説明

導光板、バックライトユニットおよび表示装置

【課題】光源から導光板に入る光の入射効率を向上させた光取り出し効率の高い導光板を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、光源からの光を面方向に拡散する導光板であって、前記光入射面に凹凸を形成していることを特徴とする導光板であり、光入射面に微細な凹凸を設けることにより、光源からの光の全反射を抑制する。このため、光源側へ反射する光を抑制することが出来、光源から導光板に入る光の入射効率を向上させることが出来る。これにより高輝度の表示装置を提供することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光路制御に用いられる導光板、該導光板を用いたバックライトユニット、該バックライトユニットを組み込んだ表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)型液晶パネルやSTN(Super Twisted Nematic)型液晶パネルを使用した表示装置が提案されている。このような液晶ディスプレイを用いた表示装置においては、液晶パネルの背面側(観察者側とは反対側)に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを照明する方式、いわゆる、バックライト方式が採用されている。
【0003】
また、液晶表示装置には、薄型、高輝度、軽量、低消費電力であることが市場ニーズとして強く要請されており、それに伴い液晶表示装置に搭載されるバックライトユニットも軽量、高輝度、低消費電力であることが要求されている。特に、カラー液晶表示装置においては、液晶パネルの透過率がモノクロ対応の液晶パネルに比べ格段に低いため、バックライトユニットの輝度向上を図ることが、装置自体の低消費電力を得るために必須となっている。
【0004】
また、映像媒体の多様化に伴い、高画質化が進み、それに映像の臨場感を味わいたいというニーズから、3D表示が可能な液晶表示装置の需要が増加している。3D表示を液晶表示装置で行なう場合、専用メガネを必要とする「アクティブシャッター方式」などが提案されている。アクティブシャッター方式は、右目用と左目用の映像を交互に表示し、専用メガネにあるシャッターが開閉することで、映像を右目用と左目用に振り分け立体的に表示させるものである。このため、アクティブシャッター方式では、発光時間が通常の半分になり、また専用メガネの偏光板や反射などのロスもあって通常の2D表示時に比べて輝度が10分の1に低下することが知られている。このため、3D用液晶表示装置には2D表示の通常の液晶表示装置よりも高輝度化が求められる。
【0005】
例えば、液晶表示装置の高輝度化を目的として、頂角が90°の三角プリズムシート(特許文献1参照)を輝度調節シートとして、バックライトユニットに組み込むことで、表示画面の輝度を向上させることが提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。
【0006】
バックライト方式に採用されているバックライトユニットとして、冷陰極管(CCFT:Cold Cathode Fluorescent Tube)等の光源ランプを、光透過性に優れた平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆる、「エッジライト方式」)が提案されている。
【0007】
従来の導光板ライトガイド方式を用いた表示装置では、光源から発せられた光は、まず導光板の光入射面から入射し、光反射面で散乱反射され、導光板の光放射面から放出される。このため、光源から導光板の光入射面に入る光の入射効率が悪いと、導光板の光放射面から発する光量が低下し、画面全体の輝度が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60−70601公報
【特許文献2】特開平6−102506号公報
【特許文献3】特表平10−506500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、光源から導光板に入る光の入射効率を向上させた光取り出し効率の高い導光板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、光源からの光を面方向に拡散する導光板であって、光源からの光が入射する光入射面と、前記光入射面と略直交する光反射面と、前記光反射面と対面する光出射面と、を備え、前記光入射面に凹凸を形成していることを特徴とする導光板である。
【0011】
また、前記凹凸の凸部は、前記光出射面に対して略鉛直方向に延在する形状であってもよい。
【0012】
また、前記凹凸の十点平均粗さRzは、0.45≦Rz≦1.50の範囲にあり、かつ、前記凹凸の算術平均粗さRaは、0.06≦Ra≦0.23の範囲にあることが好ましい。
【0013】
また、前記光入射面上における平坦部の面積率Rfは、0.00≦Rf≦94.75の範囲にあることが好ましい。
【0014】
本発明の一実施形態は、上述の導光板と、前記導光板の光入射面に光が入射されるように配置される光源と、を備えたことを特徴とするバックライトユニットである。
【0015】
また、上述のバックライトユニットにあって、更に、前記導光板の出射面上に配置される光学シートと、を備えていてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態は、上述のバックライトユニットと、前記バックライトユニットから出射される光が背面側から入射されるように配置された画像表示素子と、を備えたことを特徴とする表示装置である。
【0017】
また、上述の表示装置にあって、前記画像表示素子は画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の導光板は、光入射面に微細な凹凸を設けることにより、光源からの光の全反射を抑制する。このため、光源側へ反射する光を抑制することが出来、光源から導光板に入る光の入射効率を向上させることが出来る。よって、高輝度の表示装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の導光板の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の導光板の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の導光板の一例を示す概略図である。
【図4】本発明のバックライトユニットの一例を示す概略図である。
【図5】本発明の表示装置の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の表示装置の一例を示す概略図である。
【図7】実施例に示す導光板の正面輝度比と十点平均粗さRzの相関図である。
【図8】実施例に示す導光板の正面輝度比と算術平均粗さRaの相関図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の導光板について説明を行う。
本発明の導光板は、光源からの光を面方向に拡散する導光板であって、光源からの光が入射する光入射面と、前記光入射面と略直交する光反射面と、前記光反射面と対面する光出射面と、を備え、前記光入射面に凹凸を形成している。
【0021】
本発明の導光板は、光入射面に微細な凹凸を設けることにより、光源からの光の全反射を抑制する。このため、光源側へ反射する光を抑制することが出来、光源から導光板に入る光の入射効率を向上させることが出来る。よって、高輝度の表示装置を提供することが出来る。
【0022】
光源からの光はある程度の範囲に分布するように出射される。光入射面が完全な平坦面であった場合、光入射面に対して一定以下の角度を持った光線は透過・屈折を伴って導光板内に入射するが、一定以上の角度の光は光入射面上における全反射により導光板内に侵入できない。光入射面が微細な凹凸を有する構造であった場合、光源からの光の光入射面に対する角度が部位により変化することから、入射する光の全反射を抑制でき、光源からの光を効率よく導光板内に入射させることが可能となる。
【0023】
凹凸は、光反射面および光出射面と略直交する側端面の少なくとも一つに形成さればよい。導光板の少なくとも一辺の端面に凹凸があれば、凹凸のある面が本発明の光入射面として作用する。また、光反射面および光出射面と略直交する複数の側端面に凹凸を形成してもよい。複数の側端面に凹凸を形成した場合、凹凸の形成された側端面の全てを光入射面として用いることが出来、光源からの光を複数方向から導入する構成のとき、より効率的に光を導光板内に導入することが出来る。
【0024】
図1に、本発明の導光板の一実施形態を示す。
図1は、光出射面に対して略鉛直方向に延在する形状の凹凸を光入射面に形成した本発明の導光板である。
図1(a)は、導光板3の全体斜視図であり、導光板3は、端面4のうち一方向の面に凹凸が形成された光入射面1と、光入射面1に光が入射するように配置された光源5と、光入射面1と略直交する光反射面2と、光反射面2と対面する光出射面3と、を備える。
図1(b)はY軸から見た断面概略図であり、光入射面1に形成された凹凸において、凹凸の頂角A、凹凸の底辺部B、凹凸の平坦部G、凹凸の高さH、凹凸の高さP、を示す。
【0025】
図2に、本発明の導光板の別の一実施形態を示す。
図2は、光出射面に対して略水平方向に延在する形状の凹凸を光入射面に形成した本発明の導光板である。
図2(a)は、導光板3の全体側面図であり、導光板3は、端面4のうち一方向の面に凹凸が形成された光入射面1と、光入射面1に光が入射するように配置された光源5と、光入射面1と略直交する光反射面2と、光反射面2と対面する光出射面3と、を備える。
図2(b)はZ軸から見た断面概略図であり、光入射面1に形成された凹凸において、凹凸の頂角A、凹凸の底辺部B、凹凸の平坦部G、凹凸の高さH、凹凸の高さP、を示す。
【0026】
また、前記凹凸の凸部は、前記光出射面に対して略鉛直方向に延在する形状であることが好ましい。
一般的な仕様の導光板の形状は板形状である。図1および図2で示すように、光入射面1においてY軸方向の辺の長さとZ軸方向の辺の長さを比較すると、Z軸方向の辺の長さの方が大きい。このため、凹凸が一次元的に延在する形状の場合、Y軸方向に延在する形状の凹凸(図1参照)を形成したほうが、Z軸方向に延在する形状の凹凸(図2参照)よりも、光源と対向する光入射面の面積が増大し、より光取り出し効率を向上させることが出来る。Y軸方向に延在する形状の凹凸を形成したときの光取り出し効率の向上は、特に光源が点光源であるとき顕著である。LED光源は点光源であるから、LED光源を用いるとき、特に、Y軸方向に延在する形状の凹凸を形成することが好ましい。Y軸方向に延在する形状の凹凸を形成する場合、凹凸の凸部はY軸方向に対して略並行であればよく、正確に平行でなくともよい。
【0027】
また、光入射面の微細な凹凸が延在する形状である場合、必ずしも凹凸が直線状である必要は無く、凹凸が曲線状であっても良い。
【0028】
また、前記凹凸の十点平均粗さRzは、0.45≦Rz≦1.50の範囲にあり、かつ、前記凹凸の算術平均粗さRaは、0.06≦Ra≦0.23の範囲にあることが好ましい。
光入射面の表面粗さが小さ過ぎる場合、光入射面の反射を抑制できず本発明の効果を得られにくい。また、光入射面の表面粗さが大き過ぎる場合、光入射面の光拡散性が高くなり、光出射面以外の面から漏れる光量が増すため、光出射面の正面輝度の低下を引き起こす。また、光入射面の微細な凹凸の分布は必ずしも光入射面内において一定である必要は無いが、光入射面の位置による凹凸の表面粗さの変化勾配があまりに急峻であると、光の入射効率が局所的に急変してしまう部位が生じることがあり、結果として表示品位を低下させる恐れがある。このため、光入射面の微細な凹凸の表面粗さは、光入射面全面を通して大きな差異が無いことが好ましい。
【0029】
また、前記光入射面上における平坦部の面積率Rfは、0.00≦Rf≦94.75の範囲にあることが好ましい。光入射面における平坦部の面積率Rfが94.75%を超えていても本発明の効果は発現する。ただし、面積率Rfが100に近付くほど本発明による導光板の優位性は発揮しにくくなる。具体的には、光入射面における平坦部の面積率Rfが0以上かつ94.75以下のとき、本発明の導光板はRf=100のときと比較して3%以上もの入射効率向上が実現できる。
【0030】
光反射面には、光入射面から入射した光を光出射面に向け均一に散乱して反射させるための散乱反射パターンを設ける。散乱反射パターンは、用いる光源、用途などに応じて、適宜公知のパターン材料およびパターン形状から選択してよい。また、散乱反射パターンの形成は、選択したパターン材料およびパターン形状に応じて、適宜公知のパターン形成方法を選択してよい。例えば、印刷方式、レーザー方式、インクジェット方式、インジェクション方式、押出賦形方式などを用いて散乱反射パターンの形成を行ってもよい。例えば、散乱反射パターンは、白色である二酸化チタン(TiO)粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物をドットパターンにて印刷し、乾燥し、形成したものであってもよい。
【0031】
また、本発明の導光板は光反射面および/または光出射面にレンズ形状を形成してもよい。レンズ形状を形成することにより、光の反射性/集光性/拡散性などの光学特性を制御することが出来る。また、レンズ形状は光学密着、ムラ、ニュートンリングなどの外観特性を向上することもできる。このとき、レンズ形状は所望する特性に応じて、適宜公知の形状を選択してよい。例えば、凸状シリンドリカル形状、レンズ形状、三角プリズム形状、などであってもよい。
【0032】
光反射面および光出射面の両面にレンズ形状を形成する場合、光反射面のレンズ形状と光出射面のレンズ形状は、同じ形状であっても良いし、異なる形状であっても良い。また、光反射面および光出射面の両面共に一方向に延在するレンズアレイ形状を有している場合、両面の形状に起因するモアレの発生を抑制することを考慮し、光反射面・光出射面の微細なレンズ形状同士は略直交していることが好ましい。
【0033】
図3に、具体的に、レンズ形状を形成した本発明の導光板の一例を示す。図3(a)に示す導光板のレンズ形状は、頂角が90°の三角プリズム形状である。図3(b)に示す導光板のレンズ形状は、多角プリズムを並列した形状である。図3(c)に示す導光板のレンズ形状は、高さの異なる三角プリズムを並列した形状である。図3(d)に示す導光板のレンズ形状は、ピッチの異なる三角プリズムを並列した形状である。図3(e)に示す導光板のレンズ形状は、曲面レンチキュラー形状である。図3(f)に示す導光板のレンズ形状は、非曲面レンチキュラー形状である。図3(g)に示す導光板のレンズ形状は、高さの異なる曲面レンチキュラーレンズを並列した形状である。図3(h)に示す導光板のレンズ形状は、ピッチの異なる曲面レンチキュラーレンズを並列した形状である。
【0034】
また、本発明の導光板は複数の層が積層された構造であってもよい。例えば、光学シート層、透明層などを含む積層体であってもよい。このとき、シート境界面が増え過ぎると境界面にて光量ロスが発生するため、積層体は4層以下であることが好ましい。ただし、仕様を満たした光量を得られればよく、4層より多層の積層体を用いてもよい。
【0035】
本発明の導光板を形成する材料は、光源から発する光に対し、光透過性を有する材料であればよい。例えば、光源が可視光の場合、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、アクリル−スチレン共重合体、スチレン―ブタジエン―アクリロニトリル共重合体、アクリル系樹脂、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)、などを含む材料を用いてもよい。なお、アクリル系樹脂、特にPMMA(ポリメチルメタアクリレート)は可視光に対する光透過性が良好なことから、本発明の導光板に用いる主たる材料として好ましい。ここで、主たる材料とは導光板全体の重量における重量比が90%以上である材料のことをいう。
【0036】
また、導光板を形成する材料の中に透明粒子を分散してもよく、透明粒子により導光板に剛性・靭性を付与することが出来る。透明粒子は有機微粒子と無機微粒子に大別され、例えば、アクリル系樹脂やポリカーボネート等の有機微粒子、ガラスビーズ等の無機微粒子などを用いることが出来る。
これらの透明粒子は、公知の透明粒子であれば特に限定されるものではなく、形状や粒径に関わらず好適に使用することが出来る。
【0037】
透明粒子は一種類で用いてもよいし、二種類以上の混合物であってもよいが、導光板内において均等に分散していることが最も好ましい。
また、透明粒子による光拡散に起因する正面輝度の低下を考慮すると、透明粒子は導光板全体の重量における重量比が1%以下であることが好ましい。
【0038】
本発明の導光板の製造方法は、導光板の寸法/仕様に応じて、適宜公知の加工方法を用いてよい。例えば、導光板の材料である樹脂ペレットを溶融し、押出機にてダイより一定の厚みを有する板状に樹脂を押し出し、樹脂板が冷却・硬化する前に所望のレンズ形状が反転した型形状を有する基材シートとラミネートし、冷却した樹脂を基材シートから剥離し、樹脂を所望する導光板の仕様に沿って裁断し、光入射面となる側面部に研磨などによって一次元的に延在する形状の凹凸を形成することにより、樹脂よりなり所望のレンズ形状を有する本発明の導光板を製造することが出来る。
【0039】
以下、本発明のバックライトユニットについて説明を行う。
本発明のバックライトユニットは、上述に記載の導光板と、前記導光板の光入射面に光が入射されるように配置される光源と、を備える。
【0040】
光源は、導光板の凹凸が形成された光入射面に光が入射するように配置すればよい。このとき、バックライトユニット内において、導光板の光入射面と光源との距離が極端に離れていると、光入射面に一度も当たらずに脇に漏れる光線量が多くなり、その結果として光出射面の正面輝度の低下を引き起こす。このため、熱によって導光板に反りや歪みが生じない程度に、導光板の光入射面と光源との隙間は小さくすることが好ましい。
【0041】
また、光源は、用途および仕様により、所望する特性の光を発する適宜公知の光源を用いてよい。例えば、CCFL、LED、有機EL、無機EL、などの光源を用いてもよい。
【0042】
一つのバックライトユニットに対し配置する光源の個数は、仕様に応じて適宜決めてよく、少なくとも一つ以上備えていればよい。特に、LED光源のような点光源の場合、複数の光源を配置することが好ましい。
複数の光源を配置する場合、導光板を囲むように周囲に配置してもよい。例えば、四辺形の導光板の場合、1)1辺に光源を配置する構成、2)2辺に光源を配置する構成、3)3辺に光源を配置する構成、4)4辺に光源を配置する構成、のいずれであってもよい。
導光板を囲むように複数の方向から光が入射するように光源を配置する場合、導光板の少なくとも一方向の端面に凹凸があれば、凹凸のある部位が本発明の光入射面として作用する。
【0043】
また、上述のバックライトユニットにおいて、更に、前記導光板の出射面上に配置される光学シートを備えていてもよい。適宜公知の光学シートと組み合わせることにより、所望の表示性能を有する表示装置を提供することが出来る。
【0044】
図4に、光学シートを組み込んだ本発明のバックライトユニットの一例を示す。
図4に示すバックライトユニット4では、導光板74の光出射面方向に光学シート71を配置している。光学シート71は、透明基材72の上面である光出射面に、断面が三角形状の単位プリズム73が一方向に一定のピッチで配列されたシートであり、単位プリズム73は入射する光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)である。これにより、“軸外(off−axis)”からの光を集光し、この光を視聴者に向けて“軸上(on−axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”することが出来る。
【0045】
図4に示す光学シート71において、単位プリズム73の反復的アレイ構造が1方向のみの配列からなる場合、2枚の光学シート71を単位プリズム群の配列方向が互いに略直交するように配置することが好ましい。
図4に示す光学シート71は、表示装置の使用時(観察時)に、軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させ、表示装置の表示品位を向上させる。ここで言う「軸上」とは、視聴者の視覚方向に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向である。このため、2枚の光学シート71を単位プリズム群の配列方向が互いに略直交するように配置することにより、水平方向及び垂直方向の両方向での表示光の輝度制御を行なうことが出来る。
【0046】
以下、本発明の表示装置について説明を行う。
本発明の表示装置は、上述のバックライトユニットと、前記バックライトユニットから出射される光が背面側から入射されるように配置された画像表示素子と、を備える。
【0047】
画像表示素子は、複数の画素が配列され、各画素を切り替えることにより所望する画像を表示画像として表示することが出来る。画像表示素子としては、例えば、液晶表示素子、カラーフィルタを備えた液晶表示素子、有機EL素子、無機EL素子などを用いてよい。
【0048】
また、前記画像表示素子は画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定することが好ましい。
【0049】
図5に、本発明の導光板を用いた表示装置50の一例を示す。
図5に示す表示装置50は、液晶パネル53の表裏両面に第一偏光板51および第二偏光板52を配置し、液晶パネル53の下面側に拡散フィルム55を配置し、拡散フィルム55の下部に導光板54を配置し、導光板54の下部に反射フィルム56を配置し、導光板54の側端部に光源ランプ57を配置し、光源ランプ57の光源ランプ57の背面側を覆うようにして反射板58が設けられている。このとき、導光板54は、光放射面54aの対面側に散乱反射パターンを印刷しており、導光板54内に入射した光に指向性を付与し、光出射面54a側へと導くようになっている。
【0050】
図6に、本発明の導光板を用いた表示装置50の別の一例を示す。
図6に示す表示装置50は、液晶パネル53の表裏両面に第一偏光板51および第二偏光板52を配置し、液晶パネル53の下面側に拡散フィルム55を配置し、拡散フィルム55の下部に導光板54を配置し、導光板54の下部に反射フィルム56を配置し、偏光板52と拡散フィルム55との間に第一光学シート591および第二光学シート592からなるプリズム層59を配置し、導光板54の側端部に光源ランプ57を配置し、光源ランプ57の光源ランプ57の背面側を覆うようにして反射板58が設けられている。ここで、第一光学シート591および第二光学シート592は、単位プリズムの反復的アレイ構造が1方向のみの配列となる光学シートであり、第一光学シート591および第二光学シート592は、単位プリズム群の配列方向が互いに略直交するように配置されている。
【実施例】
【0051】
<実施例1>
まず、樹脂ペレットを溶融し、押出機にてダイより板状に樹脂を押し出し、樹脂板が冷却・硬化する前にレンズ形状が反転した型形状を有する基材シートとラミネートした。
このとき、樹脂ペレットとしてPMMA樹脂のペレットを用いた。
【0052】
次に、冷却した樹脂を基材シートから剥離し、樹脂を裁断した。
【0053】
次に、光入射面となる側面部に研磨によって一次元的に延在する形状の凹凸を形成した。このとき、研磨方向はY軸方向とした。
【0054】
次に、光入射面となる平坦部に白色インクによる反射ドットを印刷した。このとき、反射ドットは六方最密配置となるよう並列し、光入射面との距離が離れるほど反射ドットの直径が大きくなるようにした。
【0055】
以上より、X軸方向の辺:1045mm、Z軸方向の辺:596mm、Y軸方向の厚さ:4mm、光出射面の延在方向:X軸方向、光出射面のレンズ形状:三角プリズム形状、光入射面の凹凸の延在方向:Y軸方向、光入射面の十点平均粗さRz:1.13、光入射面の算術平均粗さRa:0.19、である本発明の導光板を得た。
【0056】
<実施例2>
実施例1と同様に本発明の導光板を製造した。ただし、十点平均粗さRz:0.55、算術平均粗さRa:0.09とした。
【0057】
<実施例3>
実施例1と同様に本発明の導光板を製造した。ただし、十点平均粗さRz:0.45、算術平均粗さRa:0.06とした。
【0058】
<実施例4>
実施例1と同様に本発明の導光板を製造した。ただし、十点平均粗さRz:1.50、算術平均粗さRa:0.23とした。
【0059】
<実施例5>
実施例1と同様に本発明の導光板を製造した。ただし、十点平均粗さRz:2.15、算術平均粗さRa:0.44とした。
【0060】
<実施例6>
実施例1と同様に本発明の導光板を製造した。ただし、十点平均粗さRz:0.35、算術平均粗さRa:0.05とした。
【0061】
<実施例7>
実施例1と同様に本発明の導光板を製造した。ただし、十点平均粗さRz:0.39、算術平均粗さRa:0.04とした。
【0062】
<正面輝度評価>
光出射面が上方に向くように導光板を静置し、光入射面から0.3mmの距離に置いた1mm×40mmのスリットを通してLED光源からの光を入射させ、光出射面の鉛直方向から導光板を俯瞰する形で輝度測定装置を配置し、暗所にて測定を実施した。
以下、表1に実施例1〜7の評価結果を示す。
なお、光学評価における基準サンプルには、シミュレーション上で光入射面が完全に平坦である場合と同等の正面輝度となる光入射面の表面粗さを算出し、該表面粗さになるよう調整した導光板を使用した。ここで、「光入射面が完全に平坦である場合と同等の正面輝度となる光入射面の表面粗さ」は、十点平均粗さRz:3.81、算術平均粗さRa:0.78であった。表1では「Ref.」として示す。
【0063】
【表1】

【0064】
図7に、実施例に示す導光板の正面輝度比と十点平均粗さRzの相関図を示す。図7より、グラフは上に凸の形状を示し、十点平均粗さRzが、0.45≦Rz≦1.50の範囲において、光学評価における基準サンプルと比較して正面輝度が3%以上高くなることが確認された。
【0065】
図8に、実施例に示す導光板の正面輝度比と算術平均粗さRaの相関図を示す。図8より、グラフは上に凸の形状を示し、算術平均粗さRaが、0.06≦Ra≦0.23の範囲において、光学評価における基準サンプルと比較して正面輝度が3%以上高くなることが確認された。
【0066】
以上より、凹凸の十点平均粗さRzが、0.45≦Rz≦1.50の範囲にあり、かつ、凹凸の算術平均粗さRaが、0.06≦Ra≦0.23の範囲にあることにより有意に正面輝度が向上することが確認された。
【0067】
<実施例8>
実施例1〜7と同様の十点平均粗さおよび算術平均粗さを備えた導光板を製造し、上述と同様の<正面輝度評価>を行った。ただし、光入射面の凹凸の延在方向をそれぞれZ軸方向とした。
【0068】
光入射面の凹凸の延在方向をZ軸方向とした導光板も、実施例1〜7と同様に、凹凸の十点平均粗さRzが、0.45≦Rz≦1.50の範囲にあり、かつ、凹凸の算術平均粗さRaが、0.06≦Ra≦0.23の範囲にあることにより有意に正面輝度が向上する傾向が確認された。ただし、光入射面の凹凸の延在方向をY軸方向とした導光板の方が、光入射面の凹凸の延在方向をZ軸方向とした導光板より、全体的に正面輝度が高くなる傾向が観察された。
【0069】
<実施例9>
実施例1と同様に本発明の導光板を製造し、上述と同様の<正面輝度評価>を行った。ただし、光入射面の凹凸において、図1(b)に示すように、凹凸を三角プリズム状とした。また、図1(b)に示す、凹凸の平坦部G、凹凸の高さHおよび凹凸の高さPを一定値に固定し、凹凸の頂角Aおよび凹凸の底辺部Bを変数として、十点平均粗さおよび算術平均粗さが異なる複数のサンプルを製造した。
【0070】
凹凸形状が三角プリズム形状であっても、実施例1〜7と同様に、凹凸の十点平均粗さRzが、0.45≦Rz≦1.50の範囲にあり、かつ、凹凸の算術平均粗さRaが、0.06≦Ra≦0.23の範囲にあることにより有意に正面輝度が向上する傾向が確認された。よって、本発明の導光板は一定のパターンを有する場合においても有効であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の導光板は、光源からの入射光を面方向に拡散する用途に対し広範に利用することができる。例えば、フラットパネルディスプレイに代表される画像表示装置、3D用液晶表示装置、カラーノートPC(パーソナルコンピュータ)、照明具、建材、などの用途に用いることが期待される。
【符号の説明】
【0072】
1……光入射面
2……光反射面
3……光出射面
4……端面
5……光源
50……表示装置
51……第一偏光板
52……第二偏光板
53……液晶パネル
54……導光板
55……拡散フィルム
56……反射フィルム
57……光源ランプ
58……反射板
59……プリズム層
591……第一光学シート
592……第二光学シート
70……バックライトユニット
71……光学シート
72……透明基材
73……単位プリズム
74……導光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を面方向に拡散する導光板であって、
光源からの光が入射する光入射面と、
前記光入射面と略直交する光反射面と、
前記光反射面と対面する光出射面と、を備え、
前記光入射面に凹凸を形成していることを特徴とする導光板。
【請求項2】
前記凹凸の凸部は、前記光出射面に対して略鉛直方向に延在する形状であること
を特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記凹凸の十点平均粗さRzは、0.45≦Rz≦1.50の範囲にあり、かつ、
前記凹凸の算術平均粗さRaは、0.06≦Ra≦0.23の範囲にあること
を特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の導光板。
【請求項4】
前記光入射面上における平坦部の面積率Rfは、0.00≦Rf≦94.75の範囲にあること特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の導光板。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の導光板と、
前記導光板の光入射面に光が入射されるように配置される光源と、
を備えたことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項6】
前記導光板の出射面上に配置される光学シートと、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載のバックライトユニット。
【請求項7】
請求項5または6のいずれかに記載のバックライトユニットと、
前記バックライトユニットから出射される光が背面側から入射されるように配置された画像表示素子と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記画像表示素子は画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定すること
を特徴とする請求項7に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−204136(P2012−204136A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67487(P2011−67487)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】