説明

寸法の正確な発泡体の製造方法および製造装置

【解決手段】本発明は、200℃を超える温度で発泡する材料を、該発泡性材料の融点までは熱的に安定であり、3K-1未満、好ましくは1K-1未満の膨張係数を有する鋳型中に入れ;鋳型上にあるいは鋳型を通して適用される、エネルギー照射が制御されている放射線照射装置を用い、発泡中鋳型内の発泡材料を制御加熱し;こうして発泡された発泡製品を鋳型から取り出すことにより、発泡性で、粉末冶金法で製造され、200℃を超える融点を有する金属半完成品で作成された寸法の正確な金属発泡体の製造方法に関する。本発明はまた、金属発泡体の融点で安定であり、3K-1未満の膨張係数を有する壁厚の薄い鋳型、制御可能な照射装置、および放射線測定装置によって与えられる測定値に基づいて照射装置を制御する制御器からなる、寸法の正確な、熱発泡された金属発泡部品の製造装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性で、粉末冶金法で製造され、200℃を超える(>200℃)融点を有する、金属の半完成生産品から、正確な寸法の金属発泡体を製造する方法およびこの方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック、天然物質、ガラス、更には金属含有材料のような適宜の発泡性材料から、発泡体を製造することは知られている。
低膨張係数を有する型内で粉末冶金法により金属発泡体を製造する方法は、DE19954755A1で知られている。この方法では、粉末冶金法でAlSi12合金が発泡されるが、これには、終始材料依存性の重要性が述べられているので、この内容からは、前記方法は前記材料にのみ適していることが開示されているにすぎない。この方法では、石英ガラス鋳型に、Al23被覆による5〜25nm厚の石英ガラス保護層を設けること、並びに発泡AlSi12が反応性であることから必要とされるカバー層を設けることが有効である。そこではまた、中赤外の放射線が適用されるが、これには、5mmを超える(>5mm)層厚を有する厚い壁および被覆された保護層を通して、粉体圧縮物中に熱が浸透するように、赤外照射装置が水平に配列される。この公知方法は、カバー層上に適用される粉体圧縮物に対してのみ有効であるにすぎないし、また鋳物の不均一加熱の問題も起こり、これによって不均一な発泡体サンプルや寸法の正確でない発泡体が形成されることとなるし、さらには特に大きな発泡体部品の場合には、泡の不安性や割れの発生、強度不足の部分が形成されるという問題がおこる。
【0003】
従来、満足できる特性を有し、また寸法の正確な金属発泡体部品を製造することは非常に難しかった。問題は、大きな部品、例えば0.5m2以上の底面積を有する金属発泡板のような大きな表面を有する製品において、均一な孔分布を達成することにある。公知の発泡方法によって製造された金属発泡体部品は、しばしば孔が崩壊した領域を有している。その結果、構成部品の安定性を弱めることとなる大きな空洞を有する場所が形成される。予め定められた地点に半完成品が更に挿入されることにより形成される、不均一な厚さ又は高密度の領域を有する部品の場合には、特にしばしば欠陥が発生する。これは、特に、従来の金属製鋳型が高い線膨張係数および高い熱容量を有することによるものである。高い膨張係数は、冷却時大幅な寸法変化を惹き起こし、金属発泡体の寸法正確性および冷却行動にマイナスの影響を与える。公知の型または鋳型は、加熱のために大量のエネルギーを必要とするし、また冷却に長時間を必要とすることから、製造の際に長いサイクル期間を要する結果となる。複合物が発泡されることを想定する場合、冷却は金属発泡体における材料の問題にも及んでくるし、またあまりにも長時間流動状態におかれると、好ましくない反応あるいは脱混合(Entmischungusphaemomenen)現象のような分離の問題も起こってくる。更なる問題は、炉中での公知発泡プロセスにおいては、鋳型中における熱分布を制御できず、このため発泡材料の発泡を制御することができないことから、満足できる孔分布を得ることができないことである。
【0004】
他の公知の方法においては、半完成品は、炉内の金属製鋳型内において、明らかに半完成品のマトリックス金属の融点温度以上にある温度にまで加熱される。この方法では、プロセスにおける高い生産性、及び金属発泡体の上記の全ての良好な特性を達成するため、加熱も非常に短時間、例えば数分以内で行われる。一方、この方法では、半完成品のある領域は発泡されないのに対して、他の領域は過熱され、その部分では発泡セルが崩壊するという問題があるため、発泡性材料の非常に特殊な加熱が特に必要である。それゆえ、この方法においては、鋳型は、非常に短い時間で、例えば均一な厚みの平坦な金属発泡体に対し最小限の可能な温度差で−これは大型の型あるいは鋳型および金属発泡体部品に対し特に難しいが−加熱されなければならない。この場合における大きな問題は、公知鋳型の大きな熱容量である。熱容量が大きいと、鋳型は簡単、迅速には冷却されず、また金属は高熱伝導能であるため、局部的に差異を生じさせる加熱を行うことはできない。
【0005】
炉内の金属製鋳型中で発泡する公知方法は制御が難しく、しばしば中断されなければならず、また連続的に工程を進行することができないという欠点があった。最終的に、エネルギーコストもかなり高いものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、端から端まで大きな寸法をもつようなものにおいても、均一に発泡された発泡体部品を製造することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有する本発明の方法により解決される。さらにこの課題は、請求項10に挙げられた特徴を有する本発明の装置により解決される。有利な態様は、従属請求項から得られる。
【0008】
以下において金属発泡体という場合、金属発泡体から本質的になる物体、および、さらにはワイヤ、格子、板あるいは糸、フィラメント、ウイスカーのような非発泡補強要素、ボルトブシュのような締結要素、非発泡体パイプのような中空体などをも有する金属発泡体から本質的になる物体をも含む。これらの構造要素は、ポジティブフィット手段によりあるいは材料フィット手段によってさえ、金属発泡体の発泡中に連結され得る。この方法により、孔開け、切り込み形成、あるいは他の機械的接合法のような後の締結工程、あるいは接着剤による接合、溶接、はんだ付けなどを避けることができる。
【0009】
本発明は、特に、発泡剤を用いて、200℃、好ましくは300℃、あるいは500℃さえ超える高熱で熱的に発泡された、金属あるいは金属複合体の金属発泡体に関する。
【0010】
この発泡体は硬いが軽量の構造材として用いられる。このような軽量構造材は、カバー要素、軽量ロードベアリングとして構造セクターにおいて、自動車技術において、さらには航空機、自動車および船舶構造において、あるいは防音隔離パネルあるいは機械的あるいは熱的作用に対する保護パネル(防火部品)としてさえ用いられ得る。
【0011】
「不均一」は、鋳型中での放射線の瞬間的な分布ならびに放射線の遅延適用、すなわち、異なった照射強度で鋳型を照射すること、並びに特別の鋳型領域の異なった時間での照射を意味する。驚くべきことに、この方法において金属発泡生成の制御が可能であり、またガス吸蔵の発生を避けることができる。
金属発泡体は、ここでは明確な外的寸法を有する発泡された生成物を意味する。
【0012】
本方法は、200℃、好ましくは300℃を超えた温度で溶融する発泡性材料、あるいは500℃を超える融点を持つ発泡性材料を用いてさえ、非常に好ましい方法で実施が可能である。
本発明の場合、低い線膨張係数および低い熱容量を持つ型あるいは鋳型が用いられ、また制御された発泡体生成が行われるので、非常に寸法的に正確な金属発泡体部品を得ることができる。適当な型および鋳型材料は、セラミックあるいはガラスタイプの材料であるが、高熱透過性で低膨張係数の要求を満たし、加圧および伸張の下で強化された安定性を有する、繊維強化セラミック、ガラスあるいはカーボンのような繊維で強化された複合物であってもよい。また、従来の型および鋳型の場合には、製品の破損を防ぐには長い冷却工程が必要とされていたが、本方法においては、低い膨張係数が損傷を防ぐので、急速に冷却することが可能である。
【0013】
また、本発明の方法は、好ましい態様においては連続的に行うことができ、これにより紐タイプのあるいは帯タイプの金属発泡体生成物が得られる。この場合には、両脇が開放された型あるいは鋳型が用いられ、発泡性材料は型あるいは鋳型に連続的に導入され、これは制御された方法で選択された領域が照射され、発泡性材料はこのように加熱されて発泡され、一方、型あるいは鋳型に従って、紐の形に発泡された金属発泡体が出てくる。ここにおいて、発泡される金属が型あるいは鋳型に強固に接着する場合、本方法は、分離材料、例えば、型あるいは鋳型に沿って走行する、例えば、アルミニウム発泡体に対してのAl23あるいはZnO2含有フォイル(箔)あるいはグラファイトフォイルのようなレッティングフォイルタイプの分離材料によって、あるいは発泡性材料を分離材料フォイルで被覆することによって、あるいはシリケートベースのような高温灰ベースで被覆することによって支援されることが可能である。適当な分離剤は当業者に公知である。
【0014】
型は、好ましくは少なくとも一部が熱透過性であるべきである。熱透過性であるとは、一般には熱放射線に対し透過性であることを意味し、本発明の場合約760〜5000nmの範囲の放射線を透過可能であることを意味する。適当な放射線源としては、760〜5000nmの範囲で連続的に放射するものを用いることができるし、あるいはピン、ネルンスト−ピン、SiC−ロッド、LED、CO2−、CO−、ダイオード−、Nd/Yag−、半導体あるいはカラーレーザのような、選択された波長で放射する放射装置でさえ用いることができる。これらのエネルギー出力は、供給電流の調整あるいはフィルターの使用によって調整することができる。
【0015】
鋳型は好ましくは薄い壁で構成されるべきである。これは、高熱容量を有する鋳型を昇温させるための熱エネルギーの浪費を避けることができるため、また冷却行動が早い−これは、複合体発泡体のはがれを防止し、長いサイクル時間を防ぎ、発泡される材料に作用する熱エネルギーを正確に制御することができる−ため好ましい。例えば、壁の厚さは1〜20mm、より好ましくは2〜10mmである。熱管理のために壁の薄い型が用いられる場合、金属発泡体が重い場合に起きる鋳型のたわみや破損を避けるため、および寸法の保持を確保するため、部分的に支持体あるいはけたでそれらを外側から機械的に支持することが賢明である。適当な支持体としては、加熱プロフィールを妨げないようにするべく可能な限り支持面積が小さく、低い熱伝導率と低い熱膨張係数を持ち、熱エネルギーの消費が少ない、びょう(スタッド)やグリッドタイプあるいはハニカム様の構造物が挙げられる。びょうが取付けられる場合、鋳型の凹凸をなくす、あるいは支持体自身の熱膨張を調整することが好ましい。
【0016】
鋳型には、適当なガスを、必要であれば加圧下に供給することができる。理想的には、不活性ガスが、約5バールまでの範囲のあまり高くない加圧下に用いられる。こうして、Zn、Ni、Al、Mg、Ca、Ni、Fe、Snのような数種の非貴金属あるいはそれらの合金あるいは複合物の発泡を行うことができる。
【0017】
これら金属粉体の混合は、あるいはさらに貴金属、銅、ベリリウム、タングステン、チタニウム、スチール、Siあるいはそれらの合金の混合でさえ、必要であれば、金属発泡体製造分野での専門家に既に知られているような、硬質物質、ファイバー、金属水素化物あるいは金属炭酸塩、例えばTiH2、ZnH2、MgH2、CaCO3などの発泡剤のごとき、金属発泡体を製造するための添加剤とともに行うことができる。高温でガスを放出する物質、好ましくはガスを放出した後合金の形成により発泡体に吸収される物質について、特に説明する。代表的な金属発泡体材料は、組成の大半がAl、Be、Mg、Si、Cu、Zn、Ti、Sn、Pb、鉛、真鍮、青銅などで占められるものである。本発明の方法によって、溶融冶金法で製造できない合金を処理することができる。この例としては、専門家に知られている、TiAl、TiAlNbのようなチタン合金、ある種のマグネシウムあるいはベリリウム合金が挙げられる。またガラスのような混合物を用いることができる。代表的な酸化し易い金属合金はMg、Ca、Al、Zn、Fe、Snの合金であるが、これらに限定されるものではない。大気雰囲気での発泡は可能であるが、保護雰囲気の場合に比較して、孔の壁が厚く、孔径が大となり、一般には多孔率が低くなる。コスト的に有効な大気雰囲気の変形は、高価なガスを節約するという理由から、好ましくは、ある種のAl合金の場合のような、特に酸化し易い金属の場合に用いられるべきである。また、発泡性材料は、発泡性プラスチック、あるいは当業者に既に知られているような、TiH2、ZnH22、MgH2のような金属水素化物、炭酸塩、窒化物、重炭酸塩、あるいは炭素と酸化物の混合物のような発泡剤と金属粉体との粉末冶金、冷間圧縮、熱間圧縮あるいはさらには押し出し混合物のような発泡性金属半完成製造物である。これらの出発物質は、装飾層あるいはこれと共に金属部品の保護層を得るために、あるいは連結要素をその中に固定するために、フック、ボルトスリーブなどの補強要素あるいは構造要素、さらにはネット、フィラメント、糸、あるいはカバーフォイル(箔)のような補強部品とともに、型あるいは鋳型に入れられることができる。補強部品あるいは補強層の最終的空間配置は、型内に、加熱発泡の際消失する保持要素を供給することにより確保され得る。好ましくは、鋳型は、もしそれが閉鎖されているなら、ガスの漏れがないよう閉鎖されるべきであり、またガス導入口およびガス排出口に加え加圧バルブをも持つべきである。
【0018】
しかし、表面の正確な形状形成が必要でない、あるいは望ましくない場合には、鋳型は少なくとも一方側が開放され、発泡は一方側が開かれた鋳型中で行われることも有意義である。このようにして製造された部品は、開放された面は少なくとも自由形状をし、幾何学的に興味ある表面を有し、これに対し他の面は寸法的に正確に形作られている。
【0019】
鋳型中において、制御されたガス雰囲気が設定され、保持されるようにしておくことができる。閉鎖された鋳型は、2〜5バールのガス圧に耐えるべきである。発泡中において、圧力を変化させることが効果的である場合がある。このような場合としては、発泡中、発泡材料中において突然ガス圧の低下がなされる場合が挙げられ、これにより微細でより均一な孔を有する金属発泡体が製造できる。発泡工程中の鋳型内の雰囲気は、その組成、および発泡中の鋳型内に発生する圧力に応じても調整される。酸化の影響が少ない場合、ガスとしては、費用のかからない空気が適している。しかし発泡材料と如何なる意味のある方法でも反応しない不活性ガスあるいは他のガス、例えば窒素あるいはアルゴンが使用されてもよい。しかし、金属発泡体成分とのガス反応、例えば窒化物の形成が望まれる場合には、適当な反応性ガスを使用することもできる。
【0020】
好ましい態様では、鋳型は少なくとも部分的に熱透過性であり、鋳型の内容物は具体的には制御された放射線により部分的に加熱され、発泡されてもよい。このためには、300nm付近域に発光波長を有するレーザあるいは約760〜5000nmの波長域に主波長域を有する他の適当な熱放射線照射装置を用いることが好ましい。
【0021】
特別な場合には、型あるいは鋳型材料を、発泡される材料に適した分離剤で覆うこと−これは該型をコーティングすることにより、あるいはファイバーマットのようなフォイルあるいは金属フォイルのような材料フォイルを置くことによりなされ得る−が有意義である。また、分離剤は発泡材料上にフォイル形態で直接適用されてもよい。分離剤は常に必要であるわけではないが、もし分離フォイルがあれば、金属発泡体と鋳型間の反応を避け、滑らかな型表面の場合構造表面を作り出し、また型に対して金属発泡体の相対的動きを可能とすることができる。
【0022】
熱放射線は、制御可能な照射装置から発生されることが特に好ましい。なぜなら、このような場合においては、発泡は、制御された方法で行なうことができ、より厚い金属発泡体を製造することが想定されている鋳型領域には、更なる熱エネルギーが供給できるからである。しかし、対応する放射線を分配する装置を有する、レーザのような単一の放射線源を用いることもできる。照射装置の放射線照射は、適当に配置されたセンサーによりモニターされ、これらによって発せられた測定信号に従って制御される。このように、孔の分布および発泡プロセスを具体に制御するため、予め定められた加熱プロフィールを設定し、実行することができる。これは、不均一な厚さあるいは密度を有する製品を製造する際、望ましくないガスの吸蔵なく、かつ望ましい孔分布を有する製造物を得るため、特定の発泡前部が達せられなければならないので、特に重要である。
【0023】
もし本方法が連続的に行われるのであれば、鋳型は両サイドが開放され、鋳型中で発泡性材料が制御された方法で放射線により加熱、膨張され、一方発泡性材料は連続的に開放鋳型に、望ましくは分離フォイルと共に導入されることが好ましい。
【0024】
更なる目的、態様ならびに利点は、図面を参照しながら、以下の記述および請求項を注意深く考慮することにより得られる。本発明の特徴および目的のより完全な理解のために、図面について言及する。これら図面には、次のものが開示されている。図1は、本発明のプロセスステップの説明図であり、図2は、本発明の方法を実施するための配置透視部分図であり、図3は、連続法の断面図であり、図4は、開放モールド中での発泡の説明図であり、図5は、角のある要素を製造するためのモールドの説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、金属発泡板の製造に基づいての、本発明の好ましい態様が述べられるが、本発明はこれに記載された具体的な材料あるいは型に限定されるものではない。この方法にしたがって、他の金属、例えばニッケル、錫、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタニウム、青銅のような合金、ガラスあるいはガラス類やさらに熱可塑性プラスチック類でさえ、同様に高温で発泡させることが可能である。
【実施例1】
【0026】
亜鉛の発泡
14重量%のAl、0.8重量%のZrH2、84.2重量%のZnのZn合金からなる、粉末冶金法で製造された発泡性亜鉛半完成製造品14が、粉末材料の冷間圧縮で製造され、次いで0.5K-1の線膨張係数を有するシリコンセラミックで作られ、図2に概略的に示されているように密封可能な、加圧バルブを有する箱型10中に導入され、この箱型のカバーは、ガスの漏れがないように閉鎖される。このセラミック製の箱型は、前記亜鉛半製品を導入する前に分離剤で処理される。
【0027】
次いで、この型は排気され、アルゴンで充填され、2バールの加圧が該型内にかけられる。3000〜5000nmの範囲に最大発光波長を持つ光学的に整列された照射線が、予めなされた放射線プロフィールの高温計測定に従って、発泡材料の発泡中、所定の加熱プロフィールにしたがって熱線透過性の型表面に向けられる。所定の時間が経過した後、この加熱放射線のスイッチが切られ、型は、冷却ファンを用いた空気の循環手段によって迅速に冷却される。この完全に発泡された亜鉛発泡板は型からはずされる。こうして製造された板は、非常に高い型忠実性と均一な発泡品質を示した。
【実施例2】
【0028】
アルミニウムの発泡
0.4%TiH2を含むAlMg0.6Si0.4から作られ、冷間あるいは熱間圧縮され、粉末冶金法で製造された発泡性材料部品14が、壁の厚さ1cmおよび1m×1mの面積の正方形の底を有する、Y23で作成された密閉可能な透熱性鋳型10内に置かれ、ついで該型は閉鎖される。該型の底面は、重い金属が導入される間の型の破壊を避けるために、その下面側がピン様の支持体18によって、均一に支持されている。そして、センサー域に亘って制御された、3000nmを超える領域に最大発光を有する放射装置16からの熱線は、該型の底面並びに上面に均一に向けられ、これにより発泡性材料は加熱され、起泡し、型を満たす。発泡中の材料の温度は、約600℃である。ここで、型あるいは鋳型材料は、前記半完成品を型あるいは型表面に置く前に適用された、グラファイト含有フォイルで保護される。この例では、発泡は保護ガスを用いることなく行われる。次いで、型は開放され、発泡されたアルミニウム発泡板が取り外される。該板は寸法が正確であり、均一な孔分布を有していた。
【実施例3】
【0029】
アルミニウムの発泡
発泡中、前記型10が2.5バールのN2加圧下に保持されたことを除き、実施例2に記載された方法と同様の方法で発泡が行われた。このようにして得られた発泡部品は、実施例2で得られたものより小さい孔とより薄い孔隔壁を有していた。形成された金属発泡体の孔の径および壁の厚さが、型内の圧力並びに発泡中に存在するガスの種類により制御できることが分かった。
【実施例4】
【0030】
角のある製品の製造
少なくとも一部が熱透過性のセラミック材料で作られた角のある型(図4の概略図参照)は、炭素12で被覆され、次いで発泡材料14がその中に入れられる。引き続いての発泡プロセスは、実施例2に述べられたようにして行われる。
【実施例5】
【0031】
開放型での発泡
図4に示されるような、熱透過性のセラミックで作られた底面を有する箱形の型が、3050nmの最大照射波長を有し、水平に配列され、制御された放射装置16により、均一に加熱される。冷間圧縮され、0.4%のTiH2を有するAlSi10Mg1からなる半完成の製造部品14が、銅フォイル12の上に置かれる。底と側面領域が銅からなる正確な発泡部品が得られ、一方アルミニウム合金からなる表面は、幾何学模様に、自由に発泡され、視覚的に魅力的な鋳物であった。この製品は、完成された部品の自由に発泡された表面が邪魔にならない、あるいはこのような表面が望まれる場合に適しており、型を閉鎖する努力を行う必要がない。
【実施例6】
【0032】
連続方法
分離剤フォイルで覆われ、発泡剤としてTiH2を含有するアルミニウム合金14からなる発泡性材料が、セラミックで作られ、両側が開放された、0.5K-1の膨張係数を有する鋳型の一方の側から、連続的に供給される。鋳型10の予め定められた表面に対し、不均一な熱放射線が制御された方法で照射され、発泡プロセスが開始され、終了される。発泡性金属は、鋳型のカバーと鋳型の底面の間の空間で発泡するが、金属発泡体表面は、金属発泡体の接着から鋳型を保護するため、常に分離フォイルによって覆われており、移送の間に冷却され、鋳型の他方の側に去っていく。次いで、出口側から連続的に排出される、分離フォイルを伴った発泡体製品は、更に、適宜の方法での処理、例えばウオータージェット、レーザなどによる切断、あるいは必要であれば適宜の長さへの切断のような処理に供される。型あるいは鋳型はそれ自身も、発泡される材料と共に、対応する放射領域に沿って通り過ぎてもよい。
【実施例7】
【0033】
Mg発泡体
9%のAl、1%のZn、1%のTiH2を含有するMg粉体混合物は、冷間−等方圧縮され、次いで400℃で20×5mmの長い外形に押し出された。こうして製造された発泡性半完成生産品は、グラファイトからなる閉鎖可能な2つの部分からなる鋳型中に置かれ、水冷赤外炉中で650℃まで加熱された。赤外炉の内室および鋳型は加熱中アルゴンガスでリンスされた。鋳型の温度は測定され、制御された。赤外線照射は、650℃の発泡温度を超えないように、(約15K/秒までの)高い加熱速度で行われた。赤外線加熱を中止した後、急速な冷却が起こった。完成したMg発泡体は寸法の正確性に優れ、均一で微細な孔が開いた構造を有していた。
【0034】
本発明は上記に挙げられたあるいは記載された実施例のデザインあるいは組成に厳密には限定されないことは明らかであり、本発明の技術的および保護の観点から、専門化に知られている種々の変形あるいは変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のプロセスステップの説明図。
【図2】本発明の方法を実施するための配置透視部分図。
【図3】連続法の断面図。
【図4】開放モールド中での発泡の説明図。
【図5】角のある要素を製造するためのモールドの説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
200℃を超える温度(T>200℃)で発泡可能な材料を、該発泡性材料の融点までは耐熱性であり、3K-1未満、好ましくは1K-1未満(<1K-1)の膨張係数を有する型に導入し、
該型上にあるいは該型を通して適用される、エネルギー照射が制御されている放射線照射装置を用い、発泡中型内の発泡性材料を制御加熱し、
こうして発泡された発泡製品を型から取り出すことにより、
発泡性で、粉末冶金法で製造され、200℃を超える(>200℃)融点を有する金属の半完成生産品で作成された、寸法の正確な金属発泡体の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記型が少なくとも一部は熱透過性であることを特徴とする方法。
【請求項3】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記型は、加熱後制御された方法で冷却されることを特徴とする方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、分離剤が前記金属半製品と前記型の表面の間に使用されることを特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、5バールまでの圧力を有する制御されたガス雰囲気下に発泡が行われることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型は少なくとも一方側が開放されていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型は両側が開放され、その際、前記発泡性材料はその一方側から鋳型に入れられ、その鋳型の内部において選択された領域が制御された方法で加熱され、このような方法で発泡され、その鋳型のもう一方の側から紐状の発泡体となって出てくることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記放射線照射装置の放射線照射は、センサーによりモニターされ、モニター信号に従って制御されることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型は薄い壁で構成され、その際、該壁の少なくとも一つは、好ましくは2〜20mm、より好ましくは1〜10mm、特に好ましくは2〜4mmであることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型の少なくとも一つの壁は、支持体によって外から支持されていることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記支持体は制御可能であり、低温の基板に対し前記鋳型を支持することを特徴とする方法。
【請求項12】
金属発泡体の融点で安定であり、グラファイトおよびイットリウムオキサイドの大きさの膨張係数を有する壁厚の薄い鋳型、
制御可能な放射線ユニット、および
放射線測定ユニットの測定に基づいて放射線機構を制御する制御システム
により特徴づけられる、寸法の正確な、熱発泡された金属発泡体部品の製造装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、前記金属発泡体の融点で安定な壁厚の薄い鋳型は、グラファイトおよびイットリウムオキサイドの大きさの膨張係数を有するとともに、熱透過性であることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の装置において、前記鋳型はガスの漏洩がないよう閉鎖可能であるとともに、少なくとも一つのガス導入口およびガス排出口を有することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の装置において、前記鋳型は両サイドが開放されていることを特徴とする装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
200℃を超える温度(T>200℃)で発泡する材料を、該発泡性材料の融点までは耐熱性であり、グラファイトおよびイットリウムオキサイド級の膨張係数を有する鋳型に導入し、
該鋳型上にあるいは該鋳型を通して適用される、エネルギー照射が制御されている放射線照射装置を用い、発泡中鋳型内の発泡性材料を制御加熱し、かつ発泡体表面の寸法正確な発泡を行い、
こうして発泡された発泡製品を鋳型から取り出すことにより、
発泡性で、粉末冶金法で製造され、200℃を超える(>200℃)融点を有する金属の半完成生産品で作成された、寸法の正確な金属発泡体の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記鋳型が少なくとも一部は熱透過性であることを特徴とする方法。
【請求項3】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型は、加熱後制御された方法で冷却されることを特徴とする方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、分離剤が前記金属半製品と前記鋳型表面の間に使用されることを特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、5バールまでの圧力を有する制御されたガス雰囲気下に発泡が起こることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型はその少なくとも一方側が開放されていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型は両側が開放され、その際、前記発泡性材料はその一方側から鋳型に入れられ、その鋳型の内部において選択された領域が制御された方法で加熱され、このような方法で発泡され、その鋳型のもう一方の側から、鋳型の形状に従って紐状の発泡体となって出てくることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記放射線照射装置の放射線照射は、センサーによりモニターされ、モニター信号に従って制御されることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型は薄い壁で構成され、その際、該壁の少なくとも一つは、好ましくは2〜20mm、より好ましくは1〜10mm、特に好ましくは2〜4mmであることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型の少なくとも一つの壁は、支持体によって外から支持されていることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記支持体は制御可能であり、低温の基板に対し前記鋳型を支持することを特徴とする方法。
【請求項12】
金属発泡体の融点で安定であり、グラファイトおよびイットリウムオキサイドの大きさの膨張係数を有する壁厚の薄い鋳型、
制御可能な放射線ユニット、および
放射線測定ユニットの測定に基づいて放射線機構を制御する制御システム
により特徴づけられる、寸法の正確な、熱発泡された金属発泡体部品の製造装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、前記金属発泡体の融点で安定な壁厚の薄い鋳型は、グラファイトおよびイットリウムオキサイドの大きさの膨張係数を有するとともに、熱透過性であることを特徴とする装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
200℃を超える温度(T>200℃)で発泡する材料を、該発泡性材料の融点までは耐熱性であり、グラファイトおよびイットリウムオキサイド級の膨張係数を有する鋳型に導入し、
該鋳型上にあるいは該鋳型を通して適用される、エネルギー照射が制御されている放射線照射装置を用い、発泡中鋳型内の発泡性材料を制御加熱し、かつ発泡体表面の寸法正確な発泡を行い、
こうして発泡された発泡製品を鋳型から取り出すことにより、
発泡性で、粉末冶金法で製造され、200℃を超える(>200℃)融点を有する金属の半完成生産品で作成された、寸法の正確な金属発泡体の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記鋳型が少なくとも一部は熱透過性であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記鋳型は、加熱後制御された方法で冷却されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法において、分離剤が前記金属半製品と前記鋳型表面の間に使用されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法において、5バールまでの圧力を有する制御されたガス雰囲気下に発泡が起こることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型はその少なくとも一方側が開放されていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型は両側が開放され、その際、前記発泡性材料はその一方側から鋳型に入れられ、その鋳型の内部において選択された領域が制御された方法で加熱され、このような方法で発泡され、その鋳型のもう一方の側から、鋳型の形状に従って紐状の発泡体となって出てくることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法において、前記放射線照射装置の放射線照射は、センサーによりモニターされ、モニター信号に従って制御されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型は薄い壁で構成され、その際、該壁の少なくとも一つは、好ましくは2〜20mm、より好ましくは1〜10mm、特に好ましくは2〜4mmであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法において、前記鋳型の少なくとも一つの壁は、支持体によって外から支持されていることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法において、前記支持体は制御可能であり、低温の基板に対し鋳型を支持することを特徴とする方法。
【請求項12】
金属発泡体の融点で安定であり、グラファイトおよびイットリウムオキサイドの大きさの膨張係数を有する壁厚の薄い鋳型、
制御可能な放射線ユニット、および
放射線測定ユニットの測定に基づいて放射線機構を制御する制御システム
により特徴づけられる、寸法の正確な、熱発泡された金属発泡体部品の製造装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、前記金属発泡体の融点で安定な壁厚の薄い鋳型は、グラファイトおよびイットリウムオキサイドの大きさの膨張係数を有するとともに、熱透過性であることを特徴とする装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−521467(P2006−521467A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504866(P2006−504866)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003183
【国際公開番号】WO2004/085688
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505261508)アルライト インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)