説明

容量可変式物品収納箱

【課題】簡素な構成により、内側本体に対して外側本体を所望する高さで確実に係止させる。
【解決手段】内側本体6に外側本体7を上下方向に摺動可能に支持して所望高さで係合させる摺動係合機構18が、内側本体6に設けたガイドレール21と、外側本体7に設けられてガイドレール21に対し摺動自在に係合するスライドユニット22とを備え、スライドユニット22は、一端がスライドユニット22に軸支され、他端が自由端とされた片持ちレバー状であって係合位置35aと自由位置35bとの間を回動し、係合位置35aでは自由端の係合部53がガイドレール21に摩擦係合して外側本体7を少なくとも下方には移動不可能に保ち、自由位置35bでは係合部53の摩擦係合を解いて外側本体7を摺動自在に保つ係合部材35と、手動操作により係合部材35を係合位置35aから自由位置35bに移動させる係合解除部材37とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の荷台等に搭載される物品収納箱に係り、特にその容量を変化させることのできる容量可変式物品収納箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の後部荷台に設置する集配用の容量可変式物品収納箱として、例えば特許文献1に開示されているものがある。
【0003】
この容量可変式物品収納箱は、有底筒形状の内側本体と、この内側本体に外装される筒形状の外側本体と、この外側本体を覆う蓋体と、前記内側本体に前記外側本体を上下方向に摺動可能に支持する本体摺動機構と、前記内側本体に前記外側本体を上下方向の所望高さ位置で係止する本体係止機構とを備えている。
【0004】
例えば右側の本体係止機構は、外側右収容体46Rの部分に設けられた外側右係止軸68Rを中心に、左右対称な形状の右係止体60Rが設けられ、この右係止体60Rの外側に設けられた右係止縁部76Rが、内側本体に固定された内側右レール部40Rに摩擦係合することによって外側本体を内側本体に対し上下方向の所望高さ位置で係止させ、右操作レバー58Rを操作することにより上記係合を解除するように構成されている。
【0005】
右係止体60Rには、付勢部となる右弾性片部84Rが一体に設けられ、この右弾性片部84Rの弾力を利用して、右係止縁部76Rを内側右レール部40Rに摩擦係合させている。右弾性片部84Rの部分は弾性力を増すために中空構造とされている。
【特許文献1】特開平07-251774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この本体係止機構は、上述したように、右係止体60Rに付勢部となる中空構造の右弾性片部84Rが一体に設けられ、この右弾性片部84Rの弾力を利用して右係止縁部76Rを内側右レール部40Rに摩擦係合させる構造であるため、例えば右係止体60R全体の材質強度を高くすると、右弾性片部84Rの付勢力が強くなって操作レバー58Rによる係合解除操作が困難になり、逆に右係止体60Rの材質強度を弱くすると、右係止縁部76Rと内側右レール部40Rとの間の摩擦係合力が弱くなり、内側本体に対する外側本体の係合力が低下してしまう虞がある。
【0007】
右係止体60Rの材質強度を高めつつ、右弾性片部84Rの中空部を大きくすれば、右弾性片部84Rの付勢力が過度に大きくならないように調整できるが、こうすれば右弾性片部84Rの耐久性が低下し、本体係止機構の寿命に悪影響が生じる。
【0008】
しかも、右係止体60Rが左右対称な形状であり、その付勢部となる右弾性片部84Rも一対で設けられていたため、右操作レバー58R(又は左操作レバー58L)の操作に多大な力が必要であった上に、右係止体60R(又は左係止体60L)の形状が非常に複雑であり、その樹脂成形が困難であった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するべくなされたものであり、簡素な構成により、内側本体に対して外側本体を上下方向の所望する高さで確実に係止することができ、しかも操作性及び組立性が良い容量可変式物品収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の発明は、上部が開放された有底箱型形状の内側本体と、上部及び下部が開放され、前記内側本体の外周部を取り巻き、且つ前記内側本体に対して上下方向に摺動自在に設けられる外側本体と、前記内側本体に対して前記外側本体を上下方向に摺動可能に支持し、且つ前記外側本体を所望の高さで前記内側本体に対して係合させる摺動係合機構とを備え、前記摺動係合機構は、前記内側本体の対向する二側面の外面側に設けられ、前記外側本体の摺動方向に沿って延びるガイドレールと、前記外側本体の対向する二側面に設けられて前記ガイドレールに対して摺動自在に係合し、前記外側本体を前記内側本体に対して前記ガイドレール沿いに摺動自在且つ係止可能に保つスライドユニットとを備え、前記スライドユニットは、一端がこのスライドユニットに軸支され、他端が自由端とされた片持ちレバー状であり、その自由端に係合部が設けられて、係合位置と自由位置との間を回動自在であり、前記係合位置では前記係合部が前記ガイドレールに係合して前記外側本体を前記内側本体に対して少なくとも下方には移動不可能に保ち、前記自由位置では前記係合部が前記ガイドレールから離間して前記外側本体を前記内側本体に対して上下方向に摺動自在に保つ係合部材と、前記係合部材を前記係合位置側に常時付勢する付勢部材と、手動操作により前記係合部材を前記係合位置から前記自由位置に移動させる係合解除部材とを備えてなる容量可変式物品収納箱としたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加え、前記係合部材は、前記係合位置においては前記外側本体の上方への摺動を妨げず、前記外側本体の下方への摺動のみを規制する容量可変式物品収納箱としたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成に加え、前記係合部材は、その回動中心から前記係合部までの長さが、前記回動中心から前記ガイドレールの接触面までの最短距離よりも長く、且つ前記係合位置において前記回動中心と前記係合部とを結ぶ線が前記回動中心から前記係合部に向かって下方に下がる角度となり、尚且つ前記外側本体の重量によって前記係合部が前記接触面に食い込んで自己倍力作用を発揮するように、前記回動中心と前記係合部との間の長さ、及び前記係合位置における前記係合部材の角度を設定した容量可変式物品収納箱としたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかの構成に加え、前記スライドユニットは、前記外側本体の対向する二側面に設けられて前記ガイドレールに対し摺動自在に係合し、前記外側本体を前記内側本体に対して前記ガイドレール沿いに摺動自在に保つスライド部材に、前記係合部材と、前記付勢部材と、前記係合解除部材とを組み込んだものであって、前記スライド部材は前記外側本体に対して着脱可能である容量可変式物品収納箱としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、簡素な構成により、内側本体に対して外側本体を上下方向の所望する高さで係止することができる。また、片持ちレバー状に形成した係合部材を付勢部材により係合位置側に付勢する構造であるため、係合部材の強度を高くして耐久性を高めつつ、付勢部材の付勢力を適宜選択することにより、係合部材の付勢力を適度に設定することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、請求項1の効果に加えて、内側本体に対し外側本体を上方に摺動させる場合には係合解除部材を操作しなくてもよくなるため、操作性を良くすることができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、内側本体に対して外側本体を上下方向の所望する高さで確実に係止することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、請求項1乃至3のいずれかの効果に加えて、容量可変式物品収納箱の組立性を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて説明する。
【0019】
図1〜図13は、本発明に係る容量可変式物品収納箱の実施の形態を示すものである。この容量可変式物品収納箱1は、例えば自動二輪車の荷台等に適宜の固定手段により固定されて集配箱として使用される。その場合、容量可変式物品収納箱1は、例えばその長手方向を自動二輪車の車幅方向に沿わせる向きで荷台に搭載され、図1における手前側の面が後面(又は前面)2となり、その両側の面が側面3となる。
【0020】
図1〜図7に示すように、容量可変式物品収納箱1は、合成樹脂材料等で成形された、上部が開放された四角い有底箱型形状の内側本体6と、同じく合成樹脂材料等で成形され、上部及び下部が開放されて内側本体6の外周部を取り巻く筒状に形成され、且つ内側本体6に対して上下方向に摺動自在とされた外側本体7とを備えている。また、外側本体7には、その上部開放部を覆う合成樹脂製の蓋体8が開閉可能に設けられている。
【0021】
図2に示すように、外側本体7の前面上端には、左右一対のヒンジ部材11が設けられ、このヒンジ部材11に蓋体8の前縁が枢着され、蓋体8は、図2のように上方に開放させたり、図3のように前方にスライドさせることができる。また、蓋体8の内側に架設された一対のスライドレール12により、蓋体8を、図2のように起立して開放した状態から図4のように下方に下方にスライドさせて外側本体7の前面に重ねて邪魔にならないように配置することもできる。
【0022】
外側本体7後面の上縁中央部にはキーロック付のバックル14が設けられ、蓋体8の後縁中央部にはフック15が設けられ、蓋体8が閉じた状態でバックル14をフック15に係止すれば蓋体8をロックすることができ、さらにキーで施錠することもできる。
【0023】
また、容量可変式物品収納箱1には摺動係合機構18が設けられている。この摺動係合機構18は、内側本体6に対して外側本体7を上下方向に摺動可能に支持し、且つ外側本体7を所望の高さで内側本体6に対して係合させる機構であり、以下に説明するガイドレール21とスライドユニット22とを備えて構成されている。
【0024】
まず、図6、図7に示すように、内側本体6の対向する(平行する)二側面、例えば側面25,25に、外側本体7の摺動方向、即ち上下方向に沿って延びるガイドレール21が固定されている。ガイドレール21は、図8に単体で示すように、平坦なレール背面板27の両側辺に、左右一対のL字型断面のレール部28,28を向かい合わせに一体成形した角型C字断面形状(チャンネル断面形状)であり、その内側の対向する面が接触面29,29となる。レール背面板27の上下端部付近には、内側本体6の側面25にビスで締結固定するためのビス孔31が穿設されている。
【0025】
一方、外側本体7の対向する二側面、つまり内側本体6の側面25の外側にそれぞれ重なる側面3に、一対のスライドユニット22が設けられる。図9〜図11に示すように、このスライドユニット22は、取手状に合成樹脂成形されたスライド部材34を主体にしており、このスライド部材34に、係合部材としてのカムレバー35と、付勢部材としてのコイルスプリング36と、係合解除部材としての解除レバー37とが組み込まれている。
【0026】
図11に示すように、外側本体7の側面3には嵌合穴39が形成され、ここにスライドユニット22のスライド部材34が着脱可能に嵌合される。スライド部材34は、容量可変式物品収納箱1の使用者が両手で外側本体7を上方に引き上げることができるように、外側本体7の内部側に向かって凹む取手状に形成されており、枠状に形成された差込部41と隔壁部42とを備えている。
【0027】
スライド部材34の差込部41周囲にはフランジ43が形成され、さらに複数の嵌込爪44が形成されている。嵌込爪44は楔状で出没可能であり、常に突出した位置に付勢され、これらの嵌込爪44とフランジ43との間に嵌合穴39の内周縁部が挟持されるようになっている。このため、嵌込爪44を差込部41側に押し戻すことによってスライドユニット22全体を外側本体7に対して簡単に着脱することができる。また、スライドユニット22を外側本体7に取り付ける際には、スライドユニット22を外側本体7の嵌合穴39に差し込むだけでよい。
【0028】
外側本体7の嵌合穴39に嵌合されたスライド部材34(差込部41)には、図11に示すように、鉛直方向に延びる一対の略L字形状の案内切欠き46,46が対向して形成され、この案内切欠き46,46が、内側本体6に固定されたガイドレール21のレール部28,28に摺動自在に係合されることにより、外側本体7全体が内側本体6に対してガイドレール21沿いに摺動自在に保持される。
【0029】
一方、スライド部材34(差込部41)の隔壁部42の内面には、そのほぼ中央部に締結ボス49が一体成形され、ここにカムレバー35の一端がビス50で締結され、カムレバー35の他端は自由端とされている。このため、カムレバー35はスライド部材34に片持ちレバー状に軸支され、締結ボス49及びビス50の中心点を回動中心Oとして、図9に示す係合位置35aと図12に示す自由位置35bとの間を回動自在である。
【0030】
カムレバー35は、例えばその回動中心Oから自由端に向かって上側に凸となるように緩やかに湾曲した形状であり、その自由端に係合部53が設けられている。係合部53は、例えばカムレバー35の先端面に、ゴムや軟質樹脂等の、摩擦係数の高い弾性部材により円柱状に形成されたストッパー部材54を埋設した構造である。
【0031】
また、カムレバー35の中間部上面には、上方に延びる押圧突起56が形成されている。この押圧突起56の上面は平坦に形成され、カムレバー35が係合位置35aにある時に押圧突起56の上面がほぼ水平になる。
【0032】
さらに、カムレバー35の回動中心Oと自由端(係合部53)との間の下部には、付勢部材としてのコイルスプリング36が設けられている。このコイルスプリング36は、カムレバー35側に設けられた上側スプリング突起57と、この上側スプリング突起57の直下に位置するようにスライド部材34の差込部41に形成された下側スプリング突起58との間に弾装されており、このコイルスプリング36の付勢力により、カムレバー35が常時係合位置35a側に付勢される。
【0033】
図9に示すように、カムレバー35は、その係合位置35aにおいて、回動中心Oと係合部53の先端点Pを結ぶ線Sが、回動中心Oから先端点Pに向かって水平よりも下方に下がる角度となり、且つ回動中心Oから先端点Pまでの距離L1が、回動中心Oからガイドレール21の接触面29までの最短距離L2よりも若干長くなるように形成されている。
【0034】
また、スライド部材34には、係合解除部材としての解除レバー37が設けられている。この解除レバー37は、スライド部材34の両端の側面板60,60間に架設された支持軸61に回動自在に軸支され、手動操作により図10に示す固定位置37aから図13に示す解除位置37bまで引き起こして回動させることができる。
【0035】
解除レバー37の上端縁部には舌片状の押圧片63が内側に曲がり込むように一体形成されている。この押圧片63は、スライド部材34の隔壁部42に形成された貫通穴64を通って内側にあるカムレバー35側に延び、カムレバー35の押圧突起56の上面に載置されている。
【0036】
このため、解除レバー37が手動操作されて図10に示す固定位置37aから図13に示す解除位置37bに回動すると、押圧片63が押圧突起56を押し下げ、これによりカムレバー35が係合位置35aから自由位置35bに回動する。
【0037】
また、解除レバー37が放されると、コイルスプリング36の付勢力によりカムレバー35が自由位置35bから係合位置35aに戻され、カムレバー35の押圧突起56が上昇して押圧片63を押し戻し、これにより解除レバー37が解除位置37bから固定位置37aに戻される。
【0038】
内側本体6に対して外側本体7を上方に引き上げた場合には、下方に落下しようとする外側本体7及び蓋体8の重量がカムレバー35の回動中心Oに加わる。その際には、カムレバー35の係合部53がガイドレール21の接触面29に食い込み、自己倍力作用を発揮して外側本体7の落下にブレーキが掛かるように、カムレバー35の回動中心Oから先端点Pまでの距離L1及び係合位置35aにおけるカムレバー35の角度が設定されている。
【0039】
例えば、図9に示すように、係合位置35aにおけるカムレバー35の角度は、水平線に対して下方に10度〜15度程度の角度αが付与されている。これにより、外側本体7を内側本体6に対して所定の高さまで引き上げて固定することができる。上記の角度αは、小さ過ぎても大き過ぎても、係合部53がガイドレール21の接触面29に食い込まず、自己倍力作用が発揮されないため、外側本体7にブレーキが掛からず、外側本体7を固定することができない。
【0040】
以上のように構成された容量可変式物品収納箱1において、その容量を拡大したい場合には、外側本体7を内側本体6に対して所望の高さまで引き上げる。この時には、両側のスライドユニット22(スライド部材34)に両手を掛けて外側本体7を引き上げる。その際には、指で解除レバー37を解除位置37bに引き起こす必要はなく、解除レバー37は固定位置37aにあるままでよい。
【0041】
図9のように、解除レバー37が固定位置37aにある状態で、外側本体7を内側本体6に対して引き上げると、コイルスプリング36の付勢力によりカムレバー35の係合部53がガイドレール21の接触面29に押し付けられたままであっても、接触面29が係合部53に対して下方に相対移動する、即ち接触面29がカムレバー35の回動中心Oと係合部53の先端点Pとを結ぶ線Sが傾斜している方向に相対移動するため、係合部53が接触面29に食い込もうとする自己倍力作用は発揮されない。これにより、外側本体7の上方への摺動は妨げられず、外側本体7をスムーズに引き上げることができる。このように、カムレバー35が係合位置35aにある状態では、外側本体7の下方への摺動のみが規制される。
【0042】
外側本体7が所望の高さに上昇したなら、そのまま手を放せば、前述の通り、外側本体7及び蓋体8の重量がカムレバー35の回動中心Oに加わることにより、カムレバー35の係合部53がガイドレール21の接触面29に食い込んで自己倍力作用が発揮され、外側本体7の落下にブレーキが掛かるため、外側本体7が固定される。
【0043】
これにより、容量可変式物品収納箱1の容量が拡大するとともに、蓋体8の高さが高くなって大型物品の収容が可能になる。なお、仮に蓋体8の上面に荷重が加わっても、自己倍力作用がますます高まるため、外側本体7がずり下がることはない。
【0044】
また、容量可変式物品収納箱1の容量を縮小させるには、両側のスライドユニット22(スライド部材34)に両手を掛け、図13のように解除レバー37を固定位置37aから解除位置37bに引き起こしながら、外側本体7を下方に降下させる。解除レバー37が解除位置37bに引き起こされると、解除レバー37の押圧片63がカムレバー35の押圧突起56を下方に押圧し、図12に示すようにカムレバー35をコイルスプリング36の付勢力に抗して係合位置35aから自由位置35bに回動させる。
【0045】
このため、カムレバー35の係合部53(ストッパー部材54)がガイドレール21の接触面29から離れ、係合部53と接触面29との間の摩擦係合が解除されて外側本体7が内側本体6に対して摺動自在となり、外側本体7を降ろして容量可変式物品収納箱1の容量を縮小させることができる。
【0046】
以上のように構成された容量可変式物品収納箱1によれば、片持ちレバー状のカムレバー35の先端に設けた係合部53をガイドレール21の接触面29に食い込ませて自己倍力作用を発揮させ、外側本体7の落下にブレーキを掛けるようにしたため、非常に簡素な構成により、内側本体6に対して外側本体7を上下方向の所望する高さで確実に係止させることができる。
【0047】
特に、片持ちレバー状に形成したカムレバー35をコイルスプリング36により係合位置35a側に付勢する構造であるため、カムレバー35の強度を高くして耐久性を高めつつ、コイルスプリング36の付勢力を適宜選択することにより、カムレバー35の係合力を適度に設定することができる。
【0048】
しかも、カムレバー35は、係合位置35aにおいては外側本体7の上方への摺動を妨げず、外側本体7の下方への摺動のみを規制するため、内側本体6に対して外側本体7を上方に摺動させる場合には解除レバー37を操作しなくてもよく、このため操作性に優れている。
【0049】
さらに、スライドユニット22が、外側本体7の側面3に形成した嵌合穴39に着脱可能に装着され、その嵌込爪44を押すことによってスライドユニット22全体を外側本体7に対して簡単に着脱することができるため、容量可変式物品収納箱1の組立性を良くすると同時に、カムレバー35の係合部53等が摩耗したような場合には、スライドユニット22全体を簡単にアッシー交換でき、メンテナンス性にも優れている。
【0050】
なお、本実施形態では、内側本体6に対してガイドレール21を別部品として取り付けているが、例えば内側本体6にガイドレール21を一体に成形して設けてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、カムレバー35の係合部53が、ガイドレール21の接触面29に対して摩擦係合する構造であるが、例えばカムレバー35の係合部53の先端面と、ガイドレール21の接触面29とに、それぞれ山形、ギヤ形、波形等の凹凸形状を連続形成し、これらの凹凸形状を互いに係合させるようにして、摩擦係合させる場合よりも係合力を高めてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係る容量可変式物品収納箱の斜視図である。
【図2】同実施の形態に係る容量可変式物品収納箱の蓋体が上方に開放された状態を示す斜視図である。
【図3】同実施の形態に係る容量可変式物品収納箱の蓋体が前方にスライドされて開放された状態を示す斜視図である。
【図4】同実施の形態に係る容量可変式物品収納箱の蓋体が起立して開放された状態から下方にスライドされた状態を示す斜視図である。
【図5】同実施の形態に係る容量可変式物品収納箱の側面図である。
【図6】同実施の形態に係る容量可変式物品収納箱の外側本体が内側本体に対して上方に引き上げられた状態を示す部分断面図である。
【図7】同実施の形態に係る容量可変式物品収納箱の外側本体が内側本体に対して上方に引き上げられた状態を示す斜視図である。
【図8】同実施の形態に係るガイドレールの単体斜視図である。
【図9】同実施の形態に係るスライドユニットを内側から見た図であり、カムレバーが係合位置にある状態を示す図である。
【図10】同実施の形態に係る図9のX-X線に沿うスライドユニットの縦断面図であり、解除レバーが固定位置にある状態を示す図。
【図11】同実施の形態に係る図9のXI-XI線に沿うスライドユニットの平面図である。
【図12】スライドユニットを内側から見た図であり、カムレバーが自由位置にある状態を示す図である。
【図13】同実施の形態に係る図12のXIII-XIII線に沿うスライドユニットの縦断面図であり、解除レバーが解除位置にある状態を示す図。
【符号の説明】
【0053】
1 容量可変式物品収納箱
6 内側本体
7 外側本体
18 摺動係合機構
21 ガイドレール
22 スライドユニット
29 接触面
34 スライド部材
35 係合部材としてのカムレバー
35a 係合位置
35b 自由位置
36 付勢部材としてのコイルスプリング
37 係合解除部材としての解除レバー
37a 固定位置
37b 解除位置
53 係合部
56 押圧突起
63 押圧片
L1 係合部材の回動中心から係合部までの長さ
L2 係合部材の回動中心からガイドレールの接触面までの最短距離
O 係合部材の回動中心
P 係合部の先端点
S 係合部材の回動中心と係合部とを結ぶ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放された有底箱型形状の内側本体と、
上部及び下部が開放され、前記内側本体の外周部を取り巻き、且つ前記内側本体に対して上下方向に摺動自在に設けられる外側本体と、
前記内側本体に対して前記外側本体を上下方向に摺動可能に支持し、且つ前記外側本体を所望の高さで前記内側本体に対して係合させる摺動係合機構と、
を備え、
前記摺動係合機構は、
前記内側本体の対向する二側面の外面側に設けられ、前記外側本体の摺動方向に沿って延びるガイドレールと、
前記外側本体の対向する二側面に設けられて前記ガイドレールに対して摺動自在に係合し、前記外側本体を前記内側本体に対して前記ガイドレール沿いに摺動自在且つ係止可能に保つスライドユニットと、
を備え、
前記スライドユニットは、
一端がこのスライドユニットに軸支され、他端が自由端とされた片持ちレバー状であり、その自由端に係合部が設けられて、係合位置と自由位置との間を回動自在であり、前記係合位置では前記係合部が前記ガイドレールに係合して前記外側本体を前記内側本体に対して少なくとも下方には移動不可能に保ち、前記自由位置では前記係合部が前記ガイドレールから離間して前記外側本体を前記内側本体に対して上下方向に摺動自在に保つ係合部材と、
前記係合部材を前記係合位置側に常時付勢する付勢部材と、
手動操作により前記係合部材を前記係合位置から前記自由位置に移動させる係合解除部材と、
を備えてなることを特徴とする容量可変式物品収納箱。
【請求項2】
前記係合部材は、前記係合位置においては前記外側本体の上方への摺動を妨げず、前記外側本体の下方への摺動のみを規制することを特徴とする請求項1に記載の容量可変式物品収納箱。
【請求項3】
前記係合部材は、その回動中心から前記係合部までの長さが、前記回動中心から前記ガイドレールの接触面までの最短距離よりも長く、且つ前記係合位置において前記回動中心と前記係合部とを結ぶ線が前記回動中心から前記係合部に向かって下方に下がる角度となり、尚且つ前記外側本体の重量によって前記係合部が前記接触面に食い込んで自己倍力作用を発揮するように、前記回動中心と前記係合部との間の長さ、及び前記係合位置における前記係合部材の角度を設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の容量可変式物品収納箱。
【請求項4】
前記スライドユニットは、前記外側本体の対向する二側面に設けられて前記ガイドレールに対し摺動自在に係合し、前記外側本体を前記内側本体に対して前記ガイドレール沿いに摺動自在に保つスライド部材に、前記係合部材と、前記付勢部材と、前記係合解除部材とを組み込んだものであって、前記スライド部材は前記外側本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容量可変式物品収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−76809(P2010−76809A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247451(P2008−247451)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(591017065)株式会社松田技術研究所 (11)