説明

容器を容器処理設備から除去するための装置

本発明は、個々の容器を稼働中に迅速かつ確実に設備から除去することを可能にする、容器を容器処理設備から除去するための装置を提供することを目的とする。本発明では、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する装置によって実現される。
これは、操作部材(5)に、終端側に配置された、負圧を印加できる吸引ゴム(6)が備えられており、吸引ゴムが、前記負圧の印加時に容器(3)が吸引ゴムによって保持されるように構成されていることによって実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を容器処理設備から除去するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、大きな飲料充填設備において、稼働中に個々の容器を設備から除去しなればならないことが生じる。こういったことが生じる可能性があるのは、例えば、容器が引っ掛かったり、倒れたりして、それ以上搬送すること、あるいは加工することができなくなる場合である。考えられる用例として、容器清浄設備、例えば容器洗浄設備がある。ここでは、洗浄されるボトルは、複数の搬送区間を介して供給され、それから、洗浄設備の、複数の並列の流入案内部へ分配される。容器が搬送区間から流入案内部へ扇状に広がっていくこれらの流入案内部の領域では、直立しているボトルは互いにぶつかり合って、必ずしも均一に移動するとは限らない。その結果、個々のボトルが転倒するということが生じる。その際、ボトルが案内部の前に横たわり、妨害を引き起こす恐れがある。この種の設備は幅が広いので、設備を停止ぜずに転倒した容器に外部から直接触れることは、もし可能だとしても、縁端領域にある容器に対してのみである。これらの妨害を取り除くために設備を停止することは、設備全体の機能停止、従ってまた生産の中断及びコストの増大につながる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、個々の容器を稼働中に迅速かつ確実に設備から除去することを可能にする、容器を容器処理設備から除去するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明において、この課題は、請求項1に記載の特徴を有する装置によって解決される。
【発明の効果】
【0005】
この種の操作部材を用いることで、設備を停止しなくても、容器を捕捉し、設備から除去することができる。さらに、大きな設備において、人間のオペレータが直接アクセスできない領域にあるボトルにアクセスすることも可能である。
【0006】
さらに、操作部材には、終端側に配置された吸引ゴムが備えられており、この吸引ゴムに負圧を印加することができる。こうして、容器、例えば転倒したボトルを吸引ゴムに保持して除去することができる。
【0007】
負圧を選択的に印加することによって、容器を容易に収容して、再び解放することが可能である。その際、場合によっては、負圧の強さが調整可能であることによって、必要に応じて保持力を適合させることもできる。
【0008】
本発明の実施態様については、従属請求項で明らかにする。
【0009】
本発明に係る装置の第1の実施態様では、操作部材は、摺動可能なキャリッジ上に配置されており、それ自体の長手方向に引き出すことが可能であるように構成されている。キャリッジは案内部内にあり、案内部は、覆蔽されるべき収容領域を覆っており、これにより、容器を除去しなければならない位置へ、キャリッジを操作部材と共に走行させることができる。操作部材が長手方向に摺動可能であることによって、下に横たわっているボトルを収容し、上方へ取り出して、側方の引き渡し領域へ搬送することができる。好都合には、収容領域は、流入領域、例えば容器処理機械の流入領域、および、ボトルを妨害なしに格納できる位置にある引き渡し領域である。
【0010】
基本的に、キャリッジは、操作部材と共に手動で走行させることができる。
【0011】
しかし、有利であるのは、これを自動で行う場合である。
【0012】
このために、実施態様では、検出装置が備えられており、この検出装置が、容器をいつ、どこで除去しなければならないかを、すなわち、例えばボトルがいつ、どこで転倒したかを検出することができる。これは、視覚的な方式において、適当な画像処理システムを有するセンサバーまたはカメラシステムを介して、あるいは、機械式センサ機能によって実施することができる。追加的に、制御装置が備えられており、この制御装置が、除去すべき容器の検出後、キャリッジを適当な位置へ移動させ、操作部材を該容器にまで引き出し、負圧の作用によって容器を捕捉する。次に、この制御機構によって操作部材を再び引き戻して、容器を設備から上方へ除去することができる。それに続いて、キャリッジを引き渡し領域へ走行させ、負圧を停止することによって、容器は解放されて、本装置は、次の容器を除去するための待機状態にある。
【0013】
本発明に係る装置の別の実施態様では、操作部材が、終端側に配置された吸引ゴムを有する操作部材が、ジョイントを介して管に接続されており、この管は、実施態様では、長手方向に摺動可能であるように構成されている。この管には、把持部材が、必要に応じて制御装置を具備して配置されており、該制御装置を用いて、管を通じて負圧を吸引ゴムに印加することができる。これは、制御可能な真空部材を具備する圧縮空気接続具によって実現することができる。
【0014】
この装置では、また、人間のオペレータを通じて容器を容器処理設備から除去することも可能である。長手方向に摺動可能な管案内部によって、遠く離れた容器も捕捉することができる。ジョイント接続部によって、アクセスできない箇所でもこのような捕捉を行うことができる。
【0015】
本発明について、添付の図面を用いてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施態様における容器処理設備の模式的な二次元図を示す。
【図2】図1においてマーキングされた領域の拡大図である。
【図3】第2の実施態様における本発明に係る装置の二次元図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
詳細には示されていない容器処理設備、この例ではボトル洗浄機の流入領域1が、図1に詳細に示されている。4つの搬送区間2を介して、容器、この例ではボトル3が、ボトル洗浄機に供給される。容器処理設備は複数の並列の流入案内部4を有し、これらの流入案内部の前でボトル3が扇状に広がる。明確にするために、切取図Aが、図2にもう1度拡大して示されている。前記複数の並列の容器案内部4は、多数のボトルを同時に洗浄できることで、設備の高い処理能力を実現するための働きをする。
【0018】
そこでは、図示されているように、ボトル3が転倒し、流入領域4を部分的に塞いでしまうという事態が生じる。この場合、その背後にある設備分岐路にボトル3をもはや供給できないので、少なくとも設備の処理量は低下する。その上、転倒したボトルが他のボトル3を転倒させたり、さらには挟まり込んでしまい、設備を停止させるほどの妨害を引き起こす恐れがある。
【0019】
この問題を解決するために、本発明では、操作部材5が備えられており、この操作部材の下端には吸引ゴム6が配置されていて、この吸引ゴムに負圧を印加することができる。これによって吸引作用が生じ、この作用によって、ボトル3は、吸引ゴムと接触した際に印加されている負圧で吸引ゴム6に保持される。操作部材5は高さ調整可能であり、これにより、吸引ゴム6を、状況によってそこに保持されているボトル3と共に上下に移動させることができる。
【0020】
操作部材5全体は、走行可能なキャリッジ7上に配置されており、キャリッジは、案内レール8上を容器処理設備の流入領域1の幅全体にわたって往復走行することができる。
【0021】
さらに、案内レール8の寸法は、キャリッジ7が、容器処理設備の横側に位置する引き渡しコンテナ9の上方を走行できるような寸法に設定されている。
【0022】
容器処理設備を監視するために、詳細には示されていない検出装置が備えられている。検出装置は、実施態様ではカメラシステムとして構成されており、下流側に接続された画像処理設備を利用して、流入領域1が正常な状態であることを監視し、ボトル3が転倒したこと、および、流入領域1のどの位置にそのボトルが横たわっているのかを検出することができる。
【0023】
それに基づいて、同じく詳細には示されていない制御装置が、転倒したボトルの上方へキャリッジ7を操作部材5と共に走行させる。それに続いて、吸引ゴム6を具備する操作部材5が下方へ運ばれ、負圧が吸引ゴム6に印加され、次に、操作部材5が再び上方へ運ばれる。その際、印加されている負圧によって、転倒したボトルも一緒に流入領域1から上方へ除去される。その次に、キャリッジ7は、制御機構によって引き渡しコンテナ9の上方へ運ばれ、負圧は停止され、これにより、ボトルは解放されて、引き渡しコンテナ9の中へ落下する。
【0024】
その後、このシステムは、別の転倒したボトルを収容して機械から除去するための待機状態にある。
【0025】
ボトル3が流入案内部4の直前以外で転倒したとしても、そのようなボトルは、複数のボトル全体が前方へ移動することによって、次第に流入領域4にまで移動され、その位置から前述の方式でボトルを設備から除去することができる。
【実施例2】
【0026】
本発明の別の実施態様が図3に詳細に示されている。
【0027】
第2の実施態様では、本発明に係る装置は、手動で操縦可能な操作部材10として構成されている。この装置も終端側に吸引ゴム11を有しており、吸引ゴムは、管接続部12とボールジョイント13とを介して別の管接続部14に接続されている。後者の管接続部は、それ自体の長手方向に摺動可能であるように構成されている。把持部材15に、詳細には示されていない制御装置が配置されており、この制御装置は、管接続部12、14の中空内部とボールジョイント13とを介して負圧を吸引ゴム11へ印加することができる。このために、圧縮空気接続部16が設けられており、圧縮空気接続部は、標準圧縮空気供給部へ接続され、把持部材15の内部における真空部材を介して負圧状態へ変換される。追加的な把持部材17を介して、本装置の操作性が改善され、管接続部14の長さ調整が容易になる。
【0028】
この装置を用いても、簡単な方式で、容器処理機械、例えば図1に示された容器処理機械から転倒したボトルを除去することができる。このために、吸引ゴム11は、把持部材15および17を用いて、除去すべきボトルまでオペレータによって移動され、制御部材の作動を通じて、負圧が吸引ゴム11へ印加される。それに基づいて、吸引ゴムは、ボトルを捕捉し、設備から容易に除去することを可能にする。この方式によって、設備を停止したり、オペレータを危険にさらしたりすることなく、アクセスしにくい場所に位置する容器にも、本発明に係る装置を用いてアクセスすることが可能となる。
【0029】
当然ながら、本発明は、前述の実施例に限定されているわけではなく、基本概念を逸脱することなく、多様に変更を加えることができる。特に、操作部材の細密な実施態様と、除去すべきボトルの領域における操作部材の動きとは変更可能である。基本的に、ロボットアーム式の形態や、複数次元に走行可能なキャリッジ構成が考えられる。
【符号の説明】
【0030】
1 流入領域
2 搬送区間
3 ボトル
4 流入案内部
5 操作部材
6 吸引ゴム
7 キャリッジ
8 案内レール
9 引き渡しコンテナ
10 操作部材
11 吸引ゴム
12 管接続部
13 ボールジョイント
14 管接続部
15 把持部材
16 圧縮空気接続部
17 把持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(3)を容器処理設備から除去するための装置において、
操作部材(5)が、終端側に配置された、負圧を印加できる吸引ゴム(6)を備えており、この吸引ゴムが、前記負圧の印加時に容器(3)が吸引ゴム(6)によって保持されるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記操作部材(5)が、摺動可能なキャリッジ(7)に配置されており、および/または、長手方向に引き出し可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記キャリッジ(7)が、収容領域と引き渡し領域との間を摺動可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記収容領域が、容器処理設備の容器流入領域を覆うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記収容領域が、容器洗浄機の並列の容器流入案内部(4)を覆うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
前記除去すべき容器(3)を検出するための検出装置が備えられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記検出装置が、視覚的な検知システムとして、および/または、カメラシステムとして、および/または、機械式の走査システムとして構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
制御装置が備えられており、この制御装置が、除去すべき容器(3)の検出後、前記キャリッジ(7)を除去すべき容器(3)まで移動させ、前記操作部材(5)を容器(3)にまで引き出し、前記負圧を前記吸引ゴム(6)に印加して、前記容器(3)を捕捉することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記制御装置が、前記操作部材(5)を引き戻し、前記キャリッジ(7)を前記引き渡し領域へ移動させ、そこで前記負圧を停止して、前記容器(3)を解放することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
前記操作部材(5)が、ジョイントを介して管に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記管が、長手方向に引き出し可能に構成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの把持部材(15)、および/または、前記吸引ゴム(6)に印加される負圧に関する制御装置が、前記管に備えられていることを特徴とする請求項10または11に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−515637(P2010−515637A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545102(P2009−545102)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011236
【国際公開番号】WO2008/083825
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(598125028)カーハーエス・アクチエンゲゼルシヤフト (125)
【Fターム(参考)】