説明

導管のための、かしめることが可能な接続用付属品

かしめ操作によって導管のパイプの一端に固定されるとともに、導管の別の要素と少なくとも間接的に協働することになるスリーブ4を備える、導管のための接続用付属品1であって、スリーブのうちでパイプの端部とかしめ操作によって接触することになる面4Aに少なくとも1つの接着部10を備えていて、その接着部には、少なくとも2種類の成分からなり、そのうちの1種類がカプセルに入れられた接着剤を備えることを特徴とする付属品。この接着部は、引っ込んでいることが望ましく、突起したフランジを有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導管を接続するための付属品に関する。この接続は取外し可能であることが好ましいが、必ずしもそうでなければならないわけではない。
【背景技術】
【0002】
このタイプの接続は、特に、特許文献1によって知られている。この特許文献には、2つの導管の端部にそれぞれかしめられる2つの部分からなる接続用付属品が記載されている。これら2つの部分は互いに固定すること、または互いにねじ留めすることができる。
【0003】
特許文献2も知られている。ここには、第1の導管の端部へのかしめ操作によって固定されるスリーブと、別の導管の端部に設けられた末端接合部と接続することのできる相補的な末端接合部とを備える付属品が開示されている。この文献では、スリーブと末端接合部が硬度(または展性)に関して異なる性質を持つことが教示されている。すなわち、スリーブはかしめ操作による固定が可能なように十分に展性があるのに対し、末端接合部は、優れた気密性を目的として相補的な末端接合部に対して効果的な突き合わせが十分に確立されるようにされている。この力学的な差を得るため、この文献では複数の選択肢が提案されている。その例として、元々は末端接合部にとって望ましい硬度を持つ部品のスリーブ部を柔らかくすること、または元々はスリーブにとって望ましい展性を持つ部品の末端接合部を硬くすることが挙げられている。
【0004】
実際には、スリーブは、接続する導管の端部の外側でかしめられ、このスリーブの外面の幾何学的形状は、この端部からの引き抜きに抵抗するように(例えば凹部と凸部を有する長さ方向の輪郭線のおかげ)、そしてこの端部に対する回転とに抵抗するように(例えば複数の平坦部のおかげ)されている。
【0005】
しかしこのような接続用付属品にはますます多くの性能が要求されるようになっているため、特に導管に対して付属品が回転しないように保持することに関して常に改良が探究されている。しかしネジ留めによる接続にこの付属品を用いる場合には、一方の末端接合部が他方の末端接合部に対して回転するようなことがあると、かしめの品質が低下するおそれがあることに注意する必要がある。
【0006】
したがって、所定の導管に対する所定のかしめ条件において、導管に対してスリーブが回転して外れることへの抵抗力が改善された、導管のための接続用付属品(あるいは略して接続部品)を開発する必要性がある。
【0007】
そのためには、複数の方向を探ることができる。
【0008】
例えば引っ掛かり状態を改善するため、スリーブ部にある凹凸を増やすことが考えられる。しかし上記の文献で推奨されているようにしてこのスリーブを展性のある金属で実現する限り、かしめる際に凹凸が変形する。その結果として凸部は鈍くなるため、凹凸への引っ掛かり効果は最小になる。したがって、回転によって外れることに対する抵抗力をこのようにして大きくしても、その増大はどちらかと言えばわずかである。
【0009】
凹部と凸部の間の波状部の振幅を大きくする原理に関しては、接続部品の構成材料(特に軽さを理由にその材料がアルミニウムである場合)をわずかしか打ち延ばし加工しないことがしばしばあるため、あまり効果的ではない。その結果、かしめる力を大きくしても、導管と接続部品の間の径方向の圧力はほとんど増加しない。逆に、このような波状部は、疲労に対する接続部品の抵抗力を低下させる可能性がある。
【0010】
スリーブのうちで導管の端部で(変形例では導管の内側で)かしめられる面上に固定研磨粒子を配置することも考えられる。しかしこのような粒子が十分に硬くてかしめ操作の際に壊れないとしても、その硬度のため、スリーブに、または導管の端部に亀裂が現われるおそれがあるという欠点がある。すると疲労に関する性能が著しく低下する。
【0011】
実際には、かしめた後の回転に対する保持力を強化するための接続部品用の備品の選択は、このような接続部品の取り付け条件を(いかなる場合にも顕著には)変えないことが望ましいために限られる。実際、特に導管へのアクセス可能性という観点からすると、そうした条件がすでに非常な制約になっていることがある。そのため接続部品をかしめる条件をより複雑にすることは除外されるように思われる。
【特許文献1】アメリカ合衆国特許第3,572,779号
【特許文献2】国際公開WO82/02755
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、接続用付属品または接続部品として、かしめによって構成された全体構造の他の力学的性能(特に疲労に関する性能)を損なうことなく、しかもこのような付属品をかしめて取り付ける際の条件を顕著に変更する必要なしに、導管(すなわちパイプ、管など)の端部でかしめた後に回転によって外れることに対する抵抗力が改善された付属品または接続部品を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで本発明により、かしめ操作によって導管のパイプの一端に固定されるとともに、導管の別の要素と少なくとも間接的に協働することになるスリーブを備える、導管のための接続用付属品であって、スリーブのうちでパイプの端部とかしめ操作によって接触することになる面に少なくとも1つの接着部を備えていて、その接着部には、少なくとも2種類の成分からなり、そのうちの1種類がカプセルに入れられた接着剤を備えることを特徴とする付属品を提案する。
【0014】
導管の他の部品としては、特に、導管の別のパイプ、または流体が出入りする末端接合部が可能である。
【0015】
例えば本発明では接着剤の使用を提案するが、それは、接続部品の取り付け条件を変更しないという要請とはそもそも両立しないように思われた。実際、このような付属品を取り付けることを請け負っている人に、導管の端部と接触することになるスリーブの表面に何らかの接着剤を塗布するよう要求すること、またはかしめる瞬間にうまく接着していることを保証するため接着剤がまだ十分に流動性を持っていることを監視することは非現実的に思われた。
【0016】
しかし本発明では、複数成分の接着剤が存在していることを活用する。その1つの成分はカプセルに入っているため、カプセルが破られる瞬間まで、したがってかしめる瞬間まで、すなわち接着を望む瞬間まで、その接着剤の残りの成分とは接触しない。さらに、1つの成分がカプセルに入っている接着剤の中には、重合可能な接着剤、すなわち、かしめる際に準備するのが容易なエネルギー供給手段(特に、温度上昇、または圧力上昇、またはUV光線の発生)を利用して利用者が硬化を制御できる接着剤が存在している。このことが理由で、本発明の好ましい1つの特徴では、使用する接着剤は重合可能な接着剤である。
【0017】
しかしUV光線による活性化は特別な操作を意味し、かしめられる層の位置では一様にならない可能性があることと、熱による活性化はやはり特別な操作を意味し、実際にUV光線よりも一様にできるとしても、接続部品または導管の端部の結晶構造を変える危険性があるという欠点に気づく。圧力によって重合する接着剤を選択するのがここでは最適であることが容易にわかる。というのも、かしめ操作によってカプセルが破裂して接着剤の複数の成分が互いに接触するとともに、この接着剤の活性化が起こって硬化するからである。このことが理由で、本発明の好ましい1つの特徴では、重合可能な接着剤は、圧力の印加によって重合する。
【0018】
本発明の好ましい別の特徴によれば、表面でこの接着剤を塗布された部分は、スリーブの両端部から離れている。こうすることには、導管の端部と接触することになるスリーブの面に接着剤が塗布されていない端部が残るという利点がある。接着剤が塗布されていないこれらの端部は、かしめる際に接着剤が溢れる危険性を避けるのに寄与する。さらに、これらの端部があることで、擦過腐食現象を避けるために付属品の自由端にテフロン(登録商標)などの材料からなる被覆が存在できるため、末端接合部の近くに位置するスリーブの端部に気密なジョイントが存在するという利点がある。
【0019】
接着部は1箇所だけであることが望ましい。変形例では、長さ方向に互いに離れた複数の接着部を設けることができるが、接着部を1箇所だけ設けることで、力学的性能の向上を最大にすることができる。
【0020】
特に導管の端部と接触することになるスリーブの面が内面である場合には、この唯一の接着部は、Dがこの接着部が存在する面の直径であるとして、軸方向に0.5D〜Dの距離にわたって延びていることが好ましい。この距離は0.6D〜0.9Dであることがより好ましい。さらに、この接着部は、付属品の自由端から0.5D〜Dの距離に位置することが望ましい。
【0021】
スリーブは、接着部を有する面とは径方向で反対側の別の面に、長さ方向の輪郭線が波状になった領域を有することも好ましい。するとかしめ操作によって変形状態が長さ方向に変化する。これは、スリーブと導管の端部の間を軸方向にうまく保持する上で有利である。この波状領域では、少なくとも大まかに対称な横断面が許されることが望ましい。これは、接着剤が塗布された部分の全長にわたって一様にかしめるのに寄与する。特に単純な1つの幾何学的形状によれば、この波状領域は、2つの環状陥没部に挟まれた環状隆起部で形成されている。これら陥没部は前記別の面の残部から引っ込んでいるのに対し、隆起部は、その別の面の残部と少なくとも大まかに同じレベルであることが望ましい。するとこのスリーブの製造が簡単になる。変形例では、この波状領域は、1つの陥没部の両側に2つの突起部を備えている。
【0022】
この波状領域は、接着部上で長さ方向の中央に位置することが望ましい。すなわちこの波状領域には、接着部にとってもほぼ中央横断面である中央横断面が許される。
【0023】
波状領域の中央横断面は、Dがこの接着部が存在する面の直径であるとして、付属品の自由端から0.5D〜1.5Dの距離にあることが好ましい。
【0024】
この波状領域の振幅は、スリーブの外径の1%〜10%の程度であることが望ましく、典型的には約5%である。
【0025】
接着部は、この接着部の両側で全体としてスリーブの面に対して径方向に引っ込んでいることが望ましい。するとかしめる際に接着剤が広がることなくうまくつぶれる。
【0026】
この接着部の引っ込みは、1/10ミリメートルの程度であることが望ましい(例えば0.05〜0.2mm)。このようにすると、この接着部が位置する面の残部に対して顕著に突起することなく、かなりの厚さの接着層が存在することができる。
【0027】
この接着部は、突起した複数のフランジを有することが特に望ましい。フランジは、かしめる力を加える際に接着剤をその場に留めておくのに貢献する。さらに、これらのフランジは、引っ込みの深さよりも小さな距離だけ突起していることが望ましい。するとフランジは実際に接着剤で覆われるため、かしめる際にフランジの上に位置する接着剤が十分につぶれてカプセルが破れ、接着剤の複数の成分が互いに接触し、フランジの周囲で優れた接着が確立する。フランジとフランジの間に位置する接着剤が完全につぶれて重合する必要はないことに注意されたい。実際、非常によく接着された領域(フランジ)同士の間に力学的な保持力が弱い領域が存在していると、非常によく接着された領域が亀裂を誘起することなく、かしめられた全体構造に応力(例えば屈曲力)に対する抵抗能力を与える上で有利である。
【0028】
フランジは接着部の全長にわたって一様に分配されていることが望ましい。
【0029】
フランジが突起している高さは、接着部の深さの1/3〜2/3であることが望ましく、半分程度であることがより好ましい。さらに、フランジの長さ(または幅)は、これらフランジを互いに隔てるピッチの10%〜30%であることが望ましい(25%程度が好ましい)。
【0030】
本発明の接続用付属品はスリーブだけで形成することができ、スリーブは、導管の別の要素(例えばパイプや、ある装置の出入口の末端接合部)と接続することのできる相補的な部品と協働できるようにされている。この付属品は、スリーブに固定される部分も備えることができる。それは例えば、導管の別のパイプの端部に取り付けられる末端接合部と突き合わせることのできる別の末端接合部である。この部分は、第1のスリーブに固定されて導管のこの別のパイプの端部でかしめられる第2のスリーブにすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の目的、特徴、利点は、例として挙げた実施例に関する図面を参照した以下の説明に現われるであろう。
【0032】
図1は、本発明の接続用付属品を示している。
【0033】
より詳細には、全体を参照番号1で示したこの付属品は、末端接合部(図1では参照番号3として点線で表示)と突き合わせることのできる相補的な末端接合部2と、かしめ操作によって導管5(やはり点線で表示)の端部に固定されることになるスリーブ4とを備えている。図示した例では、末端接合部2はオス型末端接合部であるのに対し、末端接合部3はメス型末端接合部であり、これら末端接合部は、ナット6(やはり点線で表示)によって互いに締め付けられる。さらに、かしめ操作は、ここでは(図3と図5も参照のこと)、導管の端部の外側にスリーブを嵌め込んだ後になされる。この端部と接触することになるスリーブの面はしたがってこのスリーブの内面4Aである。図示していない変形例では、スリーブは、(当業者が管の拡張固定と呼ぶことがある“内側からの”かしめ操作ではなく)導管の端部の内側でかしめられる。
【0034】
本発明によれば、導管5の端部と接触することになるスリーブのこの面4Aには接着部10があり、その長さを図1ではP2で示してある。この接着部は、接着剤(図2の参照番号11を参照)によって接着される。この接着剤は複数の成分からなり、そのうちの1つはカプセルに入っている。そのためカプセルが完全な状態である限りは接着剤の成分同士が接触することはないため、硬化しない。その結果、付属品への接着剤の塗布は、かしめ操作によって組み立てる前にどれくらい時間が経過するかに関係なく、この付属品の製造開始後すぐに行なうことができる。接着剤を塗布されたこの付属品は、その後保管されることがあってもその間を通じて接着能力を保持する。
【0035】
実際には、このような接着剤の1つの成分を隔離できるカプセルは、最大で百分の数ミリメートル程度の直径である。
【0036】
接着剤は重合可能であることが望ましい。すると作業者が選択した時期に硬化させることができる。本発明では、少なくとも1つの成分がカプセルに入った重合可能な接着剤のうちで、加圧によって重合する接着剤を選択することが推奨される。
【0037】
例えば複数成分からなる加圧重合接着剤は、3M社から“Scotch−Grip”(登録商標)の名称の品番2353または2510として供給されている接着樹脂である。これは、ネジによる固定部を固定するために考案された自動車構造用接着剤である(この接着剤は、ネジ山の表面を被覆することによって堆積させ、次いで乾燥炉の中で乾燥させる)。ネジによるこのような固定は、本発明が目指すのとは異なる技術的問題に対応していることに注意されたい。ネジによる固定部の固定は、最初は可逆的である接続を不可逆的にするのに役立つのに対し、かしめ操作による取り付けは、本質的に不可逆的である。さらに、ネジによる接続部の固定は、ネジが外れるのを妨げること、すなわち固定運動が逆転しないようにするのに対し、かしめる際の接着は、異なる応力(すなわち径方向の応力)を印加した後に軸方向と周方向の力学的保持力を増大させるのに役立つ。
【0038】
図1からわかるように、接着部10は、スリーブの両端部から離れた位置にあること、すなわち接着剤のない側部が存在していることが望ましい。(参照番号12を持ち、軸方向のサイズP1によってわかる)右側部に関しては、かしめた後の擦過腐食を最少にするため、付属品を製造するときに摩擦防止材料(例えばテフロン(登録商標))が塗布された状態にすることができる。末端接合部の近くに位置する左側部13に関しては、接着のおそれなしに気密なジョイント(図示せず)を受け入れることのできる溝14を備えることができる。
【0039】
側端部(P1)の長さは、実際には接着部(P2)の長さよりも短い。
【0040】
スリーブが導管の端部でかしめられるというここで考えているケースでは、接着部の長さは、Dがかしめられる導管のパイプの外径(すなわちスリーブの内径)であるとして、0.5D〜Dであることが望ましい。これらサイズの比は、0.6D〜0.9Dであることが好ましい。ここで考えている例では内径が19.05mmの付属品であるため、サイズP2は13.25mm、すなわち0.70Dである。側端部の長さP1に関しては、0.5D〜Dであることが望ましい。この長さは、ここで考えている例では、10.5mm、すなわち0.55Dである。
【0041】
製造が簡単になるという理由で、付属品は1箇所だけ接着部を有するが、変形例では、付属品は、このような接着部を(軸方向に互いに離して)複数箇所に備えることができる。それは例えばかしめ操作による組み立てが堅くなりすぎて特に可撓性が不十分にならないようにするためである。実際には、図2を参照して詳述するように、この利点は、接着部を複数箇所にしなくても得ることができる。
【0042】
かしめ操作によって軸方向の固定がうまくいくようにするため、そしてかしめる際に接着部の位置に応力がうまく集中するようにするため、スリーブは、接着部が設けられているのとは反対側の面に、したがって図1の例では外面に、長さ方向の輪郭線が波状であるためにスリーブの厚さが局所的に変化している領域15(長さP3で示す)を有することが望ましい。この波状部は、スリーブの厚みに陥没部が1箇所または複数箇所あることによって得られることが望ましい。すなわち陥没部は、スリーブの外面の残部から引っ込んでいる。図示していない変形例では、波状部を突起にすることができる。
【0043】
この波状領域15には、少なくとも大まかに対称な横断面(Qと表記)が許されることが望ましい。
【0044】
より詳細には、ここで考えている例では、この波状領域は、2つの環状陥没部15Bと15Cの間に配置された環状隆起部15Aで構成されている。これは特別に簡単な幾何学的形状に対応するが、効果的であることがわかった。
【0045】
この波状領域15は、スリーブの反対側の面に位置する接着部10に対して長さ方向の中央に位置することも望ましい。これは、平面Qが、少なくとも大まかにはこの接着部の対称面であることと等しい。
【0046】
サイズの観点からすると、この平面Qは、スリーブの自由端から0.5D〜1.5Dの距離に位置していることが望ましい。サイズが決まっている上記の例では、サイズP1は0.90D〜Dであり、より詳細には0.92D、すなわち17.5mmである。
【0047】
波状部の振幅の選択は、スリーブの構成材料(ここでは6061というタイプのアルミニウム合金)と将来のかしめ条件とに応じて当業者が行なうことができる。この振幅は、例えば直径Dの1%〜10%である(典型的には約5%)。
【0048】
特に図2からわかるように、接着部は、この接着部を取り囲む両側部の面から引っ込んでいる。カプセルに入った成分を含む接着層11が配置されるのはこの部分であり、この引っ込んだ部分の全体が、または一部だけが接着層で満たされる。この部分の引っ込みの深さ(図2ではh1と表記)は、実際には、カプセルに入った成分を含む複数のカプセル層を重ねられるように選択する。この深さは、実際には1/10ミリメートルの程度であり、0.05〜0.2mmが好ましい。
【0049】
この引っ込み部は、隣にある凹部17に対して突起したフランジ16を備えることが望ましい。これらのフランジは高さが引っ込み部の深さよりも小さいこと、すなわち図2の高さh2はh1よりも小さいことが望ましい。
【0050】
高さh2はh1の1/3〜2/3であり、半分であることが好ましい。
【0051】
さらに、これらのフランジはかなりの幅がある。すなわち、かしめる際に、これらのフランジを覆う接着剤は、隣にある凹部に向かって流れることなく効果的につぶされる。この幅(図2ではa2と表記)は、複数あるフランジを互いに隔てるピッチの10%〜30%(ここでは25%)であることが好ましい。これらのフランジは、実際には、規則的に、または一様に(すなわち一定間隔で)分布していることが望ましい。このピッチは、スリーブの内径の5%〜10%であること(例えば5%)が好ましい。フランジの数は10を越えることが望ましく、ここでは約12である。
【0052】
フランジが存在していることで、接着剤のカプセルが少なくともフランジの頂点でつぶれたときに優れた接着が実現されることがわかるであろう。さらに、カプセルは、凹部でつぶされることになるほど数を多くしないようにできるため、凹部に位置する接着剤はフランジの上に位置する接着剤よりもうまく重合せず、したがってより弱い接着領域が構成されるという利点が生じる。するとかしめ操作による組立体にある程度の可撓性を与えることができる。接着領域の接着力がこのように交互に強弱の状態になっていると、互いに離れた複数の接着部を実現するという困難な問題を解決しなくても、このように互いに離れた複数の接着部が存在している場合と同等の利点がもたらされることに注意されたい。
【0053】
すでに知られているさまざまな付属品と同様、スリーブの自由端は先細になっていることに注意されたい。
【0054】
図3と図4は、図1と図2に従う付属品が、導管の端部、より一般には何らかのパイプの端部でかしめられる瞬間を示している。
【0055】
ここでは付属品のスリーブはこの端部のまわりに配置されている。図4では、接着層は、接着部を形成するフランジと凹部に追従しているため波状になっている。
【0056】
図5と図6は、かしめられた後の図3の全体構造を示している。
【0057】
波状領域の外側の輪郭線は以前よりも滑らかになっているのに対し、スリーブの内面上と導管の端部には波が現われている。これは、スリーブの中でこの端部を軸方向にうまく保持するのに寄与する。
【0058】
接着部に関しては、接着層がフランジの頂部で非常につぶされている(図6には接着層はもはや見られない)のに対し、接着剤は、凹部ではつぶされてさえいない。これは極端な場合である。というのも、実際には、接着剤は凹部でもつぶされる(したがって重合される)が、フランジにおけるよりはつぶされることが少ないことが確認されるからである。
【0059】
図7〜図9は、何らかのタイプの配管の端部25でかしめることのできる別の接続用付属品(参照番号30で表記)を示している。
【0060】
この付属品は、スリーブ34が延びて別のスリーブ31と一体化している点が、これまでの図面に示した付属品と異なっている。かしめ操作は、前の図の場合のように径方向に力を加えるのではなく、環状部材40をスリーブ34の長さに沿って左側に軸方向に押すこと(またはスリーブ31に関しては環状部材40′を右側に押すこと)によって実現される。少なくとも2種類の成分(一方はカプセルに入っている)を含む接着部が存在していることで、このように接着された各スリーブを特に捩じれに関して力学的に保持する補助にもなる(各スリーブが接着されていると望ましいことは容易にわかる)。
【0061】
大きさのオーダーとして、例えば特許文献2の図面に従う従来の基本的な付属品(導管の端部と接触する面とは反対側の面に接着剤も簡単な陥没部もない)が、捩じれに対する抵抗力の基準値として100を持つとすると、
− 特に引っ込んだ領域が存在している場合には、推奨されるフランジの存在によって基準値の約50%〜100%の抵抗力が追加され、
− 公知の引っ掛け用被覆の存在によって基準値の約100%の抵抗力が追加され、
− 中央の隆起部の存在によって基準値の約100%の抵抗力がさらに追加され、
− 図1と図2に従うフランジの存在によって基準値の約50%〜100%の抵抗力がさらに追加される。すなわち、最終的に基準値の400%〜500%の抵抗力になる。これは、従来の付属品の抵抗力と比べて非常に明らかな改善に相当する。
【0062】
サイズが12/16インチ(すなわち約1.90cm)のアルミニウム製パイプにかしめられるタイプ6061のアルミニウム合金製接続部品というここで考えている例では、60Nmまたはそれを越える大きさの応力に対していかなる外れも観察されなかった。
【0063】
図10から図12は、本発明の第3の実施態様を示している。これらの図面は、スリーブを主体としていて、その外側に突起した凸部52と、接着部53とを有する接続用付属品50を示している(図10参照)。接着部53は、導管のパイプ54の端部でかしめられ(図11参照)、次いでナット55を形成する部品を末端接合部56にねじ留めすることによって組み立てられる。その末端接合部は、例えば流体装置の出入口の末端接合部に取り付けることのできる末端接合部、または導管の別のパイプの端部に取り付けられる末端接合部である。
【0064】
本発明の付属品を構成する部品は、実際には、金属部品(特に、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン、チタン合金のうちの1つ、銅、銅合金のうちの1つなど)である。スリーブと末端接合部は、必要に応じ、同じ組成の金属材料、またはそれとは逆に異なる組成の金属材料にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明による接続用付属品の軸方向断面図である。
【図2】図1の部分IIの拡大図である。
【図3】導管の端部に嵌め込んだ後、かつかしめ操作前の付属品の一部を示す軸方向断面図である。
【図4】図3の部分IVの拡大図である。
【図5】導管の端部でかしめた後の付属品の一部の軸方向断面図である。
【図6】図5の部分VIの拡大図である。
【図7】軸方向にかしめることによって固定されることになる別の付属品の軸方向断面図である。
【図8】図7の部分VIIIの拡大図である。
【図9】図7と図8の付属品をかしめた後の断面図である。
【図10】導管用パイプの端部でかしめる瞬間のさらに別の接続用付属品の軸方向断面図である。
【図11】かしめた後の図である。
【図12】導管のパイプの一端と協働することになる末端接合部にネジ留めによって接続された図11の接続部品を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管のための接続用付属品(1、30)であって、
かしめ操作によって導管のパイプの一端に固定されるとともに、導管の別の要素と少なくとも間接的に協働することになるスリーブ(4、34)を備えるものにおいて、
前記スリーブのうちでで前記パイプの端部とかしめ操作によって接触することになる面(4A)に接着剤でコーティングされた少なくとも1つの接着部(10)を備えていて、
前記接着剤は、少なくとも2種類の成分からなり、そのうちの1種類がカプセルに入れられている、
ことを特徴とする付属品。
【請求項2】
前記接着剤が重合可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の付属品。
【請求項3】
前記接着剤が、加圧によって重合可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の付属品。
【請求項4】
前記接着部が前記スリーブの両端部から離れている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の付属品。
【請求項5】
前記接着部(10)が1箇所だけである、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の付属品。
【請求項6】
前記接着部が、Dがこの接着部が存在する前記スリーブの面の直径であるとして、そのスリーブで末端接合部とは反対側の自由端からほぼ0.5D〜Dの距離に位置している、ことを特徴とする請求項5に記載の付属品。
【請求項7】
前記接着部の長さが、Dがこの接着部が存在する前記スリーブの面の直径であるとして、0.5D〜Dである、ことを特徴とする請求項5または6に記載の付属品。
【請求項8】
前記接着部の長さが0.6D〜0.9Dである、ことを特徴とする請求項7に記載の付属品。
【請求項9】
軸方向に互いに離れた複数の接着部を備える、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の付属品。
【請求項10】
前記スリーブが、前記接着部(10)を有する面とは反対側の面に、長さ方向の輪郭線が波状である領域(15)を備える、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の付属品。
【請求項11】
前記波状領域(15)に、少なくとも大まかに対称な横断面(Q)が許される、ことを特徴とする請求項10に記載の付属品。
【請求項12】
Dが前記接着部を有するのとは反対側の面の直径であるとして、対称な前記横断面が、前記スリーブの自由端から0.5D〜1.5Dの距離に位置する、ことを特徴とする請求項11に記載の付属品。
【請求項13】
前記波状領域が、2つの環状陥没部(15B、15C)に挟まれた環状隆起部(15A)で形成されている、ことを特徴とする請求項11に記載の付属品。
【請求項14】
前記波状領域が、前記反対側の面の前記接着部上で長さ方向の中心にある、ことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の付属品。
【請求項15】
前記波状領域の波の振幅が、その波状領域を含む面の直径の約1%〜10%である、ことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の付属品。
【請求項16】
前記接着部(10)が、その接着部の両側で前記スリーブの面に対して径方向に引っ込んでいる、ことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の付属品。
【請求項17】
前記引っ込みが1/10mmの程度である、ことを特徴とする請求項16に記載の付属品。
【請求項18】
前記引っ込み部(10)に突起したフランジを備える、ことを特徴とする請求項16または17に記載の付属品。
【請求項19】
前記フランジの高さ(h2)が前記引っ込み(h1)よりも小さい、ことを特徴とする請求項18に記載の付属品。
【請求項20】
前記フランジの高さが前記引っ込みの1/3〜2/3である、ことを特徴とする請求項19に記載の付属品。
【請求項21】
前記フランジの高さが前記引っ込みの約半分である、ことを特徴とする請求項20に記載の付属品。
【請求項22】
前記フランジが一定間隔で配置されている、ことを特徴とする請求項18〜21のいずれか1項に記載の付属品。
【請求項23】
前記フランジ(a2)の長さが、複数あるフランジを互いに隔てるピッチ(a1)の10%〜30%である、ことを特徴とする請求項22に記載の付属品。
【請求項24】
前記フランジの長さが前記ピッチの約1/4である、ことを特徴とする請求項23に記載の付属品。
【請求項25】
主として前記スリーブで構成されている、ことを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載の付属品。
【請求項26】
前記スリーブと一体化されていて導管の別のパイプと少なくとも間接的に協働することになる部分をさらに備える、ことを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載の付属品。
【請求項27】
前記一体化部分が、導管の前記別のパイプの一端にかしめられることになる第2のスリーブである、ことを特徴とする請求項26に記載の付属品。
【請求項28】
前記一体化部分が、導管の前記別のパイプに取り付けられる末端接合部と突き合わせることになる別の末端接合部である、ことを特徴とする請求項26に記載の付属品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−531629(P2009−531629A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502141(P2009−502141)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000498
【国際公開番号】WO2007/110501
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508288283)
【Fターム(参考)】