説明

容器

【課題】合成樹脂材料にパールエッセンスなどを混合することなくパール装飾効果を得ることができ、製造が簡単で費用を削減できる容器を提供すること。
【解決手段】合成樹脂材料で射出成形により形成されたプリフォームをブロー成形してなる容器1であって、その壁体2は、ブロー成形の際に該壁体2内に生成されたボイドによって、パール光沢を具備していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に記載されるような、壁体内に雲母系又はチタン系等のパールエッセンスが含まれることにより、パール状の光沢(パール光沢)を具備した容器が知られている。また、壁体に塗装が施されることにより、パール光沢を備えた容器も知られている。
この種の容器では、壁体にパール装飾効果が得られ、立体感のある美麗な光沢を視認可能にすることによって、容器に収容される商品に高級感や清涼感を付与できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−8354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の容器では、パール光沢を得るために、パールエッセンスなどを混合しなければならず、製造コストの面で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、合成樹脂材料にパールエッセンスなどを混合することなくパール装飾効果を得ることができ、製造が簡単で費用を削減できる容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明は、合成樹脂材料で射出成形により形成されたプリフォームをブロー成形してなる容器であって、その壁体は、ブロー成形の際に該壁体内に生成されたボイドによって、パール光沢を具備していることを特徴とする。
【0007】
この容器では、プリフォームをブロー成形する際、壁体の内部に積極的に微小なボイドを無数生成させており、これらボイドによって、壁体は白化現象を起こす。このように白化現象を起こした壁体は、パール光沢を呈するとともに、視認する角度等によってあたかもゆらめくような立体感のある美麗な光沢を備える(パール装飾効果)。これにより、容器に収容される商品に高級感や清涼感などを付与できる。
【0008】
本発明の容器によれば、ブロー成形によって壁体にパール光沢を付与できるので、従来のように、壁体となる合成樹脂材料に対してパールエッセンスなどを混合する必要がない。よって、製造が簡単であり、費用を削減できる。
【0009】
また、本発明の容器において、前記合成樹脂材料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含有していることとしてもよい。
【0010】
この場合、ブロー成形によって、壁体に確実にパール光沢を付与できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の容器によれば、合成樹脂材料にパールエッセンスなどを混合することなくパール装飾効果を得ることができ、製造が簡単で費用を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る容器を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る容器1について、図1を参照して説明する。
本実施形態の容器1は、透明又は半透明の合成樹脂材料からなり、予め射出成形により形成されたプリフォーム(半製品)を加熱し、ブロー成形金型内で延伸ロッド及び高圧エアにより2軸延伸ブロー成形され作製されている。
【0014】
図1に示されるように、本実施形態の容器1は、有底筒状をなしている。容器1を構成する壁体2の内部には、ブロー成形によって生成された無数の微小なボイド(空洞)が形成されている。
そして、容器1は、前記ボイドによりパール光沢を備えている。また、前記合成樹脂材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として含有している。
【0015】
次に、容器1の製造方法について説明する。
尚、以下の説明では、容器1(又はプリフォーム)の横断面の中央を通る直線を容器軸Oといい、容器軸Oに直交する方向を径方向という。
【0016】
まず、原材料となる合成樹脂材料を用意する。本実施形態の容器1の原材料としては、例えば、一般的なペットボトルの製造に使用されているようなポリエチレンテレフタレート(以下、PET)を用いることができる。そして、原材料を加熱溶融させ、プリフォーム用の金型内に射出成形することにより、有底筒状のプリフォームを作製する。
このプリフォームは、ブロー成形によって延伸されない口部と、半球状の底部と、これらの口部と底部との間に配置され、かつブロー成形によって大きく延伸される円筒状の胴部と、から構成されている。
【0017】
次いで、PET樹脂製のプリフォームの胴部を例えば約80℃〜90℃に加熱した状態で、ブロー成形金型内でブロー成形することにより、容器1を作製する。
上記ブロー成形における横倍率(径方向への延伸倍率)は、縦方向(容器軸O方向)の延伸が実質的に行われない(あるいは、延伸倍率が1〜1.5倍程度である)場合、約4.5〜5倍とすることが好ましい。
このとき、横倍率が4.5倍未満ではパール外観(パール光沢)が良好(安定的)に発現せず、横倍率が5倍を超えると、ボイドに起因する薄肉化などの成形不良が生じるおそれがある。
また、縦方向のみ、あるいは縦横両方向への延伸を行う場合には、プリフォーム温度と延伸倍率との関係を、パール外観を発現するようなボイドが生じる条件に適宜設定することができる。
なお、上記の横倍率は、プリフォームにおける胴部の内径に対する容器1における胴部の内径の比率とし、容器1の胴部のうち少なくとも最大内径部分の比率が、上記範囲になるように設計する。
【0018】
ここで、従来の参考例として、上記原材料と同一の原材料を用いて透明の壁体を有する容器を製造する場合の一般的なブロー成形の条件について説明すると、プリフォームの胴部の温度は、例えば約90℃〜130℃とされている。
すなわち、本実施形態の容器1の成形条件は、参考例の条件に比べて、プリフォームの加熱温度を低くした状態で、延伸倍率を大きく設定している。
【0019】
以上説明した容器1では、プリフォームをブロー成形する際、壁体2の内部に積極的に微小なボイドを無数(多数)生成させている。具体的に、プリフォームの加熱温度を低く設定し、この状態からプリフォームを過延伸させることにより、壁体2内の高分子が破壊されるように強制的に延伸させられて、無数のボイドが形成されるようになっている。そして、容器1の壁体2は、これらボイドによって白化現象を起こす。
【0020】
このように白化現象を起こした壁体2は、パール光沢を呈するとともに、視認する角度等によってあたかもゆらめくような立体感のある美麗な光沢を備える(パール装飾効果)。これにより、容器1に収容される商品に高級感や清涼感などを付与することができる。
【0021】
本実施形態の容器1によれば、ブロー成形によって壁体2にパール光沢を付与できるので、従来のように、壁体となる合成樹脂材料(原材料)に対してパールエッセンスなどを混合する必要がない。よって、製造が簡単であり、費用を削減できる。
【0022】
また、前記合成樹脂材料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含有しているので、ブロー成形によって、壁体2内にボイドを生成させやすく、容器1に確実にパール光沢を付与できる。
【0023】
尚、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0024】
前述の実施形態では、前記合成樹脂材料がポリエチレンテレフタレートを主成分として含有しているとしたが、プリフォームをブロー成形してボイドを形成可能な合成樹脂材料であればよく、これに限定されるものではない。
また、積層構成の容器に採用することもでき、この場合には複数の層のうち少なくとも1層にボイドが生じるような条件を設定すればよい。
【0025】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 容器
2 壁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料で射出成形により形成されたプリフォームをブロー成形してなる容器であって、
その壁体は、ブロー成形の際に該壁体内に生成されたボイドによって、パール光沢を具備していることを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、
前記合成樹脂材料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含有していることを特徴とする容器。

【図1】
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