説明

容器収納注出装置,及び該装置を配置したキャビネット

【課題】お年よりでも容易に一升瓶等の内容物を小瓶に移す容器収納注出装置を提供する。
【解決手段】 支持台(2)と、該支持台(2)に支持軸(3)で回転自在に軸支した容器収納体(1)と、該容器収納体(1)に収納された一升瓶などの容器(10)の落下を防止する容器係止手段(7)とからなる。また、容器係止手段(7)は、該容器収納体(1)の上方に延設した取手部(6)を設け、該取手部(6)と容器受け皿(4)との間の延設棒(5)に回転自在に軸支し、容器(10)の首部(11)を係止できる。さらに、容器収納体(1)を傾斜させて容器(10)内の液体を注出するに際して、傾斜動作に支障とならないように、前記容器収納注出装置を載置した収納体の前後が開放されたキャビネットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、調味料や酒類の入った一升瓶や紙パック等の容器を収納する容器収納注出装置、及び該装置を配置したキャビネットに関し、重たい一升瓶等を抱えることなく,醤油注しや銚子に簡単に注入できる容器収納注出装置及びそれを配したキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会が訪れるなかで高齢で一人住いの家庭が多くなることが予想される。高齢の方には一升瓶で購入した醤油などの調味料を醤油注しに移し変える場合には一升瓶の重量も重く、手軽に移し変えが可能な装置が有益である。
そのため、灯油や水を貯蔵するポリタンク内の内容物を他の燃料タンク又は容器に移し変えるために、スタンドの中央柱杆に、上面を開放したタンク収納容器を外側に設けた支持軸により回転自在に設け、タンク収納容器を回動した時の姿勢を維持する姿勢維持手段を設けたポリタンクの注入装置が特許文献1に紹介されている。
【0003】
また、持ち運びにも便利で、家庭で気軽に使える回転式の飲料容器スタンドも特許文献2の開示されている。
更に、特許文献3には、ペットボトル容器の引き出し式収納装置として、左右の倒れ規制部に邪魔されることがなく、収納物であるボトル容器を容易に出し入れできる引き出し式収納装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−267495号公報
【特許文献2】実用新案登録第3111185号公報
【特許文献3】特開2005−224311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1の発明では、ポリタンクの内容物を燃料タンクに注入する場合に、支軸の位置にもよるが、燃料が多い場合と少ない場合とでは、ポリタンクを傾斜させるのに力に差を要し、傾斜させ過ぎるとポリタンクが落下する危険がある。また、同様に特許文献2の発明でも、コンパクトで持ち運びに便利なるも、飲料容器を傾斜で落下させたり、傾斜に力を要する欠点がある。
さらに、特許文献3の発明は、飲料容器や調味料容器を頻繁に使うキッチンなどの引出し内に収納でき、容器を該引出しに出し入れする場合は有効なるも、該容器の内容物を醤油注しなどに注入する場合は、一旦、引出しから容器を出して醤油注しに注入する必要があり、一升瓶などの重たい容器の場合は出し入れに負担がかかる欠点があった。
【0006】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、一升瓶などのような重たい容器から小瓶などに内容物を移しかえ注入する場合に、傾斜力が小さく、傾けすぎても容器が落下せず、簡単に注入作業ができるとともに、容器もキッチンなどの引出し内に収納したまま、注入作業が簡単に行えるお年よりなどに優しい容器収納注出装置と該装置を配置したキャビネットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、支持台と、該支持台に支持軸で回転自在に軸支した容器収納体と、該容器収納体に収納された一升瓶などの容器の落下を防止する容器係止手段とからなる容器収納注出装置である。
本発明によると、容器収納体にセットした一升瓶などの容器の内容物を、醤油注しなどの小瓶に移しかえ注入する際に、容器係止手段があるため、傾斜させ過ぎても容器が落下することがない。
【0008】
更に請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の容器係止手段を、該容器収納体の上方に延設した取手部と、該取手部と容器受け皿との間の延設棒に回転自在に軸支した容器首部係止手段を設けたものである。
本発明によると、容器収納体の上方に延設した取手部を設けたため、内容物を小瓶に注入する際の傾動が取手部を持って行えるため傾動力が小さくてよい。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、前記容器収納体を傾斜させて容器内の内容物を注出するに際して、傾斜動作に支障とならないように、前記容器収納注出装置を載置した収納体の前後が開放されたキャビネットである。
本発明によると、キャビネット内に容器収納注出装置をセットでき、キャビネット内に一升瓶などの容器を収納したまま、内容物を小瓶に移しかえ注入できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかる容器収納注出装置は、以上説明した如き内容のものなので、重い一升瓶などの容器内の内容物を、お年よりでも力を要しないで簡単に小瓶などに移しかえ注入できるとともに、注入時に容器を落下させる危険がない。また、該容器収納注入装置をセットできるキャビネットは、該注入容器と共に一升瓶などの容器をキャビネット内に仕舞うことができ、台所などの整理整頓が行いやすいという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づき、この発明の詳細を説明する。
図1は、本発明である容器収納注出装置の示す斜視図であり、図2は本発明に容器を収納した状態を示し、図3は容器の内容物を小瓶に注入する場合の状態を示す図である。また、図4は本発明である容器収納注出装置を引出し内にセットしたキャビネットの斜視図である。
【実施例1】
【0012】
本発明の容器収納注出装置は、図1に示すように、アルミニウムパイプ等の管体を屈曲加工し補強桟2bを溶接した支持台2に、容器収納体1を支持軸3で回転自在に軸支したものである。本実施例1の支持台2は、床や机に安定的に立設できるよう補強桟2bを含め台枠2aの底面は平らである。台枠2aを構成する左右の両管体は、その延長先が屈曲し、その先は垂直に配設された起立管2c部を形成し、更にその上部は約90度折り曲げられて水平管部2dを構成する。起立管2cは、台枠2aの前後方向ほぼ中央部に位置し、起立管2c中心がほぼ支持台重心位置とすることで容器収納注出装置が安定して起立できるように設計される。水平管部2dは、本容器収納注出装置の持ち運びを便利にするための取手を構成している。
【0013】
起立管2cには、容器収納体1の支持軸3が挿入される軸穴が設けられ、該軸穴に容器収納体1に固着形成された支持軸3が挿入される。容器収納体1は容器受け皿4と該容器受け皿4の上方に延設された延設棒5、先端部の取手部6、及び延設棒途中に回転自在に設けられた容器係止手段7で構成される。容器受け皿4は、軽量鋼板を折り曲げ溶接して形成され、上部開口形状は円形の一升瓶や角形ペットボトル、角形紙容器10などを収納するために正方形状としている。支持軸3は容器受け皿4の上端部に一対設けられる。この上端部は、容器収納体1に一升瓶などの容器10を収納した時の容器収納体自体を含めた重心が支持軸3の下方となるように設計される。
【0014】
延設棒5及び取手部6は、鋼管又は棒鋼等を折り曲げ成形して両端を容器収納体1の上部に溶接固着して形成される。両延設棒5の内側には容器係止手段7を回転自在に支軸するための小さな軸穴が設けられる。容器係止手段7は図に示すように棒鋼をコの字状に折り曲げ、両端を前記軸穴に挿入することで回転可能に構成される。この容器係止手段7は、図2又は図3に示すように、容器10の首部11に係止する部分であり、容器収納体1に収納する容器10の形状と首部11の高さを考慮して設計される。そのため、図示はしていないが、延設棒5への軸穴は縦長形状として、容器係止手段7を上下動可能し、任意の高さにセットできる構造とすることが好ましい。
【実施例2】
【0015】
次に図4を用いて、本発明である容器収納注出装置を配置したキャビネット23について、説明する。
本実施例2は、流し台20に配置された引出しキャビネット23を実施例で示している。流し台20は、図示していない加熱調理機や流し21が天板上に配置され、天板下部には台所用品を収納する開き戸、引出しなどが配置されている。本実施例2のキャビネット23は、縦長形状の引出しキャビネット23であり、前板24と底板25と、この前板24及び底板25を棒材で結合形成した構成で、下部には流し台20から出し入れするためのレール27が設けられる。引出しキャビネット23は、上部が台所小物用品を収納する網籠収納部23aで、下部が一升瓶やペットポトルなどの縦長の容器を収納するボトル収納部23bとなっている。
【0016】
ボトル収納部23bは、図1乃至図3の容器収納注出装置自体が載置できるよう設計されている。底板25の4隅に棒材が立ち上がり、前後の棒材間は側部枠体26で補強されている。側部枠体26は紙面に向かって左側は前後の棒材間の上部を固着補強し、右側は底板近傍の下部を固着補強している。これは図4に示すように、ボトル収納部23bに載置収納した容器収納注出装置内の容器10内の内容物を他の小瓶12などの小瓶12に移しかえる場合に、容器収納体1を回転傾斜させた場合に、傾斜動作に支障とならないように、容器収納注出装置を載置した収納体の前後が開放された状態となることを意味する。
【0017】
以上、本発明の実施例を説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、例えば、本実施例1では、支持台2をアルミニウムパイプ等の管体で示し、且つ容器受け皿4は軽量鋼板を使用したが、取手部6の棒鋼を含め、強化プラスチックなどで成形しても良い。
【0018】
また、実施例2では、引出しキャビネット23で例示したが、本発明はキャビネット23内に容器収納注出装置が収納できて、収納状態のままで、容器10内の内容物を傾斜抽出できればよく、開き戸内に回転配置される収納体キャビネットでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明である容器収納注出装置の斜視図である。
【図2】本発明に容器を収納した斜視図である。
【図3】本発明を用いて容器の内容物を注入容器に注入する斜視図である。
【図4】本発明である容器収納注出装置を引出し内にセットしたキャビネットの斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 容器収納体
2 支持台
2a 台枠
2b 補強桟
2c 起立管
2d 水平管部
3 支持軸
4 容器受け皿
5 延設棒
6 取手部
7 容器係止手段
10 容器
11 首部
12 注入容器(小瓶)
20 流し台
21 流し
22 開き戸取手
23 引出し(キャビネット)
23a 網籠収納部
23b ボトル収納部
24 前板
25 底板
26 側部枠体
27 レール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台(2)と、該支持台(2)に支持軸(3)で回転自在に軸支した容器収納体(1)と、該容器収納体(1)に収納された一升瓶などの容器(10)の落下を防止する容器係止手段(7)とからなる容器収納注出装置。
【請求項2】
前記容器係止手段(7)は、該容器収納体(1)の上方に延設した取手部(6)を設け、該取手部(6)と容器受け皿(4)との間の延設棒(5)に回転自在に軸支し、容器(10)の首部(11)を係止できることを特徴とする請求項1に記載の容器収納注出装置。
【請求項3】
前記容器収納体(1)を傾斜させて容器内の内容物を注出するに際して、傾斜動作に支障とならないように、前記容器収納注出装置を載置した収納体の前後が開放されたことを特徴とする請求項1乃至2に記載の容器収納注出装置を配置したキャビネット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−331760(P2007−331760A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161848(P2006−161848)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】