説明

寸法安定性のある飲料カプセルを用いる高温飲料ディスペンサのブリューヘッド

本発明は、寸法安定性のある飲料カプセルを用いて作動する高温飲料ディスペンサのブリューヘッド(1)に関し、このブリューヘッドは、ベースプレート(2)、カプセル受容部(3)、蓋(4)、およびベースプレート(2)と蓋(4)との間に液密のブリューチャンバを形成するための少なくとも1つの固定デバイス(6,7)を有し、カプセル受容部(3)が、飲料カプセルの表面に当接する少なくとも1つの隆起領域(8)を有することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法安定性のある飲料カプセルを用いる高温飲料ディスペンサのブリューヘッドに関し、このブリューヘッドは、ベースプレート、カプセル受容部、蓋、およびベースプレートと蓋との間に液密のブリューチャンバを形成するための少なくとも1つの固定デバイスを有する。
【背景技術】
【0002】
好適には高温の飲料を調合するために飲料原材料を抽出する装置などの高温飲料ディスペンサが先行技術として知られている。たとえば欧州特許第512470 B1号、米国特許第7,347,138 B1号または独国実用新案登録出願公開第20 2008 014 U1号には、封止された飲料カプセルを抽出するためのこのタイプの装置が記載されている。
【0003】
プラスティック、金属、またはプラスティック金属で形成された寸法安定性のある閉口カプセルに収容される飲料原材料は、粉末または液体である。原材料は、たとえば焙煎されたコーヒーまたは挽いた粉末コーヒー、溶出性のコーヒー、挽いた粉末コーヒーと溶出性のコーヒーの混合物、茶、チョコレート、ミルク製品、または任意の無水の消費可能な原材料であってもよい。
【0004】
汎用性のある高温飲料でディスペンサにおいて、まず飲料カプセルを受容部の中に入れた後、ベースプレートおよび蓋を有するブリューチャンバを固定し、好適には高温の水で飲料調整材料を抽出する。
【0005】
この抽出プロセスにおいて、たとえばブリューチャンバには熱湯または蒸気が供給され、場合によっては、たとえばベースプレートを介して、熱湯または蒸気がカプセル内の飲料調整材料の中を通過して、飲料調整材料を溶出する。飲料調整材料を通過または溶出する間、ブリューチャンバおよび飲料カプセルの内部に、10バール未満の所望の圧力を加える。高い圧力は、とりわけ挽いたコーヒーを抽出する場合に有利である。しかし、接着固定した飲料カプセル、溶着した飲料カプセル、またはフランジを有する飲料カプセルにおいて、高い圧力により強度のない部分が破裂して開いてしまうというリスクが生じる。
【0006】
この飲料カプセルの破裂は、とりわけブリューヘッドのベースプレートと蓋との間が完全にぴったりと接合していない場合に生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第512470 B1号明細書
【特許文献2】米国特許第7,347,138 B1号明細書
【特許文献3】独国実用新案登録出願公開第20 2008 014 U1号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ブリュー過程で加圧された飲料カプセルが破裂することを、簡便で安価な手段を用いて防止できる汎用性のある高温飲料ディスペンサを提供することを目的とする。
【0009】
この課題は、独立クレーム1の特徴により解決することができる。有利な改良点および他の改良点は、独立してまたは一体のものとして利用することができ、これらは従属クレーの主題として記載されている。
【0010】
本発明は、一般的な高温飲料ディスペンサに関し、飲料カプセルのための受容部が少なくとも1つの隆起領域を有することに依拠するものである。本発明によれば、ブリューヘッドが固定された後のブリュー過程で、圧力の増大により、飲料カプセルが破裂して開いてしまうという危険がある場合に、少なくとも1つの隆起領域を設ける。こうしたタイプの破裂は、とりわけ周縁部を限定的にあるいはポイントで固定するデバイスを有し、プラスティック注入成形により形成されたブリューヘッドに見受けられる。
【0011】
少なくとも1つの隆起領域は、飲料カプセルの表面に当接することができる。ブリューヘッドを閉口して固定した後に、少なくとも1つの隆起領域を当接させると、飲料カプセルの表面に予備ストレスが生じるため、ブリュー過程においてブリューチャンバが若干開き、加圧されたカプセルが任意のポイントで膨張することはなく、破裂して開くこともない。
【0012】
少なくとも1つの隆起領域の大きさ、形状、容量、およびデザインは、飲料カプセルの大きさ、形状、および剛性に依存する。本発明によれば、予備ストレスを与えるために、隆起領域のみが当接することが必要である。飲料カプセルが円形であるとき、隆起領域は半月形状を有することが有利であり、垂直方向において湾曲した形状に設計することが好ましい。
【0013】
隆起領域は、これを噴射し、溶着し、またはスナップ式に嵌合するか、あるいはカプセル受容部の隣接する領域から構成材料を除去することにより形成することができる。
【0014】
隆起領域の角部および端部は、飲料カプセルを傷付けないように湾曲した形状を有することが好ましい。また少なくとも1つの隆起領域は、カプセル受容体と同一の材料を用いて製造することが有利である。こうした材料は、摩擦抵抗が小さく、耐摩耗性を有するものであることが好ましい。
【0015】
本発明は、とりわけアルミニウムホイルまたはPEホイルからなる蓋などのホイル蓋に接着または溶着されて封止された寸法安定性のあるシェルからなる飲料カプセルに対して特に適している。
【0016】
とりわけ飲料カプセルのホイルタイプの蓋に対し、隆起領域に起因する表面上の予備ストレスは、力を変換する機能を有し、引き剥がし力のベクトルの方向を変えるものである。予備ストレスにより、ホイルタイプのカバーに対する接着または溶着に対して、直角方向の引き剥がし力ではなく、寸法安定性のあるシェルの中心方向の引き剥がし力が負荷される。
【0017】
添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について以下説明するが、図示された特徴は、その形態において、本発明の好適な結果を得るために必ずしも必要なものではない。とりわけ図面は、3つの固定ポイントで固定するブリューヘッドの特に好適な実施形態を図示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ブリューヘッドが開口した状態を示す右側側面図である。
【図2】カプセル受容部の斜視図である。
【図3】本発明に係る飲料カプセルを含むカプセル受容部の概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、寸法安定性のある飲料カプセルを用いる高温飲料ディスペンサのブリューヘッド1を示し、このブリューヘッドは、ベースプレート2と、飲料カプセル(図示せず)を保持するためのカプセル受容部3と、ベースプレート2に蝶番を介して接続された蓋4と、蓋4の上に取り付けたハンドル5とを有する。蓋4は、閉口位置と開口位置との間で軸の周りを回転移動する。閉口位置において、蓋4は、ベースプレート2に平行に配置され、液密のブリューチャンバを形成する。カプセル受容部3は、同様に、蓋4と同じ軸の周りを閉口位置と開口位置との間で回転移動する。受容部3は、閉口位置においてベースプレート2に平行に配置され、開口位置においてベースプレート2に対して傾斜する。
【0020】
穿孔ピン(図示せず)がベースプレート2上に配置される。操作の際、カプセルが受容部3に挿入されると、受容部3および蓋4が閉口位置に回転移動する。受容部3および蓋4が回転移動すると、カプセルに貫通ピンが孔を空ける。
【0021】
カプセルの1つの表面に孔があけられ、流体がカプセル内に供給されて、カプセルまたはブリューヘッドから飲料が抽出される。ブリューヘッドからカプセルを取り出すためには、ブリューヘッドを開口して、受容部3を傾斜位置に移動させ、穿孔ピンから取り外す。
【0022】
ハンドル5は、対向配置された2つの固定捕獲部6を有し、固定捕獲部は、蓋4とハンドル(グリップ)5が閉口位置にあるとき、ベースプレート2の対向配置されたブロックピン7に係合する。閉口位置にあるとき、蓋4は、ベースプレート2に対するヒンジ接続および固定捕獲部6を介して3点で固定される。とりわけ前方領域、すなわちヒンジに対向する領域において、ブリュー時の圧力に起因して、ベースプレート2と蓋4との間の係合が外れるリスクがある。これにより、飲料カプセルが膨張し、破裂するおそれがある。
【0023】
本発明によれば、カプセル受容部3は、少なくとも1つの隆起領域を有する。図2は、カプセル受容部3の前方領域の表面に4つの隆起領域8を有するカプセル受容部3を示す。
【0024】
図3に概略的に示すように、ブリューヘッドを閉じて固定すると、隆起領域8は、飲料カプセルのホイル式の蓋に予備ストレスを与える。ブリュー過程において、(参照符号10で示すように)蓋4が若干持ち上げられた場合、予備ストレスにより、飲料カプセル9のアルミホイルがある程度まで持ち上げられ、破裂することを防止することができる。予備ストレスを与えることに起因して、ホイル式の蓋の接着また溶着に直角方向の引き剥がし力(F)ではなく、寸法安定性のあるシェルの中心方向の引き剥がし力(F)が加わることになる。引き剥がし力(F)または引き剥がし力(F)のベクトルは、方向の変化を伴うものである。
【符号の説明】
【0025】
1…ブリューヘッド、2…ベースプレー、3…カプセル受容部、4…蓋、5…ハンドル、6…固定捕獲部、7…ブロックピン、8…隆起領域、9…飲料カプセル、10…隙間、
,F…引き剥がし力のベクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法安定性のある飲料カプセルを用いて作動する高温飲料ディスペンサのブリューヘッドであって、
ベースプレート(2)、カプセル受容部(3)、蓋(4)、およびベースプレート(2)と蓋(4)との間に液密のブリューチャンバを形成するための少なくとも1つの固定デバイス(6,7)を有し、
カプセル受容部(3)は、飲料カプセルの表面に当接する少なくとも1つの隆起領域(8)を有することを特徴とするブリューヘッド。
【請求項2】
カプセル受容部(3)および蓋(4)は、ベースプレート(2)に対して回転できるように蝶番を介して接続され、
蓋(4)は、対向配置された2つの固定デバイス(6,7)を用いて固定できることを特徴とする請求項1に記載のブリューヘッド。
【請求項3】
少なくとも1つの隆起領域(8)は、ベースプレート(2)と蓋(4)の間にある蝶番から対角線上に形成されたことを特徴とする請求項2に記載のブリューヘッド。
【請求項4】
少なくとも1つの隆起領域(8)は、垂直方向において半月のような湾曲した形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のブリューヘッド。
【請求項5】
隆起領域(8)は、これを噴射または溶着するか、カプセル受容部の隣接する領域から構成材料を除去することにより形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のブリューヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−525878(P2012−525878A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508956(P2012−508956)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003425
【国際公開番号】WO2010/142417
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(510218179)クラフト・フーズ・アール・アンド・ディ・インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R&D, INC.
【Fターム(参考)】