説明

導尿バッグ用のカバー

【課題】 導尿バッグが人目につくことを防止し、この種のバッグが露出することによる不利益を一掃すると共に、尿の観察を簡単且つ楽にし、使い勝手を良くする。
【解決手段】 閉鎖式導尿バッグ1に被せて装着する導尿バッグ1用のカバーである。導尿バッグ1の前面の目盛1aに対応する前側部分2を捲り操作自在に形成する。また本発明は、捲り操作後に、この前側部分2を仮止めするための止め具5を備えて形成する。この場合本発明は、前側部分2を前垂れ状に形成し、止め具5を、この前側部分2を巻き上げ後に下から上方後側に返して前側部分2を束ねるため前側部分2の後面上端から垂れ下げる帯片5aと、この帯片5aの下端の一方の面状ファスナー6aを止め付けるため前側部分2の前面上端の中央位置に設ける他方の面状ファスナー6bとで形成するのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導尿バッグ用のカバーに関し、更に詳しくは導尿バッグを隠して人目に付くことを防止し、且つ必要時は簡単にバッグの目盛等を確認できるよう形成した導尿バッグ用のカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のカバーとしては、例えば前面に透明部分を設けると共に、この透明部分を隠すカバーを設け、また下端に開口部を設け、この開口部から導尿バッグの導尿管を取り出すことができるよう形成した袋が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで病院等で使用されている閉鎖式導尿バッグは、尿の色や量等を外部から観察できるよう、通常、透明の樹脂材で形成されている。
そのため従来は、導尿バッグが見舞い客や他の患者等の目に触れ易かったから、患者のプライバシーを損ね、また患者に対し、例えばキャスターの付いた架台に導尿バッグをぶら下げて病室から出ることに抵抗感を与えるものであった。
【0004】
而して特許文献1に記載の従来品は、この種の問題を解消できるものの、上記の通り、この従来品は袋の前面に透明部分を設け、この透明部分をカバーで覆い、カバーを持ち上げて導尿バッグの目盛や尿の色などを、透明部分を介して視認する構造であった。
従ってこの従来品によると、透明部分が汚れている場合や、透明部分の光の反射具合によっては尿を観察し難い、という問題点があった。またこの従来品の場合は、尿量等の観察時にカバーを持ち上げていなければならない煩わしさがあり、また透明部分が汚れたら掃除する必要があり、使い勝手が悪いものであった。
【特許文献1】特開2001−87298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来品の問題点に鑑み、提案されたものである。
従って本発明の解決しようとする技術的課題は、導尿バッグが人目につくことを防止でき、この種のバッグが露出することによる不利益を一掃できると共に、尿の観察を簡単且つ楽にでき、使い勝手が良くなるよう形成した導尿バッグ用のカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、次のような技術的手段を採る。
即ち本発明は、図1等に示されるように、閉鎖式導尿バッグ1に被せて装着する導尿バッグ1用のカバーであって、上記の導尿バッグ1の前面の目盛1aに対応する前側部分2が捲り操作自在に形成され、捲り操作後に、この前側部分2を仮止めするための止め具5を備えて形成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
本発明品の材質としては、例えば布、樹脂シート、防水加工が施された紙などがある。布の場合は洗濯が可能で繰り返し使用できる利点がある。また本発明品は、樹脂シートや紙等で使い捨て式に形成されているのでも良い。また本発明品は、表面が着色されたり、柄や模様が施されているのでも良い。なおこの場合は、尿の色や性状の観察に支障を与えないよう、色等を選定するのが好ましい。目盛1aに対応する前側部分2は、例えば導尿バッグ1の目盛1aが左右方向の中央、或いは左寄り、又は右寄りの場合は、この目盛1aの位置に対応して中央、或いは左又は右寄りの位置になる。また本発明の場合、止め具5は、例えば雌雄の面状ファスナーや、ボタンとボタン孔、或いは雌雄のホックなどで構成される。
【0008】
而して本発明の場合は、前側部分2が前垂れ状に形成され、止め具5が、この前側部分2を巻き上げ後に下から上方後側に返して前側部分2を束ねるため前側部分2の後面上端から垂れ下げられている帯片5aと、この帯片5aの下端の一方の面状ファスナー6aを止め付けるため前側部分2の前面上端の中央位置に設けられている他方の面状ファスナー6bとで形成されているのが好ましい(請求項2)。
なぜならこれによると、前側部分2を巻き上げ、帯片5aと面状ファスナー6a、6bとで前側部分2を簡単、迅速に仮止めでき、使い勝手が一層良くなることからである。
【0009】
またこの場合は、前側部分2が、その左右何れか一方の上端部がカバー本体3の前面の上部に着脱自在に形成され、この上端部を介して前側部分2が左右何れか一方の側に横開き可能に形成されているのでも良い(請求項3)。
なぜならこれによると、前側部分2を横開きできるため、導尿バッグ1への着脱操作、ひいては尿の廃棄処理等を、容易に且つ迅速に行なうことができることからである。
【0010】
また本発明は、図7等に示されるように、前側部分2が左右何れか一方の側に横開き状に形成され、止め具5が、前側部分2の開放端側の上端部の前面に設けられている一方の止め付け部材8aと、前側部分2を側方に折り返したとき、一方の止め付け部材8aと対応するカバー本体3の上端部の前面位置に設けられている他方の止め付け部材8bとで形成されているのでも良い(請求項4)。
なぜならこれによると、前側部分2を横開きすることで、簡単且つ迅速に尿量等を観察できることからである。なお止め付け部材8a、8bとしては、例えば雌雄の面状ファスナーや、ボタンとボタン孔、或いは雌雄のホックなどがある。
【0011】
更に本発明の課題を達成する他の構成としては、図11等に示されるものがある。
この本発明は、閉鎖式導尿バッグ1に被せて装着する導尿バッグ1用のカバーであって、カバー本体3の前面の全体が前垂れ状に形成され、巻き上げられたカバー本体3の前面を仮止めする止め具5を備え、またカバー本体3の両肩部9が、上記の導尿バッグ1の両方の肩部を被覆して導尿バッグ1に装着可能に形成されると共に、導尿バッグ1の後側において連結自在に形成されているものである(請求項5)。
なおカバー本体3の材質や止め具5の種類は、上例と同様である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、このように導尿バッグの前面の目盛に対応する前側部分が捲り操作自在に形成され、捲り操作後に、この前側部分を仮止めするための止め具を備えて形成されているものである。
従って本発明によれば、導尿バッグが人目につくことを防止でき、この種のバッグが露出することによる不利益を一掃でき、また尿の観察が容易になり、使い勝手が良くなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明は、図1等に示されるように、閉鎖式導尿バッグ1に被せて装着する導尿バッグ1用のカバーである。本発明品は、同図に示されるように、上記の導尿バッグ1の前面の目盛1aに対応する前側部分2が、捲り操作自在に形成されている。前側部分2は、この実施形態では前垂れ状に形成されている。
【0014】
また前側部分2は、この実施形態では正面から見て右側の上端部がカバー本体3の前面の右側の上部に着脱自在に形成され、左側に捲り返すことで横開き可能に形成されている。この場合、前側部分2は、右側の上端部の裏面に設けられている面状ファスナー4aが、対応するカバー本体3の前面位置に設けられている面状ファスナー4bに付けられることで着脱されるものである。カバー本体3は、この実施形態では尿の観察に支障のない、例えば白色や淡い緑色等の布で形成され、上辺の中央部3aが所要の長さだけあけられ、前後の生地3b、3cがミシン等で縫い合わされ、前側部分2は図1において左側上部3dが前側の生地3bに縫い付けられている。
【0015】
また本発明品は、前側部分2を捲り操作後に、この前側部分2を仮止めするための止め具5を備えて形成されている。この止め具5は、前側部分2を巻き上げ後に下から上方後側に返して前側部分2を束ねるため前側部分2の後面上端から垂れ下げられている帯片5aと、この帯片5aの下端の一方の面状ファスナー6aを止め付けるため前側部分2の前面上端の中央位置に設けられている他方の面状ファスナー6bとで形成されている。なお7は、導尿バッグ1を懸吊するための架台である。
【0016】
次に本発明の使用例を、図6等に従って説明する。
先ず作業者は、導尿バッグ1に本発明品を上から被せる。この場合、使用者は、導尿バッグ1に被せ易くなるよう、面状ファスナー4a、4bの鈎着状態を解除して前側部分2を、横にまくって前側を開いて行なうのが良い(図3、図5、図6B参照)。導尿バッグ1の導尿管1bは、カバー本体3の中央部3aの開口から引き出されて配置される。
【0017】
而して本発明品は、常時は、図6Cに示されるように、前側部分2を閉じ、導尿バッグ1を覆った状態で使用する。そして尿量等の観察時は、図1、図2、図6Dに示されるように、前側部分2をたくし上げ、帯片5aを巻き付けて、この帯片5aの下端の一方の面状ファスナー6aを他方の面状ファスナー6bに付け、前側部分2をカバー本体3の上端部に横向きに配置する。これにより、前側部分2に対応するカバー本体3の前側が開口し、導尿バッグ1の目盛1aが露出する。従って本発明の場合は、この箇所から看護従事者が、直接、導尿バッグ1の目盛1aを読み、また尿の色などを観察して使用する。
【0018】
以上の処において、本発明は、例えば図7〜図10に示されるように、形成されているのでも良い。上例と同一部材、同一箇所については、同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0019】
即ちこの本発明は、前側部分2が左右何れか一方の側に横開き状に形成され、止め具5が、前側部分2の開放端側の上端部の前面に設けられている一方の止め付け部材8aと、前側部分2を側方に折り返したとき、一方の止め付け部材8aと対応するカバー本体3の上端部の前面位置に設けられている他方の止め付け部材8bとで形成されている。止め付け部材8a、8bは、この実施形態では雌雄の面状ファスナーで形成されている。
前側部分2は、上例と同様、面状ファスナー4a、4bでカバー本体3の前面に止め付け自在に形成されている。
【0020】
而してこの本発明品の場合は、常時は、図9に示されるように、前側部分2を閉じ、尿量等の観察時は、図8、図10に示されるように、前側部分2を横開きし、一方の止め付け部材8aを他方の止め付け部材8bに止め付け、前側部分2を仮止めして尿量等を観察する。
【0021】
次に請求項5に記載の本発明品の好適な一実施形態を、図11〜図14に従って説明する。上例と同一部材、同一箇所には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0022】
この本発明品は、上例と同様、閉鎖式導尿バッグ1に被せて装着する導尿バッグ1用のカバーである。而してこの本発明品は、図11、図12等に示されるように、カバー本体3の前面の全体が前垂れ状に形成されている。そして巻き上げられたカバー本体3の前面を仮止めする止め具5を備えて形成されている。
【0023】
止め具5は、上例と同様、前面を巻き上げ後に下から上方後側に返してカバー本体3の前面を束ねるため前面の後面上端から垂れ下げられている帯片5aと、この帯片5aの下端の一方の面状ファスナー6aを止め付けるため、前面の上端の中央位置に設けられている他方の面状ファスナー6bとで形成されている。
【0024】
またこの本発明品は、カバー本体3の両肩部9が、上記の導尿バッグ1の両方の肩部を被覆して導尿バッグ1に装着可能に形成されると共に、導尿バッグ1の後側において連結自在に形成されている。カバー本体3の両肩部9は、この実施形態ではカバー本体3の両側の上部が後側に回され、上縁3eが縫い合わされ、導尿バッグ1の肩部を被覆可能に形成されている。導尿バッグ1の後側は、カバー本体3の両肩部9を形作る後片3fの重合する内端に一対の面状ファスナー10が取り付けられ、これにより連結可能に形成されている。
【0025】
次にこの本発明の使用例を説明する。
先ず使用者は、カバー本体3の両肩部9を導尿バッグ1の両方の肩部に被せ、次にカバー本体3の両肩部9を形作る後片3fの内端の面状ファスナー10同士を止め付け、カバー本体3の両肩部9を連結して本発明品を導尿バッグ1に装着する。尿量等の観察時は、図12、図14に示されるように、使用者はカバー本体3の前面の全体を巻き上げ、帯片5aを下から上方に回し、一方の面状ファスナー6aを他方の面状ファスナー6bに止め付け、カバー本体3の前面を仮止めする。
【0026】
なおこの本発明の場合、カバー本体3の両肩部9を導尿バッグ1の後側において連結する仕方としては、例えば図15に示されるように構成されるのでも良い。この実施形態の本発明品は、カバー本体3の両肩部9を形成する後片3fの内端に、紐11を垂らし、この紐11を結ぶことで連結可能に形成されているものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のカバーの好適な一実施形態を示す使用状態時の要部斜視図である。
【図2】同上カバーの使用状態時の正面図である。
【図3】同上カバーの前側部分を開いた状態の斜視図である。
【図4】同上カバーの斜視図である。
【図5】同上カバーの使用状態を示す要部斜視図である。
【図6】同上カバーの使用例を示し、Aは導尿バッグの正面図、Bは導尿バッグに本発明品を被せたときの正面図、Cは本発明品の使用時の正面図、Dは前側部分を巻き上げたときの正面図である。
【図7】同上カバーの他の実施形態を示す斜視図である。
【図8】図7に係る本発明品の使用状態時の要部斜視図である。
【図9】図7に係る本発明品の正面図である。
【図10】図7に係る本発明品の前側部分を開いたときの正面図である。
【図11】本発明品の更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図12】図11に係る本発明品の使用状態時の要部斜視図である。
【図13】図11に係る本発明品を示し、Aは正面図、Bは背面図である。
【図14】図11に係る本発明品の使用状態時の正面図である。
【図15】カバー本体の両肩部の他の連結例を示し、Aは斜視図、Bは背面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 導尿バッグ
1a 目盛
2 前側部分
5 止め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖式導尿バッグに被せて装着する導尿バッグ用のカバーであって、上記の導尿バッグの前面の目盛に対応する前側部分が捲り操作自在に形成され、捲り操作後に、この前側部分を仮止めするための止め具を備えて形成されていることを特徴とする導尿バッグ用のカバー。
【請求項2】
請求項1記載の導尿バッグ用のカバーであって、前側部分が前垂れ状に形成され、止め具が、この前側部分を巻き上げ後に下から上方後側に返して前側部分を束ねるため前側部分の後面上端から垂れ下げられている帯片と、この帯片の下端の一方の面状ファスナーを止め付けるため前側部分の前面上端の中央位置に設けられている他方の面状ファスナーとで形成されていることを特徴とする導尿バッグ用のカバー。
【請求項3】
請求項2記載の導尿バッグ用のカバーであって、前側部分が、その左右何れか一方の上端部がカバー本体の前面の上部に着脱自在に形成され、この上端部を介して前側部分が左右何れか一方の側に横開き可能に形成されていることを特徴とする導尿バッグ用のカバー。
【請求項4】
請求項1記載の導尿バッグ用のカバーであって、前側部分が左右何れか一方の側に横開き状に形成され、止め具が、前側部分の開放端側の上端部の前面に設けられている一方の止め付け部材と、前側部分を側方に折り返したとき、一方の止め付け部材と対応するカバー本体の上端部の前面位置に設けられている他方の止め付け部材とで形成されていることを特徴とする導尿バッグ用のカバー。
【請求項5】
閉鎖式導尿バッグに被せて装着する導尿バッグ用のカバーであって、カバー本体の前面の全体が前垂れ状に形成され、巻き上げられたカバー本体の前面を仮止めする止め具を備え、またカバー本体の両肩部が、上記の導尿バッグの両方の肩部を被覆して導尿バッグに装着可能に形成されると共に、導尿バッグの後側において連結自在に形成されていることを特徴とする導尿バッグ用のカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−118875(P2009−118875A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292656(P2007−292656)
【出願日】平成19年11月10日(2007.11.10)
【出願人】(507372914)
【Fターム(参考)】