説明

対物レンズユニット冷却装置

【課題】レンズ等に不具合が生じて交換を必要とするようになった場合には、レンズとレンズホルダの全体を交換しなければならなかった。
【解決手段】対物レンズユニット2とカバー部材と固定部材とを設けて対物レンズユニット冷却装置を構成した。対物レンズユニットは、レーザ光が透過される一以上の対物レンズと、一以上の対物レンズを保持するレンズホルダとを有し、レーザ光が透過されることにより発熱を生じる。カバー部材は、内筒カバー34と外筒カバー35を有し、両カバー間に設けた外側流路48及び内筒カバー34と対物レンズユニット2との間に設けた内側流路41をあけて対物レンズを覆う。固定部材には、対物レンズユニットとカバー部材が固定され、対物レンズユニットと固定部材との固定部及びカバー部材と固定部材との固定部を、互いの接触面を密着させると共にねじ部でねじ結合する。これにより、流路に冷却媒体を流す通常の媒体圧力の下において、冷却媒体の漏れを生じない嵌合状態として固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を対象物に照射してレーザ加工を施すレーザ加工装置や、レーザ光を対象物に照射して対象物の欠陥の有無等を検査するレーザ検査装置その他のレーザ光を使用する装置、機械等に用いて好適な対物レンズユニット冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、この種の対物レンズユニット冷却装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、レーザ加工機の集光レンズの冷却装置に関するものが記載されている。この特許文献1に係るレーザ加工機の集光レンズ冷却装置は、冷却エア吹出し手段とエア吹出し手段を設けたことを特徴としている。冷却エア吹出し手段は、レーザ加工機のレーザビーム集光レンズの上表面に冷却エアを直接吹き付ける。また、エア吹出し手段は、集光レンズ上表面の上部にエアスクリーンを形成する。
【0003】
このような構成を有するレーザ加工機の集光レンズ冷却装置(以下「第1の従来例」という。)によれば、レーザ加工機のレーザ光路のレンズ上面にエアカーテンによりダストフリーの清浄な空間を設け、その内部で清浄エアをレンズ上面に吹き付けるようにした。そのため、レンズに吸収されたレーザ光の熱を、レンズ表面を汚損するおそれなしに、直接かつ平均的に冷却できる、という効果が期待される。
【0004】
また、従来の対物レンズユニット冷却装置の他の例としては、例えば、特許文献2に記載されているようなものもある。特許文献2には、多レンズ系のレンズホルダに冷却装置を設けた冷却式レンズホルダに関するものが記載されている。この特許文献2に係る冷却式レンズホルダは、複数枚のレンズを重ねて配置する多レンズ系のレンズホルダに関する。各構成レンズの少なくとも一面に冷却用液体を流すようにしたことを特徴としている。
【0005】
このような構成を有する冷却式レンズホルダ(以下「第2の従来例」という。)によれば、レンズ表面に直接冷却用液体を流すので、レンズを均一に冷却することができ、効率よく冷却することができる、という効果が期待される。
【特許文献1】特開平9−271974号公報
【特許文献2】特開2000−187143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した第1の従来例においては、1枚のレンズを保持したレンズ枠をレンズホルダの開口部に取り付け、そのレンズの上表面の上部にエアスクリーンを形成する構成となっていた。そのため、冷却構造が単体レンズのためのものであることから、複数のレンズを組み合わせた組合レンズのための冷却構造としては適用することができなかった。
【0007】
また、上述した第2の従来例においては、レンズホルダに複数枚のレンズを保持すると共に、そのレンズホルダに冷却水用の流路を設け、その流路の一部をレンズ間の隙間として形成して、その流路に冷却水を流す構成となっていた。そのため、レンズホルダと複数枚のレンズとは一体不可分のものとして構成されていて、レンズだけの交換やレンズホルダだけの交換を行うことができなかった。従って、レンズ等に不具合が生じて交換を必要とするようになった場合には、レンズとレンズホルダの全体を交換しなければならないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、対物レンズユニットとカバー部材と固定部材とを設けて対物レンズユニット冷却装置を構成した。対物レンズユニットは、レーザ光が透過される一以上の対物レンズと、一以上の対物レンズを保持するレンズホルダとを有し、レーザ光が透過されることにより発熱を生じる。カバー部材は、対物レンズユニットの外周面との間に冷却媒体を流すための流路をあけて対物レンズユニットを覆う。固定部材は、対物レンズユニットとカバー部材とが固定される。そして、対物レンズユニットと固定部材との固定部及びカバー部材と固定部材との固定部を、互いの接触面を密着させると共にねじ部でねじ結合する。これにより、流路に冷却媒体を流す媒体圧力の下において、冷却媒体の漏れを生じない嵌合状態として固定した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、対物レンズユニットを効果的に冷却できると共に、対物レンズユニットの取り付け・取り外し作業を簡単且つ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
対物レンズユニットを効果的に冷却することができ、対物レンズユニットの交換作業を簡単に、しかも迅速に行うことができるという目的を、簡単な構成によって実現した。
以下に、本発明の実施の形態を、添付した図面の図1〜図7を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1〜図3は、本発明に係る対物レンズユニット冷却装置の第1の実施の例を示すもので、図1は縦断面図、図2は図1のX部分の拡大断面図、図3は分解斜視図である。この対物レンズユニット冷却装置1は、対物レンズユニットの外側に冷却媒体を流通させて当該対物レンズユニットを冷却するもので、対物レンズユニット2と、固定部材3と、カバー部材4とを備えて構成されている。
【0012】
図1及び図3に示すように、対物レンズユニット冷却装置1の対物レンズユニット2は、この実施例では、市販されている工業顕微鏡に用いられている対物レンズユニットを使用している。そのため、対物レンズユニット2については、ここでは構成の概略を説明する。対物レンズユニット2は、軸方向の両端が開口された中空の円筒体からなるレンズホルダ5と、このレンズホルダ5の内部に収納された単体レンズ又は二以上のレンズの組合せからなる対物レンズとによって構成されている。対物レンズの光軸はレンズホルダ5の軸心線と一致しており、レンズホルダ5の軸方向の一端にねじ軸部6が設けられている。
【0013】
レンズホルダ5のねじ軸部6は、外周面に雄ねじが設けられた円筒状の部分からなり、このねじ軸部6を固定部材3のねじ穴に螺合させて締め付けることにより、対物レンズ2が固定部材3に固定されている。このレンズホルダ5のねじ軸部6側の端面部5aの表面あらさは、他の部分よりも高く(例えば、数μm〜数十μm程度)設定する。
【0014】
固定部材3は、取付リング7と、固定ブラケット8と、固定ベース9とが組み合わされた結合体として構成されている。取付リング7は、対物レンズユニット2の外径よりも少し直径の大きなリング状をなす板体として形成されている。取付リング7の中央穴7aには、対物レンズユニット2のねじ軸部6の雄ねじと螺合される雌ねじが設けられている。この取付リング7の一方の面の半径方向内側には、周方向に連続する環状の逃げ溝11が設けられている。この取付リング7の一面の逃げ溝11より半径方向内側に設定された接触部7bは、その表面あらさが他の部分よりも高く(例えば、数μm〜数十μm程度)設定されている。
【0015】
この取付リング7の接触部7bに対物レンズユニット2の端面部5aが接触され、互いに圧接されて密着される。更に、取付リング7の一面の逃げ溝11より半径方向外側の部分には、半径方向に延在された溝からなる流路溝12が複数箇所に設けられている。流路溝12は、この実施例では、周方向へ90度の間隔をあけて4箇所に設けられている。また、取付リング7の他側の面の外周縁には、周方向に連続する環状の段部13が設けられている。そして、取付リング7の段部13より半径方向内側の部分には、後述するカバー部材をねじ止めするための複数のねじ通し穴14が設けられている。この実施例では、ねじ通し穴14は、周方向に等間隔をあけて8箇所に設けられている。
【0016】
固定ブラケット8は、取付リング7の外径よりも直径の大きなリング状をなす板体として形成されている。この固定ブラケット8の貫通穴24には、取付リング7の段部13が嵌合される。固定ブラケット8の一面には、外径よりは小さいが貫通穴24よりは直径の大きなリング状をなす円筒突部15が設けられている。円筒突部15の内周面には、2つの環状突部16,17と雌ねじ18が設けられている。雌ねじ18は円筒突部15の内周面の先端側に配置され、その内側に第2の環状突部17が配置され、その内側に第1の環状突部16が配置されている。
【0017】
第1の環状突部16の内径と第2の環状突部17の内径とは略同じ直径に設定されているが、雌ねじ18の内径は両環状突部16,17よりも大きく設定されている。更に、円筒突部15の第1の環状突部16と第2の環状突部17との間に、その肉厚部分を径方向に貫通する供給側連通孔21が設けられている。供給側連通孔21は1つ設けたが、周方向の複数箇所に設ける構造としてもよい。また、円筒突部15の第1の環状突部16と固定ブラケット8の平面部との間に、その肉厚部分を径方向に貫通する排出側連通孔22が設けられている。排出側連通孔22は1つ設けたが、周方向の複数箇所に設ける構造としてもよい。そして、固定ブラケット8の円筒突部15より外側の部分に、固定ベース9にねじ止めするための複数のねじ通し穴23が設けられている。この実施例では、ねじ通し穴23は、同一円周上の7箇所に設けられている。
【0018】
固定ベース9は、固定ブラケット8よりも平面の面積が大きな板状の部材からなり、固定ブラケット8の円筒突部15が貫通される貫通穴24が設けられている。固定ベース9の貫通穴24の一面側には、固定ブラケット8の円筒突部15から半径方向外側に展開されたフランジ部8aが嵌合されるリング状をなす座部25が設けられている。座部25には、円筒突部15の供給側連通孔21に連通される供給側連通凹部26と、円筒突部15の排出側連通孔22に連通される排出側連通凹部27が設けられている。これら供給側連通凹部26及び排出側連通凹部27に対応して、固定ブラケット8には供給側配管継手28と排出側配管継手29が取り付けられている。
【0019】
供給側配管継手28は、フランジ部8aの供給側連通凹部26と連通される部分に設けたねじ穴にねじ部28aを螺合することによって固定ブラケット8に固定されている。この供給側配管継手28のねじ部28aと反対側には、図示しない冷却媒体循環装置に連通された配管31が接続されている。また、排出側配管継手29は、フランジ部8aの排出側連通凹部27と連通される部分に設けたねじ穴にねじ部29aを螺合することによって固定ブラケット8に固定されている。この排出側配管継手29のねじ部29aと反対側には、同じく冷却媒体循環装置に連通された配管32が接続されている。
【0020】
カバー部材4は、対物レンズ2の外側に嵌め合わされる内筒カバー34と、この内筒カバー34の外側に嵌め合わされる外筒カバー35とによって構成されている。内筒カバー34は、軸心部を軸方向に貫通する中央穴36が設けられた筒軸部34aと、この筒軸部34aの軸方向の一端に連続して設けられたフランジ部34bと、筒軸部34aの軸方向の他端に連続して設けられたシール部34cとを有している。シール部34cの内径は、レンズホルダ5の外径よりもやや小径に形成されていて、その内周面には周方向に連続する環状溝37が設けられている。
【0021】
環状溝37には、シール部材の一具体例を示すO−リング38が装着されており、このO−リング38によって対物レンズ2との間がシールされている。O−リング38によるシール状態は、冷却媒体循環装置によって循環される冷却媒体が、蒸留水、純水、水道水、治水等の液体である場合には、それらの液体が外部に漏れ出さないよう液密に設定する。また、冷却媒体循環装置によって循環される冷却媒体が、圧縮空気、圧縮窒素その他の気体である場合には、それらの気体が外部に漏れ出さないよう気密に設定する。更に、シール部34cの開口側の端部には、半径方向内側に展開された内フランジ39が形成されている。内フランジ39の内径は対物レンズユニット2の外径よりも小径に形成されており、これにより、ねじ軸部6が緩んだ際の対物レンズユニット2の脱落を防止している。このシール部34cの外周面には、雄ねじ40が軸方向の中途部まで延在させて設けられている。
【0022】
内筒カバー34の筒軸部34aの中央穴36の直径はシール部34cの内周面の直径よりも大きく形成されており、これによりレンズホルダ5の外周面との間にある程度の広さを有する内側流路41が形成されている。更に、筒軸部34aのシール部34cの近傍には、筒軸部34aの内周面と外周面との間を連通する連通路42が設けられている。連通路42は、この実施例では6個設けているが、5個以下であってもよく、7個以上であってもよい。また、内筒カバー34のフランジ部34bには、位置決め座部43と位置決め段部44と複数の連通溝45が設けられている。フランジ部34bの外端面に位置決め座部43が設けられ、その反対側の内端面に位置決め段部44が設けられている。
【0023】
位置決め座部43は、取付リング7の段部13と反対側の端面部の形状に対応する円形の凹部として形成されており、その端面部が嵌合される。この位置決め座部43の半径方向外側に形成されたリング状突部に、本実施例では4つの連通溝45が設けられている。4つの連通溝45は周方向に等間隔に配置されており、各連通溝45は径方向に延在されてフランジ部34bの外周面と内周面との間を連通させている。これにより、排出側連通凹部27と内側流路41とが、流路溝12と連通溝45と排出側連通孔22を介して冷却媒体が流通可能に連通されている。なお、連通溝45の数は、3以下であってもよく、5以上であってもよいことは勿論である。
【0024】
また、フランジ部34bの外周面は、これを固定ブラケット8の円筒突部15の凹部に嵌合する際に、第1の環状突部16に対して精度よく嵌合されるように形成し、ラビリンスパッキンの効果を生ずるようにしている。なお、フランジ部34bの外周面と、位置決め座部43の内周面と、位置決め段部44の外周面とは、これらの同心度を精度よく形成する。
【0025】
外筒カバー35は、軸心部を軸方向に貫通する中央穴46が設けられた筒軸部35aと、この筒軸部35aの軸方向の一端に連続して設けられたフランジ部35bと、筒軸部35aの軸方向の他端に連続して設けられたねじ軸部35cとを有している。ねじ軸部35cの内径は、内筒カバー34のフランジ部34bの外径よりも小径に形成されている。そして、ねじ軸部35cの内周面には、フランジ部34bの外周面に設けた雄ねじ40に螺合される雌ねじ47が設けられている。
【0026】
外筒カバー35の筒軸部35aの中央穴46の直径は、内筒カバー34の筒軸部34aの外周面の直径よりも大きく形成されている。これにより、筒軸部35aの内周面と筒軸部34aの外周面との間にある程度の広さを有する外側流路48が形成されている。外筒カバー35のフランジ部35bには、嵌合座部51と嵌合段部52と雄ねじ53と複数の連通溝54が設けられている。フランジ部35bの外端面に嵌合座部51が設けられ、外周面に嵌合段部52が設けられている。そして、嵌合段部52の内端面側に、円筒突部15の凹部に設けた雌ねじ18に螺合される雄ねじ53が設けられている。
【0027】
嵌合座部51は、内筒カバー34の位置決め段部44の形状に対応する円形の凹部として形成されており、その位置決め段部44が嵌合される。この嵌合座部51の半径方向外側に形成されたリング状をなす突部に、本実施例では4つの連通溝54が設けられている。4つの連通溝54は周方向に等間隔に配置されており、各連通溝54は径方向に延在されてフランジ部35bの外周面と内周面との間を連通させている。これにより、供給側連通凹部26と外側流路48とが、連通溝54と供給側連通孔21を介して冷却媒体が流通可能に連通されている。なお、連通溝54の数は、3以下であってもよく、5以上であってもよいことは勿論である。
【0028】
また、フランジ部35bの嵌合段部52は雄ねじ53の外径よりも小径に形成されている。この嵌合段部52の外周面は、これを固定ブラケット8の円筒突部15の凹部に嵌合する際に、第2の環状突部17に対して精度よく嵌合されるように形成し、ラビリンスパッキンの効果を生ずるようにしている。なお、フランジ部35bの嵌合段部52の外周面と、嵌合座部51の内周面とは、互いの同心度を精度よく形成する。内筒カバー34には、取付リング7が複数の固定ねじ55によって締め付け固定される。そのため、取付リング7のねじ通し穴14に対応する内筒カバー34の位置決め座部43には、同数のねじ穴56が設けられている。
【0029】
更に、図2に示すように、内筒カバー34の筒軸部34aの内周面及び外周面と外筒カバー35の筒軸部35aの内周面には、冷却媒体のためのガイド部57a,57b,58が設けられている。ガイド部57a,57b,58は、内側流路41及び外側流路48を移動する冷却媒体をガイドして供給側から排出側までスムースに移動させ、対物レンズ2の全体を冷却させることを目的とするものである。この実施例では、螺旋状に連続するねじ山のような突条を設け、その突条をガイド部57a,57b,58として用いている。ねじ山の形状としては、三角形に限定されるものではなく、四角形や台形は勿論のこと、丸形その他の形状とすることができる。更に、螺旋形の突条に変えて、螺旋形の溝としてガイド部を形成することができ、また、光軸と平行に延在される直線状の突条又は直線溝として形成することもできる。
【0030】
固定部材3を構成する取付リング7、固定ブラケット8、固定ベース9及びカバー部材4を構成する内筒カバー34、外筒カバー35の材質としては、例えば、アルミニウム合金(例えば、超ジュラルミン70系等)が好適である。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、表面に酸化アルミニウムの皮膜を形成したステンレス合金(超硬質アルマイト処理を施したSUS)等を用いることもできる。なお、取付リング7と固定ブラケット8と固定ベース9と内筒カバー34と外筒カバー35とを同一の材料で形成する場合には、それらの熱膨張係数を同じにできるため、メカニカルシール部におけるシール性能の更なる向上を図ることができる。
【0031】
このような構成を有する対物レンズ冷却装置1は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、取付リング7の中央穴7aに設けた雌ねじに対物レンズ2のねじ軸部6を螺合させ、そのねじ軸部6を十分に締め込む。次に、内筒カバー34の中央穴36に対物レンズ2を挿入し、内筒カバー34の位置決め座部43に取付リング7を嵌め合わせる。そして、複数本の固定ねじ55を用いて取付リング7を内筒カバー34にねじ止めする。これにより、内筒カバー34のシール部34cに装着されたO−リング38が対物レンズ2のレンズホルダ5の外周面に密着され、その部分が気密(或いは液密)に封止される。その結果、対物レンズ2と内筒カバー34の間に円筒状の内側流路41が形成される。この内側流路41に、取付リング7に設けた流路溝12と内筒カバー34に設けた連通溝45を介して、排出側連通孔22が連通されている。
【0032】
次に、内筒カバー34を取り付けた状態の取付リング7を、固定ブラケット8の円筒突部15内に挿入し、取付リング7の段部13を固定ブラケット8の中央穴8aに嵌め合わせる。そして、内筒カバー34のフランジ部34bを、円筒突部15の第1の環状突部16に嵌め合わせる。次いで、外筒カバー35の中央穴46に内筒カバー34を挿入し、フランジ部35bの外周面に設けた雄ねじ53を円筒突部15に設けた雌ねじ18に螺合させる。これと共に、ねじ軸部35cの内周面に設けた雌ねじ47を内筒カバー34のシール部34cの外周面に設けた雄ねじ40に螺合させる。これにより、外筒カバー35と固定ブラケット8との間及び外筒カバー35と内筒カバー34との間がそれぞれねじ結合される。
【0033】
その結果、内筒カバー34と外筒カバー35との間に円筒状の外側流路48が形成される。この外側流路48に、内筒カバー34に設けた連通路42を介して内側流路41が連通されていると共に、外筒カバー35に設けた連通溝54を介して、供給側連通孔21が連通されている。そして、外筒カバー35のねじ込みによる締付力によって内筒カバー34が取付リング7に押圧され、外筒カバー35の嵌合座部51が内筒カバー34のフランジ部34bに圧接されると共に、内筒カバー34の位置決め座部43が取付リング7に圧接される。このようなメカニカルシール部を介して、対物レンズ2と内筒カバー34と外筒カバー35とが固定部材3に気密(或いは液密)に固定される。
【0034】
次に、固定ベース9の貫通穴24に円筒突部15を嵌合し、ねじ通し穴23に挿通される図示しない複数の固定ねじを用いて固定ブラケット8を固定ベース9にねじ止めする。その後、固定ブラケット8に供給側配管継手28及び排出側配管継手29を取り付ける。そして、図示しない冷却媒体循環装置に、供給側配管31を介して供給側配管継手28が接続されると共に、排出側配管32を介して排出側配管継手29が接続される。これにより、冷却媒体循環装置から出力される冷却媒体が、供給側配管31を介して供給側配管継手28から対物レンズ冷却装置1に供給される。そして、対物レンズ冷却装置1の内部を流通した冷却媒体が、排出側配管継手29から排出側配管32に出されて、冷却媒体循環装置に戻される。
【0035】
ここで、冷却媒体としては、冷却作用を行うことができる各種の気体や液体を用いることができる。冷却媒体の気体としては、例えば、空気、窒素、アンモニア、ヘリウム、フレオン等を挙げることができる。また、冷却媒体の液体としては、例えば、水(蒸留水、純水、水道水、治水等)、液体窒素、液体ヘリウム、潤滑油等を挙げることができる。なお、これらの冷却媒体には、適当な圧力(例えば、5気圧程度)を加えて流動させるようにする。
【0036】
次に、対物レンズユニット冷却装置1の冷却作用について説明する。対物レンズユニット冷却装置1の供給側連通凹部26に供給された冷却媒体は、供給側連通孔21から連通溝54を経て外側流路48内に入り込み、円筒状の外側流路48を先端側に移動する。そして、連通路42から内側流路41内に入り込み、円筒状の内側流路41を基端側に移動する。この際、外筒カバー35の内周面や内筒カバー34の外周面或いは内周面の少なくとも一面に、冷却媒体をガイドする螺旋溝や直線溝等からなるガイド部57a,57b,58を設けることにより、冷却媒体の移動を促進させて冷却効率を高めることができる。
【0037】
内側流路41の基端側に移動した冷却媒体は、逃げ溝11から流路溝12、連通溝45及び排出側連通孔22を介して排出側連通凹部27内に入り込む。そして、排出側配管継手29から排出側配管32を介して冷却媒体循環装置に戻される。この循環工程が繰り返されることにより、対物レンズユニット冷却装置1の対物レンズユニット2が冷却され、所定の温度範囲内に保持される。その結果、対物レンズユニット2が、例えば、電子顕微鏡のための対物レンズや、レーザ加工のための対物レンズである場合には、レンズ装置の発熱を防ぎ、或いは、一定に保持して温度変化を防ぎ、環境変化を無くして、光学揺らぎを防ぐことができる。
【0038】
図7は、前述したような構成を有する対物レンズユニット冷却装置1を備えた装置の一具体例を示すもので、レーザ加工装置60に適用したものである。このレーザ加工装置60は、対物レンズを通してレーザ光をワークに照射して、そのワークに加工を加えるもので、装置フレーム61と、一軸ステージ62と、レーザ発生部63と、レーザ光路部64とを備えて構成されている。
【0039】
装置フレーム61は、一軸ステージ62やレーザ発生部63その他の機構全体を支えるもので、下部にワーク支持台65を有している。ワーク支持台65は、その上面が水平面とされていて、加工対象物であるワーク66が載置される。一軸ステージ62は、対物レンズ2を保持して上下方向へ昇降動作させ、レーザ光の焦点をワーク66の加工位置に位置合わせするものである。この一軸ステージ62は、昇降ホルダ67とステージ本体68とボールネジ69とステッピングモータ71等を備えて構成されている。
【0040】
昇降ホルダ67は、対物レンズユニット2を着脱可能に保持することができるもので、この昇降ホルダ67が、図示しないクロスローラガイドを介してステージ本体68に昇降動作可能に保持されている。ステージ本体68の昇降ホルダ67と反対側の面には側方に突出するナット部72が設けられており、このナット部72をボールネジ69が上下方向へ貫通されている。ボールネジ69の上下両端部は、装置フレーム61に取り付けられた2つの軸受73,73を介して回動自在に支持されている。ボールネジ69の一端はカップリング74を介してステッピングモータ71の回転軸71aに連結され、一体的に回動自在とされている。ステッピングモータ71は装置フレーム61に固定されていて、回転軸71aが、装置フレーム61に取り付けられた軸受75によって回転自在に支持されている。
【0041】
レーザ発生部63は、加工用のレーザ光を発生する光源部であり、例えば、YAGレーザを用いることができる。レーザ光の波長としては、1064nm、532nm、355nm、266nm等を用いることができる。レーザ発生部63は、レーザ光路部64を介して一軸ステージ62に保持されている対物レンズ2と光学的に接続されており、対物レンズ2により焦点を合わされて、ワーク66に対してレーザ光を照射してレーザ加工が可能とされている。
【0042】
レーザ光路部64は、アッテネータ81とホモジナイザ82とスリット83と3つのミラー84,85,86を備えて構成されている。レーザ発生部63から発射されたレーザ光は、アッテネータ81を透過し、第1のミラー84により反射されてホモジナイザ82に向かう。ホモジナイザ82を透過したレーザ光は、第2のミラー85で反射された後、スリット83を透過し、第3のミラー86により反射されて対物レンズユニット2の対物レンズに導入される。この対物レンズによってレーザ光の焦点が調整され、その焦点調整されたレーザ光によってワーク66の所定部位がレーザ加工される。アッテネータ81は、レーザ光の光量を減衰させるための光学モジュールである。ホモジナイザ82は、レーザ光のプロファイルを照射面において均一化するためのモジュールである。スリット83は、レーザ光の幅を規制するもので、レーザ光の光軸上に配置されている。
【0043】
このような構成を有するレーザ加工装置60としては、例えば、レーザ顕微鏡、レーザ彫刻装置、レーザ切断装置、レーザ溶接装置等に適用することができる。これらの装置において、前述した対物レンズユニット冷却装置1を用いることにより、対物レンズの発熱を抑制して装置環境の温度変化を遮断し、精度良い精密加工を維持することができ、熱膨張による寸法変化や光学揺らぎ等を防ぐことができる。
【実施例2】
【0044】
図4は、本発明に係る対物レンズユニット冷却装置の第2の実施の例を示す説明図である。この第2の実施例に係る対物レンズユニット冷却装置90が前述した対物レンズユニット冷却装置1と異なるところは、カバー部材を1個の筒体カバー91で形成すると共に、固定部材を取付リング92と固定ブラケット93との2部品によって構成した点である。
【0045】
筒体カバー91は、軸心部を軸方向に貫通する中央穴94が設けられた筒軸部91aと、この筒軸部91aの軸方向の一端に連続して設けられたフランジ部91bと、筒軸部91aの軸方向の他端に連続して設けられたシール部91cとを有している。シール部91cの内径はレンズホルダ5の外径よりもやや小径に形成されており、その穴94aを対物レンズ2が貫通し、その対物レンズユニット2の先端部が筒体カバー91の端面より外側に突出されている。
【0046】
更に、シール部91cの穴94aの内周面には周方向に連続する環状溝95が設けられており、その環状溝95にO−リング96が装着されている。このO−リング96により、対物レンズユニット2のレンズホルダ5と筒体カバー91との間が気密(或いは液密)にシールされている。筒体カバー91の、フランジ部91bの端面には流路座部97が設けられ、外周面には雄ねじ98が設けられている。流路座部97は、中央穴94の直径よりも大きなリング状の凹部として形成されている。
【0047】
このような形状を有する筒体カバー91に対応させて、固定ブラケット93には雌ねじ99と2つのねじ穴101,102が設けられ、取付リング92には2つの連通孔103,104が設けられている。取付リング92は、対物レンズ2のねじ軸部6が螺合される中央穴105を有するボス部92aと、このボス部92aの軸方向一端において半径方向外側へ展開するように形成されたフランジ部92bとからなっている。中央穴105の内周面には雌ねじが設けられており、この雌ねじにねじ軸部6の雄ねじが螺合される。2つの連通孔103,104はフランジ部92bに設けられており、一方は供給側連通孔103であり、他方は排出側連通孔104である。
【0048】
固定ブラケット93は、取付リング92よりも大きな矩形の板体として形成されており、その略中央部に、表裏面間を貫通する中央穴106が設けられている。中央穴106には、内側座部107と外側座部108とが2段構造として設定されており、外側座部108の内周面に雌ねじが設けられている。中央穴106には取付リング92のボス部92aが嵌合され、内側座部107にはフランジ部92bが嵌合される。そして、外側座部108の雌ねじには、筒体カバー91のフランジ部91bに設けた雄ねじが螺合される。なお、2つのねじ穴101,102は、供給側ねじ穴101と排出側ねじ穴102であり、取付リング92の2つの連通孔103,104と対応する位置に設けられている。
【0049】
このような構成を有する対物レンズユニット冷却装置90は、例えば、次のようにして簡単に組み立てることができる。まず、取付リング92の中央穴105に設けた雌ねじに対物レンズユニット2のねじ軸部6を螺合させ、そのねじ軸部6を十分に締め込む。次に、固定ブラケット93の中央穴106に取付リング92のボス部92aを嵌め合わせる。次いで、対物レンズユニット2を筒体カバー91の中央穴94に挿入し、フランジ部91bに設けた雄ねじを外側座部108の雌ねじに螺合させる。そして、筒体カバー91を回して十分に締め込むことにより、取付リング92が筒体カバー91と固定ブラケット93で挟持される。
【0050】
この場合、固定ブラケット93の内側座部107の座面と取付リング92のフランジ部92bの一面が密着される。これと同時に、取付リング92のフランジ部92bの他面及び外側座部108の座面と筒体カバー91のフランジ部91bの端面とが密着される。これにより、上記密着面とされたメカニカルシール部の働きにより、気密(或いは液蜜)性を保持して対物レンズ2を確実に固定することができる。
【0051】
また、筒体カバー91のシール部91cに保持されたO−リング96を対物レンズユニット2が貫通されるため、そのO−リング96が対物レンズユニット2の外周面に密着される。これにより、筒体カバー91と対物レンズユニット2との間に、O−リング96でシールされた円筒状の冷媒流路109が形成される。この冷媒流路109に、取付リング7に設けた2つの連通孔103,104を介して、固定ブラケット93に設けた供給側ねじ穴101と排出側ねじ穴102とが連通される。
【0052】
次いで、固定ブラケット93の供給側ねじ穴101に供給側配管継手28を取り付け、排出側ねじ穴102に排出側配管継手29を取り付ける。そして、図示しない冷却媒体循環装置に、供給側配管31を介して供給側配管継手28を接続し、排出側配管32を介して排出側配管継手29を接続する。これにより、冷却媒体循環装置から出力される冷却媒体が、供給側配管31を介して供給側配管継手28から対物レンズユニット冷却装置90に供給される。そして、対物レンズユニット冷却装置90の内部を流通した冷却媒体が、排出側配管継手29から排出側配管32に出され、冷却媒体循環装置に戻される。
【0053】
このように組み立てられる対物レンズユニット冷却装置90の作用は、次のようなものである。即ち、対物レンズユニット冷却装置90の供給側連通孔103に供給された冷却媒体は、筒体カバー91の流路座部97から冷媒流路109内に入り込み、円筒状の冷媒流路109を先端側に移動する。そして、冷媒流路109を流路座部97側に戻るように移動して、排出側連通孔104から排出側配管32に排出される。なお、筒体カバー91の内周面に、冷却媒体をガイドする螺旋溝や直線溝等からなるガイド部を設けることにより、冷却媒体の移動を促進させて冷却効率を高めることができる。このように、本願発明の第2の実施例によっても、前記第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0054】
図5は、本発明に係る対物レンズユニット冷却装置の第3の実施の例を示す説明図である。この第3の実施例に係る対物レンズユニット冷却装置110が前述した対物レンズユニット冷却装置90と異なるところは、筒体カバー91の先端部を閉じて中央穴内に対物レンズユニット2を収納し、O−リング96の使用を廃止した点である。そのため、ここでは構成が異なる筒体カバー111について説明し、同一部分に同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
【0055】
筒体カバー111が筒軸部111aとフランジ部111bを有する点は、筒体カバー91と共通する。しかしながら、シール部となる部分には、石英ガラスからなる遮蔽板112が気密(或いは液密)に固着されている。遮蔽板112を石英ガラスで形成した理由は、その中央部をレーザ光が透過するからである。このように構成することによっても、前記実施例と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0056】
図6は、本発明に係る対物レンズユニット冷却装置の第4の実施の例を示す説明図である。この第4の実施例に係る対物レンズユニット冷却装置120が前述した対物レンズユニット冷却装置110と異なるところは、筒体カバー121に2つの配管継手28,29を取り付ける構造とした点である。そのため、ここでは構成が異なる筒体カバー121について説明し、同一部分に同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
【0057】
筒体カバー121が筒軸部121aとフランジ部121bを有する点は、筒体カバー111と共通する。この筒体カバー121には、供給側配管継手28を接続するための供給側ねじ穴122と、排出側配管継手29を接続するための排出側ねじ穴123とが設けられている。供給側ねじ穴122は対物レンズユニット2のねじ軸部6に近い上部位置に設けられ、排出側ねじ穴123はねじ軸部6から離れた下部位置に設けられている。これは、冷媒とされた冷えた圧縮空気は、その比重が重いために自然に降下され、温められて比重が軽くなった空気を自動的に対流させる作用を有するからである。このように構成することによっても、前記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0058】
前述した実施の形態では、工業顕微鏡用対物レンズを用いているが、冷却手段のない加工用対物レンズにも適用することができる。更に、前記実施例においては、冷却媒体として圧縮エアを用いているが、他の気体(例えば、圧縮窒素)を用いることができることは勿論である。更に又、チラー(産業機器、計測機器、食品加工機器、理化学機器等の温度を一定に保つための装置の総称。)による循環冷却水、蒸留水、純水、治水等の液体を用いることもできる。
【0059】
以上説明したように、本発明によれば、対物レンズ筐体と冷却用筐体を一体物として、当該一体物を固定するためのブラケット等に、ねじ部及びメカニカルシール部を介して固定するようにする。これにより、一体物固定用ブラケット等から当該一体物を容易に取り外すことができ、対物レンズユニットの交換に要する時間を従来に比べて短縮することができると共に、冷却用筐体部を再び使用することができる。また、冷却用筐体を二重構造とし、当該二重構造の外側から内側に向かって冷却媒体が流れるようにし、更に、当該冷却用筐体と冷却媒体が接する面に冷却媒体が流れる方向と平行な直線状の溝、或いは螺旋状の溝を形成する構成とする。これにより、冷却媒体の循環効率を高め、冷却媒体による冷却効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の対物レンズユニット冷却装置の形態の第1の実施の例を中央部において縦方向に断面して示す説明図である。
【図2】図1のX部分を拡大して示す要部断面図である。
【図3】図1に示す対物レンズユニット冷却装置の分解斜視図である。
【図4】本発明の対物レンズユニット冷却装置の形態の第2の実施の例を中央部において縦方向に断面して示す説明図である。
【図5】本発明の対物レンズユニット冷却装置の形態の第3の実施の例を中央部において縦方向に断面して示す説明図である。
【図6】本発明の対物レンズユニット冷却装置の形態の第4の実施の例を中央部において縦方向に断面して示す説明図である。
【図7】本発明の対物レンズユニット冷却装置を用いたレーザ加工装置の実施の例を示すブロック説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1,90,110,120…対物レンズユニット冷却装置、 2…対物レンズユニット、 3…固定部材、 4…カバー部材、 5…レンズホルダ、 6…ねじ軸部、 7,92…取付リング、 8,93…固定ブラケット、 9…固定ベース、 12…流路溝、 15…円筒突部、 16,17…環状突部、 21,103…供給側連通孔、 22,104…排出側連通孔、 28,29…配管継手、 31,32…配管、 34…内筒カバー、 34a,91a,111a…筒軸部、 34b,91b,92b,11b…フランジ部、 34c,91c…シール部、 35…外筒カバー、 35c…ねじ軸部、 38,96…O−リング(シール部材)、 41…内側流路、 42…連通路、 45…連通溝、 48…外側流路、 51…嵌合座部、 52…嵌合段部、 54…連通溝、 60…レーザ加工装置、 91…筒体カバー(カバー部材)、 92a…ボス部、 107…内側座部、 108…外側座部、 109…冷媒流路、 111,121…筒体カバー(カバー部材)、 112…遮蔽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光が透過される一以上の対物レンズと、前記一以上の対物レンズを保持するレンズホルダとを有し、前記レーザ光が透過されることにより発熱を生じる対物レンズユニットと、
前記対物レンズユニットの外周面との間に冷却媒体を流すための流路をあけて当該対物レンズユニットを覆うカバー部材と、
前記対物レンズユニットと前記カバー部材とが固定される固定部材と、を設け、
前記対物レンズユニットと前記固定部材との固定部及び前記カバー部材と前記固定部材との固定部を、互いの接触面を密着させると共にねじ部でねじ結合することにより、前記流路に前記冷却媒体を流す媒体圧力の下において、前記冷却媒体の漏れを生じない嵌合状態として固定した
対物レンズユニット冷却装置。
【請求項2】
前記カバー部材の前記対物レンズユニットと対向する面に、前記冷却媒体の流れを規制する溝又は突条を設けた
請求項1記載の対物レンズユニット冷却装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記冷却媒体を流すための流路をあけて互いに重ね合わされる内筒カバーと外筒カバーとの組み合わせからなる
請求項1記載の対物レンズユニット冷却装置。
【請求項4】
前記内筒カバーの内周面及び外周面並びに前記外筒カバーの内周面のうち少なくとも一面に、前記対物レンズの光軸を中心として螺旋状に延在されて前記冷却媒体の流れを規制する螺旋溝又は螺旋突条を設けた
請求項3記載の対物レンズユニット冷却装置。
【請求項5】
前記内筒カバーの内周面及び外周面並びに前記外筒カバーの内周面のうち少なくとも一面に、前記対物レンズの光軸と平行に延在されて前記冷却媒体の流れを規制する直線溝又は直線突条を設けた
請求項3記載の対物レンズユニット冷却装置。
【請求項6】
前記カバー部材に前記対物レンズユニットを貫通させると共に、その貫通部を封止するシール部材を設けた
請求項1記載の対物レンズユニット冷却装置。
【請求項7】
前記カバー部材と前記固定部材を、同一の材料によって形成した
請求項1記載の対物レンズユニット冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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