説明

封緘印

【課題】封筒等のとじ目等に対して粘着ラベルなしで封緘できる封緘印の提供、および無地の粘着ラベルに押印するだけで、再貼付防止用の切り込み(タンパープルーフカット)付きの封緘シールが自作できる封緘印の提供。
【解決手段】封緘印はケーシング2内に設けられたスタンプ9と、ケーシング2の開口部側に収納されたカット用刃10と、カット用刃10を受承する第一のばね11と、第一のばねよりも弱いばね係数でスタンプ9を受承する第二のばね12とからなり、カット用刃10をスタンプ9の印面9Aよりも前側に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒のとじ目等に封印を押すのに好適な封緘印に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、封筒のとじ目等に貼る封緘シールは知られている。
しかし、その殆どが、工場で加工された粘着シート(粘着ラベル)を使用するものであった。
【特許文献1】特開平8−137397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、封筒等のとじ目等に対して粘着ラベルなしで封緘できる封緘印の提供を目的とする。また、本発明は、無地の粘着ラベルに押印するだけで、再貼付防止用の切り込み(タンパープルーフカット)付きの封緘シールが自作できる封緘印の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明が採用する構成は、筒状のケーシングと、該ケーシング内に設けられたスタンプと、該ケーシングの開口部側に収納されたカット用刃と、該カット用刃を受承する第一の緩衝手段と、前記第一の緩衝手段よりも弱いばね係数で前記スタンプを受承する第二の緩衝手段とからなり、前記カット用刃をスタンプの印面よりも前側に配置したことを特徴とする。
【0005】
上記構成より、封緘印で紙面に押印すれば、カット用刃が紙面に到達し、第一の緩衝手段が変形した後にスタンプの印面が紙面に到達するので、紙面には貼り合わせ面を無理に剥がせば紙が破れるような傷(タンパープルーフカット)が形成される。カット用刃で傷が形成された後にスタンプで押印されるので、印影がにじんだり潰れたりするのが防止できる。
【0006】
ここで、上記スタンプに改ざん防止用の安全インキを備えたインキ吸蔵タイプのスタンプを用いれば、溶剤やインク消しで封緘印を剥がしたり消したりしようと試みると、印影が変色や退色して改ざん行為を阻止できる。
【0007】
この場合、さらに上記カット用刃がスタンプの印影と重なるように配置すると、溶剤やインク消しが紙に素早く染み込んで印影を変色退色させるので一段と効果的である。
【0008】
また、上記第二の緩衝手段が作動したときに音、光、低周波振動などで動作確認を報知する報知手段を設けると、確実にカット用刃で紙面に切れ目が形成でき、印影も綺麗に押印される。カット用刃で紙面に傷を付けるのに要する力と、スタンプの押印に要する力の大きさが違うので、この差を埋めて確実に押印できるようになる。
【発明の効果】
【0009】
封筒等のとじ目等に対して粘着ラベルなしで封緘できる封緘印が提供される。
また、無地の粘着ラベルに押印するだけで、再貼付防止用の切り込み(タンパープルーフカット)付きの封緘シールが自作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1に示すは実施の形態に係る封緘印である。ケーシング2は、大径部3、小径部4、段部5、底部6を有する段付き筒状をなし、大径部3と小径部4の間にはねじを利用したカット用刃10の突出量調整機構が設けられており、ロックナット7を緩めて違いに回転させることで刃10の突出量(切り込みの深さ)が調整できる。
【0012】
8は保護環であり、刃10で怪我をしないようにしたり、スタンプ9のインクで汚れないようにするため設けられており、押印時には大径部3内に収容される。
【0013】
9はスタンプであり、シャチハタ(登録商標)型のインク内蔵タイプの印が好適に用いられるが、インクとしては、改ざん防止用の安全インキが好ましい。
【0014】
安全インキとは、小切手の金額記入欄や地紋などの印刷に改ざん防止の目的で使われる。退色型安全インキには、インキ消しで容易に色が消えるような塩基性染料を含む水性インキまたはモイスチャーセットインキが用いられ、凸版またはドライオフセットによって印刷される。水性インキのビヒクルは、アラビアゴム、デキストリン、水あめなど耐水性のない固着剤に、水、グリセリン、グリコール類などを加えてつくられる。ある種の有機アミンや硫酸マンガンはインキ消しによって酸化され、発色するので、発色型安全インキに利用される。油溶性染料をビヒクルに溶かしてつくった浸透乾燥型のインキで印刷したものは、紙の内部深くまでインキの色が入り込むため、くじの番号の改ざん防止などに利用される。蛍光増白染料や蛍光顔料を含むインキで印刷した印刷物に、暗所で紫外線を照射すると光って見えるので、偽造防止に役立てることができる。
【0015】
カット用刃10は、ステンレスやアルミナ、合成ルビー(サファイヤ)などの錆に強い素材で出来た刃が好適に用いられる。刃10は図3に示す如く、スタンプ9の陰影9Aと重なるように配置されている。なお、この印ではスタンプ9のインキと刃10とが離間しているので、刃10がインキで腐食される危険は小さいものである。
【0016】
11はカット用刃10を、12はスタンプ9を支持する緩衝手段としてのばねで、ばね11のばね係数が12のばね係数より大きくなっている。
【0017】
13はスタンプ9が押されたときに動作するライト、チャイムなどの報知手段であり、電気的なものに限らず、機械的なクリック感などを発生するものでもよい。
【0018】
封緘印1は以上のようなもので、図4に示すように剥離台紙15に仮着された無地の粘着ラベル14に対して押印すれば、ラベル14にタンパープルーフカットが形成され、このカットと安全インキからなる陰影が重なって形成されるので、溶剤による剥離やインキ消しによる消去に対する阻止力となる。
【0019】
また、図5に示すように、封筒16の合わせ目、フラップ17などに対しては、直接押印することで封緘印を形成できる。
【0020】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る封緘印の外観斜視図
【図2】図1中の矢示II-II方向断面図
【図3】図1の封緘印を下から見た印面を示す図
【図4】封緘印を無地のラベルに押して封緘ラベル(封緘シール)を作成する手順の説明図
【図5】封筒の合わせ目に封緘印を押した状態を示す説明図
【符号の説明】
【0022】
2…ケーシング、7…ロックナット(カット用刃の調整機構)、8…保護環、9…スタンプ、9A…印面、10…カット用刃、11…第一の干渉手段(ばね)、12…第二の干渉手段(ばね)、17…合わせ目、18…封緘印の陰影


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケーシングと、該ケーシング内に設けられたスタンプと、該ケーシングの開口部側に収納されたカット用刃と、該カット用刃を受承する第一の緩衝手段と、前記第一の緩衝手段よりも弱いばね係数で前記スタンプを受承する第二の緩衝手段とからなり、前記カット用刃をスタンプの印面よりも前側に配置したことを特徴とする封緘印。
【請求項2】
前記スタンプは、改ざん防止用の安全インキを備えたインキ吸蔵タイプのスタンプである、請求項1に記載の封緘印。
【請求項3】
前記カット用刃がスタンプの印影と重なるように配置した、請求項2に記載の封緘印。
【請求項4】
前記第二の緩衝手段が作動したときにクリック感、音、光、振動などで動作確認を報知する報知手段を設けた請求項1ないし請求項3に記載の封緘印。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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