説明

容器保持具

【課題】水を入れた容器の保持用と、容器の水切り用を兼用し、水を入れた容器を外底に支持部が接触せず保持でき、且つ容器の内底や飲み口に支持部が接触せずに水切りができ、形状が多様な多くの容器に適合する容器保持具を提供する。
【解決手段】基体1と、その基体1の表面側に設けたフック4と、そのフック4の下方に前記基体1より前方へ二股状に突出させた取手支持部2と、その取手支持部2の両先端の本体支持部3とで構成する。
容器10の取手11をフック4に掛け、取手11を二本の取手支持部2の間に配置し容器本体10aを二箇所の本体支持部3に接触させると容器10は3点支持により保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を入れた容器の保持と、水切りを兼ねた容器保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献はもとより店舗や通信販売カタログおよびインターネットを調査したが、水を入れた容器が外底に接触せず保持でき、容器の内底や飲み口に接触せず水切りができる一つで二つの用途を兼ねた容器保持具は同一類似とも見当たらない。
【0003】
水を入れて保持することは不可能であるが、水切りのみを目的とした容器保持具は従来から存在する。フックに取手を掛けるものや、容器の内底又は飲み口に器具の支持部を接触させて保持するものの他、専用の容器を用いるものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のいずれも水を入れた容器を保持できない上、フックに掛けるものは、容器の重心20が底部近傍にあるため、飲み口13が上に向き水切りできず埃が入る恐れがある。容器の内底12又は飲み口13に器具の支持部が接触して水切りするものは、接触部位の乾燥が遅く、細菌の繁殖や水垢の発生などで不衛生になる恐れがある。(図9abc参照)
【0005】
容器の取手を挟んで保持するものは、取手11の形状が挟持部8と適合する専用の容器10以外は使用できない不便さがある。取手11に設けた孔7に係止棒9を挿入して水切りするものも専用の容器10以外は使用できない不便さがある。(図9de参照)
【0006】
洗面化粧台40に、水切りと水を入れた容器を保持する機能を兼備したものは見当たらない、そのため水を入れた容器10はボウル41近傍の台上43に載置することになり、ボウル41で飛び散る汚水が容器10の中に入るなどで容器10の中の水を捨て、或いは容器10の外底に台上43の水濡れや汚れが付着し、逆さにして水切りの際はその汚れが垂れ下がるため容器10を洗浄するなど水の無駄が発生する。(図6a参照)
【0007】
台所に容器保持具を備えたものは見当たらない、そのため調理で鍋に足し水など容器が必要な都度食器棚から取り出すなどの手間がかかる。
【0008】
この発明の課題は、以上の問題を解決するために、水を入れた容器を外底に支持部が接触せず保持でき、且つ容器の内底や飲み口に支持部が接触せずに水切りができ、形状が多様な多くの容器に適合する容器保持具を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
基体と、その基体の表面側に設けたフックと、そのフックの下方に前記基体より前方へ二股状に突出させた取手支持部と、その取手支持部の両先端の本体支持部とで構成する
基体と、その基体の表面側より前方へ二股状に突出させた取手支持部と、その取手支持部の両先端の本体支持部と、前記取手支持部の片側で前記基体と前記本体支持部との略中間の上部に設けたヒンジと、そのヒンジに取付けたフックと、そのフックに対向する側の前記取手支持部に設けた前記フックの端部を受け止めるストッパー部とで構成する。
前記フックの取手を掛ける部位が、前記取手支持部の前記二股状の中間の上方に位置するよう形成する。
前記フックから前記本体支持部の内側までの寸法より、前記フックから前記本体支持部の外側の寸法が長く形成する。
洗面化粧台の板部又は台所のシンク前の壁部を前記基体として、前記取手支持部と前記本体支持部と前記フックを設ける。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、
(a)水を入れた容器を外底が支持部に接触せずボウルから離れた位置に保持することで、ボウルから飛散する汚水が容器に入らず、容器の外底に台上の水濡れや汚れが付着することもなく清潔に保持し、節水に寄与できる。
(b)容器の内底や飲み口に支持部が接触せず水切りすることで、水垢の発生や細菌の繁殖を防ぎ清潔に保持できる。
(c)フックを可動にしたことで、本保持具への掛け外しが、容器を上方向に移動させるだけででき、使い勝手を向上させた。
(d)容器の収納輸送や、容器の飾り台に利用でき、台所にも設けられる。
(e)美観を損なうことなく本保持具を設けた洗面化粧台ができる。
(f)形状が多様な、多くの容器に適合できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】使用状態を示す斜視図と構造を示す正面図である。
【図2】作用と各部位の位置関係を示す側面図と平面図である。
【図3】フックを可動にした斜視図と使用方法を説明する模式図である。
【図4】板状の基体に複数の容器を保持する斜視図である。
【図5】柱状の基体に複数の容器を保持する側面図と平面図である。
【図6】本発明の容器保持具を設けた洗面化粧台の斜視図である。
【図7】金属線により形成した実施例の斜視図と側面図と正面図と平面図である。
【図8】容器の適合可否を示す側面図である。
【図9】従来の容器保持具の使用状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図に基づき説明する。図1(a)は、容器10の水切りをして保持する状態を示し、容器10の飲み口13を下にして取手内側下端部11bをフック4に掛け、取手11を二股状で二本の取手支持部2の内側に配置すると容器本体10aは本体支持部3に接触して3点支持となり容器10は水切りの状態で安定して保持される。
【0013】
図1(b)は、水15を入れた容器10を保持した状態を示し、図1(a)の反対側からの斜視図である。容器10の飲み口13を上にしてフック4に取手内側下端部11b近傍の空間を挿入し、取手11を二本の取手支持部2の上方に配置して容器10を下方へ下げると取手11は二股状で二本の取手支持部2の間に入り、容器本体10aは本体支持部3に接触して3点支持となり容器10は水15を入れた状態で安定して保持される。
【0014】
図1と図2の実施例の構成は、板状の基体1の表面に設けたフック4は、前方に突き出した上、横に曲げ、フック4の中心の図1(c)で示す破線の円内が、二本の取手支持部2の中間の上方となるよう形成する。
フック4の下方に基体1より前方へ二股状に突出させた二本で一組となる取手支持部2を形成し、その取手支持部2の両先端に本体支持部3を形成し、以上を樹脂により一体成型する。基体1の上下に設けた孔32により壁面に取付ける。なお、壁面取付け手段は吸盤・釘・ネジ・接着・フックなど公知の方法でよい。
【0015】
図2(a)は、本発明の作用を示し、容器10の重心20からフック4に対し引張荷重21がかかり、二箇所の本体支持部3には押圧荷重22がかかり、容器10は負荷をかけた3点で支持され、二本の取手支持部2が取手11を両側から抑え容器の横揺れを防ぐ。
【0016】
図2(b)は各部位の位置関係を示したものである。フック4が基点となるため、フック4を可塑性の材料にし、位置調整可能にしても良い。
基体1とフック4までの間隔4cは短いほど基体1にかかる負荷が軽くなるため短いほど良いが取手11が緩く通る寸法に設定する。
フック4と取手支持部2の上端までの間隔4dは、長いほど堅固に容器10を保持できるが、取手11が緩く通り、且つ、取手11が取手支持部2から外れない範囲とする。
フック4と本体支持部3までの水平方向寸法4eは、長短により容器10が前後に傾くため水を入れた容器10が略垂直になる寸法にする。水切りの状態では傾いてもよい。
請求項2はフック4と取手支持部2の上端までの間隔4dを除き上記寸法を適用する。
【0017】
市販のマグカップと呼ばれる容器10の多くが適合する寸法は基体1とフック4までの間隔4cは10ミリから20ミリであり、フック4と取手支持部2の上端までの間隔4dは15ミリから25ミリであり、フック4と本体支持部3までの水平方向寸法4eは15ミリから35ミリに設定すればよい。
【0018】
図2の(c)はフック4から本体支持部3の内側までの寸法3cよりフック4から本体支持部3の外側までの寸法3dの方が長く形成することで容器10は自重により両本体支持部3の中心部に入り容器10の横移動を抑える。
【0019】
図3は、請求項2の構成を示す(a)は斜視図である。
基体1の表面より前方へ二股状に突出させた二本で一組となる取手支持部2とその取手支持部2の両先端に本体支持部3を形成し、基体1と本体支持部3との略中間の一方の取手支持部2の上部に設けたヒンジ5にフック4を上下可動に取り付ける。
対する一方の取手支持部2にフック端部4bを受け止めるストッパー部6を設ける。
なお、フック4をストッパー部6方向に付勢させるため、ばね入りのヒンジ5又は、ヒンジ5とフック4を一体で樹脂成型して樹脂の弾性を利用しても良い。
又は、フック端部4bを重くし、自重でストッパー部6に下がるようにしても良い。
【0020】
図3の(b)(c)(d)(e)は請求項2の使用方法と作用を説明する模式図である。
容器10を掛けるため、(b)で二本の取手支持部2の間に下方から通した取手外側上端部11cでフック4を押し上げ、(c)で取手11の内側にフック4が入りフック端部4bがストッパー部6に係止され容器10は保持される。
容器10を外すため、(d)で容器10を上方に持ち上げると、フック4が取手内側下端部11bにより押し上げられ、(e)で、フック4が取手11から外れ容器10を外す。
以上は水15を入れた容器10の例であり、水切りの場合も容器10を逆さにするだけで要領は同一である。以上のように容器10を上に動かすだけで掛け外せる特徴がある。
【0021】
図4(a)は板状の基体1にフック4を複数取付け、フック4の下部に二股状の取手支持部2をフック4に対応する同数組形成したものであり、(b)はフック可動型である。
隣接の容器10との干渉を防ぐため、取付け位置は一組ごとに高低差をつけてもよい。
なお、5箇所とも構造が同一のため、図の符号は1ヵ所にのみ記載し、他は省略した。
【0022】
図5(a)は、容器を2個保持した側面図であり、(b)は容器を6個保持した平面図である。柱状の基体1に複数のフック4を設け、フック4の下部に取手支持部2をフック4と同数組設ける。基体1の下部に台座30を取付ける。なお、図の同一構造部は符号を一部分にのみ記載し他は省略した。請求項2のフック可動方も同様に取付けてもよい。
隣接の容器10との干渉を防ぐため、取付け位置は一組ごとに高低差をつけてもよい。
【0023】
図6は、本発明の容器保持具を組み込んだ洗面化粧台40であり、(a)は全体の正面図であり、(b)は破線で囲んだ取り付け部を拡大した斜視図である。洗面化粧台40のボウル41の上部に位置する板部42に取手支持部2と本体支持部3を設け、その上部にフック4を設ける。以上をミラーキャビネット44の裏面に設けても良い。
台所のシンク前の壁部に取付ける場合は、図6と略同一構成のため図は省略した。
【0024】
図7は、金属線により形成し、基体1の背面に吸盤31を設けた実施例である。
【0025】
各実施例の構成素材は、樹脂や金属線の他、木材または金属板などでも良い。或いはそれらの組合せでも良い。
【0026】
図8は、容器10の形状による適合可否を示し、(a)のように容器本体10aが筒形で、取手11を有し、取手11の両端部が容器本体10aと結合しているものが好適である。
(b)のように取手11の一方の端部が容器本体10aと離れている形のものは、水15を入れた容器10の保持あるいは水切りのいずれか一方のみ使用可能である。
又、(c)のように底が浅く椀状をなす容器10は、その程度により不適合なものがある。
【0027】
図9は、従来の容器保持具を示し、(a)はフック4に取手を掛ける型で重心20がフック4の直下となるため、水切りが不完全で埃が入る恐れがある。
(b)の内底12に支持部3が接触する型と、(c)の飲み口13に支持部3が接触する型は、支持部の接触部位の乾燥が遅く水垢の発生や細菌が増殖する恐れがある。
(d)の取手11の形状に合致させた挟持部8で保持する型と、(e)の取手11に設けた係止穴7に係止棒9を挿入して保持する型は、専用の容器以外は使えない不便さがある。
【符号の説明】
【0028】
1 基体
2 取手支持部
3 本体支持部
3a 本体支持部の内側寸法
3b 本体支持部の外側寸法
4 フック
4b フックの端部
5 ヒンジ
6 ストッパー部
10 容器
10a容器本体
11 取手
11a取手内側上端部
11b取手内側下端部
11c取手外側上端部
11d取手外側下端部
12 容器内底
13 飲み口
14 容器外底
20 重心
30 台座
40 洗面台
42 板部
44 ミラーキャビネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を入れた容器の保持用と、容器の水切り用とを兼ねた容器保持具であって、基体と、その基体の表面側に設けたフックと、そのフックの下方に前記基体より前方へ二股状に突出させた取手支持部と、その取手支持部の両先端の本体支持部とで成る容器保持具。
【請求項2】
基体と、その基体の表面側より前方へ二股状に突出させた取手支持部と、その取手支持部の両先端の本体支持部と、前記取手支持部の片側で前記基体と前記本体支持部との略中間の上部に設けたヒンジと、そのヒンジに取付けたフックと、そのフックに対向する側の前記取手支持部に設けた前記フックの端部を受け止めるストッパー部とで成る容器保持具。
【請求項3】
前記フックの取手を掛ける部位が、前記取手支持部の前記二股状の中間の上方に位置するよう形成した請求項1または請求項2に記載の容器保持具。
【請求項4】
前記フックから前記本体支持部の内側までの寸法より、前記フックから前記本体支持部の外側の寸法が長く形成した請求項1〜3のいずれかに記載の容器保持具。
【請求項5】
洗面化粧台の板部又は台所のシンク前の壁部を前記基体として、前記取手支持部と前記本体支持部と前記フックを設けた請求項1〜4のいずれかに記載の容器保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−24543(P2012−24543A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181138(P2010−181138)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【特許番号】特許第4700134号(P4700134)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(593118782)
【出願人】(509207977)
【Fターム(参考)】