説明

容器

【課題】 軽量化が図られた薄肉の容器であっても、ウエスト部斜面に必要な強度及び復元性を付与し、ウエスト部斜面のへこみや変形を防止し、把持しやすい容器を提供する。
【解決手段】 胴部4の高さ方向ほぼ中央に、ウエスト溝61と把持凹部63とを有するボトル容器1において、ウエスト溝61の容器底部側接続面61cを含む領域に、容器内側に凸曲面状の指収納凹部62を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴部の高さ方向ほぼ中央にウエスト部を有する容器に関し、特に、軽量であって復元性の高い、薄肉のプラスチック製ボトル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルなどのプラスチック製ボトル容器は、成形が容易で大量生産に適しており、また、機械的強度が高く軽量であるなど、優れた特性を有していることから、各種の液体を充填する容器として広い分野で利用されている。
特に、近年では、各種飲料やミネラルウォーター等の飲料用容器として大量に使用されている。
【0003】
そして、ボトル容器の容量については、市場の要求に合わせて多くの種類が存在している。例えば、容量の大きいものとしては2リットル程度の容器が使用されている。ボトル容器の形状については、従来から、横断面形状が丸型や冷蔵庫収納性考慮した長方形のものや正方形のものが採用されている。
【0004】
また、容量が大きいボトル容器では、胴部に必要な強度を付与するため、胴部の高さ方向ほぼ中央に、主に周方向に沿って絞り込まれた形のウエスト部を形成している。このウエスト部は、補強部として機能するだけでなく、ボトル容器を片手で持つ際、指を引っ掛ける把持部としても機能するので、ボトル容器の持ちやすさも向上させることができる。
【0005】
ところで、近年においては、省資源化にともなう容器の軽量化傾向から、ボトル容器の肉厚が薄くなり、ボトル容器の強度が全体的に低下している。このように軽量化が図られた薄肉のボトル容器においては、胴部に横ビードなどを形成することにより、必要な強度や復元力を付与し、ボトル容器のへこみや変形を防止することが求められる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−250063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ある程度まで軽量化したボトル容器では、胴部に横ビードなどを形成したとしても、製造中や運搬中におけるボトル容器同士の衝突により、あるいは、容器を手で把持したとき、さらには、容器の店頭への陳列時などに、ウエスト部にへこみや変形が生じることが判明した。このへこみや変形は、多くの場合、ウエスト溝部の斜面(円弧面を含む)に発生しており、胴部に形成される横ビードの位置を変更しても、防止することはできなかった。
【0008】
また、特許文献1には、ウエスト部に把持部を形成した容器が示されている。
しかしながら、この把持部のみでは、把持部を挟み込んで持つ親指と、人差し指、又は中指との、二本の指に力が集中するため、容器を極限まで軽量化した場合、容器を持ち上げて内容液を注ぐ際に、容器ウエスト部が変形、座屈を起こし、扱いにくいものとなる。また、二本の指の力を分散させるために、把持部の斜面や、ウエスト部の斜面に、中指又は薬指をかけて力を入れた場合、斜面の剛性が不足するため斜面が変形、座屈を起こし、座屈した場合、元の形状に戻りにくかった。
【0009】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、軽量化が図られた薄肉の容器において、特に、ウエスト部斜面やその付近に必要な強度及び復元性を付与し、ウエスト部斜面付近のへこみや変形を防止するとともに、容器をさらに持ちやすくすることができる容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明の容器は、口部、胴部及び底部を備えた容器であって、前記胴部の高さ方向ほぼ中央に、容器口部側接続面、溝底面、容器底部側接続面を備えたウエスト溝が形成されており、少なくとも一組の互いに対向する把持凹部を前記ウエスト溝上に形成するとともに、少なくとも前記ウエスト溝の容器底部側接続面を含む領域に、前記ウエスト溝に対して前記底部側に位置し、かつ、容器内方に向かって凸曲面状の指収納凹部が、少なくとも一つ形成されている構成としてある。
【0011】
このような構成を採用した本発明の容器によれば、容器を保持するとき、持ち手に力が加わった場合、把持凹部を持つ親指と、人差し指、又は中指の二本の指以外に、中指、又は薬指など他の一本の指を、把持凹部を持つ指に近づけつつ指収納凹部に収めることにより他の一本の指に力を加えることができ、容器内方側に向かって凸曲面の指収納凹部形状により、指の腹部を包み込むよう収めることができる。
また、指収納凹部の縁を形成する稜線の骨子としての効果により、ウエスト溝の容器底部側接続面(言い換えると、ウエスト溝の溝底面と、ウエスト溝に対して容器底部側方向の胴部とを接続する面であり、例えば、ウエスト部の斜面にあたる)の剛性と、座屈変形した場合の復元力を高めることができる。また、好ましくは指収納凹部を二個、さらに好ましくは対向する位置に設けると、両手で内容液を注ぐ際に把持凹部を持つ反対の手の親指を効果的に収めることができる。
【0012】
また、本発明の容器は、前記把持凹部が、前記把持凹部の底面にそれぞれ接続する容器口部側接続面と容器底部側接続面とを備え、前記指収納凹部が、前記把持凹部の容器底部側接続面を含む領域に設けられている構成とすることができる。
このような構成とすれば、本発明の効果が十分に発揮されるだけでなく、把持凹部の容器底部側接続面の補強に加え、把持凹部の容器底部側接続面に形成されている稜線と指収納凹部の稜線が接続され、ウエスト溝の容器底部側接続面がより補強される。
【0013】
また、本発明の容器は、口部、胴部及び底部を備えた角型の容器であって、前記胴部の少なくとも一組の互いに対向する面の高さ方向ほぼ中央に、容器口部側接続面、溝底面、容器底部側接続面を備えたウエスト溝が形成されており、少なくとも一組の互いに対向する把持凹部を前記ウエスト溝上に形成するとともに、少なくとも前記ウエスト溝の容器底部側接続面を含む領域に、前記ウエスト溝に対して前記底部側に位置し、かつ、容器内方に向かって凸曲面状の指収納凹部が、少なくとも一つ形成されている構成とすることができ、この場合にも、前記把持凹部が、前記把持凹部の底面にそれぞれ接続する容器口部側接続面と容器底部側接続面とを備え、前記指収納凹部が、前記把持凹部の容器底部側接続面を含む領域に設けられている構成とすることができる。
【0014】
角型容器の場合、ウエスト部のウエスト溝と把持凹部が、最低一組の対向する面に設けられ、指収納凹部をウエスト溝の容器底部側接続面を含む領域に一箇所設けていれば、容器を把持でき、上記指収納凹部の指収納性、剛性、復元性の効果を発揮できる。
【0015】
また、本発明の容器は、前記把持凹部の容器底部側接続面が、高さ方向に連なる二つ以上の面からなる構成とすることができる。
このような構成とすれば、本発明の効果が十分に発揮されるだけでなく、把持凹部の容器底部側接続面の稜線の本数増加により把持凹部の容器底部側接続面を補強することができる。
【0016】
また、本発明の容器は、前記把持凹部の容器底部側接続面をなす二つ以上の面のうち、前記指収納凹部に接続する面を、前記指収納凹部の上縁に帯状に沿ったアーチ状の面とした構成とすることができ、このとき、前記アーチ状の面の水平面に対する傾斜角度が、30〜65°であるのが好ましい。
このような構成とすれば、指収納凹部の上縁に沿って二本の稜線が近接して形成されるため、把持凹部の容器底部側接続面を補強する効果をより一層高めることが可能となり、把持凹部の容器底部側接続面の変形、座屈をより有効に回避することができるとともに、指のかかり具合が良くなって、容器の把持性がより向上する。
【0017】
また、本発明の容器は、前記把持凹部の容器底部側接続面をなす二つ以上の面のうち、前記把持凹部の底面に接続する面の縦断面形状を、容器外方に向かう凸曲面状とした構成とすることができる。
このような構成とすれば、把持凹部に入れる人差し指、又は中指が上側接続面を押す力に対する剛性と復元性とが高まり、把持凹部の容器底部側接続面の変形、座屈をよりいっそう有効に回避することができる。特に、前記把持凹部の底面に接続する面を、鞍馬状に形成することにより、容器を把持したときの触感を良好ならしめつつ、当該面自体の剛性と復元性とをよりいっそう向上させることができる。
【0018】
また、本発明の容器は、前記指収納凹部の高さが5mm〜30mmであって、前記指収納凹部の幅方向中央の縦断面形状が円弧状となる曲面であるのが好ましく、さらに、前記指収納凹部の横幅が20mm〜50mmであるのが好ましい。
このような構成とすれば、本発明の効果が十分に発揮されるだけでなく、指収納凹部曲面の強度を確保しつつ、指収納凹部に収納する指の収まりや掛かりがよくなる。
【0019】
また、本発明の容器は、前記把持凹部の上下の少なくとも一方に、横ビードを設けた構成とすることができる。
このような構成とすれば、把持凹部に指を入れて容器を把持したときなどに把持凹部に加わる押圧力の伝搬を、この上下に設けた横ビードで遮って、胴部の表面がへこんだり、変形したりするのを有効に回避することができる。
【0020】
また、本発明の容器は、前記胴部の前記口部側、又は前記胴部の前記底部側において、他の部位に比べての相対的に薄肉となる部位に、周方向に沿った断続的、又は連続的な段部を形成した構成とすることができる。
このような構成とすれば、高さ方向ほぼ中央にウエスト溝や把持凹部が形成されているため、胴部の口部側や底部側がより相対的に薄肉になる傾向にあり、ヒケなどの問題が生じやすい本発明の容器にあっても、胴部の口部側や底部側の相対的に薄肉になりやすい部位のヒケを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、ウエスト溝の容器底部側接続面を含む領域に形成される容器内方側に凸の指収納凹部によって、ウエスト溝の容器底部側接続面(ウエスト部斜面)に必要な強度及び復元性が付与されるので、軽量化が図られた薄肉の容器においても、把持部へ加える把持力を指収納凹部へ分散することにより軽減し、さらに持ちやすさとウエスト溝の容器底部側接続面の強度、復元力を増すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る容器の一例として、本発明をプラスチック製ボトル容器に適用した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
ここで、図1は、本実施形態に係るボトル容器の正面図、図2は、本実施形態に係るボトル容器の側面図、図3は、本実施形態に係るボトル容器のウエスト部の近傍を示す拡大図、図4は、図3におけるA−A断面図である。
【0023】
これらの図に示されるボトル容器1は、熱可塑性樹脂からなるプリフォームを、二軸延伸ブロー成形することにより形成されるプラスチック製ボトル容器であり、口部2、肩部3、胴部4及び底部5を有している。
また、以下の説明において、高さ方向とは、口部2を上にしてボトル容器1を水平面に置いたときに、水平面に直交する方向に沿った方向をいうものとする。
【0024】
本実施形態におけるボトル容器1の胴部4は、横断面形状をほぼ長方形とし、その短辺が110mm以下であることが好ましい。このようにすると、容量が2000〜3000mlの大型容器であっても冷蔵庫収納性が確保されるとともに、ボトル容器1を片手で把持することが可能になる。
なお、胴部4は、横断面形状をほぼ正方形としてもよい。この場合、その一辺を110mm以下とすれば、良好な冷蔵庫収納性及びハンドリング性を確保することができる。
【0025】
胴部4の高さ方向ほぼ中央には、周方向に沿って絞り込まれたウエスト部6が形成されている。
ウエスト部6は、胴部4に必要な強度を付与する補強部機能と、ボトル容器1を片手で持つ際、指掛けとなってハンドリングを容易にする把持部機能とを兼ね備える部位であり、ウエスト溝61と、把持凹部63とを有している。
【0026】
ここで、ウエスト溝61とは、胴部4の周方向に沿って形成される凹溝状のものをいい、本実施形態では胴部4に一周設けられているが、ボトル容器1が角型のものである場合、ウエスト溝61は、胴部4の少なくとも一組の互いに対向する面の高さ方向ほぼ中央に設けられていればよい。
さらに、長尺辺である容器正面、及び容器背面のそれぞれに位置するウエスト溝61には、把持用の窪みである把持凹部63が形成してある。この把持凹部63は、容器正面、及び容器背面のそれぞれに位置するウエスト溝61の横幅中央に形成され、ボトル容器1を把持した際に指を入り込ませることにより、ボトル容器1の把持性を高めている。
【0027】
本実施形態のウエスト溝61は、垂直な溝底面61aと、この溝底面61aに対して容器上側に位置して胴部4と溝底面61aとを接続する容器口部側接続面61bと、溝底面61aに対して容器下側に位置して胴部4と溝底面61aとを接続する容器底部側接続面61cとを有している。本実施形態において、ウエスト溝61の容器口部側接続面61b、及びウエスト溝61の容器底部側接続面61cは、縦断面が曲面状である。
【0028】
そして、把持凹部63は、垂直な把持凹部底面63aと、この把持凹部底面63aに対して容器上側に位置して胴部4、又はウエスト溝61の容器口部側接続面61bと、把持凹部底面63aとを接続する容器口部側接続面63bと、把持凹部底面63aに対して容器下側に位置して胴部4、又はウエスト溝61の容器底部側接続面61cと、把持凹部底面63aとを接続する容器口部側接続面63bとを有している。
【0029】
指収納凹部62は、ボトル容器1の薄肉化に伴うウエスト溝61の容器底部側接続面61cの剛性と復元性の低下を抑制するために、図示するように、ウエスト溝61の容器底部側接続面61cを含む領域に形成する。
また、本実施形態の指収納凹部62は、さらに把持凹部63の容器底部側接続面63cを含む領域に設けられている。
【0030】
換言すれば、指収納凹部62は、図3(b)に示すように、把持凹部63の容器底部側に位置する容器底部側接続面63cの容器底部側に、把持凹部63の容器底部側接続面63cと、ウエスト溝61の容器底部側接続面61cとを同時に、図中鎖線で示す部分で削り取った形状で設けている。
なお、指収納部62が形成されている領域は、把持凹部63の容器底部側接続面63cに含まれないようにしてもよい。また、指収納凹部62は、容器正面側にのみ設け、容器背面側には設けないようにしてもよい。
【0031】
このように構成された本実施形態における把持凹部63と指収納凹部62は、ボトル容器1を把持したときに、把持凹部63に入れる人差し指、又は中指と、指収納凹部62に入れる中指、又は薬指とが当接するほどに接近しているので、把持する力を加えやすくなっている。
【0032】
さらに、図示する例では、指収納凹部62は、容器内方側に凸の曲面で、縦断面が、高さhが15mm,R70の円弧状で、横幅wは35mmであるが、指収納凹部の高さhは、10mm〜30mmであるのが好ましく、指収納凹部62の幅方向中央の縦断面形状は、R20〜R120の円弧状となる曲面であるのが好ましい。また、指収納凹部62の横幅wは、20mm〜50mmであるのが好ましい。
このようにすると、効果が十分に発揮されるだけでなく、指収納凹部62の曲面の強度を確保しつつ、指収納凹部62に収納する指の収まりや掛かりがよくなる。
なお、図示する例では、指収納凹部62の下縁を直線状に形成しているが、必要に応じて容器下側に向かって凸となるように湾曲させてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、把持凹部63の容器底部側接続面63cは、上側接続面63d,下側接続面63eの二面からなる。
このようにすると、十分な効果が発揮されるだけでなく、把持凹部63の容器底部側接続面63cの稜線の本数増加により、把持凹部63の容器底部側接続面63cを補強することができる。
【0034】
把持凹部63の容器底部側接続面63cを、上側接続面63d、下側接続面63eの二面からなるようにする場合、指収納凹部62に直接接続する下側接続面63eを、図示するような、指収納凹部62の上縁に帯状に沿ったアーチ状の面とするのが好ましい。
これにより、指収納凹部62の上縁に沿って二本の稜線が近接して形成されることとなり、把持凹部63の容器底部側接続面63cを補強する効果をより一層高めることが可能となる。このため、把持凹部63の容器底部側接続面63cの変形、座屈をより有効に回避することができるとともに、指のかかり具合が良くなって、ボトル容器1の把持性がより向上する。
【0035】
ここで、本実施形態のように、下側接続面63eを指収納凹部62の上縁に帯状に沿ったアーチ状の面とする場合、その効果が十分に得られるようにするためには、下側接続面63eの水平面に対する傾斜角度θは、30〜65°であるのが好ましい。また、下側接続面63eの幅(ボトル容器1の表面に現れる稜線間の長さ)Lは、長手方向に沿ってほぼ一定にしてもよいが、指収納凹部62の面積を確保するために、中央に向かうにしたがって細幅となるようにすることもできる。下側接続面63eの幅Lの具体的な値は、ボトル容器1の寸法にもよるが、例えば、2〜5mm程度であるのが好ましい。
【0036】
また、本実施形態では、把持凹部63の底面63aに直接接続する上側接続面63dの縦断面形状を、容器外方に向かう凸曲面状とするのが好ましい。
これにより、把持凹部63に入れる人差し指、又は中指が上側接続面63dを押す力に対して、上側接続面63d自体の剛性と復元性とを高めることができ、把持凹部63の容器底部側接続面63cの変形、座屈をよりいっそう有効に回避することができる。
さらに、ボトル容器1を把持したときの触感を良好ならしめつつ、上側接続面63d自体の剛性と復元性とをより向上させるために、上側接続面63dは、少なくとも幅方向中央における横断面形状が、容器内方に向かって凸となるようにして、上側接続面63dの全体形状が、図示するような鞍馬状となっているのがより好ましい。
【0037】
ここで、本実施形態では、把持凹部63の底面63aに、図示するような平面円形状の突起90を滑り止めとして複数形成しているが、このような平面円形状の突起は、方向を問わずに滑り止め効果を発揮するものであるため好ましい。
【0038】
さらに、本実施形態では、図示するように、把持凹部63の上下に横ビード71,72をそれぞれ設けている。これにより、把持凹部63に指を入れてボトル容器1を把持したときなどに把持凹部63に加わる押圧力の伝搬を、この上下に設けた横ビード71,72で遮って、胴部4の表面がへこんだり、変形したりするのを有効に回避することができる。
【0039】
このとき、本実施形態のような角形容器にあっては、一般に、コーナー部付近には高さ方向に沿って稜線80が形成されるようにして、縦荷重強度を確保している。このため、把持凹部63の上下に横ビード71,72を設けるに際しては、縦荷重強度が損なわれないように、横ビード71,72が上記稜線80と交差しないようにするのが好ましい。しかし、その一方で、横ビード71,72の端部が上記稜線80から離れ過ぎてしまうと、把持凹部63に加わる押圧力の伝搬を遮る効果が損なわれてしまう。
横ビード71,72の寸法は、これらのことを考慮して決定されるが、具体的には、横ビード71,72の端部と上記稜線80との間隔L1が4〜8mmとなるように、横ビード71,72の寸法を決定するのが好ましい。
【0040】
また、前述したように、ボトル容器1は、熱可塑性樹脂からなるプリフォームを、二軸延伸ブロー成形することにより形成されるが、この際、本実施形態のように、高さ方向ほぼ中央に、ウエスト溝61や把持凹部63が形成されていると、中央部に樹脂が留まりやすく、胴部4の口部2側や底部5側がより相対的に薄肉にある傾向にある。このため、胴部4の口部2側や底部5側において、他の部分に比べて相対的に薄肉となった部位にヒケなどの問題が生じやすく、ボトル容器1の外観を損なうおそれがある。
【0041】
このため、本実施形態にあっては、胴部4の口部4側には周方向に沿った断続的な段部81a,81bを、胴部4の底部5側には周方向に沿った連続的な段部82をそれぞれ形成している。これによって、胴部4の口部4側や底部5側の相対的に薄肉になりやすい部位のヒケを防止しているが、図示する例において、胴部4の口部4側の段部81a,81bを形成しない場合には、図2中矢印Yで示す部位にヒケが生じやすく、また、胴部4の底部5側の段部82を形成しない場合には、図1,2中矢印Xで示す部位にヒケが生じやすい。
【0042】
以上、本実施形態では、角形容器の例を挙げて説明したが、丸型容器にも適用できるのはいうまでもない。角型容器の場合、ウエスト部6のウエスト溝61と把持凹部63は、少なくとも一組の互いに対向する面に設けられ、指収納凹部62をウエスト溝61の容器底部側接続面61cを含む領域に一箇所設けていれば、容器1を把持でき、指収納凹部62の指収納性、剛性、復元性の効果を発揮できる。ウエスト溝61は胴部4のより多くの面に設けると容器1の剛性向上の点で好ましい。その際も、把持凹部63は最低一組の対向する面に設ければよく、指収納凹部62も最低一箇所に設ければよい。
【0043】
本実施形態において、ボトル容器1を構成する熱可塑性樹脂としては、延伸ブロー成形及び熱結晶化可能な樹脂であれば、任意のものを使用することができる。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ乳酸、又は、これらの共重合体等の熱可塑性ポリエステル、これらの樹脂、あるいは他の樹脂とのブレンド物が好適であり、特に、ポリエチレンテレフタレート等のエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが好適に使用される。
また、アクリロニトリル樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、ポリエチレン等も使用することができる。
これらの樹脂には、成形品の品質を損なわない範囲内で種々の添加剤、例えば、着色剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、核剤、酸化防止剤、帯電防止剤等を配合することができる。
【0044】
ボトル容器1を構成するエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、一般に70モル%以上をエチレンテレフタレート単位が占めるものであり、ガラス転移点(Tg)が50〜90℃、融点(Tm)が200〜275℃の範囲にあるものが好適である。
エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が耐圧性、耐熱性、耐熱圧性等の点で特に優れているが、エチレンテレフタレート単位以外にイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸等の二塩基酸とプロピレングリコール等のジオールからなるエステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用することができる。
【0045】
また、本実施形態のボトル容器1は、単層(一層)の熱可塑性ポリエステル層で構成される場合の他、二層以上の熱可塑性ポリエステル層により構成することもできる。
さらに、本実施形態のボトル容器1は、二層以上の熱可塑性ポリエステル層からなる内層及び外層の間に封入される中問層を備えることができ、中間層をバリヤー層や酸素吸収層とすることができる。このように、バリヤー層、酸素吸収層を備えることにより、ボトル容器1内への外部からの酸素の透過を抑制し、ボトル容器1内の内容物の外部からの酸素による変質を防止することができる。
ここで、酸素吸収層としては、酸素を吸収して酸素の透過を防ぐものであれば、任意のものを使用することができるが、酸化可能有機成分及び遷移金属触媒の組合せ、あるいは、実質的に酸化しないガスバリヤー性樹脂、酸化可能有機成分及び遷移金属触媒の組み合わせを使用することが好適である。
【0046】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0047】
例えば、容器の形状をカップ状の形状にすることも可能であり、また、容器はプラスチック製のものに限られず、アルミニウム等の金属材料や、紙を主成分とする材料からなる容器にも適用することができる。
さらに、容器横断面形状が略長方角形、略円形に限らず、略正方角,略六角形,略八角形の偶数辺となる面数を有する角型容器や略楕円形となる丸型容器であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、胴部の高さ方向ほぼ中央にウエスト溝を有する容器に適用され、特に、軽量化が図られた薄肉のプラスチック製ボトル容器に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る容器の実施形態の概略を示す正面図である。
【図2】本発明に係る容器の実施形態の概略を示す側面図である。
【図3】本発明に係る容器の実施形態におけるウエスト部の近傍を示す拡大図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ボトル容器
2 口部
3 肩部
4 胴部
5 底部
6 ウエスト部
61 ウエスト溝
61a 溝底面
61b 容器口部側接続面
61c 容器底部側接続面
62 指収納凹部
63 把持凹部
63a 底面
63b 容器口部側接続面
63c 容器底部側接続面
63d 上側接続面
63e 下側接続面
71,72 横ビード
81a,81b,82 段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、胴部及び底部を備えた容器であって、
前記胴部の高さ方向ほぼ中央に、容器口部側接続面、溝底面、容器底部側接続面を備えたウエスト溝が形成されており、
少なくとも一組の互いに対向する把持凹部を前記ウエスト溝上に形成するとともに、
少なくとも前記ウエスト溝の容器底部側接続面を含む領域に、前記ウエスト溝に対して前記底部側に位置し、かつ、容器内方に向かって凸曲面状の指収納凹部が、少なくとも一つ形成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記把持凹部が、前記把持凹部の底面にそれぞれ接続する容器口部側接続面と容器底部側接続面とを備え、
前記指収納凹部が、前記把持凹部の容器底部側接続面を含む領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
口部、胴部及び底部を備えた角型の容器であって、
前記胴部の少なくとも一組の互いに対向する面の高さ方向ほぼ中央に、容器口部側接続面、溝底面、容器底部側接続面を備えたウエスト溝が形成されており、
少なくとも一組の互いに対向する把持凹部を前記ウエスト溝上に形成するとともに、
少なくとも前記ウエスト溝の容器底部側接続面を含む領域に、前記ウエスト溝に対して前記底部側に位置し、かつ、容器内方に向かって凸曲面状の指収納凹部が、少なくとも一つ形成されていることを特徴とする容器。
【請求項4】
前記把持凹部が、前記把持凹部の底面にそれぞれ接続する容器口部側接続面と容器底部側接続面とを備え、
前記指収納凹部が、前記把持凹部の容器底部側接続面を含む領域に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記把持凹部の容器底部側接続面が、高さ方向に連なる二つ以上の面からなることを特徴とする請求項2又は4に記載の容器。
【請求項6】
前記把持凹部の容器底部側接続面をなす二つ以上の面のうち、前記指収納凹部に接続する面を、前記指収納凹部の上縁に帯状に沿ったアーチ状の面としたことを特徴とする請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記アーチ状の面の水平面に対する傾斜角度が、30〜65°であることを特徴とする請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記把持凹部の容器底部側接続面をなす二つ以上の面のうち、前記把持凹部の底面に接続する面の縦断面形状を、容器外方に向かう凸曲面状としたことを特徴とする請求項6又は7に記載の容器。
【請求項9】
前記把持凹部の底面に接続する面を、鞍馬状に形成したことを特徴とする請求項8に記載の容器。
【請求項10】
前記指収納凹部の高さが5mm〜30mmであって、前記指収納凹部の幅方向中央の縦断面形状が円弧状となる曲面であることを特徴とする請求項2又は4に記載の容器。
【請求項11】
前記指収納凹部の横幅が20mm〜50mmであることを特徴とする請求項10記載の容器。
【請求項12】
前記把持凹部の上下の少なくとも一方に、横ビードを設けたことを特徴とする請求項2又は4に記載の容器。
【請求項13】
前記胴部の前記口部側、又は前記胴部の前記底部側において、他の部位に比べての相対的に薄肉となる部位に、周方向に沿った断続的、又は連続的な段部を形成したことを特徴とする請求項2又は4に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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