説明

容量センサ

車体、詳細には、ヴァンのドア等の車体に装着するための容量センサである。該センサは、第1信号が印加されるセンサプレートを有する。第1保護プレートがセンサプレートと車体との間に介在し、第2保護プレートが第1保護プレートと車体との間に介在する。第1および第2保護プレートは、各々センサプレートに印加された第1信号と同じもしくは少なくとも類似している印加された信号を有する。このようにして、第2保護プレートは、第1保護部に対する後部保護として作用する。これにより、第1保護部によって引き込まれた電流が低減され、第1保護部が、センサ上の信号をより正確に探知し、結果として車体からセンサプレートをより良くマスクすることを可能にする。
【その他】 19条補正にて国際出願時の請求項29、31、32を削除し、請求項30を補正し新請求項29とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容量センサの分野に関し、詳細には、車両の操縦中に車両が他の物体に近接していることを感知するために車両に取り付けられる容量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
容量センサは衝突防止の目的で車の部品に用いられており、近年では、操縦者に物体を警告するため、多数の高級車が、特に車両後部にセンサを備えている。車両をバックする際の操縦において、壁や車止め等の見えない又は見えにくい物体との衝突が防止される一方、そのような物体の近くに車両を位置づけることができる。
【0003】
容量センサは、一般的に互いに絶縁され、且つ車両のバンパー内部に設けられた2つの金属片または他の導電材料から成る。該2つの金属片は、保護プレートとセンサプレートとを形成する。図1Aおよび図1Bは、保護プレートおよびセンサプレートの配置例の前面図および背面図を示す。
【0004】
図1Aは、上記のセンサプレートと保護プレートとを組合せたものの背面を示す。車両に対し最も外側にあるプレートを、センサプレートもしくはセンサ導体と呼び、車両に対し最も内側つまり車両に最も近いプレートを、保護プレートもしくは保護導体と呼ぶ。したがって、図1Aにおいて、センサプレート(不可視)を遮蔽するように保護プレート11が車両に向いており、センサプレートが外側方向(つまり車両とは反対の方向)の変化のみを感知するようにしている。換言すると、導電性保護プレートは、センサプレートの背後にある全てのものに対する機器の感度を低減するためのシールドの役割を果たす。該導電性保護プレートは、センサプレートを作動するAC信号と同じAC信号で作動する。
【0005】
保護プレート11は、図1Aにおいて該保護プレートの周縁部としてのみ見ることができる絶縁フィルム12上に形成されている。しかしながら、センサの配置の中には、センサプレートと保護プレートの配置の背面図から該フィルムが見えないように、保護プレートが絶縁フィルムの表面を全体的に覆っているものがあることを理解されたい。
【0006】
図1Bは、センサプレートと保護プレートとを組み合わせたものの前面を示す。センサプレート13は(保護プレート11と同様)、導電性インクでスクリーン印刷したり、導電材料を積層したり、これら2つの技術を組み合わせたりする方法を含め、様々な方法で絶縁フィルム12のシートに設けられる。
【0007】
図1Bにおけるセンサプレート13は好適な形状で示されており、その両端に、より広い幅の2つの突出部(14,15)を有して延在している。これにより、車両端部の感度がより増す。均一な長尺片である場合は、障害物はセンサの片側のみとしか容量結合できないため、一般的に感度は端部で低減するが、センサ中央部の真向かいにある物体はセンサの両側と容量結合するであろう。
【0008】
選択的特徴も図1Bに示されており、それは、センサプレート13の上または下、もしくは上下に設けることができる追加の導電性片16である。この導電性表面は増幅された保護信号を運び、保護部をより大きく表す効果を有する。したがって、センサ前面部を横切って流れる水滴の影響をなくすのに有効である。この特徴はドイツ特許第2,374,422号に、より詳細に記載されているので、ここではこれ以上詳述しない。
【0009】
使用において、保護プレートおよびセンサプレートは制御ユニットに接続しており、該制御ユニットはセンサプレートおよび保護プレートに高周波信号を供給する。車両近くの物体は対地静電容量を示す。実際に、この静電容量は直列した2つの静電容量、すなわちセンサプレートと物体(複数可)との間の静電容量と、物体と接地との間の静電容量とによって形成される。制御ユニットは、センサプレートと接地との間の静電容量を監視する。車両(すなわちセンサ)と物体との間の距離が変化すると、測定される静電容量が変化する。制御ユニットは静電容量の変化を感知する。したがって、制御ユニットは、静電容量の変化を利用して車両近くの物体とセンサプレートつまり車両後部との間の距離を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図2は、車両後部の下方に配置された2つのセンサ片22、23を有する、ミニバスやヴァン等の車両後部21を示す。この例では、センサ片は車両の後部ドア24、25の下方に配置されている。
【0011】
ミニバスやヴァン等の大型車両でよく認識されている問題は、しばしば運転席からの後方の見通しが制限されていることである。この問題は概して、普通乗用車等のより小型の車両を運転することに慣れている人にとってより深刻になる。これはレンタカー会社から借りることのできる車両でよく起こる問題である。
【0012】
図2に見られるように、図1の駐車補助センサは車両の後部ドアに備え付けられることができる。しかしながら、車両のドア等の大きな金属物と隣接して使用される場合のこのデザインで問題なのは、金属製のドアが大きな接地導体として作用することである。したがって、センサがドアに接触して設けられている場合、車両のドア(接地)からセンサを絶縁させるために非常に効果的な保護導体が必要となる。さらに、低出力インピーダンスを有する非常に優良な増幅器によって作動されることも必要となるであろう。
【0013】
図1の形状のセンサが、センサプレートに対してある程度の絶縁を供することは判明しているが、センサの感度を向上させることができるであろう。
【0014】
この問題の1つの解決方法は、センサとドアとの間隔をさらにあけることである。しかしながら、これではセンサとハウジングとを組み合わせたものが車両から突出する。これは特に美的目的上望ましくない。一般的指針として、内蔵センサは、車両のドアから20mmより大きく突出してはならない。
【0015】
したがって、センサと車両のドアとの間隔を最小にしつつ、許容範囲の感度を供する容量センサが必要である。
【0016】
それゆえに、大きな金属の近くまたは上に備え付けるのに適した容量センサが必要である。詳細には、車両の金属製ドア上に備え付けるのに適したセンサが必要である。より詳細には、センサを作動するために超低出力インピーダンスの増幅器を必要としないようなセンサが必要である。
【0017】
本発明は、先行技術の問題の少なくとも1つを克服または緩和しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一態様によると、本発明は、使用において、車体に装着するための容量センサを提供し、第1信号を印加させるために構成されたセンサプレートと、該センサプレートと車体との間に介在し、第1保護プレート信号を印加させるために構成された第1保護プレートと、該第1保護プレートと車体との間に介在し、第2保護プレート信号を印加するために構成された第2保護プレートとを備える。
【0019】
また、容量センサが、第1および第2保護プレートのそれぞれに第1および第2保護プレート信号を印加するために構成された少なくとも1つの制御手段をさらに備えることも好ましい。
【0020】
関連する態様によると、本発明は、センサプレートと、センサプレートと車体との間に介在する第1保護プレートと、第1保護プレートと車体との間に介在する第2保護プレートとを備える容量センサが車体に装着された場合の、容量センサを作動する方法を提供し、該方法は、第1信号をセンサプレートに印加することと、第1保護プレート信号を第1保護プレートに印加することと、第2保護プレート信号を第2保護プレートに印加することとを含む。
【0021】
好ましくは、第1保護プレート信号が、第1増幅率により、センサプレートに印加された第1信号に関連づけられ、第2保護プレート信号が、第2増幅率により、第1信号に関連づけられる。さらに好ましくは、第1および第2増幅率は、双方とも実質上1つである。
【0022】
この点に関し、第1および第2保護信号は、周波数や位相、振幅の点で、センサプレートに印加された第1信号と実質上同じであることが好ましい。
【0023】
これらの配置および方法において、第2保護プレートは、第1保護部に対する後部保護の役割を果たし、有効な対地静電容量を低減する。これにより、第1保護部によって引き込まれる電流が低減され、センサプレート上の信号をより正確に探知でき、結果として、車体からセンサプレートをより良くマスクすることが可能になる。
【0024】
たとえば、詳細には、2つの保護プレートに印加された信号が、周波数や位相、振幅の点で、センサプレート信号と実質上同じである場合、第1保護プレートに印加された信号はセンサプレート上の信号を探知する。
【0025】
第2保護プレートに印加された全ての信号は、センサプレートを車体からマスクすることを補助するが、最も好適には、第2保護プレート信号がセンサに印加された信号に近似する。このことは、本発明のこれらの特徴に反している、接地されている保護プレートを含まない。さらに、第2保護プレートに印加された信号は、1.2の増幅率等で、第1保護プレートに印加された信号およびセンサ信号よりわずかに大きい増幅率を有し得る。これは、センサの感度に良い影響を与える。
【0026】
好適には、第1保護プレートを第2保護プレートから電気的に絶縁させるために、センサは、第1保護プレートと第2保護プレートとの間に絶縁基板をさらに備える。
【0027】
また、第1および第2保護プレートが実質上平行に配置され、第1信号が合成方形波であることも好ましい。
【0028】
さらに好適な実施形態においては、センサは第1および第2増幅ユニットをさらに備え、センサプレートに印加された第1信号が第1増幅ユニットにも印加されることと、該第1増幅ユニットの出力が第1保護プレートと第2増幅ユニットとに供給されることと、該第2増幅ユニットの出力が第2保護プレートに供給されることとを特徴とする。
【0029】
別の好適な実施形態においては、センサは第1および第2増幅ユニットをさらに備え、第1信号がセンサプレートに印加され、該センサプレートの出力が第1および第2増幅ユニットに供給されることと、該第1増幅ユニットの出力が第1保護プレートに供給され、該第2増幅ユニットの出力が第2保護プレートに供給されることとを特徴とする。
【0030】
好ましくは、この別の好適な実施形態は、第3増幅器をさらに備え、第1信号が第3増幅ユニットを介して第1および第2増幅ユニットに供給されることを特徴とする。
【0031】
好ましくは、各増幅器は単一利得増幅器である。もしくは実質上1つの増幅率または利得を有する。
【0032】
容量センサはまた、センサプレートと電気接地との間の静電容量に基づいた近接情報を提供するための演算手段を備えてもよい。センサプレートはまた、さらなる感知部を提供するために、その長さに沿って変形したものであってもよい。
【0033】
また、センサが、車体に取り付け可能で、センサプレートと第1および第2保護プレートとを囲うためのケーシングを備えることも好ましい。好適には、該ケーシングが上端部および下端部に凹部を有し、該凹部は、センサが車体に装着されている場合に、車体を流れ落ちる液体が、一般的に第2保護プレートと、センサが装着されている車体との間を流れるように方向づけるために構成されている。
【0034】
他の態様においては、本発明は、主信号を発生させるために配置された信号ソースと、第1および第2増幅ユニットとを備える容量センサシステムであって、主信号がセンサプレート接続部と第1増幅ユニットとに供給されることと、該第1増幅ユニットの出力が第1保護プレート接続部と第2増幅ユニットとに供給されることと、該第2増幅ユニットの出力が第2保護プレート接続部に供給されることとを特徴とする容量センサシステムを提供する。
【0035】
さらなる態様においては、本発明は、センサプレートと、センサプレートと車体との間に介在する第1保護プレートと、第1保護プレートと車体との間に介在する第2保護プレートとを備える容量センサに接続するための容量センサ制御システムを提供し、該制御システムは、主信号を発生させるために配置された信号ソースと、第1および第2増幅ユニットとを備え、主信号がセンサプレートと第1および第2増幅ユニットとに供給されることと、該第1増幅ユニットの出力が第1保護プレートに供給され、該第2増幅ユニットの出力が第2保護プレートに供給されることとを特徴とする。
【0036】
本発明のこのさらなる態様は、好適には第3増幅ユニットを備え、センサプレートの出力が第1および第2増幅ユニットに供給される前に、第3増幅ユニットに供給されることを特徴とする。
【0037】
好ましくは、各増幅器は単一利得増幅器である。もしくは、実質上1つの増幅率または利得を有する。
【0038】
さらなる態様によると、本発明は、容量センサシステムを作動する方法を提供し、該方法は、主信号を生成することと、該主信号をセンサプレートに印加することと、該主信号を増幅することと、該増幅された主信号を第1保護プレートに印加することと、該第1保護プレートに印加された信号を増幅することと、該増幅された第1保護プレート信号を第2保護プレートに印加することとを含む。
【0039】
他の態様によると、本発明は、容量センサシステムを作動する方法を提供し、該方法は、主信号を生成することと、該主信号をセンサプレートに印加することと、該主信号を第1信号と第2信号とに分離することと、該第1および第2信号を発生させるためにセンサプレートに印加された信号を増幅することと、該第1信号を第1保護プレートに印加させることと、該第2信号を第2保護プレートに印加させることとを含む。
【0040】
この他の態様において、好適には、該方法は、第1および第2信号に分離する前に、センサプレートの出力を増幅することをさらに含む。
【0041】
本発明のこれらの態様を、添付図面を参照して説明する。
【0042】
図3および図4は、接地として作用する大きな金属製シートの上または近傍にセンサを配置することによって生じる問題を示す。上述したとおり、センサ導体に供給されたAC信号と同じAC信号が保護導体に供給される。そのため、保護導体がセンサ導体を遮蔽することができる。これを達成するために、センサに印加された信号は保護導体にも印加される。しかしながら、該信号は、保護導体に印加される前に、単一利得増幅器で増幅される。そのため、電圧増幅は発生しないが、該信号内の電力は非常に増大する。
【0043】
この点において理想的な回路配置の例が図3に示されている。この回路では、方形波AC信号であることが好ましい入力信号が、高値直列抵抗31を介してセンサプレート1に供給される。該センサプレートと接地との間の静電容量は、直列コンデンサ32の役割を果たす。このコンデンサ32は該抵抗31を用いてRC回路を形成する。結果として、「センサ上の信号」として図3に示されているように、該センサプレートと該接地との間の電圧は合成方形波となる。
【0044】
センサプレートに印加された信号は保護部にも印加されるが、単一利得増幅器である増幅回路33を介して印加される。図3に「保護部上の信号」として示されている増幅回路の出力は、保護導体に供給される。このようにして、保護プレート上の電圧は、図3に見られるように、単一利得増幅器の効力によって、センサプレート上の電圧に近似するが、単一利得増幅器33によってより大きい電力を有する。
【0045】
理想的な増幅器はゼロオームの出力インピーダンスを有するべきであるが、実質上これを達成することは困難である。保護部と接地との間のさらなる静電容量は、常にある程度存在する。
【0046】
容量センサが車両のバンパーに配置されている場合、センサが位置するバンパー外板が金属製の車体(接地)から離れているため、保護部と接地との間の静電容量は極めて小さい。したがって、バンパーの利用において図1に示されているようなセンサを用いると、接地の影響が最小となるので、保護部上の信号は実質上、センサ上の信号と同じになる。したがって、センサ信号および保護信号は、満足いく程度まで図3の増幅回路に近似する。このように、センサプレート上のいかなる電位変化も、保護プレート上の同等の電位変化によって適合される。これにより、機器の感度を低減することなく、保護プレートは、その背後で生じる変化からセンサプレートを効果的に遮蔽することができる。これはまた、たとえば同軸ケーブルを使用してセンサプレートを制御回路に接続しているリード線が、保護プレート接続部によって遮蔽され得ることも意味する。そのため、制御回路をセンサプレートから離して位置づけることが可能となる。
【0047】
センサがヴァンやミニバスの後部ドアの上など、車両のドア上に配置されている場合、保護部が接地(すなわち、金属製の車両ドア)にずっと近くなり、したがって、保護部と接地との間により大きい静電容量が生じる。保護導体の出力インピーダンスと結合しているこの静電容量の影響は、図4を用いて示している。増幅回路33にも入力される、センサに印加された信号は、図3のものと同じである。しかしながら、保護プレートに供給される増幅器33の出力は、その出力インピーダンス41と、保護プレートとヴァンのドアとの間の静電容量(コンデンサ42)により、無給電部品を有する。これらの無給電部品41、42に関して、「センサ上の信号」および「保護部上の信号」を表している図4の波形によって示されているように、保護部に印加される信号はセンサ導体上の信号より低い振幅を有する。したがって、センサは、保護部を介して接地が「見え」すぎ、結果として感度が落ちるという点で、保護部がセンサにとって透明となる傾向がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明の実施形態によれば、この問題に対処するために、図5に示される形状のセンサが設けられている。
【0049】
センサは、第1基板(簡素化のため不図示)の表面上にセンサプレート51を備えるため、センサプレート51は車両とは反対向きになる。主保護プレート52は、該基板の反対面に配置されているため車両に向いている。この主保護プレート52は第2基板(不図示)に隣接して配置されているため、第2基板は車両向きの面に隣接している。したがって、該主保護プレート52は第1基板と第2基板との間に有効に挟まれ、センサプレート51と車体との間に配置されている。
【0050】
後部保護プレート53である追加の保護プレートは、車両に向いている第2基板の表面上に配置される。したがって、該後部保護プレート53は、主保護プレート52と車体との間に配置される。該後部保護プレート53は、主保護プレート52と少なくとも同じ寸法、好ましくはより大きい寸法である。双方の保護プレートはセンサプレート51上のAC信号と同じ、もしくは少なくとも近似している、印加されたAC信号を有する。
【0051】
この構成により、感度を保ちつつ、センサと車両ドアの外板との間隔が最小となる位置にセンサを配置することが可能となる。後部保護プレート53は主保護部に対する保護として効果的に作動し、それによって、有効な対地静電電量を低減する。これにより、主保護増幅器から引き出される電流が低減され、そのためセンサ上の信号をより正確に探知し、結果としてヴァンのドアからセンサをより良くマスクする。
【0052】
このセンサは、車両ドア55の金属製外板上など、車両にセンサを取り付けるケーシング54内に配置される。好ましくは、障害を最小限にするように雨水をセンサプレートの背後に方向づけるために、このケーシング54は上部および下部に排水口56を含む。この特徴は、車両のドアを流れ落ちる雨水が、センサ上を流れることを最小限に抑える。
【0053】
該開口部は、ケーシングの各端部の1つの開口、または各端部の複数の凹部から構成されてもよい。さらに、図5に示されるように、ケーシングまたはカバーは、液体が開口部に向かうように、傾斜した縁部を上端部に有して成形される。下端部は対応する形状を有する。これにより、ケーシングの製造とセンサの組立てが簡素化する。
【0054】
また、センサプレートの作動の障害にもなり得るため、ケーシングは、実際にセンサ表面を横断する水がより低い車体部やドア部に流れ落ちないようにも成形される。図5において、センサ表面を横切る水が全てケーシングの下部から落ちるように、ケーシングは先細の下端部を有して成形される。該先細の下端部は、車体と水との間に望ましくない結合を起こすことが推測されるため、センサ表面を横切る水が車体に接触しないようにすることを目的としている。
【0055】
記載されたケーシングの形状は、例示のためだけのものであり、他の形状および配置が可能であることを理解されたい。
【0056】
上述したように、後部保護プレート53と主保護プレート52は、センサプレートに印加されたAC信号に可能な限り近似している印加されたAC信号を有さなければならない。図6は、主保護プレート52と後部保護プレート53の双方を作動するのに適した増幅器の配置を示す。増幅器の配置は、直列配置された2つの単一利得増幅器を用いた2段階の組立てとなっている。特徴が前の図におけるものと対応している場合は、同じ符号を用いている。
【0057】
図3および図4における配置のように、センサプレート上の信号は、高値直列抵抗31を介し、且つセンサプレートと接地との間の、直列コンデンサ32として作用する静電容量を用いてセンサプレートに供給された方形波信号である。この結果が合成方形波である。
【0058】
この合成方形波信号は、単一利得増幅器33と抵抗41とを備える組立ての第一段階を介して、主保護プレート等の保護プレートの1つに供給される。該抵抗41は増幅器33の出力インピーダンスを表す。結果得られた信号は、次に、主保護プレートに供給される。該信号はまた、単一利得増幅器62と直列コンデンサ63とを備える組立ての第二段階にも供給される。該コンデンサ63は、後部保護プレートと接地との間の静電容量を表す。結果得られた信号は後部保護プレートに印加される。主保護プレートと後部保護プレートとの双方の上に結果得られた信号は、図6に示されるようにセンサプレート上の信号と密接に対応する。
【0059】
図7は、別の保護増幅器の配置を示す。センサプレート信号を発生させるための配置は図6のものと同じである。次に、この信号は第1増幅器33に印加される。そして、第1増幅器の出力は、平行である第2および第3の増幅器71、72に入力される。該第2増幅器71の出力は主保護導体に印加され、該第3増幅器の出力は後部保護導体に印加される。この出力はまた、後部保護部と接地との間の静電容量を表している直列コンデンサ73も有する。
【0060】
この構成を用いて、回路は第1増幅器33を除去して実施されてもよいことを理解されたい。しかしながら、高入力インピーダンスであるため、3つの増幅器全てを利用することが好ましい。
【0061】
一般的発明概念の範囲内での修正および追加は可能である。本発明の実施形態は、本発明の例示として考えられるべきもので、必ずしも一般的発明概念上制限するものではない。
【0062】
たとえば、主保護プレートに対して、1つの後部プレートもしくは第2保護プレートの代わりに複数の第2保護プレートを使用してもよい。
【0063】
さらに、後部保護プレート(複数可)の寸法および形状は、特定の車両に適合させるためにカスタマイズされてもよい。たとえば、特定の範囲においてのみ金属製である車両ドアにセンサが取り付けられた場合、または部分的にのみ金属製車両ドアをオーバーレイした車両ドアにセンサが取付けられた場合、後部保護プレートはこの特定の範囲からセンサプレートを遮蔽するように配置されてもよく、且つ成形されてもよい。
【0064】
本発明が利用されてもよいさらなる応用は、車両の乗客用ドアに関するものであり、該ドアは内側から開けるように適合されている。本発明によるセンサは、大きな金属製パネルに隣接して配置されることに適合しており、車両ドアが開けられたときに、何かに当たりそうであるかどうかを探知するために、この種の車両ドア上に配置されることが可能である。あるいは、ドアが開けられていたときに、該探知プロセスが行われることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1A】公知の、駐車補助センサ用センサプレートと保護プレートの配置の背面図である。
【図1B】図1Aのセンサプレートと保護プレートの配置の前面図である。
【図2】車両の後部ドアに取り付けられた第1および第2駐車補助センサを有するヴァンまたはミニバスの後部図である。
【図3】車両のバンパーに取り付けるための理想的な容量センサを表現する回路である。
【図4】無給電部品を有する容量センサを表現する回路である。
【図5】本発明の実施形態による容量センサの断面図である。
【図6】本発明の実施形態による、主保護プレートと後部保護プレートとに印加された信号を増幅するための第1配置図である。
【図7】本発明の実施形態による、主保護プレートと後部保護プレートとに印加された信号を増幅するための第2配置図である。
【符号の説明】
【0066】
11 保護プレート
12 絶縁フィルム
13 センサプレート
14 突出部
15 突出部
16 追加のセンサプレート
21 車両後部
22 第1容量センサ
23 第2容量センサ
24 後部ドア
25 後部ドア
31 高値直列抵抗
32 直列コンデンサ
33 第1増幅器
41 出力インピーダンス
42 コンデンサ
51 センサプレート
52 主保護プレート
53 後部保護プレート
54 ケーシング
55 車両ドア
56 排水口
62 単一利得増幅器
63 直列コンデンサ
71 第2増幅器
72 第3増幅器
73 直列コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に装着使用される容量センサであって、
第1信号を印加させるために構成されたセンサプレートと、
前記センサプレートと車体との間に介在され、第1保護プレート信号を印加させるために構成されている第1保護プレートと、
前記第1保護プレートと車体との間に介在され、第2保護プレート信号を印加させるために構成されている第2保護プレートとを備える容量センサ。
【請求項2】
第1および第2保護プレートのそれぞれに第1および第2保護プレート信号を印加するために構成された少なくとも1つの制御手段をさらに備える請求項1に記載の容量センサ。
【請求項3】
第1保護プレート信号が、第1増幅率によりセンサプレートに印加された第1信号に関連づけられ、第2保護プレート信号が第2増幅率により第1信号に関連づけられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容量センサ。
【請求項4】
第1および第2増幅率が実質上1つであることを特徴とする請求項3に記載の容量センサ。
【請求項5】
第2増幅率が第1増幅率より大きいことを特徴とする請求項3に記載の容量センサ。
【請求項6】
第1および第2保護プレート信号が、周波数や位相、振幅の点で、センサプレートに印加された第1信号と実質上同じであることを特徴とする、上記いずれかの請求項に記載のセンサ。
【請求項7】
第1保護プレートを第2保護プレートから電気的に絶縁するために、第1保護プレートと第2保護プレートとの間に絶縁基板をさらに備える、上記いずれかの請求項に記載のセンサ。
【請求項8】
第1および第2保護プレートが実質上平行に配置されることを特徴とする上記いずれかの請求項に記載のセンサ。
【請求項9】
上記いずれかの請求項に記載のセンサであって、
第1および第2増幅ユニットをさらに備え、
センサプレートに印加された第1信号が第1増幅ユニットにも印加されることと、
前記第1増幅ユニットの出力が第1保護プレートと第2増幅ユニットとに供給されることと、
前記第2増幅ユニットの出力が第2保護プレートに供給されることとを特徴とするセンサ。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサであって、
第1および第2増幅ユニットをさらに備え、
センサプレートに印加された第1信号が第1および第2増幅ユニットに供給されることと、
前記第1増幅ユニットの出力が第1保護プレートに供給され、前記第2増幅ユニットの出力が第2保護プレートに供給されることとを特徴とするセンサ。
【請求項11】
第1信号が第3増幅ユニットを介して第1および第2増幅ユニットに供給されることを特徴とする、第3増幅器をさらに備える請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
各増幅器が実質上1つの利得を有することを特徴とする請求項9または10または11に記載の容量センサ。
【請求項13】
センサプレートと電気接地との間の静電容量に基づいた近接情報を提供するための演算手段をさらに備える、上記いずれかの請求項に記載の容量センサ。
【請求項14】
第1信号が合成方形波であることを特徴とする上記いずれかの請求項に記載の容量センサ。
【請求項15】
車体に取り付け可能で、センサプレートと第1および第2保護プレートとを囲うためのケーシングをさらに備える、上記いずれかの請求項に記載の容量センサ。
【請求項16】
請求項14で請求されたような容量センサであって、ケーシングが上端部および下端部に凹部を備えており、前記凹部は、センサが車体に取り付けられている場合に、車体を流れ落ちる液体が、一般的に第2保護プレートと、センサが装着されている車体との間を流れるように方向づけるために構成されていることを特徴とする容量センサ。
【請求項17】
容量センサシステムであって、
主信号を発生させるために配置された信号ソースと、
第1および第2増幅ユニットとを備え、
主信号がセンサプレート接続部と第1増幅ユニットとに供給されることと、
前記第1増幅ユニットの出力が第1保護プレート接続部と第2増幅ユニットとに供給されることと、
前記第2増幅ユニットの出力が第2保護プレート接続部に供給されることとを特徴とする容量センサシステム。
【請求項18】
センサプレートと、センサプレートと車体との間に介在する第1保護プレートと、第1保護プレートと車体との間に介在する第2保護プレートとを備える容量センサに接続するための容量センサ制御システムであって、
主信号を発生させるために配置された信号ソースと、
第1および第2増幅ユニットとを含み、
主信号がセンサプレートに供給され、そして第1および第2増幅ユニットに供給されることと、
前記第1増幅ユニットの出力が第1保護プレートに供給され、前記第2増幅ユニットの出力が第2保護プレートに供給されることとを特徴とする制御システム。
【請求項19】
主信号が第3増幅ユニットを介して第1および第2増幅ユニットに供給されることを特徴とし、第3増幅ユニットをさらに備える請求項18に記載のセンサシステム。
【請求項20】
各増幅器が実質上1つの利得を有することを特徴とする、請求項17または18または19に記載の容量センサシステム。
【請求項21】
センサプレートと、センサプレートと車体との間に介在する第1保護プレートと、第1保護プレートと車体との間に介在する第2保護プレートとを備える容量センサが車体に装着されている場合に容量センサを作動する方法であって、
第1信号をセンサプレートに印加することと、
第1保護プレート信号を第1保護プレートに印加することと、
第2保護プレート信号を第2保護プレートに印加することとを含む方法。
【請求項22】
第1保護プレート信号が、第1増幅率により第1信号に関連づけられ、第2保護プレート信号が、第2増幅率により第1信号に関連づけられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第1および第2増幅率が実質上1つであることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第1保護プレート信号が、周波数と位相、振幅の点で、第1および第2保護プレート信号と実質上同じであることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
容量センサシステムを作動する方法であって、
主信号を生成することと、
前記主信号をセンサプレートに印加することと、
前記主信号を増幅することと、
前記増幅された主信号を第1保護プレートに印加することと、
前記第1保護プレートに印加された信号を増幅することと、
前記増幅された第1保護プレートの信号を第2保護プレートに印加することとを含む方法。
【請求項26】
容量センサシステムを作動する方法であって、
主信号を生成することと、
前記主信号をセンサプレートに印加することと、
前記主信号を第1信号と第2信号とに分離することと、
前記第1および第2信号を発生させるために、センサプレートに印加した信号を増幅することと、
前記第1信号を第1保護プレートに印加することと、
前記第2信号を第2保護プレートに印加することとを含む方法。
【請求項27】
第1信号と第2信号とに分離する前に主信号を増幅することをさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
信号が単一利得で増幅されることを特徴とする、請求項25または26または27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の容量センサを含む車両。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−500345(P2007−500345A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521661(P2006−521661)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003260
【国際公開番号】WO2005/012037
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506031605)エービー オートモーティブ エレクトロニクス エルティーディー (2)
【Fターム(参考)】