説明

封印シール付き伝票とその使用方法及び貴重品配送システム

【課題】従来の配送伝票の無駄なスペースを省きながら、貴重品などの配送に対して高い安全性を確保でき、しかも、特殊な設備は必要なく、低コスト化が可能な封印シール付き伝票とその使用方法及び貴重品配送システムを提供する。
【解決手段】封印シール付き伝票10は、伝票本体11とタック紙14とが、擬似接着層によって剥離可能に接着された多pt方式の配送伝票であり、伝票本体11は、識別番号や識別記号などの第1の識別情報12と、必要事項を記入するための記入欄13とを備え、タック紙14は、タック基材15、粘着剤層16及び剥離紙17が順に積層された積層ラベルであり、2つの封印シール18を備え、封印シール18は、ハーフカットhcによって、タック基材15の一部を区画して分離可能に設けられ、第1の識別情報12と同一の第2の識別情報19を備え、伝票本体11と封印シール18とを配送物に貼付し、この状態で配送物を配送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴重品を配送するのに好適な封印シール付き伝票とその使用方法及び貴重品配送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配送伝票は、主として、筆記による複写構造を有する多pt(パート)方式と、デジタルデータの複写による1pt方式の2種がある(例えば、特許文献1)。
いずれの形態も、一般的には、配送物に伝票本体が貼付できるようにタック紙が設けられている。
【0003】
一方、貴重品の集配を集配業者に委託する場合に、安全性を高めることができる貴重品集配方法なども知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
しかし、上述した従来の配送伝票は、多pt方式の場合には、最終枚目にタック紙が配置されているが、このタック紙には、ナンバーだけが設けられており、ナンバー以外の部分は、白紙状態となっており、有効利用されていない。
【0005】
また、1pt方式の場合にも、最終枚目にタック紙が配置されているが、このタック紙には、剥離可能な配達票が形成され、約款や営業所の連絡先などが印刷されているものの、剥離不可能な貼付票は、全面が1枚目の伝票基材と接着されており、やはり、有効利用されていなかった。
【0006】
一方、特許文献2のものは、集配スケジュールを管理し、各当事者に貴重品の集配スケジュールを通知することによって、集配スケジュールが第三者に漏洩することを防止しているものであるが、貴重品の保護や、配送中の安全面に関しては、十分に対応がとられていない可能性があった。
【0007】
また、特許文献2のものは、予約管理装置、集配計画作成装置、集配センタ装置、予約装置などといった様々な装置を導入しなくてはならず、このようなシステムを導入するには、コストがかかりすぎてしまう可能性もあった。
【特許文献1】特開2001−255822号公報
【特許文献2】特開2002−087521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、従来の配送伝票の無駄なスペースを省きながら、貴重品などの配送に対して高い安全性を確保でき、しかも、特殊な設備は必要なく、低コスト化が可能な封印シール付き伝票とその使用方法及び貴重品配送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、第1の識別情報(12)を有する伝票本体(11)と、前記伝票本体(11)の少なくとも一部に、擬似接着層及び/又は接着層を介して設けられた第1の基材(15)と、前記第1の基材(15)に粘着剤層(16)を介して剥離可能に設けられた第2の基材(17)と、前記第1の基材(15)の一部を区画して分離可能に設けられ、前記第1の識別情報(12)と少なくとも一部が同一又は関連性のある第2の識別情報(19)を有し、前記第2の基材(17)を剥離したときには、その第2の基材(17)側に残る少なくとも1つの封印シール部(18)と、を備える封印シール付き伝票である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の封印シール付き伝票において、前記封印シール部(18)は、被着体に貼付した後には、剥離の有無が確認可能であること、を特徴とする封印シール付き伝票である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の封印シール付き伝票において、前記第1の基材(15)、前記粘着剤層(16)及び前記第2の基材(17)は、タック基材、粘着剤層及び剥離シートが順に積層されたタックシート(14)であること、を特徴とする封印シール付き伝票である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の封印シール付き伝票(10)を使用する封印シール付き伝票の使用方法において、前記第2の基材(17)を剥離して前記伝票本体(11)を配送物に貼付し、前記第2の基材(17)に残った前記封印シール部(18)を剥離して前記配送物に貼付し、この状態で前記配送物を配送すること、を特徴とする封印シール付き伝票の使用方法である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の封印シール付き伝票(10)を使用する貴重品配送システムにおいて、配送元に設けられ、前記各識別情報(12、19)を読み取る第1の読取部(201)と、前記第1の読取部(201)が読み取った各識別情報(12、19)を記憶する記憶部(202)と、配送先に設けられ、前記各識別情報(12、19)を読み取る第2の読取部(301)と、前記記憶部(202)が記憶している各識別情報(12、19)と前記第2の読取部(301)が読み取った各識別情報(12、19)とを比較し、配送の前後で各識別情報(12、19)が適正に整合しているか否かを確認する確認部(302)と、を備える貴重品配送システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、伝票本体と封印シール部とに、少なくとも一部が同一又は関連性のある識別情報を設けているので、両者を容易に紐付けすることができ、配送物を配送した後には、マッチング作業も容易に行え、貴重品などの配送に対して高い安全性を確保できる。
【0011】
また、封印シール部は、第1の基材の一部を区画して、分離可能に設けられているので、従来の配送伝票の無駄なスペースを省くことができる。
【0012】
さらに、封印シール部は、被着体に貼付した後には、剥離の有無が確認可能であるので、不正な開封や識別情報の改ざんなどを防止することができ、貴重品などの配送に好適である。
【0013】
さらにまた、相互に紐付けられている伝票本体と封印シール部とを貼付して配送物を配送するので、配送中の安全性を確保しながら、貴重品を配送することができる。
【0014】
一方、貴重品配送システムは、安全性の高い封印シール付き伝票を使用するので、最低限の設備投資で済み、特殊な設備は必要なく、低コスト化が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、従来の配送伝票の無駄なスペースを省きながら、貴重品などの配送に対して高い安全性を確保でき、しかも、特殊な設備は必要なく、低コスト化が可能な封印シール付き伝票とその使用方法及び貴重品配送システムを提供するという目的を、伝票本体と、最終枚目のタック紙に内蔵した封印シールとに同一の識別情報を設け、伝票本体と封印シールとを配送物に貼付して、配送物を配送することにより実現する。
【実施例】
【0016】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例について、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明による封印シール付き伝票の実施例を示す図であり、図2は、剥離した状態の剥離紙を示す図である。
本実施例の封印シール付き伝票10は、貴重品を配送するための多pt方式の配送伝票であり、伝票本体11と、最終枚目に配置されたタック紙(タックシート)14とが、擬似接着層によって部分的に剥離可能に接着されている。
【0017】
伝票本体11は、貴重品が封入されている荷物などの配送物に貼付するものであって、複数枚の用紙が積層されており、識別番号(例えば、01234−5678−9012)や識別記号(例えば、バーコード)などの第1の識別情報12と、必要事項を記入するための記入欄13とを備える。
【0018】
タック紙14は、タック基材(第1の基材)15、粘着剤層16及び剥離紙(第2の基材、剥離シート)17が順に積層された積層ラベルであり、2つの封印シール(封印シール部)18を備える。
【0019】
封印シール18は、上述した伝票本体11とともに、配送物に貼付するものであり、タック基材15の表面から剥離紙17を貫通しないように設けられたハーフカットhcによって、タック基材15の一部を区画して分離可能に設けられ、第1の識別情報12と同一の第2の識別情報19を備える。
【0020】
また、封印シール18は、配送物(被着体)に貼付した後には、剥離の有無が確認可能な切込みラベルであり、具体的には、封印シール18の内部の四隅に、「くの字」状の切込み20が設けられ、ラベルを剥離すると、その切込み20によってラベルの一部が破壊され、再貼付しても剥離(開封)した痕跡が残るものである。
【0021】
(使用方法)
次に、本実施例による封印シール付き伝票10の使用方法を説明する。
(#1)伝票本体11の記入欄13に必要事項を記入し、控片などを手渡しする。
(#2)タック紙14の剥離紙17を剥離し、伝票本体11を配送物の所定の位置に貼付する。
ここで、剥離紙17を剥離したときには、図2に示すように、封印シール18は、剥離紙17側に残る。
【0022】
(#3)剥離紙17側に残った封印シール18を剥離し、配送物の開封予定位置などの要所に貼付する。
(#4)この状態で配送物を配送(配達)する。
【0023】
(#5)配送先(届け先)で、封印シール18が正常に貼付されていることと、伝票本体11の第1の識別情報12と封印シール18の第2の識別情報19とが同一であることを確認してもらう。
(#6)封印シール18が正常に貼付されており、かつ、識別情報が同一であることを確認してもらったうえで、受領印をもらう。
【0024】
(#7)これで、配送は完了するが、不審な点(例えば、開封の痕跡ありなど)がある場合には、配送先から配送元の依頼主に確認をすれば、識別情報の整合性を確認することができる。
【0025】
(システム)
次に、図1及び図3を参照しながら、本発明による貴重品配送システムについて説明する。
図3は、本発明による貴重品配送システムの実施例を示す図である。
本実施例の貴重品配送システム100は、上述した使用方法でのやりとりをシステム化したものであり、配送元端末200と、配送先端末300と、ネットワーク400などとを備える。
【0026】
配送元端末200は、パーソナルコンピュータなどの端末であり、伝票本体11の第1の識別情報12、及び、封印シール18の第2の識別情報19を読み取る第1のリーダ(第1の読取部)201と、第1のリーダ201が読み取った各識別情報を記憶するデータベース(記憶部)202とを備える。
【0027】
配送先端末300は、配送元端末200と同様の端末であり、配送されてきた伝票本体11の第1の識別情報12、及び、配送されてきた封印シール18の第2の識別情報19を読み取る第2のリーダ(第2の読取部)301と、配送の前後での各識別情報の整合性を確認する確認部302とを備える。
【0028】
ネットワーク400は、インターネットなどの通信手段であり、配送元端末200と配送先端末300とを接続している。
【0029】
そして、配送物を配送する場合は、まず、配送元の第1のリーダ201で各識別情報を読み取り、ついで、実際に配送物を配送し、最後に、配送先の第2のリーダ301で各識別情報を読み取る。
【0030】
ここで、確認部302は、データベース202が記憶している各識別情報と、第2のリーダ301が読み取った各識別情報とを比較し、配送の前後で各識別情報が適正に整合しているか否かを確認する。確認結果は、配送先端末300の表示画面などに表示するとよい。
【0031】
このように、本実施例によれば、以下のような効果がある。
(1)伝票本体11と封印シール18とに、同一の識別情報12、19を設けているので、両者を容易に紐付けすることができ、配送物を配送した後には、マッチング作業も容易に行え、貴重品などの配送に対して高い安全性を確保できる。
(2)封印シール18は、最終枚目のタック紙14に内蔵されているので、従来の配送伝票の無駄なスペースを省くことができ、また、封印シールを別途用意する必要はなく、利用者の利便性も向上する。
【0032】
(3)封印シール18は、配送物に貼付した後には、剥離の有無が確認可能な切込みラベルであるので、不正な開封や識別情報の改ざんなどを防止することができ、不正行為が介在した場合には、その事実が確認できる。
(4)相互に紐付けられている伝票本体11と封印シール18とを貼付して配送物を配送するので、配送中の安全性を確保しながら、貴重品を配送することができる。
【0033】
(5)封印シール18は、2つあるので、開封を予定している部分が複数箇所ある場合には、その複数箇所に貼付することができ、使い勝手がよい。
(6)貴重品配送システム100は、上述した封印シール付き伝票10を使用するので、端末とリーダなどといった最低限の設備投資で済み、特殊な設備は必要なく、低コスト化が可能である。
【0034】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
例えば、封印シール18は、2つ設ける例で説明したが、製造しやすくするために、1つでもよく、また、安全性を高めるために、3つ以上であってもよい。封印シール18を3つ以上設ける場合には、タック紙14が孔あき状態となるため、配送物への接着性が若干低下するので、伝票本体11のサイズにもよるが、最大6つ程度が好ましい。
【0035】
また、本実施例では、多pt方式の配送伝票の例で説明したが、伝票基材/接着層/タック紙といった1pt方式の配送伝票であっても、本実施例と同様の効果が得られる。
【0036】
さらに、伝票本体11や封印シール18には、同一の識別情報を設ける例で説明したが、関連性のある識別情報を設けるようにしてもよい。このようにすれば、当事者にしか、その関係がわからないので、安全性がさらに高まる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による封印シール付き伝票の実施例を示す図である。
【図2】剥離した状態の剥離紙を示す図である。
【図3】本発明による貴重品配送システムの実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10 封印シール付き伝票
11 伝票本体
12 第1の識別情報
13 記入欄
14 タック紙(タックシート)
15 タック基材(第1の基材)
16 粘着剤層
17 剥離紙(第2の基材、剥離シート)
18 封印シール(封印シール部)
19 第2の識別情報
20 切込み
100 貴重品配送システム
200 配送元端末
201 第1のリーダ(第1の読取部)
202 データベース(記憶部)
300 配送先端末
301 第2のリーダ(第2の読取部)
302 確認部
400 ネットワーク
hc ハーフカット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の識別情報を有する伝票本体と、
前記伝票本体の少なくとも一部に、擬似接着層及び/又は接着層を介して設けられた第1の基材と、
前記第1の基材に粘着剤層を介して剥離可能に設けられた第2の基材と、
前記第1の基材の一部を区画して分離可能に設けられ、前記第1の識別情報と少なくとも一部が同一又は関連性のある第2の識別情報を有し、前記第2の基材を剥離したときには、その第2の基材側に残る少なくとも1つの封印シール部と、
を備える封印シール付き伝票。
【請求項2】
請求項1に記載の封印シール付き伝票において、
前記封印シール部は、被着体に貼付した後には、剥離の有無が確認可能であること、
を特徴とする封印シール付き伝票。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の封印シール付き伝票において、
前記第1の基材、前記粘着剤層及び前記第2の基材は、タック基材、粘着剤層及び剥離シートが順に積層されたタックシートであること、
を特徴とする封印シール付き伝票。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の封印シール付き伝票を使用する封印シール付き伝票の使用方法において、
前記第2の基材を剥離して前記伝票本体を配送物に貼付し、前記第2の基材に残った前記封印シール部を剥離して前記配送物に貼付し、この状態で前記配送物を配送すること、
を特徴とする封印シール付き伝票の使用方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の封印シール付き伝票を使用する貴重品配送システムにおいて、
配送元に設けられ、前記各識別情報を読み取る第1の読取部と、
前記第1の読取部が読み取った各識別情報を記憶する記憶部と、
配送先に設けられ、前記各識別情報を読み取る第2の読取部と、
前記記憶部が記憶している各識別情報と前記第2の読取部が読み取った各識別情報とを比較し、配送の前後で各識別情報が適正に整合しているか否かを確認する確認部と、
を備える貴重品配送システム。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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