説明

導電性ウエブを使用したセンサ製品

内面と外面を有する外側カバー及び前記外側カバーの内面に隣接して配置された吸収構造物を含むシャーシより成る吸収性物品であって、前記シャーシは、前側領域と後側領域の間に配置された股部分を含み、前記前側領域と後側領域は、その間に、腰部分を画定し、前記シャーシ内には第1及び第2の導電要素が含有され、前記導電要素は、相互に交差せずに腰部分から股部分まで延在し、前記第1及び第2の導電要素は、所定の物質の存在を検知するよう構成された回路の一部を形成しており、前記導電要素は、導電性繊維を含む導電性不織ウエブより成る吸収性物品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸収性物品、特に、導電性ウエブを使用したセンサ付き吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつ、トイレ・トレーニングおむつ、失禁用品、女性用衛生用品、水泳用下着、等、の吸収性物品は、従来より、身体側の液体浸透性の裏地材、液体不浸透性の外側カバー、及び吸収芯材を含む。吸収芯材は、典型的には、装着者が漏出する液状物(例えば、尿)を吸収して保持するため、外側カバーと裏地材の間に配置される。
【0003】
多くの吸収性物品は、トイレ訓練又は夜尿症対策のような訓練課程での使用、又は、病気、身体、又はその他の、各種の状態の表示に適合している。したがって、水分表示器又は水分表示器を含む各種のセンサ及び表示器の吸収性物品への使用が提案されている。例えば、水分表示器は、失禁時に、親又は介護者がおむつの濡れ状態を確認するのを助けるよう設計された警報装置を含むことが可能である。この警報装置は、可視信号又は可聴信号のいずれかを発信する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、吸収性物品の製造の工程速度において、水分表示器の吸収性物品への組み込みにおける効率性と信頼性に問題のあることが経験されている。すなわち、吸収性物品内に簡単に組み込むことが可能な改善された水分センサに対する需要が存在している。
【0005】
さらに、非金属材料で作製された水分表示器内で使用するための導電性要素に対する需要も存在している。例えば、吸収性物品内への金属製部品の組み込みは、様々な問題を引き起こしてしまう。例えば、吸収性物品が一旦パッケージされた後、吸収性物品は、パッケージ内に金属材料が誤って混入していないことを確認するべく、金属探知機にかけられる。しかしながら、水分表示器の導電性要素を金属で作製した場合には、金属探知機の誤検出表示を引き起こす。吸収性物品内への金属製導電要素の組み込みは、また、吸収性物品の装着者が防犯ゲートを通過しようとする場合に、この防犯ゲートも金属探知機を備えているので、問題を起こしてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、概ね、様々の用途で使用可能な導電性不織ウエブに向けられている。例えば、一態様において、この不織ウエブは、吸収性物品内に組み込まれた水分検知装置の導電要素を形成するように使用可能である。
【0007】
本開示は、上述した問題を解決し、且つ、吸収性物品内での水分センサ及び他のセンサの使用における効率の向上を提供する。一般的に、本開示は、使用容易なシグナル装置を備えたセンシング吸収性物品に向けられている。シグナル装置は、例えば、センシング吸収性物品内に身体流体が有ることを使用者に示すように構成される。
【0008】
本開示に従い、吸収性物品は、吸収性物品内に導電性物質が検知されたときに作動する水分検知装置を、さらに、含む。水分検知装置は、シグナル装置と接続する一対の離間した導電要素のような、少なくとも1つの導電要素を含む。導電要素は、吸収性物品内で開回路を形成し、パルプ繊維と導電性繊維の混合物を含む導電性不織ウエブで作製される。導電性物質(例えば、尿)が、導電要素に接触すると、前記開回路が閉じ、シグナル装置を、導電性物質の存在を示す信号を生成するように作動する。
【0009】
水分検知装置内に含まれる第1及び第2の導電要素は、離間された別々の帯状体又は構造物とすることが可能であり、又は、単一の不織ウエブ内に含むことも可能である。例えば、一態様では、不織ウエブは、第1及び第2の導電要素を含む導電域を含む。一態様において、例えば、不織ウエブは、導電域を区分する非導電域を含むことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示に従い作製された吸収性物品の一態様の後方透視図である。
【図2】図1に図解された吸収性物品の前方透視図である。
【図3】吸収性物品を、締結せず、折り畳まず、且つ平坦な状態に配置して、吸収性物品の装着者側ではない面を示す第1図に図解の吸収性物品の平面図である。
【図4】装着時に装着者側に面する吸収性物品の表面を、一部切り欠いて下方の組織を示す、図3と同様の平面図である。
【図5】さらに、シグナル装置の一態様を含む図1に示す側面の透視図である。
【図6】異なる導電域を含む本開示に従って作製された導電性不織ウエブの一態様の透視図である。
【図7】本開示に従って多層ウエブを形成する工程の一態様の側面図である。
【図8】本開示に従い未捲縮(uncreped)通気乾燥ウエブを形成する工程の一態様の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この明細書に開示の他の特徴及び態様は、以下に詳細に説明される。
【0012】
この明細書の説明は、この明細書に開示の例示的態様の記述のみであり、この明細書の広範囲を限定する意図でないことを、当業者は理解されるべきである。
【0013】
本開示は、概ね、吸収性物品内の身体流体の存在又は装着者又は吸収性物品の状態の変化を示すように構成されたシグナル装置を取り付けるに適したセンシング吸収性物品に向けられている。この吸収性物品は、例えば、おむつ、トイレ・トレーニングおむつ、つなぎ済みおむつ、スイムパンツ、失禁用品、女性用衛生用品、医療用衣服、包帯、又は、他の適合する用品である。
【0014】
本開示は、任意の種類のセンシング用品に使用可能である。非限定的な例として使用されるセンシング用品の1つの種類では、水分検知吸収性物品は、一対の導電リード線の間に身体流体のような導電性流体が有るときに閉じる開回路を含む。代替として、身体流体のような流体が有るときに開く閉回路を含むことも可能である。一般的に、前記回路を含む水分検知吸収性物品は、使い捨て可能であり、これは、限定的な使用の後に、再利用を目的として洗濯したり又は修復したりするのではなく、廃棄されるように設計することを意味する。
【0015】
この明細書に開示の水分検知吸収性物品内に含まれる回路は、シグナル装置に取り付けられるように構成される。シグナル装置は、回路への電力供給を行うが、同時に、使用者に身体流体が有ることを知らせる音響信号、可視信号、触知信号、及び/又は電磁信号のいずれかを含む。水分検知吸収性物品それ自体は使い捨てであるが、シグナル装置は、一の用品から別の用品へと再利用が可能である。これに関連して、本開示は、水分検知吸収性物品の回路とシグナル装置の間での簡易接続を可能とする別の種類の連結様式に特に向けられている。
【0016】
上述したように、シグナル装置と接続している回路は、水分検知吸収性物品内に留められた身体流体の存在を示すように構成される。目標とされる特定の身体流体は、水分検知吸収性物品の特性と所望用途とに依拠して変化する。例えば、本開示の一態様では、水分検知吸収性物品は、おむつ、トイレ・トレーニングおむつ、等を含み、シグナル装置は、尿の存在を示すように構成される。代替として、シグナル装置を、おむつかぶれの発症を示す代謝物の存在を示すように構成することが可能である。また、一方、成人用失禁用品と女性用衛生用品に関して、多糖、砂糖、タンパク質、等のような、尿又はメンス内の特定成分又はイーストの存在を示すようにシグナル装置を構成することが可能である。
【0017】
図1及び2を参照するに、本開示に従って作製された吸収性物品120が、例示を目的として、示されている。吸収性物品120は、使い捨て可能か、又は、使い捨て不可能か、である。
【0018】
図解のためのみであるが、本開示の各種態様のおむつ120のような吸収性物品を製造する各種材料及び方法が、エイ.フレッチャー等による2000年6月29日発行の国際出願第WO00/37009号(特許文献1)、バン ゴンペル、等に対し1990年7月10日発行の米国特許第4940464号(特許文献2)、ブランドン、等に対して1998年6月16日発行の米国特許第5766389号(特許文献3)、オルソン、等に対して2003年11月11日発行の米国特許第6645160号(特許文献4)に開示されており、これらは、本開示に適合する限度で引証としてこの明細書に加えられる。
【0019】
おむつ120は、図1中に、部分的に締結した状態で典型的に図解する。図1及び2に示されたおむつ120は、また、図3及び4中で、開かれ且つ広げられた状態で描かれている。特に、図3は、おむつ120の外側を図解する平面図であり、図4は、おむつ120の内側を図解する。図3及び4に示されるように、おむつ120は、装着したときに吸収性物品の前側から吸収性物品の後側へと延びる縦方向148を規定する。この縦方向148には、横方向149が対当する。
【0020】
おむつ120は、別の表現では、前側領域122と後側領域124と呼ばれる一対の縦方向端部分、並びに、別の表現では、股部分126と言及され、前記前側領域と前記後側領域122、124の間で縦方向に延びて両者を連結する中央部分を画定する。おむつ120は、また、装着者向けの配置で使用(例えば、吸収性物品120の別の構成要素に対して位置付けて使用)するに適した内面128と、前記内面に対して裏側となる外面130を画定する。前側領域と後側領域122、124は、装着時に、装着者の腰又は胴体中央下方部を全体的に又は部分的に包み込み又は覆うおむつ120の一部分である。股部分126は、おむつ120の一部分であり、装着時には、装着者の両脚の間に位置して装着者の股と胴体下方部を隠す。吸収性物品120は、横方向で対向する位置にある一対の側縁136と、各々、前側の腰部縁138及び後側の腰部縁139と指定される縦方向で向かい合う一対の腰部縁を有している。
【0021】
図解されたおむつ120は、シャーシ132を含んでおり、このシャーシ132は、この態様では、前側領域122、後側領域124、及び股部分126を包含する。図1−3を参照するに、シャーシ132は、外側カバー140と、該外側カバー140に対して接着剤、超音波接合、又は他の慣用技法による重ね合わせ構造で接合された身体側の裏地材142を含む(図1及び図4)。図4を参照するに、裏地材142は、前側の腰部合せ目162と後側の腰部合せ目164を形成するようにシャーシ132の周縁に沿って外側カバー140に適合して接合される。図4に示されるように、裏地材142は、前側領域122及び後側領域124の一対の側部合せ目161を形成するように外側カバー140に適合して接合される。裏地材142は、吸収性物品の装着の際に装着者の皮膚に面するように、すなわち、吸収性物品120の他の構成部分に対して配置されるのに概ね適している。シャーシ132は、装着者から漏出した液状滲出物を吸収するため外側カバー140と身体側の裏地材142の間に配置された図4に詳細に示す吸収構造物144を、さらに含み、また、滲出物の側方への流れを妨げるため身体側の裏地材142に固着された一対の流止めフラップ材146を、さらに含む。
【0022】
図4に示されるように伸縮性の流止めフラップ材146は、部分的に接合されていないエッジ部分を形成しており、このエッジ部分は、おむつ120の少なくとも股部分126で直立した形態をとり装着者の体に当接してシールを形成する。流止めフラップ材146は、縦方向でシャーシ132の全長に沿って延在させる構成も可能であり、又は、シャーシの長さに沿ってその一部分のみに延在する構成も可能である。流止めフラップ材146の適合する構成及び配列は、当業者に概ね公知であり、エンローに1987年11月3日発行された米国特許第4704116号(特許文献5)に記載されており、これは、本開示に適合する限度で、引証としてこの明細書に加えられる。
【0023】
身体からの滲出液の流出防止及び吸収をさらに改良することを目的として、おむつ120は、また、当業者に知られているように、脚部用伸縮部材158(図4)を適切に備える。脚部用伸縮部材158は、外側カバー140及び/又は身体側の裏地材142に機能的に結合することができ、吸収性物品120の股部分126内に配置される。
【0024】
脚部用伸縮部材158は、任意の適合する伸縮性材料で形成可能である。当業者に公知のように、適合する伸縮性材料には、天然ゴム、合成ゴム、又は熱可塑性エラストマー重合体製の薄板材、より索材、又は平ひも材を含む。伸縮性材料は、引き伸ばして基材に接着するか、緊張させた基材に接着するか、又は、基材に接着してその後に、例えば、基材に対して弾性収縮力が加えられるような、加熱処理で、弾性化又は収縮する。例えば、1つの特定態様では、脚部用伸縮部材158は、アメリカ合衆国デラウエア州ウイルミントンに所在するInvista社から商品名LYCRAで市販の複数種類のドライスパン複合多繊維スパンデックス・エラストマー糸材を含む。
【0025】
幾つかの態様において、吸収性物品120は、さらに、サージ処理層(図示しない)を含み、このサージ処理層は、選択的に吸収構造物144に隣接して配置され、接着剤の使用によるような、当業界で知られた方法で吸収構造物144又は身体側の裏地材142のような吸収性物品120内の各種構成部分に取り付けられる。サージ処理層は、吸収性物品の吸収構造物内に急激に流れ込む液体の噴出又は波頭部分を減速し且つ拡散するのを助ける。望ましくは、サージ処理層は、その液体を即座に受け入れ、その液体を吸収性物品の貯蔵又は保蔵部分へと放出する前に一時的に保持する。適合するサージ処理層の例は、ビショップ等に1996年1月23日発行された米国特許第5486166号(特許文献6)とエリス等に1996年2月13日発行された米国特許第5490846号(特許文献7)に記載されている。別の適合するサージ処理層が、ドッジ・スリー等に1998年10月13日発行された米国特許第5820973号(特許文献8)に記載されている。これらの特許の全ての開示は、本開示と適合する限度で、引証としてこの明細書に加えられる。
【0026】
図1−4に示されるように、吸収性物品120は、さらに、一対の対向位置にある伸縮性側部パネル材134を含み、これらは、シャーシ132の後側領域に取り付けられる。図1及び2に特に示されるように、側部パネル材134は、おむつの位置固定を確実にするべく、装着者の腰及び/又はでん部の周りで伸張する。図3及び4に示されるように、伸縮性側部パネル材は、一対の対向位置にある縦方向の縁137に沿ってシャーシに取り付けられる。側部パネル材134は、任意の適合する接合技法を利用してシャーシ132に取り付けられ又は接合される。例えば、側部パネル材134は、接着剤、超音波接合、又は他の慣用技法によってシャーシに接合される。
【0027】
代替的な態様においては、伸縮性側部パネル材は、また、シャーシ132と一体的に形成することができる。例えば、側部パネル材134は、身体側の裏地材142の延長部分、又は、外側カバー140の延長部分、又は、身体側の裏地材142と外側カバー140両方の延長部分を含む。
【0028】
図に示された態様において、吸収性物品を使用者の所定位置に取り付けたとき、側部パネル材134は、吸収性物品120の後側領域に接続され且つ吸収性物品の前側領域上に延在する。しかしながら、吸収性物品が着用されたときには、側部パネル材134は、代替的には、吸収性物品120の前側領域に接続され、そして、後側領域上に延在し得ることも理解されたい。
【0029】
図1及び2に部分的に図解する締結位置にある吸収性物品120では、伸縮性側部パネル材134は、締結装置180によって接続され、腰部開口150と一対の脚部開口152を有する三次元おむつ形状を形作る。吸収性物品120の腰部開口150は、腰部縁材138と139によって形成され、これが、装着者の腰の部分を囲む。
【0030】
図に示された態様では、側部パネル材は、締結装置により吸収性物品120の前側領域122への取り外し可能な取り付けが可能である。しかし、他の態様では、側部パネル材134は、各端部で、シャーシ132に恒久的に接続可能であることを理解されたい。側部パネル材134は、例えば、トイレ・トレーニングおむつ又は吸収性水着を形成する場合には、相互に恒久的に接合される。
【0031】
伸縮性の側部パネル材134は、各々、縦方向の外側縁部168、おむつ120の縦方向中央側に配置された脚側縁部170、及び、吸収性物品の縦方向端部側に配置された腰側縁部172を有する。吸収性物品120の脚側縁部170は、横方向149に対して適当にわん曲され及び/又は曲げられており、装着者の脚周囲に対する良好な接触を提供する。しかし、本開示範囲の逸脱なくして、後側領域124の脚側縁部のような、脚側縁部170の一方のみをわん曲又は曲げる構成も、または、代替的に、脚側縁部のいずれもわん曲又は曲げない構成も可能であると、考えられる。図4に示されるように、外側縁部168は、全体的に、縦方向148に対して平行であり、一方、腰側縁部172は、全体的に、横断軸149に対して平行である。しかし、他の態様として、外側縁部168及び/又は腰側縁部172は、所望により傾斜させ又はわん曲することが可能であることを理解されたい。最終的には、側部パネル材134は、シャーシの腰部190に概ね整合する。
【0032】
締結装置180は、対応する第2の締結構成材184との再締結可能な係合に適する横方向で対向位置にある第1の締結構成材182を含む。図に示された態様では、第1の締結構成材182は、伸縮性の側部パネル材134上に配置され、一方、第2の締結構成材184は、シャーシ132の前側領域122上に配置される。1つの態様では、締結構成材182、184各々の前面又は外面は、複数個の係合要素を含む。第1の締結構成材182の係合要素は、第2の締結構成材184の対応する係合要素との係合ないし係合解除の繰り返しに適しており、吸収性物品120を三次元形状に取り外し可能に締結する。
【0033】
締結構成材182、184は、接着式ファスナー、粘着式ファスナー、機械式ファスナー、等、のような吸収性物品に適した、任意の再締結可能なファスナーである。特定の態様では、締結構成材は、機能改善用の機械式締結要素を含む。適合する機械式締結要素は、フック型、ループ型、球根型、キノコ型、矢型、軸上の球型、雌雄接合要素型、バックル型、スナップ型、等、の連結用幾何学形状材料により提供可能である。
【0034】
図解された態様において、第1の締結構成材182は、フック型のファスナーを含み、第2の締結構成材184は、これに対して相補的な、ループ型のファスナーを含む。代替的には、第1の締結構成材182がループ型ファスナーを含み、第2の締結構成材184が相補的なフック型ファスナーを含んでも良い。別の態様として、締結構成材182、184は、相互に連結する同一の面ファスナー、又は、接着剤ファスナー及び接着剤受容載置領域又は材料、等のような、接着性及び粘着性の締結要素とすることができる。フック型及びループ型ファスナーの形状、密度及びポリマー組成は、締結構成材182、184間での所望レベルの係合を達成するべく、選択可能であることを、当業者は理解されよう。適合する締結装置は、また、既述した2000年6月29日公開のエイ フレッチャー等による国際特許出願第WO00/37009号(特許文献1)及び2003年11月11日オルソン等に発行の米国特許第6645190号(特許文献4)に開示されている。
【0035】
図に示された態様において、締結構成材182は、外側縁部168に沿って側部パネル材134に取り付けられる。この態様では、締結構成材182は、伸縮性ではなく、伸張不可能である。しかし、他の態様では、締結構成材は、側部パネル材134と一体的とすることができる。例えば、締結構成材は、その表面で側部パネル材134に直接取り付けることが可能である。
【0036】
伸縮性の側部パネル材を有する可能性に加え、吸収性物品120は、腰部開口の周りに伸縮性を付与するための各種の伸縮部材を含むことができる。例えば、図に示されるように、吸収性物品120は、前側腰部伸縮部材154及び/又は後側腰部伸縮部材156を含むことが可能である。
【0037】
上述したように、本開示は、水分検知装置のような身体流体表示装置を吸収性物品120内へ組み込むことを特に目指している。これに関しては、図1−4に示されるように、吸収性物品120は、第2の導電要素202から離間される第1の導電要素200を含む。本開示に従い、導電要素200と202は、以下に説明のように、導電性不織材料から作製可能である。図2に図解の態様では、導電要素200と202は、別個の帯状体又はシート材を含む。
【0038】
第1の導電要素200は、例えば、2つの導電要素の間に導電性流体が在るときに閉じられる開回路を形成すべく、第2の導電要素202とは交差しない。しかしながら、別の態様では、第1の導電要素200と第2の導電要素202は、シャーシ内でセンサに接続される。このセンサは、温度変化の検知に使用可能であり、又は、代謝物のような特定物質の存在を検知するのに使用可能である。
【0039】
図1に示される態様では、導電要素200と202は、吸収性物品120の全長に延在している。しかし、別の態様では、導電要素は、股部分126までのみ延在しており、又は、吸収性物品内の身体流体検知を企図する所定の位置まで延在する。
【0040】
導電要素200と202は、導電要素が、吸収性物品120によって吸収された身体流体に接触するように配置されるのであれば、任意の適合する位置においてシャーシ132に組み入れることが可能である。この態様では、導電要素200及び202は、全体的に、外側カバー140の内側に位置する。実際、1つの態様では、導電要素200と202は、吸収構造物144に面する外側カバー140の内面に積層され又は取り付けられる。しかし、代替的には、導電要素200及び202は、吸収構造物144上に配置され、又は、裏地材142上に配置される。
【0041】
導電要素200及び202のシグナル装置との接続を容易とするため、第1の導電要素200は、第1の導電パッド部材204に取り付けられ、一方、第2の導電要素202は、第2の導電パット部材206に接続される。パッド部材204と206は、導電要素によってシグナル装置に対して形成される開回路間の正確な接続を形成するように設けられる。シグナル装置は、購入者によるシャーシ上への取り付けを予定している。
【0042】
導電パッド部材204と206の吸収性物品120上の位置は、シグナル装置の設置が所望される位置に応じて変化する。例えば、図1、3及び4において、導電パッド部材204及び206は、吸収性物品の腰部開口に沿って前側領域122内に配置される。他方、図2において、導電パッド部材204と206は、吸収性物品の腰部開口に沿って後側領域に配置される。しかし、他の態様においては、吸収性物品120は、各導電要素200及び202の各端部に配置された導電パット部材を含み得ることを理解されたい。この方法で、使用者は、吸収性物品の後または前にシグナル装置を取り付けるのか、又は、取り付けないか、を決定することができる。さらに別の態様では、導電パット部材は、吸収性物品の側部に沿って、又は、吸収性物品の股部分に向かって配置可能であることを理解されたい。
【0043】
例示目的の図5を参照するに、シグナル装置210が、導電パッド部材204と206に取り付けられた状態で示されている。シグナル装置210は、対応する導電パット部材に電気的に接続された対向位置にある一対の端子を含む。吸収性物品120内に身体流体が有る場合には、導電要素200と202によって形成される開回路が閉じられ、その結果、シグナル装置210が作動される。
【0044】
シグナル装置210は、開回路が閉じられたことを使用者に知らせるために任意の適合する信号を発することができる。
【0045】
図5において、導電要素200と202は、別個の帯状体材料である。しかし、別の態様では、両方の導電材料が単一不織シート材内に含まれる。例えば、導電要素を、吸収性物品内に組み込まれた積層材の中に含むことも可能である。代替的な態様では、導電要素は、不織ウエブ内の導電域を含む。例えば、1つの態様において、図6に図解した不織材料を、図1に図解した吸収性物品内に組み入れることが可能である。
【0046】
導電要素200及び202は、ナーン等によって2006年7月26日出願された米国特許第11/888334号(特許文献9)に記載された種類の導電不織ウエブを含むことが可能であり、これは、本開示に適合する限度で、引証としてこの明細書に加えられる。本開示での基本ウエブは、不織ウエブ形成のためのパルプ繊維への導電繊維の混合によって作製される。1つの態様では、ティッシュ作製工程が、ウエブの形成のために利用される。
【0047】
本開示に従い使用される導電性繊維は、個別の用途及び所望される効果に依拠して変更可能である。不織ウエブの形成に使用される導電性繊維は、炭素繊維、金属繊維、導電ポリマーから作製された繊維又は導電性材料を含有するポリマー繊維を含む導電性ポリマー繊維、及びこれらの混合物を含む。使用可能な金属繊維は、例えば、銅繊維、アルミニウム繊維、等を含む。導電性材料を含有するポリマー繊維は、導電性材料で被覆した熱可塑性繊維、又は、導電性材料で含浸した又は導電性材料と混合した熱可塑性繊維を含む。例えば、1つの態様では、銀で被覆した熱可塑性繊維が使用される。導電性繊維は、約10:1から約200:1まで、又は、約100:1から約1000:1までのアスペクト比(長さ/径)を有する。
【0048】
本開示で使用される炭素繊維は、その繊維が導電性となるのに十分な量の炭素を含有する繊維、又は、ほとんど炭素から作製された繊維を含む。1つの態様では、例えば、ポリアクリロニトリル・ポリマーから形成された炭素繊維が使用される。詳細には、炭素繊維は、ポリアクリロニトリル・ポリマー繊維の加熱、酸化、及び炭化によって形成される。この繊維は、典型的には、純度が高く、比較的大きな分子量の分子を含有する。例えば、その繊維は、約90重量%よりも多い量の、例えば93重量%よりも多い量の、さらには、約95重量%よりも多い量の炭素を含有する。
【0049】
ポリアクリロニトリル・ポリマー繊維から炭素繊維を形成するため、ポリアクリロニトリル繊維は、最初に、空気のような酸素雰囲気内で加熱される。加熱の際に、ポリアクリロニトリル・ポリマーのシアノ部位は、テトラヒドロピリジンの反復環群を形成する。加熱の継続中に、ポリマーが酸化を始める。酸化の間に、水素が放出され、炭素による芳香環形成を生起する。酸化の後、次に、繊維は、酸素を除去した雰囲気内でさらに加熱される。例えば、繊維は、約1,300℃よりも高い、例えば1,400℃の温度まで、さらには、約1,300℃から約1,800℃までの範囲の温度まで、加熱することができる。加熱の間に、繊維は炭化作用を受ける。炭化の際に、隣接する重合鎖は相互に結合してほぼ純粋炭素であるラメラ底面構造を形成する。
【0050】
ポリアクリロニトリルを基とする炭素繊維は、多数の販売元から入手可能である。例えば、その炭素繊維は、アメリカ合衆国テネシー州ロックウッドに所在するToho Tenax America,Inc.から入手可能である。
【0051】
炭素繊維の製造に使用される他の材料は、レーヨンと石油ピッチとである。
【0052】
特に有利な点として、形成された炭素繊維は、任意の適当な長さに細断することができる。例えば、本開示の1つの態様では、細断された炭素繊維は、約1mmから約12mmの長さ、例えば、約3mmから約6mmの長さで、基本ウエブ内に混入することが可能である。この繊維は、約3μから約15μ、例えば約5μから約10μの平均直径を有する。例えば、1つの態様では、炭素繊維は、約3mmの長さと約7μの平均直径を有する。
【0053】
1つの態様では、不織基本ウエブ内に混入された炭素繊維は、水溶性サイズ剤を有する。サイズ剤は、0.1乃至10重量%の量が可能である。水溶性サイズ剤は、限定はしないが、ポリアミド化合物、エポキシ樹脂エステル、及びポリ(ビニルピロリドン)とすることができる。この方法では。炭素繊維は、炭素繊維の水の中での良好な拡散を目的として、不織ウエブの形成の前に、水に混合されるが、この炭素繊維の水への混合のときに、サイズ剤の溶解が起こる。
【0054】
本開示に従う導電性不織ウエブの形成においては、上記の導電性繊維は、ティッシュ製造工程での使用に適した他の繊維と組み合わされる。導電性繊維と組み合わされる他の繊維は、限定はしないが、綿、アバカ、ケナフ麻、サバイグラス(sabai grass)、アフリカハネガヤ、麦わら、黄麻、大麻、バガス、トウワタ、綿毛繊維、及びパイナップルの葉の繊維のような非木質繊維、及び、北方及び南方軟材クラフト繊維のような軟材繊維、ユーカリ、かえで、カバの木、アスペンのような硬材繊維を含む落葉樹及び針葉樹から採取されるような木質またはパルプ繊維を含む、任意の天然セルロース繊維及び合成セルロース繊維を含む。パルプ繊維は、高収率又は低収率の形態で調製可能であり、クラフト亜硫酸高収率パルプ化方法及び他の公知のパルプ化方法を含む任意の公知方法でパルプ化が可能である。ラーマネン等に1988年12月27日発行された米国特許第4793898号(特許文献10)、チャング等に1986年6月10日発行された米国特許第4594130号(米国特許11)、クレイナートに1971年6月15日発行された米国特許第3585104号(米国特許12)に開示された繊維と方法を含むオルガノソルブ・パルプ化方法で調製された繊維も、また、使用可能である。有用な繊維は、ゴードン等に1997年1月21日発行された米国特許第5595628号(米国特許13)に例示されるアントラキノン・パルプ化方法によっても製造可能である。
【0055】
乾燥重量で50%以下のような、又は、乾燥重量で約5%から約30であるような繊維部分を、レーヨン、ポリオレフイン繊維、ポリエステル繊維、ポリビニル・アルコール繊維、二構成要素鞘/芯繊維、多重構成要素結合繊維、等のような合成繊維とすることができる。実例としてのポリエチレン繊維は、アメリカ合衆国デラウエア州ウイルミントンに所在するHercules,Inc.から市販のPulpexである。合成セルロース繊維の種類には、すべての種類のレーヨン及びビスコース又は化学的変性セルロースから得られる他の繊維が含まれる。
【0056】
不織ウエブへの熱可塑性繊維の組み込みは、各種の有用性と利点を提供する。例えば、ウエブへの熱可塑性繊維の組み込みは、ウエブの隣接構造物への熱接合を可能とする。例えば、ウエブは、例えばスパンボンド・ウエブ又はメルトブローン・ウエブを含むおむつ裏地材のような他の不織材料に対して熱接合が可能である。
【0057】
シルケット加工パルプ、化学的硬化又は架橋繊維、又は、スルホン化繊維のような、化学的に処理された天然セルロース繊維も使用することができる。製紙用の繊維としての良好な機械的特性のためには、繊維は、比較的傷んでおらず、且つ、わずかの精製のみで全体的には精製されていないことが望ましい。シルケット加工繊維、再生セルロース繊維、微生物生成セルロース、レーヨン、及び、他のセルロース材料又はセルロース誘導体を使用可能である。適合する繊維には、また、再生繊維、未使用繊維、又は、これらの混合物が含まれる。或る態様では、この繊維は、少なくとも200のカナダ標準ろ水度を有しており、これは、より限定的には少なくとも300であり、さらに限定的には少なくとも400であり、さらに一層限定的には少なくとも500である。
【0058】
本開示で使用可能な他の製紙用繊維には、損紙又は再生紙及び高収率繊維が含まれる。高収率パルプ繊維とは、約65%以上の収率を提供するパルプ化工程で生産される製紙用繊維であり、この収率は、より限定的には約75%以上であり、さらに限定的には少なくとも約75%から約95%である。収率とは、初期木材質量の百分比で表した処理済繊維の生成量である。このパルプ化工程には、ブリーチ・ケミサーモメカニカル・パルプ(BCTMP)、ケミサーモメカニカル・パルプ(CTMP)、プレッシャー/プレッシャー・サーモメカニカル・パルプ(PTMP)、サーモメカニカル・パルプ(TMP)、サーモメカニカル・ケミカル・パルプ(TMCP)、高収率亜硫酸パルプ、及び、高収率クラフト・パルプが含まれ、これらは全て、生成された繊維中に、高レベルのリグニンを含んでいる。高収率繊維は、典型的な化学パルプ繊維との比較において、乾湿いずれの状態においても剛性を備えることが良く知られている。
【0059】
一般的には、テイッシュ・ウエブを形成することが可能ないずれの工程も、導電性ウエブの形成に使用可能である。例えば、本開示での製紙工程には、当業界において知られた他のステップと同様に、エンボス加工、湿潤圧縮、空気圧縮、通気乾燥、未捲縮通気乾燥、水力巻取り、空気封入、を利用することができる。テイッシュ・ウエブは、少なくとも50重量%の量のパルプ繊維を含有する繊維材から形成され、この含有量は、例えば、少なくとも60重量%であり、さらに、少なくとも70重量%であり、さらに、少なくとも80重量%であり、さらに、少なくとも90重量%である。
【0060】
不織ウエブは、ジョンソン等に1985年4月30日発行された米国特許第4514345号(特許文献14)、トラカンに1985年7月9日発行された米国特許第4528239号(特許文献15)、スマーコスキー等に1992年3月24日発行された米国特許第5098522号(特許文献16)、スマーコスキー等に1993年11月9日発行された米国特許第5260171号(特許文献17)、トラカンに1994年1月4日発行された米国特許第5275700号(特許文献18)、ラッシュ等に1994年7月12日発行された米国特許第5328565号(特許文献19)、トラカン等に1994年4月2日発行された米国特許第5334289号(特許文献20)、ラッシュ等に1995年7月11日発行された米国特許第5431786号(特許文献21)、ステルジェス等に1996年5月5日発行された米国特許第5496624号(特許文献22)、トラカン等に1996年3月19日発行された米国特許第5500277号(特許文献23)、トラカン等に1996年5月7日発行された米国特許第5514523号(特許文献24)、トラカン等に1996年9月10日発行された米国特許第5554467号(特許文献25)、トラカン等に1996年10月22日発行された米国特許第5566724号(特許文献26)、トラカン等に1997年4月29日発行された米国特許5624790号(特許文献27)、及び、アイヤ等に1997年5月13日発行された米国特許第5628876号(特許文献28)のいずれかの開示のテイッシュ・シート材のように、生地を圧縮することが可能であり、これらの開示は、本開示と適合する限度で、引証としてこの明細書に加えられる。これらのテイッシュ・シート材は、圧縮材によってドラム乾燥機に対して圧縮加工された高密度網構造部分と、圧縮材の歪みコンジットに対応する比較的低密度部分とを有しており、このとき、テイッシュ・シート材の歪みコンジットに重なる部分は、歪みコンジットに作用する空気圧差で膨張させられてテイッシュ・シート材中に低密度の枕状又はドーム状の部分を形成する。
【0061】
テイッシュ・ウエブは、また、実質的な量の内部繊維間結合力なしに形成することが可能である。この点に関して、基本ウエブを形成するのに使用される繊維材は、化学的な剥離剤によって処理される。剥離剤は、パルプ化工程中に繊維スラリーに添加されるか、又は、ヘッドボックスに直接加えることができる。本開示で使用に適する剥離剤は、脂肪ジアルキル第4級アミン塩、モノ脂肪アルキル第3級アミン塩、第1級アミン塩、イミダゾリン第4級塩、シリコーン第4級塩、及び、不飽和脂肪アルキルアミン塩のようなカチオン剥離剤を含む。他の適合する剥離剤が、カウンに1996年6月25日発行された米国特許第5529665号(特許文献29)に開示されており、これは、引証としてこの明細書に加えられる。特に、カウンは、剥離剤としてカチオン・シリコーン組成物の使用を開示する。
【0062】
1つの態様において、本開示の工程で使用される剥離剤は、有機塩化第4級アンモニウムであり、特に、シリコーンを基とする塩化第4級アンモニウムのアミン塩である。例えば、剥離剤は、アメリカ合衆国デラウエア州ウイルミントンに所在するHercules Incorporatedによって市販のPROSOFT TQ1003である。この剥離剤は、繊維スラリー内に存在する繊維のメートルトン当たり約1kgから約10kgの量だけ繊維スラリーに添加される。
【0063】
代替的な態様において、剥離剤は、イミダゾリンを基とした薬剤とすることができる。イミダゾリンを基とした剥離剤は、例えば、アメリカ合衆国コネチカット州グリーンウイッチに所在するWitco Corporationから入手可能である。イミダゾリンを基とした剥離剤は、メートルトン当たり2.0から約15kgの量添加することが可能である。
【0064】
1つの態様において、剥離剤は、1988年12月17日出願された国際公開番号第WO99/34057号の国際出願(特許文献30)と2000年4月28日出願された国際公開番号第WO00/66835号の国際出願(特許文献31)に開示された工程に従い繊維材へ添加可能であり、これらは、この明細書に引証として加えられる。これらの文献中では、剥離材のような化学的添加物が高レベルでセルロース製紙繊維上に吸収される工程が開示されている。その工程は、繊維スラリーを過剰量の化学的添加物で処理する過程と、吸収を生起するために十分に残留させる過程と、吸収されなかった化学的添加物を除去すべくスラリーをろ過する過程と、ろ過済みパルプを、不織ウエブの形成の前に清水で再分散する過程を含む。
【0065】
湿潤乾燥剤及び乾燥補強剤が、また、基本シート材に適用又は混合可能である。ここにいう「湿潤補強材」とは、湿潤状態の繊維の間の接合を固定するのに使用される物質である。典型的には、紙及びテイッシュ製品内で繊維を相互に保持するための手段は、水素結合、そして、しばしば、水素結合と共有結合及び/又はイオン結合の組合せを含む。本開示では、繊維同士の結合部位を固定化するような方法での繊維結合を可能とし、そして、それらに湿潤状態での分裂に対する耐性を与える物質を利用することが有用である。
【0066】
テイッシュ・シート材又はシート材に添加したときに、そのテイッシュ・シート材に、本開示の目的に関して、約0.1以上の中間湿潤幾何学引張強度:乾燥幾何学引張強度の比を生ずるいずれかの物質を「湿潤補強剤」という。典型的には、これらの物質は、恒久的湿潤補強剤又は「一時的」湿潤補強剤のいずれかと称される。恒久的湿潤補強剤を一時的湿潤補強剤から区別する目的で、恒久的湿潤補強剤は、紙又はテイッシュ製品内に混合された場合に、少なくとも5分の間、水にさらした後に元の湿潤強度の50%よりも強い強度の紙又はテイッシュ製品を提供するそれらの樹脂と定義されよう。一時的湿潤補強剤とは、5分間、水に飽和された後、それらの元の湿潤強度の約50%以下の強度を示すこととなるような物質である。両方の湿潤補強剤とも、本開示での適用が可能である。パルプ繊維に添加される湿潤補強剤の量は、繊維の乾燥重量に基づいて、少なくとも約0.1乾燥重量%であり、より限定的には、約0.2乾燥重量%以上であり、さらに限定的には、約0.1乾燥重量%から約3乾燥重量%である。
【0067】
恒久的湿潤補強剤は、典型的には、テイッシュ・シート材に或る程度の長期間の湿潤耐性を提供する。対照的に、一時的湿潤補強剤は、典型的には、低密度で且つ高耐性のテイッシュ・シート材構造を提供するが、水又は身体流体への露出での長期間の耐性を有する構造は提供しない。
【0068】
一時的湿潤補強剤は、陽イオン性、非イオン性又は陰イオン性である。そのような化合物には、アメリカ合衆国ニュージャージィー州ウエストパターソンに所在するCytec Industriesから市販のカチオン・グリコキシレート・ポリアクリルアミドであるPAREZ631NC及びPAREZ725一時的湿潤補強樹脂が含まれる。この樹脂及び同様の樹脂が、コシア等に1971年1月19日発行された米国特許第3556932号(特許文献32)及びウイリアム等に1971年1月19日発行された米国特許第3556933号(特許文献33)に記載されている。デラウエア州ウイルミントンに所在するHercules, Inc.によって製造されるHercobond1366は、本開示に従い使用可能な別の市販カチオン・グリオキシレート・ポリアクリルアミドである。一時的湿潤補強剤の追加的例には、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴに所在するNational Starch and Chemical Companyから市販のCobond1000のようなジアルデヒドのり及びシュレーダー等に2001年5月1日発行の米国特許第6224714号(特許文献34)、シャノン等に2001年4月14日発行の米国特許第6274667号(特許文献35)、シュレーダー等に2001年9月11日発行の米国特許第6287418号(特許文献36)、シャノン等に2002年4月2日発行の米国特許第6365667号(特許文献37)に記載されたような他のアルデヒド含有ポリマーが含まれ、これらは、本開示に矛盾しない限度で引証としてこの明細書に加えられる。
【0069】
カチオン・オリゴマー樹脂又はポリマー樹脂を含む恒久的湿潤補強剤は、本開示中で使用可能である。アメリカ合衆国デラウエア州ウイルミントンに所在するHercules,Inc.により市販のKYMENE557Hのようなポリアミド−ポリアミン−エピクロロヒドリン系樹脂が、最も広範に使用されている恒久的湿潤補強剤であり、これは、本開示での使用に適する。このような物質は、ケイムに1972年10月24日発行の米国特許第3700623号(特許文献38)、ケイムに1973年11月13日発行の米国特許第3772076号(特許文献39)、ペトロビッチ等に1974年12月17日発行の米国特許第3855158号(特許文献40)、ペドロビッチ等に1975年8月12日発行の米国特許第3899388号(特許文献41)、ペドロビッチ等に1978年12月12日発行の米国特許第4129528号(特許文献42)、ペトロビッチ等に1979年4月3日発行の米国特許第4147586号(特許文献43)、及びバン イーナンに1980年9月16日発行の米国特許第4222921号(特許文献44)に記載されている。他のカチオン樹脂には、ホルムアルデヒドのメラミン又は尿素との反応で得られるアミノプラスト樹脂及びポリエチレンイミン樹脂が含まれる。テイッシュ製品の製造に、恒久的湿潤補強樹脂と一時的湿潤補強樹脂の両方を使用することは有用である。
【0070】
乾燥補強剤は、当業界で公知であり、限定はされないが、変性スターチ及び他の多糖類、例えば、陽性、両性及び陰性のスターチ及びガーガムとローカストビーンガム、変性ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、砂糖、ポリビニル・アルコール、キトサン、等を含む。そのような乾燥補強剤は、典型的には、テイッシュ・シート材の形成前に、又は、クレーピングパッケージの一部として繊維スラリーに添加される。
【0071】
不織ウエブに添加される追加的な化学品には、限定はしないが、通常は陽イオン性、陰イオン性、又は非イオン性の界面活性剤の形態の吸収補助剤、低分子量ポリエチレン・グリコールのような可塑剤と保湿剤、及び、グリシンとプロピレン・グリコールのようなポリヒドロキシ化合物を含む。皮膚の健康に有効な物質、例えば、ミネラルオイル、アロエ抽出物、ビタミンE、シリコーン、通常のローション等を、完成品に混合することも可能である。
【0072】
一般的には、本開示の製品は、その目的とする用途に対立しない公知の物質及び化学品と共に使用することができる。そのような物質の例には、限定はしないが、ベビーパウダー、ベーキングソーダ、キレート剤、ゼオライト、香料、又は、他の臭気マスキング剤が含まれる。特別な有用性として、炭素繊維が導電性繊維として使用された場合には、その炭素繊維は、また、臭気吸収剤として機能する。超吸収粒子、合成繊維、又はフイルムも、また、採用可能である。追加的なオプションには、染料、光学的光沢剤、保湿剤、皮膚軟化剤、等が含まれる。
【0073】
本開示に従って作製された不織ウエブは、単一の均質な繊維層を含むことも可能であり、又は、階層化された又は層状にされた構造を含むことも可能である。例えば、不織ウエブ層は、2又は3の繊維層を含む。各層は、異なる繊維組成を有する。例えば、図7を参照するに、多層パルプ材を形成する装置の1つの態様を図解する。図示のように、三層ヘッドボックス10は、概略、上方ヘッドボックス壁12と下方ヘッドボックス壁14を含む。ヘッドボックス10は、さらに、第1のデバイダ部材16と第2のデバイダ部材18を含み、これらが、3つの繊維集積層の区分けを行う。
【0074】
前記繊維層の各々は、低濃度の繊維水性懸濁液を含む。各層に含有される特定繊維は、概ね、形成される製品及びその所望効果に依拠する。1つの態様では、例えば、中間の層20は、導電性繊維と混合されたパルプ繊維を含有する。一方、外側の層22と24は、軟材繊維及び/又は硬材繊維のようなパルプ繊維のみを含む。導電性繊維を中間の層20に入れることは、各種の有用性及び利点を提供する。導電性繊維をウエブの中心部分に配置することによって、例えば、表面上に軟らかい触感を維持した導電性材料を生産することができる。ウエブの層の1つに導電性繊維を集中するならば、導電性繊維の大量の増加なしに、その材料の導電性を向上することができる。1つの態様では、例えば、各層が、ウエブの約15重量%から約40重量%の割合を占める3つの層からなるウエブが形成される。外側の層は、パルプ繊維のみ、又は、パルプ繊維と熱可塑性繊維の組合せで作製される。中間の層は、他方、導電性繊維と混合されたパルプ繊維を含有する。導電性繊維は、中間の層に、約30重量%から約70重量%の量で含有され、この量は、限定的には、約40重量%から約60重量%の量であり、さらに限定的には、約45重量%から約55重量%の量である。
【0075】
ロール28と30によって適切に支持され駆動される無端移動形成フアブリック材26は、ヘッドボックス10から供給される層状製紙原料を受けとめる。フアブリック材26上に載せられると層状繊維懸濁液は、矢印32に示されるようにフアブリック材を通して水を逃がす。水の除去は、重力、遠心力、及び、作成形状に依拠する真空吸着の組合せによって達成される。
【0076】
多層紙ウエブの形成は、また、フアリントン、ジュニアに1992年7月14日発行された米国特許第5129988号(特許文献45)に記載され開示されており、これは、引証としてこの明細書に加えられる。
【0077】
水性繊維懸濁液から不織ウエブが形成されたならば、そのウエブは、各種の技法及び方法を用いて処理される。例えば、図8を参照するに、未捲縮スルードライ(throughdried)・テイッシュ・シート材を作製する方法が示されている。1つの態様において、未捲縮通気乾燥工程を使用して不織ウエブを形成することが望ましい。形成中における不織ウエブでの捲縮(creping)は、不織ウエブ内の導電性繊維の網構造を壊し、導電性繊維の破損を生起することが分かっている。すなわち、不織ウエブは、非導電性となる。
【0078】
簡略のため、幾つかのフアブリック材の走行過程を構成するのに模式的に使用される各種の張力付与ロールが示されているが、参照番号は付されていない。図8に図解の装置及び方法からの変更は、その全体的な工程からの逸脱なくして作成可能であることを理解されよう。図示のものは、形成ロール39上に配置された形成フアブリック材38上に製紙繊維の水性懸濁液の流れ36を射出又は堆積する層状ヘッドボックスのような製紙ヘッドボックス34を有するツイン・ワイヤ形成装置である。形成フアブリック材は、ウエブが、約10乾燥重量%の濃度まで部分的に脱水されるのにともない、工程において、新たに形成される湿潤ウエブの流れを支持し搬送するように機能する。湿潤ウエブの追加的脱水は、例えば、真空吸着によって実施され、一方、湿潤ウエブは、形成フアブリック材によって支持される。
【0079】
次に、湿潤ウエブは、形成フアブリック材から、移送フアブリック材40へと送られる。1つの選択的態様では、移送フアブリック材は、ウエブに伸長の増加を付与すべく、形成フアブリック材よりも遅い速度で走行作動する。これは、一般的に、「ラッシュ」移送といわれる。この2つのフアブリック材の間の相対速度差は、0−15%からであり、より特定的には、約0−8%からである。移送は、好ましくは、形成フアブリックと移送フアブリックが真空スロットの先端部分で同時に収束し且つ分岐するように真空シュー42の作用に助けられて実施する。
【0080】
ウエブは、次に、真空移送ロール46又は真空移送シューの作用に助けられて、また、選択的には、既述した固定ギャップ移送を使用して、移送フアブリック材からスルードライ用(throughdrying)フアブリック材44へと移送される。スルードライ用フアブリック材は、移送フアブリック材に対してほぼ同一の速度又は異なる速度で移動する。所望ならば、スルードライ用フアブリック材は、伸長をさらに増やすために、比較的遅い速度で移動することが可能である。移送は、スルードライ用フアブリック材に合致したシート材の変形を確保し、これにより、所望ならば、所望のかさと外観を生み出すべく、真空の作用に助けられて実施することが可能である。適合するスルードライ用フアブリック材は、カイ エフ チュ等に1995年7月4日発行された米国特許第5429686号(特許文献46)とウエント等に1997年9月30日発行された米国特許第5672248号(特許文献47)に記載されており、これらは、引証としてこの明細書に加えられる。
【0081】
1つの態様では、スルードライ用フアブリック材は、比較的に滑らかな表面を提供する。代替的には、フアブリック材は、高くそして長い圧痕形成用の隆起部分を含有することが可能である。
【0082】
スルードライ用フアブリック材に接触する側のウエブの面は、典型的には、不織ウエブの「フアブリック側」と言われる。このウエブのフアブリック側は、上述したように、スルードライ乾燥機内でフアブリック材を乾燥した後に、スルードライ用フアブリック材表面に一致する形状を有することとなる。他方、紙ウエブの反対側は、典型的には、「エア側」と言われる。このウエブのエア側は、典型的には、通常のスルードライ工程の間、前記フアブリック側よりも比較的に滑らかである。
【0083】
ウエブ移送のために使用される真空レベルは、水銀柱の約3から約15インチ(水銀柱の75乃至約380mm)であり、好ましくは、水銀柱の約5インチ(125mm)である。真空シュー(負圧)は、真空で次のフアブリック材を吸着することに加えて又はその代わりに、次のフアブリック材上にウエブを押し付けるべく、ウエブの反対側からの正圧の使用によって補足され又は置き換えられる。また、真空ロール又は複数のロールが、真空シューの代わりに使用可能である。
【0084】
スルードライ用フアブリック材によって支持されつつ、ウエブは、最終的に、スルードライ乾燥機48によって約94%以上の濃度に乾燥され、その後、搬送フアブリック材50へと移送される。乾燥された基本シート材52は、搬送フアブリック材50と選択的搬送フアブリック材56を使用してリール54へと送られる。選択的な加圧回転ロール58が、搬送フアブリック材50からフアブリック材56へのウエブ搬送の促進のために使用される。この目的に適合する搬送フアブリック材は、Albany International 84M又は94M及びAsten959又は937であり、これらの全ては、精細な模様を備えた比較的滑らかなフアブリック材である。図示しないが、基本シート材の滑らかさ及び柔らかさを向上するために、リール・カレンダー掛け又は後続のオフライン・カレンダー掛けの使用が可能である。ウエブのカレンダー掛けは、また、導電性繊維の或る特定の平面又は或る特定の方向への配向を生起し得る。例えば、1つの態様では、基本的に導電性繊維の全てが、Z方向ではなく、X−Y平面内に位置付けられるように、ウエブのカレンダー掛けが行われる。この方法で、ウエブの導電性の向上が行われ、また、ウエブの軟らかさも向上する。
【0085】
1つの態様では、不織ウエブ52は、平坦状に乾燥されたウエブである。例えば、ウエブが滑らかなスルードライ用フアブリック材の上にあるときにウエブの形成が行われる。未捲縮状のスルードライ用フアブリック材を生産する方法は、例えば、ウエント等に1992年7月14日発行された米国特許第5672248号(特許文献48)、フアーリントン等に1997年8月12日発行された米国特許第5656132号(特許文献49)、リンゼイとブラジンに2000年9月19日発行された米国特許第6120642号(特許文献50)、ハーマンス等に2000年8月1日発行された米国特許第6096169号(特許文献51)、チェン等に2001年3月6日発行された米国特許第6197154号(特許文献52)、ハダ等に2000年11月7日発行された米国特許第6143135号(特許文献53)に開示されており、これらの全ては、その全体が引証としてこの明細書に加えられる。
【0086】
図8において、未捲縮状のスルードライ用ウエブの製造に関する工程が示されている。しかし、捲縮を利用しない任意の適合する工程又は技法を、導電性不織ウエブの形成に使用可能であることを理解されたい。
【0087】
本開示に従って作製された不織ウエブは、ウエブの使用用途及び所望効果に依拠した各種の異なる物性及び特性を有することが可能である。例えば、不織ウエブは、約15gsmから約200gsm又はそれ以上の基本重量を有する。例えば、不織ウエブの基本重量は、約15gsmから約110gsmであり、さらに、約15gsmから約50gsmである。
【0088】
所望ならば、不織ウエブは、比較的大きなかさに作製可能である。例えば、そのかさは、約2cc/gから約20cc/gであり、さらに、約3cc/gから約10cc/gとすることが可能である。
【0089】
シート材の「かさ」は、ミクロンで表示される乾燥テイッシュ・シート材のキャリパー厚を、平方メートル当りのグラムで表示された乾燥基本重量で割った商として計算される。結果のシート材のかさは、グラム当りの立方センチメートルで表示される。より詳細には、キャリパー厚は、積層構造内の各シート材の同一面を上に向けた状態で、10の典型的シート材の積層構造の全厚としてその積層構造の全厚を10で割って計測される。キャリパー厚は、TAPPI試験法T411 om−89「Thickness(capilar)0f Paper, Papaerboard,and Combined Board」に従い、積層シート材用のノート3で計測される。T411 om−89を実施するために使用されるマイクロメーターは、アメリカ合衆国オレゴン州ニューバーグに所在のEmveco,Inc.から市販のEmveco 200−A テイッシュ・キャリパー・テスターである。そのマイクロメーターは、2.00kPa(平方インチ当り132g)の荷重、2,500平方ミリメートルの足圧領域、56.42ミリメートルの足圧径、3秒の滞留時間、及び秒当り0.8ミリメートルの降下率を有する。
【0090】
不織ウエブの導電性は、また、ウエブ内に混合される導電性繊維の種類、ウエブ内に混合される導電性繊維の量、及び、ウエブ内に導電性繊維が配置され、集中され、又は配向される方法に依拠して変更可能である。1つの態様では、例えば、不織ウエブは、約1,500オーム/平方メートル未満の抵抗値を有しており、さらに、約100オーム/平方メートル未満の抵抗値を有しており、さらに、約10オーム/平方メートル未満の抵抗値を有している。
【0091】
シート材の導電性は、オームで表示されたシート材の抵抗測定値を、シート材の幅に対する長さの比で割った商として計算される。結果のシート材抵抗は、平方メートル当りのオームで表示される。より詳細には、抵抗値の測定は、ASTM F1896−98「印刷導電材料の電気抵抗を決定する試験法」に従う。ASTM F1896−98の実施に使用する抵抗測定装置(又はオーム・メートル)は、フルーク・アリゲータ・クリップ(model AC120)を装備したフルーク・マルチメーター(model 189)であり、この両者は、アメリカ合衆国ワシントン州エベレットに所在のFluke Corporationから市販されている。
【0092】
本開示に従い作製される生成導電性ウエブは、単独で単一層製品として使用することも可能であり、又は、多層製品を形成するべく他のウエブと組み合わせることも可能である。1つの態様では、導電性不織ウエブは、2層製品又は3層製品を形成するべく他のテイッシュ・ウエブと組み合わされる。例えば、他のテイッシュ・ウエブは、全体をパルプ繊維から作製し、且つ上述した任意の工程に従い作製可能である。
【0093】
代替的態様では、本開示に従い作製された導電性不織ウエブは、接着剤又は他の手段を使用して他の不織又はポリマー・フイルム材料に積層される。例えば、1つの態様では、導電性ウエブは、ポリプロピレン繊維のようなポリマー繊維製のメルトブローン・ウエブ及び/又はスパンボンド・ウエブに積層される。上述したように、1つの態様では、導電性不織ウエブは、合成繊維の含有が可能である。この態様では、不織ウエブは、メルトブローン・ウエブ又はスパンボンド・ウエブのような合成繊維を含有する対向するウエブに接合される。
【0094】
多層製品内に導電性不織ウエブを組み込むことは、各種の有用性と利点を提供する。例えば、生成される多層製品は、比較的良好な強度を有し、比較的柔軟であり、及び/又は、比較的良好な液体ウイッキング性を有する。
【0095】
1つの態様において、導電性繊維は、別個の導電域を形成するように不織ウエブ内に含有される。例えば、1つの態様において、ヘッドボックスは、図7に示すように繊維を縦方向に分離するのに代えて又はこれに加えて、また、繊維を水平方向で分離するように、ヘッドボックスの設計を行う。この方法では、導電性繊維は、ウエブの長さ(機械方向)に沿った特定域内に含有されるのみである。導電域は、パルプ繊維のような非導電性材料を含有するのみの非導電域によって離間される。
【0096】
代替的態様では、非導電域は、異なる導電域を形成するべく、不織ウエブ内に形成される。例えば、図6に示すように、本開示に従い作製された導電性不織ウエブ152が提示される。この態様では、導電域266と268が、ウエブ内にその長さ方向に作製される。導電域266と268は、適合する任意の工程を利用して作製可能である。例えば、導電域266と268は、区分された又は帯状にされたウエブが形成されるよう導電性繊維を幾つかの別異ではない域に付加するゾーン・ヘッドボックスを使用して形成される。すなわち、図6に示すように、導電域266と268の離間が、別個の非導電域260、262、及び264の形成を可能とする。
【0097】
本開示のこれらの及び他の改良及び変更は、より詳細に添付請求項に記載される本開示の精神及び範囲を逸脱することなく当業者には実施可能である。付け加えるに、本開示の各種態様は、全体的又は部分的のいずれにおいても相互に交換可能であることを理解されたい。さらに、当業者は、この明細書の説明が例示のみのためであり、添付請求項に記載の開示を限定する意図ではないことを理解されよう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】国際特許出願第WO00/37009号公報
【特許文献2】米国特許第4940464号明細書
【特許文献3】米国特許第5766389号明細書
【特許文献4】米国特許第6645190号明細書
【特許文献5】米国特許第4704116号明細書
【特許文献6】米国特許第5486166号明細書
【特許文献7】米国特許第5490846号明細書
【特許文献8】米国特許第5820973号明細書
【特許文献9】米国特許出願番号第11/888334号明細書
【特許文献10】米国特許第4793898号明細書
【特許文献11】米国特許第4594130号明細書
【特許文献12】米国特許第3585104号明細書
【特許文献13】米国特許第5595628号明細書
【特許文献14】米国特許第4514345号明細書
【特許文献15】米国特許第4528239号明細書
【特許文献16】米国特許第5098522号明細書
【特許文献17】米国特許第5260171号明細書
【特許文献18】米国特許第5275700号明細書
【特許文献19】米国特許第5328565号明細書
【特許文献20】米国特許第5334289号明細書
【特許文献21】米国特許第5431786号明細書
【特許文献22】米国特許第5496624号明細書
【特許文献23】米国特許第5500277号明細書
【特許文献24】米国特許第5514523号明細書
【特許文献25】米国特許第5554467号明細書
【特許文献26】米国特許第5566724号明細書
【特許文献27】米国特許第5624790号明細書
【特許文献28】米国特許第5628876号明細書
【特許文献29】米国特許第5529665号明細書
【特許文献30】国際出願公開番号第WO99/34057号公報
【特許文献31】国際出願公開番号第WO00/66835号公報
【特許文献32】米国特許第3556932号明細書
【特許文献33】米国特許第3556933号明細書
【特許文献34】米国特許第6224714号明細書
【特許文献35】米国特許第6274667号明細書
【特許文献36】米国特許第6287418号明細書
【特許文献37】米国特許第6365667号明細書
【特許文献38】米国特許第3700623号明細書
【特許文献39】米国特許第3772076号明細書
【特許文献40】米国特許第3855158号明細書
【特許文献41】米国特許第3899388号明細書
【特許文献42】米国特許第4129528号明細書
【特許文献43】米国特許第4147586号明細書
【特許文献44】米国特許第4222921号明細書
【特許文献45】米国特許第5129988号明細書
【特許文献46】米国特許第5429686号明細書
【特許文献47】米国特許第5672248号明細書
【特許文献48】米国特許第5672248号明細書
【特許文献49】米国特許第5656132号明細書
【特許文献50】米国特許第6120642号明細書
【特許文献51】米国特許第6096169号明細書
【特許文献52】米国特許第6197154号明細書
【特許文献53】米国特許第6143135号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、シャーシと、前記シャーシ内に含有される第1及び第2の導電要素を含み、
前記シャーシは、内面と外面を有する外側カバー及び前記外側カバーの内面に隣接して配置された吸収構造物を含み、前記シャーシは、前側領域と後側領域の間に配置された股部分を含み、前記前側領域と後側領域は、その間に腰部分を画定し、
前記第1及び第2の導電要素は、或る物質の存在を検知するように構成された回路の一部を形成し、前記導電要素は、導電性繊維を含む導電性不織ウエブを含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
さらに、第1及び第2のパッド部材を含み、前記第1のパッド部材及び第2のパッド部材が導電性不織ウエブを含むことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
さらに、各々、前記第1及び第2のパッド部材に電気的に接続された第1の端子及び第2の端子を含むシグナル装置を含むことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記不織ウエブ内に含有された前記導電性繊維が炭素繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記不織ウエブは、別個の繊維層を含有する単一層ウエブを含み、前記不織ウエブは、少なくとも第1の層と第2の層を含み、前記導電性繊維は全て前記第2の層内に含有されることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記不織ウエブの前記単一層が、第3の層を含み、前記第2の層が、前記第1の層と前記第3の層の間に配置され、前記第1と第3の層がパルプ繊維を含み、前記第2の層がパルプ繊維と混合された導電性繊維を含むことを特徴とする請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1の導電要素及び前記第2の導電要素が、前記導電性不織ウエブ内に別個の導電域を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記導電性不織ウエブが、少なくとも約50重量%の量のパルプ繊維を含有することを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記導電性不織ウエブが、少なくとも1つの導電域を有しており、この導電域が約1,500オーム/平方メートル未満の抵抗値を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記導電性不織ウエブが、不織フイルム材料又はポリマー・フイルム材料に積層されることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項11】
吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、シャーシと、水分検知装置を含み、
前記シャーシは、内面と外面を有する外側カバー及び前記外側カバーの内面に隣接して配置された吸収構造物を含み、前記シャーシは、前側領域と後側領域の間に配置された股部分を含み、前記前側領域と後側領域は、その間に腰部分を画定し、
前記水分検知装置は、前記吸収性物品内で導電性物質が検知されたときに作動され、前記水分検知装置は、シグナル装置に接続する少なくとも1つの導電要素を含み、前記導電要素は、パルプ繊維と導電性繊維との混合物を含む導電性不織ウエブを含み、前記導電性繊維は、炭素繊維、金属繊維、導電性材料を含有するポリマー繊維、又は、これらの混合物を含み、前記導電要素に導電性物質が接触したとき、前記シグナル装置が、前記導電性物質の存在を示す信号を生成することを特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
前記不織ウエブ内に含有される前記導電性繊維が炭素繊維を含むことを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記不織ウエブが、別個の繊維層を含有する単一層ウエブを含み、前記不織ウエブは、少なくとも第1の層と第2の層を含み、前記導電性繊維は全て前記第2の層内に含有されることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記不織ウエブの前記単一層が、第3の層を含み、前記第2の層が、前記第1の層と前記第3の層の間に配置され、前記第1と第3の層がパルプ繊維を含み、前記第2の層がパルプ繊維と混合された導電性繊維を含むことを特徴とする請求項13に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記水分検知装置は、第2の導電要素から離間した第1の導電要素を含み、前記第1及び第2の導電要素は、前記第1の導電要素と前記第2の導電要素の間に導電性物質が拡散したときに閉じる開回路を形成し、前記第2の導電要素は、また、パルプ繊維と導電性繊維の混合物を含有する導電性不織ウエブを含むことを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記第1の導電要素は、前記第2の導電要素から離間した別個の構造であることを特徴とする請求項15に記載の吸収性物品。
【請求項17】
前記第1の導電要素と前記第2の導電要素は、前記導電性ウエブ内に別々の導電域を含むことを特徴とする請求項15に記載の吸収性物品。
【請求項18】
前記不織ウエブ内に存在する前記導電域の各々が、非導電域によって離間されていることを特徴とする請求項17に記載の吸収性物品。
【請求項19】
前記導電性不織ウエブが、未捲縮の通気乾燥ウエブを含むことを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項20】
前記導電性不織ウエブが、不織フイルム材料又はポリマー・フイルム材料に積層されることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−535053(P2010−535053A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518782(P2010−518782)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052420
【国際公開番号】WO2009/016527
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(309038085)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】