説明

封入封緘装置

【課題】大量の封書をベルトコンベア上に排出、貯留すること。
【解決手段】封書Mが排出される度にベルトコンベア131を一定のピッチずつ間欠移動させ、エンドフェンス141に到達した封書Mをエンドフェンス141の傾斜面141aによりすくい起こしてそれ以上の下流側への搬送を規制する。また、最後の封書Mの排出後にベルトコンベア131を連続移動させ、最後の封書Mをエンドフェンス141ですくい起こして、すくい起こした各封書Mを傾斜面141aに沿って搬送方向Xに整列させる。封書Mの厚さが厚く剛性が高い場合は、ベルトコンベア131の連続移動速度を高くする。搬送方向Xと直交する幅方向Yについては、一対のサイドフェンス143,143の間欠接近離間動作によって封書Mを整列させる。重量が軽く排出位置ずれしやすい封書Mの場合は、重量が重い封書Mよりもサイドフェンス143の接近離間周期を短くし、効率よく整列させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒に内容物を封入し封緘した状態の封書を作成する封入封緘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイレクトメール等の封書の利用拡大に伴って、封入封緘装置のニーズが増えている。封入封緘装置では、印刷済みの内容物用紙及び封筒用紙をそれぞれ折り畳む等して内容物及び封筒をそれぞれ形成し、内容物を封入した状態で封筒を封緘することにより封書を作成する。
【0003】
封入封緘装置において作成した封書は、プリンタや複写装置で印刷されたシート状の用紙とは形態が異なり、膨らみを持っていることが多いので、トレー上に安定的に重ねて排出することが難しい。そこで、封入封緘装置に装備される排出部は、例えば、ベルトコンベア上に一定間隔で封書を排出し、横たわらせた状態で搬送させるという態様のものであった(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−72313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
封入封緘装置の前段に接続される封書や内容物の印刷装置として、いわゆるワンパスで主走査方向の1ライン分の印刷を行える高速のライン型インクジェットプリンタが使用されることがある。この種の印刷装置と組み合わせる封入封緘装置に対しては、封入封緘を行う部分に高い処理能力が求められると共に、排出部に大量の排出能力が求められる。
【0006】
これに対し、上述したベルトコンベア上に封書を一定間隔で排出する排出部では、ベルトコンベアの搬送距離によって封書の最大排出可能量が定まる。したがって、大量の封書をベルトコンベア上に排出し、横たわらせた状態で貯留しておくためには、ベルトコンベアを長大なものとしなければならず、スペースの面から実現するのが困難であった。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、大量の封書をベルトコンベア上に排出、貯留することができる封入封緘装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
印刷ジョブに基づいて、内容物(例えば、図1の内容物B)を封筒(例えば、図1の封筒E)に封入して封緘した封書(例えば、図1の封書M)を作成しベルトコンベア(例えば、図3のベルトコンベア131)上に排出する封入封緘装置(例えば、図1の封入封緘装置5)において、
前記ベルトコンベア(例えば、図3のベルトコンベア131)の搬送方向(例えば、図4の搬送方向X)における下流側の所定箇所(例えば、図4のプーリ133bの上方)に固定配置され、該ベルトコンベアとの離間距離が前記搬送方向の下流側に向かうに連れて増える傾斜面(例えば、図4の傾斜面141a)を有し、前記所定箇所に接近した前記ベルトコンベア上の前記封書を前記傾斜面によりすくい起こすエンドフェンス(例えば、図4のエンドフェンス141)と、
前記封書を前記ベルトコンベア上に排出する度に、排出する封書の一部に次に排出する封書が重なるような所定の間欠距離だけ、前記ベルトコンベアを間欠移動させる間欠移動手段(例えば、図6の封入封緘コントローラ119、図9のステップS11)と、
前記印刷ジョブの最後の封書を前記ベルトコンベア上に排出した後に、少なくとも前記印刷ジョブの最後の封書を前記傾斜面によりすくい起こすのに十分な所定の整列距離だけ、前記ベルトコンベアを連続移動させる連続移動手段(例えば、図6の封入封緘コントローラ119、図9のステップS13,S17)と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記発明によれば、封書が排出される度にベルトコンベアが間欠距離ずつ間欠移動される。このときの間欠移動距離は、排出される封書と次に排出される封書とが一部重なるような距離であり、言い換えると、ベルトコンベアによる搬送方向における封書の寸法よりも短い距離である。これにより、ベルトコンベア上で各封書が、前後の封書と一部重なった状態で、排出順を保ったまま順次所定箇所に向けて搬送されることになる。特に、封書のバーコードをベルトコンベア上で読み取って排出段階における経過管理を行う場合は、各封書のバーコードを露出させて確実に読み取れるように、上述したベルトコンベアの間欠移動させることが有効である。
【0010】
搬送された封書はやがて、ベルトコンベア上に排出された封書が所定箇所に到達して、エンドフェンスの傾斜面によりすくい起こされる。すくい起こされた封書はエンドフェンスによりそれ以上の下流側への搬送を規制されて、すくい起こされた姿勢のまま傾斜面に倒れかかった状態に保持され、搬送方向に並べて整列される。
【0011】
そして、印刷ジョブの最後の封書が排出されるとベルトコンベアが整列距離だけ連続移動される。これにより、最後の封書を含む全てのベルトコンベア上の封書が、エンドフェンスの傾斜面によりすくい起こされ、それ以上の下流側への搬送を規制される。この結果、搬送中には排出順を保つために間欠距離ずつずらして搬送されていた各封書が、所定箇所ですくい起こされた姿勢でコンパクトにまとめて搬送方向に並べて整列される。
【0012】
このため、ベルトコンベア上の全ての封書を所定箇所でエンドフェンスによりすくい起こし、ベルトコンベアの搬送方向にスペースを取らずにコンパクトに整列させることができる。これにより、大量の封書をベルトコンベア上に排出、貯留することができる。また、ユーザが所定箇所から封書を取り出す際に多数の封書を一度に取り出しやすくすることができる。
【0013】
なお、間欠移動手段がベルトコンベアを間欠移動させる距離を、ベルトコンベアの搬送方向におけるベルトコンベア上の封書の寸法よりも短い距離として、ベルトコンベア上で各封書が前後の封書と一部重なるようにすることは、所定箇所において封書を整列させる上でも有効である。即ち、各封筒がエンドフェンスの傾斜面によりすくい起こされる際に、すくい起こされる封書と一部重なる上流側の次の封書を一緒にすくい起こさせて、各封書の連続的なすくい起こしと搬送方向への整列とを容易に実現することができる。
【0014】
また、上記発明において、前記内容物及び前記封筒のうち少なくとも一方の仕様に基づいて、前記連続移動手段による前記ベルトコンベアの前記整列距離の連続移動速度を補正する速度補正手段(例えば、図6の封入封緘コントローラ119、図9のステップS15)をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
上記発明によれば、内容物の仕様は、その枚数や紙厚、折りたたみ方によって相違する。また、封筒の仕様は、封筒を構成する用紙の一部を内容物として封筒内に位置させる場合とそうでない場合とがあるので、封筒を構成する用紙の折り方によって相違する。このような内容物や封筒の仕様の相違は、封書としての厚さの相違となって現れる。
【0016】
例えば、封書の厚さが増えると、封書の剛性が増し、そのため、すくい起こされてそれ以上の下流側への搬送を規制された封書に対してベルトコンベアが摺動する際の封書の耐性が増す。よって、例えば、内容物や封筒の仕様が封書の厚さを増やすような内容である場合に、そうでない仕様の場合よりもベルトコンベアの連続移動速度を速めに補正してもよい。これにより、印刷ジョブの全ての封書の排出、整列を、封書にダメージを与えることなく迅速化させる等することができる。
【0017】
なお、上記発明において、前記内容物の仕様は、内容物用紙の紙厚、枚数、折り方のうち少なくとも1つを含んでおり、前記封筒の仕様は、封筒用紙の折り方を含んでいるものとすることができる。
【0018】
さらに、上記発明において、前記搬送方向と直交する前記ベルトコンベアの幅方向(例えば、図3の幅方向Y)に間隔をおいて配置され、前記幅方向において接近離間することで前記傾斜面によりすくい起こした前記封書を前記幅方向に整列させる一対のサイドフェンス(例えば、図3のサイドフェンス143,143)と、該一対のサイドフェンスを前記幅方向に接近離間させるフェンス駆動手段(例えば、図6の封入封緘コントローラ119、図9のステップS17)と、前記内容物の仕様に基づいて、前記フェンス駆動手段による前記一対のサイドフェンスの前記幅方向への接近離間周期を補正する周期補正手段(例えば、図6の封入封緘コントローラ119、図9のステップS15)とをさらに備えることを特徴とする。
【0019】
上記発明によれば、エンドフェンスの傾斜面によりすくい起こされた封書が、ベルトコンベアの幅方向に接近離間する一対のサイドフェンスによって幅方向に整列される。幅方向におけるサイドフェンスの最小間隔は、幅方向における封書の寸法と同等(同一又は若干長めの寸法)であることが望ましい。サイドフェンスの接近離間周期は、内容物の仕様によって相違する。
【0020】
例えば、内容物の枚数が少ない場合は、枚数が多い場合に比べて封書が軽量となり、ベルトコンベア上に排出される際に封書が幅方向に流される度合いが相対的に増す。よって、例えば、内容物の仕様が封書を軽量とする内容である場合に、そうでない仕様の場合よりもサイドフェンスの接近離間周期を短く補正して、封書を幅方向に効率よく整列させる等することができる。
【0021】
また、ベルトコンベア上に封書が排出される際、軽い(薄い)封書は重い(厚い)封書よりも排出箇所がずれやすく、そのため、ベルトコンベアの搬送方向と直交する幅方向における封書の位置がばらつきやすい。よって、例えば、内容物の仕様が封書の厚さを増やさないような内容である場合に封書の厚さを増やすような仕様の場合よりもサイドフェンスの接近離間周期が相対的に短くなるように、内容物の仕様に応じてサイドフェンスの接近離間周期を補正してもよい。これにより、封書を幅方向に効率よく整列させる等することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、大量の封書をベルトコンベア上に排出、貯留することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る封入封緘装置の説明図である。
【図2】図1の封入封緘装置を含む画像形成システムの説明図である。
【図3】図1の封書排出部の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図3の封書排出部における封書の排出動作を示す説明図である。
【図5】図4のコンベアモータ及びフェンスモータの駆動パターンを示すタイミングチャートである。
【図6】図1の封入封緘装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図7】(a)〜(e)は図6のテーブル記憶部に記憶される封書の搬送速度に関する定義を規定するテーブルの説明図である。
【図8】図6のテーブル記憶部に記憶されるサイドフェンスの接近離間周期に関する定義を規定するテーブルの説明図である。
【図9】図6の封入封緘コントローラの制御に基づいた排紙動作処理を含む一連の処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明中において、「上流」とは、内容物用紙P1等の搬送方向から見て上流のことをいい、「下流」とは、内容部用紙等の搬送方法から見て下流のことをいい、図中において、「L」は、左方向、「R」は、右方向をそれぞれ指している。
【0025】
図1に示す本実施形態の封入封緘装置5は、図2に示すように、画像形成装置3と共に使用されて画像形成システム1を構成する。画像形成装置3は、複数枚の内容物用紙P1及び封筒用紙P2に印刷を行う。封入封緘装置5は、印刷済みの複数枚の内容物用紙P1及び封筒用紙P2から内容物B及び封筒Eをそれぞれ形成し、内容物Bを封入した状態で封筒Eを封緘して、封書Mを作成する。
【0026】
画像形成装置3は、筐体7を具備しており、この筐体7内には、画像データ(内容物画像データ及び封筒画像データ)に基づいて内容物用紙P1及び封筒用紙P2に印刷を行うインクジェット方式の印刷部9が設けられている。印刷部9は、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のインクを吐出する複数のライン型のインクヘッド11A,11B,11C,11Dを備えている。また、筐体7内には、内容物用紙P1や封筒用紙P2を搬送するためのループ状の印刷搬送路13が、印刷部9を囲むように設けられている。印刷搬送路13は、不図示の搬送ローラ対を用いて内容物用紙P1及び封筒用紙P2を図中左回り(反時計回り)方向に搬送する。
【0027】
また、筐体7内には、複数枚の内容物用紙P1を印刷搬送路13へ順次給紙する複数の内容物用紙給紙部15が上下方向に段状に設けられている。各内容物用紙給紙部15は、複数枚の内容物用紙P1を積載する給紙トレイ17を有している。給紙トレイ17の内容物用紙P1は、給紙ローラ19により給紙搬送路21の分岐部分21aに給紙され、給紙搬送路21を介して印刷搬送路13に搬送される。
【0028】
筐体7の一側部には、封筒用紙P2を印刷搬送路13へ給紙する封筒用紙給紙部23が設けられている。封筒用紙給紙部23は、複数枚の封筒用紙P2を積載する給紙トレイ25を有している。給紙トレイ25の封筒用紙P2は、給紙ローラ27により給紙搬送路29に給紙され、給紙搬送路29を介して印刷搬送路13に搬送される。
【0029】
筐体7の一側には、内容物用紙P1や封筒用紙P2を一時的に収容するためのカセット31が設けられている。このカセット31は、スイッチバック搬送路33を介して印刷搬送路13に接続されている。スイッチバック搬送路33は、印刷搬送路13が搬送している内容物用紙P1や封筒用紙P2を表裏反転させるためのもので、スイッチバック搬送路33と印刷搬送路13とは、公知のスイッチバック用フラッパ(図示省略)の作動によって、接続、遮断可能になっている。スイッチバック搬送路33は、不図示の出入ローラ対を用いて内容物用紙P1や封筒用紙P2を、印刷搬送路13との間で受け渡しする。
【0030】
印刷搬送路13の印刷部9よりも下流側の箇所には、印刷部9による印刷後の内容物用紙P1や封筒用紙P2を封入封緘装置5側へ搬送するための連絡搬送路35が設けられている。連絡搬送路35と印刷搬送路13とは、公知の連絡用フラッパ(図示省略)の作動によって、接続、遮断可能になっている。連絡搬送路35は、不図示の搬送ローラ対を用いて内容物用紙P1や封筒用紙P2を搬送する。
【0031】
印刷部9、内容物用紙給紙部15、封筒用紙給紙部23等の動作は、筐体7内の画像形成コントローラ37によって制御される。画像形成コントローラ37は、画像形成に関する制御プログラム等を記憶するメモリと、画像形成に関する制御プログラムを実行するCPUとを備えている。この画像形成コントローラ37には、筐体7の上部に設けられた操作パネル39が電気的に接続されている。操作パネル39は、内容物Bに関する情報としての内容物用紙P1の用紙厚,枚数,サイズ及び封筒Eに関する情報としての封筒用紙P2の用紙厚,ミシン目の有無を入力可能である。なお、操作パネル39によって内容物B及び封筒Eに関する情報を入力する代わりに、外部パソコン(図示省略)から内容物B及び封筒Eに関する情報を入力するようにしても構わない。
【0032】
一方、封入封緘装置5は、筐体41を具備しており、この筐体41内には、画像形成装置3の連絡搬送路35から受け渡された印刷済の内容物用紙P1及び封筒用紙P2を搬送するための導入搬送路43が設けられている。導入搬送路43は、不図示の搬送ローラ対を用いて、印刷済みの内容物用紙P1や封筒用紙P2を搬送する。
【0033】
また、筐体41内には、内容物用紙搬送路45と封筒用紙搬送路47とが設けられている。これらの内容物用紙搬送路45と封筒用紙搬送路47とは、公知の封入封緘用フラッパの作動によって選択的に導入搬送路43に接続される。内容物用紙搬送路45は、印刷済みの内容物用紙P1等(内容物Bを含む)を導入搬送路43から受け取って、後述する封筒形成部85に搬送する。封筒用紙搬送路47は、印刷済みの封筒用紙P2を導入搬送路43から受け取って、封筒形成部85に搬送する。内容物用紙搬送路45及び封筒用紙搬送路47はそれぞれ、不図示の搬送ローラ対を用いて、印刷済みの内容物用紙P1や封筒用紙P2を搬送する。
【0034】
次に、図1の説明図を参照して、導入搬送路43から内容物用紙搬送路45に搬送された内容物用紙P1に対する処理について説明する。内容物用紙搬送路45に搬送された内容物用紙P1は、途中の整合部51において、内容物用紙搬送路45を開状態と閉状態に切り替える整合ゲート(待機ゲート)53を用いて、内容物Bを構成する複数枚ずつ集積、整合される。整合部51で集積、整合された複数枚の内容物用紙P1は、内容物用紙搬送路45上の内容物形成部55において適宜折り曲げられて内容物Bとされる。
【0035】
内容物形成部55は、主折りローラ57及び導入ローラ59、突当て部材63、ガイド板61を有している。主折りローラ57及び導入ローラ59は、協働して内容物用紙搬送路45から内容物用紙P1を導入する。突当て部材63は、導入した内容物用紙P1を突当ててその折り曲げ箇所P1aにたるみを持たせる。ガイド板61は、主折りローラ57及び導入ローラ59が導入した内容物用紙P1を突当て部材63に案内する。
【0036】
また、内容物形成部55は、中間ローラ65、突当て部材69、ガイド板67(図2参照)を有している。中間ローラ65は、主折りローラ57と協働して内容物用紙P1のたるみを持たせた折り曲げ箇所P1aを折り曲げる。突当て部材69は、主折りローラ57が折り曲げた内容物用紙P1を突当てて、折り曲げ箇所P1aとは異なる2つ目の折り曲げ箇所P1bにたるみを持たせる。各突当て部材63,69は、対応するガイド板61,67の延在方向に位置を移動することができる。ガイド板67は、箇所P1aを折り曲げた内容物用紙P1を突当て部材69に案内する。
【0037】
さらに、内容物形成部55は、導出ローラ71と内容物送出部105を有している。導出ローラ71は、主折りローラ57と協働して、折り曲げ箇所P1aを折り曲げた内容物用紙P1のたるみを持たせた2つ目の折り曲げ箇所P1bを折り曲げて、内容物Bを形成する。
【0038】
内容物送出部105は、送出ローラ対107と内容物センサ111を有している。内容物センサ111は、反射型の光電センサ等であり、内容物B(の先端)が封筒形成部85に接近したことを検出する。送出ローラ対107は、主折りローラ57及び導出ローラ71が形成した内容物Bを、後述する封筒形成部85で折り曲げた封筒用紙P2に封入されるように、内容物センサ111の検出タイミングに合わせて封筒形成部85に搬送する。
【0039】
ここで、主折りローラ57、導入ローラ59、中間ローラ65、及び導出ローラ71は、それぞれ不図示のモータの駆動により回転可能である。また、送出ローラ対107は送出モータ109(図6参照)の駆動により回転可能である。
【0040】
次に、導入搬送路43から封筒用紙搬送路47に搬送された封筒用紙P2に対する処理について説明する。導入搬送路43から封筒用紙搬送路47に搬送された封筒用紙P2は、途中の前折り部73において前折りされる。
【0041】
前折り部73は、主折りローラ75及び導入ローラ77、突当て部材81、ガイド板79を有している。主折りローラ75及び導入ローラ77は、協働して封筒用紙搬送路47から封筒用紙P2を導入する。突当て部材81は、導入した封筒用紙P2を突当ててその折り曲げ箇所P2aにたるみを持たせる。ガイド板79は、主折りローラ75及び導入ローラ77が導入した封筒用紙P2を突当て部材81に案内する。突当て部材81は、ガイド板79の延在方向に位置を移動することができる。
【0042】
また、前折り部73は導出ローラ83(図2参照)を有している。導出ローラ83は、主折りローラ75と協働して封筒用紙P2の折り曲げ箇所P2aを折り曲げつつ、折り曲げた封筒用紙P2を封筒形成部85に搬送する。
【0043】
ここで、主折りローラ75、導入ローラ77、及び導出ローラ83は、それぞれ不図示のモータの駆動により回転可能である。
【0044】
封筒形成部85は、前折り部73から送り出された封筒用紙P2をさらに折り曲げつつ、内容物形成部55からの内容物Bを封入して封筒Eを形成するものである。
【0045】
封筒形成部85は、主折りローラ87及び導入ローラ89、突当て部材93、ガイド板91を有している。主折りローラ87及び導入ローラ89は、協働して封筒用紙搬送路47から封筒用紙P2を導入する。突当て部材93は、導入した封筒用紙P2を突当ててその折り曲げ箇所P2bにたるみを持たせる。ガイド板91は、主折りローラ87及び導入ローラ89が導入した封筒用紙P2を突当て部材93に案内する。
【0046】
また、封筒形成部85は、中間ローラ95と封筒用紙センサ97を有している。封筒用紙センサ97は、反射型の光電センサ等であり、封筒用紙P2が突当て部材93に近接したこと、換言すれば、封筒形成部85による(主折りローラ87と中間ローラ95の協働による)封筒用紙P2の折り曲げ開始のタイミングを検出するものである。中間ローラ95は、封筒用紙センサ97が封筒用紙P2を検出したタイミングに合わせて、主折りローラ87と協働して封筒用紙P2のたるみを持たせた折り曲げ箇所P2bを折り曲げる。
【0047】
さらに、封筒形成部85は、突当て部材101、ガイド板99を有している。突当て部材101は、折り曲げ箇所P2a,P2bを折り曲げた封筒用紙P2を突当てて、折り曲げ箇所P2bとは異なる3つ目の折り曲げ箇所P2cにたるみを持たせる。各突当て部材93,101は、対応するガイド板91,99の延在方向に位置を移動することができる。ガイド板99は、折り曲げ箇所P2a,P2bを折り曲げた封筒用紙P2を突当て部材101に案内する。突当て部材101は、ガイド板99の延在方向に位置を移動することができる。
【0048】
また、封筒形成部85は導出ローラ103を有している。導出ローラ103は、主折りローラ87と協働して、封筒用紙P2のたるみを持たせた3つ目の折り曲げ箇所P2cを折り曲げつつ、折り曲げた封筒用紙P2を封筒搬送路49に搬送する。
【0049】
ここで、主折りローラ87、導入ローラ89、中間ローラ95、及び導出ローラ103は、それぞれ不図示のモータの駆動により回転可能である。
【0050】
封筒形成部85では、内容物送出部105が内容物センサ111の検出タイミングに合わせて搬送した内容物Bが、主折りローラ87と中間ローラ95が協働してたるみを持たせた封筒用紙P2の折り曲げ箇所P2bに内側から挿入される。そして、内容物Bを挟み込んだ封筒用紙P2の折り曲げ箇所P2bを、封筒用紙センサ97による封筒用紙P2の検出タイミングに合わせて、主折りローラ87と中間ローラ95が協働して折り曲げる。
【0051】
また、封筒形成部85では、折り曲げ箇所P2bに内容物Bを挟み込んだ封筒用紙P2の3つ目の折り曲げ箇所P2cを、主折りローラ87と導出ローラ103が協働して折り曲げる。これにより、内部に内容物Bを封入した封筒Eが形成される。形成された封筒Eは、主折りローラ87と導出ローラ103が協働して封筒搬送路49に搬送される。
【0052】
封筒搬送路49は、筐体41の上部の封書排出部117まで延びている。封筒搬送路49は、不図示の搬送ローラ対を用いて、封筒Eを封書排出部117に搬送する。
【0053】
封筒搬送路49の途中には、封緘部113が設けられている。封緘部113は、封筒形成部85から送り出された封筒Eを封緘するものである。封緘部113は、封筒Eの開口した両端部を挟持して押圧する封緘ローラ対115を備えている。封緘ローラ対115は、不図示のモータの駆動により回転可能である。封緘ローラ対115により押圧された封筒Eの両端部は、封筒用紙P2に予め塗布した感圧接着剤及び水糊の接着作用によって封緘される。したがって、封書排出部117には封緘された封書Mが排出される。
【0054】
封書排出部117は、図3に示すように、ベルトコンベア131と、エンドフェンス141及び一対のサイドフェンス143,143を有している。封書排出部117は、筐体41の上部に露出している。
【0055】
ベルトコンベア131は、図4に示すように、一対のプーリ133a,133bと、これらのプーリ133a,133b間に巻回された無端ベルト135と、プーリ133a,133bの中間位置に配置されたガイドプーリ133cとを有している。無端ベルト135は、コンベアモータ137がプーリ133aを回転させることで、図中時計回り方向に回転駆動される。
【0056】
コンベアモータ137によるベルトコンベア131の搬送量は、エンコーダ139によって検出される。エンコーダ139は、プーリ133aと同期して回転するスリット円板139aと、スリット円板139aのスリット以外の部分で検出光軸が遮断される透過型の光センサ139bとを有している。エンコーダ139は、光センサ139bがスリット円板139aのスリットを検出光が透過する間ONとなるエンコーダパルスを外部に出力する。
【0057】
図1の封筒搬送路49から排出された封書Mは、図4の無端ベルト135の上面に、プーリ133a側から順次載置される。無端ベルト135は、少なくとも、排出された封書Mの両端部(封緘された部分)をそれぞれ載置できるように構成されている。本実施形態では、図3に示すように、プーリ133a,133bの回転軸方向に間隔をおいて、一対の無端ベルト135,135が設けられている。無論、1本の幅が広い無端ベルト135を使用してもよく、幅が狭い複数本の無端ベルト135,135,…を使用してもよい。なお、図4に示すように、無端ベルト135の外周面には、回転方向に間隔をおいて複数の突起135aが形成されている。
【0058】
排出された封書Mが無端ベルト135の上面に順次載置される間、コンベアモータ137は、図5の上段に示すタイミングチャートの前半部分のように、封書Mの排出周期と同期して間欠的にプーリ133aを「速度1」で回転させる。これにより無端ベルト135が、無端ベルト135上に排出された封書Mを、プーリ133aの1ピッチ分の回転量に応じた距離ずつ間欠的に、搬送方向Xにおける下流側に搬送する。
【0059】
このとき、無端ベルト135(ベルトコンベア131)による封書Mの1ピッチの搬送量は任意であるが、後述するエンドフェンス141が封書Mをすくい起こす際の利便性を考慮して、搬送方向Xにおける封書Mの寸法よりも短い距離とすることもできる。そのようにすると、無端ベルト135上で、搬送方向Xにおける下流側の封書Mの端部上に上流側の封書Mの端部を一部重ねた状態で、封書Mが連続して搬送されることになる。このようにする利点については、エンドフェンス141の説明の際に詳述する。
【0060】
エンドフェンス141は、プーリ133bの直上の所定箇所に、無端ベルト135の突起135aと干渉しない程度のわずかな間隔をおいて固定配置されている。エンドフェンス141は、無端ベルト135(ベルトコンベア131)の上面との距離が、ベルトコンベア131による封書Mの搬送方向Xの下流側に向かうに連れて増える傾斜面141aを有している。この傾斜面141aは、ベルトコンベア131により所定箇所に搬送された封書Mの搬送方向Xにおける下流側の端部をすくい起こすように構成されている。
【0061】
搬送方向Xにおける下流側の端部がエンドフェンス141の傾斜面141aによりすくい起こされる封書Mの、搬送方向Xにおける上流側の端部は、無端ベルト135に線接触状態で接触したまま無端ベルト135と共に搬送方向Xにおける下流側に移動する。これにより封書Mは、傾斜面141aと平行になるまですくい起こされ、以後は、エンドフェンス141によってそれ以上搬送方向Xにおける下流側への移動を規制される。したがって、封書Mの搬送方向Xにおける上流側の端部(すくい起こされた状態では下端部)が、無端ベルト135の表面上を、突起135aを乗り越えながら摺動することになる。
【0062】
ここで、封書Mが全て無端ベルト135の上面に載置され終わると、コンベアモータ137は、図5の上段に示すタイミングチャートの後半部分のように、プーリ133aを「速度2」(「速度1」<「速度2」)で連続回転させる。このベルトコンベア131の連続回転による封書Mの移動距離(請求項中の整列距離に相当)は、ベルトコンベア131に最後に排出された封書Mがエンドフェンス141に到達して、搬送方向Xにおける下流側への移動を規制されるのに十分な距離に設定される。
【0063】
このとき、無端ベルト135上の搬送方向Xにおける下流側の封書Mの端部上に、上流側の封書Mの端部が一部重なっていれば、下流側の封書Mがエンドフェンス141の傾斜面141aですくい起こされるときに、少し遅れて上流側の封書Mが一緒に起こされる。このように、封書Mがエンドフェンス141に到達する前に下流側の封書Mによって事前に少し起こされていると、エンドフェンス141に到達した際に傾斜面141aによってすくい起こされやすくなるので、有利である。また、このとき、無端ベルト135の各突起135aは、エンドフェンス141ですくい起こされた封書Mの下端を通過する度に封書Mを繰り返し上下に振動させて各封書Mを短時間で整列させる、簡易的なジョガーとして機能する。
【0064】
一対のサイドフェンス143,143は、封書Mの搬送方向Xにおけるエンドフェンス141よりも若干上流側の箇所に、搬送方向Xと直交するベルトコンベア131の幅方向Y(図3参照)に間隔をおいて配置されている。これらのサイドフェンス143,143は、フェンスモータ145(図3参照、請求項中のフェンス駆動手段に相当)から不図示のリンク機構を介して伝わる動力によって、エンドフェンス141と干渉することなく、幅方向Yに繰り返し接近離間する。
【0065】
なお、フェンスモータ145は、図5の下段のタイミングチャートに示すように、コンベアモータ137がプーリ133aを連続回転させる間だけ、一定間隔で間欠的に駆動される。したがって、無端ベルト135が連続して移動する間、サイドフェンス143,143が間欠的に接近離間を繰り返す。
【0066】
ちなみに、幅方向Yにおけるサイドフェンス143,143の最大間隔は、ベルトコンベア131上に排出される封書Mの幅方向Yにおける最大ばらつき範囲よりも大きい。また、最小間隔は、幅方向Yにおける封書Mの寸法と同等(同一又は若干長め)の寸法である。したがって、サイドフェンス143,143が幅方向Yに繰り返し接近離間することで、ベルトコンベア131上の封書Mが幅方向Yに整列される。
【0067】
上述した構成による封入封緘装置5の動作は、図1に示すように筐体41内に収容した封入封緘コントローラ119によって制御される。以下、封入封緘装置5の制御系の構成について、図6のブロック図を参照して説明する。
【0068】
封入封緘コントローラ119は、封入封緘装置5(図1、図2参照)の整合部51、内容物形成部55、前折り部73、封筒形成部85、内容物送出部105、封緘部113、及び封書排出部117等の動作を制御するものである。封入封緘コントローラ119は、CPUとRAM及びROMを有する例えばマイクロコンピュータによって構成することができる。
【0069】
封入封緘コントローラ119には、画像形成装置3(図1、図2参照)の画像形成コントローラ37と、封入封緘装置5(図1、図2参照)の封筒用紙センサ97及び内容物センサ111とが、電気的に接続してある。封入封緘コントローラ119は、ROMに格納された制御プログラムをCPUが実行することによって、整合部51、内容物形成部55、前折り部73、封筒形成部85、内容物送出部105、及び封緘部113の動作を制御する。この制御に当たっては、画像形成コントローラ37から入力される内容物用紙P1の紙厚、枚数、サイズ、折り方の情報や、封筒用紙P2の折り方の情報や、封筒用紙センサ97及び内容物センサ111の検出結果が参照される。
【0070】
具体的には、封入封緘コントローラ119は、封筒用紙センサ97からの検出信号の入力をトリガー(基準)として、内容物送出部105の送出モータ109を制御する。これにより、封筒用紙P2の2つ目の折り曲げ箇所P2b(図1参照)に挿入されるように、タイミングを合わせて内容物Bを封筒形成部85(図1、図2参照)側へ送り出させる。また、排紙動作制御部127は、封入封緘コントローラ119に内容物センサ111からの検出信号が入力されると、内容物Bの封筒形成部85への送り出しが停止するように、送出モータ109を制御する。
【0071】
また、封入封緘コントローラ119は、ROMに格納された制御プログラムをCPUが実行することによって、補正値算出部123、動作パターン決定部125、及び排紙動作制御部127の各機能を実現する。また、RAMの少なくとも一部はテーブル記憶部121として利用される。これらの各機能やテーブル121〜127を利用して、封入封緘コントローラ119は封書排出部117の動作を制御する。この制御に当たっては、画像形成コントローラ37から入力される内容物用紙P1の紙厚、枚数、折り方の情報(仕様)や、封筒用紙P2の折り方の情報(仕様)が参照される。
【0072】
テーブル記憶部121は、図7(a)〜(e)の説明図に示す、封書Mの搬送速度に関する定義を規定するテーブルと、図8の説明図に示す、サイドフェンス143の接近離間周期に関する定義を規定するテーブルとを記憶している。
【0073】
図7(a)は、封書M内の内容物用紙P1の枚数と、ベルトコンベア131で封書Mを連続搬送する際の基準搬送速度に対する倍率で示した搬送速度(図5の上段の「速度2」)との関係を定義するテーブルである。封書M内に内容物用紙P1が封入されない場合(パターン1;標準パターン)は、基準搬送速度の1.0倍が搬送速度となる。また、内容物用紙P1の封入枚数がそれぞれ1枚(パターン2)、2〜3枚(パターン3)、4〜5枚(パターン4)の搬送速度は、基準搬送速度のそれぞれ1.2倍、1.4倍、1.6倍である。
【0074】
図7(b)は、内容物用紙P1の紙厚とベルトコンベア131による封書Mの搬送速度の補正値(補正スコア)との関係を定義するテーブルである。この補正値(補正スコア)は、図7(b)〜(d)の各テーブルの定義にしたがって決定され、その合計値が、封書Mの連続搬送時の搬送速度(パターン)を図7(e)のテーブルにしたがって決定する際の因子となる。
【0075】
そして、図7(b)のテーブルでは、内容物用紙P1の紙厚の情報が、情報なし、薄紙又は標準(参考坪量62g/m2 以上)である場合(標準パターン)は、搬送速度の補正値(補正スコア)は「0」であり、厚紙(参考坪量100g/m2 以上)である場合は、搬送速度の補正値(補正スコア)は「1」である。
【0076】
図7(c)は、内容物用紙P1を内容物Bとする際の折り方とベルトコンベア131による封書Mの搬送速度の補正値(補正スコア)との関係を定義するテーブルである。内容物Bとする際の内容物用紙P1の折り方の情報が、情報なし又は2つ折りである場合(標準パターン)は、搬送速度の補正値(補正スコア)は「0」であり、内3つ折りである場合は、搬送速度の補正値(補正スコア)は「1」であり、4つ折りである場合は、搬送速度の補正値(補正スコア)は「2」である。
【0077】
図7(d)は、封筒用紙P2を封筒Eとする際の折り方とベルトコンベア131による封書Mの搬送速度の補正値(補正スコア)との関係を定義するテーブルである。封筒Eとする際の封筒用紙P2の折り方の情報が3つ折りである場合(標準パターン)は、搬送速度の補正値(補正スコア)は「0」であり、4つ折りである場合は、搬送速度の補正値(補正スコア)は「1」である。
【0078】
したがって、図7(b)〜(d)の各テーブルの定義にしたがって決定される補正値(補正スコア)の合計値は、最大で「4」(内容物用紙P1の紙厚=厚紙(補正値=「1」)、内容物用紙P1の折り方=4つ折り(補正値=「2」)、封筒用紙P2のの折り方=4つ折り(補正値=「1」、合計値=1+2+1=4)となる。また、補正値(補正スコア)の合計値は、最小で「0」(例;内容物用紙P1の紙厚=薄紙(補正値=「0」)、内容物用紙P1の折り方=2つ折り(補正値=「0」)、封筒用紙P2のの折り方=3つ折り(補正値=「0」、合計値=0+0+0=0)となる。
【0079】
上述した補正値(補正スコア)の合計値は、封書M内の内容物用紙P1の枚数によって図7(a)のテーブルの定義にしたがい定まる搬送速度のパターンの値に加算して、最終的な封書Mのベルトコンベア131による搬送速度(基準搬送速度に対する倍率)を決定するためのパターン値とする。上述した通り、図7(a)のテーブルの定義による搬送速度のパターンの値は「1」〜「4」であるので、補正値(補正スコア)の合計値を加算したパターン値は「1」〜「8」のいずれかとなる。
【0080】
上述した補正値(補正スコア)とその合計値は、封入封緘コントローラ119の補正値算出部123(図6参照)が算出する。
【0081】
図7(e)は、上述した補正値(補正スコア)の合計値を図7(a)のテーブルによる搬送速度のパターンの値に加算したパターン値と、ベルトコンベア131による封書Mの搬送速度(基準搬送速度に対する倍率)との関係を定義するテーブルである。このテーブルにおいて、パターン1〜4については、図7(a)のテーブルによる定義内容と同じく、搬送速度を基準搬送速度のそれぞれ1.0倍(標準パターン)、1.2倍、1.4倍、1.6倍としている。また、図7(a)のテーブルにないパターン5〜8については、搬送速度を基準搬送速度のそれぞれ1.8倍、2.0倍、2.2倍、2.4倍としている。
【0082】
上述したパターン値に応じた封書Mの搬送速度(図5の上段の「速度2」)は、封書M内の内容物用紙P1の枚数に応じた図7(a)のテーブルに基づく封書Mの搬送速度と共に、封入封緘コントローラ119の動作パターン決定部125(図6参照)が決定する。
【0083】
図8は、封書M内の内容物用紙P1の枚数と、一対のサイドフェンス143,143が間欠的に接近離間する周期との関係を定義するテーブルである。封書M内に内容物用紙P1が封入されない場合(パターン1;標準パターン)は、一対のサイドフェンス143,143の間欠接近離間周期は0.5秒(s)に1回である。また、内容物用紙P1の封入枚数がそれぞれ1枚(パターン2)、2〜3枚(パターン3)、4〜5枚(パターン4)の間欠接近離間周期は、それぞれ1.0秒(s)に1回、1.5秒(s)に1回、2.0秒(s)に1回である。
【0084】
上述した封書M内の内容物用紙P1の枚数に応じたサイドフェンス143の間欠接近離間周期は、封入封緘コントローラ119の動作パターン決定部125(図6参照)が決定する。
【0085】
次に、封入封緘コントローラ119の制御に基づいた排紙動作を含む一連の処理の手順を。図9のフローチャートを参照して説明する。
【0086】
まず、封入封緘コントローラ119は、外部からの封書作成に関する印刷ジョブが入力されたか否かを、画像形成装置3の画像形成コントローラ37からの入力の有無に基づいて確認する(ステップS1)。入力されていない場合は(ステップS1でNO)、入力されるまで待機し、入力された場合は(ステップS1でYES)、封筒Eと内容物B(いずれも図1参照)を画像形成装置3から導入搬送路43を経て内容物用紙搬送路45と封筒用紙搬送路47とにそれぞれ搬送する(ステップS3)。
【0087】
そして、内容物形成部55(図1参照)において内容物用紙P1から内容物Bを作成しつつ(ステップS5)、一部同時進行で折り曲げ箇所P2a,P2bを折り曲げた封筒用紙P2に内容物Bを封入する(ステップS7)。そして、内容物Bを封入した封筒Eの両端部を封筒搬送路49の封緘ローラ対115で圧着封緘して封書Mとし、作成した封書Mを封書排出部117のベルトコンベア131上に排出する(ステップS9)。この封書Mの封書排出部117への排出と同期して、コンベアモータ137(排出モータ)の間欠動作によりベルトコンベア131を(図5の上段の「速度1」で)間欠駆動し、封書Mをベルトコンベア131により1ピッチ分間欠搬送する(ステップS11)。
【0088】
次に、印刷ジョブの設定数分の封書Mの排出を完了したか否かを確認し(ステップS13)、完了していない場合は(ステップS13でNO)、ステップS3にリターンする。完了した場合は(ステップS13でYES)、コンベアモータ137の連続動作時の速度とフェンスモータ145の間欠動作時の速度(間欠接近離間周期)の補正を行う(ステップS15)。この補正は、封入封緘コントローラ119の補正値算出部123と動作パターン決定部125(図6参照)が、画像形成コントローラ37から入力される内容物用紙P1の紙厚、枚数、折り方の情報や、封筒用紙P2の折り方の情報と、図7(a)〜(e)及び図8の各テーブルとを参照して、上述した手順で行う。
【0089】
最後に、補正後の速度によって、コンベアモータ137(排出モータ)を連続動作させると共に、補正後の間欠接近離間周期によって、フェンスモータ145の間欠動作させ(ステップS17)、エンドフェンス141と一対のサイドフェンス143,143の間に封書Mを整列させて、一連の手順を終了する。
【0090】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、図9のフローチャートにおけるステップS11が、請求項中の間欠移動手段に対応する処理となっている。また、本実施形態では、図9中のステップS13及びステップS17が、請求項中の連続移動手段に対応する処理となっている。さらに、本実施形態では、図9中のステップS15が、請求項中の速度補正手段に対応する処理となっている。
【0091】
また、本実施形態では、図9中のステップS17が、請求項中のフェンス駆動手段に対応する処理を兼ねており、図9中のステップS15が、請求項中の周期補正手段に対応する処理を兼ねている。
【0092】
このように構成された本実施形態の封入封緘装置5では、封書Mが排出される度にベルトコンベア131が一定のピッチ(間欠距離)ずつ間欠移動され、やがて、ベルトコンベア131上の封書Mがエンドフェンス141の設置箇所に到達して、エンドフェンス141の傾斜面141aによりすくい起こされる。すくい起こされた封書Mはエンドフェンス141によりそれ以上の下流側への搬送を規制されて、すくい起こされた姿勢のまま傾斜面141aに倒れかかった状態に保持され、搬送方向Xに並べて整列される。
【0093】
そして、印刷ジョブの最後の封書Mが排出されるとベルトコンベア131が連続移動され、最後の封書Mを含む全てのベルトコンベア131上の封書Mが、エンドフェンス141の傾斜面141aによりすくい起こされて、それ以上の搬送方向Xにおける下流側への搬送を規制される。この結果、各封書Mがすくい起こされた姿勢で搬送方向Xに並べて整列される。
【0094】
このため、ベルトコンベア131上の全ての封書Mをエンドフェンス141によりすくい起こし、ベルトコンベア131の搬送方向Xにスペースを取らずにコンパクトに整列させることができる。これにより、大量の封書Mをベルトコンベア131上に排出、貯留することができる。
【0095】
なお、本実施形態の封入封緘装置5では、封書Mの厚さに影響する内容物用紙P1の紙厚、枚数、折り方の情報や、封筒用紙P2の折り方の情報に基づいて、ベルトコンベア131による封書Mの連続搬送時の速度を補正するようにした。具体的には、封書Mの厚さが増して剛性が上がると、ベルトコンベア131上を封書Mが摺動する際の耐性が上がるので、封書Mの厚さが増すにつれて連続搬送時の速度を高くするようにした。
【0096】
このための構成は省略してもよいが、本実施形態のようにこの構成を設ければ、剛性の高い封書Mの排出時に、ベルトコンベア131による封書Mの搬送速度を高くして、印刷ジョブの全ての封書Mの排出、整列を、封書Mにダメージを与えることなく迅速化させることができる。
【0097】
ちなみに、ベルトコンベア131による封書Mの搬送速度の補正に際して参照するファクタは、本実施形態のように、図7(b)〜(d)の各テーブルに補正値(補正スコア)との関係が定義された、内容物用紙P1の紙厚、内容物用紙P1を内容物Bとする際の折り方、封筒用紙P2を封筒Eとする際の折り方のうち少なくとも1つに限っても良い。
【0098】
また、本実施形態の封入封緘装置5では、エンドフェンス141によって搬送方向Xに整列される封書Mを、一対のサイドフェンス143,143の間欠接近離間動作によって、搬送方向Xと直交する幅方向Yにおいても整列させる構成とした。そして、封書Mの厚さが増すほど、サイドフェンス143,143の接近離間周期を長くするようにした。
【0099】
このための構成は省略してもよいが、本実施形態のようにこの構成を設ければ、封書Mの幅方向Yにおける整列を効率よく行うことができる。即ち、内容物用紙P1の枚数が少ない場合は、枚数が多い場合に比べて封書Mが軽量となり、ベルトコンベア131上に排出される際に封書Mが幅方向Yに流される度合いが相対的に増す。よって、内容物用紙P1の枚数が少ない場合に多い場合よりもサイドフェンス143,143の接近離間周期が相対的に短くなるように、内容物用紙P1の枚数に応じてサイドフェンス143,143の接近離間周期を補正して、封書Mを幅方向Yに効率よく整列させることができる。
【0100】
なお、本実施形態では、封入封緘装置5と組み合わせて使用する画像形成装置3が、ワンパスのライン型インクジェットヘッドを有するインクジェット方式の印刷部9を有するものである場合を例に取って説明した。しかし、本発明は、インクジェット以外の方式による画像形成装置と組み合わせて使用する封入封緘装置についても適用可能である。また、画像形成装置と組み合わせず単体で使用する封入封緘装置についてももちろん適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 画像形成システム
3 画像形成装置
5 封入封緘装置
7,41 筐体
9 印刷部
11A,11B,11C,11D インクヘッド
13 印刷搬送路
15 内容物用紙給紙部
17,25 給紙トレイ
19,27 給紙ローラ
21,29 給紙搬送路
21a 分岐部分
23 封筒用紙給紙部
31 カセット
33 スイッチバック搬送路
35 連絡搬送路
37 画像形成コントローラ
39 操作パネル
43 導入搬送路
45 内容物用紙搬送路
47 封筒用紙搬送路
49 封筒搬送路
51 整合部
55 内容物形成部
57,75,87 主折りローラ
59,77,89 導入ローラ
61,67,79,91,99 ガイド板
63,69,81,93,101 突当て部材
65,95 中間ローラ
71,83,103 導出ローラ
73 前折り部
85 封筒形成部
97 封筒用紙センサ
105 内容物送出部
107 送出ローラ対
109 送出モータ
111 内容物センサ
113 封緘部
115 封緘ローラ対
117 封書排出部
119 封入封緘コントローラ
121 テーブル記憶部
123 補正値算出部
125 動作パターン決定部
127 排紙動作制御部
131 ベルトコンベア
133a,133b プーリ
133c ガイドプーリ
135 無端ベルト
135a 突起
137 コンベアモータ
139 エンコーダ
139a スリット円板
139b 光センサ
141 エンドフェンス
141a 傾斜面
143 サイドフェンス
145 フェンスモータ
B 内容物
E 封筒
M 封書
P1 内容物用紙
P1a,P1b 折り曲げ箇所
P2 封筒用紙
P2a,P2b,P2c 折り曲げ箇所
X 搬送方向
Y 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに基づいて、内容物を封筒に封入して封緘した封書を作成しベルトコンベア上に排出する封入封緘装置において、
前記ベルトコンベアの搬送方向における下流側の所定箇所に固定配置され、該ベルトコンベアとの離間距離が前記搬送方向の下流側に向かうに連れて増える傾斜面を有し、前記所定箇所に接近した前記ベルトコンベア上の前記封書を前記傾斜面によりすくい起こすエンドフェンスと、
前記封書を前記ベルトコンベア上に排出する度に、排出する封書の一部に次に排出する封書が重なるような所定の間欠距離だけ、前記ベルトコンベアを間欠移動させる間欠移動手段と、
前記印刷ジョブの最後の封書を前記ベルトコンベア上に排出した後に、少なくとも前記印刷ジョブの最後の封書を前記傾斜面によりすくい起こすのに十分な所定の整列距離だけ、前記ベルトコンベアを連続移動させる連続移動手段と、
を備えることを特徴とする封入封緘装置。
【請求項2】
前記内容物及び前記封筒のうち少なくとも一方の仕様に基づいて、前記連続移動手段による前記ベルトコンベアの前記整列距離の連続移動速度を補正する速度補正手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の封入封緘装置。
【請求項3】
前記内容物の仕様は、内容物用紙の紙厚、枚数、折り方のうち少なくとも1つを含んでおり、前記封筒の仕様は、封筒用紙の折り方を含んでいることを特徴とする請求項2記載の封入封緘装置。
【請求項4】
前記搬送方向と直交する前記ベルトコンベアの幅方向に間隔をおいて配置され、前記幅方向において接近離間することで前記傾斜面によりすくい起こした前記封書を前記幅方向に整列させる一対のサイドフェンスを前記幅方向に接近離間させるフェンス駆動手段と、前記内容物の仕様に基づいて、前記フェンス駆動手段による前記一対のサイドフェンスの前記幅方向への接近離間周期を補正する周期補正手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1、2又は3記載の封入封緘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−71354(P2013−71354A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212821(P2011−212821)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)