説明

封止装置

【課題】舶用コンテナの床面のように、略T字状断面を有する複数のレール状部材間の隙間を簡易にかつより確実に埋めて、コンテナ内部を密封状態に区画することを可能とする。
【解決手段】平行間隔をあけて配列された略T字状断面を有する複数のレール状部材間に形成された溝を埋める封止装置1であって、伸縮可能なスポンジ部材を、該スポンジ部材より気密性の高いシート部材2で被覆してなるとともに、溝の内側断面形状と略相似でかつ若干大きい寸法まで伸張可能である一方、溝の開口部Cの間隙寸法より小さい寸法まで収縮可能な横断面形状を有する封止部3と、該封止部3の幅方向の略中央に配置され、開口部Cの間隙寸法より小さい幅寸法を有する狭幅部5と、封止部3から狭幅部5に向かって漸次先細になり、封止部3と狭幅部5とを接続する傾斜部4とを備える封止装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテナ内に設置されて、内部空間を区画し、冷蔵と冷凍のような異なる環境をコンテナ内に作るための間仕切りが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この間仕切りは、その周縁に配置されたスポンジからなるパッキンの弾性によってコンテナの内壁(床、側壁および天井面)に密着させられることにより、コンテナの内部空間を区画するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−331628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、舶用のコンテナの場合には、積み荷による空気の流通が遮断されてしまうことを防止するために、略T字状断面を有する複数のレール状部材が平行間隔をあけて配列された底面を備えるのが一般的である。このため、通常のコンテナ用の間仕切りを使用してもレール状部材間の隙間を埋めることができず、長期にわたる航海中にコンテナ内に異なる環境を作り続けることができないという不都合がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、舶用コンテナの床面のように、略T字状断面を有する複数のレール状部材間の隙間を簡易にかつより確実に埋めて、コンテナ内部を密封状態に区画することを可能とする封止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、平行間隔をあけて配列された略T字状断面を有する複数のレール状部材間に形成された溝を埋める封止装置であって、伸縮可能なスポンジ部材を、該スポンジ部材より気密性の高いシート部材で被覆してなるとともに、前記溝の内側断面形状と略相似でかつ若干大きい寸法まで伸張可能である一方、前記溝の開口部の間隙寸法より小さい寸法まで収縮可能な横断面形状を有する封止部と、該封止部の幅方向の略中央に配置され、前記開口部の間隙寸法より小さい幅寸法を有する狭幅部と、前記封止部から前記狭幅部に向かって漸次先細になり、前記封止部と前記狭幅部とを接続する傾斜部とを備える封止装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、溝内に挿入する際に、狭幅部を前方にして溝の開口部に挿入すると、開口部の幅寸法より小さい幅寸法の狭幅部が、変形を伴うことなく簡単に溝内に挿入される。そして、この状態からさらに挿入を続けると、挿入の途中で、傾斜部が溝の開口部の縁に当たり、縁から受ける力によって、内部のスポンジ部材が収縮させられ、傾斜部およびそれに接続する封止部が徐々に収縮させられて溝内に挿入されていく。
【0008】
溝の開口部を通過する際に収縮させられていた封止部は、完全に溝の開口部を通過すると、伸張して元の形状に復元しようとする。伸張した状態で溝の内側断面形状と略相似で若干大きい寸法を有する封止部は、溝の内側で伸張することによって、溝の内壁に全周にわたって密着させられる。これにより、スポンジ材料を被覆しているシート部材によって、溝内を密封することができる。
【0009】
一方、溝内から取り出す際には、幅方向に略中央に配置された狭幅部が溝の開口部から見える位置に配置されるので、この狭幅部を把持して溝の開口部の外側に引き出す力を加える。これにより、挿入時と同様にして、溝の開口部の縁に当たった傾斜部から封止部が順次収縮させられて、開口部を通過させられ、容易に取り出すことができる。
【0010】
さらに、傾斜部によって封止部から狭幅部に向かって漸次先細に形成されているので、溝内に収容された状態で、狭幅部を前方とした移動を容易に行うことができる。これにより、溝内における位置決め作業を挿入後に行うことができる。
【0011】
上記発明においては、前記封止部が、略一定の横断面形状を有する直棒状に形成され、前記狭幅部が、前記封止部の少なくとも一端側に設けられ、前記傾斜部が、前記封止部の幅方向の両側面から幅方向中央に向かって傾斜する傾斜面を備えていてもよい。
また、上記発明においては、前記封止部が、正方形の横断面形状を有していてもよい。
【0012】
また、上記発明においては、前記傾斜部が、前記封止部の高さ方向の両側面から高さ方向中央に向かって傾斜する傾斜面を備えていてもよい。
封止部の横断面形状を正方形として、封止部の幅方向および高さ方向の両側面からそれぞれ幅方向中央および高さ方向中央に向かって傾斜する傾斜面を備えることで、溝内に挿入する際に、長手軸回りの回転方向を気にすることなく、いずれの方向でも挿入することができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記狭幅部に、幅方向に把持可能な把持部を備えていてもよい。
このようにすることで、特に、溝内からの取り出し作業の際に、把持部を把持することによって狭幅部に容易に力を加えることができ、取り出し作業をさらに容易にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、舶用コンテナの床面のように、略T字状断面を有する複数のレール状部材間の隙間を簡易にかつより確実に埋めて、コンテナ内部を密封状態に区画することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る封止装置を示す斜視図である。
【図2】図1の封止装置を略T字状横断面形状を有するレール間の溝に挿入する動作を説明する斜視図である。
【図3】図2の動作を説明する側面図である。
【図4】図1の封止装置が溝内に収容された状態を示す側面図である。
【図5】図1の封止装置が、複数のレール間の複数の溝にそれぞれ収容された状態を示す斜視図である。
【図6】図4のように溝内に収容された封止装置を溝内から取り出す動作を説明する側面図である。
【図7】図1の封止装置の第1の変形例を示す斜視図である。
【図8】図1の封止装置の第2の変形例を示す斜視図である。
【図9】図1の封止装置の第3の変形例を示す斜視図である。
【図10】図1の封止装置の第4の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る封止装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る封止装置1は、ウレタン等の伸縮可能なスポンジ部材(図示略)の表面を、塩化ビニルシートのような気密性が高く柔軟なシート部材2で被覆することにより構成されている。
【0017】
封止装置1は、図1に示されるように、正方形の横断面形状を有する4角柱状の封止部3と、該封止部3の長手方向の一端から先端に向かって漸次先細に形成される傾斜部4と、該傾斜部4の先端部に配置された十分に幅寸法の小さい狭幅部5と、該狭幅部5に設けられた帯状の把持部6とを備えている。
【0018】
封止部3は、図1に示される拡張した状態で、図2に示されるような略T字状横断面のレール状部材A間に形成されている溝Bの内側断面形状より若干大きな横断面形状を有している。また、封止部3は、レール状部材A間の溝Bの開口部Cの幅寸法より小さい幅寸法まで収縮可能である。
狭幅部5は、レール状部材A間の溝Bの開口部Cの幅寸法より十分に小さい幅寸法を有している。
【0019】
傾斜部4は、図1に示されるように、封止部3の長手方向の一端側に、封止部3の幅方向の両側面から先端に向かって幅方向に漸次近接していく2つの傾斜面4a,4bによって構成されている。
狭幅部5は、傾斜部4を構成する2つの傾斜面4a,4bの交差する位置近傍に設けられている。2つの傾斜面4a,4bは封止部3の幅方向の略中央で交差しているため、狭幅部5は幅方向の略中央に配置されている。
把持部6は、スポンジ部材を被覆するシート部材2のみを狭幅部5の先端からさらに先端側に突出させるように構成されている。
【0020】
このように構成された本実施形態に係る封止装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る封止装置1を用いて、略T字状横断面のレール状部材A間の溝Bを埋めるには、図2に示されるように、封止装置1の把持部6側を前方にしてレール状部材A間の溝Bの開口部Cの外側から内側に斜めに挿入する。
【0021】
把持部6は、開口部Cの幅寸法に対して十分に小さい幅寸法の狭幅部5に設けられているので、把持部6側を前方にして挿入すると、狭幅部5の一部が開口部Cから溝B内に入る。封止部3は開口部Cの幅寸法より大きな幅寸法を有しているので、2つの傾斜面4a,4bの縁が、溝Bの開口部Cの縁に突き当たる。
【0022】
この状態で、封止部3を長手方向前方に押すと、開口部Cの縁に突き当たっていた傾斜面4a,4bの縁から傾斜部4が次第に潰れて、溝B内に挿入されていく。そして、図3に示されるように、封止部3が開口部Cに到達した時点では、封止部3の幅寸法も開口部Cの幅寸法まで収縮させられて開口部Cを通過可能となり、順次溝B内に挿入されていくことになる。すなわち、封止部3を幅方向に圧縮しながら押し込まなくても、開口部Cに挿入される傾斜面4a,4bが挿入されるに従って順次圧縮されていくことによって、封止部3も順次収縮させられて溝B内に挿入することができる。
【0023】
そして、封止部3全体が挿入されるまで押し続けることにより、図4および図5に示されるように、封止装置1全体が、略T字状横断面形状を有するレール状部材A間の溝B内に収容される。
封止部3は、溝Bの開口部Cを通過して溝B内に入ると、開口部Cの幅寸法より広い溝B内において伸張する。封止部3は、溝Bの内側断面形状より若干大きな横断面形状を有しているので、伸張することによって溝Bの内面にシート部材2を押し付けるようにスポンジ部材が拡張して、溝B内の横断面全体を埋めるようになる。
【0024】
図5に示されるように、封止装置1は、溝Bの長手方向に直交する方向に並ぶように全ての溝B内に収容される。そして、このようにして、溝B内に収容された封止装置1によって、溝Bが埋められた状態で、その配列方向に沿う方向に間仕切り部材Dを配置することにより、間仕切り部材Dによって、レール状部材Aの長手方向に空間を密封状態に区画することが可能となる。
【0025】
また、溝B内から封止装置1を取り外す際には、溝Bの開口部Cの幅方向の中央位置に露出している把持部6を把持して、図6に示されるように開口部Cの外側に引き出す。これにより、封止装置1を溝C内に挿入する際と同様にして、開口物Cの縁に傾斜面4a,4bの縁を押し当てて、傾斜部4を収縮させ、次いで、封止部3を収縮させて、溝B内から容易に取り出すことができる。
【0026】
このように、本実施形態に係る封止装置1によれば、略T字状横断面形状を有するレール状部材A間に形成される溝Bのように、開口部Cより内側が広い溝Bに容易に挿入することができて、溝B内の空間を容易に密封状態に区画することができるとともに、そのような溝B内から容易に取り出すことができるという利点を有する。
【0027】
なお、本実施形態においては、2つの平面状の傾斜面4a,4bによって傾斜部4を構成し、その交差位置近傍に狭幅部5を構成することとしたが、これに代えて、図7に示されるように、円弧状の曲面4’によって傾斜部4を構成してもよい。また、傾斜面4a,4bの交わる部分に狭幅部5を配置したが、図8に示されるように、先端に設けた平坦面によって狭幅部5を構成することにしてもよい。
【0028】
また、図9に示されるように、略正方形の横断面形状を有する封止部3の4つの側面から、中央に向かって延びる4つの傾斜面4a,4b,4c,4dによって傾斜部4を構成することにしてもよい。このようにすることで、挿入時に長手軸回りの回転位置を気にすることなく挿入することができるという利点がある。
【0029】
また、図10に示されるように、封止部3の両端に傾斜部4、狭幅部5および把持部6を設けることにしてもよい。このようにすることで、いずれの方向からも溝B内への挿入および溝B内からの取り出しを行うことができる。また、溝B内に収容された状態においては、いずれの方向への移動も容易に行うことができるという利点がある。
【0030】
また、本実施形態においては、封止部3として、略正方形の横断面形状を有する直棒状の形態のものを例示したが、これに代えて、レール状部材A間に形成される溝Bの横断面形状に合わせるような任意の横断面形状のものを採用してもよい。
【符号の説明】
【0031】
A レール状部材
B 溝
C 開口部
1 封止装置
2 シート部材
3 封止部
4 傾斜部
4a,4b,4c,4d 傾斜面
4’ 曲面(傾斜面)
5 狭幅部
6 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行間隔をあけて配列された略T字状断面を有する複数のレール状部材間に形成された溝を埋める封止装置であって、
伸縮可能なスポンジ部材を、該スポンジ部材より気密性の高いシート部材で被覆してなるとともに、
前記溝の内側断面形状と略相似でかつ若干大きい寸法まで伸張可能である一方、前記溝の開口部の間隙寸法より小さい寸法まで収縮可能な横断面形状を有する封止部と、
該封止部の幅方向の略中央に配置され、前記開口部の間隙寸法より小さい幅寸法を有する狭幅部と、
前記封止部から前記狭幅部に向かって漸次先細になり、前記封止部と前記狭幅部とを接続する傾斜部とを備える封止装置。
【請求項2】
前記封止部が、略一定の横断面形状を有する直棒状に形成され、
前記狭幅部が、前記封止部の少なくとも一端側に設けられ、
前記傾斜部が、前記封止部の幅方向の両側面から幅方向中央に向かって傾斜する傾斜面を備える請求項1に記載の封止装置。
【請求項3】
前記封止部が、正方形の横断面形状を有する請求項2に記載の封止装置。
【請求項4】
前記傾斜部が、前記封止部の高さ方向の両側面から高さ方向中央に向かって傾斜する傾斜面を備える請求項2または請求項3に記載の封止装置。
【請求項5】
前記狭幅部に、幅方向に把持可能な把持部を備える請求項1から請求項4のいずれかに記載の封止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−195145(P2011−195145A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60394(P2010−60394)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(594016768)アンクラジャパン株式会社 (17)
【Fターム(参考)】