説明

容器支持台

【課題】厳密な精度を必要とせずに、回転時の擦れ、当り又は振動を防止、着脱作業が容易で、且つ安価な容器支持台を提供する。
【解決手段】嵌合孔8を有する受け部9と、嵌合孔8に嵌り合う嵌合軸10を有する支持部11とを備え、受け部9又は支持部11のいずれか一方には嵌合孔8の軸線から偏心してピン15が設けられ、受け部9又は支持部11の他方にはピン15に嵌り合うピン係合部34が設けられた容器支持台1において、嵌合孔8と嵌合軸10との間及びピン15とピン係合部34との間に、弾性部材22,37,38を介装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される容器を支持するための容器支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
PETボトルや壜等の容器に対して、当該容器を搬送させながら各種検査を行う検査装置が知られている。かかる検査装置では、回転テーブルの周縁部に容器支持台が等間隔で設けられ、この容器支持台は、更に、当該容器支持台の軸線を中心として回転可能に構成されている。そして容器は、容器支持台に載置されて回転テーブルと共に旋回搬送されつつ適宜検査の目的に合わせて回転される。
【0003】
一方、この容器支持台は、搬送対象となる容器に合わせて、大きさや高さを変更する必要がある。このため、各容器支持台は回転テーブルの周縁部に固定されている受け部と、当該受け部に対して着脱可能であって搬送対象となる容器に合わせて形状が変更される支持部とを備えている。そして、検査の目的に合わせて支持部を的確に回転させるためには、支持部と受け部との中心を精度良く一致させることが必要である。このため、受け部に嵌合孔を設け、一方、支持部に嵌合軸を設け、嵌合孔に嵌合軸を挿入することで中心を合わせている。更に、支持部の受け部に対する回転を防止することも必要である。このため、受け部に嵌合孔の軸線から偏心してピンを設け、一方、支持部にピン係合部を形成し、ピンをピン係合部に係合させているものがある。また、受け部と支持部とをねじで止めているものもある。更に受け部と支持部との間にマグネットを取り付けているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−81422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、嵌合軸と嵌合孔、及びピンとピン係合部を有し、これらを直接嵌合させている構造は、嵌め合い寸法を厳密にしないと容器の搬送中に容器支持台が振動してしまい、安定して搬送することが困難である。一方、厳密に製造すると、部品同士の互換性が著しく悪くなり、特定の部品同士しか嵌め合わせられないことがある。加工誤差により新規部品の取り付けができないなどの不都合が生じることもある。また、嵌め合いがきついと、着脱が容易ではない。更に、精度よく製造したとしても完全に擦れや振動を抑えることはできず、その結果、回転時に擦れ、当り及び振動が発生し、嵌合軸やピンが磨耗して破損に至ることがある。一方、検査される容器の径や高さが異なる場合、検査のロットごとに容器支持台を交換する型替作業が必要であるが、容器支持台を搬送装置にねじ止めする構成では、その都度、ねじを取り外し、また締め付ける作業が必要であり、作業の負担が大きいという問題がある。また、マグネットを利用することで、振動はある程度軽減され、また作業性も向上するが、各容器支持台にマグネットを取り付ける必要があり、費用がかかるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、厳密な精度を要求することなく回転時の擦れ、当り及び振動を防止し、着脱作業が容易で、且つ安価な容器支持台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器支持台は、嵌合孔(8)を有する受け部(9)と、前記嵌合孔(8)に嵌り合う嵌合軸(10)を有する支持部(11)とを備え、前記受け部(9)又は前記支持部(11)のいずれか一方には前記嵌合孔(8)の軸線から偏心してピン(15)が設けられ、前記受け部(9)又は前記支持部(11)の他方には前記ピン(15)に嵌り合うピン係合部(34)が設けられた容器支持台(1)において、前記嵌合孔(8)と前記嵌合軸(10)との間及び前記ピン(15)と前記ピン係合部(34)との間に、弾性部材(22,37,38)を介装することにより上記課題を解決する。
【0007】
本発明の容器支持台によれば、嵌合孔と嵌合軸との間及びピンとピン係合部との間に弾性部材が介装されている。従って嵌合軸と嵌合孔との嵌め合い精度及びピンとピン係合部の嵌め合い精度を厳密にしなくとも、嵌合軸とピンとを、それぞれ嵌合孔とピン係合部に対して若干小さく形成して弾性部材を介装することにより、その弾性によって両者をがたつきなく嵌合することができる。更に嵌合孔及び嵌合軸の中心線と、ピン及びピン係合部の中心線との間の距離も、多少の誤差は弾性部材の弾性により補われるので、厳密な精度が要求されることがない。更に精度に余裕があるため取付も容易となる。
【0008】
また、本発明の一形態によれば、前記弾性部材はOリング(22,37,38)であってもよい。これによると弾性部材を安価に提供することができる。また、取り付け、交換作業も容易である。
【0009】
更に、本発明の一形態によれば、前記受け部(9)は前記容器の搬送経路に沿って移動してもよく、前記受け部(9)は前記受け部の軸線を中心として回転してもよい。
【0010】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によると、嵌合孔と嵌合軸との間の嵌め合い、ピンとピン係合部との間の嵌め合い、及び、嵌合孔及び嵌合軸の中心線とピン及びピン係合部の中心線との間の距離に対して厳密な精度が要求されることなく、がたつきを防止することができる。このため、嵌合軸や嵌合孔、ピンやピン係合部等の磨耗を防止することができ、容器支持台の耐久性を向上することができる。また、厳密な精度が要求されないため、製造が容易となり、コストを低減することができる。更に嵌め合い精度に余裕があるため、着脱が容易になり作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の一形態にかかる容器支持台1の側部断面図である。この容器支持台1は、ロータ等の回転テーブル2の周縁に等間隔で複数設けられた保持部3上にそれぞれ取り付けられている。保持部3は、回転テーブル2の周縁部を上下に貫通し、内面に貫通孔4aを有する不動部4と、この不動部4に対して回転可能に取り付けられる回転部5とを備える。回転部5は、不図示の駆動装置に連結され且つ不動部4の貫通孔4aに挿入されている軸部5aと、その軸部5aの上部に固定され且つ軸部5aと共に回転する台座部5bとを備える。そして回転部5は、回転テーブル2の回転と共に旋回する不動部4に対して適宜目的に合わせて回転される。
【0013】
容器支持台1は、保持部3の台座部5b上に固定され且つ中心に嵌合孔8が設けられた受け部9と、その嵌合孔8の内径より若干小さな径を有する嵌合軸10を下部に有し且つ受け部9の上部に着脱可能に配置される支持部11とを備える。図2はその容器支持台1の分解斜視図である。
【0014】
受け部9は、図示したように厚みのある円板状の受け部本体14と、当該受け部本体14に取り付けられたピン15とを備える。
【0015】
受け部本体14は、その中心線C1に沿って設けられた、当該受け部本体14を貫通する上述の嵌合孔8を備える。また、この嵌合孔8より外周側には、受け部9を保持部3の台座部5bに固定するための、図1で示したボルト17が挿入されるボルト孔18‥18が形成されている。ボルト孔18‥18は同心円上の3カ所に等間隔で配されており、挿入されるボルト17の頭部が受け部9の上面の下側へ埋没されるように、頭部が収容される所定深さの凹部18aが形成されている。そしてこのボルト孔18にボルト17を差し込んでボルト17の先端部を台座部5bに設けられたねじ切り孔5cに螺合させることにより、受け部9が回転部5に固定されている。また、同様に受け部本体14の嵌合孔8より外周側には、1つのピン孔19も設けられている。このピン孔19は、受け部本体14の上面から下面に向かう方向に、所定の内径を有する上部と、当該所定の内径より小さい径を有する中部と、中部より大きな内径を有する下部とを有する。
【0016】
ピン15は、ピン孔19の上部の内径よりも大きい直径を有する大径部と、その上部の内径とほぼ同径の直径を有する小径部とを有し、更にその小径部の下端にはねじ切り孔15aが設けられている。そして図1で示したように、このピン15の小径部を、ピン孔19の上部から挿入し、受け部本体14の下面からボルト20を挿入して、ピン15の下端のねじ切り孔15aにこのボルト20の先端を螺合することで、ピン15が受け部本体14に固定されている。そして、この固定されたピン15の大径部には、1つのOリング22が装着されている。
【0017】
一方、支持部11は、容器BTが載置される円盤状の載置部25と、この載置部25の下面に取り付けられ、下部に嵌合軸10を有する連結部26とを備える。
【0018】
載置部25の上面は中心から所定半径の内側が平坦に形成され、この平坦な面の半径方向外側は、下方に向け斜めに若干傾くように形成されている。また、載置部25には、載置部25を連結部26に固定するための図1で示したボルト27が挿入されるボルト孔28,28が形成されている。ボルト孔28,28は載置部25の中心線C1を挟んで対象となる2カ所に配されており、このボルト孔28,28も、受け部9に設けられたボルト孔18…18と同様に、ボルト27の頭部が載置部25の上面の下側へ埋没されるように、頭部が収容される所定深さの凹部28aが形成されている。
【0019】
連結部26は、円筒状の胴部30と、その上下に設けられた上部円盤31と下部円盤32と、下部円盤32の下方に延びる嵌合軸10とを備える。嵌合軸10は、受け部9の中心線C1に沿って形成された嵌合孔8に係合されることにより、当該受け部9の半径方向のずれを防止するためのものである。また、連結部26の下部円盤32には、円形の貫通孔であるピン係合部34が設けられている。このピン係合部34の径はピン15の径より若干大きくなっており、このピン係合部34にピン15が係合されることにより、支持部11の受け部9に対する回転が防止される。更に、上部円盤31の、載置部25に設けられたボルト孔28に対応する位置には、ねじ切り孔35が設けられている。
【0020】
そして、連結部26のねじ切り孔35の中心と載置部25のボルト孔28の中心と同一線上に配置され、載置部25の上から図1で示したようにボルト27が挿入され、このボルト27の先端部がねじ切り孔35に螺合されることにより、載置部25が連結部26に固定されている。なお、このてボルト27の頭部は凹部28aに埋没されている。また、この連結部26の下から下方に延びる嵌合軸10には、弾性部材である2つのOリング37,38が装着されている。
【0021】
次に、本形態において、受け部9に対して支持部11を取り付ける作業を説明する。支持部11の嵌合軸10の中心線と受け部9の嵌合孔8の中心線C1と一致させ、更にピン15の中心線C2がピン係合部34の中心を通るようにして、支持部11の嵌合軸10を受け部9の嵌合孔8に挿入することにより、支持部11を受け部9に取り付ける。これにより、Oリング37,38が装着された嵌合軸10が嵌合孔8に嵌め込まれ、またOリング22が装着されたピン15がピン係合部34に嵌め込まれる。
【0022】
本形態の容器支持台1は、嵌合孔8に対して嵌合軸10が、またピン係合部34に対してピン15が若干小さく形成されているため、挿入する際に固く嵌め合わせる必要がなく、取り付けが容易である。また逆に受け部9から支持部11を取り外す場合も容易に取り外すことができる。従って、搬送対象となる容器BTの種類が異なり、容器BTの種類に対応した支持部に変更する場合でも、その支持部を受け部9に対して容易に交換することができる。
【0023】
そして、このように嵌め合いが緩くとも嵌合孔8と嵌合軸10との間にOリング37,38が介装され、またピン15とピン係合部34との間にOリング22が介装されているため、両者の間にがたつきを生じることなく嵌合することができる。従って、容器支持台1が、回転テーブル2に沿って旋回され、また回転されても、支持部11が振動したり、位置ずれを生じることなく確実に受け部9に固着されている。
【0024】
更に、嵌合孔8、嵌合軸10、ピン15及びピン係合部34の嵌め合い精度を厳密にする必要がないため、製造が容易となる。
【0025】
以上、本形態によると、嵌合軸10や嵌合孔8、ピン15やピン係合部34の間のがたつきが防止されるため、これらの磨耗を防止することができ、容器支持台1の耐久性が向上する。更に嵌め合い精度に余裕があるため、着脱が容易になり作業性を向上することができる。
【0026】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えばピン及びピン係合部の設け方も、上記の組み合わせに限定されるものではない。例えば、支持部の下面から下方に突出するピンを設け、受け部にこのピンが係合されるピン係合部を設けてもよい。またピン係合部も本形態のように円形の貫通孔に限定されず、長円形の貫通孔であってもよく、また貫通していない孔であってもよく、更に外周から内部に切り込まれた形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一形態にかかる容器支持台の側部断面図。
【図2】本発明の一形態にかかる容器支持台の分解斜視図。
【符号の説明】
【0028】
8 嵌合部
9 受け部
10 嵌合軸
11 支持部
15 ピン
34 ピン係合部
22,37,38 Oリング(弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合孔を有する受け部と、前記嵌合孔に嵌り合う嵌合軸を有する支持部とを備え、前記受け部又は前記支持部のいずれか一方には前記嵌合孔の軸線から偏心してピンが設けられ、前記受け部又は前記支持部の他方には前記ピンに嵌り合うピン係合部が設けられた容器支持台において、
前記嵌合孔と前記嵌合軸との間及び前記ピンと前記ピン係合部との間に、弾性部材が介装されていることを特徴とする容器支持台。
【請求項2】
前記弾性部材がOリングであることを特徴とする請求項1に記載の容器支持台。
【請求項3】
前記受け部が前記容器の搬送経路に沿って移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の容器支持台。
【請求項4】
前記受け部が該受け部の軸線を中心として回転することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器支持台。

【図1】
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【図2】
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