説明

導光板、面光源装置および表示装置

【課題】光源に対面する入光面近傍における明暗ムラの発生およびサイドローブの発生を抑制することができる導光板を提供する。
【解決手段】導光板30は、本体部40と、導光方向と交差する配列方向に並べて本体部の一側面41上に配列され、導光板の出光面31をなす複数の単位形状要素50と、を含む。各単位形状要素はその配列方向と交差する方向に延びている。単位形状要素の外輪郭51が一側面に対してなす角度である出光面角度θaが、単位形状要素の全幅のうちの20%以上70%以下に対応する外輪郭上の領域において、10°以上35°以下となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出光面と、出光面に対向する裏面と、出光面と裏面との間の側面の少なくとも一部分からなる入光面と、を有する導光板に係り、とりわけ、輝度特性を効果的に改善することができる導光板に関する。また、本発明は、このような導光板を含んだ面光源装置、および、このような導光板を含んだ面光源装置がバックライトとして組み込まれた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
面状に光を照射する面光源装置が、例えば液晶表示装置に組み込まれ液晶表示パネルを背面側から照明するバックライトとして、広く普及している(例えば、特許文献1)。液晶表示装置用の面光源装置は、大別すると、光学部材の直下に光源を配置する直下型と、光学部材の側方に光源を配置するエッジライト型(サイドライト型とも呼ぶ)と、に分類される。
【0003】
エッジライト型の面光源装置は、直下型の面光源装置と比較して、面光源装置の薄型化を可能にするといった構造的特徴を有している。この構造的特徴から、エッジライト型面光源装置は、これまで主としてノート型パーソナルコンピュータ(以下において、単に「ノート型PC」とも呼ぶ)用の表示装置に適用されてきた。ただし昨今においては、発光ダイオードに代表される直進性の良い光を発光する光源の開発にともない、エッジライト型面光源装置が、ノート型PCよりも大きいサイズの表示装置、例えば家庭用のテレビにも適用されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−226503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、発光ダイオードを線状に並べてなる光源を用いた場合、光源に対面する入光面近傍となる表示面(発光面)上の領域において、明るさ(より厳密には、輝度)の面内ばらつきが発生することが確認された。より具体的には、入光面近傍となる表示面(発光面)上の領域において、発光ダイオードの配列方向に沿って発光ダイオードの配列ピッチと同一ピッチで明部および暗部が繰り返し形成されることが知見された。
【0006】
また、このような明るさの面内ばらつきは、導光方向に沿って延びる線状プリズムを出光側に設けられた導光板を用いた場合に、より顕著となるとなることが確認された。具体的には、プリズム付き導光板を用いた場合、表示面(発光面)上において、明るさの面内ばらつきが確認される領域の割合が大きくなることが知見された。
【0007】
さらには、今後、発光ダイオードの発光強度の改善にともない、発光ダイオードの配置間隔を広げることによって使用される発光ダイオードの数量を減じ、これにより、表示装置の低コスト化を図る傾向が生じるものと予測される。このような傾向にともない、上述した入光面近傍となる表示面(発光面)上の領域での明るさの面内ばらつきは、より明瞭且つより広い領域で確認されるようになると予想される。
【0008】
加えて、線状プリズムを出光側に設けられた導光板を用いた場合、明るさの面内バラツキが発生しやすくなるだけでなく、正面方向から大きく傾斜した角度域に第2の明るさのピークが発生すること、いわゆるサイドローブが出現することがあった。一方、正面方向から大きく傾斜した方向に出射する光は、観察者によって有効に観察され得る映像を形成しない。
【0009】
すなわち、導光方向に沿って延びる線状プリズムを出光側に設けられた導光板は、これまで集光機能を発揮し輝度特性を改善するものと考えられていたが、逆に明るさの面内分布や明るさの角度分布にバラツキを生じさせ得ることが確認された。特に、サイドローブの発生を抑制することができれば、光源で発光された光を有効に利用することが可能となり、極めて効果的に輝度特性を改善することができる点において、非常に好ましい。
【0010】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、輝度特性を効果的に改善することができる導光板、面光源装置および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による導光板は、
出光面と、前記出光面に対向する裏面と、前記出光面と前記裏面との間の側面の一部分からなる少なくとも一つの入光面と、前記側面の一部分からなり第1方向に沿って一つの入光面に対向する反対面と、を有する導光板であって、
本体部と、
前記第1方向と交差する配列方向に並べて前記本体部の一側面上に配列され、前記出光面をなす複数の単位形状要素と、を備え、
前記複数の単位形状要素の各々は、その配列方向と交差する方向に延び、
前記本体部の前記一側面への法線方向と前記配列方向との両方に平行な主切断面において前記単位形状要素の外輪郭が前記本体部の前記一側面に対してなす角度を出光面角度とすると、前記配列方向に沿った前記単位形状要素の幅のうちの20%以上70%以下に対応する前記外輪郭上の領域において、前記単位形状要素の前記出光面角度が10°以上35°以下となっている。
【0012】
なお、課題を解決するための手段および特許請求の範囲において規定する主切断面に関する記載、例えば「前記本体部の前記一側面への法線方向と前記配列方向との両方に平行な主切断面において前記単位形状要素の外輪郭(または、前記溝の出光側面)が前記本体部の前記一側面に対してなす角度を出光面角度とすると、前記配列方向に沿った前記単位形状要素(または溝)の幅のうちの特定の割合(例えば、20%以上70%以下や、20%以上35%以下)に対応する前記外輪郭(または出光側面)上の領域において、前記単位形状要素(または前記溝)の前記出光面角度が特定の角度(例えば、10°以上35°以下)となっている」との記載は、第1方向におけるすべての位置での主切断断面において、当該記載で定められた条件が各単位形状要素(各溝)によって満たされることを意味するものではない。
【0013】
本発明による導光板において、前記配列方向に沿った前記単位形状要素の幅のうちの20%以上35%以下に対応する前記外輪郭上の領域において、前記単位形状要素の前記出光面角度が10°以上35°以下となっている。
【0014】
本発明による導光板において、前記単位形状要素の前記出光面角度は、前記本体部の前記一側面から最も離間した前記単位形状要素の前記外輪郭上の頂部から前記本体部の前記一側面に最も接近した前記単位形状要素の前記外輪郭上の端部へ向けて、大きくなるように変化してもよい。
【0015】
また、本発明による導光板において、前記単位形状要素の前記主切断面における前記外輪郭上の全域において、前記出光面角度は10°以上60°以下となっていてもよい。
【0016】
さらに、本発明による導光板において、前記配列方向に沿った前記単位形状要素の幅のうちの20%以上80%以下に対応する前記外輪郭上の領域において、前記出光面角度が30°より大きく60°以下となっていてもよい。
【0017】
さらに、本発明による導光板において、前記主切断面における前記単位形状要素の前記配列方向に沿った幅Wに対する、前記主切断面における前記単位形状要素の前記本体部の前記一側面からの高さHの比(H/W)が、0.3以上0.45以下となっていてもよい。
【0018】
さらに、本発明による導光板において、前記単位形状要素は、前記主切断面において、前記本体部の前記一側面上に一辺が位置するとともに前記外輪郭上における頂部と各端部との間に二辺が位置する五角形形状、或いは、前記五角形形状の一以上の角を面取りしてなる形状を有し、前記外輪郭上における前記一側面から最も離間した頂部と前記一側面に接続する各端部との間に位置する前記二辺のうち、前記頂部側の一辺の出光面角度が10°以上35°以下であり、前記端部側の一辺の出光面角度が30°より大きく60°以下であってもよい。
【0019】
さらに、本発明による導光板において、前記本体部は、樹脂からなる主部と、前記主部中に分散された拡散成分と、を含んでもよい。
【0020】
本発明による導光板において、前記単位形状要素は、前記本体部の前記一側面から突出する単位形状要素として構成されていてもよいし、あるいは、前記本体部に形成された溝として構成されていてもよい。
【0021】
本発明による面光源装置は、上述した本発明による導光板のいずれかと、前記導光板の前記入光面に対向して配置された光源と、を備える。
【0022】
本発明による面光源装置において、前記導光板の前記一つの入光面が第1の入光面を構成するとともに、前記導光板の前記反対面が第2の入光面を構成し、
前記光源は、前記第1の入光面に対向して配置された第1の光源と、前記第2の入光面に対向して配置された第2の光源と、を含んでもよい。
【0023】
本発明による面光源装置において、前記光源は、前記入光面に対向する位置に並べられた複数の点状発光体を含んでもよい。
【0024】
本発明による表示装置は、上述した本発明による面光源装置のいずれかと、前記面光源装置に対向して配置された液晶表示パネルと、を備える。
【0025】
本発明による表示装置が制御装置をさらに備え、
前記光源が、前記入光面に対向する位置に並べられた複数の点状発光体を含み、前記制御装置は、各点状発光体の出力を制御して、表示されるべき映像に応じて各点状発光体の出力を調節するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、輝度特性を効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、表示装置および面光源装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1の面光源装置の作用を説明する図である。
【図3】図3は、図1の面光源装置に組み込まれた導光板を示す斜視図である。
【図4】図4は、導光板の作用を説明するための図であって、図3のIV−IV線に沿った断面において導光板を示す図である。
【図5】図5は、図4に対応する断面図であって、主として入光面近傍での導光板の作用を説明するための図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、入光面近傍での導光板の作用を説明するための図であって、導光板の本体部へ入射する光源光の光路を示す図である。このうち図6(a)は、単位形状要素を省略した導光板を出光面の側から示す平面図である。図6(b)は、単位形状要素を省略した導光板を、出光面および入光面の両方向に直交する方向から、すなわち側方から、示す図である。図6(c)は、単位形状要素を省略した導光板を入光面の側から示す図である。
【図7】図7は、図4に対応する断面図であって、導光板の作用を説明するための図である。
【図8】図8は、図4と同様の断面において、導光板の一変形例を説明するための図である。
【図9】図9は、図4と同様の断面において、導光板の他の変形例を説明するための図である。
【図10】図10は、図1に対応する図であって、面光源装置の一変形例を示す図である。
【図11】図11は、図3に対応する図であって、導光板のさらに他の変形例を説明するための図である。
【図12】図12は、図4に対応する図であって、図1のXII−XII線に沿った断面において導光板を示す図である。
【図13】図13は、実施例1〜5並びに比較例2及び3に係る導光板の主切断面における単位形状要素の断面形状を示す図である。
【図14】図14は、実施例6〜10並びに比較例4及び5に係る導光板の主切断面における単位形状要素の断面形状を示す図である。
【図15】図15は、実施例11〜15並びに比較例6及び7に係る導光板の主切断面における単位形状要素の断面形状を示す図である。
【図16】図16は、比較例8〜14に係る導光板の主切断面における単位形状要素の断面形状を示す図である。
【図17】図17は、比較例1に係る導光板の主切断面における単位形状要素の断面形状を示す図である。
【図18】図18は、実施例11に係る面光源装置の出光面での輝度分布を示す図である。
【図19】図19は、実施例12に係る面光源装置の出光面での輝度分布を示す図である。
【図20】図20は、比較例1に係る面光源装置の出光面での輝度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0029】
図1〜図7は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1は、液晶表示装置および面光源装置の概略構成を示す断面図であり、図2は、面光源装置の作用を説明するための断面図である。図3は、面光源装置に含まれた導光板を示す斜視図であり、図4、図5および図7は、主切断面において導光板を示す断面図である。図6は、入光面近傍における光源からの光の光路を説明するための図である。なお、図1および図2の導光板は、図3におけるA−A線に沿った断面で示されている。
【0030】
図1に示すように、表示装置10は、液晶表示パネル15と、液晶表示パネル15の背面側に配置され液晶表示パネル15を背面側から面状に照らす面光源装置20と、液晶表示パネル15および面光源装置20を制御する制御装置18と、を備えている。表示装置10は、表示面11を有している。
【0031】
図示された液晶表示パネル15は、出光側に配置された上偏光板13と、入光側に配置された下偏光板14と、上偏光板13と下偏光板14との間に配置された液晶セル12と、を有している。このうち、液晶セル12は、ガラス等からなる一対の支持板と、支持板間に配置された液晶と、液晶分子の配向を一つの画素を形成する領域毎に電場によって制御する電極と、を有する部材である。制御装置18は、画素毎の液晶分子の配向を制御するように構成されている。この結果、液晶表示パネル15は、面光源装置20からの光の透過および遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、面光源装置20からの面状光を選択して透過させることにより、画像を形成するようになる。液晶表示パネル15の詳細については、種々の公知文献(例えば、「フラットパネルディスプレイ大辞典(内田龍男、内池平樹監修)」2001年工業調査会発行)に記載されており、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0032】
次に、面光源装置20について説明する。面光源装置20は、面状に光を発光する発光面21を有し、液晶表示パネル15を背面側から照明する装置である。図1に示すように、面光源装置20は、エッジライト型の面光源装置として構成され、導光板30と、導光板30の側方に配置された光源24a,24bと、を有している。導光板30は、液晶表示パネル15側の主面によって構成された出光面31と、出光面31に対向するもう一方の主面からなる裏面32と、出光面31および裏面32の間を延びる側面と、を有している。そして、導光板30の側面の一部分によって少なくとも一つの入光面が形成され、この入光面に対向して光源24a,24bが配置されている。また、側面の一部分によって一つの入光面33に対向する反対面34も形成され、当該一つの入光面33から導光板30に入射した光は、概ね、当該一つの入光面33と、当該一つの入光面33に対向する反対面34と、を結ぶ第1方向(導光方向)に導光板30内を導光されるようになる。加えて、面光源装置20は、導光板30の裏面32に対向して配置された反射シート22と、導光板30の出光面31に対向して配置された光学シート26と、をさらに有している。
【0033】
なお、図示する例において、液晶表示装置10の表示面11および面光源装置20の発光面21とともに、導光板30の出光面31は、四角形形状に形成されている。すなわち、導光板30は、全体的に、一対の主面(出光面31および裏面32)を有する四角形板状の部材として構成されている。したがって、一対の主面間に画成される側面は四つの面を含んでいる。そして、図1に示すように、側面のうちの第1方向に対向する二つの面が、入光面33,34をなしている。言い換えると、上述した一つの入光面が第1入光面33として機能し、この一つの入光面に対向する反対面が第2入光面34として機能するようになっている。そして、図1に示すように、第1入光面33に対向して第1光源24aが設けられ、第2入光面34に対向して第2光源24bが設けられている。また、本実施の形態における導光板30は、第1方向に沿った各位置において、一定の断面形状を有するようになっている。
【0034】
第1光源24aおよび第2光源24bは、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状のLED(発光ダイオード)や白熱電球等の種々の態様で構成され得る。本実施の形態において、第1光源24aおよび第2光源24bの各々は、対応する入光面33,34の長手方向に沿って、並べて配置された多数の点状発光体、具体的には、多数の発光ダイオード(LED)によって、構成されている。なお、図3には、第1光源24aをなす多数の点状発光体25の配置位置が示されている。制御装置18は、各点状発光体25の出力、すなわち、各点状発光体25の点灯および消灯、及び/又は、各点状発光体25の点灯時の明るさを、他の点状発光体の出力から独立して調節し得るように構成されている。
【0035】
反射シート22は、導光板30の裏面32から出射した光を反射して、再び導光板30内に入射させるための部材である。反射シート22は、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート等から、構成され得る。
【0036】
光学シート26は、入光側から入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させ、正面方向の輝度を集中的に向上させるためのシート状部材である。図1および図2に示す例において、光学シート26は、そのシート面上の一方向(配列方向)、具体的には、上述した導光板30の入光面33(34)とこの入光面33(34)に対向する反対面34(33)とを結ぶ第1方向に沿って並べて配列された複数の単位プリズム27を有している。単位プリズム27は、光学シート30のシート面上において、その配列方向に直交する方向に直線状に延びている。単位プリズム27は、その長手方向に直交する断面において、三角形形状の断面形状を有している。単位プリズム27の断面三角形形状の頂角によってなされる頂部28は、入光側、すなわち、導光板30の側に向けて突出している。
【0037】
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
【0038】
また、本明細書において「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。そして、本実施の形態においては、導光板30の板面、光学シート26のシート面、反射シート22のシート面、液晶表示パネルのパネル面、表示装置10の表示面11、および、面光源装置20の発光面21は、互いに平行となっている。さらに、本明細書において「正面方向」とは、面光源装置20の発光面21に対する法線の方向nd(例えば、図2および図4参照)であり、本実施の形態においては、表示装置10の表示面11への法線方向、導光板30の板面への法線方向、全体的かつ大局的に見た場合における導光板30の出光面31への法線方向等にも一致する。
【0039】
さらに、本明細書において、「単位形状要素」、「プリズム」、「レンズ」といった用語は、入射光に対して種々の光学的作用(例えば、反射や屈折)を及ぼし得る形状を有した要素(光学要素)を意味するものである。また、「単位形状要素」、「プリズム」および「レンズ」等の用語は、光学要素として、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
【0040】
次に、図2〜図5を主に参照して、導光板30についてさらに詳述する。図2および図3によく示されているように、導光板30は、板状に形成された本体部40と、本体部40の一側面(出光側面)41上に形成された複数の単位形状要素(単位光学要素、単位プリズム)50と、を有している。本体部40は、一対の平行な主面を有する平板状の部材として構成されている。そして、光学シート26に対面しない側に位置する本体部40の他側の面42によって、導光板30の裏面32が構成されている。
【0041】
図2に示すように、本体部40は、樹脂からなる主部44と、主部44中に分散された拡散成分45と、を有している。ここでいう拡散成分45とは、本体部40内を進む光に対し、反射や屈折等によって、当該光の進路方向を変化させる作用を及ぼし得る成分のことである。このような拡散成分45の光拡散機能(光散乱機能)は、例えば、主部44をなす材料とは異なる屈折率を有した材料から拡散成分45を構成することにより、あるいは、光に対して反射作用を及ぼし得る材料から拡散成分45を構成することにより、付与され得る。主部44をなす材料とは異なる屈折率を有する拡散成分45として、金属化合物、気体を含有した多孔質物、さらには、単なる気泡が例示される。なお、図2以外の図においては、拡散成分45を省略している。
【0042】
次に、本体部40の一側面41上に設けられた単位形状要素50について説明する。図3によく示されているように、複数の単位形状要素50は、第1方向に交差し且つ本体部40の一側面41と平行な配列方向に沿って、本体部40の一側面41上に、配列されている。各単位形状要素50は、本体部40の一側面41上を、その配列方向と交差するようにして線状に延びている。
【0043】
とりわけ本実施の形態において、複数の単位形状要素50は、本体部40の一側面41上に、第1方向と直交する第2方向(配列方向)に隙間無く並べて配列されている。したがって、導光板30の出光面31は、単位形状要素50の出光側面51によって構成されている。また、各単位形状要素50は、第2方向と直交する第1方向に沿って、直線状に延びている。さらに、各単位形状要素50は、柱状に形成され、その長手方向に沿って同一の断面形状を有するようになっている。また、本実施の形態において、複数の単位形状要素50は、互いに同一に構成されている。
【0044】
次に、図4および図5に示された断面、すなわち、単位形状要素の配列方向(第2方向)および本体部40の一側面41(導光板30の板面)への法線方向ndの両方向に平行な断面(以下においては、単に「主切断面」とも呼ぶ)における、各単位形状要素50の断面形状について説明する。本実施の形態において、単位形状要素50の主切断面における外輪郭(出光側面)51は、当該外輪郭が本体部40の一側面41に対してなす角度である出光面角度θaが、10°以上35°以下となる領域(第1領域)Z1を含んでいる。そして、出光面角度θaが10°以上35°以下となっているこの第1領域Z1は、単位形状要素の配列方向(つまり、第2方向)に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上70%以下の幅に対応する外輪郭51上の領域を占めている。
【0045】
すなわち、出光面角度θaが10°以上35°以下となっている第1領域Z1は、正面方向ndに投影された場合に、単位形状要素50の全幅のうちの20%以上70%以下を占めるようになる。図4に示された例においては、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の第1領域Z1の幅Waは、単位形状要素50の全幅Wに対して20%以上70%以下となっている。この結果、正面方向ndから導光板30の出光面31を観察した場合、単位形状要素50の出光側面(外輪郭)51が占めている領域のうちの20%以上70%以下の領域において、単位形状要素50の出光面角度θaが10°以上35°以下となっている。このように、出光面角度θaが、10°以上35°以下となる第1領域Z1を単位形状要素50の出光側面51に設けることによって、後に詳述するように、また、後述の実施例での評価結果からも実証されているように、光源24a,24bに対面する入光面33,34近傍となる表示面11または発光面21の領域に明暗のムラが生じてしまうことを防止すること、並びに、正面方向から大きく傾斜した方向への輝度(明るさ)の第2ピーク(サイドローブ)の発生を防止することが可能となる。また、出光面角度θaが10°以上35°以下となっている第1領域Z1が、正面方向ndに投影された場合に、単位形状要素50の全幅のうちの20%以上35%以下を占める場合には、明暗のムラおよびサイドローブの両方を防止することができるとともに、さらに、優れた正面方向輝度も合わせて確保することが可能となる。
【0046】
なお、ここでいう出光面角度θaとは、上述したように、導光板30の主切断面において、単位形状要素50の出光側面(外輪郭)51が本体部40の一側面41に対してなす角度である。図4に示す例のように、単位形状要素50の主切断面における外輪郭(出光側面)51が折れ線状に形成されている場合には、折れ線を構成する各直線部と本体部40の一側面41との間に形成される角度(厳密には、形成される二つの角のうちの小さい方の角度(劣角の角度))が出光面角度θaとなる。一方、後述する変形例にように、単位形状要素50の主切断面における外輪郭(出光側面)51が曲面によって構成されることもある(図8および図9参照)。そして、曲面状の単位形状要素50の外輪郭51については、当該外輪郭への接線TLと本体部40の一側面41との間に形成される角度(厳密には、形成される二つの角のうちの小さい方の角度(劣角の角度))を、出光面角度θaとして特定することとする。
【0047】
また、本実施の形態において、単位形状要素50の主切断面における外輪郭(出光側面)51は、出光面角度θaが、30°より大きく60°以下となる領域(第2領域)Z2をさらに含んでいる。そして、出光面角度θaが30°より大きく60°以下となっているこの第2領域Z2は、単位形状要素50の配列方向(つまり、第2方向)に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの30%以上80%以下の幅に対応する外輪郭51上の領域を占めている。すなわち、出光面角度θaが30°より大きく60°以下となっている第2領域Z2は、正面方向ndに投影された場合に、単位形状要素50の全幅Wのうちの30%以上80%以下を占めるようになる。結果として、正面方向から導光板30の出光面31を観察した場合、単位形状要素50の出光側面(外輪郭)51が占めている領域のうちの30%以上80%以下の領域において、単位形状要素50の出光面角度が30°より大きく60°以下となっている。このように、出光面角度θaが、30°より大きく60°以下となる第2領域Z2を単位形状要素50の出光側面51に設けることによって、後に詳述するように、また実施例についての評価結果からも示されているように、単位形状要素50の配列方向(第2方向)に沿った光の成分に対して優れた集光機能を発揮することが可能となる。
【0048】
さらに、本実施の形態において、単位形状要素50の主切断面における外輪郭(出光側面)51上の全域において、出光面角度θaは10°以上60°以下となっている。このような、導光板30を用いることによって、入光面33,34近傍に対応する表示面11または発光面12の領域に明暗のムラが生じてしまうことを防止すること及び正面方向ndから大きく傾斜した方向への輝度の第2ピーク(サイドローブ)の発生を防止することが可能になるとともに、単位形状要素50の配列方向(第2方向)に沿った光の成分に対して優れた集光機能を発揮することができる。
【0049】
加えて、本実施の形態において、単位形状要素50の出光面角度θaは、本体部40から最も離間した単位形状要素50の外輪郭51上の頂部52aから本体部40に最も接近した単位形状要素50の外輪郭51上の端部52bへ向けて大きくなるよう、変化する。このような導光板30によれば、入光面33,34近傍に対応する表示面11または発光面12の領域に明暗のムラが生じてしまうことを防止する機能、正面方向ndから大きく傾斜した方向への輝度の第2ピーク(サイドローブ)の発生を防止する機能、並びに、単位形状要素50の配列方向(第2方向)に沿った光の成分を集光させる機能の両方がより効果的に発揮されるようになる。
【0050】
なお、単位形状要素50の外輪郭51上の頂部52aから端部52bへ向けて出光面角度θaが大きくなるよう変化するとは、出光面角度が常に増大するように変化し続けることのみを意味するものではない。図4に示す例のように、単位形状要素50の主切断面における外輪郭51が折れ線状または折れ線の折れ曲がり部を面取りしてなる形状からなり、出光面角度θaが変化しない領域があってもよい。すなわち、ここでいう、単位形状要素50の外輪郭51上の頂部52aから端部52bへ向けて出光面角度θaが大きくなるように変化する形状とは、頂部52aでの出光面角度θaよりも端部52bでの出光面角度θaの方が大きく、且つ、頂部52aから端部52bへ向けて出光面角度θaが小さくなるように変化する箇所を含んでいない形状も含む。
【0051】
ところで、図4および図5に示された一具体例としての単位形状要素50は、導光板30の主切断面において、本体部40の一側面41上に一辺が位置するとともに外輪郭41上における頂部52aと各端部52bとの間に二辺が位置する五角形形状、或いは、この五角形形状の一以上の角を面取りしてなる形状となっている。また、図示する例においては、正面方向輝度を効果的に上昇させること、および、第2方向に沿った面内での輝度の角度分布に対称性を付与することを目的として、単位形状要素50の主切断面における断面形状は、正面方向ndを中心として、対称性を有している。すなわち、図4および図5によく示されているように、各単位形状要素50の出光側面51は、正面方向を中心として対称的に構成された一対の折れ面37,38によって構成されている。一対の折れ面37,38は、互いに接続されて頂部52aを画成している。各折れ面37,38は、頂部52aを画成する第1傾斜面37a,38aと、第1傾斜面37a,38aへ本体部40の側から接続する第2傾斜面37b,38bと、を有している。一対の第1傾斜面37a,38aは正面方向ndを中心として対称的な構成を有するとともに、一対の第2傾斜面37b,38bも正面方向ndを中心として対称的な構成を有している。
【0052】
そして、図4に示された単位形状要素50は、主切断面での外輪郭51上における頂部52aと各端部52bとの間に位置する二つの辺のうち、第1傾斜面37a,38aによって構成される頂部52a側の辺は、10°以上35°以下の出光面角度θa1を有し、第2傾斜面37b,38bによって構成される端部52b側の辺は、30°より大きく60°以下の出光面角度θa2を有している。すなわち、単位形状要素50の出光側面51の上述した第1領域Z1は、正面方向ndを中心として対称的に構成された一対の第1傾斜面37a,38aが配置されている領域となり、単位形状要素50の出光側51面の上述した第2領域Z2は、正面方向を中心として対称的に構成された一対の第2傾斜面37b,38bが配置されている領域となる。
【0053】
なお、単位形状要素50の全体的な構成として、導光板30の主切断面における単位形状要素50の配列方向への幅Wに対する、導光板30の主切断面における単位形状要素50の本体部40からの正面方向に沿った突出高さHの比(H/W)が、0.3以上0.45以下となっていることが好ましい。このような単位形状要素50によれば、出光側面51での屈折および反射により、単位形状要素50の配列方向(第2方向)に沿った光の成分に対して優れた集光機能を発揮することが可能となり且つサイドローブの発生を効果的に抑制することも可能となる。
【0054】
なお、本件明細書における「五角形形状」とは、厳密な意味での五角形形状のみでなく、製造技術における限界や成型時の誤差等を含む略五角形形状を含む。また同様に、本明細書において用いる、その他の形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」および「対称」等の用語も、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
【0055】
ここで、導光板30の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、単位形状要素50の具体例として、幅W(図4参照)を0.05mm以上0.5mm以下とすることができる。また、単位形状要素50の主切断面における外輪郭51が折れ線の折れ曲がり部を面取りしてなる形状となっている場合、主切断面において、面取りされた箇所の曲率半径の値が単位形状要素50の幅Wの値以下となっていることが好ましい。面取りされた部分の曲率半径が単位形状要素50の幅Wの値よりも大きくなっている場合、単位形状要素50が期待された機能を発揮することができなくなるためである。一方、本体部40の厚みは、0.5mm〜6mmとすることができる。
【0056】
以上のような構成からなる導光板30は、基材上に単位形状要素50を賦型することにより、あるいは、押し出し成型により、作製することができる。導光板30の本体部40の主部44および単位形状要素50をなす材料としては、種々の材料を使用することができる。ただし、表示装置に組み込まれる光学シート用の材料として広く使用され、優れた機械的特性、光学特性、安定性および加工性等を有するとともに安価に入手可能な材料、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)が好適に使用され得る。一方、拡散成分45は、一例として、平均粒径が0.5〜100μm程度であるシリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等の透明物質からなる粒子を、用いることができる。
【0057】
電離放射線硬化型樹脂を基材上に硬化させることによって導光板30を作製する場合、単位形状要素50とともに、単位形状要素50と基材との間に位置するようになるシート状のランド部を、基材上に形成するようにしてもよい。この場合、本体部40は、基材と電離放射線硬化型樹脂によって形成されたランド部とから構成されるようになる。また、基材として、拡散成分とともに押し出し成型された樹脂材料からなる板材を、用いることができる。
【0058】
一方、押し出し成型で作製された導光板30においては、本体部40と、本体部40の一側面41上の複数の単位形状要素50と、が一体的に形成され得る。また、押し出し成型によって導光板30を作製する場合、単位形状要素50が、本体部40の主部44をなす材料と同一の樹脂材料と、本体部40の拡散成分45をなす粒子と、から構成されてもよい。あるいは、いわゆる共押し出しにより導光板30が作製され、本体部40が、樹脂材料からなる主部44と、主部44中に分散された拡散成分45と、から構成され、その一方で、単位形状要素50が、本体部40の主部44をなす材料と同一の樹脂材料と、本体部40の拡散成分45とは別途の機能を有した粒子と、から構成されてもよいし、あるいは、本体部40の主部44をなす材料と同一の樹脂材料のみから構成されてもよい。
【0059】
次に、以上のような構成からなる表示装置10の作用について説明する。
【0060】
まず、図2に示すように、光源24b,24bをなす発光体25で発光された光は、入光面33,34を介し、導光板30に入射する。図2には、一例として、第1光源24aから第1入光面33を介して導光板30に光が入射する例が示されている。以下、この図2に示された例に基づいて面光源装置20および表示装置10の作用について説明する。ただし、導光板30は、第1方向における中央位置Pcを中心として対称的な構成を有している。また、第1光源24aおよび第2光源24bは、第1方向に導光板30を挟んで、対称的に構成されている。さらに、光学シート26等の面光源装置20の他の構成要素、および、液晶表示パネル15も、同様に対称性を有している。このような構成の対称性にともない、第2光源24bから第2入光面34を介して導光板30に入射する光に対しても、以下の説明が同様に当てはまる。
【0061】
図2に示すように、導光板30へ入射した光L21,L22は、導光板30の出光面31および裏面32において、反射、とりわけ導光板30をなす材料と空気との屈折率差に起因して全反射を繰り返し、導光板30の入光面33と反対面(他方の入光面)34とを結ぶ第1方向(導光方向)へ進んでいく。
【0062】
ただし、導光板30の本体部40内には拡散成分45が分散されている。このため、図2に示すように、導光板30内を進む光L21,L22は、拡散成分45によって進行方向を不規則に変更され、全反射臨界角未満の入射角度で出光面31および裏面32に入射することもある。この場合、当該光は、導光板30の出光面31および裏面32から、出射し得るようになる。出光面31から出射した光L21,L22は、導光板30の出光側に配置された光学シート26へと向かう。一方、裏面32から出射した光は、導光板30の背面に配置された反射シート22で反射され再び導光板30内に入射して導光板30内を進むことになる。
【0063】
導光板30内を進行する光と、導光板30内に分散された拡散成分45と、の衝突は、導光板30内の導光方向に沿った各区域において、生じる。このため、導光板30内を進んでいる光は、少しずつ、出光面31から出射するようになる。これにより、導光板30の出光面31から出射する光の導光方向(第1方向)に沿った光量分布を均一化させることができる。
【0064】
とりわけ、図4に示すように、単位形状要素50の主切断面における断面形状は、正面方向を中心として対称的に配置された五角形形状または当該五角形形状の一以上の角を面取りしてなる形状となっている。より詳細には上述したように、導光板30の出光面31は、導光板30の裏面32に対して傾斜した折れ面37,38として、構成されている。そして、この折れ面37,38からなる出光面31で全反射して導光板30内を進む光およびこの折れ面37,38からなる出光面31を通過して導光板30から出射する光は、この折れ面37,38からなる出光面31によって、以下に説明する作用を及ぼされるようになる。まず、折れ面37,38からなる出光面31で全反射して導光板30内を進む光に対して及ぼされる作用について説明する。
【0065】
図4には、出光面31および裏面32において全反射を繰り返しながら導光板30内を導光方向(第1方向)に進む光L41,L42の光路が、導光板の主切断面内に示されている。上述したように、導光板30の出光面31は、正面方向を中心として対称的に配置された五角形形状または当該五角形形状の一以上の角を面取りしてなる形状を断面形状として有している単位形状要素50の出光側面51によって形成され、より具体的には、本体部40の一側面41への法線方向ndを挟んで互いに逆側に傾斜した二種類の折れ面37,38を含んでいる。また、互いに逆側に傾斜した二種類の折れ面37,38は、第2方向に沿って、交互に並べられている。そして、図4に示すように、導光板30内を出光面31に向けて進み出光面31に入射する光L41,L42は、多くの場合、二種類の折れ面37,38のうちの、導光板の主切断面において本体部40の一側面41への法線方向ndを基準として当該光の進行方向とは逆側に傾斜した傾斜面へ入射する。
【0066】
この結果、図4に示すように、導光板30内を進む光L41,L42は、出光面31の折れ面37,38で全反射する多くの場合、主切断面においてその進行方向は正面方向ndを中心として逆側に向くようになる。つまり、当該光の第2方向に沿った成分が、出光面31での全反射により、逆側に向かされやすくないっている。このようにして、導光板30内を第1方向(導光方向)に誘導される光は、出光面31で全反射する度に、その第2方向における進行方向を逆転されやすくなっている。この結果、光源24a,24bの発光体25から第1方向に対して大きく傾斜した方向に発光され導光板30内に入射した光も、第2方向への移動を規制されながら、主として第1方向へ進むようになる。これにより、導光板30の出光面31から出射する光の第2方向に沿った光量分布を、光源24a,24bの構成(例えば、発光体25の配列)や、発光体25の出力によって、調節することが可能となる。
【0067】
次に、折れ面37,38を通過して導光板30から出射する光に対して、折れ面37,38から及ぼされる作用について説明する。図4に示すように、単位形状要素50を介して導光板30から出射する光L41,L42は、導光板30の出光面31をなす単位形状要素50の出光側面51をなす傾斜面37,38において屈折する。この屈折により、主切断面において正面方向ndから傾斜した方向に進む光L41,L42の進行方向(出射方向)は、主として、導光板30内を通過している際における光の進行方向と比較して、正面方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げられる。このような作用により、単位形状要素50は、導光方向と直交する第2方向に沿った光の成分について、透過光の進行方向を正面方向nd側に絞り込むことができる。すなわち、単位形状要素50は、導光方向と直交する第2方向に沿った光の成分に対して、集光作用を及ぼすようになる。このようにして、導光板30から出射する光の出射角度は、導光板30の単位形状要素50の配列方向と平行な面内において、正面方向を中心とした狭い角度範囲内に絞り込まれる。
【0068】
以上のようにして最終的に導光板30の出光面31から出射した光L21,L22は、図2に示すように、光学シート26へ入射する。上述したように、光学シート26は、導光板30側へ向けて頂角が突出する断面三角形形状の単位プリズム27を有している。図2によく示されているように、単位プリズム27の長手方向は、導光板30による導光方向(第1方向)と交差する方向、とりわけ本実施の形態では導光方向と直交する第2方向と、平行になっている。また、導光板30をなす材料と空気との屈折率差に起因し、導光板30の出光面31から出射する光の第1方向成分の出射角度(出射光の第1方向成分と導光板30の板面への法線方向ndとがなす角度)θcは、特定の角度範囲(例えば、65°〜85°)内に偏る、傾向がある。
【0069】
これらのことから、図2に示すように、導光板30の出光面31から出射した光の多くが、光学シート26の単位プリズム27の一方のプリズム面27aを透過して当該単位プリズム27へ入射し、その後、当該単位プリズム27の他方のプリズム面27bで全反射するように、光学シート26を設計することができる。単位プリズム27のプリズム面27bでの全反射により、図2の断面(第1方向と正面方向ndとの両方向に平行な断面)において正面方向ndから傾斜した方向に進む光L21,L22は、その進行方向が正面方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げられる。このような作用により、単位プリズム27は、第1方向(導光方向)に沿った光の成分について、透過光の進行方向を正面方向nd側に絞り込むことができる。すなわち、光学シート26は、第1方向に沿った光の成分に対して、集光作用を及ぼすようになる。
【0070】
なお、このように光学シート26の単位プリズム27によってその進行方向を大きく変化させられる光は、主として、単位プリズム27の配列方向である第1方向に進む成分であり、導光板30の単位形状要素50の出光側面51によって集光させられる第2方向に進む成分とは異なる。したがって、光学シート26の単位プリズム27での光学的作用によって、導光板30の単位形状要素50によって上昇させられた正面方向輝度を害すことなく、さらに、正面方向輝度を向上させることができる。
【0071】
以上のように、面光源装置20では、第1方向(導光方向)に沿った出射光量の分布を均一化させ、さらに、正面方向輝度を向上させ、発光面21から光を面状に発光する。面光源装置20を出光した光は、その後、液晶表示パネル15に入射する。液晶表示パネル15は、面光源装置20からの光を画素毎に選択的に透過させる。これにより、液晶表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
【0072】
また、上述したように、導光板30内に入射した光は、単位形状要素50の出光側面51をなす折れ面37,38によって第2方向への移動を規制されながら、第1方向へ進むようになる。すなわち、光源24a,24bをなす多数の発光体25の各々で発光された光は、導光板30の出光面31のうちの、第2方向における所定の位置に位置し且つ第1方向に延びる特定の領域内から、主として出射することになる。したがって、表示装置10の表示面11に表示される映像に対応して、制御装置18が、各発光体25の出力を調節するようにしてもよい。
【0073】
例えば、表示装置10の表示面11内のある領域に何も表示しない場合、言い換えると、表示装置10の表示面11内のある領域に黒を表示する場合、表示面10の当該領域に対応する導光板30の出光面31の領域に光を供給する点状発光体25を消灯させるようにしてもよい。この場合、面光源装置20からの照明光を表示パネル15で完全に遮断できないことに起因するコントラストの低下といった従来の不具合を解消することができる。また、電気使用量を節約することができ、省エネルギーの観点からも好ましい。
【0074】
さらに、黒を表示する例に限られず、表示面11に表示される映像に対応して各点状発光体25の出力の程度を調節することにより、表示パネル15のみに依存することなく、表示される映像の各領域における明るさを調節するようにしてもよい。このような例においても、表示される像のコントラストを向上させることができるとともに、省エネルギーを実現することができる。
【0075】
ところで、昨今における環境問題への関心の高まりから、発光ダイオードが、光源をなす発光体として注目を浴びている。発光ダイオードは、エネルギー効率の観点において、これまで光源をなす発光体として広く普及していた冷陰極管よりも、非常に優れている。しかしながら、本件発明者らは、発光ダイオード等からなる点状発光体を線状に配列して光源を形成し、従来の面光源装置の冷陰極管からなる光源と置き換えて使用した場合、導光板の出光面のうちの入光面近傍の領域、あるいは、導光板の出光面の当該領域に対応する面光源装置の発光面または表示装置の表示面の領域に、明るさのムラが生じること、すなわち輝度面内ばらつきが生じることを、面光源装置の開発を通して知見した。
【0076】
本件発明者らの調査によれば、発光ダイオード等からなる点状発光体を線状に並べてなる光源を用いた場合、光源に対面する入光面近傍となる導光板出光面上の領域において明暗のムラが発生すること、より具体的には、入光面近傍となる導光板出光面上の領域において、点状発光体の配列方向(第2方向)に沿って点状発光体の配列ピッチと同一ピッチで明部および暗部が繰り返し形成されていた。
【0077】
また、昨今においては、導光方向(第1方向)に沿って直線状に延びるプリズムが導光方向と直交する方向(第2方向)に並べられている導光板が、普及しつつある。この線状プリズムは導光板の出光面をなし、導光板からの出射光に対して集光作用を及ぼすようになっている。より具体的には、線状プリズムは、正面方向に対して45°程度傾斜したプリズム面(傾斜面)を有している。このプリズム面での屈折によって、透過光の進行方向は、正面方向に対する角度が小さくなるように偏向される。その一方で、正面方向を中心とした狭い角度範囲内の方向へ偏向させることができない光については、プリズム面での反射、とりわけ全反射によって、進行方向が裏面の側へ折り返される。
【0078】
そして、このような集光作用を期待された単位プリズムを導光板に設けた場合、導光板の出光面のうちの入光面近傍領域に発生する明るさの第2方向に沿ったムラがより顕著となるとなること、さらに詳細には、明るさの第2方向に沿ったムラの発生領域が広範囲になることが、本件発明者らの研究によって知見された。
【0079】
加えて、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、正面方向に対して45°程度傾斜したプリズム面(傾斜面)を有する線状プリズムを導光板に設けた場合、明るさの面内バラツキが発生しやすくなるだけでなく、正面方向から大きく傾斜した角度域に第2の明るさのピークが発生すること、すなわち、いわゆるサイドローブが出現することが知見された。サイドローブを形成する光は、正面方向から大きく傾斜した方向に進む光であって、映像を有効に形成する光として観察者によって認識され得ない光である。すなわち、サイドローブの発生は、単に正面方向から大きく傾斜した方向において思いがけず映像が明るく観察されるようになるだけでなく、観察者によって有効に観察され得る映像を形成しないといった点において、光源で発光された光を有効に使用しているとは言えない。すなわち、サイドローブの発生は、エネルギー効率の面においても好ましくない。
【0080】
一方、上述してきた本実施の形態によれば、輝度の面内バラツキの発生およびサイドローブの発生を効果的に抑制し得ることが確認された。このような現象が生じる理由の詳細は不明であるが、本件発明者らの研究を通して推定される理由を、以下に説明する。以下では、光源に対面する入光面近傍領域において輝度の面内ばらつきが発生する推定理由とともに、本実施の形態によって、このような輝度の面ばらつきを目立たなくさせる推定理由も説明する。ただし、本発明は以下の推定に限定されるものではない。
【0081】
導光板30の入光面33,34に対面して配置された光源24a,24bをなす点状発光体(例えば、発光ダイオード)は、図6(a)〜(c)に示すように、光を放射状に放つ。なお、図6(a)〜(c)には、光が、点状発光体25の一発光点25aから、導光方向を中心として放射状に放たれている例を示している。したがって、ある発光点25aから発光された光は、図6(a)〜(c)において点線で示された円錐状に広がる光束LFとなる。また、図6(a)〜(c)では、それぞれ、正面方向、第2方向(単位形状要素の配列方向)および第1方向(単位形状要素の長手方向)から同一の光路を観察した状態を示している。ただし、図6(a)〜(c)では、理解のしやすさの便宜から、単位形状要素50を省略している。
【0082】
図6(a)〜(c)に示すように光が放射状に放たれるため、導光板30の入光面33,34直近において導光板30の出光面31(図示においては、本体部40の出光側面41)に直接入射(光源25a,25bから導光板30へ入射した後、裏面32で反射されることなく、直接出光面31へ入射)し得る光は、点状発光体25の配列方向、すなわち第2方向に沿った成分を多く含まない光(言い換えると、第2方向へあまり進まない光)L61である。その一方で、点状発光体25から放射状に発光された光のうち、第2方向に沿った成分を多く含む光(言い換えると、第2方向へよく進む光)L63は、第1方向成分を僅かにしか含まないため、入光面33,34から遠く離れた位置P3において、導光板30の出光面31(図示においては、本体部40の出光側面41)に直接入射し得るようになる。
【0083】
このようなことから、一つの点状発光体25から放射状に発光された光が直接入射し得る領域A1は、正面方向から観察した場合に、図6(a)に示すように、対象とする一つの点状発光体25に第1方向から対面する位置P1において当該一つの点状発光体25に最も接近する曲線CLによって取り囲まれる領域(以下において、明領域とも呼ぶ)となる。とりわけ、市販されているエッジライト型面光源装置において通常の使用態様であるように、一つの点状発光体から発光される光が、導光方向(第1方向)を中心として放射状の領域に進む場合、当該放射状光LFが直接入射し得る明領域A1は、対象とする一つの点状発光体25に第1方向から対面する位置P1に極値を取る放物線CLによって取り囲まれる領域となる。
【0084】
したがって、導光板30の入光面33,34近傍における出光面31のうち、第2方向に隣り合う二つの点状発光体25の中間位置に対面して導光方向(第1方向)に沿って延びる領域(以下において、暗領域とも呼ぶ)A2には、放射状に光を放つ点状発光体25から導光板30内に入射した光が裏面等で反射することなく直接に到達することはない。この結果、この暗領域A2からの出光量は、隣接する領域A1であって、放射状に光を放つ点状発光体25から導光板30内に入射した光が直接に到達し得る領域A1からの出光量よりも、著しく低下する。
【0085】
以上のことが、点状発光体25からなる光源に対面する入光面近傍において、点状発光体の配列方向に沿って点状発光体の配列ピッチと同一ピッチで明暗の縞が生じていた理由であると考えられる。
【0086】
また、第2方向成分を多く含まない光(例えば、図6(a)〜(c)における光L61)が、比較的に大きい出光面角度、具体的には、屈折による優れた集光特性を発揮し得る45°程度の出光面角度を有した出光面に入射した場合、いわゆる再帰反射のような全反射を繰り返して進行方向を転換して、裏面へと向かうようになる(図5における光L51参照)。すなわち、当該光L51の第2方向成分は大きく変化することなく、第1方向へ進むことになる。この結果、明瞭域A1に入射した当該光L51が、第2方向へ拡散されることはない。すなわち、明瞭域A1に入射した当該光L51が、暗領域A2に向かうことが規制される。
【0087】
それどころか、僅かに傾斜した光(例えば、図6(a)〜(c)における光L62)までもが、上述した単位形状要素50から受ける作用と同様に、45°程度の出光面角度を有した出光面での反射によって、第2方向への移動を拘束されることになる。したがって、集光を目的として出光面角度が比較的に大きい単位プリズムを設けられた導光板を用いた場合、点状発光体の配列方向(第2方向)に沿った輝度の面内ばらつきが生じる領域が、より大きな領域で確認されていたものと推定される。
【0088】
さらに、今後、発光ダイオードの発光強度の改善にともない、発光ダイオードの配置間隔を広げることによって使用される発光ダイオードの数量を減じ、これにより、表示装置の低コスト化を図る傾向が生じることが予測される。このような発光ダイオードの配置間隔が広がる傾向にともない、上述した光源近傍での輝度の面内ばらつきは、より明瞭且つより広い領域で確認されるようになると予想される。
【0089】
一方、本実施の形態によれば、上述したように単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上70%以下の幅領域に対応する外輪郭上の領域(第1領域Z1)、すなわち、正面方向から観察した場合に単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上70%以下を占めるようになる外輪郭51上の領域Z1で、導光板30の主切断面において単位形状要素50の出光側面51または出光側面51への接線が本体部40の一側面41に対してなす角度である出光面角度θa1が、10°以上35°以下となっている。
【0090】
本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、比較的小さな出光面角度θaを有した単位形状要素50の出光側面51によれば、図5に示すように、点状発光体25から入光面33を介して導光板30に入射した光のうち、第2方向成分を殆ど持たず且つ正面方向ndと平行な方向に沿った成分を強く持つ光L52であって、入光面33の極近傍において出光面31に直接入射する光L52を、第2方向へ効果的に拡散させ得ることが確認された。さらに詳細には、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上に対応する外輪郭51上の領域で、出光面角度θaが10°以上35°以下となっている場合には、入光面33近傍における出光面31での輝度の面内ばらつきを、目視での判別不可能な程度にまで、目立たなくさせることが可能であることが確認された。
【0091】
次に、サイドローブの発生原因は次のように推定される。図4を参照しながら既に説明したように、導光板30内を出光面31に向けて進み出光面31に入射する光L41,L42は、多くの場合、二種類の折れ面37,38のうちの、導光板の主切断面において本体部40の一側面41への法線方向ndを基準として当該光の進行方向とは逆側に傾斜した傾斜面へ入射する。しかしながら、図7に示すように、光L71の進行方向と正面方向ndとによってなされる角度が小さい場合、当該光L71は、法線方向ndを基準として当該光の進行方向と同じ側に傾斜した傾斜面へも入射し得る。そしてこの場合、当該光L71は、入射したプリズム面(図7では傾斜面37)で全反射し得り、多くの場合、当該プリズム面に対向する反対側の傾斜面(図7では傾斜面38)へ入射する。
【0092】
このとき、反対側の傾斜面の出光面角度θaが、集光に適するとされている比較的に大きな角度の場合、とりわけ、最も優れた集光機能を発揮すると考えられている45°程度の場合、当該光の反対側の傾斜面への入射角度は比較的に小さくなる。この結果、当該光は、図7における光L71aのように、反対側の傾斜面で反射されることなく、屈折して単位形状要素から出射する。そして、導光板の主切断面において、当該光L71aの出射角度は極めて大きくなる。このような光L71aは、の進行方向を補正するためには、第2方向に配列された単位形状要素を有する光学シートや、光拡散機能を有した光拡散シートを導光板の出光側に配置しない限り、その進行方向を補正されることはない。そして、このような光L71aが、サイドローブを形成する原因となっているものと推測される。
【0093】
これに対して、本実施の形態によれば、上述したように単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上70%以下の幅領域に対応する外輪郭上の領域(第1領域Z1)、すなわち、正面方向から観察した場合に単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上70%以下を占めるようになる外輪郭51上の領域Z1で、導光板30の主切断面において単位形状要素50の出光側面51または出光側面51への接線が本体部40の一側面41に対してなす角度である出光面角度θa1が、10°以上35°以下となっている。
【0094】
本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、10°以上35°以下といった比較的小さな出光面角度θaを有した単位形状要素50の出光側面51によれば、図7に示すように、導光板の主切断面において正面方向ndに対して大きく傾斜しない方向に進み且つその後に法線方向ndを基準としてその進行方向と同じ側に傾斜した傾斜面で全反射して当該面に入射してきた光L71を、全反射させることが可能となる。すなわち、出光面角度θaが10°以上35°以下と比較的に小さくなっている第1領域Z1は、サイドローブを形成する正面方向ndから大きく傾斜した方向に光L71が出射することを効果的に防止することができる。なお、単位形状要素50の第1領域Z1で全反射した光は、その後、導光板30の裏面32や反射シート22での反射によって、再び出光側へ向けて進行するようになる。すなわち、これまでサイドローブを形成し無駄になっていた光の進行方向を補正して、当該光を有効に映像を形成する光として利用することができる。本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上に対応する外輪郭51上の領域で、出光面角度θaが10°以上35°以下となっている場合には、図1に示された構成の表示装置において、すなわち、第2方向に沿った光の進行方向を補正するための光学シート類が導光板の出光側に配置されていない表示装置において、表示装置10の表示面11でのサイドローブの発生を目視で感知不可能な程度にまで、第2方向に沿った面内での輝度の角度分布における第2のピークを目立たなくさせることができた。
【0095】
なお、本件発明者らの確認によれば、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上の幅領域に対応する外輪郭上の領域(第1領域Z1)で、出光面角度θa1が10°以上35°以下となっていれば、入光面33近傍における出光面31での輝度の面内ばらつき及び正面方向ndから大きく傾斜した方向における輝度の第2のピークを目立たなくさせることができた。しかしながら、出光面角度θa1が10°以上35°以下となっている領域が、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの70%を超えると、単位形状要素50が光学機能を有効に発揮し得なくなった。このため、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上70%以下の幅領域に対応する外輪郭上の領域(第1領域Z1)で、出光面角度θa1が10°以上35°以下となっていれば、入光面33近傍における出光面31での輝度の面内ばらつき及び正面方向ndから大きく傾斜した方向における輝度の第2のピークの両方を目立たなくさせることが可能となるだけでなく、正面方向輝度を調節することも可能となる。
【0096】
また、後述する実施例でも実証されているように、本件発明らの研究結果によれば、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上35%以下の幅領域に対応する外輪郭上の領域(第1領域Z1)で、出光面角度θa1が10°以上35°以下となっていれば、出光面角度θa1が10°以上35°以下となる第1領域Z1を設けない場合と概ね同等の正面方向輝度を確保し得ることが確認された。このような現象は、これまでにサイドローブを形成して無駄になってきた光が逆に有効に利用され得るようになったことに起因しているもと予測される。そして、このような作用効果は、直角二等辺三角形形状の断面形状を有した単位形状要素が最も優れた集光機能を発揮し得ると考えられていた従来の技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものと言える。
【0097】
とりわけ、本実施の形態においては、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の全幅Wのうちの30%以上80%以下に対応する外輪郭上の領域(第2領域)Z2において、出光面角度θa2が30°より大きく60°以下となっている。本件発明らが鋭意研究を重ねたところ、このような導光板30を用いた場合、上述したように当該導光板30の単位形状要素50が、出光面角度θaが10°以上35°以下となる出光側面51(出光面31)を含んでいたとしても、単位形状要素50の配列方向(第2方向)に沿って集光機能を有効に発揮し得ることが確認された。
【0098】
さらに、本実施の形態においては、単位形状要素50の主切断面における外輪郭51上の全域において、出光面角度は10°以上60°以下となっている。これによって、単位形状要素50の配列方向(第2方向)に沿った成分に対して集光作用を全く及ぼされること無く、光が導光板30から出射することを防止することができる。
【0099】
加えて、本実施の形態では、単位形状要素50の出光面角度θaは、本体部40から最も離間した単位形状要素50の外輪郭51上の頂部52aから本体部40に最も接近した単位形状要素50の外輪郭51上の端部52bへ向けて、大きくなるように変化する。したがって、単位形状要素50の本体部40から離間した頂部52aの側において、単位形状要素50の出光側面51が比較的に小さい出光面角度θa1を有するようになる。その一方で、本体部40に近接した端部52bの側において、単位形状要素50の出光側面51が比較的に大きな出光面角度θa2を有するようになる。とりわけ、本実施の形態によれば、単位形状要素50の頂部52aを含む第1領域Z1に、出光面角度θaが10°以上35°以下であって、第2方向成分に対して優れた拡散機能を発揮することができ且つサイドローブを引き起こし得る光L71aを全反射することができる出光側面51(出光面31)が、第1傾斜面37a,38aによって形成されている。その一方で、単位形状要素50の端部52bを含む第2領域Z2に、出光面角度θaが30°より大きく60°以下であって、第2方向への光の進行をより効果的に抑制し得るとともに第2方向に沿った成分に対して極めて効果的に集光機能を発揮し得る出光側面51(出光面31)が、第2傾斜面37b,38bによって形成されている。
【0100】
第2方向に沿った成分を多く含む光(例えば、図4における光L41,L42)は、当然に、単位形状要素50の出光側面51のうちの本体部40に近接する端部52b側の領域に入射しやすくなる。その一方で、第2方向に沿った成分を僅かにしか含まない光(例えば、図4における光L51,L52)は、概ね、単位形状要素50の出光側面51の全領域に均等に入射し得る。したがって、単位形状要素50の出光側面51のうちの本体部40から離間した頂部52aを含む領域に入射する光は、本体部40に近接した端部52bを含む領域に入射する光との比較において、第2方向に沿った成分が僅かである光をより高い割合で含むようになる。加えて、サイドローブを引き起こし得る光L71a(例えば、図7における光L71)は、単位形状要素50の頂部52a近傍の領域に入射しやすい。このため、単位形状要素50の出光側面51のうちの出光面角度θaが10°以上35°以下である出光側面51が、第2方向に沿った成分が僅かである光に対して選択的に拡散作用を及ぼし、且つ、サイドローブを引き起こし得る光を選択的に全反射させる。これらの結果、入光面33,34近傍となる出光面31上の領域における明暗ムラを目立たなくさせることができ、且つ、正面方向ndから大きく傾斜した方向に輝度の第2ピークが生じてしまうことを効果的に防止することができる。
【0101】
このように、出光面角度θaが10°以上35°以下となっている出光側面51を本体部40から離間した位置に配置することにより、入光面33,34近傍における明暗ムラおよびサイドローブの発生を効果的に目立たなくさせることができる。したがって、10°以上35°以下の出光面角度θa1を有した出光側面51を本体部40から離間した位置に配置した場合、本体部40に近接した位置に配置する場合と比較して、入光面33,34近傍における明暗ムラおよびサイドローブの発生を同程度に抑制しながら、単位形状要素50の全出光側面51のうちの当該低出光面角度θa1を有した出光側面51の割合(第1領域の割合)を抑えることができる。これにより、出光面角度θaが30°より大きく60°以下の出光側面51を単位形状要素50により多く付与することができ、結果として、第2方向へ沿った成分に対する優れた集光機能を導光板30に付与することも可能となる。
【0102】
とりわけ、観察者によって明るさが知覚されやすいのは表示領域の中央部であることから、正面方向輝度が最も重要視されるのは、入光面33,34から離間した出光面31の中央を含む領域となる。そして、入光面33,34から離間した出光面31の中央を含む領域まで導光板30内を導光された光は、入光面33,34近傍を通過している光と比較して、第2方向に沿った成分をより多く含むようになっている。したがって、正面方向輝度が最も重要視される入光面33,34から離間した出光面31の中央領域では、単位形状要素50の出光側面51のうちの本体部40に接近した端部52bを含む第2領域A2、すなわち、優れた集光機能を発揮し得る単位形状要素50の出光側面51上の領域を介して、導光板30から多くの光が出射するようになる。
【0103】
また、上述したように、単位形状要素50の頂部52a近傍における出光側面51に到達するのは、第2方向に沿った成分が比較的に少ない光(例えば、図5における光L52)が多く含まれている。そして、第2方向に沿った成分が少ない光に対しては、そもそも、強い集光作用を及ぼす必要がない。したがって、出光面角度が35°以下である出光面を単位形状要素50の頂部52aを含む領域に設けることによれば、単位形状要素50による集光機能に著しく悪影響を与えることはない。
【0104】
以上の結果、比較的に集光機能が弱くなる出光面角度θaが10°以上35°以下の出光側面51(第1傾斜面37a,38a)を本体部40から離間した位置に配置することによって、当該出光側面51(第1傾斜面37a,38a)を設けることに起因した単位形状要素50全体としての集光機能の著しい劣化を効果的に回避することができる。すなわち、単位形状要素50の外輪郭51上の頂部52aから端部52bへ向けて単位形状要素50の出光面角度θaが大きくなる場合、入光面33,34近傍における明暗ムラを目立たなくさせることができ、且つ、正面方向ndから大きく傾斜した方向に輝度の第2ピークが形成されることを防止することができるとともに、正面方向輝度を調節することができる。とりわけ、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の幅Wのうちの20%以上35%以下に対応する外輪郭51上の領域において、単位形状要素50の出光面角度θaが10°以上35°以下となっている場合には、単位形状要素50の出光面角度θaが10°以上35°以下となっている領域を全く設けない場合の正面方向輝度と目視で判別不可能な程度の正面方向輝度を確保することができる。
【0105】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
【0106】
例えば、導光板30の単位形状要素50の上述した構成は例示に過ぎない。一例として、導光板の主切断面において、単位形状要素50の外輪郭51が曲線を含むようにしてもよい。なお、既に述べているが、導光板の主切断面での単位形状要素50の断面形状が曲線を含む場合、出光面角度θaは、図8および図9に示すように、単位形状要素50の主切断面における外輪郭51への接線TLと、本体部40の一側面41と、によってなされる角度、より厳密には、形成される二つの角のうちの小さい方の角度(劣角の角度))の値として特定される。このような変形例においても、単位形状要素50が上述した構成を有していることが好ましい。例えば、単位形状要素50の曲線状の外輪郭51への接線TLの接点TPの位置が、本体部40の一側面41と平行な方向において、単位形状要素50の全幅Wのうちの20%以上70%以下の領域にある場合に、出光面角度θaが10°以上35°以下になるようにすれば、入光面33の極近傍において出光面31に直接入射する光を第2方向へ効果的に拡散させることができ、入光面33近傍における出光面31での輝度の面内ばらつきを目立たなくさせることが可能となり、且つ、サイドローブを形成し得る光L71aを全反射させることができ、輝度の角度分布の調節および光源光の有効利用を図ることが可能となる。
【0107】
また、上述した実施の形態において、導光板30の単位形状要素50が互いに隣接して配置されている例を示したが、これに限られない。例えば、図8に示すように、隣り合う二つの単位形状要素50間に平坦部58が形成されていてもよいし、図9に示すように、隣り合う二つの単位形状要素50間に凹部59が形成されていてもよい。
【0108】
さらに、上述した実施の形態において、本体部40の一側の面41上に単位形状要素50を設けることによって、導光板30の出光面31が、導光板30の板面に対して傾斜した傾斜面37a,37b,38a,38bを含むようにした例を示したが、これに限られない。図11及び図12に示すように、上述してきた導光板30の単位形状要素50を反転してなる構成を有した溝を本体部40の一側面41に形成することにより、導光板30に傾斜面37a,37b,38a,38bを付与するようにしてもよい。すなわち、この例では、溝が、光に光学作用を及ぼす単位形状要素50として機能する。具体的には、上述してきた導光板30の出光面31と同一構成の凹凸を有した型を準備し、この型を用いた賦型によって、本体部40と、第1方向と交差する配列方向に並べて前記本体部40の一側面41上に形成された複数の溝50であって、各々がその配列方向と交差する方向に延びている、溝50を、備えた導光板30を形成することができる。この際、上述した実施の形態での突出部としての単位形状要素に関する構成を溝としての単位形状要素に適用することができる。このような導光板30においても、溝の出光側面(壁面)によって構成される傾斜面37a,37b,38a,38bが、上記実施の形態で説明した光学的機能と同様の光学的機能を発揮することができる。
【0109】
図11および図12に示す例において、溝状の単位形状要素50は、上述した略柱状の単位形状要素と相補的に構成されている。図11および図12においては、上述した実施の形態と対応する部分について、同一の符号を付している。
【0110】
図11および図12に示す例では、本体部40の一側面41への法線方向と単位形状要素50の配列方向との両方に平行な主切断面において単位形状要素(溝)50の外輪郭(壁面)が本体部40の一側面41に対してなす角度である出光面角度θaが、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の幅Wのうちの20%以上70%以下に対応する外輪郭51上の領域において、10°以上35°以下となっている。単位形状要素50が溝として形成された例においても、出光面角度θaは、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の幅Wのうちの20%以上35%以下に対応する外輪郭(壁面)51上の領域において、10°以上35°以下となっていることが好ましい。また、図11および図12に示す例において、単位形状要素50の出光面角度θaは、本体部40の一側面41から最も離間した単位形状要素50の外輪郭51上の頂部(最深部)52aから本体部40の一側面に最も接近した単位形状要素50の外輪郭51上の端部(基端部)52bへ向けて、大きくなるように変化している。
【0111】
また、単位形状要素50が溝として形成された例においても、単位形状要素50の配列方向に沿った単位形状要素50の幅Wのうちの30%以上80%以下に対応する外輪郭51上の領域において、出光面角度θaが30°より大きく60°以下となっていることが好ましく、単位形状要素50の主切断面における外輪郭51上の全域において、出光面角度θaが10°以上60°以下となっていることがより好ましい。さらに、単位形状要素50が溝として形成された例においても、導光板30の主切断面における単位形状要素50の配列方向に沿った幅Wに対する、導光板30の主切断面における単位形状要素50の本体部40の一側面41からの高さ(深さ)Hの比(H/W)が、0.3以上0.45以下であることが好ましい。
【0112】
なお、図11および図12に示す例において、本体部40の一側面41上には、溝としての単位形状要素50が隙間なく形成されている。したがって、図示する例において、本体部40の一側面41は、単位形状要素50の端部(基端部)52bによって画成される面(仮想面)となっている。
【0113】
さらに、上述した実施の形態において、単位形状要素50が、その長手方向に沿って一定の断面形状を有する例を示したが、これに限られず、単位形状要素50の断面形状が、当該単位形状要素の長手方向に沿って変化するようにしてもよい。
【0114】
さらに、上述した実施の形態において、導光板30の側面のうちの対向する二つの面33,34が入光面を構成する例を示したが、これに限られない。例えば、図10に示す変形例のように、導光板30の側面のうちの一つの面33のみが入光面として機能するようにしてもよい。なお、このような変形例では、面光源装置20の発光面21への法線方向ndおよび第1方向の両方向に平行な断面における、導光板30から出射する出射光の出射方向は、正面方向ndに対して概ね一方の側のみに傾斜するようになる。このため、光学シート26の単位プリズム27は、面光源装置20の発光面21への法線方向ndおよび第1方向の両方向に平行な断面において対称的な形状を有する必要はない。図10に示す変形例では、単位プリズム27は、導光板30からの光を透過させる透過面27aと、透過面27aを介して導光板30内に入射した光を全反射させる反射面27bと、を含んでおり、反射面27bは正面方向ndに対して傾斜しているのに対し、透過面27aは概ね正面方向ndと平行に延びている。
【0115】
さらに、上述した実施の形態において、本体部40内に拡散成分45を分散させることによって、導光板30に入射した光が導光板30から出射し得るようにした例を示したが、この例に限られない。一例として、図10に示すように、導光板30の出光面31および裏面32を互いに対して傾斜させるようにしてもよい。図10に示す例では、導光板30の裏面32は、入光面33から反対面34に向かうにつれて、出光面32に対して接近するように傾斜した複数の傾斜面32aと、隣り合う二つの傾斜面32aを連結する段差面32bと、を有している。このうち段差面32bは、導光板30の板面の法線方向ndに延びている。したがって、導光板30内を入光面33の側から反対面34の側へと進む光の多くは、裏面32のうち、段差面32bに入射することなく、傾斜面32aにて反射するようになる。このため、図10に示すように、出光面31および裏面32にて反射して導光板30内を光L101が進む場合、当該光L101の出光面31および裏面32への入射角度は、裏面32で反射する度に小さくなり、全反射を繰り返した後に全反射臨界角未満となる。この結果、導光板30内を進む光L101は、本体部40内で光散乱剤45に衝突しなくとも、入光面33から離間した領域において、導光板30内から出射するようになる。これにより、第1方向に沿った出射光量の均一化を図ることができる。
【0116】
さらに、上述した実施の形態での例や図10に示す例に限られず、導光板30に入射した光を導光板30から出射させるための別の構成(別の光取り出し構成)を、既述の構成と代えて又は既述の構成に加えて、採用することができる。拡散成分45を分散させる構成および出光面31および裏面32を互いに対して傾斜させる構成以外の、導光板からの光取り出しを可能とする構成としては、例えば、出光面31および裏面32の少なくとも一方を粗面とする構成や、裏面32上に白色散乱層のパターンを設ける構成等が、挙げられる。また、図10に示す例において、導光板30の裏面32が傾斜面32aと段差面32bとを有しているが、これに限られず、段差面32bを省き、導光板30の裏面32が一つの連続した平坦な傾斜面や一つの連続した曲面として構成されていてもよい。
【0117】
さらに、上述した実施の形態において、導光板30の出光側に配置される光学シート26の一例を説明したが、上述した光学シート26は単なる例示に過ぎない。上述した光学シート26に代えて、種々の形態の光学シートを用いることができる。例えば、出光側に単位プリズムが突出した光学シートを用いることができる。また、単位プリズム27の断面形状が三角形形状以外の形状、例えば、三角形以外の多角形や楕円の一部分に相当する形状等となっている光学シートを用いることもできる。
【0118】
さらに、上述した面光源装置20および表示装置10の構成は、単なる例示に過ぎず、種々の変更が可能である。例えば、透過光を拡散させる機能を有した光拡散シートや、特定の偏光成分のみを透過し、それ以外の偏光成分を反射する偏光分離機能を有した偏光分離シート等を、光学シート26の出光側に設けるようにしてもよい。
【0119】
なお、以上において、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【実施例】
【0120】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0121】
<面光源装置>
まず、実施例1〜15並びに比較例1〜14に係る面光源装置を準備した。各面光源装置は、導光板と、光源と、反射シートと、光学シートとが、上述した一実施の形態での態様と同様の位置関係で配置されてなる構成とした。ただし、図1に示された面光源装置とは異なり、実施例および比較例に係る面光源装置の導光板は、入光面を一つだけ有し、当該一つの入光面に対向して一つ光源のみが面光源装置に設けられるようにした。以下に説明するように、準備された実施例1〜15並びに比較例1〜14に係る面光源装置間において、導光板の単位形状要素の断面形状が互いに異なるだけで、光源、反射シートおよび光学シートは互いに同一のものを使用した。
【0122】
(導光板)
導光板は、本体部と、本体部の一側面上に配列された単位形状要素と、を有するようにした。導光板は、第1方向に対向する一対の側面のうちの一方が入光面をなすようにした。
【0123】
単位形状要素は、上述した実施の形態と同様に、本体部の一側面上に隙間無く並べた。各単位形状要素は、一定の断面形状を有して、第1方向に沿って直線状に延びるようにした。そして、この単位形状要素を、第1方向と直交する本体部の一側面上における第2方向に沿って隙間無く配列した。単位形状要素は、アクリル系紫外線硬化型樹脂を硬化させて作製した。この際、単位形状要素と本体部をなす基材との間にランド部を、一定の厚さで、単位形状要素と同一のアクリル系紫外線硬化型樹脂を硬化させて形成した。
【0124】
一方、本体部は、ランド部および単位形状要素を賦型する際に基材として機能する板材と、ランド部と、によって形成した。本体部は、裏面と出光面とが平行で厚さが一定の平板状とした。基材は、拡散成分としての光散乱剤を含有するポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる板材とした。
【0125】
実施例1〜15並びに比較例1〜14に係る面光源装置の間で、単位形状要素の主切断面における断面形状を表1および図13〜図17に示すように変更した。すべての面光源装置に組み込まれた導光板において、単位形状要素は正面方向を中心として線対称な断面形状を有するようにした。また、すべての面光源装置に組み込まれた導光板において、単位形状要素の主切断面における幅Wを100μmとした。なお、図13〜図17では、上述した図1〜図12と同様の符号を用いている。
【0126】
図13〜図16に示すように、実施例1〜15および比較例2〜14に係る面光源装置に組み込まれた導光板において、単位形状要素は、上述した実施の形態と同様に主切断面で略五角形形状となるように形成した。また、主切断面において頂部から端部まで延びる折れ面は、上述した実施の形態と同様に、頂部側に位置する緩斜面(37a,38a)と、端部側に配置され緩斜面よりも出光面角度が大きい急斜面(37b,38b)と、を有するようにした。
【0127】
実施例1〜5並びに比較例2および3に係る面光源装置に組み込まれた導光板において、緩斜面(37a,38a)の出光面角度θa1は、表1および図13に示すように、10°とした。単位形状要素の配列方向に沿って単位形状要素の全幅に対して緩斜面が占める割合は、表1の「割合(%)」の欄に示すように、実施例1〜5並びに比較例2および3の間で変化するようにした。実施例6〜10並びに比較例4および5に係る面光源装置に組み込まれた導光板において、緩斜面(37a,38a)の出光面角度θa1は、表1および図14に示すように、20°とした。単位形状要素の配列方向に沿って単位形状要素の全幅に対して緩斜面が占める割合は、表1の「割合(%)」の欄に示すように、実施例6〜10並びに比較例4および5の間で変化するようにした。実施例11〜15並びに比較例6および7に係る面光源装置に組み込まれた導光板において、緩斜面(37a,38a)の出光面角度θa1は、表1および図15に示すように、35°とした。単位形状要素の配列方向に沿って単位形状要素の全幅に対して緩斜面が占める割合は、表1の「割合(%)」の欄に示すように、実施例10〜15並びに比較例6および7の間で変化するようにした。比較例8〜14に係る面光源装置に組み込まれた導光板において、緩斜面(37a,38a)の出光面角度θa1は、表1および図16に示すように、40°とした。単位形状要素の配列方向に沿って単位形状要素の全幅に対して緩斜面が占める割合は、表1の「割合(%)」の欄に示すように、比較例8〜14の間で変化するようにした。
【0128】
一方、図17に示すように、比較例1に係る面光源装置に組み込まれた導光板において、単位形状要素の主切断面における断面形状は、二等辺三角形形状となるようにした。比較例1に係る面光源装置の導光板については、単位形状要素が、主切断面において、出光側に突出した90°の頂角を含む直角二等辺三角形形状となるようにした。すなわち、比較例1に係る面光源装置の導光板については、単位形状要素の出光面角度は、45°で一定とした。
【0129】
(光源)
発光部のサイズが1.6mm×0.8mmである多数のLEDチップを、各LEDチップの0.8mmの辺が導光板の厚み方向と平行となるようにして、2.0mmのピッチで入光面の長手方向(上述した第2方向)に並べることによって、光源を構成した。上述したように導光板には入光面を一つだけ設け、LEDチップを多数配列してなる上記光源を、当該一つの入光面に対向するようにして設けた。光源は、導光板の入光面との間に0.8mmの隙間が形成されるようにして配置した。
【0130】
(反射シート)
導光板の裏面に対向するようにして、厚さ250μmの白色ポリエステルフィルムからなる反射シートを、配置した。
【0131】
(光学シート)
導光板の出光面に対向するようにして、いわゆるプリズムシートとしての光学シートを配置した。光学シート(プリズムシート)は、厚さ125μmのポリエステルフィルム上に、アクリル系紫外線硬化型樹脂から複数の単位プリズムを形成してなるものとした。単位プリズムは、その長手方向に直交する断面において、頂角が66°の二等辺三角形形状を有するようにした。この光学シートは、上述した実施の形態の光学シートと同様に、単位プリズムが導光板へ向けて突出し、且つ、単位プリズムの配列方向が導光板の導光方向(第1方向)と平行になるようにして、配置した。
【0132】
<評価方法>
・正面方向輝度
正面方向輝度を測定した。測定には、輝度計BM−7(TOPCON社製)を用いた。測定結果をサンプル間での輝度比として表1の「評価」の「輝度比」の欄に示す。また、光源が発光している状態の面光源装置を、当該面光源装置の発光面から当該発光面への法線方向に沿って1m離間した位置において、目視でも観察した。実施例1〜3、実施例6〜8、実施例11〜13、比較例1、比較例2、比較例4、比較例6、比較例8〜11の係る面光源装置が目視で最も明るく観察され、且つ、これらの面光源装置は目視にて同程度の明るさと感知された。一方、比較例3、比較例5、比較例7、比較例14に係る面光源装置は、その他の面光源装置と比較して、目視にて非常に暗く感知された。
【0133】
・明暗ムラ
光源が発光している状態の面光源装置を、当該面光源装置の発光面から当該発光面への法線方向に沿って1m離間した位置において、目視で観察した。各面光源装置の発光面のうちの入光面近傍の領域に、明部および暗部の繰り返しからなる明るさのムラが観察されるか否かを確認した。明るさのムラが明確に観察されたサンプルについて、表1の「評価」の「明暗ムラ」の欄に×を付した。また、明るさのムラがうっすらと存在したが、明暗ムラの生じている領域が入光面から単位形状要素の長手方向に沿って1〜2cm程度の範囲であって明暗ムラが実用上問題無い程度であっサンプルについて、表1の「評価」の「明暗ムラ」の欄に○を付した。さらに、明るさのムラが観察されなかったサンプルについて、表1の「評価」の「明暗ムラ」の欄に○○を付した。
【0134】
・サイドローブ
光源が発光している状態の面光源装置の発光面を、単位形状要素の長手方向に直交する一平面内における種々の方向から、当該発光面に対して1m離間した位置にて観察した。観察方向が正面方向に対してなす角度が0°から次第に大きくなっていくように、観察方向を正面方向から次第に傾斜していった場合に、目視判断にて明るさが次第に低下していったサンプルについて、表1の「評価」の「サイドローブ」の欄に○を付した。一方、観察方向を正面方向から次第に傾斜していく途中で、目視判断において、明るさが明るくなるように変化したサンプルについて、表1の「評価」の「サイドローブ」の欄に×を付した。
【0135】
・その他
ところで、光源が発光している状態の面光源装置の発光面上において、種々の方向から輝度を測定した。測定には、輝度計BM−7(TOPCON社製)を用いた。一例として、実施例11、実施例12、比較例1に係る面光源装置についての測定結果を、それぞれ、図18〜図20に示す。なお、図18〜図20に示された円状のグラフでは、各面光源装置の正面方向輝度に対する輝度の割合として各方向における輝度の分布が示されている。例えば、円状グラフにおける「0」と「180」とを結ぶ方向における輝度の分布は、正面方向(発光面への法線方向)および第1方向(単位形状要素の長手方向)の両方向に平行な面内の各測定方向において測定された輝度の角度分布を示しており、同様に、円状グラフにおける「90」と「270」とを結ぶ方向における輝度の分布は、正面方向(発光面への法線方向)および第2方向(単位形状要素の配列方向)の両方向に平行な面内の各測定方向において測定された輝度の分布を示している。また、測定対象となった面光源装置は、第1方向に沿った一方の側のみに光源を有しており、図18〜図20の円状グラフにおいて、「0」と「180」とを結ぶ方向での「0」の側が、正面方向から光源側へ傾斜した方向での輝度を示している。図18〜図20において、等高線CL1によって囲まれた領域CZ1が、ピーク輝度の75%以上の輝度が確保された領域であり、等高線CL2によって囲まれた領域CZ2が、ピーク輝度の50%以上の輝度が確保された領域であり、等高線CL3によって囲まれた領域CZ3が、ピーク輝度の25%以上の輝度が確保された領域であり、等高線CL4によって囲まれた領域CZ4が、ピーク輝度の15%以上の輝度が確保された領域である。
【0136】
図18〜図20に示された円状グラフを各面光源装置について作成すると、表1の「サイドローブ」の欄における評価が×となった面光源装置については、ピーク輝度の50%以上の輝度が確保された領域を示す等高線CL2、ピーク輝度の25%以上の輝度が確保された領域を示す等高線CL3、および、ピーク輝度の15%以上の輝度が確保された領域を示す等高線CL4が、円形状とは大きくかけ離れた形状となった。その一方で、表1の「サイドローブ」の欄における評価が○となった面光源装置については、表1の「サイドローブ」の欄における評価が×となった面光源装置の測定結果と比較して、これらの等高線CL2,CL3,CL4が円形状に近い形状となっていた。
【0137】
【表1】

【符号の説明】
【0138】
10 表示装置
15 液晶表示パネル
18 制御装置
20 面光源装置
22 反射シート
24a,24b 光源
25 発光体
26 光学シート
30 導光板
31 出光面
32 裏面
33 入光面(第1入光面)
34 反対面(第2入光面)
37 折れ面
37a 第1傾斜面
37b 第2傾斜面
38 折れ面
38a 第1傾斜面
38b 第2傾斜面
40 本体部
41 一側面
44 主部
45 拡散成分
50 単位形状要素
51 出光側面(外輪郭)
52a 頂部
52b 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出光面と、前記出光面に対向する裏面と、前記出光面と前記裏面との間の側面の一部分からなる少なくとも一つの入光面と、前記側面の一部分からなり第1方向に沿って一つの入光面に対向する反対面と、を有する導光板であって、
本体部と、
前記第1方向と交差する配列方向に並べて前記本体部の一側面上に配列され、前記出光面をなす複数の単位形状要素と、を備え、
前記複数の単位形状要素の各々は、その配列方向と交差する方向に延び、
前記本体部の前記一側面への法線方向と前記配列方向との両方に平行な主切断面において前記単位形状要素の外輪郭が前記本体部の前記一側面に対してなす角度を出光面角度とすると、前記配列方向に沿った前記単位形状要素の幅のうちの20%以上70%以下に対応する前記外輪郭上の領域において、前記単位形状要素の前記出光面角度が10°以上35°以下となっている、導光板。
【請求項2】
前記配列方向に沿った前記単位形状要素の幅のうちの20%以上35%以下に対応する前記外輪郭上の領域において、前記単位形状要素の前記出光面角度が10°以上35°以下となっている、請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記単位形状要素の前記出光面角度は、前記本体部の前記一側面から最も離間した前記単位形状要素の前記外輪郭上の頂部から前記本体部の前記一側面に最も接近した前記単位形状要素の前記外輪郭上の端部へ向けて、大きくなるように変化する、請求項1または2に記載の導光板。
【請求項4】
前記単位形状要素の前記主切断面における前記外輪郭上の全域において、前記出光面角度は10°以上60°以下となっている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導光板。
【請求項5】
前記配列方向に沿った前記単位形状要素の幅のうちの30%以上80%以下に対応する前記外輪郭上の領域において、前記出光面角度が30°より大きく60°以下となっている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導光板。
【請求項6】
前記主切断面における前記単位形状要素の前記配列方向に沿った幅Wに対する、前記主切断面における前記単位形状要素の前記本体部の前記一側面からの高さHの比(H/W)が、0.3以上0.45以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導光板。
【請求項7】
前記単位形状要素は、前記主切断面において、前記本体部の前記一側面上に一辺が位置するとともに前記外輪郭上における前記一側面から最も離間した頂部と前記一側面に接続する各端部との間に二辺が位置する五角形形状、或いは、前記五角形形状の一以上の角を面取りしてなる形状を有し、
前記外輪郭上における頂部と各端部との間に位置する前記二辺のうち、前記頂部側の一辺の出光面角度が10°以上35°以下であり、前記端部側の一辺の出光面角度が30°より大きく60°以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の導光板。
【請求項8】
前記本体部は、樹脂からなる主部と、前記主部中に分散された拡散成分と、を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の導光板。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の導光板と、
前記導光板の前記入光面に対向して配置された光源と、を備える、面光源装置。
【請求項10】
前記導光板の前記一つの入光面が第1の入光面を構成するとともに、前記導光板の前記反対面が第2の入光面を構成し、
前記光源は、前記第1の入光面に対向して配置された第1の光源と、前記第2の入光面に対向して配置された第2の光源と、を含む、請求項9に記載の面光源装置。
【請求項11】
前記光源は、前記入光面に対向する位置に並べられた複数の点状発光体を含む、請求項9または10に記載の面光源装置。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか一項に記載の面光源装置と、
前記面光源装置に対向して配置された液晶表示パネルと、を備える、表示装置。
【請求項13】
請求項11に記載の面光源装置と、
前記面光源装置に対向して配置された液晶表示パネルと、
各点状発光体の出力を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、表示されるべき映像に応じて各点状発光体の出力を調節するように構成されている、表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−51149(P2013−51149A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189074(P2011−189074)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】