説明

密着型イメージセンサモジュールおよび画像読取装置

【課題】ハウジングを無くし、センサチップを搭載するセンサ基板を基準面とする密着型イメージセンサモジュールおよび画像読取装置を提供する。
【解決手段】実施形態の密着型イメージセンサは、主走査方向に長いレンズホルダと、前記レンズホルダに狭持されるレンズアレイと、前記レンズアレイと並行して設けられる光源と、感応面側にセンサチップが実装されと共に、前記レンズホルダと前記光源とが取り付けられるセンサ基板とで構成される。そして、センサ基板の周辺部には、外部機器に取り付けるための主走査方向および副走査方向を規制する取り付け穴又は外形形状が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置やスキャナ装置において、用紙に記録された画像に密着して読み取る密着型イメージセンサモジュールおよび画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置やスキャナ装置などの画像読取部には、密着型イメージセンサモジュールが用いられている。密着型イメージセンサモジュールは、主走査方向に長いハウジング中に光源、ロッドレンズアレイが組み込まれている。そして、従来の密着型イメージセンサモジュールは、例えばハウジングの上面がガラスで覆われており、両端部のガラスホルダによって固定されている。また、密着型イメージセンサモジュールの下面には、光電変換素子(例えば、CCDやCMOS)からなるセンサチップが実装されたセンサ基板が取り付けられている。
【0003】
この密着型イメージセンサモジュールを画像形成装置やスキャナ装置などに取り付けるために、密着型イメージセンサモジュールとは別部材で構成される取り付け部を必要としていた。この取り付け部は、密着型イメージセンサモジュールの躯体となるハウジングの主走査方向の両端に設けられていた。
【0004】
このような従来の密着型イメージセンサモジュールでは、光軸方向の位置関係(取り付け基準面)は、必ずハウジングのフレーム面を使用するものであった。一般にハウジングは、精密樹脂成形が用いられている。通常の樹脂成形品精度は、0.1mm程度である。一方、使用されるレンズの特性から、取り付け基準面の位置精度は一桁小さい精度(0.0Xmmの値)が要求されているため、部品製造を困難なものにしていた。即ち、密着型イメージセンサモジュールのレンズ系は、多くは屈折率分布型ロッドレンズが用いられている。そして、このレンズ系の特徴は、被写界深度が浅いことから、その結果、密着型イメージセンサモジュールの光軸方向の取り付け関係は非常に高い精度が要求されることになっていた。
【0005】
また、密着型イメージセンサモジュールの取り付け部は、画像形成装置やスキャナ装置などの取り付けられる装置毎に個別に用意しなければならなかった。上述したように取り付け部は、ハウジングの両端部に取り付けられている。ハウジングは、密着型イメージセンサモジュールの基本的骨格であるがゆえに、密着型イメージセンサモジュールは取り付けられる画像形成装置やスキャナ装置などに専用化する必要がある。したがって、密着型イメージセンサモジュールの製造メーカは、画像形成装置やスキャナ装置毎に、個別に精度の高いハウジングを揃えざるを得なかった。そのため、密着型イメージセンサモジュールの生産性の妨げになっており、高品質・低価格のモジュールを提供することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−53650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、密着型イメージセンサモジュールの両端取り付け部に、バネを設ける構造とし、さらにガラスと密着型イメージセンサモジュールのハウジングとの間に当接部材を設ける構造としている。このように、原稿面と画像読取手段との距離を精度良く保持するための機構を必要としていた。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、ハウジングを無くし、センサチップを搭載するセンサ基板を基準面とする密着型イメージセンサモジュールおよび画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態に係る密着型イメージセンサモジュールは、主走査方向に長いレンズホルダと、前記レンズホルダに狭持されるレンズアレイと、前記レンズアレイと並行して設けられる光源と、感応面側にセンサチップが実装されると共に、前記レンズホルダと前記光源とが取り付けられる基板であって、その周辺部に外部機器に取り付けるための主走査方向および副走査方向を規制する取り付け穴又は外形形状が形成されるセンサ基板と、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る密着型イメージセンサモジュールの外観図を示し、(a)はその上面図、(b)はその側面図、(c)はその底面図、(d)は(a)のA−A断面図。
【図2】図1(a)のB−B断面図。
【図3】図1(a)の左端の拡大図。
【図4】図1(d)の左端の拡大断面図。
【図5】実施形態に係る密着型イメージセンサモジュールのレンズホルダとセンサ基板との取り付けを示す図。
【図6】実施形態に係る密着型イメージセンサモジュールのレンズホルダをセンサ基板の接続側を上にして外側から見た、端部の遮光壁の構造を示す図。
【図7】図6を内側から見た図。
【図8】図6のレンズホルダの一方の端部の形状を示す図。
【図9】実施形態に係る密着型イメージセンサモジュールを画像形成装置に実装した図。
【図10】実施形態に係る密着型イメージセンサモジュールを画像形成装置に実装する場合の他の実装構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る密着型イメージセンサモジュールおよび画像読取装置について説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る密着型イメージセンサ10の外観図を示すものである。図1(a)はその上面図、図1(b)はその側面図、図1(c)はその底面図、図1(d)は図1(a)のA−A断面図をそれぞれ示している。図2は、図1(a)のB−B断面図を示している。図3は、図1(a)の左端の拡大図を示している。図4は、図1(d)の左端の拡大断面図を示している。図5は、レンズホルダとセンサ基板との取り付け状態を示している。
【0013】
以下、図1乃至図5を参照して、実施形態の密着型イメージセンサモジュールを説明する。なお、図面毎の重複した説明は省略する。
【0014】
図1乃至図5に示すように、本実施形態の密着型イメージセンサモジュール10は、後述するセンサチップを搭載するセンサ基板20と、このセンサ基板20のセンサチップ実装(感応)面に取り付けられるプラスチック材料で出来ているレンズホルダ30,30と、このレンズホルダ30,30間に接着固定されるレンズアレイ40と、このレンズアレイ40の両側に並行して設けられる光源50,50とによって構成されている。
【0015】
センサ基板20は、主走査方向に長い長方形の形状をしている。主走査方向の長さは、読み取り対象となる画像サイズ(例えば、A4サイズ、A3サイズ)によって異なっている。センサ基板20の両端には、取り付け部22,22が形成されている。
【0016】
取り付け部22,22には、取り付け穴23,23が設けられている。取り付け部22,22は、図4に示すようにセンサチップ60の搭載面である。本実施形態の密着型イメージセンサモジュール10は、センサ基板20の両端の取り付け穴23,23を用いて外部装置に直接取り付ける構造としている。
【0017】
即ち、センサ基板20の取り付け穴23,23は、密着型イメージセンサモジュール10を画像形成装置やスキャナ装置などの画像読取部に取り付けるためのものである。したがって、本実施形態の密着型イメージセンサモジュール10は、画像形成装置やスキャナ装置などの画像読取部に取り付けるためのハウジング部材を不要としている。また、センサチップ面を画像読取部に取り付けるため、光学系の光軸方向の配置精度が上がることになり、その結果、解像度の高い読取装置が提供できる。
【0018】
レンズアレイ40は、屈折率分布型の正立等倍のロッドレンズアレイないし複数枚構成のマイクロレンズアレイで構成されている。ここでは、読み取り長さに応じて主走査方向に一列に配列されたレンズアレイ40を図示しているが、レンズアレイが複数列配列されたものであっても良い。
【0019】
レンズアレイ40は、レンズホルダ30,30によってセンサ基板20上に搭載されている。レンズホルダ30,30は、内部にレンズアレイ40を保持するための長さを有している。レンズホルダ30,30は、センサ基板20のセンサチップ60の直上にレンズアレイ40を保持している。
【0020】
レンズホルダ30,30のセンサ基板側には、4つのボス35乃至38(図5を参照)が設けられている。一方、センサ基板20には、上述した4つのボス35乃至38が挿入される穴25乃至28が設けられている。そして、ボス35が穴25に挿入され、ボス36が穴26に挿入され、ボス37が穴27に挿入され、ボス38が穴28に挿入され、嵌め合う。穴25と27は、横方向(主走査方向)に長い長穴となっており、穴28は縦方向(副走査方向)に長い長穴となっている。穴26は、ボス36が挿入されたときに、クリアランスが最小で隙間が殆んどない大きさである。したがって、センサ基板20にレンズホルダ40を取り付ける際には、穴26にボス36を挿入する点が中心となって組み立てが行われる。
【0021】
このような構成では、穴26−ボス36と穴25−ボス35、又は穴26−ボス36と穴27−ボス37は、主走査方向と副走査方向の位置決めになっている。また、穴26−ボス36と穴28−ボス38は、主走査方向の位置決めになっている。したがって、少なくとも、穴26−ボス36と穴25−ボス35、又は穴26−ボス36と穴27−ボス37の2箇所の接続構造を有していれば、主走査方向と副走査方向の位置決めは達成される。したがって、本実施形態の密着型イメージセンサモジュール10によれば、構造が簡単化して、小形化することができ、かつ組み立てが容易に行うことができる。
【0022】
図2に示すように、レンズホルダ30,30は2つの部材からなり、離間なくレンズアレイ40を挟持(固定)している。即ち、レンズアレイ40は、レンズホルダ30,30間に接着剤を用いて接合されることによって挟持されている。接着剤は、断続的ないし連続的に用いて、主走査方向全長に渡ってレンズアレイ40をレンズホルダ30,30に接合している。なお、接合は、接着剤を用いずに、粘着や融着、溶着、圧着等々他の手段を用いることもできる。
【0023】
したがって、本実施形態の密着型イメージセンサモジュール10では、レンズアレイ40がレンズホルダ30との間で副走査方向に遊びがないため、レンズアレイのうねりやレンズアレイの倒れがなくなる。その結果、センサチップ60の直上の原稿を読みとることができ、読取品質が向上する。また、レンズアレイ40とレンズホルダ30,30が離間なく主走査方向全長に渡って接合されているので、副走査方向とねじれに対する断面係数が高まるので剛性が上がる。その結果、ハウジングやその他別の強度部材を必要としない。また、副次的に熱膨張差を拘束する効果がある。
【0024】
レンズホルダ30,30は、レンズアレイ40を配置するべき近傍においては、レンズアレイ40を光軸方向に拘束する突起や段差等の障害物がない。そのため、レンズアレイ40とレンズホルダ30,30は、自由な位置関係に接合することができる。レンズホルダ30,30の下端面を基準に光軸方向に適切な位置に離間させて、レンズアレイ40をレンズホルダ30,30に接合することも容易である。適切な位置とは、原稿をセンサチップ60の感応面70に結像するための位置のことであり、レンズの共役長の1/2の位置にレンズアレイ40を配置することである。なお、センサチップ60の厚さは精度良く管理されているので、センサチップ60の厚さだけオフセットした位置、即ち、センサ基板20の上面を外部機器に取り付ける際の光学基準面としても差し支えない。センサチップを有しないセンサ基板上面に直接感光面を有するセンサ基板の場合は、感応面と取り付の光学基準面は一致することになる。
【0025】
レンズは、被写界深度が浅いため正確に配置することが特に肝要である。そのためには、センサ感応面に適切に焦点を合わせる位置に、レンズアレイ40を位置決めする構造(レンズ台座)をレンズホルダ30,30に形成しておくとよい。
【0026】
あるいは、接合治具(図示せず)を用いて組み立ててもよい。接合治具は、レンズホルダ30,30の下端と当接する第一面およびレンズアレイ40の下端に当接する第二面を有し、第一面に対する第二面までのギャップを正確に調節できるアジャスタを具備している。当該治具に、レンズホルダ30,30とレンズアレイ40を保持して接着する。このような構造により、レンズ高さやセンサチップ60の厚さが異なる場合でも、同じレンズホルダ30,30を用いることができる。すなわち、レンズホルダ30,30をレンズやセンサチップ60毎に専用化しなくてもよい。
【0027】
光源50,50は、レンズアレイ40を挟持(固定)するレンズホルダ30,30の両側に並行して設けられている。光源50,50は、レンズアレイ40の長さ以上の長さを有して、読み取り原稿からの反射光がレンズアレイ40に入射されるよう配置されている。図2に示すように、光源50,50は、導光板用透明部材55と、導光板用透明部材55を内部に収納するプラスチック材料で出来ている透明部材ホルダ58とで構成されている。なお、ここではレンズホルダ30,30の両側に並行して光源50,50を設ける構成としたが、片側のレンズホルダに並行して一列の光源を設ける構成であってもよい。
【0028】
光源50,50の異なる一方端には、光源取り付け部80が設けられている。この光源取り付け部80は、垂直方向の高さを保持している。光源50,50の垂直方向の高さを保持するために、光源50,50の長手方向(主走査方向)の所定間隔毎に、高さ調整部90が設けられている。この高さ調整部90は、センサ基板20に弾性系接着剤で固定されている。そして、センサ基板20と高さ調整部90の一方又は両方の接着面は、微少な凹凸パターンを有している。なお、センサ基板20の接着面においては、回路パターンで凹凸を代用することもできる。また、凹凸パターンに代えて小さい穴を1つ又は複数設けてもよい。このような接着構成とすることにより、透明部材58とセンサ基板20の長手方向に熱膨張差があっても、弾性系接着剤で緩和し、かつ凹凸が被着面の剥離を防止している。
【0029】
図4に示すように、光源取り付け部80は、LED取り付け部材100に接続固定されている。光源面とは反対側の光源取り付け部80の接合面には、取り付け用ボス85が設けられている。一方、LED取り付け部材100には、取り付け用ボス85に対向する位置に、穴105が設けられている。そして、光源取り付け部80の取り付け用ボス85をLED取り付け部材100の穴105に挿入し、その後、取り付け用ボス85のヘッド部を熱溶着して、固定ヘッドを形状する。
【0030】
LED取り付け部材100の内側には、LED110が取り付けられている。LED110は、リード端子120を介して電源を有する外部制御部と接続している。LED110では、導光用透明部材55の両端がLEDの発光に対して露出している。これにより、LED110からの光は、光源50,50の導光板用透明部材55から読み取り原稿に向けて照射することができる。光源50,50の導光板用透明部材55は、LED110から照射された光が反射を繰り返して、光源50,50の末端までその光を導くと共に、原稿面に照射するように構成されている。
【0031】
ここでは、左端の光源取り付け部80およびLED取り付け部材100を説明したが、右端の構成も同じである。光源取り付け部80およびLED取り付け部材100を同じサイドに設けていないのは、センサ基板20の幅(副走査方向)を短くするためである。また、光源50の光量分布を相殺して原稿面の照度の均一性を高めるためである。
【0032】
図2に示すように、レンズアレイ40の両端部において、副走査方向に面をなす壁面があり、2つのレンズホルダ30,30は嵌め合い構造となっている。これにより、外光がセンサチップ60の感応面70に到達する光線を遮っている。
【0033】
次に、図6乃至図8を参照して、レンズホルダ30,30の両端部の遮光壁の構造について説明する。図6は、レンズホルダ30,30のセンサ基板側の面を上にして外側から見た端部の接続構造を示している。図7は、図6を内側から見た図を示している。図8は、レンズホルダ30aの端部の形状を示している。レンズホルダ30,30の両端部は、同じ遮光壁の構造を有しているが、ここでは説明の便宜上、図6乃至図8の左側をレンズホルダ30aとし、右側をレンズホルダ30bとして説明する。
【0034】
図6に示すように、レンズホルダ30aとレンズホルダ30bは、中央にレンズアレイ40を挟持(接着固定)している。このレンズアレイ40に対し側面から無用な光が入射することを防止するために、その端面に嵌め合い形状の段差部を形成して接合する遮光壁が形成されている。
【0035】
即ち、図8に示すように、レンズホルダ30aのセンサ基板側底面からレンズアレイ40側の高さ方向に突出部30a−1が形成されている。この突出部30a−1のセンサ基板側に、L字形状の段差受部30a−2が形成されている。一方、レンズホルダ30bのセンサ基板側底面から高さ方向にL字形状の段差突出部30b−1が形成されている。そして、図7に示すように、レンズホルダ30aと30bが接合するとき、段差受部30a−2に段差突出部30b−1が嵌め合って、遮光壁が形成されることになる。なお、遮光壁に代えて遮光部材を取り付ける構造でもよい。
【0036】
したがって、本実施形態の密着型イメージセンサモジュールは、嵌め合い遮光壁によりハウジング等の大型の部材を要することなく迷光を排除することができる。なお、レンズアレイ40はレンズホルダ30,30が接着剤によって離間なく挟持されているので主走査方向の大部分の位置においても無用な外光がセンサチップの感応面に入ることはない。
【0037】
図9(a)は、上述した密着型イメージセンサモジュール10とガラスが相対的に固定される、例えば複写機などの画像形成装置に取り付けたときの形状を示している。密着型イメージセンサモジュール10のセンサ基板20の周辺部に設けた取り付け穴25を画像形成装置の画像読取部の取り付けピン200に挿入して、固定するだけで実装が完了する。
【0038】
また、ガラス図9(b)は、上述した密着型イメージセンサモジュール10をプラテンガラスに対して相対的に可動させ、スキャナ装置などの画像読取部250に取り付けたときの形状を示している。密着型イメージセンサモジュール10のセンサ基板20の周辺部に設けた取り付け穴25を画像読取部のフレーム250の走行体に設けられたスライダーピンに挿入するだけで実装が完了する。これにより、密着型イメージセンサモジュール10はスライダーに沿って、図中前後方向に移動して原稿の画像を読み取る。
【0039】
また、従来の読取装置に適用する場合は、必要に応じて取り付け用のアダプタを用意すればよい。これにより、モジュール自身は共通化が図れる。
【0040】
図10は、密着型イメージセンサモジュール10のセンサ基板20の両端に設けた取り付け穴とは別の取り付け形状を示している。図10(a)は、センサ基板20の周辺部の外形形状を取り付け凸部20Tとし、これを外部機器の取り付け部300に取り付けるものである。また、図10(b)は、センサ基板20の周辺部の外形形状を取り付け凹部20Uとし、これを外部機器の取り付け部300に取り付けるものである。図10(c)は、センサ基板20の周辺部はそのままの形状とし、外部機器の取り付け部300にてセンサ基板20を固定するものである。つまり、センサ基板の主走査方向および副走査方向を規制する形状を、直接又は間接的に提供するものであればよい。
【0041】
本実施形態の密着型イメージセンサモジュールによれば、以下の効果が得られる。
【0042】
(1)ハウジングが不要になる。
【0043】
(2)光学系に関与する部材が低減するため、結像精度の良いモジュールができる。
【0044】
(3)光学基準面の共通化が図れる。
【0045】
(4)構造体はレンズホルダに限定されるため、モジュール全体が小形・軽量になる。そのため、多数個取り、多数個詰めが可能になり、設備や工程内、輸送の効率があがり低コスト化が図れる。
【0046】
(5)レンズの副走査方向の遊びが無いので光学性能が安定する。
【0047】
(6)レンズアレイとレンズホルダの三層一体化により剛性が向上し、ハウジングやその他の強度部材が不要になる。ハウジングが不要になるため、放熱性が向上しモジュールの温度上昇が抑制される。信頼性や温度上昇による変形が低減する。
【0048】
(7)レンズアレイとレンズホルダを接合することによって熱膨張差を拘束することになり、レンズとセンサ画素の相対位置ズレを極小化することができる。
【0049】
(8)レンズとレンズホルダの熱容量が小さいため、温度分布が生じにくい。そのためCISの温度上昇による反りが発生しにくい。
【0050】
(9)レンズホルダは、レンズアレイの位置を拘束する構造をもたないので、センサの厚さに関係なくホルダは共通化することができる。また、ホルダには高精度を要求する箇所がなくなり、簡単化される。
【0051】
(10)センサ厚による接着位置の変化程度では外光の進入を防ぐ。
【0052】
(11)T字型断面構造となるため、Z方向の変形に強くなる。
【0053】
(12)装置メーカの要求によってカバー(従来のハウジング)が取り付け可能で、膨張率による選択肢限定がなくなるため、スナップインしやすいプラスチック材料を選ぶことができる。
【0054】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
10‥密着型イメージセンサモジュール、
20‥センサ基板、22,22‥取り付け部、23,23‥取り付け穴、
25乃至28‥穴、30,30a,30b‥レンズホルダ、
30a−1‥突出部、30a−2‥段差受部、30b−1段差突出部、
32,33,34,35‥ボス
40‥レンズアレイ、50,50‥光源、55‥導光板用透明部材55、
58‥透明部材ホルダ、60‥センサチップ、70‥感応面
80‥光源取り付け部、85‥取り付け用ボス、90‥高さ調整部
100‥LED取り付け部材、110‥LED、120‥リード端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に長いレンズホルダと、
前記レンズホルダに狭持されるレンズアレイと、
前記レンズアレイと並行して設けられる光源と、
感応面側にセンサチップが実装されると共に、前記レンズホルダと前記光源とが取り付けられる基板であって、その周辺部に外部機器に取り付けるための主走査方向および副走査方向を規制する取り付け穴又は外形形状が形成されるセンサ基板と、
を具備することを特徴とする密着型イメージセンサモジュール。
【請求項2】
前記センサ基板の上面が前記外部機器に取り付けるための基準面とすることを特徴とする請求項1に記載の密着型イメージセンサモジュール。
【請求項3】
前記レンズホルダの前記センサ基板側には、前記主走査方向の離間した位置に少なくとも2つ以上のボスを備え、
前記センサ基板には、第1のボスに対応してクリアランスが最小の第1の穴と、第2のボスに対応して主走査方向に長い第2の穴が形成されることを特徴とする請求項1に記載の密着型イメージセンサモジュール。
【請求項4】
前記レンズホルダの前記センサ基板側には、前記主走査方向および副走査方向に離間した位置に少なくとも3つ以上のボスを備え、
前記センサ基板には、第1のボスに対応してクリアランスが最小の第1の穴と、前記第1のボスの主走査方向側の第2のボスに対応して主走査方向に長い第2の穴と、前記第1のボスの副走査方向側の第3のボスに対応して副走査方向に長い第3の穴が形成されることを特徴とする請求項1に記載の密着型イメージセンサモジュール。
【請求項5】
前記レンズホルダが主走査方向に長い2つの部材で構成され、
前記レンズアレイが前記レンズホルダの2つの部材間の主走査方向に渡って接合されていることを特徴とする請求項1に記載の密着型イメージセンサモジュール。
【請求項6】
前記レンズホルダの端部は、外光がセンサ感応面に到達する光線を遮る位置に遮光壁が形成され、又は遮光部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の密着型イメージセンサモジュール。
【請求項7】
前記遮光壁は、一方のレンズホルダの段差受部に他方のレンズホルダの段差突出部が嵌め合って形成されていることを特徴とする請求項6に記載の密着型イメージセンサモジュール。
【請求項8】
前記光源の端部には光源取り付け部材が設けられ、前記光源取り付け部材に接合してLEDが取り付けられるLED取り付け部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の密着型イメージセンサモジュール。
【請求項9】
前記光源の長手方向は所定間隔毎に設けられた高さ調整部を介して前記センサ基板に接着され、前記高さ調整部又は前記センサ基板の接着面には微少な凹凸又は穴が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の密着型イメージセンサモジュール。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の密着型イメージセンサモジュールを画像形成装置又はスキャナ装置に取り付ける際、前記センサ基板の前記取り付け穴又は外形形状を用いて画像形成装置又はスキャナ装置の画像読取部に取り付けられることを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−178623(P2012−178623A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39202(P2011−39202)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(504426126)東芝ディーエムエス株式会社 (21)
【Fターム(参考)】