説明

容器内溶融固化用表土材料

処理廃棄物を溶融する方法は、処理物質(430)を、断熱ライニングを含む容器内に入れることと、処理物質を加熱することと、処理物質を溶融することと、好ましくは溶融した物質を冷却して溶融固化した及び/又は結晶質の塊を形成することと、塊を処分することとを含む。塊を、容器内に入れた状態で処分するか、又は冷却後に容器から取り出し処分する。熱損失及び溶融表面の乱れを、処理物質の露出した表面の少なくとも一部を覆う人工的な又は土製の表土材料(440)を用いて最小限にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、同時係属の米国仮特許出願第60/648,161号(代理人事件整理番号14664-B)、米国仮特許出願第60/648,108号(代理人事件整理番号14665-B)、米国仮特許出願第60/648,112号(代理人事件整理番号14666-B)、米国仮特許出願第60/647,984号(代理人事件整理番号14667-B)及び米国仮特許出願第60/648,166号(代理人事件整理番号14669-B)に対する優先権の利益を主張するものであり、それぞれの内容を参照により本願に組み込むものとする。
【0002】
本発明は、処理物質の溶融固化に関する。より詳細には、本発明は、容器内溶融固化で使用する表土(overburden)材料に関する。
【背景技術】
【0003】
汚染した土壌又は廃棄物(以下、処理物質という)を安全に処分するいくつかの溶融固化方法が本技術分野において既知である。そのような方法の例が、特許文献1〜5に記載されている。
【0004】
一般に、既知の溶融固化方法のいくつかは、処理物質を、電極と、電極間にスターター経路として知られている導電性抵抗経路とを有する溶融固化チャンバー又は容器に入れることを含む。電流を電極を介してスターター経路に供給する。ジュール加熱によって、電流がスターター経路の温度を隣接した処理物質が溶融し始めるところまで上昇させる。加熱を開始し、物質の溶融が始まると、溶融した物質自体が導電性となり、電流伝導及びジュール加熱を継続することができる。電極への電源の供給は望ましい量の物質が完全に溶融するまで継続することができる。
【0005】
溶融の間に、溶融容器内に存在する汚染物質は、高温によって破壊されるか、もしくは除去される。または、該汚染物質は冷却により溶融物及び生じた溶融固化生成物の一部となる。典型的には、廃棄物処理の用途において、有機成分及びその他の種類の蒸発可能な物質(例えば水)が溶融する高い温度によって破壊されるか、又は蒸発し、適したスクラバー、クエンチャー、フィルター又は清浄でかつ環境放出に適したものとなるようにするための他の既知の装置の中を通るガスとして除去される。無機物質(例えば金属酸化物)は溶融物及び生じた溶融固化生成物の一部となることができ、該無機物質は物質内で物理的に及び/又は化学的に結合しており、したがって環境に安全なものとなる。
【0006】
物質を充分に溶融し、総ての汚染物質を処理したら、電力供給を終了し、溶融した物質を冷却させる。その後、冷却ステップによって、溶融固化したか、かつ/又は結晶化した固体物質が生じる。このように、無機汚染物質を確実に固定化するか、又は固形の溶融固化した塊内に含ませ、それによって、該汚染物質の処理を容易にする。
【0007】
多くの既知の方法では、連続溶融固化が、複雑な、耐火物が裏打ちされた(refractory lined)溶融装置内で行われ、バッチ溶融固化が原位置または地中に掘られた穴内で行われる。連続溶融固化において、溶融した物質の一部を連続的に又は定期的に回収することができる一方で、追加の処理物質を同時に又は定期的に添加する。対照的に、バッチ溶融固化は、充分な量の処理物質を溶融したら完了し、かつ終了することができる。
【0008】
一つの既知の溶融固化装置は、永久的に配置されているか(処理設備のように)、又は解体でき、望ましい位置にて再組み立て可能なチャンバーを備える。それぞれの場合において、溶融した塊をチャンバーから除去し、さらに別々に処理する。そのような更なる処理は溶融固化した及び/又は結晶質の塊の埋め立て又は他の種類の処分を含む。連続溶融固化処理を行うための本技術分野において既知の装置は、通常は耐火物が裏打ちされた溶融容器、種々の電気供給システム、廃棄物供給システム、溶融ガラス排出システム、冷却システム及びオフガス処理システムを備える複雑な構造である。そのようなシステムは溶融した塊の除去を必要とする一方で、溶融状態においては、それ故に上述した溶融ガラス排出システムを必要とする。これらの場合において、溶融物は溶融した物質として受入容器へ注がれるか、又は流出する。
【0009】
原位置ガラス固化(ISV)及び段階的な土壌溶融(staged earth melting)などの現地での処理も既に明らかにされている。段階的な土壌溶融では、処理物質を地面の穴またはトレンチ内に入れ、土又は他の種類の蓋をカバーとして設置する。次に電極を導入して上記と同様にして溶融固化処理を行う。もう一つの方法として、ISVでは、典型的には汚染されている土壌である処理物質は、電極を据え付ける必要がある場合を除き影響を受けないままである。処理が完了すると、溶融固化した及び/又は結晶質の塊を処理の場所において地中に埋めたままにするか、又は望ましいのであれば土地利用の関連で除去できる。当然のことながら、例えば放射性廃棄物などの特定の汚染物質は、処理が規制された埋め立て場所で行われない場合この様式で処分できない。
【0010】
一般に、既知の方法は現地での適用に制限されるか、又は複雑で高価な溶解装置を必要とすることによって制限される。従って、このような制限及び他の制限を克服する溶融固化装置及び方法が求められている。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,376,598号明細書
【特許文献2】米国特許第5,024,556号明細書
【特許文献3】米国特許第5,536,114号明細書
【特許文献4】米国特許第5,443,618号明細書
【特許文献5】米国再発行特許発明第35,782号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
容器内溶融固化(in-container vitrification、ICV)は処理物質を溶融するバッチ方法であり、以下の典型的な工程、すなわち
処理物質を使い捨ての容器に入れる工程と、
容器内で処理物質が溶融するまで加熱して、溶融した物質を生成する工程と、
溶融した物質を容器内で冷却して、固化した物質を生成する工程とを概して含む。
【0013】
処理物質は、(a)放射性汚染物質又は非放射性汚染物質を含む土壌などの汚染土壌、(b)多くの種類の危険物質、(c)熱処理又は溶融固化処理を必要とする如何なる廃棄物、又は(d)そのような物質の混合物又は組み合わせであってもよい。処理物質を、処理物質中に配置された少なくとも2つの電極を用いて、電極間に電流を通すことによって(又は加熱エレメントから熱を通すことによって)、それ故に処理物質を介して加熱することができる。電流及び/又は加熱のエレメントは処理物質を加熱し、充分に溶融させ、その結果、溶融した物質は冷却された後に固化したガラス質の及び/又は結晶質の塊を形成する。固化した物質を容器内に入れた状態で処分してもよいし(すなわち、物質及び容器を両方とも処分する)、冷却した後に容器から取り出し、固化した物質を適切に処分することによって処分し、それによって容器を再使用できるようにしてもよい。
【0014】
本発明は、廃棄物含有溶融物の形状及び増大を制御する土材料を含む溶融障壁を包含する。溶融障壁は、容器が機能しないようにする可能性がある溶融した廃棄物/土壌の容器の壁への接触を物理的に防ぐものである。
【0015】
また、本発明は、土材料と、取り扱いを簡単にするために土材料を安定させるバインダーとの混合物を含む溶融障壁も包含する。
【0016】
さらに、本発明は、土材料と断熱材との混合物を含む溶融障壁を包含する。
【0017】
さらに、本発明は、溶融物の露出した表面の少なくとも一部を覆うことによって熱損失及び溶融物の表面の乱れを減じる表土材料を包含する。
【0018】
また、本発明は、溶融中に追加の物質を容器に供給する方法も包含する。
【0019】
さらに、本発明は、複数のスターター経路を備える、ICV中に迅速な溶融開始をもたらす装置を包含する。
【0020】
さらに、本発明は、廃棄物を土材料と混合することと、混合物を溶融固化することとを含む廃棄物を処理する方法を包含する。
【0021】
本発明の目的は、溶融固化、特にICVを向上させ、それによって溶融固化による廃棄物処理の効率及び費用効果を増大させることにある。
【0022】
本発明の別の目的は、処理容器の内側に接している断熱層と、断熱層と溶融される物質との間に挿入され、断熱材と熱的接触する耐熱材料の層とを概して備える容器内溶融固化用の処理容器を提供することにある。
【0023】
本発明のさらに別の目的は、溶融処理器又は処理器として「ロールオフ・ボックス(roll-off box)」又は他の簡単な囲い提供することにある。また、さらに別の目的は、標準的な廃棄物ボックスを、溶融するために物質を保持するのに使用することにある。また、さらに別の目的は、容器内での溶融固化処理の後に処理容器からの溶融固化生成物の除去を補佐するために処理容器が少なくとも1つの取り外し可能な壁を有することである。
【0024】
さらに別の目的は、処理容器が、取り外して溶融した物質を徐々に排出し、その後取り替えることが可能な少なくとも一つの壁のほんの一部を有することである。
【0025】
本発明の別の目的は、断熱層及び耐熱層としてカーボンベースの材料を使用することにあり、該層は導電性電極の表面として使用してもよい。
【0026】
さらに別の目的は、デュラボード(Duraboard)及び同様の断熱材料を断熱層として使用することにある。
【0027】
また、さらに別の目的は、空隙を断熱層として使用することにある。
【0028】
また、さらに別の目的は、シリカが高含量で含まれている砂、砂利及び/又は玉石(cobble rock)等の天然の土材料を対象の層用の断熱材料及び/又は耐熱材料として使用することにある。
【0029】
また、本発明のさらに別の目的は、例えばグラファイトベースの材料などのカーボンベースの材料を断熱層又は他の断熱材料として使用することにある。
【0030】
また、さらに別の目的は、サーモテクト・ボード・インシュレーション(Thermotect Board Insulation)を断熱層として使用することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
上述したように、従来の溶融固化処理は、典型的には原位置で、穴内で、又は複雑な人工的に作り出された溶融チャンバー内で行われてきた。しかしながら、本発明は、処理物質を入れ、溶融処理を行う容器を提供するものである。また、容器は、低コストで、溶融処理が完了すると容易に処分できるように製造される。これによって、溶融固化した及び/又は結晶質の塊を除去し、取り扱う必要がなくなり、その結果、廃棄物処理の安全かつ簡単な手段が提供される。
【0032】
本発明の容器を大抵の種類の溶融固化処理と併せて用いてもよい。例として、本発明の容器を、溶融できる如何なる物質及び溶融した無機物質に曝すことによって処理できる如何なる物質とも共に使用してもよいが、これらに限定されない。容器及び処理を、重金属、放射性核種、有機化合物及び無機化合物などの種々の汚染物質の種類に用いてもよい。汚染物質の濃度は、溶融固化に適した如何なる範囲のものでもあってもよい。さらに、本発明は天然に生ずる土材料又は土壌と共に使用できる。土壌の種類としては、例えば砂、沈泥、粘土、堆積物、砂利、玉石、岩石、巨礫及びそれらの組み合わせが挙げられる。物質の種類は湿った状態であってもよいし、汚泥、堆積物又は灰を含んでもよい。
【0033】
(スターター経路及び電極の構成)
一般的な溶融処理は、有機汚染物質を破壊し、危険な無機物質及び放射性物質を高品質の溶融固化した及び/又は結晶質の生成物内に固定化するために、汚染土壌又は他の土材料などの処理物質をジュール加熱によって電気溶融することを含むことができる。電気溶融を、ジュール加熱及びプラズマ加熱などの種々の種類の加熱処理を用いて発生させてもよい。少なくとも2つの電極又は少なくとも1つの加熱エレメントを処理物質内に設置することによって処理を開始し、続いて任意選択的に導電性スターター経路材料を少なくとも2つの電極間に設置する。電力を印加した際に、電流がスターター経路を通じて流れ、隣接した土壌を溶融するのに充分なほど加熱する。廃棄物で汚染されている可能性がある土壌が溶融した状態となったとき、該土壌は導電性となり、そのときから、処理用の加熱エレメントとして機能することができる。熱は溶融した塊から隣接した非溶融物質へと伝導し、該非溶融物質を融点に加熱し、その後、該非溶融物質も導電性となる。電力の供給を終了させるまで溶融した物質の量を増大させることによって処理が継続する。溶融処理中、如何なるオフガスも捕獲し、必要な場合に既知の適した方法で処理する。固化した塊は、溶融固化した及び/又は結晶質の生成物を含む。溶融固化処理によって、特に制限されないが、有機物質、重金属及び放射性核種を含めた汚染物質が固定化されるか、破壊されるか、かつ/又は気化する。溶融処理は、例えば鉄、木材、コンクリート、岩石、プラスチック、ビチューメン及びタイヤなどの残骸に対する高い耐性を有する。
【0034】
溶融手順の開始に必要な時間を、複数のスターター経路を利用することによって減少させることができる。最初の溶融区域を作出するには、全体の加熱時間の大半を必要とする可能性があることから、開始時間を最小化することで、隣接した非溶融物質を加熱するのに利用可能な溶融表面積の量を最大にすることによって、溶融固化に必要な総ての時間を大幅に減少させることができる。例えば、図1を参照すると、複数のスターター経路111が、溶融区域を容器全体に渡って多数の位置において生じさせることによって、容器内溶融固化処理の迅速な開始をもたらすことができる。本発明の一実施態様において、スターター経路は少なくとも1つの電源に接続された電極100と電気的に接触している。電極100を、1つ又は複数の電源に接続することができる。単一の電源を用いる場合、ある時に少なくとも2つの電極を介して電力を交互に印加することができる。別法としては、複数の電源を用いて電力を専用の電極の一部に供給することができる。例えば、3つの電源を6つの電極と共に用いることができ、ここで各電源は独立して一対の電極に接続されている。別法として、電気手段を用いて電力を任意の数の電源から任意の数の電極に転用することができる。
【0035】
スターター経路を容器内の如何なる場所にも据え付けてもよいが、一実施態様において、少なくとも1つのスターター経路は、最初の溶融区域が容器の下部において生じ、溶融成長の主要な方向が処理物質の上面に向かうように容器の比較的深い領域内にある。図2を参照すると、処理物質122の一部は容器125の底辺に置くことができる。容器のより深い領域における第1のスターター経路121は一対の電極100と接触し、容器125の下面の輪郭をなぞることができる。例えば、スターター経路は容器の下面に実質的に平行であることができる。追加のスターター経路123及び処理物質122は、容器の残りの容積内に置くことができる。電流を第1のスターター経路121を介して印加した際、最初の溶融が容器の底辺にて均一に生じ、概して上へ進行することができる(すなわち、下から上への加熱)。
【0036】
図3を参照すると、スターター経路の形状が基本的に線形(曲線状もしくは一直線)又は平面であってもよい。垂直平面の経路は、米国特許第6,120,430号明細書に記載されており、当該経路について説明する内容を参照により本願に組み込むものとする。複数のスターター経路を、少なくとも2つの線形の経路、少なくとも2つの平面の経路、並びに少なくとも1つの線形の経路と少なくとも1つの平面の経路とを組み合わせたものからなる群より選択することができる。スターター経路のそれぞれは、導電性グラファイトのフレーク、水酸化ナトリウム、犠牲抵抗エレメント(sacrificial resistance elements)、化学試薬及びそれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含むことができる。
【0037】
本発明の別の実施態様において、電極は選択的に帯電可能な領域を含むことができる。例えば、図2を参照すると、電極は電極100の一部を電気的に保護するように構成された電極シース124をさらに備えることができ、それによって多数のスターター経路の少なくとも1つとの電気接触を防ぐ。シースは非導電性セラミックなどの断熱材を含むことができ、電極が多数のスターター経路に動作可能なように接続されている場合、シースは、電極と選択された電極経路を除く総てのものとの電気接触を防ぐ機能を果たすことができる。さらに、シース124は、利用可能なスターター経路間を切り替えるように電極の方向に移動可能であってもよい。例えば、3つの独立したスターター経路を動作可能なように2つの電極間に接続することができ、該電極は電源に電気的に接続されている。導電性のコンタクトを有するセラミックのシースを電極の1つの周囲に設置することができる。
【0038】
導電性コンタクトはスターター経路の1つの横断面と形状及びサイズにおいて同様のものであるべきであり、金属、無機物及びセラミックスなどの如何なる導体材料も含むことができる。もう1つの方法として、コンタクトは、電極がスターター経路と直接接触するように単にシース材料を欠如したものであってもよい。シースは第3のスターター経路を介して電流を流す間に2つのスターター経路を絶縁することができる。独立したスターター経路のそれぞれを、シース、従って導電性コンタクトを1つのスターター経路から別のものへ移動させることによって選択することができる。シースの別の実施態様においては、導電性コンタクトがない。その代わり、シースは、種々のスターター経路に電極を徐々にさらしていくように移動することができ、それによって電流の伝導を可能にする。
【0039】
(人工表土の使用)
典型的な天然に生ずる土材料について、主に溶融する物質の組成に応じて溶融処理を約1200℃〜2000℃の温度範囲内で行ってもよい。化学的な添加剤を用いて、溶融温度を望ましい範囲内に制御することができる。典型的な溶融室において、溶融温度が高ければ高いほど、溶融容器の寿命の減少が一部原因で溶融処理及び装置のコストがより高くなり、急速な熱損失を補填するのに必要な電力が増大する。しかしながら、容器を単用又は制限された使用のために設計することができ、最小限のコストで構築することができるので、容器の熱サイクルの寿命はICVにおいて重要な問題ではない。さらに、連続処理は、典型的には何千時間作動するが、一実施態様において、ICV容器は何十時間のみ使用される。
【0040】
しかしながら、溶融物の露出した上面を介した熱損失は重大な非能率の原因である。さらに、溶融固化処理中に生じたガスは、溶融物を通過することから、表面の乱れを引き起こす。従って、本発明の一実施態様において、人工表土材料は、溶融物の露出した表面の少なくとも一部を覆い、それによって、熱損失を減じる。さらに、充分な量の表土を溶融物の上に設置することによって、溶融物表面の乱れを表土層の重量によって鈍らせることができる。
【0041】
表土物質は、土材料を含むことができる。また、該表土物質は、フラット・パネル、コンクリート又は耐火性のもののような人工材料も含むことができる。一実施態様において、表土材料は処理物質の融点を超えるか、又は該融点と同等の融点を有する。混合物が土材料単独の融点より高い融点を有するように、土材料を例えばシリカ含有土壌などの他の材料と混合することができる。もう一つの方法として、表土材料は、特に限定されないが、中空の球体、断熱材料及び他の人工材料を含めた非天然の添加剤を含むことができる。別の実施態様において、表土材料は処理廃棄物を含む。さらに別の実施態様において、重パネル(heavy panel)又はコンクリートの重しを土壌の表土の上に設置する。
【0042】
熱損失を減じることによって、表土材料は、溶融物が所与の入力レベルでの最大温度により速く到達できる。好ましくは、表土材料はガス透過性であってもよく、それによってガス流の表面への優先通路を提供することができる。表土材料は、さらに表土材料を通過するオフガスに混入した物質の除去のための濾材を含むことができる。濾材は、物理的な濾過媒体及び化学的な濾過媒体からなる群より選択することができる。
【0043】
溶融処理中、処理物質の焼きしまりにより容積の減少が一般に生じる。従って、本発明の一実施態様において、能動的な供給方法又は受動的な供給方法を用いて追加の物質を容器に添加し、それによって各容器内で処理される物質の量を最大にしてもよい。図4aを参照すると、追加の処理物質440を溶融処理の開始前に容器の上部に貯蔵した際に受動的な供給が発生する。一時的な拡張壁420を用いて、容積の減少前に予め装填した追加の処理物質を内蔵することができる。溶融処理中、処理物質430の溶融によって、追加の処理物質440の容器への低下が生じ、続いて追加の処理物質440が処理される。受動的な供給は、容積の減少量を予想するか、又は測定して、最初の装填物が溶融した後に利用可能な容積を決定することを含むことができる。次に、追加の処理物質の補填量を溶融開始前に受動的な供給のために予め装填することができる。図4bを参照すると、能動的な供給の際には、溶融処理中のフード内の供給ポート450を介して追加の処理物質440を容器に定期的に又は連続的に添加することができる。容器が基本的に一杯になった際に能動的な供給は止まる。両方の場合において、追加の物質は処理物質を含み、表土材料として機能することができる。もう一つの方法として、追加の物質は、汚染されていない土材料、断熱材、人工材料及びそれらの組み合わせを含むことができる。溶融物と表土との境界面における表土材料が、溶融固化が進展するにつれて消耗される傾向があるので、能動的に又は受動的に供給される追加の物質を表土として用いることは特に好都合である。したがって、能動的な供給は、表土層の補充と物質の供給の更なる目的を果たすことができる。
【0044】
ICV向上のための表土材料を使用する一方法は、溶融障壁で裏打ちされた容器を用意することを含み、前記容器は、該容器の比較的深い部分に導電性のスターター経路を有するのに加えて、該導電性のスターター経路と電気的に接触する複数の電極も有する。次に、該方法は、容器の少なくとも一部を第1の量の処理物質で満たすことと、前記処理物質の露出した表面を表土材料の第1の層で覆うことと、その後電極に電力を印加し、それによって溶融固化処理を開始することとを含む。処理が進行するにつれて、表土の一部が溶融し、消耗されてもよい。処理物質の追加の量は能動的に又は受動的に供給することができ、その後、該追加の量は増大する溶融物のための表土材料として作用し、溶融物表面の乱れを最小限にする。容器が溶融した物質で基本的に満たされた際に、電極への電力を停止し、容器を冷却する。溶融した内容物は固体のモノリスに固化し、それによってその中に含まれる廃棄物を処理する。
【0045】
(ICV容器ライナー−耐熱材料)
本発明の別の実施態様において、溶融処理は、市販の「ロールオフ・ボックス」などのスチール容器の使用を含む。容器の内側を、熱の伝播を阻害する断熱材及び溶融処理の際にボックスを保護する耐熱材料で裏打ちすることができる。
【0046】
耐熱材料は溶融障壁として機能し、岩石、玉石、砂利、砂及びそれらの組み合わせなどの土材料を含むことができる。耐熱材料は溶融境界の少なくとも一部を定めることができ、該溶融境界に含まれる廃棄物含有溶融物のものより大きい溶融温度を有するべきである。一実施態様において、耐熱材料は溶融物のものより少なくとも約100℃大きい溶融温度を有する。容器の壁を裏打ちするのに加えて、溶融障壁を用いて溶融物のサイズ及び形状を制御することができる。例えば、溶融障壁を用いて、適切に設置された形状で容器を複数の領域に分割することができる。別の例では、耐熱材料を用いて溶融物の底辺の角を丸める。
【0047】
典型的には、天然に生ずる土材料は、複合金属酸化物(無機物)、例えばジルコニア、マグネシア、アルミナ及び酸化鉄の混合物を含む。溶融障壁の溶融温度は土材料の組成、特に耐熱成分の存在量によって決まる。例えば、シリカは1580℃(2876°F)という非常に高い温度で溶融するので、高含量のシリカを有する砂は低量のシリカを有する砂よりはるかに高い温度で溶融する。例えば、純粋なシリカの砂が1580℃(2876°F)で溶融するのに対して、15容積%のソーダ灰(Na2CO3)と10容積%の石灰(CaO)を添加することによってその溶融温度を700℃(1292°F)に低減することができる。したがって、土材料を溶融物に対する有効な物理障壁となるように適切に選択し、それによって溶融物がICV容器の壁に接触するのを防ぐ必要がある。驚くべきことに、耐熱砂を用いた際に、溶融物と溶融障壁との粘性の移行帯が砂の「面」を支持するように機能し、砂が処理の間に溶融物へ流れるのを防いだ。さらに、耐熱物の厚さを、透過可能な耐熱物内で最低限の温度が達成されるようにするように設計することができる。該厚さが厚すぎる場合、裏側の温度が有機物を破壊するのに充分大きいものとならない可能性がある。
【0048】
天然に生ずる高シリカ含有土材料が欠如している場合、耐熱成分を利用可能な土材料に添加して溶融障壁の溶融温度を上昇させることができる。例えば、溶融障壁は、特に制限されないが、断熱板、耐火レンガ、不定形耐火コンクリート(例えばKAOCRETE(登録商標))及びそれらの組み合わせを含めた少なくとも1種の人造耐熱材料をさらに含むことができる。不定形耐火コンクリートをキャストパネルとして利用することができる。ある場合に、溶融障壁はICV処理中に生成したガスに対し透過可能であってもよい。ガス透過性溶融障壁の例としては、玉石と注型(cast)KAOCRETEとの混合物があるが特に制限されず、溶融障壁は玉石間の隙間を通してガスを通過させることが考えられる。処理される廃棄物に応じて、透過性は特にICV中に生成したガスを逃がすことによって溶融物の乱れを防ぐ手段として望ましい。別の実施態様において、ガスの放出を溶融物の側面に構築した透過性チャンネルによって促進することができる。
【0049】
別の実施態様において、耐熱ライニングと断熱材を結合し、単一の層にすることができる。多くの耐熱材料は熱伝導性である一方で、多くの断熱材は充分に高い融点を有さない。従って、高い熱伝導性を有する耐熱材料を、断熱材及び/又は多孔質材料を添加することによってより断熱なものとすることができる。耐熱材料は不定形であってもよく、その場合、耐熱材料が液状であるうちに断熱材を添加する。耐熱材料の断熱特性を増大させるために使用することができる多孔質材料の例として軽石がある。別の例として中空のセラミックビーズがある。結合した耐熱/断熱溶融障壁を使用することによって、ICV用の単純化したライナーシステムがもたらされる。さらに、耐熱物の断熱特性を、例えば通気した耐熱物のように設置前に混合物中に空気を混入させることによって向上させることができる。
【0050】
更に別の実施態様において、耐熱層は熱断熱材料の全層を含むことができる。耐熱材料の層は、注型(cast)耐熱材料の混合物及び粒状耐熱材料の混合物又はそれら混合物の混合物を含んでもよい。耐熱材料は固体又は多孔性の両方であってもよく、それら自体を介してガスもしくは液体が流れないようにするか、又は流れるようにする高いレベルの透過性を有してもよい。
【0051】
ライナーシステムに加えて、少なくとも2つの電極又は少なくとも1つの加熱エレメントをボックス内に設置する。次に、処理物質をボックス内に置き、本明細書で説明したように溶融処理を行う。溶融が完了したら、ボックスの内容物を冷却し、固化する。その後、ボックスを溶融固化した及び/又は結晶化した内容物と共に処分する。もう一つの実施態様において、溶融固化した及び/又は結晶化した内容物をボックスから除去し、別々に処分し、それによってボックスの再使用を可能にすることができる。
【0052】
図5は、本発明の一実施態様に従う処理容器を示す。図示されるように、容器10は側壁12及び底面14を有するボックスを備える。容器10には空隙及び/又は断熱層16のいずれかが側壁12及び底面14の各々に備え付けられている。断熱材16は断熱板、天然の土材料又は熱の流れを妨げることが可能なその他の材料などの材料から構成されていてもよい。断熱材の設置後、容器を耐熱材料18で裏打ちする。耐熱材料は、溶融物に曝される可能性がある総ての領域における容器の側面に加えて底面も裏打ちするように施される。好ましい実施態様において、自由液体を本発明と関連して用いる場合、耐熱材料を、プラスチック・ライナー19などの液体不透性のライナー19でさらに裏打ちしてもよい。もう一つの方法として、耐熱材料を、バーミキュライト、吸収クレー及び他の吸収無機物などの吸収材料で裏打ちすることができる。
【0053】
図6は、本発明の一実施態様を示す。図示のように、図5の容器には、蓋又はカバー22が備え付けられている。蓋又はカバー22は、容器10の上に配置され、該容器10の上端を密封する。蓋又はカバーには開口部24が備え付けられ、それを介して電極又は加熱エレメント26を延長する。
【0054】
蓋又はカバー22と容器10との間に、容器10に蓋又はカバー22を連結するコネクタ28を設置してもよい。
【0055】
図6に示す例にて表されているように、断熱材16及び耐熱材料18を容器10内に設置した後、処理物質30を容器内に入れる。例えば、本発明と関連してドラム缶を用いる場合、ドラム缶は、標準の208リットル(55ガロン)又は114リットル(30ガロン)のドラム缶を含んでもよい。しかしながら、当然ながら本発明で使用するドラム缶又は容器のサイズに制限はない。ドラム缶30の間の隙間を土壌32で満たす。当該土壌32は、ドラム缶を覆うためにも供給される。さらに、カバー土壌34の層を覆われたドラム缶上へ設置し、該層はコネクタ28に達する。電極又は加熱エレメント設置チューブ36は、カバー土壌34を介して延長する。処理プロセスのための電極又は加熱エレメント24は、設置チューブ36を介して延長する。
【0056】
図7は、本発明の実施態様の別の例を示し、小型のドラム缶30又はその他の処理物質を図6に示す円筒形のドラム缶の代わりに容器10に供給する。
【0057】
(ICV容器−熱ライナー設計)
別の実施態様において、容器内溶融固化用のライナーシステムは、内壁及び外壁を有する処理器又は処理容器を含み、内壁は処理器又は処理容器内での空間を規定し、DynaGuard(商標)ボードなどの断熱材料の層が処理器の内壁と接触しており、FIREFLY(登録商標)耐熱製品の材料などの耐熱物の層が断熱材料の層に隣接しており、溶融物質の層が耐熱材料の層と熱接触しており、耐熱材料の層は断熱材料の層と溶融物質の層との間に挿入されている。また、本発明は、全溶融処理からの熱の放散を促進するために処理器の内壁と断熱材の層との間にアニュラスを有することが考えられる。本実施態様において、アニュラスは、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口を有する流路を形成することができる。空気、液体及び他の冷却ガス又は液体が第1の温度で入口に入り、第2の温度で出口から出る。概して、入口の温度は出口の温度より低い。
【0058】
更なる実施態様において、処理器は、Dewalt Northwest及びCRW Groupのような製造供給元から購入可能な典型的な工業用ロールオフ・ボックスであってもよい。また、処理器が、処理完了後に固化した溶融生成物を容易に除去できるようにするための少なくとも一つの取り外し可能な側壁を有しているのも好都合である。この目的は、溶融物のより緩慢な排出を容易にするために部分的に処理器を開かせるように中心に蝶番のある少なくとも1つの側壁を有する処理器とすることによって達成してもよい。さらに別の実施態様において、処理器は、取り外して処理器から溶融物を排出させることが可能な取り外し可能な部分を備える少なくとも1つの側壁を有する。そのような取り外し可能な部分は、種々の溶融物排出速度を達成するようにそのサイズが様々である。取り外し可能な部分を取り替えて、処理器の再使用を可能にすることができる。
【0059】
図8は、本発明の一実施態様に従う処理器を示す。図示されるように、処理器は、側壁12及び底面14を有する典型的な19キロリットル(25立方ヤード)の「ロールオフ」ボックスを備える。断熱材16の層は、カーボンベースの材料、グラファイトベースの材料、砂、レンガ、コンクリートもしくは断熱板、それらの混合物又は高融点を有するその他の材料から構成されていてもよい。断熱材の設置後、処理器は耐熱材料18で裏打ちされる。耐熱材料は、断熱層の側面及び底面を裏打ちするように施される。また、耐熱材料の層は、適切な厚さで堆積させる場合、断熱材層と置き換わってもよい。次に、処理される溶融物質17を耐熱材料と熱接触させて入れる。別の実施態様において、自由液体を本発明と関連して用いる場合、耐熱材料をさらにプラスチックライナー19などの液体不透性ライナー19で裏打ちしてもよい。そのような処理器は、本明細書で説明したように、任意の様々な長さ、幅及び高さの寸法を有してもよい。しかしながら、当業者であれば理解できるように、ボックスの容積及び寸法は、それに取り付けなければならない如何なる装置も必要とするものによってのみ制限される。当業者であれば、カバーを処理器上に配置してもよいことが理解できる。当該カバーは、電極を延長し、処理中に生成したガスを回収し、処理中及び処理後に物質を処理器に供給する開口部に取り付けられてもよい。
【0060】
また、処理完了後に固化した溶融生成物を容易に除去できるようにする少なくとも1つの取り外し可能な側壁を処理器が有するのも好都合である。また、側壁には、部分的な又は完全な開口を可能にするように中心に蝶番があってもよい。図9は、溶融物のより緩慢な排出を容易にするために部分的に処理器を開かせるように中心に蝶番がある少なくとも1つの側壁を有する処理器を示す。処理器は、側壁12及び底面14を有する典型的な「ロールオフ・ボックス」である。テーパー状のスキッド52は、強度を追加し、残骸の蓄積を最小限にする。ホイール54は、容易な操縦を可能にする。本実施態様において、2つの部分からなる側壁53は、典型的なTラッチ58によって結合される。蝶番56は、側壁12へ付属の側壁53を固定するように両部分のエッジに沿って垂直に設置され、側壁53のそれぞれの部分を他方の部分と独立して開かせる。3つの垂直な角蝶番56は、処理器の側壁53を溶融物質の処分のために回転するように開かせる。Tラッチ58のドアリリースによって、側壁53の部分を安全に閉じ、ロックできるようにする。
【0061】
図10は、本発明の別の実施態様を示し、側壁53は完全に開いて溶融物質の容易な処分を可能にしてもよい。当業者であれば、側壁53のいずれかの部分又は両部分を蝶番56を取り外すことによって取り外すことができることを理解できる。そのような取り外し可能な部分はそのサイズが種々の溶融物排出速度を達成するように様々であってもよい。取り外し可能な部分を処理器の再使用を可能にするように取り替えることができる。
【0062】
(容器内溶融固化方法)
本発明を実行する工程の点から説明する。最初に、容器は、本明細書で説明されているように、断熱板で裏打ちし、その後スリップフォームを設置して耐熱材料の層の取り付けを容易にすることができる。もう一つの方法として、耐熱の性質を有する土材料が溶融障壁として単独で機能することができる。液体不透性ライナーを容器内に設置することができ、それ故に、処理物質及び土壌を液体不透性ライナー内に段階的に入れる(staged)ことができる。処理物質がかなりの液体を含有する場合、液体不透性ライナーを用いて、処理前に液体を含んでもよい。処理物質を据え付けたら、スリップフォームを除去してもよい。
【0063】
例において以下で説明するように、処理物質をドラム缶内の容器内に入れることができる。ドラム缶内で、処理物質は、処理物質の量を最小限にするように圧密される。もう一つの方法として、別の実施態様において、処理物質を、ドラム缶を必要とすることなく直接容器内に入れることができる。別の実施態様において、処理物質を袋又はボックス内の容器内に入れることができる。さらに別の実施態様において、液状廃棄物を土壌又は他の吸収剤と混合し、容器内に入れることができる。
【0064】
当業者であれば理解できるように、種々の添加剤を処理物質に添加して本発明の方法を改善させるか、又は向上させてもよい。例えば、ガラス改質剤は、処理物質の導電性を上昇させるか(例えばNa+)、又は処理物質に含まれる金属を酸化するのを助ける(例えばスクロース又はKMnO4)。溶融固化した及び/又は結晶質の塊(すなわち固化物質)の耐久性を向上させる添加剤又はPCBなどの有機塩素物質の破壊を促進するために添加される化学薬品を含めた、処理改質剤などの他の物質を使用してもよい。さらに、添加剤は、溶融温度を上昇させるか、又は低下させることによって溶融温度に影響を及ぼすものであってもよい。
【0065】
添加剤を精製した物質として導入するか、又は添加剤が、処理物質に添加可能な特定の土材料中に既に含まれていてもよい。ガラス改質剤の例として、フラックス剤(fluxing agent)、カラライザー(colorizer)、乳白剤、安定剤及びそれらの組み合わせがある。フラックス剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸ナトリウム、屑ガラス及びそれらの組み合わせが挙げられるが特に制限されない。カラライザーの例としては、金属酸化物、具体的には銅、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、バナジウム、チタン、ネオジム、プラセオジムの酸化物及びそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、カラライザーには、貴金属コロイドの沈殿物、並びにセレン、硫化カドミウム及びカドミウムセレン化物の沈殿物がある。乳白剤には、フッ素含有物質、リン酸塩又はそれらの組み合わせがある。安定剤は、その有用性に重要な耐薬品性及び/又は機械的強度などの物理的特性及び化学的特性をガラスに付与することができる。安定剤の例としては、CaO、Al2O3、CaCO3、アルカリ含有長石、酸化鉛、BaO、BaCO3、B2O3、H3BO3、ZrO2、Li2O、K2O、MgO、TiO2及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0066】
好ましい実施態様において、本発明の容器は、7.6〜31キロリットル(10〜40立方ヤード)の範囲内の容積の標準的な「ロールオフ」ボックスであってもよい。そのような容器又はボックスは、任意の様々な長さ、幅及び高さの寸法を有してもよい。しかしながら、当業者であれば理解できるように、ボックスの容積及び寸法は、それに取り付けなければならない如何なる装置も必要とするものによってのみ制限される。別の実施態様において、本発明の容器は、標準的な208リットル(55ガロン)のスチールドラム缶などの金属のドラム缶を備えてもよい。当該ドラム缶に、本明細書に記載されている必要な断熱材層及び/又は耐熱材料層を施すことができる。また、本発明の容器の肉厚も様々であってよい。典型的には、標準的なボックスは、2.0〜2.6ミリメートル(10〜12ゲージ)の範囲内の肉厚を有するが、他の寸法も可能である。
【0067】
一般論として、断熱材及び耐熱材料は容器の内側において溶融障壁を形成することができる。ライナーは、溶融処理の効率を上昇させるために溶融物を封じ込め、容器内の熱を保持する機能を果たす。また、ライナーは、容器を破損させる可能性がある溶融物の容器との接触を妨げる機能も果たす。耐熱材料の層が充分に厚いと、断熱層が必要でなくなる。もう一つの方法として、断熱材が処理中に溶融しないほど充分に耐熱性である場合、耐熱材料を省略し、断熱層のみ容器内に施してもよい。耐熱層及び別個の断熱層の両方を使用する場合、耐熱材料は断熱層への熱の伝達を遅くする機能も果たす。そのような場合、溶融処理後に容器から断熱層を取り除き、それらを再使用することが可能である。別の実施態様において、断熱ライナー及び/又は耐熱ライナーの複数の層を使用してもよい。当然のことながら、断熱材及び/又は耐熱材料の量は、他にも基準があるが、土壌及び処理物質の性質次第である。例えば、そのような土壌及び処理物質が高い溶融温度を有する場合、追加の断熱材及び/又は耐熱材料を必要としてもよい。もう一つの方法として、上述したように、断熱材及び耐熱材料を結合し、単一の溶融障壁にすることができる。
【0068】
ある場合には、軟らかい材料の溶融障壁を硬いモノリスの形状に安定させるのが好都合である。これは、垂直な壁について特に当てはまる。溶融障壁の一部を予め形成することによって、各ICV容器の内側にスリップフォームを構築するのと関連して効率を上昇させることができる。したがって、本発明には、土材料との結合剤として作用することができる物質の添加が包含される。そのような物質の例としては、水ガラス又はカーボン・ペーストを挙げることができるが、これらに限定されない。水ガラスは液状であって、空気中のCO2との接触により硬化し、硬化した形状となる。該水ガラスは、典型的にはケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムであり、ケイ酸カリウムはより耐熱性である。両ケイ酸塩は高温で軟らかくなるが、該物質は、ライナーシステムの取り扱い及び構築の間に剛性をもたらすというその目的を果たす。一実施態様において、水ガラスは、望ましい形状及び寸法を有する状態で設置された耐熱性の砂に浸透することができる。砂と水ガラスとの混合物が固まると、固化した溶融障壁をICV容器内で取り扱い、該容器内に設置することができる。代わりの応用技術には、液状の結合剤と土材料との混合物を適切な表面上にコテ仕上げすることがある。カーボン・ペーストを同様にして利用することができる。カーボン・ペースト(グラファイト)は、非常に高い溶融温度を有し、通常は土壌の溶融物によって濡れないので好都合である。従って、該カーボン・ペーストは、廃棄物含有溶融物と直接接触する優れた耐熱材料を作製するものである。さらに、カーボンベースの材料を使用することによって、処理を促進する電極として機能するように該材料の層を使用できるようにする。
【0069】
本発明は、既に汚染された物質又は土壌の汚染除去に限定されず、廃棄物の処理も包含するものである。例えば、廃棄物は、工業プロセスからの廃棄物の流れ又は樽もしくはタンクに貯蔵された廃棄物であってもよいが、これらに限定されない。廃棄物は液体、固体又はそれら両方の混合物であってもよい。そのような廃棄物をICVによって処理する方法は、土材料、ガラス・フリット及び/又は屑ガラスと廃棄物を混合し、それによって処理物質を形成することと、ICV容器に処理物質を装填することと、処理物質を溶融することと、溶融した処理物質を有する容器を冷却することとを含む。土材料及び廃棄物を、例えば加熱又は乾燥ガスによって乾燥することができる。また、処理物質を有する容器は、少なくとも1つの電源に電気的に接続されている電極と、少なくとも2つの電極をそれぞれ電気的に接続する少なくとも1つのスターター経路も内蔵する。
【0070】
一実施態様において、土壌を含む土材料と液体含有廃棄物とを、2つの物質を混合し乾燥することができる容器に移す。乾燥は、標準的な工業乾燥プロセス及び装置を用いて、物質を加熱するか、かつ/又は乾燥したガスをそれらに吹き込むことによって達成することができる。次に、処理物質を本明細書に記載され、特許請求の範囲に記載されている溶融固化用ICV容器に移すことができる。土材料は、砂、スリット、クレー、堆積物、砂利、玉石、岩石、巨礫又はそれらの組み合わせを含むことができ、典型的には酸化物材料及び/又はケイ酸塩を含有する。本明細書に記載されているように、土材料、それ故に処理物質の組成によって、溶融物及び最終的な溶融固化生成物の性質が影響を受ける。廃棄物処理の必要性は、特定の用途に応じて変動してもよいが、一実施態様において、本発明は、少なくとも約30質量%の土製ではない廃棄物を有する汚染されていない土材料を包含するものである。
【0071】
廃棄物には、包括的環境対処・補償・責任法(CERCLA)の廃棄物、資源保全再生法(RCRA)の廃棄物、放射性廃棄物、超ウラン(TRU)廃棄物、高レベル廃棄物、低レベル廃棄物、混合廃棄物、有機性廃棄物、無機性廃棄物、高ナトリウム含有廃棄物、金属、重金属、汚染物質又はそれらの組み合わせがあってもよい。有機性廃棄物としては、揮発性有機物、半揮発性有機物、多芳香族炭化水素、有機塩素物質及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。有機性廃棄物の例としては、ベンゼン、アセトン、トルエン、フェノール、ナフタレン、ピレン、フルオランテン、アントラセン、フェナントレン、クリセン、アニリン、アルコール及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。有機塩素物質の例としては、PCB、ダイオキシン、塩素化フラン、塩素化フェノール、ペンタクロロフェノール、ヘキサクロロベンゼン(HCB)、ヘキサクロロエタン、ヘキサクロロブタジエン、塩素化ピロール、塩素化チオフェン又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。放射性廃棄物としては、テクネチウム、Tc-99、Cs-137、Am-241、Co-60、I-129、I-131、Sr-90、ラドン、ラドン-220、H-3、ラジウム-238、Th-232、Th-230、Th-228、U-234、U-235、U-238、劣化ウラン、Pu-238、Pu-239、Pu-240、Pu-241及びそれらの組み合わせからなる群より選択される放射性核種が挙げられるが、これらに限定されない。金属の例としては、ベリリウム、砒素、クロム、カドミウム、銀、ニッケル及びセレニウム並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。重金属としては、鉛、バリウム、水銀、ラジウム及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。もう一つの方法として、重金属には、約200の原子質量単位を越えるか、又はこれに等しい原子量を有する金属がある。無機化合物には、シアン化合物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜流酸塩、炭酸塩、塩化物、フッ化物、他のハロゲン化物及びそれらの組み合わせからなる群より選択される物質が含まれていてもよい。
【0072】
廃棄物には、約70質量%未満又はこれに等しい高ナトリウム含有廃棄物、例えば酸化ナトリウムがあってもよい。高ナトリウム含有廃棄物の最大量を処理物質の導電性によって決定することができる。多くの導電性の廃棄物に当てはまることだが、大量のナトリウム含有廃棄物は、処理物質の導電性を増大させることができる。一実施態様において、処理物質の導電性は、スターター経路のものより低い。より高いナトリウム濃度を有する廃棄物をICV装置に装填する前に薄くなるように混合することができる。
【0073】
また、本発明は、農薬、殺虫剤、除草剤及びそれらの組み合わせの処理も包含するものである。農薬としては、DDT、DDD、DDE、クロルデン(登録商標)、メトキシクロル(登録商標)、ヘプタクロル(登録商標)、ヘプタクロルエポキシド、ディルドリン(登録商標)、エンドリン(登録商標)、アルドリン(登録商標)、リンダン(登録商標)、BHC、エンドスルファン又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。殺虫剤の例として、抗生物質、大環状ラクトン、エバーメクチン、ミルベマイシン系、砒素剤、植物源のもの(botanical)、カーバメート系、ベンゾフラニルメチルカーバメート系、ジメチルカーバメート系、オキシムカーバメート系、フェニルメチルカーバメート系、ジニトロフェノール系、フッ素系、ホルムアミジン系、燻蒸剤、無機系、昆虫発育制御剤、キチン合成阻害剤、幼若ホルモン模倣物質、幼若ホルモン、脱皮ホルモンアゴニスト、脱皮ホルモン、脱皮阻害剤、プレコセン、未分類の昆虫発育制御剤、ネライストキシンのアナログ、ニコチノイド系、ニトログアニジン系、ニトロメチレン系、ピリジルメチルアミン系、有機塩素剤、シクロジエン系、有機水銀、有機塩素剤、有機リン系、有機チオリン酸塩系、脂肪族有機チオリン酸塩系、脂肪族アミド有機チオリン酸塩系、オキシム有機チオリン酸塩系、複素環式有機チオリン酸塩系、ベンゾチオピラン有機チオリン酸塩系、ベンゾトリアジン有機チオリン酸塩系、イソインドール有機チオリン酸塩系、イソキサゾール有機チオリン酸塩系、ピラゾロピリミジン有機チオリン酸塩系、ピリジン有機チオリン酸塩系、ピリミジン有機チオリン酸塩系、キノキサリン有機チオリン酸塩系、チアジアゾール有機チオリン酸塩系、トリアゾール有機チオリン酸塩系、フェニル有機チオリン酸塩系、ホスホン酸塩系、ホスホノチオエート系、フェニルエチルホスホノチオエート系、フェニルフェニルホスホノチオエート系、ホスホルアミデート系、ホスホルアミドチオエート系、ホスホロジアミド系、オキサジアジン系、フタルイミド系、ピラゾール系、ピレスロイド系、ピレスロイドエステル系、ピレスロイドエーテル系、ピリミジンアミン系、ピロール系、テトロン酸系、チオ尿素系、尿素系、未分類のもの及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。除草剤には、抗生物質除草剤、芳香族酸除草剤、安息香酸除草剤、アミド系、アニリド系、アリールアラニン系、クロロアセトアニリド系、スルホンアニリド系、ピリミジニルオキシ安息香酸系、フタル酸系、ピコリン酸系、キノリンカルボン酸系、砒素剤、ベンゾイルシクロヘキサンジオン系、ベンゾフラニルアルキルスルホネート系、カーバメート系、カルバニラート系、シクロヘキサンオキシム系、シクロプロピルイソキサゾール系、ジカルボキシイミド系、ジニトロアニリン系、ジニトロフェノール系、ジフェニルエーテル系、ニトロフェニルエーテル系、ジチオカルバメート系、ハロゲン化脂肪族系、イミダゾリノン系、無機系、ニトリル、有機リン系、フェノキシ系、フェノキシ酢酸系、フェノキシ酪酸系、フェノキシプロピオン酸系、アリールオキシフェノキシプロピオン酸系、フェニレンジアミン系、ピラゾリルオキシアセトフェノン系、ピラゾリルフェニル系、ピリダジン系、ピリダジノン系、ピリジン系、ピリミジンジアミン系、第4級アンモニウム系、チオカーバメート系、チオカルボナート系、チオ尿素系、トリアジン系、クロロトリアジン系、メトキシトリアジン系、メチルチオトリアジン系、トリアジノン系、トリアゾール系、トリアゾロン系、トリアゾロピリミジン系、ウラシル系、尿素系、フェニル尿素系、スルホニル尿素系、ピリミジニルスルホニル尿素系、トリアジニルスルホニル尿素系、チアジアゾリル尿素系、未分類のもの、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0074】
また、廃棄物には、硝酸塩、亜硝酸塩、及び重金属のもの、アクチニド、放射性廃棄物などの高レベルの廃棄物もしくは低レベルの廃棄物、並びにそれらの組み合わせも含まれる。
【0075】
本発明の一実施態様において、廃棄物を工業プロセスからの廃棄物の流れから直接取り出すことができる。そのような場合において、廃棄物は液体であってもよく、該廃棄物を樽、タンクに移すか、又は本発明で説明されている土材料と混合するための処理設備に直接ポンプで送り込むことができる。
【実施例】
【0076】
(オイル中のウランチップ)
本発明を、オイル中のウランチップなどの放射性物質を含む具体的な実施例を参照して説明する。当然のことながら、該実施例は本発明の範囲を制限する意図のものでは全くない。
【0077】
最初に、処理物質を114リットル(30ガロン)のドラム缶内に入れる。次に、処理物質が入ったドラム缶を圧縮するか、又は圧密し、189リットル(50ガロン)のドラム缶内に入れ、土壌を詰め、密封する。その後、これらの後者のドラム缶を処理容器10内に導入する。以下にさらに説明するように、小さい方のドラム缶の圧縮中に、処理物質中の如何なるオイルも除去し、別個に処理する必要がある。
【0078】
処理物質(例えばウラン及びオイル)の圧密したドラム缶の容器10内への設置を2つの方法で行うことができる。第1の方法は、圧密した小さい方のドラム缶と土壌を保持する208リットル(55ガロン)のドラム缶を容器10に空けることを含むものである。圧密したドラム缶を直ちに土壌で覆って、空気への自由な露出を防ぐ。本方法において、圧密したドラム缶を処理の間により密接にまとまるように段階的に入れ(staged)、ウランのより高い装填を達成することができる。さらに、圧密したドラム缶を208リットル(55ガロン)のドラム缶から取り出すことによって、208リットル(55ガロン)のドラム缶を壊すようにするか、又は別の方法として溶融段階において蒸気を放出するために開封するようにする必要性がない
【0079】
もう一つの方法として、圧密したドラム缶を有する208リットル(55ガロン)のドラム缶を、処理用の廃棄物処理容器に直接入れる。この場合、通気口をドラム缶に設置して、処理中の蒸気の放出を促進する。
【0080】
小さい方(114リットル(30ガロン))のドラム缶の圧縮段階の間に除去した汚染したオイルの一部を、ウランのドラム缶と共に処理するために容器内の処理容積中の土壌に添加することができる。液体不透性ライナー19によって、処理物質から遊離のオイルが耐熱砂材料18に移動するのを防ぐ。廃棄物、土壌及び耐熱砂のレベルが同時に上昇するように、容器が望ましいレベルに満たされるまで、スリップフォームを上昇させる。その時点で、スリップフォームを格納先に移動させる。
【0081】
汚染されていない土壌の層を段階的に入れた廃棄物及び耐熱砂の上に設ける。次に、電極を土壌の層に配置する。電極の導入は、電極26の後の設置のための隙間を確保するために予め設置したチューブの使用を伴ってもよい。もう一つの方法として、対の電極を、汚染されていない土壌の層を段階的に入れた廃棄物及び耐熱砂の上に設ける前に段階的に入れた廃棄物及び耐熱砂に配置する。その後、スターター経路を電極間の土壌中に設置する。最後に、追加の汚染されていないカバー土壌34をスターター経路31の上に設置する。これによって、廃棄物を処理容器内に段階的に入れるのを終了する。廃棄物を段階的に入れた後の廃棄物処理容器の構成を図6及び7に示す。
【0082】
廃棄物処理容器10に上記のように廃棄物を段階的に入れたら、該容器10をオフガス処理システムに接続されているオフガス回収フード22で覆う。次に、電極送り装置29を支持する電極送り装置支持フレーム27を、フード22のデザインの一体部分でない場合に、容器−フードアセンブリ22上へ配置し、そのような場合、それらは既に所定の位置にある。その後、少なくとも2つの電極26を、送り装置29を通して、フード22内に、かつスターター経路31の末端に設置されたチューブ36内に設置する。追加のスターター経路材料をチューブ36内に設置して、スターター経路31と良好な接続ができるようにする。最後に、チューブの残部を汚染されていないカバー土壌34で満たす。これによって溶融するための物質の準備を完了する。当然のことながら、上述したことは少なくとも2つの電極を対象にするものであるが、少なくとも1つの加熱エレメントもシステムと共に使用してもよいことは当業者に明らかである。
【0083】
オフガスの流動の開始と準備試験を溶融処理の開始前に行う。溶融処理には、ある期間に渡って割合を上げて(ランプ開始)電力を印加することと、所定の出力値で電力を印加することとが含まれる。例えば、電力を約15時間、約500kWの全出力レベルとなるように印加してもよい。ウラン、ドラム缶及びオイルを含む廃棄物の処理は、処理される廃棄物の種類、使用される電力レベル及び容器のサイズに応じて完了するのに合計2〜5日のサイクル時間がかかる可能性があることが予想される。好ましくは、処理を完了まで1日あたり24時間を基準として行う。
【0084】
図11a〜11dは容器10内の物質の溶融の進行段階を示す。
【0085】
本発明の特定の具体的な実施態様を参照して説明したが、特許請求の範囲で述べられている本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることは当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、複数のスターター経路を有するICV容器の図である。
【図2】図2は、複数のスターター経路と電極シースを有するICV容器の図である。
【図3】図3は、スターター経路の構成の図である。
【図4】図4a及び4bは、追加の処理物質の受動的な供給及び能動的な供給をそれぞれ示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施態様に従う容器の端断面正面図である。
【図6】図6は、本発明の実施態様に従って使用した際の図1の容器を備える装置の端断面正面図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施態様に従って使用した際の図1の容器を備える装置の端断面正面図である。
【図8】図8は、処理器の断面図ある。
【図9】図9は、溶融物のより緩慢な排出を容易にするために部分的に処理器を開かせるように中心に蝶番がある少なくとも1つの側壁を有する処理器の透視図である。
【図10】図10は、側壁が完全に開いて溶融物質の容易な処分を可能にする処理器の別の透視図である。
【図11】図11a〜11dは、本発明の溶融処理の様々な段階における図3の装置の断面、正面、端図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物をジュール加熱によって溶融する廃棄物の溶融固化用システムであって、
a.処理物質と、
b.前記処理物質に据え付けられている複数の電極と、
c.前記電極を電気的に相互接続する少なくとも1つの導電性スターター経路と、
d.前記処理物質の露出した表面の少なくとも一部を覆う表土材料とを備え、
前記表土材料は、前記溶融固化中の熱損失及び溶融表面の乱れを減じる、廃棄物の溶融固化用システム。
【請求項2】
更に容器を備え、前記溶融固化が容器内溶融固化(in-container vitrification)で生じる請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記容器がロールオフ・ボックス(roll-off box)を備える請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記表土材料が、前記処理物質の融点を越えるか、又は該融点と等しい融点を有する土材料を含む請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記土材料が50質量%以上のシリカを含む請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記土材料が65質量%以上のシリカを含む請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記土材料が80質量%以上のシリカを含む請求項4記載のシステム。
【請求項8】
前記土材料が95質量%以上のシリカを含む請求項4記載のシステム。
【請求項9】
前記表土材料がガス透過性である請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記表土材料がオフガスに混入した物質の濾過用の濾材を含む請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記濾過媒体が、物理的な濾過媒体、化学的な濾過媒体及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記表土材料の少なくとも一部が前記処理物質と同じ物質を含む請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記表土材料の追加量を前記溶融固化中に少なくとも1回導入する請求項1記載のシステム。
【請求項14】
廃棄物をジュール加熱によって溶融する廃棄物の容器内溶融固化用システムであって、
a.処理物質と、
b.前記処理物質に据え付けられている複数の電極と、
c.前記電極を電気的に相互接続する少なくとも1つの導電性スターター経路と、
d.前記処理物質を含み、前記処理物質の露出した表面の少なくとも一部を覆うガス透過性の表土材料と、
e.ロールオフ・ボックスを有する、前記処理物質、前記複数の電極、前記導電性スターター経路及び前記表土材料のための容器を備え、
前記表土材料は、前記溶融固化中の熱損失及び溶融表面の乱れを減じる、廃棄物の溶融固化用システム。
【請求項15】
a.溶融障壁と、前記容器の比較的深い部分にある導電性スターター経路と、前記導電性スターター経路と電気的に接触している複数の電極とを有する容器を用意する工程と
b.前記容器の少なくとも一部を第1の量の処理物質で満たす工程と、
c.前記処理物質の露出した表面の少なくとも一部を表土材料の第1の層で覆う工程と、
d.前記電極に電力を印加し、それによって前記導電性スターター経路に隣接した前記処理物質の一部を溶融する工程と、
e.前記第1の層が溶融した際に前記表土材料の追加量を添加する工程と、
f.前記表土材料の前記追加量の少なくとも一部を溶融させる工程と、
g.前記容器が溶融した内容物で基本的に満たされるまでe及びfの工程を繰り返す工程と、
h.前記容器を冷却して、前記溶融した内容物を固化させ、それによって前記処理物質を溶融固化する工程とを含み、
前記表土材料は、熱損失及び溶融表面の乱れを減じる、容器内溶融固化方法。
【請求項16】
前記表土材料が前記処理物質を含む請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図11d】
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【公表番号】特表2008−528280(P2008−528280A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553276(P2007−553276)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/002972
【国際公開番号】WO2006/081443
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(506320820)ジオセーフ コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】