説明

導光性に優れたアクリル系樹脂フィルム

【課題】 本発明は耐衝撃性を損なわずに白色LEDライトの透過性を改善したフィルムを提供することにある。
【解決手段】 本発明のアクリル系樹脂フィルムは、40nm以上、100nm未満のゴム含有アクリル系グラフト共重合体を含有するゴム変性アクリル系樹脂からなる、430nmの光線透過率が92%以上である、導光板代替フィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコンや携帯電話等を構成する液晶表示装置のバックライトとして用いられる面光源装置、並びにそれに用いられる導光板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パソコンや携帯電話等を構成する液晶表示装置においては、近年、軽量化及び薄型化の要求が強く、面光源装置の光源としてLED等の点状光源の使用が急速に進んでいる。
【0003】
それに伴い500μm以下の薄型導光板が必要とされているが、通常のアクリル樹脂は500μm以下に成形すると耐衝撃性が低下して割れやすくなるために使用することが出来ない。
【0004】
解決する為の一般的な方法として特許文献1が提案されているが、白色LEDライトの透過性が不十分であり、使用出来る分野が限られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−218207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、耐衝撃性が高く、光線透過率が高い、導光板用アクリル系樹脂フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、平均粒子径が40nm以上、100nm未満のゴム粒子を含有し、430nmの光線透過率が92%以上のアクリル系樹脂フィルムは、耐衝撃性に優れ、且つ白色LEDライトの透過性を改善出来、導光板代替フィルムに使用出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、平均粒子径が40nm以上、100nm未満のゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)を含むゴム変性アクリル系樹脂(A)からなる、430nmの光線透過率が92%以上である、導光板用アクリル系樹脂フィルムである。
【0009】
上記ゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)が、ゴム共重合体(A1c)の内層、及び内層を覆うグラフト成分(A1s)の外層を、A1c:A1sの重量比が5:95〜85:15で含む多層構造グラフト共重合体であり、ゴム共重合体(A1c)が、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、共重合可能な他のビニル単量体0〜49.9重量%、及び多官能性単量体0.1〜10重量%からなるゴム共重合体用単量体100重量%の重合体であり、グラフト成分(A1s)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、及び共重合可能なメタクリル酸アルキルエステル以外のビニル単量体0〜50重量%からなるグラフト成分用単量体100重量%の重合体であるものが好ましい。
【0010】
上記ゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)が、さらに、最内層重合体(A1a)を、A1a:(A1c、及びA1sの合計量)の重量比が10:90〜40:60で含み、かつ、最内層重合体(A1a)の存在下に、前記ゴム共重合体用単量体が重合されてなる、少なくとも3層構造を有する多層構造グラフト共重合体であり、かつ、最内層重合体(A1a)が、メタクリル酸アルキルエステル、及び芳香族ビニルからなる群から選ばれる1種以上を40〜99.9重量%と、共重合可能な他のビニル単量体59.9〜0重量%と、多官能性単量体0.1〜5重量%と、からなる最内層重合体用単量体100重量%の重合体であるものが好ましい。
【0011】
上記ゴム変性アクリル系樹脂(A)が、ゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)を5〜70重量部およびアクリル系樹脂(A2)95〜30重量部を含み、アクリル樹脂(A2)が、アクリル酸アルキルエステル0〜50重量%およびメタクリル酸アルキルエステル100〜50重量%からなるアクリル樹脂用単量体の重合体であるものが好ましい。
【0012】
本発明の導光板用アクリル系樹脂フィルムは、その厚みが50μm〜500μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアクリル系樹脂フィルムは、LEDの透過性と耐衝撃性と透明性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(アクリル系樹脂フィルム)
本発明のアクリル系樹脂フィルムは、平均粒子径が40nm以上で100nm未満のゴム含有アクリル系グラフト重合体(A1)を含有するゴム変成アクリル系樹脂(A)からなり、430nmの光線透過率が92%以上であることで、特異的に奏される効果である。
【0015】
本発明のアクリル系樹脂フィルムは、LED光源の透過性に優れるので、液晶や有機EL用途、携帯やパソコン、テレビ、携帯電話ボタン、カーナビ、照明看板等の導光板用フィルムに好適である。
【0016】
本発明のアクリル系樹脂フィルムの厚みは、好ましくは50μm〜500μmである。
【0017】
(ゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1))
本発明に係るゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)は、LED光源の透過性と耐衝撃性と透明性とをバランスさせる観点から、平均粒子径は40nm以上、100nm未満であることが必要であるが、好ましくは50nm以上、95nm以下である。
【0018】
本発明に係るゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)は、ゴム共重合体(A1c)の内層、及び内層を覆うグラフト成分(A1s)の外層を、A1c:A1sの重量比が5:95〜85:15となるように含む多層構造グラフト共重合体とすることが好ましい。特に優れた衝撃強度を得る観点から、さらに、最内層重合体(A1a)を、A1a:(A1c、及びA1sの合計量)の重量比が10:90〜40:60となるように含み、かつ、この最内層重合体(A1a)の存在下に、ゴム共重合体(A1c)のゴム共重合体用単量体が重合されてなるようにした、少なくとも3層構造を有する多層構造グラフト共重合体とすることがより好ましい。
【0019】
前記A1c:A1sの重量比は、衝撃強度をより高める観点から、A1c:A1sの重量比が25:75〜80:20がより好ましい。
【0020】
このようなゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)の製造方法には特に限定はなく例えば、懸濁重合法、乳化重合法等が用いられ得るが、共重合体粒子の粒径を揃えることにより、より優れた効果を発揮できるので、乳化重合法で製造するのが好ましい。
【0021】
(アクリル樹脂(A2))
本発明のゴム変性アクリル系樹脂(A)は、さらにアクリル系樹脂(A2)を含有させることができる。
【0022】
アクリル樹脂(A2)は、前記グラフト成分(A1s)とともに、本発明のゴム変性アクリル系樹脂(A)の基材樹脂として、前記ゴム共重合体(A1c)を包むマトリクス樹脂として機能することができ、優れた透明性、剛性、耐熱性を得る観点から、好ましくは、アクリル酸アルキルエステル0〜50重量%、及びメタクリル酸アルキルエステル100〜50重量%からなるアクリル樹脂用単量体の重合体である。
【0023】
このようなアクリル樹脂(A2)の製造方法には特に限定はなく例えば、懸濁重合法、乳化重合法等が用いられ得るが、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルを効率的に共重合させる観点から、懸濁重合法が好ましい。
【0024】
(ゴム共重合体(A1c))
ゴム共重合体(A1c)は、そのゴム弾性により耐衝撃性改良効果を主に担うことができ、その屈折率は、グラフト成分(A1s)やアクリル樹脂(A2)の屈折率に近いほど、又その粒径が小さいほど、透明性になり易く、このようなゴム共重合体(A1c)の数平均粒子径は、LED光源の透過性と耐衝撃性と透明性とをバランスさせる観点から、40nm以上、100nm未満とすることが好ましく、より好ましくは40nm以上、90nm未満である。
【0025】
ゴム共重合体(A1c)は、優れた衝撃強度、透明性を得る観点から、好ましくは、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、共重合可能なアクリル酸アルキルエステル以外のビニル単量体0〜49.9重量%、及び多官能性単量体0.1〜10重量%からなるゴム共重合体用単量体100重量%の重合体であるが、より好ましくは、アクリル酸アルキルエステル70〜99重量%、共重合可能なアクリル酸アルキルエステル以外のビニル単量体0〜29重量%、及び多官能性単量体0.1〜5重量%からなるゴム共重合体用単量体100重量%の重合体である。
【0026】
(グラフト成分(A1s))
グラフト成分(A1s)は、本発明のゴム変性アクリル系樹脂(A)の基材樹脂として、前記ゴム共重合体(A1c)包むマトリクス樹脂として機能することができる。優れたLED光源の透過性、衝撃強度、透明性、及び成形加工性を得る観点から、好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、及び共重合可能なメタクリル酸アルキルエステル以外のビニル単量体0〜50重量%からなるグラフト成分用単量体100重量%の重合体であるが、より好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル80〜100重量%、及び共重合可能なメタクリル酸アルキルエステル以外のビニル単量体20〜0重量%からなるグラフト成分用単量体100重量%の重合体である。本発明のゴム変性アクリル系樹脂(A)の流動性を向上させ成形加工性より向上させる観点から、グラフト成分用単量体100重量%に、さらに、ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン化合物を0.01〜5重量%加えることが好ましい。
【0027】
このグラフト成分(A1s)は、必要に応じて、それ自体を多層構造としても良い。
【0028】
(最内層重合体(A1a))
最内層重合体(A1a)は、衝撃強度、及び透明性をより向上させるために、ゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)に付加される構成要素であり、好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル、及び芳香族ビニルからなる群から選ばれる1種以上40〜99.9重量%と、共重合可能な他のビニル単量体59.9〜0重量%と、多官能性単量体0.1〜5重量%と、からなる最内層重合体用単量体100重量%の重合体であるが、より好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル、及び芳香族ビニルからなる群から選ばれる1種以上54.9〜90重量%と、共重合可能な他のビニル単量体45〜5量%と、多官能性単量体0.1〜5重量%と、からなる最内層重合体用単量体100重量%の重合体である。この最内層重合体(A1a)の存在下に、前記ゴム共重合体用単量体が重合されることで、前記ゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)において、概ね、その中央部に分布する層となる。
【0029】
(アクリル酸アルキルエステル)
アクリル酸アルキルエステルとしては、重合時の反応速度の観点から、そのアルキル基の炭素数が1〜8個であるものが好ましく、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸−2−エチルヘキシル(2EHA)、アクリル酸−n−オクチル(nOA)等が挙げられるが、耐衝撃性を高める観点から、BA、2EHA、及びnOAからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、特に好ましくはBAである。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0030】
(メタクリル酸アルキルエステル)
メタクリル酸アルキルエステルとしては、重合時の反応速度の観点から、そのアルキル基の炭素数が1〜4個であるものが好ましく、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられるが、加工性を高める観点から、好ましくはメタクリル酸メチルである。メタクリル酸アルキルエステルのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖上でもよい。
【0031】
(芳香族ビニル)
前記芳香族ビニルとしては、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、及びビニルトルエンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、より好ましくはスチレンである。
【0032】
(多官能性単量体)
多官能性単量体は、1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する単量体であり、架橋剤、又はグラフト交叉剤として機能する成分であり、架橋性の観点から、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ビニル基含有多官能性単量体類、及びアリル基含有多官能性単量体類からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0033】
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル、及び/又は、メタクリル酸エステル、を意味する。
【0035】
ビニル基含有多官能性単量体類としては、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペート等が挙げられる。
【0036】
アリル基含有多官能性単量体類としては、(メタ)アクリル酸アリル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0037】
(ビニル単量体)
本発明で使用できるビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の等の芳香族ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の非アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0038】
(ゴム変成アクリル系樹脂(A))
本発明に係るゴム変性アクリル系樹脂(A)は、アクリル系樹脂(A2)を含有させてもよい。アクリル系樹脂(A2)は、グラフト成分(A1s)とともにゴム共重合体(A1c)包むマトリクス樹脂として機能しうる。ゴム変性アクリル系樹脂(A)の全体量を100重量部として、好ましくはゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)5〜70重量部、及びアクリル樹脂(A2)95〜30重量部を含む。
【0039】
(紫外線吸収剤)
耐光性を向上させる観点から、本発明のゴム変性アクリル系樹脂(A)に紫外線吸収剤を、フィルムのLED光源透過性に影響を及ぼさない量、即ち、ゴム変成アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、1.0重量部以下添加することが出来る。
【0040】
紫外線吸収剤としては、その紫外線吸収能と、LED光源の透過性の観点から、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、及びベンゾフェノン系の紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0041】
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤の例としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−sec−ブチル−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕、2−(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−ドデシルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0042】
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤の例としては、2−ヒドロキシ−4−フェニルメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドレイトベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−フェニルプロポキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0043】
トリアジン系の紫外線吸収剤としては、2−(4,6ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等が挙げられる。
【0044】
(光安定剤)
耐候性をさらに向上させる観点から、本発明のゴム変性アクリル系樹脂(A)に光安定剤を、本発明に係るゴム変成アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.6重量部以下添加することが出来る。
【0045】
前記光安定剤としては、特に限定されず公知の光安定剤が使用できるが、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルベンゾエート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリル酸エステル、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメチル)マロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1−[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−tert−オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシル、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物などを挙げることができる。
【0046】
(その他の添加剤)
本発明のゴム変性アクリル系樹脂(A)には、さらに必要に応じて、各種の酸化防止剤、解重合防止剤、滑剤等を添加することができる。
【実施例】
【0047】
つぎに具体的な実施例に基づいて本発明を説明するが、これらはいずれも例示的なものであり、本発明の内容を限定するものではない。
(平均粒子径)
ゴム変性アクリル系樹脂(A)の平均粒子径は、得られるフィルムから凍結超薄切片法により試料調整した後、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製 JEM1200EX)を用いて、加速電圧80kVにて40000倍で観察した写真を基に測定した値である。
【0048】
(合成例1)(3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−1の製造)
最内層重合体(A1a)を重合するために、イオン交換水220.0重量部、ほう酸0.3重量部、炭酸ナトリウム0.03重量部、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム0.60重量部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.09重量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.006重量部、及び硫酸第一鉄・7水塩0.002重量部をガラス製反応器に仕込み、窒素気流中で撹拌しながら80℃に昇温した後、表1に示す最内層重合体用単量体と、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる内層成分の混合液につき、まず、その25%を一括して仕込み、45分間重合を行なった。続いて、この混合液の残り75%を1時間に渡って連続追加した。追加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させることで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−1の最内層重合体(A1a)のラテックスを得た。なお、1時間にわたってモノマーを連続追加している時に、0.2重量部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。得られた最内層重合体(A1a)のラテックスは、架橋メタクリル系重合体ラテックスであり、重合転化率は98%であった。
【0049】
ゴム共重合体(A1c)を重合するために、上記で得た最内層重合体(A1a)のラテックスを、窒素気流中で80℃に保ち、そこに、過硫酸カリウム0.1重量部を添加した後、表1に示すゴム共重合体用単量体を5時間に渡って連続追加した。この5時間の間にオレイン酸カリウム0.1重量部を3回に分けて添加した。追加終了後、重合を完結させるためにさらに過硫酸カリウムを0.05重量部添加した後2時間保持することで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−1の、最内層重合体(A1a)、及びゴム共重合体(A1c)からなる2層構造までからなる重合体粒子のラテックスを得た。得られた2層構造までからなる重合体粒子の数平均粒子径は40nmであり、重合転化率は共通して99%であった。
【0050】
グラフト成分(A1s)を重合するために、上記で得た2層構造までからなる重合体粒子のラテックスを80℃に保ち、そこに、過硫酸カリウム0.02重量部を添加した後、表1に示すグラフト成分用単量体を2時間に渡って連続追加した。混合物の追加終了後1時間保持することで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−1のラテックスを得た。重合転化率は共通して99%であった。得られた3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−5のラテックスを公知の方法で塩析凝固、熱処理、乾燥を行ない白色粉末として、ゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−1を得た。平均粒子径は40nmであった。
【0051】
(合成例2)(3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−2の製造)
最内層重合体(A1a)を重合するために、イオン交換水220.0重量部、ほう酸0.3重量部、炭酸ナトリウム0.03重量部、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム0.52重量部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.09重量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.006重量部、及び硫酸第一鉄・7水塩0.002重量部をガラス製反応器に仕込み、窒素気流中で撹拌しながら80℃に昇温した後、表1に示す最内層重合体用単量体と、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる内層成分の混合液につき、まず、その25%を一括して仕込み、45分間重合を行なった。続いて、この混合液の残り75%を1時間に渡って連続追加した。追加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させることで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−2の最内層重合体(A1a)のラテックスを得た。なお、1時間にわたってモノマーを連続追加している時に、0.2重量部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。得られた最内層重合体(A1a)のラテックスは、架橋メタクリル系重合体ラテックスであり、重合転化率は98%であった。
【0052】
ゴム共重合体(A1c)を重合するために、上記で得た最内層重合体(A1a)のラテックスを、窒素気流中で80℃に保ち、そこに、過硫酸カリウム0.1重量部を添加した後、表1に示すゴム共重合体用単量体を5時間に渡って連続追加した。この5時間の間にオレイン酸カリウム0.1重量部を3回に分けて添加した。追加終了後、重合を完結させるためにさらに過硫酸カリウムを0.05重量部添加した後2時間保持することで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−2の、最内層重合体(A1a)、及びゴム共重合体(A1c)からなる2層構造までからなる重合体粒子のラテックスを得た。得られた2層構造までからなる重合体粒子の数平均粒子径は70nmであり、重合転化率は共通して99%であった。
【0053】
グラフト成分(A1s)を重合するために、上記で得た2層構造までからなる重合体粒子のラテックスを80℃に保ち、そこに、過硫酸カリウム0.02重量部を添加した後、表1に示すグラフト成分用単量体を2時間に渡って連続追加した。混合物の追加終了後1時間保持することで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−2のラテックスを得た。重合転化率は共通して99%であった。得られた3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−2のラテックスを公知の方法で塩析凝固、熱処理、乾燥を行ない白色粉末として、ゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−2を得た。平均粒子径は70nmであった。
【0054】
(合成例3)(3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−3の製造)
最内層重合体(A1a)を重合するために、イオン交換水220.0重量部、ほう酸0.3重量部、炭酸ナトリウム0.03重量部、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム0.42重量部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.09重量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.006重量部、及び硫酸第一鉄・7水塩0.002重量部をガラス製反応器に仕込み、窒素気流中で撹拌しながら80℃に昇温した後、表1に示す最内層重合体用単量体と、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる内層成分の混合液につき、まず、その25%を一括して仕込み、45分間重合を行なった。続いて、この混合液の残り75%を1時間に渡って連続追加した。追加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させることで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−3の最内層重合体(A1a)のラテックスを得た。なお、1時間にわたってモノマーを連続追加している時に、0.2重量部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。得られた最内層重合体(A1a)のラテックスは、架橋メタクリル系重合体ラテックスであり、重合転化率は98%であった。
【0055】
ゴム共重合体(A1c)を重合するために、上記で得た最内層重合体(A1a)のラテックスを、窒素気流中で80℃に保ち、そこに、過硫酸カリウム0.1重量部を添加した後、表1に示すゴム共重合体用単量体を5時間に渡って連続追加した。この5時間の間にオレイン酸カリウム0.1重量部を3回に分けて添加した。追加終了後、重合を完結させるためにさらに過硫酸カリウムを0.05重量部添加した後2時間保持することで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−3の、最内層重合体(A1a)、及びゴム共重合体(A1c)からなる2層構造までからなる重合体粒子のラテックスを得た。得られた2層構造までからなる重合体粒子の数平均粒子径は95nmであり、重合転化率は共通して99%であった。
【0056】
グラフト成分(A1s)を重合するために、上記で得た2層構造までからなる重合体粒子のラテックスを80℃に保ち、そこに、過硫酸カリウム0.02重量部を添加した後、表1に示すグラフト成分用単量体を2時間に渡って連続追加した。混合物の追加終了後1時間保持することで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−7のラテックスを得た。重合転化率は共通して99%であった。得られた3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−3のラテックスを公知の方法で塩析凝固、熱処理、乾燥を行ない白色粉末として、ゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−3を得た。平均粒子径は95nmであった。
【0057】
(比較合成例1)(3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−4の製造)
最内層重合体(A1a)を重合するために、イオン交換水220.0重量部、ほう酸0.3重量部、炭酸ナトリウム0.03重量部、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム0.24重量部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.09重量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.006重量部、及び硫酸第一鉄・7水塩0.002重量部をガラス製反応器に仕込み、窒素気流中で撹拌しながら80℃に昇温した後、表1に示す最内層重合体用単量体と、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる内層成分の混合液につき、まず、その25%を一括して仕込み、45分間重合を行なった。続いて、この混合液の残り75%を1時間に渡って連続追加した。追加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させることで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−4の最内層重合体(A1a)のラテックスを得た。なお、1時間にわたってモノマーを連続追加している時に、0.2重量部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。得られた最内層重合体(A1a)のラテックスは、架橋メタクリル系重合体ラテックスであり、重合転化率は97.5%であった。
【0058】
ゴム共重合体(A1c)を重合するために、上記で得た最内層重合体(A1a)のラテックスを、窒素気流中で80℃に保ち、そこに、過硫酸カリウム0.1重量部を添加した後、表1に示すゴム共重合体用単量体を5時間に渡って連続追加した。この5時間の間にオレイン酸カリウム0.1重量部を3回に分けて添加した。追加終了後、重合を完結させるためにさらに過硫酸カリウムを0.05重量部添加した後2時間保持することで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−4の、最内層重合体(A1a)、及びゴム共重合体(A1c)からなる2層構造までからなる重合体粒子のラテックスを得た。得られた2層構造までからなる重合体粒子の数平均粒子径は150nmであり、重合転化率は共通して99%であった。
【0059】
グラフト成分(A1s)を重合するために、上記で得た2層構造までからなる重合体粒子のラテックスを80℃に保ち、そこに、過硫酸カリウム0.02重量部を添加した後、表1に示すグラフト成分用単量体を2時間に渡って連続追加した。混合物の追加終了後1時間保持することで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−4のラテックスを得た。重合転化率は共通して99%であった。得られた3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−5〜A1−8のラテックスを公知の方法で塩析凝固、熱処理、乾燥を行ない白色粉末として、ゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−4を得た。平均粒子径は150nmであった。
【0060】
(比較合成例2)(3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−5の製造)
最内層重合体(A1a)を重合するために、イオン交換水220.0重量部、ほう酸0.3重量部、炭酸ナトリウム0.03重量部、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム0.09重量部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.09重量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.006重量部、及び硫酸第一鉄・7水塩0.002重量部をガラス製反応器に仕込み、窒素気流中で撹拌しながら80℃に昇温した後、表1に示す最内層重合体用単量体と、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる内層成分の混合液につき、まず、その25%を一括して仕込み、45分間重合を行なった。続いて、この混合液の残り75%を1時間に渡って連続追加した。追加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させることで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−5の最内層重合体(A1a)のラテックスを得た。なお、1時間にわたってモノマーを連続追加している時に、0.2重量部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。得られた最内層重合体(A1a)のラテックスは、架橋メタクリル系重合体ラテックスであり、重合転化率は97.5%であった。
【0061】
ゴム共重合体(A1c)を重合するために、上記で得た最内層重合体(A1a)のラテックスを、窒素気流中で80℃に保ち、そこに、過硫酸カリウム0.1重量部を添加した後、表1に示すゴム共重合体用単量体を5時間に渡って連続追加した。この5時間の間にオレイン酸カリウム0.1重量部を3回に分けて添加した。追加終了後、重合を完結させるためにさらに過硫酸カリウムを0.05重量部添加した後2時間保持することで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−5の、最内層重合体(A1a)、及びゴム共重合体(A1c)からなる2層構造までからなる重合体粒子のラテックスを得た。得られた2層構造までからなる重合体粒子の数平均粒子径は、200nmであり、重合転化率は共通して99%であった。
【0062】
グラフト成分(A1s)を重合するために、上記で得た2層構造までからなる重合体粒子のラテックスを80℃に保ち、そこに、過硫酸カリウム0.02重量部を添加した後、表1に示すグラフト成分用単量体を2時間に渡って連続追加した。混合物の追加終了後1時間保持することで、3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−5のラテックスを得た。重合転化率は共通して99%であった。得られた3層構造のゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−5のラテックスを公知の方法で塩析凝固、熱処理、乾燥を行ない白色粉末として、ゴム含有アクリル系グラフト共重合体A1−5を得た。平均粒子径は200nmであった。
【0063】
【表1】

【0064】
(実施例1〜13、及び比較例1〜9)
表2〜3に示す重量部数で、ゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)、及びアクリル樹脂(A2)、旭電化工業製のヒンダードアミン系光安定剤(商品名:アデカスタブLA−52、旭電化工業製)0.1重量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010、チバ・ジャパン製)0.1重量部とを65mmベント付き2軸押出機を用いて、樹脂のダイスからの吐出時の温度を265℃でペレット化し、そのペレットを用いて、φ90mmベント付き単軸押出機で混錬し、1500mm幅のコートハンガー式Tダイから吐出し、キャストロールで冷却すると同時に弾性金属ロールでタッチしフィルムを作製した。
【0065】
比較例8および比較例9はゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)を配合していないためにフィルム巻取り時に割れてしまいフィルムを作製することが出来なかった。
【0066】
このようにして得たフィルムサンプルを用いて、下記の評価を実施した。
【0067】
(フィルムの巻き取り性)
直径3インチの紙管にフィルムサンプルを100m巻き取った際にフィルムサンプルが割れないかを観察した。評価基準は次のとおりである。
○:割れ無し。
×:端部に割れ有り。
【0068】
(ヘイズ値(%))
JIS K 7361-1に準拠し、光線透過率測定装置(日本電色工業製 ヘイズメーター NDH−2000型)を用いヘイズ値を測定した。
【0069】
(430nmの光線透過率(%))
水素放電管を光源として取り付けた分光光度計(島津製作所製分光光度計 UV−2450型)を用いて波長430nmの光線透過率を測定した。
【0070】
(白色LEDライトの透過性試験)
フィルムサンプルを長さ30センチにカットし、片方の端から白色LEDライトを照射し、30cm先のもう片側の端から目視でライトの色を観察した。評価基準は次のとおりである。
○:白い。
△:少し黄色い。
×:黄色い。
【0071】
上記各実施例、及び比較例の組成、及び評価結果を表2〜3に示す。
【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
アクリル樹脂(A2)として使用した樹脂は次のとおり:
A2−1:デルペット570F(旭化成ケミカルズ株式会社製)
A2−2:H−12(サイロ株式会社製)
表3に示すように、本発明のアクリル系樹脂フィルムは、耐衝撃性に優れ、かつ、優れた透明性を有し、白色LEDライトの透過性にも優れることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が40nm以上、100nm未満のゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)を含むゴム変性アクリル系樹脂(A)からなる、430nmの光線透過率が92%以上である、導光板用アクリル系樹脂フィルム。
【請求項2】
ゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)が、ゴム共重合体(A1c)の内層、及び内層を覆うグラフト成分(A1s)の外層を、A1c:A1sの重量比が5:95〜85:15で含む多層構造グラフト共重合体であり、
ゴム共重合体(A1c)が、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、共重合可能な他のビニル単量体0〜49.9重量%、及び多官能性単量体0.1〜10重量%からなるゴム共重合体用単量体100重量%の重合体であり、
グラフト成分(A1s)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、及び共重合可能なメタクリル酸アルキルエステル以外のビニル単量体0〜50重量%からなるグラフト成分用単量体100重量%の重合体であり、かつ、
、請求項1記載の導光板用アクリル系樹脂フィルム。
【請求項3】
ゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)が、さらに、最内層重合体(A1a)を、A1a:(A1c、及びA1sの合計量)の重量比が10:90〜40:60で含み、かつ、
最内層重合体(A1a)の存在下に、前記ゴム共重合体用単量体が重合されてなる、少なくとも3層構造を有する多層構造グラフト共重合体であり、かつ、
最内層重合体(A1a)が、メタクリル酸アルキルエステル、及び芳香族ビニルからなる群から選ばれる1種以上を40〜99.9重量%と、共重合可能な他のビニル単量体59.9〜0重量%と、多官能性単量体0.1〜5重量%と、からなる最内層重合体用単量体100重量%の重合体である、請求項2に記載の導光板用アクリル系樹脂フィルム。
【請求項4】
ゴム変性アクリル系樹脂(A)が、ゴム含有アクリル系グラフト共重合体(A1)を5〜70重量部およびアクリル系樹脂(A2)95〜30重量部を含み、
アクリル樹脂(A2)が、アクリル酸アルキルエステル0〜50重量%およびメタクリル酸アルキルエステル100〜50重量%からなるアクリル樹脂用単量体の重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の導光板用アクリル系樹脂フィルム。
【請求項5】
厚みが50μm〜500μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の導光板用アクリル系樹脂フィルム。

【公開番号】特開2011−53548(P2011−53548A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203868(P2009−203868)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】