説明

密閉式混練機のウェイト位置検出装置

【課題】 配合剤の漏れがなく清浄な環境を維持できるとともに、検出棒やパッキンの交換等を不要としてメンテナンスを容易にできる密閉式混練機のウェイト位置検出装置を提供する。
【解決手段】 チャンバ4の上部に設けた材料供給口5にフィードホッパ6が接続され、このフィードホッパ6の上端に上下動自在なピストン17を有するウェイトシリンダ7が接続され、ピストン17からウェイトシリンダ7の下方へ延設されたピストンロッド18がフィードホッパ6内に上下動自在に挿通されているフローティングウェイト8に連結されている密閉式混練機において、ウェイトシリンダ7の内部に、ピストン17又はピストンロッド18のウェイトシリンダ7に対する相対位置を検出する検出手段28を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム等の高分子樹脂材料を混練する密閉式混練機のウェイト位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の密閉式(バッチ式)混練機では、原料ゴム及びカーボン、フィラなどの配合剤やオイルを混練ロータが回転するチャンバ内に強制的に押し込んで混練するようになっている。このため、従来の密閉式混練機は、チャンバの上部に設けた材料供給口に接続されたフィードホッパを有し、このフィードホッパ内に材料を下方へ押し込むためのフローティングウェイトが上下動自在に設けられ、フィードホッパの上端には、フローティングウェイトを駆動させるためのウェイトシリンダが接続されている。
【0003】かかる密閉式混練機では、フローティングウェイトの上下位置は原料ゴムの混練度合いを推し量る有力な手掛かりとなるため、ウェイト位置検出装置が設けられており、図6はこの検出装置の従来例を示している。すなわち、従来の検出装置では、フィードホッパ40の上蓋41を貫通させることにより外部に突出されたテルティルロッドと呼ばれる検出棒42の下端をウェイト43に直結し、この検出棒42の上下位置を外部から目視等によって検出することにより、フローティングウェイト43の上下位置を察知するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のウェイト位置検出装置では、検出棒42をフローティングウェイト43に直結しているため、混練中にフローティングウェイト43が前後左右及び上下に動くことにより、フィードホッパ40の上蓋41に設けたパッキン部44からカーボン等の配合剤が外部に漏れ出し、装置周辺を汚すことがあった。
【0005】また、検出棒42のストロークは通常約2mと長いため、検出棒42が上下動を繰り返すと、当該検出棒42がパッキン部44において拗れて破損することがあるとともに、パッキン部44を早期に交換する必要も生じる。本発明は、このような実情に鑑み、配合剤の漏れがなく清浄な環境を維持できるとともに、検出棒やパッキンの交換等を不要としてメンテナンスを容易にできる密閉式混練機のウェイト位置検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。すなわち、本発明は、チャンバの上部に設けた材料供給口にフィードホッパが接続され、このフィードホッパの上端に上下動自在なピストンを有するウェイトシリンダが接続され、前記ピストンからウェイトシリンダの下方へ延設されたピストンロッドが前記フィードホッパ内に上下動自在に挿通されているフローティングウェイトに連結されている密閉式混練機において、前記ウェイトシリンダの内部に、前記ピストン又はピストンロッドの当該ウェイトシリンダに対する相対位置を連続的に検出する検出手段が設けられているものである(請求項1)。
【0007】この場合、ピストンロッドはウェイトシリンダに連結されているので、ウェイトシリンダ内に設けた検出手段でピストン又はピストンロッドのウェイトシリンダに対する相対位置を検出すると、フローティングウェイトの上下方向位置が間接的に検出されることになる。このため、本発明によれば、従来のようにフィードホッパの上蓋を貫通する検出棒(テルティルロッド)をフローティングウェイトに直結しなくても、同ウェイトの上下方向位置を検出することができる。
【0008】本発明において、検出手段としては、ピストン又はピストンロッドのストローク位置を直接検出するリニアセンサ及び光学センサや、そのストローク位置を回転運動に変換して検出するポテンショメータやロータリエンコーダ等を採用することができる。しかして、ウェイトシリンダの上端中央部から下方へ延設された長尺の検出棒を有する超音波式のリニアセンサと、この検出棒に入射した超音波を同入射側へ反射させるポインタと、を備えたものを採用する場合には、前記検出棒をピストンロッドの中心部に設けた軸心方向の挿通孔に挿通するとともに、前記ポインタをピストンロッドの上端部に設けることが好ましい。
【0009】この場合、検出棒がピストンロッドの挿通孔に挿通されるので、大きなストロークで移動するピストンロッドの位置を検出する場合でも、ストロークの増大に応じて検出棒と挿通孔をともに長くすれば足り、検出手段が大型化するのを防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図4は、本発明に係るウェイト位置検出装置1が採用された密閉式混練機2を示し、この混練機2は、原料ゴム及びカーボン、フィラなどの配合剤やオイルを混練ロータ3が回転するチャンバ4内に強制的に押し込んで混練するバッチ式のものである。
【0011】すなわち、本実施形態の混練機2は、左右一対の混練ロータ3を内部に有するチャンバ4と、このチャンバ4の上部に設けた材料供給口5に接続されたフィードホッパ6と、このフィードホッパ6の上端に接続されたウェイトシリンダ7と、フィードホッパ6内に上下動自在に挿通されたフローティングウェイト8と、を備えている。
【0012】チャンバ4は、内部に断面めがね孔状の混練室9が形成され、この混練室9内に混練ロータ3が互いに反対向きに回転するように挿通されている。混練室9の上部には材料供給口5が連通され、混練室9の下部には、ドロップドア10によって開閉される材料排出口11が連通されている。フィードホッパ6は、上下方向に長い方形筒状に形成され、筒内部を上下動するフローティングウェイト8で材料供給口5を閉塞できるようチャンバ4の上面に立設されている。フィードホッパ6の右側面には幅方向外方に突出した材料投入口12が形成され、この材料投入口12は図4の左右方向に開閉自在なホッパドア13によって施蓋されている。
【0013】ウェイトシリンダ7は、空圧によって(図示してないが、油圧でもよい。)フローティングウェイト8を上下動させる駆動手段として機能するもので、上下端が上下蓋14,15によって閉塞された円筒状のシリンダ本体16と、このシリンダ本体16内に上下動自在に挿通されたピストン17とを備えており、このピストン17の中央部にピストンロッド18が連結されている。
【0014】図1に示すように、シリンダ本体16は、その下蓋15をフィードホッパ6の上端に直結することにより同ホッパ6と同軸心状に連結されている。シリンダ本体16の下蓋15には、同本体16の下部へ空気を送るための下部空圧ポート19が設けられ、上蓋14の中央部に立設したクッションブロック20には、同本体16の上部へ空気を送るための上部空圧ポート21が設けられている。
【0015】ピストン17は、外周部に段差部が形成されたピストン本体22と、この本体22の段差部に套嵌されたシール部材23とを備え、このシール部材23は、ピストン本体22の段差部にボルト締結された分割リング24によって同本体22側へ固定されている。シール部材23は、外周リップ部が上下に向けられた上下一対のゴムシールを備え、上下いずれの方向からの空圧に対してもシリンダ本体16の内面に気密に摺接するようになっている。
【0016】ピストンロッド18は、上端部に小径部25が形成された段付き棒材よりなり、ピストン本体22の中央部に下から貫通した小径部25に固定スリーブ26を套嵌することにより、その小径部25がピストン17から上方へ突出するように同ピストン17に固定されている。このピストンロッド18の小径部25は、ピストン17が最上昇する前に上蓋14上に立設された前記クッションブロック20に嵌合するようになっている。
【0017】また、ピストンロッド18は、下蓋15の中央部に嵌合したシール機能を有するブッシュ27に上下摺動自在に挿通することにより、前記ピストン17からウェイトシリンダ7の下方のフィードホッパ6内にまで延設されていて、このフィードホッパ6内に突出したピストンロッド18の下端部に前記フローティングウェイト8が直結されている。
【0018】このため、ウェイトシリンダ7の空圧力でピストン17を上下動させると、ピストンロッド18を介してフローティングウェイト8がフィードホッパ6内で上下動することになる。すなわち、下部空圧ポート19から空気を抜きながら上部空圧ポート21に空気を供給すると、ピストン17が下降し、フローティングウェイト8をチャンバ4の材料供給口5に到達するまで下方へ押し下げることができる(図4)。他方、上部空圧ポート21から空気を抜きながら上部空圧ポート19に空気を供給すると、ピストン17が上昇し、ピストン17が上蓋14に到達するまでフローティングウェイト8を上方へ戻すことができる(図1及び図2)。
【0019】この場合、ピストン17が上蓋14に到達する前にピストンロッド18の小径部25が上部空圧ポート21を有するクッションブロック20に嵌合するので、上昇時にピストン17が上蓋14へ衝突するのが防止される。図1及び図2に示すように、ウェイトシリンダ7の内部には、ピストンロッド18の当該ウェイトシリンダ7に対する相対位置を検出する検出手段28が設けられていて、本実施形態では、この検出手段28は、ウェイトシリンダ7の上端中央部から下方へ延設された長尺の検出棒29を有する超音波式のリニアセンサ30と、この検出棒29に沿って入射した超音波を同入射側へ反射させるポインタ31とを備えている。
【0020】リニアセンサ30は、超音波の入射部と反射波の検出部とが内蔵されたセンサ本体32と、このセンサ本体32から下方へ延びる細い棒状の前記検出棒29とからなり、センサ本体32は前記クッションブロック20の天板部に固定され、このさい、検出棒29はクッションブロック20の天板部に設けた孔からウェイトシリンダ7の内部に挿通され、同シリンダ7の軸心に沿って垂下される。他方、ピストンロッド18の中心部には軸心方向に延びる挿通孔33が形成され、この挿通孔33に前記検出棒29が上から挿通されている。
【0021】ピストンロッド18の上端部に形成した収納部には前記ポインタ31が埋設されており、このポインタ31は、検出棒29の中途部を套嵌するように、リテーナ34を介してピストンロッド18に固定されている。上記構成に係る密閉式混練機2によれば、フィードホッパ6の材料投入口12からゴム原料その他の材料が投入されると、ホッパドア13が閉塞され、その後、ウェイトシリンダ7の上部空圧ポート21から同シリンダ7内に空気が送り込まれてフローティングウェイト8が下降し、同ウェイト8がゴム原料その他の材料をチャンバ4内に押し込む。
【0022】このさい、リニアセンサ30のセンサ本体32からは検出棒29の下端に向かって常時超音波が入射されており、その超音波はポインタ31によって上方へ反射されてセンサ本体32の検出部に戻り、センサ本体32からピストンロッド18までの距離が常時検出される。しかして、ピストンロッド18のウェイトシリンダ7に対する相対位置が検出され、これによってフローティングウェイト8の上下方向位置を間接的に検出することができる。
【0023】なお、上記実施形態において、リニアセンサ30は、超音波式のものだけでなく、磁力式や光学式のものを採用することができる。図5は、本発明の他の実施形態を示しており、この実施形態では、ピストンロッド18のウェイトシリンダ7に対する相対位置を検出する検出手段28として、リニアセンサ30の代わりに、ロータリエンコーダ又はポテンショメータ等よりなる回転式センサ35が採用されている。
【0024】この回転式センサ35は、上蓋14の中央部に固定され、当該センサ35の内部に巻き付けられているワイヤゲージ36がピストンロッド18の上端に連結されている。従って、ピストンロッド18が上下動するとその移動量がワイヤゲージ36を介して回転式センサ35の回転量に変換されて検出されるので、ピストンロッド18の上下位置を検出することができる。
【0025】しかし、かかる回転式センサ35を用いると、ワイヤゲージ36の収納部が必要となるので、大きなストロークで移動するピストンロッド18の位置を検出するには、専ら検出手段28が大型化するという欠点がある。この点、図1〜4に示す上記リニアセンサ30の場合には、検出棒29をピストンロッド18の挿通孔33に挿通してあるので、大きなストロークで移動するピストンロッド18の位置を検出する場合にも、ストロークの増大に応じて検出棒29と挿通孔33をともに長くすれば足り、検出手段28をコンパクトにできる利点がある。
【0026】なお、上記した各実施の形態は例示的なものであって限定的なものではない。すなわち、本発明の範囲は冒頭の特許請求の範囲によって示され、その請求項の意味に入るすべての変形例は本発明に包含されるものである。例えば、本発明は、ウェイトシリンダ7の上蓋14に光学式センサを設けかつピストン17の上面に反射板を設けることにより、ピストン17のウェイトシリンダ7に対する相対位置を検出することにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、フィードホッパの上蓋を貫通するテルティルロッドをフローティングウェイトに直結することなく同ウェイトの上下方向位置を検出できるので、カーボン等の配合剤が外部に漏れ出すことがなく清浄な環境を維持できるとともに、テルティルロッドやパッキン部の破損の心配がなくなるので、混練機のメンテナンスが容易になる(請求項1)。
【0028】請求項2記載の発明によれば、リニアセンサの検出棒がピストンロッドの挿通孔に挿通されるので、ピストンロッドのストロークが増大しても検出棒と挿通孔をともに長くすれば足り、検出手段を可及的にコンパクト化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】密閉式混練機の上部を示す縦断面図である。
【図2】ウェイト位置検出装置の縦断面図である。
【図3】図1を上から見た平面図である。
【図4】密閉式混練機の全体構造を示す縦断面図である。
【図5】ウェイト位置検出装置の変形例を示す縦側面図である。
【図6】従来のウェイト位置検出装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ウェイト位置検出装置
2 混練機
4 チャンバ
5 材料供給口
6 フィードホッパ
7 ウェイトシリンダ
8 フローティングウェイト
17 ピストン
18 ピストンロッド
28 検出手段
29 検出棒
30 リニアセンサ
31 ポインタ
33 挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 チャンバ(4)の上部に設けた材料供給口(5)にフィードホッパ(6)が接続され、このフィードホッパ(6)の上端に上下動自在なピストン(17)を有するウェイトシリンダ(7)が接続され、前記ピストン(17)からウェイトシリンダ(7)の下方へ延設されたピストンロッド(18)が前記フィードホッパ(6)内に上下動自在に挿通されているフローティングウェイト(8)に連結されている密閉式混練機において、前記ウェイトシリンダ(7)の内部に、前記ピストン(17)又はピストンロッド(18)の当該ウェイトシリンダ(7)に対する相対位置を連続的に検出する検出手段(28)が設けられていることを特徴とする密閉式混練機のウェイト位置検出装置。
【請求項2】 検出手段(28)は、ウェイトシリンダ(7)の上端中央部から下方へ延設された長尺の検出棒(29)を有する超音波式のリニアセンサ(30)と、この検出棒(29)に入射した超音波を同入射側へ反射させるポインタ(31)とを備え、前記検出棒(29)はピストンロッド(18)の中心部に設けた軸心方向の挿通孔(33)に挿通されているとともに、前記ポインタ(31)がピストンロッド(18)の上端部に設けられている請求項1記載の密閉式混練機のウェイト位置検出装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate