対向電極を備えた複室多検体テストストリップと共に使用するための検査計
【課題】複室多検体テストストリップ、検査計及び関連する方法を提供する。
【解決手段】テストストリップ受け取りモジュールは、第一作用電極の第一検体接触パッドを接触させる第一電気コネクターと、第二作用電極の第二検体接触パッドを接触させる第二電気コネクターと、第一カウンター/参照電極層110の第一カウンター/参照接触パッドを接触させる第三電気コネクターと、第二カウンター/参照電極層114の第二カウンター/参照接触パッドを接触させる第四電気コネクターとを有する。信号処理モジュールは、第一電気コネクター及び第三電気コネクターを介して受け取る第一信号を用いて、体液試料中の第一検体(グルコースなど)を測定し、更に、第二電気コネクター及び第四電気コネクターを介して受け取る第二信号を用いて、体液試料中の第二検体(例えば、ケトン検体)を測定する。更に、第三及び第四の電気接触は、対向する状態での接触を提供する。
【解決手段】テストストリップ受け取りモジュールは、第一作用電極の第一検体接触パッドを接触させる第一電気コネクターと、第二作用電極の第二検体接触パッドを接触させる第二電気コネクターと、第一カウンター/参照電極層110の第一カウンター/参照接触パッドを接触させる第三電気コネクターと、第二カウンター/参照電極層114の第二カウンター/参照接触パッドを接触させる第四電気コネクターとを有する。信号処理モジュールは、第一電気コネクター及び第三電気コネクターを介して受け取る第一信号を用いて、体液試料中の第一検体(グルコースなど)を測定し、更に、第二電気コネクター及び第四電気コネクターを介して受け取る第二信号を用いて、体液試料中の第二検体(例えば、ケトン検体)を測定する。更に、第三及び第四の電気接触は、対向する状態での接触を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には医療機器に関し、具体的には検体テストストリップ、検査計及び関連する方法に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
液体試料中の検体の判定(例えば、検出及び/又は濃度測定)は、医療分野において特に関心が寄せられている。例えば、尿、血液又は組織液などの体液の試料中のグルコース、ケトン類、コレステロール、アセトアミノフェン、及び/又はHbA1c濃度を求めることが望ましい場合がある。こうした判定は、例えば、測光的又は電気化学的方法に基づいた検体テストストリップを関連した検査計と共に使用することで行うことが可能である。
【0003】
典型的な電気化学的検体テストストリップは、作用電極及び対応するカウンター/参照電極、並びに対象とする単一の検体との電気化学反応を促進するための酵素試薬を用いることによって、単一の検体の濃度を求める。例えば、血液試料中の血糖値を判定するための電気化学的検体テストストリップでは、酵素であるグルコースオキシダーゼとメディエーターであるフィリシアン化物を含む酵素試薬を用いることができる。このような従来型の検体テストストリップは、例えば、米国特許第5,708,247号、同第5,951,836号、同第6,241,862号、及び同第6,284,125号に記述されており、参考としてこれら全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の新規な特徴は、添付の「特許請求の範囲」に詳細に記載される。本発明の特徴及び利点は、本発明の原理を利用した例示的な実施形態を記載した以下の「発明を実施するための形態」を、添付の図面と併せて参照することによってより深く理解されるであろう。図中、類似の数字は類似の要素を示す。
【図1】本発明の一実施形態による複室多検体テストストリップの簡略化した透視分解組立図。
【図2A】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2B】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2C】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2D】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2E】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2F】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2G】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2H】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2I】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2J】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2K】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図3】図1の複室多検体テストストリップの簡略化した平面図。
【図4A】本発明の一実施形態による検査計を用いた、図1〜3の複室多検体テストストリップの簡略図。
【図4B】図4Aの複室多検体テストストリップ及び検査計電気コネクターの簡略化した端面図。
【図5】本発明の一実施形態による複室多検体テストストリップの検査中に得られた電流(アンペア単位)対時間(秒単位)のグラフ。
【図6】本発明の一実施形態による複室多検体テストストリップに単一の体液試料を適用して複数の検体を決定するためのプロセスにおける段階を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきものであって、異なる図面中、同様の要素は同様の参照符号にて示してある。図面は、必ずしも正しい縮尺ではなく、あくまで説明を目的として例示的な実施形態を示したものであり、本発明の範囲を限定することを目的としたものではない。「発明を実施するための形態」は本発明の原理を限定するものではなく、あくまでも例として記載するものである。この説明文は、当業者による発明の製造、実施を明確に可能ならしめるものであり、出願時における発明を実施するための最良の形態と考えられるものを含む、発明の複数の実施形態、適応例、変形例、代替例、並びに使用例を述べるものである。
【0006】
本発明の実施形態による複室多検体テストストリップ(本明細書では単にテストストリップとして参照される)には、第一絶縁層、その第一絶縁層の上に配置された第一導電層(第一作用電極及び第一検体接触パッドを備える)、並びに第一パターンスペーサー層が含まれる。第一のパターンスペーサー層は、第一導電層の上に配置され、第一試料受け取り室を有し、その中に確定された第一及び第二末端開口部を備える。第一試料受け取り室は、第一作用電極の上に重なって配置される。テストストリップには更に、第一試料受け取り室に曝され、第一作用電極に対して対向して(すなわち、向かい合って)構成された、第一カウンター/参照電極層が含まれる。第一カウンター/参照電極層は、第一カウンター/参照接触パッドを有する。
【0007】
このテストストリップは更に、第一カウンター/参照電極層の上に配置されたカウンター/参照絶縁層と、そのカウンター/参照絶縁層の上に配置された第二カウンター/参照電極層(第二カウンター/参照接触パッド付き)とを含む。更にこのテストストリップには、第二カウンター/参照電極層の上に配置された第二パターンスペーサー層が含まれる。この第二パターンスペーサー層は、その中に確定された第一及び第二末端開口部を備えた第二試料受け取り室を有する。加えて、テストストリップは、第二パターンスペーサー層の上に配置された第二導電層(第二作用電極及び第二検体接触パッドを備える)と、第二導電層の上に配置された第二絶縁層と、第一試料受け取り室内の第一作用電極上に配置された第一検体試薬層と、第二試料受け取り室内の第二作用電極上に配置された第二検体試薬層とを有する。この第二カウンター/参照電極層は、第二試料受け取り室に曝され、第二作用電極に対して対向して(すなわち、向かい合って)いる。
【0008】
本発明の実施形態による複室多検体テストストリップは、例えば、複数の異なる検体(例えば、検体グルコース及びケトン検体3−ヒドロキシブチラート)が、このテストストリップに単一体液試料(例えば、単一の全血試料)を適用することで決定することができる。加えて、複室多検体テストストリップは2つの別個の試料受け取り室を有するため、検体試薬間の有害な相互汚染、反応生成物及び若しくは副産物の相互汚染、並びに/又は2つの検体を決定する際の相互電気干渉の可能性が排除される。更に、第一カウンター/参照電極は第一作用電極に対して対向して(すなわち、向かい合って)おり、第二カウンター/参照電極層も第二作用電極に対して対向して(すなわち、向かい合って)いるため、この複室多検体テストストリップは全体サイズが有益に小さく、小さな試料受け取り室を有する。その上、本発明の実施形態による複室多検体テストストリップは、従来の単純かつ比較的安価なウェブ技法を用いて製造することができる。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による複室多検体テストストリップ100の簡略化した透視分解組立図である。図2A〜2Kは、複室多検体テストストリップ100の、第一絶縁層102、第一導電層104、第一検体試薬層106、第一パターンスペーサー層108、第一カウンター/参照電極層110、カウンター/参照絶縁層112、第二カウンター/参照電極層114(単純化のため、110、112、及び114は図1では単一層として示されており、より正確には、図2E〜2Gで別個の層として示されている)、第二パターンスペーサー層116、第二検体試薬層118、第二導電層120、及び第二絶縁層122の簡略化した平面図である。図3は、複室多検体テストストリップ100の簡略化した平面図である。
【0010】
図1、図2A〜2K及び図3を参照して、複室多検体テストストリップ100は、検査計(本明細書で、例えば、図4A及び4Bの実施形態に関して更に詳しく説明される)と共に使用するよう構成され、長手方向軸124(図3に破線で示す)、左側側辺126及び右側側辺128を有する。
【0011】
複室多検体テストストリップ100には、第一絶縁層102、及びその上に配置された第一導電層104が含まれる。第一導電層104には、第一検体接触パッド132(具体的には、図2Bを参照)を備えた第一作用電極130が含まれる。複室多検体テストストリップ100の第一パターンスペーサー層108は、パターンスペーサー層が、それ自体の中に、第一作用電極130の上にある第一試料受け取り室134を画定する、第一導電層104(具体的には、図1を参照)の上に配置される。加えて、第一試料受け取り室134は、第一末端開口部134a及び第二末端開口部134bを有する。
【0012】
複室多検体テストストリップ100の第一カウンター/参照電極層110は、第一試料受け取り室134の上にあってこれに曝され、第一作用電極130に対して対向するよう構成される(図1を参照)。加えて、第一カウンター/参照電極層110は、カウンター/参照電極接触パッド136を有する(具体的には、図2Eを参照)。
【0013】
複室多検体テストストリップ100は更に、第一カウンター/参照電極層110の上に配置されたカウンター/参照絶縁層112を含む。第二カウンター/参照電極層114は、カウンター/参照絶縁層112の上に配置され、第二カウンター/参照接触パッド138を有する(具体的には、図2G及び図3を参照)。カウンター/参照絶縁層112は、第一カウンター/参照電極層110と第二カウンター/参照電極層114との間の電気的絶縁を提供する。
【0014】
複室多検体テストストリップ100は更に、第二カウンター/参照電極層114の上に配置されている第二パターンスペーサー層116を含み、その中に画定された第二試料受け取り室140を有する。第二試料受け取り室140は、第一末端開口部140a及び第二末端開口部140bを有する。
【0015】
複室多検体テストストリップ100の第二導電層120は、第二パターンスペーサー層116の上に配置される。第二導電層120には、第二検体接触パッド144を備えた第二作用電極142が含まれる(図2Jを参照)。
【0016】
複室多検体テストストリップ100の第二絶縁層122は、第二導電層120の上に配置される。複室多検体テストストリップ100は更に、第一作用電極130の少なくとも一部分の上、第一試料受け取り室134内に配置された第一検体試薬層106(例えば、グルコース試薬層)、及び、第二作用電極142の少なくとも一部分の上、第二試料受け取り室140内に配置された第二検体試薬層118(例えば、ケトン試薬層)を有する。
【0017】
複室多検体テストストリップ100において、第二試料受け取り室140は第二作用電極142の上にあり、第二カウンター/参照電極層114は第二試料受け取り室140に曝され、第二作用電極142に対して対向して(すなわち、向かい合って)構成されている。
【0018】
複室多検体テストストリップ100は、第一試料受け取り室134の第一末端開口部134a及び第二試料受け取り室140の第一末端開口部140aが、右側側辺128に揃うように構成されている。換言すれば、第一末端開口部134aは第一末端開口部140aのすぐ下にあり、2つの開口部は、第一及び第二のカウンター/参照電極層及びカウンター/参照絶縁層の厚さのみによって分離されている。この配置により、右側側辺128に適用された単一の体液試料が容易に第一及び第二試料受け取り室の両方に入り込み(毛管現象により)、このとき第二末端開口部134b及び第二末端開口部140bが通気口の役目をする。しかしながら、第二末端開口部134bは左側側辺126で第二末端開口部140bに揃っているため、別の方法として、単一の血液体液試料は左側側辺に適用され、これにより(毛管現象により)、第二末端開口部134b及び第二末端開口部140bを介して第一及び第二の試料受け取り室に入り込むことが可能で、このとき第一末端開口部134a及び第一末端開口部140aが通気口の役目をする。
【0019】
図1、図2A〜2K、及び図3の実施形態において、第一検体接触パッド132、第一カウンター/参照接触パッド136、第二検体接触パッド144、及び第二カウンター/参照接触パッド138が、検査計の電気コネクターとの動作可能な電気的接触となるよう構成される。このようなパッド及び電気コネクターの代表的ではあるが非限定的な接続の例が、図4A及び図4Bに関して本明細書の他のところに図示及び記述されている。
【0020】
第一絶縁層102、カウンター/参照絶縁層112及び第二絶縁層122は、例えば、好適な電気的絶縁性プラスチック(PET、PETG、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなど)、シリコン、セラミック、又は硝子材料で形成することができる。例えば、第一及び第二絶縁層並びにカウンター/参照絶縁層は、177.8マイクロン(7mil)のポリエステル基材で形成することができる。
【0021】
図1、図2A〜2K及び図3の実施形態において、第一作用電極130及び第一カウンター/参照電極層110、並びに第一検体試薬層106は、当業者に周知の任意の好適な電気化学的技法を用いて、体液試料における第一検体濃度(例えば、全血試料中のグルコースなど)を電気化学的に測定するよう構成されている。更に、第二作用電極142及び第二カウンター/参照電極層114、並びに第二検体試薬層118は、同じ体液試料中の第二検体濃度(例えば、ケトン3−ヒドロキシブチラートの濃度など)を電気化学的に測定するよう構成されている。この場合、第一検体は、第一試料受け取り室に入り込んだ単一の体液試料部分中で測定され、第二検体は、第二試料受け取り室に入り込んだ単一の体液試料部分中で測定される。
【0022】
第一導電層104及び第二導電層120は、例えば金、パラジウム、炭素、銀、プラチナ、酸化スズ、イリジウム、インジウム、又はこれらの組み合わせ(例えば、インジウム添加酸化スズ)などの任意の好適な導電性材料で形成することができる。加えて、第一導電層104及び第二導電層120を形成するには、例えば、スパッタリング、蒸着、無電解めっき、スクリーン印刷、接触印刷、又はグラビア印刷などの任意の好適な技法を採用することができる。例えば、第一導電層104及び第二導電層120は、それぞれ第一絶縁層102及び第二絶縁層122上にPdをスパッタリングすることによって形成することができる。このようなPd層は、例えば、電気シート抵抗が8〜12ohm/cm2の範囲、厚さが約60nmであり得る。
【0023】
第一カウンター/参照電極層110は、例えば、当該技術分野において既知の従来技法を使用して、カウンター/参照絶縁層112の下側にスパッタコーティングされた金の層であり得る。同様に、第二カウンター/参照電極層114は、例えば、当該技術分野において既知の従来技法を使用して、カウンター/参照絶縁層112の上側にスパッタコーティングされた金の層であり得る。このような金の層は、例えば、電気シート抵抗が8〜12ohm/cm2の範囲、厚さが約30nmであり得る。
【0024】
複室多検体テストストリップ100の第一パターンスペーサー層108は、第一絶縁層102(第一導電層104がその上にある)と、カウンター/参照絶縁層112(第一カウンター/参照電極層110がその下側にあり、第二カウンター/参照電極層114がその上側にある)とを一緒に合わせて構成される。複室多検体テストストリップ100の第二パターンスペーサー層116は、第二絶縁層122(第二導電層120がその上にある)と、第二カウンター/参照電極層114とを一緒に合わせて提供される。
【0025】
パターンスペーサー層108及び116は、例えば、95μmの厚さで、両面感圧性接着剤層、感熱性接着剤層、又は熱硬化性接着プラスチック層であり得る。パターンスペーサー層108及び116は、例えば、厚さが約1マイクロメートル〜約500マイクロメートルの範囲、好ましくは約10マイクロメートル〜約400マイクロメートルの範囲、より好ましくは約40マイクロメートル〜約200マイクロメートルの範囲であり得る。
【0026】
複室多検体テストストリップ100の第一検体試薬層106は、第一検体(例えば、体液試料中のグルコース)と選択的に反応して、電気活性種を形成し、これが次に、本発明の実施形態による複室多検体テストストリップの第一作用電極で定量測定できるような、当該技術分野において周知の任意の好適な試薬混合物であり得る。ゆえに、第一検体試薬層106には、少なくとも酵素及びメディエーターが挙げられる。好適なメディエーターの例としては、例えば、フェリシアン化物、フェロセン、フェロセン誘導体、オスミウムビピリジル錯体、及びキノン誘導体が挙げられる。好適な酵素の例としては、グルコースオキシダーゼ、ピロロキノリンキノン(PQQ)補因子を使用したグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)補因子を使用したGDH、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)補因子を使用したGDHが挙げられる。第一検体試薬層106は、任意の好適な技法を用いて適用することができる。
【0027】
複室多検体テストストリップ100の第二検体試薬層118は、第二検体(例えば、体液試料中のケトン3−ヒドロキシブチラート)と選択的に反応して、電気活性種を形成し、これが次に、本発明の実施形態による複室多検体テストストリップの第二作用電極で定量測定できるような、当該技術分野において周知の任意の好適な試薬混合物であり得る。ゆえに、第二検体試薬層118には、少なくとも酵素及びメディエーターが挙げられる。第二検体試薬層部分118は、任意の好適な技法を用いて適用することができる。第一及び第二検体は異なるものであることに留意すべきである。換言すれば、第一及び第二検体は同じ化学種ではない。ゆえに、2つの異なる検体が、本発明による複室多検体テストストリップによって測定される。
【0028】
第二検体がケトン3−ヒドロキシブチラートであるとき、メディエーターは例えば、フェリシアン化カリウムとNADとの混合物であり得、酵素は例えば、ジアホラーゼとヒドロキシブチラートデヒドロゲナーゼとの混合物であり得る。
【0029】
本発明が知られると、当業者は、第一検体試薬層106及び第二検体試薬層118がまた、所望により好適な緩衝剤(例えば、Tris HCl、シトラコン酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩緩衝剤)、界面活性剤(例えば、Tritoan X100、Tergitol NP &、PLuronic F68、ベタイン、及びIgepal界面活性剤)、増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、HEC、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース(ethycellulose)、及びアルギン酸塩増粘剤)、並びにこの分野で周知のその他の添加剤を含むことができることを認識するであろう。
【0030】
図1〜3の実施形態において、第一検体接触パッド132及び第二検体接触パッド144は、複室多検体テストストリップ100の相対する側に向いて曝されていることに注目すべきである。換言すれば、図1の透視図において、第一検体接触パッド132は、複室多検体テストストリップ100の上側に曝されており、第二検体接触パッド144は、複室多検体テストストリップ100の下側に曝されている。このような構成は、検査計の電気コネクターによって確実かつ堅固な電気接続を設定するよう促進する。
【0031】
本発明の実施形態による複室多検体テストストリップと共に使用する検査計には、テストストリップ受け取りモジュール及び信号処理モジュールが含まれる。テストストリップ受け取りモジュールは、テストストリップの第一作用電極の第一検体接触パッドを接触させるよう構成された第一電気コネクターと、テストストリップの第二作用電極の第二検体接触パッドを接触させるよう構成された第二電気コネクターと、テストストリップの第一カウンター/参照電極層の第一カウンター/参照接触パッドを接触させるよう構成された第三電気コネクターと、テストストリップの第二カウンター/参照電極層の第二カウンター/参照接触パッドを接触させるよう構成された第四電気コネクターとを有する。
【0032】
検査計の信号処理モジュールは、第一電気コネクター及び第三電気コネクターを介して第一信号を受け取り、この第一信号を用いて、複室多検体テストストリップに適用された体液試料(例えば、全血試料)中の第一検体(グルコースなど)を測定するよう構成されている。更に、信号処理モジュールは、第二電気コネクター及び第四電気コネクターを介して第二信号を受け取り、この第二信号を用いて、複室多検体テストストリップに適用された体液試料中の第二検体(例えば、ケトン検体)を測定するよう構成されている。更に、第三電気コネクターは、第四電気コネクターと第二カウンター/参照接触パッドとの接触に関して反対の側で、第一カウンター/参照接触パッドに接触するよう構成されている。
【0033】
図4Aは、本発明の一実施形態による検査計200を用いた、複室多検体テストストリップ100の簡略図である。図4Aにおいて、斜線は図4Aの透視図で隠れている特定の機能を示す。図4Bは、複室多検体テストストリップ100、及び検査計200の検査計電気コネクターの簡略化した端面図である。検査計200には、テストストリップ受け取りモジュール202と、ケース206内の信号処理モジュール204とが含まれる。
【0034】
テストストリップ受け取りモジュール202は、テストストリップの第一検体接触パッドを接触させるよう構成された第一電気コネクター208と、テストストリップの第二検体接触パッドを接触させるよう構成された第二電気コネクター210と、テストストリップの第一カウンター/参照接触パッドを接触させるよう構成された第三電気コネクター212と、テストストリップの第二カウンター/参照接触パッドを接触させるよう構成された第四電気コネクター214とを有する。
【0035】
信号処理モジュール204は、第一電気コネクター208及び第三電気コネクター212を介して第一信号を受け取り、この第一信号を用いて、複室多検体テストストリップに適用された体液試料中の第一検体を測定するよう構成されている。加えて、信号処理モジュール204は更に、第二電気コネクター210及び第四電気コネクター214を介して第二信号を受け取り、この第二信号を用いて、複室多検体テストストリップに適用された体液試料中の第二検体の測定するよう構成されている。
【0036】
検査計200は、第三電気コネクターが、第四電気コネクターと第二カウンター/参照接触パッドとの接触に関して反対の側で、テストストリップの第一カウンター/参照接触パッドに接触するよう構成されている。換言すれば、図4A及び4Bに示すように、第三電気接触はテストストリップの下側の接触を形成し、第四電気接触はテストストリップの上側の接触を形成する。加えて、第一電気コネクターは、第二電気コネクターとテストストリップの第二検体接触パッドとの接触に関して反対の側で、テストストリップの第一検体接触パッドに接触するよう構成されている。これらの対向する接触構成により、検査計の寸法を有利に小さくすることができ、同時に、複室多検体テストストリップに対して検査計の作動に必要な電気的接続を提供することができる。これらの構成は更に、テストストリップとの接続を提供しつつ、検査計の機械的な複雑さを最小限に抑える。
【0037】
図4A及び4Bの実施形態において、信号処理モジュール204には、例えば、信号受け取りコンポーネント、信号測定コンポーネント、プロセッサコンポーネント及び記憶コンポーネントが含まれる(図4A及び4Bには示されていない)。検査計200は、例えば、第一作用電極と第一カウンター/参照電極層との間、及び第二作用電極と第二カウンター/参照電極層との間の、電気抵抗、電気導通又はその他の電気的特性を測定することができる。第一検体と第二検体の測定中に、単純化した図4Aには示されていないような様々なセンサー及び回路も検査計200に採用できることが、当業者には認識されよう。
【0038】
本発明の一実施形態による、複室多検体テストストリップの作動の成功は、次のように検証された。複室多検体テストストリップは次の材料で製造された:
第一及び第二絶縁層並びにカウンター/参照絶縁層−ポリエステルフィルム、厚さ約178μm(Melinex 329の商品名でDupont Teijin Films(米国バージニア州ホープウェル)から販売)
第一及び第二導電層−パラジウム
第一及び第二カウンター/参照層−金
第一及び第二パターンスペーサー層−合計厚さ約95μm(厚さ約22.5μmの熱可塑性感熱性接着剤で両主表面をコーティングされた、厚さ約50μmのPET層を含む)
【0039】
第一検体試薬層(グルコース測定用)
100mM Tris緩衝液、pH 7.4
%w/vヒドロキシエチルセルロース
10%w/vヘキサシアノ鉄(III)カリウム
1%w/vグルコースオキシダーゼ
【0040】
第二検体試薬層(ケトン測定用)
100mM Tris緩衝液、pH 7.4
%w/vヒドロキシエチルセルロース
10%w/vヘキサシアノ鉄(III)カリウム
1%w/vヒドロキシブチラートデヒドロゲナーゼ
1%w/vジアホラーゼ
【0041】
複室多検体テストストリップは、従来の加熱ラミネーション及び試薬層適用・乾燥技法を使用して製造された。結果として得られたテストストリップが、標準バイポテンショスタットで試験された。バイポテンショスタットの参照及びカウンター電極が、テストストリップの第一及び第二カウンター/参照接触パッドに接続された。バイポテンショスタットの作用電極が、テストストリップの第一及び第二検体接触パッドに接続された。これらの接続は、図4Aに示されているものと電気的に等価であるような方法で行われた。
【0042】
グルコース及びケトンの標準溶液を、複室多検体テストストリップに適用した。3秒間の前処理シーケンス(テストストリップに3秒間印加される開回路に同等)の後、0.4Vの電位を7秒間テストストリップに印加した。図5は、印加電位0.4Vの継続時間に対する、複室多検体テストストリップの電流出力を示す。図6は、テストストリップの第一及び第二試料受け取り室両方に入り込んだ対照溶液試料について、十分に安定な電流が生成されていることを示し、これは、このテストストリップがグルコースとケトンの両方の検出に関して首尾良く利用され得ること、並びに、いずれの測定においても明らかな相互汚染は見られなかったことを示している。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態による複室多検体テストストリップに適用された単一体液試料(例えば、全血試料)における、複数の検体(例えば、検体グルコースと及びケトン検体3−ヒドロキシブチラート)の測定のための方法300における段階を示したフローチャートである。
【0044】
方法300の工程310では、複室多検体テストストリップが検査計に挿入される。検査計へのテストストリップの挿入は、(i)検査計の第一電気コネクターが、テストストリップの第一作用電極の第一検体接触パッドと接触し、(ii)検査計の第二電気コネクターが、テストストリップの第二作用電極の第二検体接触パッドと接触し、(iii)検査計の第三電気コネクターが、テストストリップの第一カウンター/参照電極接触パッドと接触し、(iv)検査計の第四電気コネクターが、テストストリップの第二カウンター/参照電極接触パッドと接触するように行われる。
【0045】
この方法には更に、検査計の信号処理モジュールを使用してテストストリップに適用された単一体液試料中の少なくとも第一検体及び第二検体を測定すること(図5の工程320を参照)と、体液試料を複室多検体テストストリップに適用した後、単一体液試料を複室多検体テストストリップの第一試料受け取り室及び第二試料受け取り室に入り込ませることと、が含まれる。
【0046】
測定工程中、信号処理モジュールは、第一電気コネクター及び第三電気コネクターを介して第一信号を受け取り、この第一信号を用いて第一検体の測定を行う。測定工程中、信号処理モジュールは更に、第二電気コネクター及び第四電気コネクターを介して第二信号を受け取り、この第二信号を用いて第二検体の測定を行う。方法300において、第一カウンター/参照電極層は第一作用電極に対して対向するよう構成され、第二カウンター/参照電極層は第二作用電極に対して対向するよう構成される。
【0047】
本開示が知られると、当業者は、方法300が、本発明の実施形態による、及び本明細書に記述されている複室多検体テストストリップ、並びに本明細書に記述されている本発明の実施形態による検査計の、技法、利点及び特性の任意のものを受け入れて容易に改変できることを認識するであろう。加えて、体液試料は、挿入工程の前又は後のいずれでも、複室多検体テストストリップに適用することができる。
【0048】
本明細書では本発明の好ましい実施形態が図示、説明されているが、こうした実施形態はあくまで例として与えられたものであることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく多くの変形、変更、及び代用が想到されるであろう。本発明の実施に際し本明細書で述べた実施形態には、様々な代替例を用い得る点は理解されるべきである。以下の「特許請求の範囲」は、本発明の範囲を定義すると共に特許請求の範囲内の装置及び方法、並びにそれらの均等物をこれによって網羅することを目的としたものである。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 複室多検体テストストリップの第一作用電極の第一検体接触パッドと接触するよう構成された第一電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第二作用電極の第二検体接触パッドと接触するよう構成された第二電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第一カウンター/参照電極層の第一カウンター/参照接触パッドと接触するよう構成された第三電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第二カウンター/参照電極層の第二カウンター/参照接触パッドと接触するよう構成された第四電気コネクターと、を備えた、テストストリップ受け取りモジュールと、
信号処理モジュールと、を含む、検査計であって、
前記信号処理モジュールが、前記第一電気コネクター及び前記第三電気コネクターを介して第一信号を受け取り、前記第一信号を用いて、前記複室多検体テストストリップに適用された体液試料中の第一検体を測定するよう構成され、
前記信号処理モジュールが、前記第二電気コネクター及び前記第四電気コネクターを介して第二信号を受け取り、前記第二信号を用いて、前記複室多検体テストストリップに適用された前記体液試料中の第二検体を測定するよう構成され、
前記第三電気コネクターが、前記第四電気コネクターと前記第二カウンター/参照接触パッドとの接触に関して反対の側で前記第一カウンター/参照接触パッドに接触するよう構成されている、複室多検体テストストリップと共に使用するための検査計。
(2) 前記第一電気コネクターが、前記第二電気コネクターと前記第二検体接触パッドとの接触に関して反対の側で前記第一検体接触パッドに接触するよう構成されている、実施態様1に記載の検査計。
(3) 前記第一検体が、前記第二検体と比較して異なる、実施態様1に記載の検査計。
(4) 前記第一検体がグルコースである、実施態様3に記載の検査計。
(5) 前記第二検体がケトンである、実施態様4に記載の検査計。
(6) 前記ケトンが3−ヒドロキシブチラートである、実施態様5に記載の検査計。
(7) 前記体液試料が全血試料である、実施態様1に記載の検査計。
(8) 前記信号処理モジュールが、電気化学的測定技法を介して、前記第一検体の測定及び前記第二検体の測定を行うよう構成されている、実施態様1に記載の検査計。
(9) 前記信号処理モジュールが、前記第一信号及び前記第二信号を順次に受け取るよう構成されている、実施態様1に記載の検査計。
(10) 前記信号処理モジュールが、前記第一信号及び前記第二信号を同時に受け取るよう構成されている、実施態様1に記載の検査計。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には医療機器に関し、具体的には検体テストストリップ、検査計及び関連する方法に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
液体試料中の検体の判定(例えば、検出及び/又は濃度測定)は、医療分野において特に関心が寄せられている。例えば、尿、血液又は組織液などの体液の試料中のグルコース、ケトン類、コレステロール、アセトアミノフェン、及び/又はHbA1c濃度を求めることが望ましい場合がある。こうした判定は、例えば、測光的又は電気化学的方法に基づいた検体テストストリップを関連した検査計と共に使用することで行うことが可能である。
【0003】
典型的な電気化学的検体テストストリップは、作用電極及び対応するカウンター/参照電極、並びに対象とする単一の検体との電気化学反応を促進するための酵素試薬を用いることによって、単一の検体の濃度を求める。例えば、血液試料中の血糖値を判定するための電気化学的検体テストストリップでは、酵素であるグルコースオキシダーゼとメディエーターであるフィリシアン化物を含む酵素試薬を用いることができる。このような従来型の検体テストストリップは、例えば、米国特許第5,708,247号、同第5,951,836号、同第6,241,862号、及び同第6,284,125号に記述されており、参考としてこれら全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の新規な特徴は、添付の「特許請求の範囲」に詳細に記載される。本発明の特徴及び利点は、本発明の原理を利用した例示的な実施形態を記載した以下の「発明を実施するための形態」を、添付の図面と併せて参照することによってより深く理解されるであろう。図中、類似の数字は類似の要素を示す。
【図1】本発明の一実施形態による複室多検体テストストリップの簡略化した透視分解組立図。
【図2A】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2B】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2C】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2D】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2E】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2F】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2G】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2H】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2I】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2J】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図2K】図1の複室多検体テストストリップの、第一絶縁層、第一導電層、第一検体試薬層、第一パターンスペーサー層、第一カウンター/参照電極層、カウンター/参照絶縁層、第二カウンター/参照電極層、第二パターンスペーサー層、第二検体試薬層、第二導電層、及び第二絶縁層それぞれの簡略化した平面図。
【図3】図1の複室多検体テストストリップの簡略化した平面図。
【図4A】本発明の一実施形態による検査計を用いた、図1〜3の複室多検体テストストリップの簡略図。
【図4B】図4Aの複室多検体テストストリップ及び検査計電気コネクターの簡略化した端面図。
【図5】本発明の一実施形態による複室多検体テストストリップの検査中に得られた電流(アンペア単位)対時間(秒単位)のグラフ。
【図6】本発明の一実施形態による複室多検体テストストリップに単一の体液試料を適用して複数の検体を決定するためのプロセスにおける段階を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきものであって、異なる図面中、同様の要素は同様の参照符号にて示してある。図面は、必ずしも正しい縮尺ではなく、あくまで説明を目的として例示的な実施形態を示したものであり、本発明の範囲を限定することを目的としたものではない。「発明を実施するための形態」は本発明の原理を限定するものではなく、あくまでも例として記載するものである。この説明文は、当業者による発明の製造、実施を明確に可能ならしめるものであり、出願時における発明を実施するための最良の形態と考えられるものを含む、発明の複数の実施形態、適応例、変形例、代替例、並びに使用例を述べるものである。
【0006】
本発明の実施形態による複室多検体テストストリップ(本明細書では単にテストストリップとして参照される)には、第一絶縁層、その第一絶縁層の上に配置された第一導電層(第一作用電極及び第一検体接触パッドを備える)、並びに第一パターンスペーサー層が含まれる。第一のパターンスペーサー層は、第一導電層の上に配置され、第一試料受け取り室を有し、その中に確定された第一及び第二末端開口部を備える。第一試料受け取り室は、第一作用電極の上に重なって配置される。テストストリップには更に、第一試料受け取り室に曝され、第一作用電極に対して対向して(すなわち、向かい合って)構成された、第一カウンター/参照電極層が含まれる。第一カウンター/参照電極層は、第一カウンター/参照接触パッドを有する。
【0007】
このテストストリップは更に、第一カウンター/参照電極層の上に配置されたカウンター/参照絶縁層と、そのカウンター/参照絶縁層の上に配置された第二カウンター/参照電極層(第二カウンター/参照接触パッド付き)とを含む。更にこのテストストリップには、第二カウンター/参照電極層の上に配置された第二パターンスペーサー層が含まれる。この第二パターンスペーサー層は、その中に確定された第一及び第二末端開口部を備えた第二試料受け取り室を有する。加えて、テストストリップは、第二パターンスペーサー層の上に配置された第二導電層(第二作用電極及び第二検体接触パッドを備える)と、第二導電層の上に配置された第二絶縁層と、第一試料受け取り室内の第一作用電極上に配置された第一検体試薬層と、第二試料受け取り室内の第二作用電極上に配置された第二検体試薬層とを有する。この第二カウンター/参照電極層は、第二試料受け取り室に曝され、第二作用電極に対して対向して(すなわち、向かい合って)いる。
【0008】
本発明の実施形態による複室多検体テストストリップは、例えば、複数の異なる検体(例えば、検体グルコース及びケトン検体3−ヒドロキシブチラート)が、このテストストリップに単一体液試料(例えば、単一の全血試料)を適用することで決定することができる。加えて、複室多検体テストストリップは2つの別個の試料受け取り室を有するため、検体試薬間の有害な相互汚染、反応生成物及び若しくは副産物の相互汚染、並びに/又は2つの検体を決定する際の相互電気干渉の可能性が排除される。更に、第一カウンター/参照電極は第一作用電極に対して対向して(すなわち、向かい合って)おり、第二カウンター/参照電極層も第二作用電極に対して対向して(すなわち、向かい合って)いるため、この複室多検体テストストリップは全体サイズが有益に小さく、小さな試料受け取り室を有する。その上、本発明の実施形態による複室多検体テストストリップは、従来の単純かつ比較的安価なウェブ技法を用いて製造することができる。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による複室多検体テストストリップ100の簡略化した透視分解組立図である。図2A〜2Kは、複室多検体テストストリップ100の、第一絶縁層102、第一導電層104、第一検体試薬層106、第一パターンスペーサー層108、第一カウンター/参照電極層110、カウンター/参照絶縁層112、第二カウンター/参照電極層114(単純化のため、110、112、及び114は図1では単一層として示されており、より正確には、図2E〜2Gで別個の層として示されている)、第二パターンスペーサー層116、第二検体試薬層118、第二導電層120、及び第二絶縁層122の簡略化した平面図である。図3は、複室多検体テストストリップ100の簡略化した平面図である。
【0010】
図1、図2A〜2K及び図3を参照して、複室多検体テストストリップ100は、検査計(本明細書で、例えば、図4A及び4Bの実施形態に関して更に詳しく説明される)と共に使用するよう構成され、長手方向軸124(図3に破線で示す)、左側側辺126及び右側側辺128を有する。
【0011】
複室多検体テストストリップ100には、第一絶縁層102、及びその上に配置された第一導電層104が含まれる。第一導電層104には、第一検体接触パッド132(具体的には、図2Bを参照)を備えた第一作用電極130が含まれる。複室多検体テストストリップ100の第一パターンスペーサー層108は、パターンスペーサー層が、それ自体の中に、第一作用電極130の上にある第一試料受け取り室134を画定する、第一導電層104(具体的には、図1を参照)の上に配置される。加えて、第一試料受け取り室134は、第一末端開口部134a及び第二末端開口部134bを有する。
【0012】
複室多検体テストストリップ100の第一カウンター/参照電極層110は、第一試料受け取り室134の上にあってこれに曝され、第一作用電極130に対して対向するよう構成される(図1を参照)。加えて、第一カウンター/参照電極層110は、カウンター/参照電極接触パッド136を有する(具体的には、図2Eを参照)。
【0013】
複室多検体テストストリップ100は更に、第一カウンター/参照電極層110の上に配置されたカウンター/参照絶縁層112を含む。第二カウンター/参照電極層114は、カウンター/参照絶縁層112の上に配置され、第二カウンター/参照接触パッド138を有する(具体的には、図2G及び図3を参照)。カウンター/参照絶縁層112は、第一カウンター/参照電極層110と第二カウンター/参照電極層114との間の電気的絶縁を提供する。
【0014】
複室多検体テストストリップ100は更に、第二カウンター/参照電極層114の上に配置されている第二パターンスペーサー層116を含み、その中に画定された第二試料受け取り室140を有する。第二試料受け取り室140は、第一末端開口部140a及び第二末端開口部140bを有する。
【0015】
複室多検体テストストリップ100の第二導電層120は、第二パターンスペーサー層116の上に配置される。第二導電層120には、第二検体接触パッド144を備えた第二作用電極142が含まれる(図2Jを参照)。
【0016】
複室多検体テストストリップ100の第二絶縁層122は、第二導電層120の上に配置される。複室多検体テストストリップ100は更に、第一作用電極130の少なくとも一部分の上、第一試料受け取り室134内に配置された第一検体試薬層106(例えば、グルコース試薬層)、及び、第二作用電極142の少なくとも一部分の上、第二試料受け取り室140内に配置された第二検体試薬層118(例えば、ケトン試薬層)を有する。
【0017】
複室多検体テストストリップ100において、第二試料受け取り室140は第二作用電極142の上にあり、第二カウンター/参照電極層114は第二試料受け取り室140に曝され、第二作用電極142に対して対向して(すなわち、向かい合って)構成されている。
【0018】
複室多検体テストストリップ100は、第一試料受け取り室134の第一末端開口部134a及び第二試料受け取り室140の第一末端開口部140aが、右側側辺128に揃うように構成されている。換言すれば、第一末端開口部134aは第一末端開口部140aのすぐ下にあり、2つの開口部は、第一及び第二のカウンター/参照電極層及びカウンター/参照絶縁層の厚さのみによって分離されている。この配置により、右側側辺128に適用された単一の体液試料が容易に第一及び第二試料受け取り室の両方に入り込み(毛管現象により)、このとき第二末端開口部134b及び第二末端開口部140bが通気口の役目をする。しかしながら、第二末端開口部134bは左側側辺126で第二末端開口部140bに揃っているため、別の方法として、単一の血液体液試料は左側側辺に適用され、これにより(毛管現象により)、第二末端開口部134b及び第二末端開口部140bを介して第一及び第二の試料受け取り室に入り込むことが可能で、このとき第一末端開口部134a及び第一末端開口部140aが通気口の役目をする。
【0019】
図1、図2A〜2K、及び図3の実施形態において、第一検体接触パッド132、第一カウンター/参照接触パッド136、第二検体接触パッド144、及び第二カウンター/参照接触パッド138が、検査計の電気コネクターとの動作可能な電気的接触となるよう構成される。このようなパッド及び電気コネクターの代表的ではあるが非限定的な接続の例が、図4A及び図4Bに関して本明細書の他のところに図示及び記述されている。
【0020】
第一絶縁層102、カウンター/参照絶縁層112及び第二絶縁層122は、例えば、好適な電気的絶縁性プラスチック(PET、PETG、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなど)、シリコン、セラミック、又は硝子材料で形成することができる。例えば、第一及び第二絶縁層並びにカウンター/参照絶縁層は、177.8マイクロン(7mil)のポリエステル基材で形成することができる。
【0021】
図1、図2A〜2K及び図3の実施形態において、第一作用電極130及び第一カウンター/参照電極層110、並びに第一検体試薬層106は、当業者に周知の任意の好適な電気化学的技法を用いて、体液試料における第一検体濃度(例えば、全血試料中のグルコースなど)を電気化学的に測定するよう構成されている。更に、第二作用電極142及び第二カウンター/参照電極層114、並びに第二検体試薬層118は、同じ体液試料中の第二検体濃度(例えば、ケトン3−ヒドロキシブチラートの濃度など)を電気化学的に測定するよう構成されている。この場合、第一検体は、第一試料受け取り室に入り込んだ単一の体液試料部分中で測定され、第二検体は、第二試料受け取り室に入り込んだ単一の体液試料部分中で測定される。
【0022】
第一導電層104及び第二導電層120は、例えば金、パラジウム、炭素、銀、プラチナ、酸化スズ、イリジウム、インジウム、又はこれらの組み合わせ(例えば、インジウム添加酸化スズ)などの任意の好適な導電性材料で形成することができる。加えて、第一導電層104及び第二導電層120を形成するには、例えば、スパッタリング、蒸着、無電解めっき、スクリーン印刷、接触印刷、又はグラビア印刷などの任意の好適な技法を採用することができる。例えば、第一導電層104及び第二導電層120は、それぞれ第一絶縁層102及び第二絶縁層122上にPdをスパッタリングすることによって形成することができる。このようなPd層は、例えば、電気シート抵抗が8〜12ohm/cm2の範囲、厚さが約60nmであり得る。
【0023】
第一カウンター/参照電極層110は、例えば、当該技術分野において既知の従来技法を使用して、カウンター/参照絶縁層112の下側にスパッタコーティングされた金の層であり得る。同様に、第二カウンター/参照電極層114は、例えば、当該技術分野において既知の従来技法を使用して、カウンター/参照絶縁層112の上側にスパッタコーティングされた金の層であり得る。このような金の層は、例えば、電気シート抵抗が8〜12ohm/cm2の範囲、厚さが約30nmであり得る。
【0024】
複室多検体テストストリップ100の第一パターンスペーサー層108は、第一絶縁層102(第一導電層104がその上にある)と、カウンター/参照絶縁層112(第一カウンター/参照電極層110がその下側にあり、第二カウンター/参照電極層114がその上側にある)とを一緒に合わせて構成される。複室多検体テストストリップ100の第二パターンスペーサー層116は、第二絶縁層122(第二導電層120がその上にある)と、第二カウンター/参照電極層114とを一緒に合わせて提供される。
【0025】
パターンスペーサー層108及び116は、例えば、95μmの厚さで、両面感圧性接着剤層、感熱性接着剤層、又は熱硬化性接着プラスチック層であり得る。パターンスペーサー層108及び116は、例えば、厚さが約1マイクロメートル〜約500マイクロメートルの範囲、好ましくは約10マイクロメートル〜約400マイクロメートルの範囲、より好ましくは約40マイクロメートル〜約200マイクロメートルの範囲であり得る。
【0026】
複室多検体テストストリップ100の第一検体試薬層106は、第一検体(例えば、体液試料中のグルコース)と選択的に反応して、電気活性種を形成し、これが次に、本発明の実施形態による複室多検体テストストリップの第一作用電極で定量測定できるような、当該技術分野において周知の任意の好適な試薬混合物であり得る。ゆえに、第一検体試薬層106には、少なくとも酵素及びメディエーターが挙げられる。好適なメディエーターの例としては、例えば、フェリシアン化物、フェロセン、フェロセン誘導体、オスミウムビピリジル錯体、及びキノン誘導体が挙げられる。好適な酵素の例としては、グルコースオキシダーゼ、ピロロキノリンキノン(PQQ)補因子を使用したグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)補因子を使用したGDH、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)補因子を使用したGDHが挙げられる。第一検体試薬層106は、任意の好適な技法を用いて適用することができる。
【0027】
複室多検体テストストリップ100の第二検体試薬層118は、第二検体(例えば、体液試料中のケトン3−ヒドロキシブチラート)と選択的に反応して、電気活性種を形成し、これが次に、本発明の実施形態による複室多検体テストストリップの第二作用電極で定量測定できるような、当該技術分野において周知の任意の好適な試薬混合物であり得る。ゆえに、第二検体試薬層118には、少なくとも酵素及びメディエーターが挙げられる。第二検体試薬層部分118は、任意の好適な技法を用いて適用することができる。第一及び第二検体は異なるものであることに留意すべきである。換言すれば、第一及び第二検体は同じ化学種ではない。ゆえに、2つの異なる検体が、本発明による複室多検体テストストリップによって測定される。
【0028】
第二検体がケトン3−ヒドロキシブチラートであるとき、メディエーターは例えば、フェリシアン化カリウムとNADとの混合物であり得、酵素は例えば、ジアホラーゼとヒドロキシブチラートデヒドロゲナーゼとの混合物であり得る。
【0029】
本発明が知られると、当業者は、第一検体試薬層106及び第二検体試薬層118がまた、所望により好適な緩衝剤(例えば、Tris HCl、シトラコン酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩緩衝剤)、界面活性剤(例えば、Tritoan X100、Tergitol NP &、PLuronic F68、ベタイン、及びIgepal界面活性剤)、増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、HEC、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース(ethycellulose)、及びアルギン酸塩増粘剤)、並びにこの分野で周知のその他の添加剤を含むことができることを認識するであろう。
【0030】
図1〜3の実施形態において、第一検体接触パッド132及び第二検体接触パッド144は、複室多検体テストストリップ100の相対する側に向いて曝されていることに注目すべきである。換言すれば、図1の透視図において、第一検体接触パッド132は、複室多検体テストストリップ100の上側に曝されており、第二検体接触パッド144は、複室多検体テストストリップ100の下側に曝されている。このような構成は、検査計の電気コネクターによって確実かつ堅固な電気接続を設定するよう促進する。
【0031】
本発明の実施形態による複室多検体テストストリップと共に使用する検査計には、テストストリップ受け取りモジュール及び信号処理モジュールが含まれる。テストストリップ受け取りモジュールは、テストストリップの第一作用電極の第一検体接触パッドを接触させるよう構成された第一電気コネクターと、テストストリップの第二作用電極の第二検体接触パッドを接触させるよう構成された第二電気コネクターと、テストストリップの第一カウンター/参照電極層の第一カウンター/参照接触パッドを接触させるよう構成された第三電気コネクターと、テストストリップの第二カウンター/参照電極層の第二カウンター/参照接触パッドを接触させるよう構成された第四電気コネクターとを有する。
【0032】
検査計の信号処理モジュールは、第一電気コネクター及び第三電気コネクターを介して第一信号を受け取り、この第一信号を用いて、複室多検体テストストリップに適用された体液試料(例えば、全血試料)中の第一検体(グルコースなど)を測定するよう構成されている。更に、信号処理モジュールは、第二電気コネクター及び第四電気コネクターを介して第二信号を受け取り、この第二信号を用いて、複室多検体テストストリップに適用された体液試料中の第二検体(例えば、ケトン検体)を測定するよう構成されている。更に、第三電気コネクターは、第四電気コネクターと第二カウンター/参照接触パッドとの接触に関して反対の側で、第一カウンター/参照接触パッドに接触するよう構成されている。
【0033】
図4Aは、本発明の一実施形態による検査計200を用いた、複室多検体テストストリップ100の簡略図である。図4Aにおいて、斜線は図4Aの透視図で隠れている特定の機能を示す。図4Bは、複室多検体テストストリップ100、及び検査計200の検査計電気コネクターの簡略化した端面図である。検査計200には、テストストリップ受け取りモジュール202と、ケース206内の信号処理モジュール204とが含まれる。
【0034】
テストストリップ受け取りモジュール202は、テストストリップの第一検体接触パッドを接触させるよう構成された第一電気コネクター208と、テストストリップの第二検体接触パッドを接触させるよう構成された第二電気コネクター210と、テストストリップの第一カウンター/参照接触パッドを接触させるよう構成された第三電気コネクター212と、テストストリップの第二カウンター/参照接触パッドを接触させるよう構成された第四電気コネクター214とを有する。
【0035】
信号処理モジュール204は、第一電気コネクター208及び第三電気コネクター212を介して第一信号を受け取り、この第一信号を用いて、複室多検体テストストリップに適用された体液試料中の第一検体を測定するよう構成されている。加えて、信号処理モジュール204は更に、第二電気コネクター210及び第四電気コネクター214を介して第二信号を受け取り、この第二信号を用いて、複室多検体テストストリップに適用された体液試料中の第二検体の測定するよう構成されている。
【0036】
検査計200は、第三電気コネクターが、第四電気コネクターと第二カウンター/参照接触パッドとの接触に関して反対の側で、テストストリップの第一カウンター/参照接触パッドに接触するよう構成されている。換言すれば、図4A及び4Bに示すように、第三電気接触はテストストリップの下側の接触を形成し、第四電気接触はテストストリップの上側の接触を形成する。加えて、第一電気コネクターは、第二電気コネクターとテストストリップの第二検体接触パッドとの接触に関して反対の側で、テストストリップの第一検体接触パッドに接触するよう構成されている。これらの対向する接触構成により、検査計の寸法を有利に小さくすることができ、同時に、複室多検体テストストリップに対して検査計の作動に必要な電気的接続を提供することができる。これらの構成は更に、テストストリップとの接続を提供しつつ、検査計の機械的な複雑さを最小限に抑える。
【0037】
図4A及び4Bの実施形態において、信号処理モジュール204には、例えば、信号受け取りコンポーネント、信号測定コンポーネント、プロセッサコンポーネント及び記憶コンポーネントが含まれる(図4A及び4Bには示されていない)。検査計200は、例えば、第一作用電極と第一カウンター/参照電極層との間、及び第二作用電極と第二カウンター/参照電極層との間の、電気抵抗、電気導通又はその他の電気的特性を測定することができる。第一検体と第二検体の測定中に、単純化した図4Aには示されていないような様々なセンサー及び回路も検査計200に採用できることが、当業者には認識されよう。
【0038】
本発明の一実施形態による、複室多検体テストストリップの作動の成功は、次のように検証された。複室多検体テストストリップは次の材料で製造された:
第一及び第二絶縁層並びにカウンター/参照絶縁層−ポリエステルフィルム、厚さ約178μm(Melinex 329の商品名でDupont Teijin Films(米国バージニア州ホープウェル)から販売)
第一及び第二導電層−パラジウム
第一及び第二カウンター/参照層−金
第一及び第二パターンスペーサー層−合計厚さ約95μm(厚さ約22.5μmの熱可塑性感熱性接着剤で両主表面をコーティングされた、厚さ約50μmのPET層を含む)
【0039】
第一検体試薬層(グルコース測定用)
100mM Tris緩衝液、pH 7.4
%w/vヒドロキシエチルセルロース
10%w/vヘキサシアノ鉄(III)カリウム
1%w/vグルコースオキシダーゼ
【0040】
第二検体試薬層(ケトン測定用)
100mM Tris緩衝液、pH 7.4
%w/vヒドロキシエチルセルロース
10%w/vヘキサシアノ鉄(III)カリウム
1%w/vヒドロキシブチラートデヒドロゲナーゼ
1%w/vジアホラーゼ
【0041】
複室多検体テストストリップは、従来の加熱ラミネーション及び試薬層適用・乾燥技法を使用して製造された。結果として得られたテストストリップが、標準バイポテンショスタットで試験された。バイポテンショスタットの参照及びカウンター電極が、テストストリップの第一及び第二カウンター/参照接触パッドに接続された。バイポテンショスタットの作用電極が、テストストリップの第一及び第二検体接触パッドに接続された。これらの接続は、図4Aに示されているものと電気的に等価であるような方法で行われた。
【0042】
グルコース及びケトンの標準溶液を、複室多検体テストストリップに適用した。3秒間の前処理シーケンス(テストストリップに3秒間印加される開回路に同等)の後、0.4Vの電位を7秒間テストストリップに印加した。図5は、印加電位0.4Vの継続時間に対する、複室多検体テストストリップの電流出力を示す。図6は、テストストリップの第一及び第二試料受け取り室両方に入り込んだ対照溶液試料について、十分に安定な電流が生成されていることを示し、これは、このテストストリップがグルコースとケトンの両方の検出に関して首尾良く利用され得ること、並びに、いずれの測定においても明らかな相互汚染は見られなかったことを示している。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態による複室多検体テストストリップに適用された単一体液試料(例えば、全血試料)における、複数の検体(例えば、検体グルコースと及びケトン検体3−ヒドロキシブチラート)の測定のための方法300における段階を示したフローチャートである。
【0044】
方法300の工程310では、複室多検体テストストリップが検査計に挿入される。検査計へのテストストリップの挿入は、(i)検査計の第一電気コネクターが、テストストリップの第一作用電極の第一検体接触パッドと接触し、(ii)検査計の第二電気コネクターが、テストストリップの第二作用電極の第二検体接触パッドと接触し、(iii)検査計の第三電気コネクターが、テストストリップの第一カウンター/参照電極接触パッドと接触し、(iv)検査計の第四電気コネクターが、テストストリップの第二カウンター/参照電極接触パッドと接触するように行われる。
【0045】
この方法には更に、検査計の信号処理モジュールを使用してテストストリップに適用された単一体液試料中の少なくとも第一検体及び第二検体を測定すること(図5の工程320を参照)と、体液試料を複室多検体テストストリップに適用した後、単一体液試料を複室多検体テストストリップの第一試料受け取り室及び第二試料受け取り室に入り込ませることと、が含まれる。
【0046】
測定工程中、信号処理モジュールは、第一電気コネクター及び第三電気コネクターを介して第一信号を受け取り、この第一信号を用いて第一検体の測定を行う。測定工程中、信号処理モジュールは更に、第二電気コネクター及び第四電気コネクターを介して第二信号を受け取り、この第二信号を用いて第二検体の測定を行う。方法300において、第一カウンター/参照電極層は第一作用電極に対して対向するよう構成され、第二カウンター/参照電極層は第二作用電極に対して対向するよう構成される。
【0047】
本開示が知られると、当業者は、方法300が、本発明の実施形態による、及び本明細書に記述されている複室多検体テストストリップ、並びに本明細書に記述されている本発明の実施形態による検査計の、技法、利点及び特性の任意のものを受け入れて容易に改変できることを認識するであろう。加えて、体液試料は、挿入工程の前又は後のいずれでも、複室多検体テストストリップに適用することができる。
【0048】
本明細書では本発明の好ましい実施形態が図示、説明されているが、こうした実施形態はあくまで例として与えられたものであることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく多くの変形、変更、及び代用が想到されるであろう。本発明の実施に際し本明細書で述べた実施形態には、様々な代替例を用い得る点は理解されるべきである。以下の「特許請求の範囲」は、本発明の範囲を定義すると共に特許請求の範囲内の装置及び方法、並びにそれらの均等物をこれによって網羅することを目的としたものである。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 複室多検体テストストリップの第一作用電極の第一検体接触パッドと接触するよう構成された第一電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第二作用電極の第二検体接触パッドと接触するよう構成された第二電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第一カウンター/参照電極層の第一カウンター/参照接触パッドと接触するよう構成された第三電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第二カウンター/参照電極層の第二カウンター/参照接触パッドと接触するよう構成された第四電気コネクターと、を備えた、テストストリップ受け取りモジュールと、
信号処理モジュールと、を含む、検査計であって、
前記信号処理モジュールが、前記第一電気コネクター及び前記第三電気コネクターを介して第一信号を受け取り、前記第一信号を用いて、前記複室多検体テストストリップに適用された体液試料中の第一検体を測定するよう構成され、
前記信号処理モジュールが、前記第二電気コネクター及び前記第四電気コネクターを介して第二信号を受け取り、前記第二信号を用いて、前記複室多検体テストストリップに適用された前記体液試料中の第二検体を測定するよう構成され、
前記第三電気コネクターが、前記第四電気コネクターと前記第二カウンター/参照接触パッドとの接触に関して反対の側で前記第一カウンター/参照接触パッドに接触するよう構成されている、複室多検体テストストリップと共に使用するための検査計。
(2) 前記第一電気コネクターが、前記第二電気コネクターと前記第二検体接触パッドとの接触に関して反対の側で前記第一検体接触パッドに接触するよう構成されている、実施態様1に記載の検査計。
(3) 前記第一検体が、前記第二検体と比較して異なる、実施態様1に記載の検査計。
(4) 前記第一検体がグルコースである、実施態様3に記載の検査計。
(5) 前記第二検体がケトンである、実施態様4に記載の検査計。
(6) 前記ケトンが3−ヒドロキシブチラートである、実施態様5に記載の検査計。
(7) 前記体液試料が全血試料である、実施態様1に記載の検査計。
(8) 前記信号処理モジュールが、電気化学的測定技法を介して、前記第一検体の測定及び前記第二検体の測定を行うよう構成されている、実施態様1に記載の検査計。
(9) 前記信号処理モジュールが、前記第一信号及び前記第二信号を順次に受け取るよう構成されている、実施態様1に記載の検査計。
(10) 前記信号処理モジュールが、前記第一信号及び前記第二信号を同時に受け取るよう構成されている、実施態様1に記載の検査計。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複室多検体テストストリップの第一作用電極の第一検体接触パッドと接触するよう構成された第一電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第二作用電極の第二検体接触パッドと接触するよう構成された第二電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第一カウンター/参照電極層の第一カウンター/参照接触パッドと接触するよう構成された第三電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第二カウンター/参照電極層の第二カウンター/参照接触パッドと接触するよう構成された第四電気コネクターと、を備えた、テストストリップ受け取りモジュールと、
信号処理モジュールと、を含む、検査計であって、
前記信号処理モジュールが、前記第一電気コネクター及び前記第三電気コネクターを介して第一信号を受け取り、前記第一信号を用いて、前記複室多検体テストストリップに適用された体液試料中の第一検体を測定するよう構成され、
前記信号処理モジュールが、前記第二電気コネクター及び前記第四電気コネクターを介して第二信号を受け取り、前記第二信号を用いて、前記複室多検体テストストリップに適用された前記体液試料中の第二検体を測定するよう構成され、
前記第三電気コネクターが、前記第四電気コネクターと前記第二カウンター/参照接触パッドとの接触に関して反対の側で前記第一カウンター/参照接触パッドに接触するよう構成されている、複室多検体テストストリップと共に使用するための検査計。
【請求項2】
前記第一電気コネクターが、前記第二電気コネクターと前記第二検体接触パッドとの接触に関して反対の側で前記第一検体接触パッドに接触するよう構成されている、請求項1に記載の検査計。
【請求項3】
前記第一検体が、前記第二検体と比較して異なる、請求項1に記載の検査計。
【請求項4】
前記第一検体がグルコースである、請求項3に記載の検査計。
【請求項5】
前記第二検体がケトンである、請求項4に記載の検査計。
【請求項6】
前記ケトンが3−ヒドロキシブチラートである、請求項5に記載の検査計。
【請求項7】
前記体液試料が全血試料である、請求項1に記載の検査計。
【請求項8】
前記信号処理モジュールが、電気化学的測定技法を介して、前記第一検体の測定及び前記第二検体の測定を行うよう構成されている、請求項1に記載の検査計。
【請求項9】
前記信号処理モジュールが、前記第一信号及び前記第二信号を順次に受け取るよう構成されている、請求項1に記載の検査計。
【請求項10】
前記信号処理モジュールが、前記第一信号及び前記第二信号を同時に受け取るよう構成されている、請求項1に記載の検査計。
【請求項1】
複室多検体テストストリップの第一作用電極の第一検体接触パッドと接触するよう構成された第一電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第二作用電極の第二検体接触パッドと接触するよう構成された第二電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第一カウンター/参照電極層の第一カウンター/参照接触パッドと接触するよう構成された第三電気コネクターと、
前記複室多検体テストストリップの第二カウンター/参照電極層の第二カウンター/参照接触パッドと接触するよう構成された第四電気コネクターと、を備えた、テストストリップ受け取りモジュールと、
信号処理モジュールと、を含む、検査計であって、
前記信号処理モジュールが、前記第一電気コネクター及び前記第三電気コネクターを介して第一信号を受け取り、前記第一信号を用いて、前記複室多検体テストストリップに適用された体液試料中の第一検体を測定するよう構成され、
前記信号処理モジュールが、前記第二電気コネクター及び前記第四電気コネクターを介して第二信号を受け取り、前記第二信号を用いて、前記複室多検体テストストリップに適用された前記体液試料中の第二検体を測定するよう構成され、
前記第三電気コネクターが、前記第四電気コネクターと前記第二カウンター/参照接触パッドとの接触に関して反対の側で前記第一カウンター/参照接触パッドに接触するよう構成されている、複室多検体テストストリップと共に使用するための検査計。
【請求項2】
前記第一電気コネクターが、前記第二電気コネクターと前記第二検体接触パッドとの接触に関して反対の側で前記第一検体接触パッドに接触するよう構成されている、請求項1に記載の検査計。
【請求項3】
前記第一検体が、前記第二検体と比較して異なる、請求項1に記載の検査計。
【請求項4】
前記第一検体がグルコースである、請求項3に記載の検査計。
【請求項5】
前記第二検体がケトンである、請求項4に記載の検査計。
【請求項6】
前記ケトンが3−ヒドロキシブチラートである、請求項5に記載の検査計。
【請求項7】
前記体液試料が全血試料である、請求項1に記載の検査計。
【請求項8】
前記信号処理モジュールが、電気化学的測定技法を介して、前記第一検体の測定及び前記第二検体の測定を行うよう構成されている、請求項1に記載の検査計。
【請求項9】
前記信号処理モジュールが、前記第一信号及び前記第二信号を順次に受け取るよう構成されている、請求項1に記載の検査計。
【請求項10】
前記信号処理モジュールが、前記第一信号及び前記第二信号を同時に受け取るよう構成されている、請求項1に記載の検査計。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【図2K】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【図2K】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−95259(P2011−95259A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−239350(P2010−239350)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(502328710)ライフスキャン・スコットランド・リミテッド (70)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239350(P2010−239350)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(502328710)ライフスキャン・スコットランド・リミテッド (70)
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