説明

容器体装着用液体噴出ポンプ

【課題】ポンプが有する、吸上げパイプの上部取付け用の液体吸込み筒部分、即ち上記縦形ポンプにあってはシリンダ下部に、又トリガー式ポンプにあっては、シリンダおよび射出筒と連通して起立する主筒の下部に、付着物の除去が容易なフィルターを設けることで、上記ポンプを複数の容器体に対して何回も使用可能に設けたものを提供する。
【解決手段】筒部12の下端開口面を、約100 メッシュ以上のネット13で閉塞するフィルター11を設けて、該フィルターの上筒部を液体噴出ポンプ1が有する液体吸込み筒部分5の下部へ、着脱可能に固嵌めして垂下すると共に、上記フィルターの筒部12の下部外面へ、別に設けた吸上げパイプ保持筒21の上部を固嵌めし、更に該保持筒下部へ上方筒部分を嵌着させて吸上げパイプ31を垂下させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器体装着用液体噴出ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
容器体装着用の液体噴出ポンプとして、シリンダを容器体内へ垂下する縦形のポンプと、トリガー式のポンプとが広く知られており、それ等はいずれも容器体底部まで吸上げパイプを垂下し、ポンプ操作により容器体内液体をシリンダ内へ吸上げ、かつ該シリンダ内液体をノズルから噴出するよう設けている。
【特許文献1】特開平10−323588
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記ポンプは、当初容器体へ個別に装着されてポンプ付きの容器として用いられていたが、近時廃棄物の減少、又資源活用の見地からポンプを有しない、いわゆるレフィール用の容器体を設けて当初使用したポンプを、ポンプを有しない予備の容器体に再装着してそのポンプを複数の容器体に付け替えして、ないしは当初の容器体収納液体がなくなった後に、予備の容器体内の液体を補充して何回も使用することが行われるようになった。このように1箇のポンプを何回も他の容器体に付け替える等して使用すると、1箇のポンプを1箇の容器体についてだけ使用していた場合と異り、容器体内液体中に含まれている微小な浮遊物や、薬液等成分の結晶体、又ポンプ交換又液体補充の際に容器体内へ入った埃等が使用回数を重ねるうちにポンプ内に次第に蓄積されて目塞り等故障の原因となる。特に泡噴出用ポンプの場合は噴出液体を発泡させるため、液体流出路の要所に約200メッシュ程度のネットを用いるから、その網目が目塞りするおそれが大となり、そのネットに付着した浮遊物等の除去が困難となる。
【0004】
本発明は、上記ポンプが有する、吸上げパイプの上部取付け用の液体吸込み筒部分、即ち上記縦形ポンプにあってはシリンダ下部に、又トリガー式ポンプにあっては、シリンダおよび射出筒と連通して起立する主筒の下部に、付着物の除去が容易なフィルターを設けることで、上記ポンプを複数の容器体に対して何回も使用可能に設けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として、筒部12の下端開口面を、約100 メッシュ以上のネット13で閉塞するフィルター11を設けて、該フィルターの上筒部を液体噴出ポンプ1が有する液体吸込み筒部分5の下部へ、着脱可能に固嵌めして垂下すると共に、上記フィルターの筒部12の下部外面へ、別に設けた吸上げパイプ保持筒21の上部を着脱可能に固嵌めし、更に該保持筒下部へ上方筒部分を嵌着させて吸上げパイプ31を垂下させた。
【0006】
第2の手段として、上記第1の手段を有すると共にフィルター11の上筒部を、液体噴出ポンプ1が有する液体吸込み筒部分5へ固着させて垂下した。
【0007】
第3の手段として、上記第1又は第2の手段を有すると共に、フィルターの筒部12の中間部に内向きフランジ状部14を設けて、該フランジ状部上方筒部分を大径部12a に、かつ下方筒部分を小径部12b に形成し、上記内向きフランジ状部14上面へ液体吸込み筒部分5の下端面を載置させて大径部3aを液体吸込み筒部分の下部外面へ嵌合させると共に、小径部3b外面へ吸上げパイプ保持筒21上部を嵌合させた。
【0008】
第4の手段として、液体吸込み用筒部分5の周壁を下方へ延長して設けた延長筒5aを有する液体噴出ポンプ1と、筒部12の上端開口面を、約100 メッシュ以上のネット13で閉塞する、筒部下端面開口のフィルター11と、小筒23下端に外向きフランジ24を有し、小筒内へ上部を固着させて吸上げパイプ31を垂下する、吸上げパイプ保持筒21とからなり、上記延長筒内へフィルターの筒部12を着脱可能に、かつ押上げ不能に嵌合させると共に、該フィルターの筒部12の下部内へ、吸上げパイプ保持筒21の小筒23を強制抜出しが可能に嵌合させて、上記外向きフランジ24上面へフィルターの筒部12と延長筒5aとの各下端面を当接させた。
【0009】
第5の手段として、上記第4の手段を有すると共に上記フィルターの筒部12内面からの小筒23抜出し時の摩擦抵抗を、延長筒5a内面からのフィルターの筒部12抜出し時の摩擦抵抗よりも大とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明は既述構成とするものであり、液体噴出ポンプの液体吸込み筒部分5下部に、約100 メッシュ以上のネット13を有するフィルター11を嵌合させたから、そのポンプを装着させた容器体内の液体がなくなった後、該容器体に装着させていたポンプを、ポンプを有しない他の予備用の容器体に装着し直してそのまま使用しても、ないしは空となった容器体内へ液体補充してポンプをそのまま使用しても、容器体の液体中に含まれている微小な浮遊物ないし結晶等がそのままポンプ内へ入ることを、上記フィルターで除去でき、それ等浮遊物等がポンプ内に蓄積されることに基因する故障を除去できる。又フィルター11を液体噴出ポンプ1が有する液体吸込み筒部分5の下部へ嵌合させ、かつ通常上記吸込み筒部分は吸上げパイプよりもはるかに大径とするから、それ等両筒嵌合部分の接触面積を大とすることが出来、よってそれ等の嵌合を適度に、即ち着脱可能でしかも固嵌めさせることが容易である。又液体吸込み筒部分およびフィルターの筒部は吸上げパイプと異り、剛性を大として成形するから、上記嵌合を確実とすることが出来る。又ネット13は吸上げパイプ保持筒21ないし液体吸込み筒部分5からの延長筒5a内に隠されていることとなり、よって容器体および収納液体が透明であってもネットに付着した浮遊物等が見えることがなく、外観を向上させることが出来る。
【0011】
請求項2のように形成することで、フィルター11を液体吸込み筒部分5から外すことは出来なくなるが、この場合は吸上げパイプ保持筒21を外し、ネット13を露出させて、洗浄すればよく、該洗浄を簡単に行うことが出来る。
【0012】
請求項3のように形成することで、液体吸込み筒部分5とフィルターの筒部との嵌合部分長さを一定とすることが出来、よって適正な嵌合を行うことが容易となる。
【0013】
請求項4のようにすることで吸上げパイプが有するパイプ孔の横断面積に比して、フィルターの筒部12の筒孔断面積を大とすることが出来、従って吸上げパイプ上端面をネットで閉塞する場合に比べてフィルター筒部上端面を閉塞するネットの面積を大とすることが出来、該ネットを通過させての液体吸込みを良くすることが出来る。
【0014】
請求項5のようにすることで、吸上げパイプ31を強く引下げるだけで延長筒5a内からフィルターの筒部12を引出すことが出来、又吸上げパイプ保持筒の小筒23からフィルター11を外すことが容易となり、フィルターのネット13の洗浄を行い易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず図1が示す第1実施形態について説明すると、1は縦形の液体噴出ポンプである。該ポンプは発泡用であり、容器体口頸部外面へ螺合させる周壁2を有し、又上部を大径部3a、下部を小径部3bとするシリンダ3を有し、該小径部下端は下方小径のテーパ部4とし、該テーパ部内に吸込み弁としての玉弁を有する。尚通常はそのテーパ部下端から吸上げパイプ嵌合用筒を垂下して該筒外面へ上端部を嵌合させて吸上げパイプを垂下する。
【0016】
本発明にあっては、筒部12の下端開口面を、約100 メッシュ以上のネット13で閉塞する筒状のフィルター11を設けて、該フィルターの上筒部を上記シリンダ小径部3b下部が形成する液体吸込み筒部分5の下部へ着脱は可能で又容易には抜落ちしない程度に固嵌めしている。但し固着させることもある。該筒状フィルターは、図示のように筒部の上下方向中間部に内向きフランジ状部14を設けて該フランジ上方筒部分を大径部12a に、かつ下方筒部分を小径部12b に、それぞれ形成し、又内向きフランジ状部14上面へ液体吸込み筒部分5のテーパ状下面を載置させている。
【0017】
更に上記下方筒部分が形成する小径部12b 外面へは、別に設けた吸上げパイプ保持筒21の上部を着脱可能に嵌合している。該吸上げパイプ保持筒は中間よりもやや下方部分を下部小径のテーパ部22となし、該テーパ部下端から小径の下方筒部を垂下し、該筒部内へ、吸上げパイプ31の上部を嵌着させて該パイプを下方まで垂下させている。
【0018】
図2は第2実施形態を示す。該実施形態は、上記フィルター11および吸上げパイプ保持筒21をトリガー式の液体噴出ポンプ1に用いた例を示す。
【0019】
トリガー式液体噴出ポンプは、周知のように、液体吸上げ用の主筒6を起立し、該主筒の中間部から、該主筒と連通させてシリンダ7を前方突出し、又主筒上端から、該主筒と連通させて射出筒を前方突出し、該射出筒前端にノズル8を嵌合させると共に、その射出筒前部から揺動可能にトリガー9を垂下し、該トリガーの前後方向揺動によって上記シリンダ内へ後部を嵌合させて前方突出するプランジャ10が前進、後退して上記主筒6から垂下させた吸上げパイプを介して容器体内液体をシリンダ内へ吸込み、かつ該シリンダ内液体を上記射出筒を通ってノズル8から噴出できるよう設けたものである。2は容器体口頸部螺合用の周壁であり、該周壁は回動可能に垂下されている。
【0020】
図示例にあっては上記主筒6の下部が形成する液体吸込み筒部分5外面へ、図1の場合とほぼ同様に設けたフィルター11の大径部3aを着脱可能に固嵌めしている。但し固着させてもよい。そのフィルター11の下部に吸上げパイプ保持筒21の上部を着脱可能に固嵌めし、更に該保持筒下部外面へ上方筒部分を嵌着させて吸上げパイプ31を垂下させる点については第1実施形態の場合と同じであり、同一符号を用いることで説明は省略する。
【0021】
図3は第3実施形態を示す。該実施形態に用いている液体噴出ポンプ1は図1の場合と同じ縦形のポンプである。該実施形態にあっては、そのポンプの液体吸込み用筒部分5、即ち図示例にあってはシリンダ小径部3bの周壁を下方へ延長して延長筒5aとしている。その延長筒5の上部内面へは後述フィルターの上限を定めるリブ5bを複数縦設している。
【0022】
上記延長筒5a内へは、筒部12の上端面を約100 メッシュ以上のネット13で閉塞した、筒部下端面開口のフィルター11を着脱可能に、かつ押上げ不能に嵌合させる。フィルターの筒部12の下端面と上記延長筒5aの下端面とは同一平面上に位置するよう設けるとよい。
【0023】
更に上記フィルターの筒部12の内面へは、小筒23下端に外向きフランジ24を付設して設けた吸上げパイプ保持筒21の小筒23を、上記外向きフランジ24上面へ上記延長筒下端面とフィルターの筒部12の下端面とを載置させた状態で嵌合させる。該嵌合も着脱可能な固嵌めとするが、フィルターの筒部12に対する小筒23嵌合による摩擦抵抗を延長筒5aに対するフィルターの筒部嵌合による摩擦抵抗よりも大とすることが望ましい。上記小筒23上端には内向きフランジを付設するとよい。
【0024】
上記吸上げパイプ保持筒21の小筒23内へは吸上げパイプ31の上部を嵌着させる。該嵌着は抜出し不能な程度に行うとよく、吸上げパイプ31を下方へ強く引上げすると、まずフィルター11が延長筒5a内から外れ、次いでフィルター11を吸上げパイプ保持筒21から上方へ抜出し可能に形成するとよい。
【0025】
図4は図3実施形態における縦形の液体噴出ポンプ1を、図2実施形態における場合と同様にトリガー式液体噴出ポンプに代えたものであり、その他部分については図3の場合と同じである。よって同一部分については同一符号を付することで説明を省略する。
【0026】
尚上記各実施形態において、フィルター11の網目を約100 メッシュ以上としたが、発泡用液体噴出ポンプの場合は、ポンプ内に有する発泡用のネットの網目を通常約200 メッシュとするから、該網目の目塞り防止のためにはフィルターの網目を200 メッシュ以上、望ましくは255 メッシュ以上とするがよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一部を断面として示す、本発明ポンプの第1実施形態での側面図である。
【図2】図1と同様に示す、第2実施形態での側面図である。
【図3】図1と同様に示す、第3実施形態での側面図である。
【図4】図1と同様に示す、第4実施形態での側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1…液体噴出ポンプ 5…液体吸込み筒部分
11…フィルター 13…ネット
21…吸上げパイプ保持筒 31…吸上げパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部12の下端開口面を、約100 メッシュ以上のネット13で閉塞するフィルター11を設けて、該フィルターの上筒部を液体噴出ポンプ1が有する液体吸込み筒部分5の下部へ、着脱可能に固嵌めして垂下すると共に、上記フィルターの筒部12の下部外面へ、別に設けた吸上げパイプ保持筒21の上部を着脱可能に固嵌めし、更に該保持筒下部へ上方筒部分を嵌着させて吸上げパイプ31を垂下させたことを特徴とする容器体装着用液体噴出ポンプ。
【請求項2】
フィルター11の上筒部を、液体噴出ポンプ1が有する液体吸込み筒部分5へ固着させて垂下したことを特徴とする請求項1記載の容器体装着用噴出ポンプ。
【請求項3】
フィルターの筒部12の中間部に内向きフランジ状部14を設けて、該フランジ状部上方筒部分を大径部12a に、かつ下方筒部分を小径部12b に形成し、上記内向きフランジ状部14上面へ液体吸込み筒部分5の下端面を載置させて大径部12a を液体吸込み筒部分の下部外面へ嵌合させると共に、小径部12b外面へ吸上げパイプ保持筒21上部を嵌合させたことを特徴とする請求項1又は2記載の容器体装着用液体噴出ポンプ。
【請求項4】
液体吸込み用筒部分5の周壁を下方へ延長して設けた延長筒5aを有する、液体噴出ポンプ1と、筒部12の上端開口面を、約100 メッシュ以上のネット13で閉塞する、筒部下端面開口のフィルター11と、小筒23下端に外向きフランジ24を有し、小筒内へ上部を固着させて吸上げパイプ31を垂下する、吸上げパイプ保持筒21とからなり、上記延長筒内へフィルターの筒部12を着脱可能に、かつ押上げ不能に嵌合させると共に、該フィルターの筒部12の下部内へ、吸上げパイプ保持筒21の小筒23を強制抜出しが可能に嵌合させて、上記外向きフランジ24上面へフィルターの筒部12と延長筒5aとの各下端面を当接させたことを特徴とする容器体装着用液体噴出ポンプ。
【請求項5】
上記フィルターの筒部12内面からの小筒23抜出し時の摩擦抵抗を、延長筒5a内面からのフィルターの筒部12抜出し時の摩擦抵抗よりも大としたことを特徴とする請求項4記載の容器体装着用液体噴出ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−260676(P2007−260676A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122902(P2007−122902)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【分割の表示】特願平11−337062の分割
【原出願日】平成11年11月29日(1999.11.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】