前記隙間に残る媒体のためのスペースを作り出す。蓋のデッドスペースに残る媒体の一部は、容器内の媒体と同じ条件の下には置かれないため、この種類の蓋は、使い捨て反応器、混合または生物反応器における利用には不向きである。また、粒子がデッドスペースに沈着して、これらをブロックする可能性がある。
【0004】
US2003/0121879A1、US6758359B2、US6321924B1およびWO2005/044685A1には、飲料用のボトル蓋および洗浄剤容器が開示されており、該ボトル蓋は、US5975369に開示された蓋、ラムおよび前記要素のカバー保護キャップの構成の点において、さらなる発展を含む。正しい使い方が全体的に異なるので、これらのさらなる発展であっても、デッドスペースの問題を解決していない。
【0005】
最後に、US2007/0102450A1には、蓋部、フランジおよび2つのシーリングリングを有する、容器のための蓋が開示されており、蓋部は、一端が閉じ他端が開いている中空ピストンであり、閉鎖端の下には、蓋が開かれた場合に媒体がそれを介して流れるボアがある。シールは、ボアの上および下に位置する。閉じた状態において、閉鎖端は上部シーリングリングと共にフランジ開口を閉鎖する。
【0006】
US2007/0102450A1に開示された第一態様において、中空ピストンは、開放のために容器の中への変位が可能である。この場合の不利益は、容器の中へ突出する部分が、例えば、好ましくは蓋のように中央に提供される攪拌器またはガス吹き込みデバイスのような、容器の内側に提供することができる要素に干渉することである。
【0007】
第二の態様において、中空ピストンは、容器から“予備スペース”(preliminary space)へ引き戻すことが可能である。蓋の開放状態において、媒体は予備スペースへ、そして、そこからボアを介して中空ピストンへ通る。ここでの不利益は、構造に起因する固定の欠如、および、したがって中空ピストンの無意識で完全な引き抜きに対する保証がないことである。さらなる不利益は、排出動作の間の容器の中身の好ましくない偏向である。媒体は、閉鎖端によって、および開放状態における予備スペースに位置するボアを利用して繰り返し偏向され、したがって、比較的高度の流れ抵抗に直面する。これは、第一に、せん断に敏感である物質への悪影響を有し、これにより、第二に、体積流量が減少し、容器が空になるのに時間がかかる。予備スペースは、蓋が閉鎖状態にある場合に、さらに所定の不利益がある。容器内部に取り付けられるシーリングリングでの漏出の場合、また、不適切または不完全な閉鎖の場合に、予備スペースが媒体で満たされることである。小さい漏出の場合、予備スペースがまず最初に満たされ、媒体はしばらくした後にのみ、ボアを介して中空ピストンに、そしてそこから排出チューブに通る。さらに、予備スペースは、結果的に衛生的な設計に関して望ましくないデッドスペースをもたらす。したがって、行われるであろう洗浄において問題があり、例えば、バクテリアが繁殖または細胞が死ぬかもしれない。また、残りの物質が異質に発達したり、蓋が開放されることによる媒体の除去の間に、予備スペース内に残る物質に必然的に接触し、対応する解析に誤りが生じる。
【0008】
US2007/0102450A1の両方の態様における共有の不利益は、両方のシールでの漏出の場合、または開放状態において、ボアの下のシールにおいて漏出がある場合に、容器の中身が開口に現れることである。これは、スタッフおよび/または環境への有害な汚染を招き、さらに、保持されるべき無菌状態を危機にさらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、容器のための蓋を提供する目的に基づいており、該蓋は、デッドスペースがなく、また、媒体のための好ましいガイドおよび高い安全性を有する。
【0010】
本発明の目的は、請求項1に記載のデバイスにより達成される。本発明による容器のための蓋は、上側部分および下側部分を含む。上側部分は、容器に接続することができ、開口部を有する。さらに、外側中空体およびそれと同軸に配置される内側中空体を有し、外側中空体との間に中間スペースを形成する。
【0011】
開口は、プラグ(plug)により閉鎖される。後者は、少なくとも1つの保持デバイスを用いて、中空体の形体の下側部分において同軸に保持される。開口を開くために、下側部分の上部は、中間領域の内部を長手方向に、容器から離れる向きに変位可能であり、下側部分の長手方向への変位性は固定デバイスにより制限される。したがって、開放および閉鎖のために、物体が容器の内側の領域へ移動することがないことが保証される。固定デバイスは、取り扱いを望ましい簡単さである一方、同時に下側部分が取り除かれることを防ぎ、よって、重要な固定機能をも引き受ける。慌しい、急激なまたは強過ぎる開放動作は吸収緩和される。さらに蓋は、基本的に上側部分および下側部分の2つの部分を含み、それぞれは簡単に安価に製造することが可能であり、それらは互いに結合可能である。さらに重要な利点は、媒体のガイド方法にある。容器が、蓋を通ってライン(line)に至る、開口内の直線的な遷移を有することにより、媒体のための予備スペース、すなわちデッドスペースは、排除される。2つの同軸中空体ならびにそこに保持され長手方向に変位可能な方法でガイド可能である中空体形状である下側部分を用いて、媒体は、容器内へ、または容器から外へ、直線的で、単純で、かつ保護された方法でガイドされる。さらに、この構造は、媒体が外側に通っていくことを不可能とすることを意味し、したがって環境への汚染や個人への被害を防ぐ。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、下側部分の内壁上および内側中空体の外壁上に固定デバイスが配置される。これは、射出成形により簡単に安価に実現することができる。押したり引いたりする操作は、したがって容器の確実で簡単な開放および閉鎖をもたらすことができる。そして同時に、完全に取り除かれることを効果的に防ぐ。外側シリンダ、内側シリンダおよびプラグを備える下側部分の相互の配置構成が、例えば強制的な開放により屈曲することを防ぎ、それゆえに固定デバイスが互いを乗り越えて動いてしまうことを防ぐため、蓋の設計はその製造において、柔軟性のある素材を使用することを許容する。
【0013】
本発明による蓋の特に好ましい態様によれば、閉鎖状態において、プラグの端部の上端は、上側部分にそろう。したがって、容器の内側に提供される攪拌器、ガス吹き込みデバイス等のような要素に対して悪影響のある容器内への突出部分は存在しない。蓋は、前記要素のように、好ましくは容器底部上の可能な限り中央に配置される。
【0014】
さらに好ましい蓋の態様において、プラグは、例えばOリングのようなシーリングリングにより、上側部分の開口を密封する。これは、確実で厳重な閉鎖を保証する。1つの態様は、プラグの周りのシーリングリングであってもよい。さらなる態様は、例えば、シーリングリングの開口への取り付けを含む。
【0015】
これら上記の場合、本発明による蓋の好ましい態様は、開放状態において、開口は、媒体を、内側中空体の内壁およびプラグの間の中間スペースを介して容器から除去することまたは容器に提供することを可能にする。これら上記の態様は、媒体の特に無菌の形での容器への提供、または、そこからの無菌の形での除去を可能にする。
【0016】
本発明のさらに有利な改善においては、外側中空体の内壁および内側中空体の外壁のそれぞれが、少なくとも1つのシーリング要素を有する。したがって、媒体は無菌の形で流出および流入することができ、不完全な閉鎖により開口を介して出現する、またはすでに出現した、または漏出による媒体、または、取り出しもしくは注入を行った後に、蓋に蓄積するかもしれない媒体のためのデッドスペースが存在しない。結果的に、周囲に出現する漏出を防ぐ追加の固定手段がさらに存在する。よって、環境への汚染は防止され、個人への危険性は排除される。最小限の流れ抵抗は、容器がすでに満たされている場合に、媒体がプラグを通って直接下側部分へ、そしてそこから排出ラインへ流れること可能にする。媒体は、容器へ流入する場合も、同じように振舞う。しかしながら、高い体積流量の場合は、媒体の一部が、中空体の内側および外側の間の領域へ、内側中空体の外壁に沿ったパスへ流れることもあり得る。よって、上記領域においてシーリング要素を用いることによって、漏れを効果的に防止することができる。
【0017】
本発明による蓋の特に好ましい態様によれば、外側中空体および/または内側中空体内および/または下側部分は、回転対称設計である。形状は、好ましくは円形である。したがって、製造および取り扱いは容易である。円筒状設計の場合は特に、チューブラインまたはパイプへの接続が簡単になる。
【0018】
本発明のさらに改善された利点において、外側中空体および/または内側中空体および/または下側部分は、多角形設計である。
【0019】
本発明のさらに好ましい態様によれば、固定デバイスは、環状シーリングリップ(lip)またはリブ(rib)である。この種類の固定デバイスは、下側部分が上側部分から取り除かれることに対する効果的なバリアを保証する。例えば、シーリングリップは、上側部分および下側部分をお互いに簡単な方法でガイドするため、ならびに、それと同時に下側部分の中空体を、上側部分の内側および外側シリンダの範囲内にロックするために利用可能である。一側面が傾斜した突起を用いることで、この種類のシーリングリップは、1つの内側にもう1方を簡単に挿入することを許し、その後は前記ポイントを越えた引き抜きを防止する。
【0020】
本発明のさらに好ましい態様において、少なくとも1つの保持デバイスは、下側部分の内壁に取り付けられてプラグを保持するウェブ(web)である。
【0021】
本発明のさらに好ましい態様において、下側部分の下部領域は、円錐型設計である。この場合、“下部領域”という表現は、蓋が取り付けられた場合の容器との相対的な意味として理解されるであろう。円錐型領域を用いて、チューブラインは確実に、固定式に、迅速に接続することができる。下側部分の下部領域の他の態様として、パイプのためのネジ、圧着接続等々も可能である。直径は要望に合わせて変更されることができる。
【0022】
本発明のさらに好ましい態様において、蓋は、例えば、ネジ込み、接着、締め付けまたは溶接により容器に接続してもよい。上側部分の上部は、好ましくは開口が貫通するディスクとして設計され、上記接続オプションにより容器に接続してもよい。
【0023】
本発明のさらに好ましい態様において、容器は、使い捨ての反応器であって、柔軟性のあるプラスチックから形成される。特に使い捨て製品の場合は、費用効率が高く、しかし、確実で簡単に取り扱うことができる蓋を提供する必要があり、それは本発明が達成している事柄である。
【0024】
本発明による蓋のさらに好ましい態様において、容器の混合デバイスのステム(stem)またはガス吹き込みデバイスは、上側部分により保持されてもよい。攪拌器またはガス吹き込みデバイスは、それらの生成(流れ、気泡)工程の一部で一様な分配を必要とするため、本発明による、容器内部に突出しない蓋の態様を用いて、例えば、蓋自体のように、攪拌器またはガス吹き込みデバイスを中央に提供してもよい。これは、特に高い安定度を達成することができるため、攪拌器は、好ましくは同様に両側に取り付けられる。保持デバイスは、例えば、蓋に取り付けられるか、またはそこに一体化される。
【0025】
本発明のさらに好ましい態様において、蓋は、ユニオンナット(union nut)、バヨネット式(bayonet)蓋、ネジり(torsional)スナップイン式接続、または所定の切断点を備えるスリーブを用いて固定して、想定外の開放を防ぐ。前記デバイスは、例えば、RFIDデバイス、もしくは、蓋の想定外の開放を登録および格納し、読み取り可能な形式で利用者に情報を提供するコンピュータプログラム製品と連動した、指標機能を実現してもよい。さらなる例としては、所定の切断点を備えるスリーブがある。スリーブは、カラー(collars)を介して一端が上側部分へ、また、他端が下側部分へ接続され、一つの内側にもう一つが在る状態を保つ。カラーを互いに反対方向に回転させるか、または下側部分を上側部分に対して回転させることで、スリーブが所定の切断点において壊れ、蓋を開けることができる。スリーブにおける破壊は、排出を示す指標として利用することができ、したがって、より良い工程の安全性および制御をもたらす。
【0026】
本発明のさらに好ましい態様において、上側部分および下側部分のそれぞれはネジ山を有し、下側部分は上側部分にネジ込むことができる。例えば、小さな量の媒体であっても、制御下で解放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a〜図13は、容器のための蓋の異なる態様を示す。
【図1a−b】図1aは、典型的な態様の断面を示す。図1bは、典型的な態様の斜視図を示す。
【図2a−b】図2aは、開放状態の容器のための蓋の典型的な態様の断面図を示す。図2bは、閉鎖状態の容器のための蓋の典型的な態様の断面図を示す。
【図3a−b】図3aは、下側部分の典型的な態様の断面図を示す。図3bは、図3aの切断線A−Aに沿った下側部分の態様の上面図を示す。
【図4】図4は、シーリングリングを備える上側部分の態様の詳細図を示す。
【図5】図5は、シーリングリップを備える上側部分の態様の詳細図を示す。
【0028】
【図6−7】図6は、所定の切断点を有するスリーブを備える容器のための蓋の典型的な態様の斜視図を示す。図7は、ユニオンナットを用いた固定を備える容器のための蓋の典型的な態様の斜視図を示す。
【図8−9】図8は、貫通ボアを含む攪拌ロッドのマウントのためのレセプタクル(receptacle)を備えた容器のための蓋の典型的な態様の斜視図を示す。図9は、攪拌ロッドおよびベアリングを含む攪拌ロッドのマウントのためのレセプタクルを備えた図8の容器のための蓋の断面を示す。
【図10−11】図10は、ネジ込み型の容器のための蓋の典型的な態様の斜視図を示す。図11は、溶接型の容器のための蓋の典型的な態様の斜視図を示す。
【図12】図12は、ネジ山を備えた容器のための蓋の典型的な態様の断面を示す。
【図13】図13は、チューブ接続に取り付けられるラインを備えた容器上の蓋の典型的な態様の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1a〜図2bによれば、容器のための蓋は、容器に接続することができる上側部分1および下側部分7を含む。上側部分は、開口2を有し、同軸に配置される外側中空体3および内側中空体4を有する。内側中空体3および外側中空体4は、お互いに中間スペースを形成する。開口2を閉じるために、プラグ5は、中空体の形態で、少なくとも1つの保持デバイス6を用いて下側部分7の同軸に保持され、一方で、開口2を開くために、下側部分7の上部は、中間スペース内を長手方向に、容器から離れる方向に変位させることができる。下側部分7の長手方向の変位性は、固定デバイス8、9により制限される。
【0030】
図1aは、容器のための蓋の典型的な態様の断面を示し、上側部分1および下側部分7は、互いに別々に示されている。同様の典型的な態様が、図1bにおいては斜視図として、図2aにおいては開放状態の断面として、図2bにおいては閉鎖状態の断面として示されている。可能性のあるシーリング要素11が示される。
【0031】
図3bは、図3aの切断線A−Aに沿った下側部分7の上面図を示す。この典型的な態様において、3つのプラグ保持部6がプラグ5を留めるために提供される。流れる媒体のための十分なスペースと、プラグ5の十分な安定をもたらす。異なる配置、種類および数の保持デバイス6が同様に可能である。
【0032】
図4および図5は、シーリングリング10(図4)およびシーリングリップ12(図5)を備えた典型的な態様のそれぞれの詳細図である。
【0033】
図6および図7は、ユニオンナット15(図7)を用いた、または、1つ以上の所定の切断点17(図6)を備えたスリーブを用いた固定を備えた容器のための蓋の態様を斜視的に示す。図6に示されたようなスリーブ16は、例えば、上側領域は上側部分1に、下側領域は下側部分7に留められる。前記留めは、例えばカラーを介して行うことができる。1つ以上の所定の切断点17の存在は、蓋の開放を容易にし、同時に指標としての役目を果たす。したがって、使用前および不用意な開放を認識でき、無菌性が保たれる。さらに、スリーブ16は、上側部分1および下側部分7を共に確実に効果的に保つ。これらを共に保つことは、図7に示されるように、ユニオンナット15の助けにより保証される。例えば、ユニオンナット15がその下部領域において下側部分7に固定式に接続され、その内部または外部ネジ、それは態様に応じてであるが、を介してそれと噛み合う上側部分の接合ネジの周りにネジ込みまたはネジ抜き(unscrewed)可能である場合、このような態様は同時に、開放および閉鎖機構としての役目を果たす。同様に、回転可能にマウントされたチューブ接続24または類似の種類のデバイスは、ライン25に対して回転させることができる。
【0034】
図8の典型的な態様は、ステム14をマウントするために、上側部分1に接続することができる貫通ボア20を含むレセプタクルを備える、容器のための蓋を斜視的に示す。例えば、ガス吹き込みデバイスまたは攪拌器のような、生物反応器に利用される任意の装置部品が、マウントレセプタクル19用として考えられる。容器内部および蓋の間の媒体のための通路を確保し続けるものとして、例えばマウントレセプタクル19上の貫通ボア20または他の開口部が考えられる。マウントレセプタクル19は、例えば、射出成形を用いて一体的に上側部分1の恒久的な部分として製造するか、または、例えば、接着、溶接、または締め付けまたはネジ込みにより、分離されたデバイスとして上側部分1に取り付けることが可能である。そしてまた、マウントレセプタクル19を容器に直接接続することも可能である。マウントレセプタクル19に置かれたステム14を備える典型的な態様の断面が、図9に示されている。マウントレセプタクル19上に置かれ、攪拌ステムを回転可能に支持するベアリング21がここに示される。上記ステム14はまた、異なる装置の部分を構成、または容器を安定させるための役目を果たしてもよい。
【0035】
図10および図11は、容器のための蓋の上側部分1の典型的な態様を示す。蓋は、要求、必要性または素材の整合性に従った任意の素材から製造可能である。例えば、ディスク13は、ネジ込み部として設計可能であり、図10に斜視的に示されるように、金属製容器において多く用いられるようなネジ22を装備することができる。プラスチックまたは他の素材で作られたこの種類の態様もまた考えられる。図11は、容器の内壁または外壁に溶接または接着可能な溶接部または接着部としての典型的な態様を斜視的に示す。プラスチック容器を利用する場合、例えば、上側部分1は、好ましくはプラスチック容器の壁に溶着されるディスク13を有する。
【0036】
図12の断面に示される態様は、容器のためのネジ山18を有する。下側部分7を上側部分1にネジ込めるように、上側部分1および下側部分7にはともにネジが提供される。蓋は、下側部分7を上側部分1に対して回転させることで開放または閉鎖される。この目的のため、図12に示されるように、外側中空体3の外壁上の下側部分7には、内部ネジ、また、外側中空体3の内壁上の上側部分1には、外部ネジを提供することができる。ネジ山18はまた、異なる位置に提供または一体化され、例えば、下側部分7の内壁上に提供または一体化される外部ネジ、および、内側中空体4の外壁上に提供または一体化される内部ネジにより、態様の種類(内部または外部ネジ)に合わせて置き換えられる。また、外側中空体3および内側中空体4の間を掘って雌ネジを提供し、雄ネジとして具現化される下側部分7がその雌ネジにネジ込むことができるようにすることも可能である。ネジ山18は、例えば、ISO規格のネジ、ウィットウォースネジ(Whitworth thread)、パイプネジ(pipe thread)、台形ネジ(trapezoidal thread)、円形ネジ(round thread)、または、のこ歯ねじ(buttress thread)として設計してもよい。ネジ山18の利用は、媒体の制御された提供および除去を可能にする。例えば、細目ねじ山(fine screw thread)を利用する場合は、回転毎の微小な進行が正確な調整を可能にする。一般的に、ネジを備える態様は、高い安定性、強度、柔軟性および安全性を提供する。
【0037】
図13は、容器のための蓋の典型的な態様を通る断面を示し、上側部分1は使い捨て容器23に留められている。明確性のために、使い捨て容器23の一領域だけが追加の要素なしに示されている。下側部分7は、部分的に上側部分1に結合され、下側部分7のチューブ接続24に取り付けられるライン25と共に示される。下側部分7は、一般的に、チューブまたはパイプの任意の直径に適合される。
【符号の説明】
【0038】
1 上側部分
2 開口
3 外側中空体
4 内側中空体
5 プラグ
6 保持デバイス
7 下側部分
8 固定デバイス
9 固定デバイス
10 シーリングリング
11 シーリング要素
12 シーリングリップ
13 ディスク
14 ステム
15 ユニオンナット
16 スリーブ
17 所定の切断点
18 ネジ山
19 マウントレセプタクル
20 貫通ボア
21 ベアリング
22 ネジ
23 使い捨て容器
24 チューブ接続
25 ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口(2)、外側中空体、ならびに外側中空体と同軸に配置され外側中空体との間に中間スペースを形成する内側中空体を有する、容器に接続可能な上側部分、および
中空体形状の下側部分(7)に、少なくとも1つの保持デバイス(6)により同軸に保持される、開口(2)を閉じるためのプラグ(5)、
を含む、容器のための蓋であって、
下側部分(7)の上部は、開口(2)を開くために、中間スペース内を長手方向に、容器から離れる方向に変位可能であり、下側部分(7)の長手方向への変位性は、固定デバイス(8、9)により制限される、
前記蓋。
【請求項2】
固定デバイス(8、9)が、下側部分(7)の内壁上および内側中空体(4)の外壁上に配置される、請求項1に記載の蓋。
【請求項3】
閉じた状態において、プラグ(5)の上端が、上側部分(1)の同一平面上にそろう、請求項1または2に記載の蓋。
【請求項4】
シーリングリング(10)またはシーリングリップ(12)により、プラグ(5)が、上側部分(1)の開口(2)をシールする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項5】
開いた状態において、蓋が、内側中空体(4)の内壁およびプラグ(5)の間の中間スペースを通して容器から媒体を取り出すこと、または、容器に媒体を供給することを可能にする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項6】
媒体を無菌状態で取出しまたは供給することができる、請求項5に記載の蓋。
【請求項7】
外側中空体(3)の内壁および内側中空体(4)の外壁のそれぞれに少なくとも1つのシーリング要素(11)を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項8】
外側中空体(3)および/または内側中空体(4)および/または下側部分(7)が円形断面を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項9】
外側中空体(3)および/または内側中空体(4)および/または下側部分(7)が多角形断面を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項10】
固定デバイス(8、9)が、包囲シーリングリップ(12)またはリブである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項11】
少なくとも1つの保持デバイス(6)が、下側部分(7)の内壁に取り付けられ、プラグ(5)を保持するウェブである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項12】
下側部分(7)の下部領域が円錐状である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項13】
蓋が、ネジ込み、接着、締め付けまたは溶接により容器に接続可能である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項14】
上側部分(1)の上部が、容器に接続可能で開口(2)が貫通するディスク(13)として設計される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項15】
容器が使い捨て反応器である。請求項1〜14のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項16】
反応器が、柔軟性のあるプラスチックから形成される、請求項14に記載の蓋。
【請求項17】
容器の混合デバイスのステム(14)が、上側部分(1)により保持可能である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項18】
ガス吹き込みデバイスが、上側部分(1)に保持可能である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項19】
不用意な開きに備えて、ユニオンナット(15)、バヨネット式蓋、ネジりスナップイン式接続、または1つ以上の所定の切断点(17)を備えるスリーブ(16)を用いて、蓋が固定される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項20】
上側部分(1)および下側部分(7)のそれぞれがネジ山(18)を有し、下側部分(7)が上側部分(1)にネジ込み可能である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の蓋。

【図1a−b】
image rotate

【図2a−b】
image rotate

【図3a−b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−7】
image rotate

【図8−9】
image rotate

【図10−11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2012−510932(P2012−510932A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538862(P2011−538862)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008176
【国際公開番号】WO2010/063372
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(507266912)ザトーリウス ステディム ビオテーク ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】