導光フィルム及び導光フィルムを製作するための方法
導光フィルムが、構造化された主表面を有し、その構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を備える。各マイクロ構造は、第1の領域と、その第1の領域とは異なる第2の領域と、第1の領域における実質的に一定の高さと、その第1の領域における実質的に一定の高さよりも高い、第2の領域における一定でない最大高さと、第1の領域及び第2の領域における同じ横断面形状と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広義には導光フィルムに関し、具体的には、ディスプレイの輝度を改善する一方で、ディスプレイの欠陥及び光結合を低減及び/又は隠蔽するフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
バックライト方式ディスプレイにおいて、輝度向上フィルムは、視軸に沿って光を導く構造体を使用し、それによって、視聴者に知覚される光の輝度を増強する。導光フィルムの代表的な例が図1に示されている。このフィルム10は、アクリル、ポリカーボネート、紫外線硬化アクリレート、又は類似した材料など、好適な高分子材料から製造されてよく、平滑表面14と、その平滑表面の反対側の構造化表面12とを有している。構造化表面12は、フィルムの全長に広がる複数の頂部17及び溝部18を形成するように並べて配置された線状のプリズム状要素16の配列を有している。使用の際、このフィルムの平滑表面14に比較的高い入射角で入射した光は、フィルムの平滑表面14及び構造化表面12にて屈折され、平滑表面14に対して垂直な軸線に向かって方向を変えられる。加えて、臨界角を超える角度で構造化表面12に当たる光は、プリズム状要素16の両側面、つまり切子面20から全反射を受け、後退されるが、その光は反射要素によって再利用されてもよい。反射、屈折、及び全反射の組み合わせにより、フィルム10は、軸線上に導かれる光の量を増加させ、高角度で導かれる光の量を減少させる。
【0003】
導光フィルムの第2のシートは、視軸に沿って導かれる光の量を更に増加させるために、プリズム状要素を約90度で交差させて、第1のシートに隣接して配置されてもよい。図2は、分解図にて、導光フィルムの交差したシートの向きを示している。使用の際、上方シート10’の下方の平滑表面14’は、下方シート10の構造化表面12に接触するか、あるいはほぼ接触することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ディスプレイが長期間にわたって綿密に視聴される場合、非常に小さな欠陥でさえも裸眼で検出され、視聴者に混乱を生じさせることがある。例えば、「ウエットアウト」は、2つの表面が互いに光学的に接触する場合に発生し、それによって、ディスプレイの表面積全体にわたって光度の変動が生じる。輝度の高い範囲は、光結合が存在する範囲に対応し、輝度の低い範囲は、光結合が少ないことに対応しており、この変動はディスプレイが不均一な外観を有する原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特に、携帯型装置において利用される小型ディスプレイに関する技術の発展により、ディスプレイの輝度を実質的に維持する一方で、ディスプレイの欠陥をより効果的に隠蔽する光学フィルムの更なる開発が必要とされている。例えば、LCDパネルの透過性が上昇していること、LCDパネル及びバックライトにおいて拡散性が低下していること、並びに、携帯型装置において間隔の許容度が小さくなり、バックライト構造が極めて薄くなっていることにより、従来のパターン付きフィルムでは、効果的に防止及び/又はマスクすることができない小規模のディスプレイ欠陥が生じることがある。
【0006】
本開示において説明する導光フィルムは、マイクロ構造を上に配置したマイクロ構造化表面を有する。表面上の各マイクロ構造は、実質的に一定の高さを持つ第1の領域と、一定でない高さを持つ第2の領域とを有する。第2の領域の最大高さは第1の領域の一定の高さよりも高く、第1の領域及び第2の領域は同じ横断面形状を有する。
【0007】
第2の領域の高さは、マイクロ構造化表面と別のディスプレイ構成要素との間の光結合を減じるように選択され、それにより、この光学フィルムを組み込んだディスプレイにおいて、広範囲に及ぶウエットアウトが防止され、視認可能な線の発生が減じられる。各マイクロ構造上の第2の領域同士の間の周期、及び/又はマイクロ構造化表面上の第2の領域の密度は、フィルムの光学ゲインを実質的に保つ一方で、この光結合の低減をもたらすように選択される。第1の領域と第2の領域は同じ横断面形状を有するので、マイクロ構造化表面は容易に複製が可能であり、それにより、これらのフィルムは、より複雑な不規則パターンを持つフィルムと比べて、製造がより安価となる。
【0008】
一態様において、本開示は、構造化された主表面を有する導光フィルムに関する。構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を有する。マイクロ構造は、一定の高さを持つ第1の領域と、第1の領域に隣接する第2の領域とを有し、第2の領域は、一定でない高さ、及び第1の領域の一定の高さよりも高い最大高さを有する。第1の領域及び第2の領域は、同じ横断面形状を有する。
【0009】
別の態様において、本開示は、導光フィルムの第1のシートを有する導光物品に関する。導光フィルムの第1のシートは、構造化された主表面を有し、その構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を有する。マイクロ構造は第1の領域と第2の領域とを有し、第2の領域は、第1の領域とは異なり、かつ第1の領域に隣接する。マイクロ構造は、第1の領域における実質的に一定の高さ、及び、第2の領域における、第1の領域の一定の高さよりも約0.5〜約3マイクロメートル高い一定でない最大高さを有する。第1の領域及び第2の領域は、同じ横断面形状を有する。
【0010】
導光物品は、導光フィルムの第2のシートを更に有し、その導光フィルムは、実質的に平坦な表面と、その実質的に平坦な表面の反対側の構造化表面とを有する。実質的に平坦な表面は、導光フィルムの第1のシートの構造化表面に隣接する。導光フィルムの第2のシートの構造化表面は、第1の主軸に対しておおよそ垂直な第2の主軸に沿って延びる複数のマイクロ構造を有する。第1のシートと第2のシートとの間の光結合は、主として第2の領域において発生する。
【0011】
更に別の態様において、本開示は、光源と、視野スクリーンと、光源から視野スクリーンに光を導く導光フィルムとを有する光学ディスプレイに関する。導光フィルムは、第1の主表面と、構造化された第2の主表面とを有し、構造化された第2の主表面は、複数のマイクロ構造を有する。マイクロ構造は、第1の領域とそれに隣接する第2の領域とを含んだ反復パターンを有する。第1の領域は一定の高さを有し、第2の領域は、第1の領域のその実質的に一定の高さよりも高い、一定でない最大高さを有する。第2の領域の最大高さは、第1の領域の一定の高さよりも約0.5μm〜約3μm高い。反復パターンは、1cm2当たり少なくとも200の第2の領域の機構密度を有し、第1の領域及び第2の領域は同じ横断面形状を有する。
【0012】
更に別の態様において、本開示は、導光フィルムを製作する方法に関し、その方法は、構造化された主表面を備える工具を切削する工程であって、構造化された主表面が、第1の方向に沿って延びる複数の溝部を有する工程を含む。溝部は第1の領域と第2の領域とを有し、第2の領域は、第1の領域とは異なり、かつ第1の領域に隣接する。第1の領域は、実質的に一定の高さを有し、第2の領域は、第1の領域におけるその実質的に一定の高さよりも高い最大高さを有する。第1の領域及び第2の領域は、同じ横断面形状を有する。この方法は、工具に高分子材料を塗布してフィルムを形成する工程であって、フィルムが、工具の溝部に対応するマイクロ構造の配列を有する工程を更に含む。
【0013】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、その説明と図面から、また特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】光学ディスプレイにおける使用に好適な輝度向上フィルムを斜視した概略図。
【図2】互いに隣接して配置された図1の導光フィルムの2枚のシートで構成された導光物品の分解斜視図。
【図3A】実質的に連続したパターンのマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図であり、各マイクロ構造は第1及び第2の領域を有している。
【図3B】不連続なパターンのマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図であり、各マイクロ構造は第1及び第2の領域を有している。
【図3C】三角形状の断面及び傾斜した軸線を持つプリズム状のマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図であり、各マイクロ構造は第1及び第2の領域を有している。
【図3D】図3Aの導光フィルム上のマイクロ構造の一部分の横断面図。
【図3E】隣接するマイクロ構造を示す、図3Aの導光フィルムの一部の横断面図。
【図3F】図3Aの導光フィルムの俯瞰図。
【図3G】規則的に分布した第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図。
【図4A】導光フィルム上のマイクロ構造の一部分の概略断面図であり、実質的に連続する第2の領域を示している。
【図4B】導光フィルム上のマイクロ構造の一部分の概略断面図であり、不連続な第2の領域を示している。
【図5A】レンズ状の第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図。
【図5B】図5Aのフィルムの一部分の概略俯瞰図。
【図6】第1、第2、及び第3の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図。
【図7】不規則に配置された第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの斜視図を示す、倍率を増加させた顕微鏡写真。
【図8】不規則に配置された第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの斜視図を示す、倍率を増加させた顕微鏡写真。
【図9】不規則に配置された第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの斜視図を示す、倍率を増加させた顕微鏡写真。
【図10】図7〜9の導光フィルムの俯瞰図を示す、倍率を増加させた顕微鏡写真。
【図11】図7〜9の導光フィルムの俯瞰図を示す、倍率を増加させた顕微鏡写真。
【図12】規則的に配置された第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの斜視図を示す顕微鏡写真。
【図13A】導光光学フィルムを有する光学ディスプレイの断面図。
【図13B】導光光学フィルムを有する光ガイドアセンブリの断面図。
【図14】ワークピースにマイクロ構造を製作するための切削工具システムの略図。
【図15】切削工具の座標系を示す略図。
【図16A】工具先端部の斜視図。
【図16B】工具先端部の正面図。
【図16C】工具先端部の底面図。
【図16D】工具先端部の側面図。
【図17】表1のフィルムの耐ウエットアウト性能をまとめたプロット。
【図18】表1のフィルムの耐ウエットアウト性能をまとめたプロット。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図3Aは、導光光学フィルム300の一実施形態の一部分を示しており、この導光光学フィルム300は、フィルムがディスプレイ装置において使用されるときに、フィルムの光学ゲインを実質的に保つ一方で、ウエットアウトを減じるかあるいは実質的に排除するように設計されたマイクロ構造の配列を有している。フィルム300は、第1の主表面302と、その反対側の構造化された主表面304とを有している。図3Aに示す実施形態において、第1の主表面302は実質的に平滑であり、これは本願において、実質的に光学的に平坦であることを意味する。しかしながら、実質的に光学的に平坦な表面302でさえも、かすみを生じる小構造体のパターンを任意に有することがある。表面302は、望ましい光学効果を達成するマイクロ構造のパターン(図3Aには示さず)を所望により有することができる。
【0016】
構造化表面304は、実質的に連続したパターンのマイクロ構造306を有しており、マイクロ構造306は、図3Aにおいてxで示された第1の軸方向に沿って延びており、実質的に一定の高さh1を有している。図3Aに示す実施形態において、マイクロ構造306は線状のプリズム状要素であり、各プリズム状要素は、第1の側面308と第2の側面308’とを備えている。しかしながら、図3Bに示すように、マイクロ構造306は、連続的であることを必要とせず、また、表面304は、マイクロ構造のない範囲325を有してもよい。
【0017】
図3Aに示す実施形態を再び参照すると、側面308、308’の縁部が交差して、頂部つまり頂上342を画定している。図3Aに示す実施形態において、隣接するプリズム状要素の側面308、308’は、線状に延びる溝部344をプリズム状要素の間に形成するように交差している。しかしながら、プリズム状要素306の側面308、308’が交差することは必須ではなく、したがって、溝部344は、特定の用途に対して、必要に応じてより幅の広いものであってもよい。マイクロ構造306の平均ピッチP1は、約5μm〜約300μmまで広範囲に異なってもよいが、約15μm〜約100μmの平均ピッチが特に有用であることが判明している。ピッチP1は好ましくは、すべてのプリズム状要素306の間で実質的に同じであるが、そのような配置は必須ではなく、ピッチP1は、表面304全体にわたって一定でなくてもよい。
【0018】
このパターンをなす複数のマイクロ構造306の各々は、少なくとも1つの第1の領域305と、少なくとも1つの第2の領域307とを有しており、また、特定の用途に対して、必要に応じて他の領域を所望により有してもよい(他の領域は図3Aには示されていないが、例えば図6及び以下の議論を参照されたい)。各マイクロ構造306の第2の領域307は、各マイクロ構造の長さに沿って第1の領域305に隣接している。いくつかの実施形態において、第1の領域305は、2つの第2の領域307の間に設けられる。
【0019】
第1の領域305におけるマイクロ構造の横断面形状は、フィルム300の目的の用途に応じて広範に異なり得るものであり、プリズム状の形状に限定されるものではない。第1の領域305の横断面形状には、限定されるものではないが、三角形、円形、レンズ状の形状、楕円形、円錐形、又は曲線状の部分を有する非対称形状を挙げることができる。しかしながら、フィルム300の光学ゲインを最大にするためには、概ね三角形の横断面形状が好ましく、直角二等辺三角形の横断面形状が特に好ましい。第1の領域305又はマイクロ構造306の間の交差領域における横断面の三角形の頂部は、マイクロ構造又は隣接する溝部の形状を変化させ望ましい光学効果をもたらすように、平滑化されるかあるいは曲線状にされてもよいが、そのような形状は一般に、マイクロ構造によってもたらされるゲインを減じるものである。また、図3Cに示すように、マイクロ構造306Aの主軸は、望ましい光学効果を達成するように傾斜していてもよい。
【0020】
図3Aに示す実施形態において、第1の領域305における各三角形の横断面の二面角α1は約90°であるが、70〜110°の二面角α1が、多くの用途に有用であることが判明している。
【0021】
第1の領域305は、実質的に一定の高さh1を有している。高さh1は、構造化表面304とその反対の主表面302との間にあり、かつ構造化表面304の最も近くにある平面(例えば、図3Aの基準平面320)から測定して、約1μm〜約175μmまで変動し得る。第1の領域の高さh1は実質的に同じであることが一般に好ましいが、良好な光学性能を維持しながらも、幾分かの高さの変動が許容され得る。例えば、許容可能な光学性能を維持しながらも、いくつかの実施形態において、平均高さh1は、±0.20μmだけ変動することがあり、一方で、他の実施形態において、平均高さh1は±0.10μmだけ変動することがあり、更に他の実施形態において、平均高さh1は、±0.05μmだけ変動することがある。
【0022】
各マイクロ構造の第2の領域307が、第1の領域305に隣接している。いくつかの実施形態において、第2の領域は、第1の領域305に対して不連続であり、これは本願において、第2の領域307がマイクロ構造306上で互いに接触しないか又は重なり合わないことを意味する。第2の領域307は、目的の用途に応じて、多種多様なパターンで表面304上に配置されてよい。例えば、第2の領域307は、表面304上に不規則に分布してもよく、あるいは、その分布は半不規則的であってもよい(一部の範囲は不規則な分布、一部の範囲は規則的な分布をなし、マイクロ構造の間の最小周期などのいくつかの制限を伴う)。第2の領域307はまた、表面304上に規則的に分布してもよく、その規則的な分布は、周期的であっても(一定の間隔で繰り返す)非周期的であってもよい(不規則的でないパターンに従う)。例となる規則的な分布が図3Gのフィルム400に示されており、このフィルム400は、フィルムの表面404の全体にわたって、規則的に分布した第1の領域405と第2の領域407とを有している(第2の領域の規則的な分布の別の表現については、図12も参照されたい)。
【0023】
第2の領域307は、構造化表面304の1cm2当たり約200〜1cm2当たり約6000の平均密度を有する。いくつかの実施形態において、第2の領域は、構造化表面304の1cm2当たり約200〜1cm2当たり約3500の平均密度を有する。他の実施形態において、第2の領域307は、構造化表面304の1cm2当たり約200〜1cm2当たり約2500の平均密度を有する。
【0024】
第2の領域307は、約1000μm〜約20,000μmの、マイクロ構造306に沿った平均周期P2(例えば図4Aを参照されたい)を有している。いくつかの実施形態において、第2の領域307は、約3500μm〜約15,000μmの平均周期を有する。第2の領域307の平均周期P2は、好ましくは実質的に同じであるが、そのような配置は必須ではない。
【0025】
図3Dにおける単一のマイクロ構造306の断面図を参照すると、第2の領域307は、第1の領域305と実質的に同じ断面形状を有しているが、単純により高いものとなっている(図3Aにおけるz方向に沿って距離h2だけ更に延びている)。例えば、図3Dに示す実施形態において、第1の領域は側面308、308’を有し、側面308、308’は、頂部342にて会合し、二面角α1を形成している。第2の領域307は側面311、311’を有し、側面311、311’は、頂部312を形成し、二面角α2を形成するように会合している。第2の領域307の二面角α2及び断面形状は、第1の領域305の二面角α1及び断面形状と実質的に同じであり、すなわちα2=α1である。また、図3Eは、第2の領域307を有するマイクロ構造化表面の一部の3つの隣接するマイクロ構造306の断面を示すものであるが、第2の領域307が、第1の領域305と実質的に同じ断面形状を有するが、距離h2だけより高いものであることを示している。
【0026】
断面形状におけるこの類似性は、頂部の高さにおける差異と相まって、第2の領域307の側面311、312が、俯瞰図において、マイクロ構造306(図3F)に沿って、y方向に外向きに延びているかあるいは膨張しているように見える原因となる。図3Fにおいて、第1の領域の頂部342は、実質的に直線的な線に見えるが、マイクロ構造306の間の溝部344は、第2の領域307の箇所で直線性を逸しているように見える。
【0027】
再び図3Dを参照すると、第2の領域は、第1の領域305の頂部342から第2の領域307の頂部312までで測定した、約0.5μm〜約3μmの最大高さh2を有している。いくつかの実施形態において、第2の領域の最大高さh2は約1μm〜約2.5μmであり、一方で、他の実施形態において、最大高さh2は約1.5μm〜約2μmである。第2の領域307内のすべての三角形状要素の最大高さh2は、実質的に同じであってもよいが、プリズム状要素307の高さh2は、規則的又は不規則的な方式で変動して、望ましい光学効果をもたらすことができる。
【0028】
図4A〜4Bは、マイクロ構造306上の第2の領域307を示している。第2の領域307の高さh2が、依然として比較的一定である場合でも、第2の領域がその頂部311へと上昇してまたがる距離dは、大いに異なっていてもよい。例えば、図4Aにおいて、第2の領域を形成する線Aの傾きは、隣接する領域から滑らかに徐々に変化しており、それにより、実質的に連続する隆起状の領域がマイクロ構造306上に形成されている。図4Bにおいて、第2の領域を形成する線Bの傾きは、図4Aの線Aよりも急激に変化しており、実質的に不連続な隆起をマイクロ構造306上に形成している。
【0029】
使用の際、導光フィルムのシートなどの第2の表面が構造化表面304に隣接して配置されると、シート300に対するその第2の表面の物理的近接性は、マイクロ構造306の第2の領域307によって制限される。第2の領域307は、第2の表面がマイクロ構造306の第1の領域305と接触するのを防止し、それによって、光結合を減じることができる。例えば、表面304上の第2の領域307の平均密度、平均周期、及び最大高さなどの特性のいずれか又はすべて、並びに、構造化表面304を備えたフィルムを構成する材料は、フィルムの第2のシートが撓んで第1の領域305と接触することがないように選択されることができる。したがって、各マイクロ構造上の不規則に出現する第2の領域を利用して、隣接する表面の近接性を物理的に制御することにより、望ましくない光結合を受けやすい構造化表面304の表面積が飛躍的に減じられる。その代わりに、光結合は主として第2の領域307内で発生する。
【0030】
図5〜6は、他の有用な導光フィルムの例に関するものである。図5A〜5Bを参照すると、導光フィルム500が、マイクロ構造506を有する構造化表面504を有している。マイクロ構造506はそれぞれ、少なくとも1つの第1の領域505と、少なくとも1つの第2の領域507とを有している。各第1の領域505は、基準平面520を基準として実質的に一定の高さを有しており、各第2の領域507は、第1の領域505の実質的に一定の高さよりも高い最大高さを有している。図5A〜5Bに示す実施形態において、第2の領域507は、概ねレンズ状の形状を形成する第1及び第2の側面511、511’を有している。
【0031】
図6に示す別の実施形態において、導光フィルム600が、マイクロ構造606を備えた構造化表面604を有している。マイクロ構造606はそれぞれ、少なくとも1つの第1の領域605と、少なくとも1つの第2の領域607と、少なくとも1つの第3の領域609とを有している。各第1の領域605は、基準平面620を基準として実質的に一定の高さを有しており、各第2の領域607は、第1の領域605の実質的に一定の高さよりも高い最大高さを有している。各第3の領域609は、第1の領域605の実質的に一定の高さよりも高いが、第2の領域607の最大高さ未満である最大高さを有している。そのような構成は、例えば、隣接するフィルムが、第2の領域607同士の間の範囲において撓むときに生じる光結合を減じるのに有用となり得る。図6に示す実施形態において、第2及び第3の領域は、実質的に不連続である(図4Bの概略図を参照されたい)。図3Aのマイクロ構造の第1の領域305と第2の領域307との境界面における比較的平滑な曲線は、本明細書において連続的と称されるが(図4Aの概略図も参照されたい)、この比較的平滑な曲線と比較すると、図6における側面611、611’及び613、613’と側面608、608’との境界面は非常に険しいものであり、この境界面は本明細書において不連続な構造と称される。
【0032】
図7〜9は、本明細書で説明する導光フィルムの更なる例示的実施形態を示す顕微鏡写真である。図7〜9は、構造化表面704を備えた導光フィルム700の一部分の、倍率を増加させた3つの図を示しており、この構造化表面704は、x方向に沿って延びる連続的なプリズム状のマイクロ構造706を有している。マイクロ構造706は、暗い縞又はより暗い部分として現れる第1の領域705、並びに、より明るい着色した縞として現れる、不規則に分布した第2の領域707を有している。第2の領域707は、第1の領域705の実質的に一定の高さよりも高い、z方向に沿った最大高さを有している。第2の領域707はまた、その三角形状の断面輪郭が第1の領域705の断面輪郭と依然として同じとなるように、y方向に沿って外向きに延びている。図10〜11は、図7〜9に示す導光フィルム700の実施形態の、倍率を増加させた更なる俯瞰図である。図3Fと同様に、第1の領域の頂部742は、実質的に直線的な線に見えるが、マイクロ構造706の間の溝部744は、第2の領域707の箇所で直線性を逸しているように見える。
【0033】
図12は、構造化表面804を備えた導光フィルム800の一部分を示しており、この構造化表面804は、x方向に沿って延びる連続的なプリズム状のマイクロ構造806を有している。これらのマイクロ構造は、第1の領域805、並びに、実質的に規則的に分布した第2の領域807を有しており、第2の領域807は、隆起した部分としてマイクロ構造806の1つおきに現れている。第2の領域807は、第1の領域805の実質的に一定の高さよりも高い、z方向に沿った最大高さを有している。第2の領域807はまた、その三角形状の断面輪郭が第1の領域805の断面輪郭と依然として同じとなるように、y方向に沿って外向きに延びている。
【0034】
図13Aは、本明細書で説明する導光フィルムを組み込んだディスプレイ900の代表的な実施形態を、断面図で示している。ディスプレイ900は、ケース912と、光源916と、導光フィルム918の第1のシートと、導光フィルム918’の第2のシートと、光ゲート装置926と、実質的に透明なカバーシート928とを有している。図13Aにて開示する実施形態において、光源916は、例えば、LED、有機LED、エレクトロルミネセントパネル、又は蛍光光源とされることができる。加えて、図13Aにて開示する光ゲート装置926は、好ましくは液晶装置であるが、他の光ゲート装置が使用されてもよい。
【0035】
導光フィルム918の第1のシートは、図3Aに示す実施形態を例示するものであり、第1の領域905と第2の領域907とを備えたマイクロ構造906を有している。マイクロ構造906は、第1及び第2の領域905、907の各々において同じ断面形状を有している。第1の領域905は、実質的に一定の高さを有し、第2の領域907は、第1の領域905のその実質的に一定の高さよりも高い最大高さを有している。図13Aが一定の縮尺で描かれていないこと、並びに、特に、導光フィルム918の構造化表面の寸法が、説明の目的で大いに誇張されていることは理解されよう。図13Aに示すように、第2の領域907の頂点は、第1のシート918に対する導光フィルム918’の第2のシートの物理的近接性を制御する。先の議論によれば、光結合は、比較的高い頂点を有する箇所に集中しており、それらの頂点は好ましくは、高さが約1μm乃至約2.5μmである。図13Aは、マイクロ構造の頂点907が光源916に背くような方向に向き付けられた導光フィルムを示しているが、別の実施形態において、頂点507は光源916に向けられてもよい。
【0036】
図13Bは、本明細書で説明する導光フィルムのシートの別の有用な応用例を示している。図13Bは、光学ディスプレイにおいて使用するための、一般に使用されている光ガイドアセンブリ950の概略図である。光ガイドアセンブリ950は、光源952と、楔形状の光ガイド954と、拡散反射体956と、導光フィルム958のシートとを有している。使用の際、光源952からの光は、光ガイド954の中に導かれる。光ガイド954の表面に臨界角を超える角度で当たる光線は、全反射を受け、光ガイド954に沿って伝搬される。対照的に、光ガイド954の表面に臨界角未満の角度で当たる光線は、透過及び屈折される。光ガイド954の底面を抜け出した光線は、拡散反射体956によって反射され、「再循環」されて使用される。光ガイド954の頂面を抜け出した光線は、液晶装置などの光ゲート手段を通過して、ディスプレイ上に画像を生成する。
【0037】
図1に示すような従来の導光フィルムは、導光フィルムの構造化表面955と光ガイド954の上側表面953との間に光結合を発生させることがある。導光フィルム958の構造化表面955上のマイクロ構造957は、光ガイド954に対する導光フィルム958の構造化表面955の近接性を制御することによって視認可能な光結合の発生を抑制する第2の領域960を有している。
【0038】
導光フィルムに使用される特定の材料は、目的の用途に応じて広範に異なり得るが、その材料は、高度な光の透過性を確保するために、実質的に透明であるべきである。この目的に有用な高分子材料が市販されており、例えば、それぞれ約1.493及び1.586の公称屈折率を有するアクリル及びポリカーボネートが挙げられる。他の有用なポリマーには、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。高い屈折率を有する材料が一般に好ましい。
【0039】
導光フィルムの基材として使用され得る平滑なポリエステルフィルムが、ヴァージニア州ホープウェル(Hopewell)のICIアメリカズ社(ICI Americas Inc.)からMelinex 617の商標標記で市販されている。基材として使用されるフィルムに塗布され得る艶消し仕上げコーティングが、ウィスコンシン州ニューバーリン(New Berlin)のテクラ社(Tekra Corporation)からMarnot 75 GUの商標標記で市販されている。他のフィルムが同様に使用されてもよい。これらのフィルムは、光学特性、機械的特性、及び他の特性により選択されてもよい。例えば、基材は、公開済みのPCT特許出願第97/01774号に記載されているような多層光学フィルムであってもよい。使用され得る他のフィルムの例が、波長選択型の多層光学フィルム及び反射偏光子である。反射偏光子は、多層フィルム、コレステリック物質、又は公開済みのPCT特許出願第97/32227号に開示されている種類の物質であってもよい。
【0040】
本明細書で説明する導光フィルムを製造するために使用される工具のマスターは、押出しによるかあるいはキャスト及び硬化プロセスによるかにかかわらず、既知のダイヤモンド旋盤技術で製作されてよい。好適なダイヤモンド旋盤機が、米国特許第6,322,236号、同第6,354,709号、同第7,328,638号、及び国際公開第00/48037号において図示され、説明されている。
【0041】
これらの方法で使用される、導光フィルムを製作するための機器には、一般に、高速工具サーボ(fast servo tool)が挙げられる。高速工具サーボ(FTS)は、PZTスタックと呼ばれる固体圧電(PZT)装置であり、このPZTスタックは、PZTスタックに取り付けられた切削工具の位置を迅速に調節するものである。このFTSにより、以下で更に説明する座標系内の各方向に、切削工具を非常に正確にかつ高速に移動させることが可能となる。
【0042】
図14は、ワークピースにマイクロ構造を製作するための切削工具システム1000の略図である。マイクロ構造は、任意の種類、形状、及び寸法の、物品の表面上にある構造体、物品の表面の中に刻まれた刻み目、又は物品の表面から突き出る突出部を有することができる。システム1000はコンピュータ1012によって制御される。コンピュータ1012は、例えば以下の構成要素を、つまり、1つ以上のアプリケーション1016を記憶するメモリー1014と、情報を不揮発性で記憶する第2の記憶装置1018と、情報又はコマンドを受信するための入力装置1020と、メモリー1016若しくは第2の記憶装置1018に記憶された、又は別の供給源から受け取られたアプリケーションを実行するためのプロセッサ1022と、情報の視覚表示を出力するためのディスプレイ装置1024と、音声情報用のスピーカー又は情報のハードコピー用のプリンターなど、情報を他の形式で出力するための出力装置1026とを有する。
【0043】
ワークピース1054の切削は、工具先端部1044によって実施される。アクチュエータ1038は、ワークピース1054が、コンピュータ1012によって制御される電気モーターなど、駆動ユニット及びエンコーダ1056によって回転される際に、工具先端部1044の移動を制御する。この実施例において、ワークピース1054はロールの形態で示されているが、平面的な形態で実現されることもできる。任意の機械加工可能な材料が使用されてよく、例えば、ワークピースは、アルミニウム、ニッケル、銅、真鍮、鋼、又はプラスチック(例えばアクリル)で実現されることができる。使用される特定の材料は、例えば、機械加工されたワークピースを使用して製作される各種フィルムなど、特定の望ましい用途に依存してもよい。アクチュエータ1038は、例えば、ステンレス鋼で、あるいは他の材料で実現されることができ、好適なアクチュエータが、例えば、米国特許第7,328,638号において図示され、説明されている。
【0044】
アクチュエータ1038は、工具台1036に取り外し可能に連結されており、工具台1036はトラック1032上に位置している。工具台1036及びアクチュエータ1038は、矢印1040及び1042で示すx方向及びz方向の双方に移動するように、トラック1032上に構成されている。コンピュータ1012は、1つ以上の増幅器1030を介して工具台1036及びアクチュエータ1038と電気的に接続されている。
【0045】
制御器として機能する場合、コンピュータ1012は、ワークピース1054を機械加工するために、トラック1032に沿った工具台1036の移動、及び工具先端部1044の移動を、アクチュエータ1038によって制御する。アクチュエータが複数のPZTスタックを有する場合、そのアクチュエータは、スタックに取り付けられた工具先端部の移動を独立に制御する上で使用するために、別々の増幅器を使用して各PZTスタックを独立に制御することができる。以下で更に説明するように、コンピュータ1012は、様々なマイクロ構造をワークピース1054に機械加工するために、関数発生器1028を利用して波形をアクチュエータ1038に供給することができる。
【0046】
ワークピース1054の機械加工は、様々な構成要素の移動を調整することによって達成される。具体的に言えば、システムは、コンピュータ1012の制御下で、工具台1036の移動を通じてアクチュエータ1038の移動を、c方向(図14の線1053で表す回転移動)におけるワークピースの移動、並びにx方向、y方向、及びz方向のうちの1つ以上における工具先端部1044の移動と共に調整及び制御することができる。これらの座標については以下で説明する。システムは通常、一定の速度でz方向に工具台1036を移動させるが、変動する速度が用いられてもよい。工具台1036及び工具先端部1044の移動は通常、c方向におけるワークピース1054の移動と同期される。これらの移動のすべては、例えば、数値制御技術、又は、ソフトウェア、ファームウェア、若しくはそれらの組み合わせでコンピュータ1012に実装された数値制御器(NC)を用いて制御されることができる。
【0047】
ワークピースの切削は、連続的及び不連続的な切削運動を含むことができる。ロールの形態をなすワークピースの場合、その切削には、螺旋型の切削(時にねじ切りとも呼ばれる)、又は、ロールの周り若しくはロールの付近の個々の輪としての切削が挙げられる。平面の形態をなすワークピースの場合、その切削には、渦巻き型の切削、又は、ワークピース上若しくはワークピースの付近の個々の輪としての切削が挙げられる。またX切削が用いられることができ、このX切削は、ほぼ直線的な切断形式を伴うものであり、ダイヤモンドの工具先端部は、横に移動してワークピースに出入りすることができるが、工具台の全体的な動作は直線的である。切削はまた、これらの種類の運動の組み合わせを含むこともできる。
【0048】
ワークピース1054は、機械加工された後、多様な用途での使用に対応するマイクロ構造を有するフィルムを製作するために使用されることができる。フィルムは通常、コーティングプロセスを用いて製作され、そのコーティングプロセスにおいて、粘性の状態にある高分子材料がワークピースに塗布され、少なくとも部分的に硬化され、次いで取り外される。硬化した高分子材料で構成されたフィルムは、実質的に、ワークピースの構造体と正反対の構造体を有することになる。例えば、ワークピース内のくぼみは、結果として得られるフィルムに突出部をもたらす。ワークピース1054はまた、機械加工された後、工具の要素又はマイクロ構造と対応する独立した要素又はマイクロ構造を有する他の物品を製作するために使用されることもできる。
【0049】
工具台1036及びアクチュエータ1038の温度をライン1048及び1050を通じて制御するために、冷却液1046が使用されている。温度制御ユニット1052は、冷却液が工具台1036及びアクチュエータ1038を通じて循環されるとき、冷却液の温度を実質的に一定に維持することができる。温度制御ユニット1052は、流体の温度を制御する任意の装置で実現されることができる。冷却液は、油製品、例えば低粘度油で実現されることができる。温度制御ユニット1052及び冷却液1046の貯蔵部は、工具台1036及びアクチュエータ1038を通じて流体を循環させるポンプを有することができ、また、通常、流体を実質的に一定の温度に維持するために、流体から熱を除去する冷房システムを有している。特定の実施形態において、冷却液はまた、ワークピースにおいて機械加工される材料の表面温度を実質的に一定に維持するために、ワークピース54に作用されることもできる。
【0050】
図15は、システム10などの切削工具の座標系を示す略図である。この座標系は、ワークピース1064を基準とした工具先端部1062の移動として示されている。工具先端部1062は、工具先端部1044と対応してもよく、通常、キャリア1060に取り付けられ、キャリア1060はアクチュエータに取り付けられる。座標系は、この例示的実施形態において、x方向1066と、y方向1068と、z方向1070とを含んでいる。x方向1066は、ワークピース1064に対して実質的に垂直な方向における移動に関するものである。y方向1068は、ワークピース1064の回転面に対して実質的に平行な方向など、ワークピース1064を横切る方向における移動に関するものである。z方向1070は、ワークピース1064の回転軸線に対して実質的に平行な方向など、長手方向にワークピース1064に沿う方向における移動に関するものである。ワークピースの回転は、図14にも示すように、c方向と呼ばれる。ワークピースが、ロールの形態ではなく平面の形態で実現される場合、y方向及びz方向は、x方向に対して実質的に垂直な方向でワークピース全体にわたる、相互に直交する方向における移動に関するものとなる。平面的な形態のワークピースには、例えば、回転円板、又は他の任意の外形の平面的な材料を挙げることができる。
【0051】
図16Aは、本開示で説明した導光フィルムを製作する上で使用され得る典型的な工具先端部1062の斜視図であり、図16Bはその正面図であり、図16Cはその底面図であり、図16Dはその側面図である。図16A〜16Dに示すように、工具先端部1062は、側面1104と、テーパが付けられ角度が付けられた正面1106と、先端部1062を好適な工具先端部キャリア(図16A〜16Dには示さず)に固定するための底面1102とを有している。工具先端部1062の正面部分1105は、アクチュエータの制御下でワークピースを機械加工するために使用される。工具先端部1062は、例えば、ダイヤモンドの厚板(diamond slab)で実現されてもよい。
【0052】
一実施形態において、ダイヤモンド旋盤への1回の送り込みでマイクロ構造上に第1及び第2の領域を生成するために、高速工具サーボアクチュエータが、ダイヤモンド旋盤機に加えられる。別の実施形態において、導光フィルム上のマイクロ構造の第1の領域は、ダイヤモンド旋盤への初回の送り込みで生成されてもよく、工具は、実質的に一定の深さでロールに切り込むように設定される。次いで、ダイヤモンド旋盤への2回目の送り込みで、同じ工具が使用されて、マイクロ構造の第2の領域が、規則的、不規則的、又は疑似不規則的なパターンで切削される。
【0053】
1回の送り込みによる切削プロセスか又は複数回の送り込みによる切削プロセスかの選択は、マイクロ構造上の第2の領域の形状に影響を与えることがある。例えば、1回の送り込みによる切削プロセスでは、実質的に連続する第2の領域を有するマイクロ構造が生成され、第2の領域は、平滑でより緩慢に変化する傾きを持つ(図4A)。通常、複数回の送り込みによる切削プロセスでは、険しい不連続な形状を持つ第2の領域が生成され、その形状は、急激に変化する傾きを有するものである(図4B)。
【0054】
ここで、本発明について、以下の非限定的な実施例を参照して更に説明することにする。
【実施例】
【0055】
ダイヤモンド旋盤プロセスを用いて表面を調製したロールから、第1及び第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムを製作した。そのロールは、パターン付きの溝部を有するものであったが、その溝部は、例えば、米国特許第6,322,709号及び同第7,328,638号に記載されているような高速工具サーボアクチュエータを使用して、1回の送り込みで生成されたものであった。次いで、高分子材料をロールの上に流して、溝部となったダイヤモンド切削パターンを複写するマイクロ構造化表面を備えるフィルムを形成した。フィルムのパターンの特徴を以下の表1に示す。
【0056】
表1において、最大周期及び平均周期は、マイクロ構造に沿って評価されている。マイクロ構造に沿った周期は、ある第2の領域の始点から、同じマイクロ構造上の隣接する第2の領域の始点にわたって測定されている。
【0057】
表1におけるウエットアウトの格付けを決定するために、各サンプルのマイクロ構造化した側面を、図1に示すマイクロ構造フィルムなどの別のマイクロ構造化フィルムの平滑な側面の隣に置いた。サンプルを、図2に示すように向き付けした。ライトテーブル上で観察した際に、フィルム間の光結合の量を主観的に評価し、以下の格付け方式を用いて格付けした。
【0058】
0−ウエットアウト見られず
1−ウエットアウトは非常に軽度であり、確認はやや困難である
2−ウエットアウトは目立たないが、依然として視認可能である
3−ウエットアウトは容易に視認可能である
4−ウエットアウトは明るいが、線のパターンはない
5−明るいウエットアウトであり、線のパターンを伴う
表1における審美的な格付けを決定するために、1枚のフィルムサンプルをライトテーブル上に置き、その外観を、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のスリーエム社(3M Company)からBEF 2及びBEF 3の商標標記で入手可能な従来の導光フィルムの外観と比べて、主観的に評価した。1の評価をBEF 2に与え、5の評価をBEF 3に与えた。
【0059】
表1におけるゲインの変化を決定するために、実質的に一定の高さを持つ線状のプリズム状構造を有し、かつ第2の領域を持たない導光フィルム(例えば、図1の導光フィルムを参照されたい)とサンプルを比較した。
【0060】
【表1】
【0061】
表1に示す結果に加えて、フィルムの性能を図17〜18にまとめる。
【0062】
図17は、フィルム上の第2の領域の密度に対して第2の領域の高さをプロットすることによって、表1のフィルムの耐ウエットアウト性能をまとめたものである。一般に、図17にプロットした結果が示すところによれば、約1〜約2マイクロメートルの高さと、1cm2当たり約200〜約3500の第2の領域の平均の機構密度を有する第2の領域により、最良の耐ウエットアウト性能がもたらされる。
【0063】
図18は、第2の領域の平均周期に対して第2の領域の高さをプロットすることによって、表1のフィルムの耐ウエットアウト性能をまとめたものである。一般に、図18にプロットした結果が示すところによれば、約1〜約2マイクロメートルの高さと、約1000μm〜約12000μmの平均の機構周期を有する第2の領域により、最良の耐ウエットアウト性能がもたらされる。
【0064】
上記のように、本発明は、ディスプレイシステムに応用可能であり、バックライト方式ディスプレイ及び背面映写スクリーンなど、複数の光管理フィルムを有するディスプレイ及びスクリーンにおける審美的欠陥を減じる上で特に有用であると考えられる。したがって、本発明は、上述の特定の実施例に限定されるとみなされるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲において明確に記載された本発明のすべての態様を網羅すると理解されるべきである。様々な修正、等価なプロセス、並びに本発明の適用が可能となり得る多数の構造体が、本発明の対象とされる当業者には、本明細書を検討すれば容易に明らかとなろう。特許請求の範囲は、そのような修正及び工夫を網羅することを意図したものである。
【技術分野】
【0001】
本開示は、広義には導光フィルムに関し、具体的には、ディスプレイの輝度を改善する一方で、ディスプレイの欠陥及び光結合を低減及び/又は隠蔽するフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
バックライト方式ディスプレイにおいて、輝度向上フィルムは、視軸に沿って光を導く構造体を使用し、それによって、視聴者に知覚される光の輝度を増強する。導光フィルムの代表的な例が図1に示されている。このフィルム10は、アクリル、ポリカーボネート、紫外線硬化アクリレート、又は類似した材料など、好適な高分子材料から製造されてよく、平滑表面14と、その平滑表面の反対側の構造化表面12とを有している。構造化表面12は、フィルムの全長に広がる複数の頂部17及び溝部18を形成するように並べて配置された線状のプリズム状要素16の配列を有している。使用の際、このフィルムの平滑表面14に比較的高い入射角で入射した光は、フィルムの平滑表面14及び構造化表面12にて屈折され、平滑表面14に対して垂直な軸線に向かって方向を変えられる。加えて、臨界角を超える角度で構造化表面12に当たる光は、プリズム状要素16の両側面、つまり切子面20から全反射を受け、後退されるが、その光は反射要素によって再利用されてもよい。反射、屈折、及び全反射の組み合わせにより、フィルム10は、軸線上に導かれる光の量を増加させ、高角度で導かれる光の量を減少させる。
【0003】
導光フィルムの第2のシートは、視軸に沿って導かれる光の量を更に増加させるために、プリズム状要素を約90度で交差させて、第1のシートに隣接して配置されてもよい。図2は、分解図にて、導光フィルムの交差したシートの向きを示している。使用の際、上方シート10’の下方の平滑表面14’は、下方シート10の構造化表面12に接触するか、あるいはほぼ接触することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ディスプレイが長期間にわたって綿密に視聴される場合、非常に小さな欠陥でさえも裸眼で検出され、視聴者に混乱を生じさせることがある。例えば、「ウエットアウト」は、2つの表面が互いに光学的に接触する場合に発生し、それによって、ディスプレイの表面積全体にわたって光度の変動が生じる。輝度の高い範囲は、光結合が存在する範囲に対応し、輝度の低い範囲は、光結合が少ないことに対応しており、この変動はディスプレイが不均一な外観を有する原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特に、携帯型装置において利用される小型ディスプレイに関する技術の発展により、ディスプレイの輝度を実質的に維持する一方で、ディスプレイの欠陥をより効果的に隠蔽する光学フィルムの更なる開発が必要とされている。例えば、LCDパネルの透過性が上昇していること、LCDパネル及びバックライトにおいて拡散性が低下していること、並びに、携帯型装置において間隔の許容度が小さくなり、バックライト構造が極めて薄くなっていることにより、従来のパターン付きフィルムでは、効果的に防止及び/又はマスクすることができない小規模のディスプレイ欠陥が生じることがある。
【0006】
本開示において説明する導光フィルムは、マイクロ構造を上に配置したマイクロ構造化表面を有する。表面上の各マイクロ構造は、実質的に一定の高さを持つ第1の領域と、一定でない高さを持つ第2の領域とを有する。第2の領域の最大高さは第1の領域の一定の高さよりも高く、第1の領域及び第2の領域は同じ横断面形状を有する。
【0007】
第2の領域の高さは、マイクロ構造化表面と別のディスプレイ構成要素との間の光結合を減じるように選択され、それにより、この光学フィルムを組み込んだディスプレイにおいて、広範囲に及ぶウエットアウトが防止され、視認可能な線の発生が減じられる。各マイクロ構造上の第2の領域同士の間の周期、及び/又はマイクロ構造化表面上の第2の領域の密度は、フィルムの光学ゲインを実質的に保つ一方で、この光結合の低減をもたらすように選択される。第1の領域と第2の領域は同じ横断面形状を有するので、マイクロ構造化表面は容易に複製が可能であり、それにより、これらのフィルムは、より複雑な不規則パターンを持つフィルムと比べて、製造がより安価となる。
【0008】
一態様において、本開示は、構造化された主表面を有する導光フィルムに関する。構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を有する。マイクロ構造は、一定の高さを持つ第1の領域と、第1の領域に隣接する第2の領域とを有し、第2の領域は、一定でない高さ、及び第1の領域の一定の高さよりも高い最大高さを有する。第1の領域及び第2の領域は、同じ横断面形状を有する。
【0009】
別の態様において、本開示は、導光フィルムの第1のシートを有する導光物品に関する。導光フィルムの第1のシートは、構造化された主表面を有し、その構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を有する。マイクロ構造は第1の領域と第2の領域とを有し、第2の領域は、第1の領域とは異なり、かつ第1の領域に隣接する。マイクロ構造は、第1の領域における実質的に一定の高さ、及び、第2の領域における、第1の領域の一定の高さよりも約0.5〜約3マイクロメートル高い一定でない最大高さを有する。第1の領域及び第2の領域は、同じ横断面形状を有する。
【0010】
導光物品は、導光フィルムの第2のシートを更に有し、その導光フィルムは、実質的に平坦な表面と、その実質的に平坦な表面の反対側の構造化表面とを有する。実質的に平坦な表面は、導光フィルムの第1のシートの構造化表面に隣接する。導光フィルムの第2のシートの構造化表面は、第1の主軸に対しておおよそ垂直な第2の主軸に沿って延びる複数のマイクロ構造を有する。第1のシートと第2のシートとの間の光結合は、主として第2の領域において発生する。
【0011】
更に別の態様において、本開示は、光源と、視野スクリーンと、光源から視野スクリーンに光を導く導光フィルムとを有する光学ディスプレイに関する。導光フィルムは、第1の主表面と、構造化された第2の主表面とを有し、構造化された第2の主表面は、複数のマイクロ構造を有する。マイクロ構造は、第1の領域とそれに隣接する第2の領域とを含んだ反復パターンを有する。第1の領域は一定の高さを有し、第2の領域は、第1の領域のその実質的に一定の高さよりも高い、一定でない最大高さを有する。第2の領域の最大高さは、第1の領域の一定の高さよりも約0.5μm〜約3μm高い。反復パターンは、1cm2当たり少なくとも200の第2の領域の機構密度を有し、第1の領域及び第2の領域は同じ横断面形状を有する。
【0012】
更に別の態様において、本開示は、導光フィルムを製作する方法に関し、その方法は、構造化された主表面を備える工具を切削する工程であって、構造化された主表面が、第1の方向に沿って延びる複数の溝部を有する工程を含む。溝部は第1の領域と第2の領域とを有し、第2の領域は、第1の領域とは異なり、かつ第1の領域に隣接する。第1の領域は、実質的に一定の高さを有し、第2の領域は、第1の領域におけるその実質的に一定の高さよりも高い最大高さを有する。第1の領域及び第2の領域は、同じ横断面形状を有する。この方法は、工具に高分子材料を塗布してフィルムを形成する工程であって、フィルムが、工具の溝部に対応するマイクロ構造の配列を有する工程を更に含む。
【0013】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、その説明と図面から、また特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】光学ディスプレイにおける使用に好適な輝度向上フィルムを斜視した概略図。
【図2】互いに隣接して配置された図1の導光フィルムの2枚のシートで構成された導光物品の分解斜視図。
【図3A】実質的に連続したパターンのマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図であり、各マイクロ構造は第1及び第2の領域を有している。
【図3B】不連続なパターンのマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図であり、各マイクロ構造は第1及び第2の領域を有している。
【図3C】三角形状の断面及び傾斜した軸線を持つプリズム状のマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図であり、各マイクロ構造は第1及び第2の領域を有している。
【図3D】図3Aの導光フィルム上のマイクロ構造の一部分の横断面図。
【図3E】隣接するマイクロ構造を示す、図3Aの導光フィルムの一部の横断面図。
【図3F】図3Aの導光フィルムの俯瞰図。
【図3G】規則的に分布した第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図。
【図4A】導光フィルム上のマイクロ構造の一部分の概略断面図であり、実質的に連続する第2の領域を示している。
【図4B】導光フィルム上のマイクロ構造の一部分の概略断面図であり、不連続な第2の領域を示している。
【図5A】レンズ状の第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図。
【図5B】図5Aのフィルムの一部分の概略俯瞰図。
【図6】第1、第2、及び第3の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの一部分の概略斜視図。
【図7】不規則に配置された第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの斜視図を示す、倍率を増加させた顕微鏡写真。
【図8】不規則に配置された第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの斜視図を示す、倍率を増加させた顕微鏡写真。
【図9】不規則に配置された第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの斜視図を示す、倍率を増加させた顕微鏡写真。
【図10】図7〜9の導光フィルムの俯瞰図を示す、倍率を増加させた顕微鏡写真。
【図11】図7〜9の導光フィルムの俯瞰図を示す、倍率を増加させた顕微鏡写真。
【図12】規則的に配置された第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムの斜視図を示す顕微鏡写真。
【図13A】導光光学フィルムを有する光学ディスプレイの断面図。
【図13B】導光光学フィルムを有する光ガイドアセンブリの断面図。
【図14】ワークピースにマイクロ構造を製作するための切削工具システムの略図。
【図15】切削工具の座標系を示す略図。
【図16A】工具先端部の斜視図。
【図16B】工具先端部の正面図。
【図16C】工具先端部の底面図。
【図16D】工具先端部の側面図。
【図17】表1のフィルムの耐ウエットアウト性能をまとめたプロット。
【図18】表1のフィルムの耐ウエットアウト性能をまとめたプロット。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図3Aは、導光光学フィルム300の一実施形態の一部分を示しており、この導光光学フィルム300は、フィルムがディスプレイ装置において使用されるときに、フィルムの光学ゲインを実質的に保つ一方で、ウエットアウトを減じるかあるいは実質的に排除するように設計されたマイクロ構造の配列を有している。フィルム300は、第1の主表面302と、その反対側の構造化された主表面304とを有している。図3Aに示す実施形態において、第1の主表面302は実質的に平滑であり、これは本願において、実質的に光学的に平坦であることを意味する。しかしながら、実質的に光学的に平坦な表面302でさえも、かすみを生じる小構造体のパターンを任意に有することがある。表面302は、望ましい光学効果を達成するマイクロ構造のパターン(図3Aには示さず)を所望により有することができる。
【0016】
構造化表面304は、実質的に連続したパターンのマイクロ構造306を有しており、マイクロ構造306は、図3Aにおいてxで示された第1の軸方向に沿って延びており、実質的に一定の高さh1を有している。図3Aに示す実施形態において、マイクロ構造306は線状のプリズム状要素であり、各プリズム状要素は、第1の側面308と第2の側面308’とを備えている。しかしながら、図3Bに示すように、マイクロ構造306は、連続的であることを必要とせず、また、表面304は、マイクロ構造のない範囲325を有してもよい。
【0017】
図3Aに示す実施形態を再び参照すると、側面308、308’の縁部が交差して、頂部つまり頂上342を画定している。図3Aに示す実施形態において、隣接するプリズム状要素の側面308、308’は、線状に延びる溝部344をプリズム状要素の間に形成するように交差している。しかしながら、プリズム状要素306の側面308、308’が交差することは必須ではなく、したがって、溝部344は、特定の用途に対して、必要に応じてより幅の広いものであってもよい。マイクロ構造306の平均ピッチP1は、約5μm〜約300μmまで広範囲に異なってもよいが、約15μm〜約100μmの平均ピッチが特に有用であることが判明している。ピッチP1は好ましくは、すべてのプリズム状要素306の間で実質的に同じであるが、そのような配置は必須ではなく、ピッチP1は、表面304全体にわたって一定でなくてもよい。
【0018】
このパターンをなす複数のマイクロ構造306の各々は、少なくとも1つの第1の領域305と、少なくとも1つの第2の領域307とを有しており、また、特定の用途に対して、必要に応じて他の領域を所望により有してもよい(他の領域は図3Aには示されていないが、例えば図6及び以下の議論を参照されたい)。各マイクロ構造306の第2の領域307は、各マイクロ構造の長さに沿って第1の領域305に隣接している。いくつかの実施形態において、第1の領域305は、2つの第2の領域307の間に設けられる。
【0019】
第1の領域305におけるマイクロ構造の横断面形状は、フィルム300の目的の用途に応じて広範に異なり得るものであり、プリズム状の形状に限定されるものではない。第1の領域305の横断面形状には、限定されるものではないが、三角形、円形、レンズ状の形状、楕円形、円錐形、又は曲線状の部分を有する非対称形状を挙げることができる。しかしながら、フィルム300の光学ゲインを最大にするためには、概ね三角形の横断面形状が好ましく、直角二等辺三角形の横断面形状が特に好ましい。第1の領域305又はマイクロ構造306の間の交差領域における横断面の三角形の頂部は、マイクロ構造又は隣接する溝部の形状を変化させ望ましい光学効果をもたらすように、平滑化されるかあるいは曲線状にされてもよいが、そのような形状は一般に、マイクロ構造によってもたらされるゲインを減じるものである。また、図3Cに示すように、マイクロ構造306Aの主軸は、望ましい光学効果を達成するように傾斜していてもよい。
【0020】
図3Aに示す実施形態において、第1の領域305における各三角形の横断面の二面角α1は約90°であるが、70〜110°の二面角α1が、多くの用途に有用であることが判明している。
【0021】
第1の領域305は、実質的に一定の高さh1を有している。高さh1は、構造化表面304とその反対の主表面302との間にあり、かつ構造化表面304の最も近くにある平面(例えば、図3Aの基準平面320)から測定して、約1μm〜約175μmまで変動し得る。第1の領域の高さh1は実質的に同じであることが一般に好ましいが、良好な光学性能を維持しながらも、幾分かの高さの変動が許容され得る。例えば、許容可能な光学性能を維持しながらも、いくつかの実施形態において、平均高さh1は、±0.20μmだけ変動することがあり、一方で、他の実施形態において、平均高さh1は±0.10μmだけ変動することがあり、更に他の実施形態において、平均高さh1は、±0.05μmだけ変動することがある。
【0022】
各マイクロ構造の第2の領域307が、第1の領域305に隣接している。いくつかの実施形態において、第2の領域は、第1の領域305に対して不連続であり、これは本願において、第2の領域307がマイクロ構造306上で互いに接触しないか又は重なり合わないことを意味する。第2の領域307は、目的の用途に応じて、多種多様なパターンで表面304上に配置されてよい。例えば、第2の領域307は、表面304上に不規則に分布してもよく、あるいは、その分布は半不規則的であってもよい(一部の範囲は不規則な分布、一部の範囲は規則的な分布をなし、マイクロ構造の間の最小周期などのいくつかの制限を伴う)。第2の領域307はまた、表面304上に規則的に分布してもよく、その規則的な分布は、周期的であっても(一定の間隔で繰り返す)非周期的であってもよい(不規則的でないパターンに従う)。例となる規則的な分布が図3Gのフィルム400に示されており、このフィルム400は、フィルムの表面404の全体にわたって、規則的に分布した第1の領域405と第2の領域407とを有している(第2の領域の規則的な分布の別の表現については、図12も参照されたい)。
【0023】
第2の領域307は、構造化表面304の1cm2当たり約200〜1cm2当たり約6000の平均密度を有する。いくつかの実施形態において、第2の領域は、構造化表面304の1cm2当たり約200〜1cm2当たり約3500の平均密度を有する。他の実施形態において、第2の領域307は、構造化表面304の1cm2当たり約200〜1cm2当たり約2500の平均密度を有する。
【0024】
第2の領域307は、約1000μm〜約20,000μmの、マイクロ構造306に沿った平均周期P2(例えば図4Aを参照されたい)を有している。いくつかの実施形態において、第2の領域307は、約3500μm〜約15,000μmの平均周期を有する。第2の領域307の平均周期P2は、好ましくは実質的に同じであるが、そのような配置は必須ではない。
【0025】
図3Dにおける単一のマイクロ構造306の断面図を参照すると、第2の領域307は、第1の領域305と実質的に同じ断面形状を有しているが、単純により高いものとなっている(図3Aにおけるz方向に沿って距離h2だけ更に延びている)。例えば、図3Dに示す実施形態において、第1の領域は側面308、308’を有し、側面308、308’は、頂部342にて会合し、二面角α1を形成している。第2の領域307は側面311、311’を有し、側面311、311’は、頂部312を形成し、二面角α2を形成するように会合している。第2の領域307の二面角α2及び断面形状は、第1の領域305の二面角α1及び断面形状と実質的に同じであり、すなわちα2=α1である。また、図3Eは、第2の領域307を有するマイクロ構造化表面の一部の3つの隣接するマイクロ構造306の断面を示すものであるが、第2の領域307が、第1の領域305と実質的に同じ断面形状を有するが、距離h2だけより高いものであることを示している。
【0026】
断面形状におけるこの類似性は、頂部の高さにおける差異と相まって、第2の領域307の側面311、312が、俯瞰図において、マイクロ構造306(図3F)に沿って、y方向に外向きに延びているかあるいは膨張しているように見える原因となる。図3Fにおいて、第1の領域の頂部342は、実質的に直線的な線に見えるが、マイクロ構造306の間の溝部344は、第2の領域307の箇所で直線性を逸しているように見える。
【0027】
再び図3Dを参照すると、第2の領域は、第1の領域305の頂部342から第2の領域307の頂部312までで測定した、約0.5μm〜約3μmの最大高さh2を有している。いくつかの実施形態において、第2の領域の最大高さh2は約1μm〜約2.5μmであり、一方で、他の実施形態において、最大高さh2は約1.5μm〜約2μmである。第2の領域307内のすべての三角形状要素の最大高さh2は、実質的に同じであってもよいが、プリズム状要素307の高さh2は、規則的又は不規則的な方式で変動して、望ましい光学効果をもたらすことができる。
【0028】
図4A〜4Bは、マイクロ構造306上の第2の領域307を示している。第2の領域307の高さh2が、依然として比較的一定である場合でも、第2の領域がその頂部311へと上昇してまたがる距離dは、大いに異なっていてもよい。例えば、図4Aにおいて、第2の領域を形成する線Aの傾きは、隣接する領域から滑らかに徐々に変化しており、それにより、実質的に連続する隆起状の領域がマイクロ構造306上に形成されている。図4Bにおいて、第2の領域を形成する線Bの傾きは、図4Aの線Aよりも急激に変化しており、実質的に不連続な隆起をマイクロ構造306上に形成している。
【0029】
使用の際、導光フィルムのシートなどの第2の表面が構造化表面304に隣接して配置されると、シート300に対するその第2の表面の物理的近接性は、マイクロ構造306の第2の領域307によって制限される。第2の領域307は、第2の表面がマイクロ構造306の第1の領域305と接触するのを防止し、それによって、光結合を減じることができる。例えば、表面304上の第2の領域307の平均密度、平均周期、及び最大高さなどの特性のいずれか又はすべて、並びに、構造化表面304を備えたフィルムを構成する材料は、フィルムの第2のシートが撓んで第1の領域305と接触することがないように選択されることができる。したがって、各マイクロ構造上の不規則に出現する第2の領域を利用して、隣接する表面の近接性を物理的に制御することにより、望ましくない光結合を受けやすい構造化表面304の表面積が飛躍的に減じられる。その代わりに、光結合は主として第2の領域307内で発生する。
【0030】
図5〜6は、他の有用な導光フィルムの例に関するものである。図5A〜5Bを参照すると、導光フィルム500が、マイクロ構造506を有する構造化表面504を有している。マイクロ構造506はそれぞれ、少なくとも1つの第1の領域505と、少なくとも1つの第2の領域507とを有している。各第1の領域505は、基準平面520を基準として実質的に一定の高さを有しており、各第2の領域507は、第1の領域505の実質的に一定の高さよりも高い最大高さを有している。図5A〜5Bに示す実施形態において、第2の領域507は、概ねレンズ状の形状を形成する第1及び第2の側面511、511’を有している。
【0031】
図6に示す別の実施形態において、導光フィルム600が、マイクロ構造606を備えた構造化表面604を有している。マイクロ構造606はそれぞれ、少なくとも1つの第1の領域605と、少なくとも1つの第2の領域607と、少なくとも1つの第3の領域609とを有している。各第1の領域605は、基準平面620を基準として実質的に一定の高さを有しており、各第2の領域607は、第1の領域605の実質的に一定の高さよりも高い最大高さを有している。各第3の領域609は、第1の領域605の実質的に一定の高さよりも高いが、第2の領域607の最大高さ未満である最大高さを有している。そのような構成は、例えば、隣接するフィルムが、第2の領域607同士の間の範囲において撓むときに生じる光結合を減じるのに有用となり得る。図6に示す実施形態において、第2及び第3の領域は、実質的に不連続である(図4Bの概略図を参照されたい)。図3Aのマイクロ構造の第1の領域305と第2の領域307との境界面における比較的平滑な曲線は、本明細書において連続的と称されるが(図4Aの概略図も参照されたい)、この比較的平滑な曲線と比較すると、図6における側面611、611’及び613、613’と側面608、608’との境界面は非常に険しいものであり、この境界面は本明細書において不連続な構造と称される。
【0032】
図7〜9は、本明細書で説明する導光フィルムの更なる例示的実施形態を示す顕微鏡写真である。図7〜9は、構造化表面704を備えた導光フィルム700の一部分の、倍率を増加させた3つの図を示しており、この構造化表面704は、x方向に沿って延びる連続的なプリズム状のマイクロ構造706を有している。マイクロ構造706は、暗い縞又はより暗い部分として現れる第1の領域705、並びに、より明るい着色した縞として現れる、不規則に分布した第2の領域707を有している。第2の領域707は、第1の領域705の実質的に一定の高さよりも高い、z方向に沿った最大高さを有している。第2の領域707はまた、その三角形状の断面輪郭が第1の領域705の断面輪郭と依然として同じとなるように、y方向に沿って外向きに延びている。図10〜11は、図7〜9に示す導光フィルム700の実施形態の、倍率を増加させた更なる俯瞰図である。図3Fと同様に、第1の領域の頂部742は、実質的に直線的な線に見えるが、マイクロ構造706の間の溝部744は、第2の領域707の箇所で直線性を逸しているように見える。
【0033】
図12は、構造化表面804を備えた導光フィルム800の一部分を示しており、この構造化表面804は、x方向に沿って延びる連続的なプリズム状のマイクロ構造806を有している。これらのマイクロ構造は、第1の領域805、並びに、実質的に規則的に分布した第2の領域807を有しており、第2の領域807は、隆起した部分としてマイクロ構造806の1つおきに現れている。第2の領域807は、第1の領域805の実質的に一定の高さよりも高い、z方向に沿った最大高さを有している。第2の領域807はまた、その三角形状の断面輪郭が第1の領域805の断面輪郭と依然として同じとなるように、y方向に沿って外向きに延びている。
【0034】
図13Aは、本明細書で説明する導光フィルムを組み込んだディスプレイ900の代表的な実施形態を、断面図で示している。ディスプレイ900は、ケース912と、光源916と、導光フィルム918の第1のシートと、導光フィルム918’の第2のシートと、光ゲート装置926と、実質的に透明なカバーシート928とを有している。図13Aにて開示する実施形態において、光源916は、例えば、LED、有機LED、エレクトロルミネセントパネル、又は蛍光光源とされることができる。加えて、図13Aにて開示する光ゲート装置926は、好ましくは液晶装置であるが、他の光ゲート装置が使用されてもよい。
【0035】
導光フィルム918の第1のシートは、図3Aに示す実施形態を例示するものであり、第1の領域905と第2の領域907とを備えたマイクロ構造906を有している。マイクロ構造906は、第1及び第2の領域905、907の各々において同じ断面形状を有している。第1の領域905は、実質的に一定の高さを有し、第2の領域907は、第1の領域905のその実質的に一定の高さよりも高い最大高さを有している。図13Aが一定の縮尺で描かれていないこと、並びに、特に、導光フィルム918の構造化表面の寸法が、説明の目的で大いに誇張されていることは理解されよう。図13Aに示すように、第2の領域907の頂点は、第1のシート918に対する導光フィルム918’の第2のシートの物理的近接性を制御する。先の議論によれば、光結合は、比較的高い頂点を有する箇所に集中しており、それらの頂点は好ましくは、高さが約1μm乃至約2.5μmである。図13Aは、マイクロ構造の頂点907が光源916に背くような方向に向き付けられた導光フィルムを示しているが、別の実施形態において、頂点507は光源916に向けられてもよい。
【0036】
図13Bは、本明細書で説明する導光フィルムのシートの別の有用な応用例を示している。図13Bは、光学ディスプレイにおいて使用するための、一般に使用されている光ガイドアセンブリ950の概略図である。光ガイドアセンブリ950は、光源952と、楔形状の光ガイド954と、拡散反射体956と、導光フィルム958のシートとを有している。使用の際、光源952からの光は、光ガイド954の中に導かれる。光ガイド954の表面に臨界角を超える角度で当たる光線は、全反射を受け、光ガイド954に沿って伝搬される。対照的に、光ガイド954の表面に臨界角未満の角度で当たる光線は、透過及び屈折される。光ガイド954の底面を抜け出した光線は、拡散反射体956によって反射され、「再循環」されて使用される。光ガイド954の頂面を抜け出した光線は、液晶装置などの光ゲート手段を通過して、ディスプレイ上に画像を生成する。
【0037】
図1に示すような従来の導光フィルムは、導光フィルムの構造化表面955と光ガイド954の上側表面953との間に光結合を発生させることがある。導光フィルム958の構造化表面955上のマイクロ構造957は、光ガイド954に対する導光フィルム958の構造化表面955の近接性を制御することによって視認可能な光結合の発生を抑制する第2の領域960を有している。
【0038】
導光フィルムに使用される特定の材料は、目的の用途に応じて広範に異なり得るが、その材料は、高度な光の透過性を確保するために、実質的に透明であるべきである。この目的に有用な高分子材料が市販されており、例えば、それぞれ約1.493及び1.586の公称屈折率を有するアクリル及びポリカーボネートが挙げられる。他の有用なポリマーには、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。高い屈折率を有する材料が一般に好ましい。
【0039】
導光フィルムの基材として使用され得る平滑なポリエステルフィルムが、ヴァージニア州ホープウェル(Hopewell)のICIアメリカズ社(ICI Americas Inc.)からMelinex 617の商標標記で市販されている。基材として使用されるフィルムに塗布され得る艶消し仕上げコーティングが、ウィスコンシン州ニューバーリン(New Berlin)のテクラ社(Tekra Corporation)からMarnot 75 GUの商標標記で市販されている。他のフィルムが同様に使用されてもよい。これらのフィルムは、光学特性、機械的特性、及び他の特性により選択されてもよい。例えば、基材は、公開済みのPCT特許出願第97/01774号に記載されているような多層光学フィルムであってもよい。使用され得る他のフィルムの例が、波長選択型の多層光学フィルム及び反射偏光子である。反射偏光子は、多層フィルム、コレステリック物質、又は公開済みのPCT特許出願第97/32227号に開示されている種類の物質であってもよい。
【0040】
本明細書で説明する導光フィルムを製造するために使用される工具のマスターは、押出しによるかあるいはキャスト及び硬化プロセスによるかにかかわらず、既知のダイヤモンド旋盤技術で製作されてよい。好適なダイヤモンド旋盤機が、米国特許第6,322,236号、同第6,354,709号、同第7,328,638号、及び国際公開第00/48037号において図示され、説明されている。
【0041】
これらの方法で使用される、導光フィルムを製作するための機器には、一般に、高速工具サーボ(fast servo tool)が挙げられる。高速工具サーボ(FTS)は、PZTスタックと呼ばれる固体圧電(PZT)装置であり、このPZTスタックは、PZTスタックに取り付けられた切削工具の位置を迅速に調節するものである。このFTSにより、以下で更に説明する座標系内の各方向に、切削工具を非常に正確にかつ高速に移動させることが可能となる。
【0042】
図14は、ワークピースにマイクロ構造を製作するための切削工具システム1000の略図である。マイクロ構造は、任意の種類、形状、及び寸法の、物品の表面上にある構造体、物品の表面の中に刻まれた刻み目、又は物品の表面から突き出る突出部を有することができる。システム1000はコンピュータ1012によって制御される。コンピュータ1012は、例えば以下の構成要素を、つまり、1つ以上のアプリケーション1016を記憶するメモリー1014と、情報を不揮発性で記憶する第2の記憶装置1018と、情報又はコマンドを受信するための入力装置1020と、メモリー1016若しくは第2の記憶装置1018に記憶された、又は別の供給源から受け取られたアプリケーションを実行するためのプロセッサ1022と、情報の視覚表示を出力するためのディスプレイ装置1024と、音声情報用のスピーカー又は情報のハードコピー用のプリンターなど、情報を他の形式で出力するための出力装置1026とを有する。
【0043】
ワークピース1054の切削は、工具先端部1044によって実施される。アクチュエータ1038は、ワークピース1054が、コンピュータ1012によって制御される電気モーターなど、駆動ユニット及びエンコーダ1056によって回転される際に、工具先端部1044の移動を制御する。この実施例において、ワークピース1054はロールの形態で示されているが、平面的な形態で実現されることもできる。任意の機械加工可能な材料が使用されてよく、例えば、ワークピースは、アルミニウム、ニッケル、銅、真鍮、鋼、又はプラスチック(例えばアクリル)で実現されることができる。使用される特定の材料は、例えば、機械加工されたワークピースを使用して製作される各種フィルムなど、特定の望ましい用途に依存してもよい。アクチュエータ1038は、例えば、ステンレス鋼で、あるいは他の材料で実現されることができ、好適なアクチュエータが、例えば、米国特許第7,328,638号において図示され、説明されている。
【0044】
アクチュエータ1038は、工具台1036に取り外し可能に連結されており、工具台1036はトラック1032上に位置している。工具台1036及びアクチュエータ1038は、矢印1040及び1042で示すx方向及びz方向の双方に移動するように、トラック1032上に構成されている。コンピュータ1012は、1つ以上の増幅器1030を介して工具台1036及びアクチュエータ1038と電気的に接続されている。
【0045】
制御器として機能する場合、コンピュータ1012は、ワークピース1054を機械加工するために、トラック1032に沿った工具台1036の移動、及び工具先端部1044の移動を、アクチュエータ1038によって制御する。アクチュエータが複数のPZTスタックを有する場合、そのアクチュエータは、スタックに取り付けられた工具先端部の移動を独立に制御する上で使用するために、別々の増幅器を使用して各PZTスタックを独立に制御することができる。以下で更に説明するように、コンピュータ1012は、様々なマイクロ構造をワークピース1054に機械加工するために、関数発生器1028を利用して波形をアクチュエータ1038に供給することができる。
【0046】
ワークピース1054の機械加工は、様々な構成要素の移動を調整することによって達成される。具体的に言えば、システムは、コンピュータ1012の制御下で、工具台1036の移動を通じてアクチュエータ1038の移動を、c方向(図14の線1053で表す回転移動)におけるワークピースの移動、並びにx方向、y方向、及びz方向のうちの1つ以上における工具先端部1044の移動と共に調整及び制御することができる。これらの座標については以下で説明する。システムは通常、一定の速度でz方向に工具台1036を移動させるが、変動する速度が用いられてもよい。工具台1036及び工具先端部1044の移動は通常、c方向におけるワークピース1054の移動と同期される。これらの移動のすべては、例えば、数値制御技術、又は、ソフトウェア、ファームウェア、若しくはそれらの組み合わせでコンピュータ1012に実装された数値制御器(NC)を用いて制御されることができる。
【0047】
ワークピースの切削は、連続的及び不連続的な切削運動を含むことができる。ロールの形態をなすワークピースの場合、その切削には、螺旋型の切削(時にねじ切りとも呼ばれる)、又は、ロールの周り若しくはロールの付近の個々の輪としての切削が挙げられる。平面の形態をなすワークピースの場合、その切削には、渦巻き型の切削、又は、ワークピース上若しくはワークピースの付近の個々の輪としての切削が挙げられる。またX切削が用いられることができ、このX切削は、ほぼ直線的な切断形式を伴うものであり、ダイヤモンドの工具先端部は、横に移動してワークピースに出入りすることができるが、工具台の全体的な動作は直線的である。切削はまた、これらの種類の運動の組み合わせを含むこともできる。
【0048】
ワークピース1054は、機械加工された後、多様な用途での使用に対応するマイクロ構造を有するフィルムを製作するために使用されることができる。フィルムは通常、コーティングプロセスを用いて製作され、そのコーティングプロセスにおいて、粘性の状態にある高分子材料がワークピースに塗布され、少なくとも部分的に硬化され、次いで取り外される。硬化した高分子材料で構成されたフィルムは、実質的に、ワークピースの構造体と正反対の構造体を有することになる。例えば、ワークピース内のくぼみは、結果として得られるフィルムに突出部をもたらす。ワークピース1054はまた、機械加工された後、工具の要素又はマイクロ構造と対応する独立した要素又はマイクロ構造を有する他の物品を製作するために使用されることもできる。
【0049】
工具台1036及びアクチュエータ1038の温度をライン1048及び1050を通じて制御するために、冷却液1046が使用されている。温度制御ユニット1052は、冷却液が工具台1036及びアクチュエータ1038を通じて循環されるとき、冷却液の温度を実質的に一定に維持することができる。温度制御ユニット1052は、流体の温度を制御する任意の装置で実現されることができる。冷却液は、油製品、例えば低粘度油で実現されることができる。温度制御ユニット1052及び冷却液1046の貯蔵部は、工具台1036及びアクチュエータ1038を通じて流体を循環させるポンプを有することができ、また、通常、流体を実質的に一定の温度に維持するために、流体から熱を除去する冷房システムを有している。特定の実施形態において、冷却液はまた、ワークピースにおいて機械加工される材料の表面温度を実質的に一定に維持するために、ワークピース54に作用されることもできる。
【0050】
図15は、システム10などの切削工具の座標系を示す略図である。この座標系は、ワークピース1064を基準とした工具先端部1062の移動として示されている。工具先端部1062は、工具先端部1044と対応してもよく、通常、キャリア1060に取り付けられ、キャリア1060はアクチュエータに取り付けられる。座標系は、この例示的実施形態において、x方向1066と、y方向1068と、z方向1070とを含んでいる。x方向1066は、ワークピース1064に対して実質的に垂直な方向における移動に関するものである。y方向1068は、ワークピース1064の回転面に対して実質的に平行な方向など、ワークピース1064を横切る方向における移動に関するものである。z方向1070は、ワークピース1064の回転軸線に対して実質的に平行な方向など、長手方向にワークピース1064に沿う方向における移動に関するものである。ワークピースの回転は、図14にも示すように、c方向と呼ばれる。ワークピースが、ロールの形態ではなく平面の形態で実現される場合、y方向及びz方向は、x方向に対して実質的に垂直な方向でワークピース全体にわたる、相互に直交する方向における移動に関するものとなる。平面的な形態のワークピースには、例えば、回転円板、又は他の任意の外形の平面的な材料を挙げることができる。
【0051】
図16Aは、本開示で説明した導光フィルムを製作する上で使用され得る典型的な工具先端部1062の斜視図であり、図16Bはその正面図であり、図16Cはその底面図であり、図16Dはその側面図である。図16A〜16Dに示すように、工具先端部1062は、側面1104と、テーパが付けられ角度が付けられた正面1106と、先端部1062を好適な工具先端部キャリア(図16A〜16Dには示さず)に固定するための底面1102とを有している。工具先端部1062の正面部分1105は、アクチュエータの制御下でワークピースを機械加工するために使用される。工具先端部1062は、例えば、ダイヤモンドの厚板(diamond slab)で実現されてもよい。
【0052】
一実施形態において、ダイヤモンド旋盤への1回の送り込みでマイクロ構造上に第1及び第2の領域を生成するために、高速工具サーボアクチュエータが、ダイヤモンド旋盤機に加えられる。別の実施形態において、導光フィルム上のマイクロ構造の第1の領域は、ダイヤモンド旋盤への初回の送り込みで生成されてもよく、工具は、実質的に一定の深さでロールに切り込むように設定される。次いで、ダイヤモンド旋盤への2回目の送り込みで、同じ工具が使用されて、マイクロ構造の第2の領域が、規則的、不規則的、又は疑似不規則的なパターンで切削される。
【0053】
1回の送り込みによる切削プロセスか又は複数回の送り込みによる切削プロセスかの選択は、マイクロ構造上の第2の領域の形状に影響を与えることがある。例えば、1回の送り込みによる切削プロセスでは、実質的に連続する第2の領域を有するマイクロ構造が生成され、第2の領域は、平滑でより緩慢に変化する傾きを持つ(図4A)。通常、複数回の送り込みによる切削プロセスでは、険しい不連続な形状を持つ第2の領域が生成され、その形状は、急激に変化する傾きを有するものである(図4B)。
【0054】
ここで、本発明について、以下の非限定的な実施例を参照して更に説明することにする。
【実施例】
【0055】
ダイヤモンド旋盤プロセスを用いて表面を調製したロールから、第1及び第2の領域を備えたマイクロ構造を有する導光フィルムを製作した。そのロールは、パターン付きの溝部を有するものであったが、その溝部は、例えば、米国特許第6,322,709号及び同第7,328,638号に記載されているような高速工具サーボアクチュエータを使用して、1回の送り込みで生成されたものであった。次いで、高分子材料をロールの上に流して、溝部となったダイヤモンド切削パターンを複写するマイクロ構造化表面を備えるフィルムを形成した。フィルムのパターンの特徴を以下の表1に示す。
【0056】
表1において、最大周期及び平均周期は、マイクロ構造に沿って評価されている。マイクロ構造に沿った周期は、ある第2の領域の始点から、同じマイクロ構造上の隣接する第2の領域の始点にわたって測定されている。
【0057】
表1におけるウエットアウトの格付けを決定するために、各サンプルのマイクロ構造化した側面を、図1に示すマイクロ構造フィルムなどの別のマイクロ構造化フィルムの平滑な側面の隣に置いた。サンプルを、図2に示すように向き付けした。ライトテーブル上で観察した際に、フィルム間の光結合の量を主観的に評価し、以下の格付け方式を用いて格付けした。
【0058】
0−ウエットアウト見られず
1−ウエットアウトは非常に軽度であり、確認はやや困難である
2−ウエットアウトは目立たないが、依然として視認可能である
3−ウエットアウトは容易に視認可能である
4−ウエットアウトは明るいが、線のパターンはない
5−明るいウエットアウトであり、線のパターンを伴う
表1における審美的な格付けを決定するために、1枚のフィルムサンプルをライトテーブル上に置き、その外観を、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のスリーエム社(3M Company)からBEF 2及びBEF 3の商標標記で入手可能な従来の導光フィルムの外観と比べて、主観的に評価した。1の評価をBEF 2に与え、5の評価をBEF 3に与えた。
【0059】
表1におけるゲインの変化を決定するために、実質的に一定の高さを持つ線状のプリズム状構造を有し、かつ第2の領域を持たない導光フィルム(例えば、図1の導光フィルムを参照されたい)とサンプルを比較した。
【0060】
【表1】
【0061】
表1に示す結果に加えて、フィルムの性能を図17〜18にまとめる。
【0062】
図17は、フィルム上の第2の領域の密度に対して第2の領域の高さをプロットすることによって、表1のフィルムの耐ウエットアウト性能をまとめたものである。一般に、図17にプロットした結果が示すところによれば、約1〜約2マイクロメートルの高さと、1cm2当たり約200〜約3500の第2の領域の平均の機構密度を有する第2の領域により、最良の耐ウエットアウト性能がもたらされる。
【0063】
図18は、第2の領域の平均周期に対して第2の領域の高さをプロットすることによって、表1のフィルムの耐ウエットアウト性能をまとめたものである。一般に、図18にプロットした結果が示すところによれば、約1〜約2マイクロメートルの高さと、約1000μm〜約12000μmの平均の機構周期を有する第2の領域により、最良の耐ウエットアウト性能がもたらされる。
【0064】
上記のように、本発明は、ディスプレイシステムに応用可能であり、バックライト方式ディスプレイ及び背面映写スクリーンなど、複数の光管理フィルムを有するディスプレイ及びスクリーンにおける審美的欠陥を減じる上で特に有用であると考えられる。したがって、本発明は、上述の特定の実施例に限定されるとみなされるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲において明確に記載された本発明のすべての態様を網羅すると理解されるべきである。様々な修正、等価なプロセス、並びに本発明の適用が可能となり得る多数の構造体が、本発明の対象とされる当業者には、本明細書を検討すれば容易に明らかとなろう。特許請求の範囲は、そのような修正及び工夫を網羅することを意図したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造化された主表面を備える導光フィルムであって、前記構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を備え、マイクロ構造は、
一定の高さを有する第1の領域と、
前記第1の領域に隣接する第2の領域であって、一定でない高さ、及び前記第1の領域の前記一定の高さよりも高い最大高さを有し、前記第1の領域と前記第2の領域は、同じ横断面形状を有する第2の領域と、を備える、導光フィルム。
【請求項2】
各マイクロ構造は、複数の第1及び第2の領域を備え、前記第2の領域は不連続的である、請求項1に記載の導光フィルム。
【請求項3】
前記第2の領域は、前記フィルムの前記主表面上の前記マイクロ構造上に不規則に分布する、請求項2に記載の導光フィルム。
【請求項4】
前記第2の領域は、前記フィルムの前記主表面上の前記マイクロ構造上に規則的に分布する、請求項2に記載の導光フィルム。
【請求項5】
前記規則的なパターンは周期的である、請求項4に記載の導光フィルム。
【請求項6】
前記規則的なパターンは非周期的である、請求項4に記載の導光フィルム。
【請求項7】
前記第2の領域は、前記フィルムの前記主表面上の前記マイクロ構造上に半不規則に分布する、請求項2に記載の導光フィルム。
【請求項8】
前記マイクロ構造は、三角形、円形、レンズ形、楕円形、円錐形、又は曲線状の部分を有する形のうちの少なくとも1つから選択された断面形状を備える、請求項3に記載の導光フィルム。
【請求項9】
前記マイクロ構造の少なくとも一部分が線状であり、前記第1の方向に沿って延びる、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項10】
前記マイクロ構造が線状であり、前記第1の方向に沿って連続的に延びる、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項11】
前記マイクロ構造が互いに隣接する、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項12】
前記マイクロ構造は、三角形状の断面形状を有する、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項13】
前記マイクロ構造は、三角形状の断面形状を有する、請求項11に記載の導光フィルム。
【請求項14】
前記第2の領域の前記最大高さは、前記一定の高さよりも約0.5μm〜約3μm高い、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項15】
前記第2の領域の密度は、前記構造化表面の1cm2当たり約200〜約6000である、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項16】
前記第2の領域の周期は約1000〜約20,000である、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項17】
前記第2の領域は、約1μm〜約2.5μmの平均高さ、及び前記構造化表面の1cm2当たり約200〜約3500の密度を有する、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項18】
前記第2の領域は、約1.5μm〜約2.0μmの平均高さ、及び前記構造化表面の1cm2当たり約200〜約2500の密度を有する、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項19】
前記プリズムは、三角形状の断面形状、及び約70°〜約110°の二面角を有する、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項20】
前記プリズムは、三角形状の断面形状を有し、前記第1の領域の前記実質的に一定の高さは、約1μm〜約200μmである、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項21】
前記プリズムの前記断面形状は非対称的である、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項22】
少なくとも2つの第2の領域が、同じ最大高さを有する、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項23】
少なくとも2つの第2の領域が、異なる最大高さを有する、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項24】
前記第2の領域の前記最大高さは規則的に変化する、請求項23に記載の導光フィルム。
【請求項25】
前記第2の領域の前記最大高さは不規則に変化する、請求項23に記載の導光フィルム。
【請求項26】
前記フィルムは、前記構造化表面の反対側の第2の主表面を備え、前記第2の主表面は実質的に平滑である、請求項1に記載の導光フィルム。
【請求項27】
前記第2の主表面は、複数の構造体を備える、請求項26に記載の導光フィルム。
【請求項28】
構造化された主表面を備える導光フィルムの第1のシートであって、前記構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を備え、マイクロ構造は、
第1の領域及び第2の領域を備え、前記第2の領域は、前記第1の領域とは異なり、かつ前記第1の領域に隣接し、マイクロ構造は、前記第1の領域における実質的に一定の高さ、及び、前記第2の領域における、前記第1の領域の前記一定の高さよりも約0.5〜約3マイクロメートル高い一定でない最大高さを有し、前記第1の領域と前記第2の領域は同じ横断面形状を有する第1のシートと、
実質的に平坦な表面と、前記実質的に平坦な表面の反対側の構造化表面とを有する導光フィルムの第2のシートであって、前記実質的に平坦な表面は、導光フィルムの前記第1のシートの前記構造化表面に隣接し、導光フィルムの前記第2のシートの前記構造化表面は、前記第1の主軸に対しておおよそ垂直な第2の主軸に沿って延びる複数のマイクロ構造を備え、前記第1のシートと第2のシートとの間の光結合が、主に前記第2の領域において発生する第2のシートと、を備える、導光物品。
【請求項29】
光源と、
視野スクリーンと、
前記光源から前記視野スクリーンへ光を導く導光フィルムと、を備える光学ディスプレイであって、前記導光フィルムは、
第1の主表面と、
複数のマイクロ構造を備える構造化された第2の主表面と、を有し、
マイクロ構造は、第1の領域とそれに隣接する第2の領域とを備える反復パターンを有し、
前記第1の領域は一定の高さを有し、
前記第2の領域は、前記第1の領域の前記一定の高さよりも高い一定でない最大高さを有し、前記第2の領域の前記最大高さは、前記第1の領域の前記一定の高さよりも約0.5μm〜約3μm高いものであり、前記反復パターンは、1cm2当たり少なくとも約200の第2の領域の密度を有し、前記第1の領域と前記第2の領域は同じ横断面形状を有する、光学ディスプレイ。
【請求項30】
前記マイクロ構造の頂点は前記視野スクリーンに向いている、請求項29に記載の光学ディスプレイ。
【請求項31】
前記マイクロ構造の頂点は前記視野スクリーンに背いている、請求項29に記載の光学ディスプレイ。
【請求項32】
導光フィルムを製作する方法であって、
構造化された主表面を備える工具を切削する工程であって、前記構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数の溝部を備え、溝部は、
第1の領域及び第2の領域であって、前記第2の領域は、前記第1の領域とは異なり、かつ前記第1の領域に隣接する第1の領域及び第2の領域と、
前記第1の領域における一定の高さ、及び、前記第1の領域における前記実質的に一定の高さよりも高い、前記第2の領域における最大高さと、を備え、前記第1の領域と前記第2の領域は同じ横断面形状を有する工程と、
前記工具に高分子材料を塗布してフィルムを形成する工程であって、前記フィルムは、前記工具の前記溝部に対応するマイクロ構造の配置を備える工程と、を含む、方法。
【請求項33】
ディスプレイ装置におけるウエットアウトを減じる方法であって、前記装置の中に導光フィルムを組み込む工程を含み、前記導光フィルムは構造化された主表面を備え、前記構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を備え、マイクロ構造は、
第1の領域及び第2の領域であって、前記第2の領域は、前記第1の領域とは異なり、かつ前記第1の領域に隣接する第1の領域及び第2の領域と、
前記第1の領域における実質的に一定の高さ、及び、前記第1の領域における前記実質的に一定の高さよりも高い、前記第2の領域における最大高さとを備え、前記第1の領域と前記第2の領域は同じ横断面形状を有する、方法。
【請求項1】
構造化された主表面を備える導光フィルムであって、前記構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を備え、マイクロ構造は、
一定の高さを有する第1の領域と、
前記第1の領域に隣接する第2の領域であって、一定でない高さ、及び前記第1の領域の前記一定の高さよりも高い最大高さを有し、前記第1の領域と前記第2の領域は、同じ横断面形状を有する第2の領域と、を備える、導光フィルム。
【請求項2】
各マイクロ構造は、複数の第1及び第2の領域を備え、前記第2の領域は不連続的である、請求項1に記載の導光フィルム。
【請求項3】
前記第2の領域は、前記フィルムの前記主表面上の前記マイクロ構造上に不規則に分布する、請求項2に記載の導光フィルム。
【請求項4】
前記第2の領域は、前記フィルムの前記主表面上の前記マイクロ構造上に規則的に分布する、請求項2に記載の導光フィルム。
【請求項5】
前記規則的なパターンは周期的である、請求項4に記載の導光フィルム。
【請求項6】
前記規則的なパターンは非周期的である、請求項4に記載の導光フィルム。
【請求項7】
前記第2の領域は、前記フィルムの前記主表面上の前記マイクロ構造上に半不規則に分布する、請求項2に記載の導光フィルム。
【請求項8】
前記マイクロ構造は、三角形、円形、レンズ形、楕円形、円錐形、又は曲線状の部分を有する形のうちの少なくとも1つから選択された断面形状を備える、請求項3に記載の導光フィルム。
【請求項9】
前記マイクロ構造の少なくとも一部分が線状であり、前記第1の方向に沿って延びる、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項10】
前記マイクロ構造が線状であり、前記第1の方向に沿って連続的に延びる、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項11】
前記マイクロ構造が互いに隣接する、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項12】
前記マイクロ構造は、三角形状の断面形状を有する、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項13】
前記マイクロ構造は、三角形状の断面形状を有する、請求項11に記載の導光フィルム。
【請求項14】
前記第2の領域の前記最大高さは、前記一定の高さよりも約0.5μm〜約3μm高い、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項15】
前記第2の領域の密度は、前記構造化表面の1cm2当たり約200〜約6000である、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項16】
前記第2の領域の周期は約1000〜約20,000である、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項17】
前記第2の領域は、約1μm〜約2.5μmの平均高さ、及び前記構造化表面の1cm2当たり約200〜約3500の密度を有する、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項18】
前記第2の領域は、約1.5μm〜約2.0μmの平均高さ、及び前記構造化表面の1cm2当たり約200〜約2500の密度を有する、請求項10に記載の導光フィルム。
【請求項19】
前記プリズムは、三角形状の断面形状、及び約70°〜約110°の二面角を有する、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項20】
前記プリズムは、三角形状の断面形状を有し、前記第1の領域の前記実質的に一定の高さは、約1μm〜約200μmである、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項21】
前記プリズムの前記断面形状は非対称的である、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項22】
少なくとも2つの第2の領域が、同じ最大高さを有する、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項23】
少なくとも2つの第2の領域が、異なる最大高さを有する、請求項8に記載の導光フィルム。
【請求項24】
前記第2の領域の前記最大高さは規則的に変化する、請求項23に記載の導光フィルム。
【請求項25】
前記第2の領域の前記最大高さは不規則に変化する、請求項23に記載の導光フィルム。
【請求項26】
前記フィルムは、前記構造化表面の反対側の第2の主表面を備え、前記第2の主表面は実質的に平滑である、請求項1に記載の導光フィルム。
【請求項27】
前記第2の主表面は、複数の構造体を備える、請求項26に記載の導光フィルム。
【請求項28】
構造化された主表面を備える導光フィルムの第1のシートであって、前記構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を備え、マイクロ構造は、
第1の領域及び第2の領域を備え、前記第2の領域は、前記第1の領域とは異なり、かつ前記第1の領域に隣接し、マイクロ構造は、前記第1の領域における実質的に一定の高さ、及び、前記第2の領域における、前記第1の領域の前記一定の高さよりも約0.5〜約3マイクロメートル高い一定でない最大高さを有し、前記第1の領域と前記第2の領域は同じ横断面形状を有する第1のシートと、
実質的に平坦な表面と、前記実質的に平坦な表面の反対側の構造化表面とを有する導光フィルムの第2のシートであって、前記実質的に平坦な表面は、導光フィルムの前記第1のシートの前記構造化表面に隣接し、導光フィルムの前記第2のシートの前記構造化表面は、前記第1の主軸に対しておおよそ垂直な第2の主軸に沿って延びる複数のマイクロ構造を備え、前記第1のシートと第2のシートとの間の光結合が、主に前記第2の領域において発生する第2のシートと、を備える、導光物品。
【請求項29】
光源と、
視野スクリーンと、
前記光源から前記視野スクリーンへ光を導く導光フィルムと、を備える光学ディスプレイであって、前記導光フィルムは、
第1の主表面と、
複数のマイクロ構造を備える構造化された第2の主表面と、を有し、
マイクロ構造は、第1の領域とそれに隣接する第2の領域とを備える反復パターンを有し、
前記第1の領域は一定の高さを有し、
前記第2の領域は、前記第1の領域の前記一定の高さよりも高い一定でない最大高さを有し、前記第2の領域の前記最大高さは、前記第1の領域の前記一定の高さよりも約0.5μm〜約3μm高いものであり、前記反復パターンは、1cm2当たり少なくとも約200の第2の領域の密度を有し、前記第1の領域と前記第2の領域は同じ横断面形状を有する、光学ディスプレイ。
【請求項30】
前記マイクロ構造の頂点は前記視野スクリーンに向いている、請求項29に記載の光学ディスプレイ。
【請求項31】
前記マイクロ構造の頂点は前記視野スクリーンに背いている、請求項29に記載の光学ディスプレイ。
【請求項32】
導光フィルムを製作する方法であって、
構造化された主表面を備える工具を切削する工程であって、前記構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数の溝部を備え、溝部は、
第1の領域及び第2の領域であって、前記第2の領域は、前記第1の領域とは異なり、かつ前記第1の領域に隣接する第1の領域及び第2の領域と、
前記第1の領域における一定の高さ、及び、前記第1の領域における前記実質的に一定の高さよりも高い、前記第2の領域における最大高さと、を備え、前記第1の領域と前記第2の領域は同じ横断面形状を有する工程と、
前記工具に高分子材料を塗布してフィルムを形成する工程であって、前記フィルムは、前記工具の前記溝部に対応するマイクロ構造の配置を備える工程と、を含む、方法。
【請求項33】
ディスプレイ装置におけるウエットアウトを減じる方法であって、前記装置の中に導光フィルムを組み込む工程を含み、前記導光フィルムは構造化された主表面を備え、前記構造化された主表面は、第1の方向に沿って延びる複数のマイクロ構造を備え、マイクロ構造は、
第1の領域及び第2の領域であって、前記第2の領域は、前記第1の領域とは異なり、かつ前記第1の領域に隣接する第1の領域及び第2の領域と、
前記第1の領域における実質的に一定の高さ、及び、前記第1の領域における前記実質的に一定の高さよりも高い、前記第2の領域における最大高さとを備え、前記第1の領域と前記第2の領域は同じ横断面形状を有する、方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2011−517035(P2011−517035A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503130(P2011−503130)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/039077
【国際公開番号】WO2009/124107
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/039077
【国際公開番号】WO2009/124107
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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