説明

導電性ベルト

【課題】白色度が高く、長期間使用しても磨耗粉による汚染が目立たない導電性ベルトを提供する。
【解決手段】 ゴム100重量部に対して酸化アンチモンドープ酸化錫を被覆した酸化チタン粒子0.1〜40重量部配合したゴム組成物で導電性ベルトを構成する。酸化アンチモンドープ酸化錫を被覆した酸化チタン粒子の構成は、酸化チタンが70〜90重量%、酸化アンチモンドープ酸化錫10〜30重量%(酸化アンチモン0.1〜5重量%、酸化錫5〜29.9重量%)となるよう構成されることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はOA機器等に用いられる導電性ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターや複写機などのOA機器で帯電防止機能を有する導電性ベルトが使用されている。一般に、該導電性ベルトは導電性粉末として配合されるカーボンブラック由来の黒色を呈しているが、経時的に生じる黒色の磨耗粉が周辺機器や搬送物等を汚染することが問題視されていた。
【0003】
このような問題に対して、例えば酸化ジルコニウムや酸化錫により構成した淡色または無色の導電性付与剤を混入した合成ゴムで、背面構成板及びベルト歯などを着色した歯付ベルトが提案されている。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】実公平07−4358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、酸化錫により構成された導電性付与剤を用いた場合、帯電防止機能は有するものの灰色や青色かかった色を呈するため白色度が高いとは言えず、ベルトを所望色に着色するためには、酸化チタンなどの白色顔料を別途加えて白色度を高めた後に、所望の顔料を添加する必要があった。近年では、トランスルーセントのハウジングを用いたOA機器などで意匠性の高い導電性ベルトの需要が増加しており、白色度への要求もより高まっている。
【0005】
上記問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、本発明を提案するものであり、その目的とするところは、白色度が高く、意匠性に優れると共に、長期間使用しても磨耗粉による汚染が目立たない導電性ベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、酸化アンチモンドープ酸化錫を被覆した酸化チタン粒子を配合したゴム組成物で構成されることを特徴とする導電性ベルトである。本発明はまた前記導電性ベルトにあって、ゴム100重量部に対して酸化アンチモンドープ酸化錫を被覆した酸化チタン粒子が0.1〜40重量部配合されている;ゴム組成物はシリカが配合されている発明である。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、導電性粉末として酸化アンチモンドープ酸化錫を被覆した酸化チタン粒子を選択することで、従来のベルトよりも白色度が高く、意匠性に優れると共に、長期間使用しても磨耗粉による汚染が目立たず、しかも帯電防止機能を有する導電性ベルトを提供することができる。また補強材としてシリカを用いることで白色度に悪影響を与えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に本発明の導電性ベルトの一例として平ベルトの部分断面図を示す。平ベルト21は、心体層23を挟むようにゴム配合物からなる搬送部24及び非搬送部22からなる無端ベルトであって、搬送部24で搬送物を搬送するよう構成される。
【0009】
心体層23は、ロープ、編物、織物、不織布等から選択される繊維材料であって、例えば、綿、麻等の天然繊維や金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、又は、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン等の有機繊維等のいずれかが用いられるが、中でもポリエステルが最も好ましい。
【0010】
また本発明に係る導電性ベルトの他の一例として、歯付ベルト1の断面斜視図を図2に、Vリブドベルト10の断面斜視図を図3示す。
【0011】
図2の歯付ベルト1は、ベルト長手方向(図中矢印)に沿って複数の歯部2と、心線3を埋設した背部4から構成されるベルト本体を有し、前記歯部2の表面には必要に応じて歯布5が貼着されている。
【0012】
図3のVリブドベルト10は、カバー帆布15からなる伸張部12と、心線13を埋設した接着層14、その下側に弾性体層である圧縮部16からなっている。この圧縮部16は、ベルト長手方向に延びる断面略三角形である台形の複数のリブを有している。
【0013】
尚、Vリブドベルトは上記構成以外にも、例えば接着層14を配置せず、また背面にカバー帆布15を貼着しないで伸張部12をゴム組成物で構成したVリブドベルトがある。このとき、心線13は伸張部12と圧縮部16の境界領域でベルト本体に埋設されることになる。尚、心線13とベルト本体との接着性を考慮すると、圧縮部16は短繊維を含有しないゴム組成物で構成することが望ましい。また伸張部12は短繊維を含有するゴム組成物で形成することが望ましい。
【0014】
本発明で使用する心線3,13は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ガラス繊維、またはアラミド繊維などから構成されるコードが使用できる。ガラス繊維の組成は、Eガラス、Sガラス(高強度ガラス)のいずれでもよく、フィラメントの太さ及びフィラメントの集束本数及びストランド本数に制限されない。
【0015】
前記心線は接着処理を施されることが望ましく、例えば(1)未処理コードをエポキシ化合物やイソシアネート化合物から選ばれた処理液を入れたタンクに含浸してプレディップした後、(2)160〜200℃に温度設定した乾燥炉に30〜600秒間通して乾燥し、(3)続いてRFL液からなる接着液を入れたタンクに浸漬し、(4)210〜260℃に温度設定した延伸熱固定処理器に30〜600秒間通し−1〜3%延伸して延伸処理コードとする、ことができる。
【0016】
この前処理液で使用するイソシアネート化合物としては、例えば4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリアリールポリイソシアネート(例えば商品名としてPAPIがある)等がある。このイソシアネート化合物はトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用される。
【0017】
また、上記イソシアネート化合物にフェノール類、第3級アルコール類、第2級アルコール類等のブロック化剤を反応させてポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化したブロック化ポリイソシアネートも使用可能である。
【0018】
エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールや、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールとエピクロルヒドリンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物や、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール.ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン.ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類やハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物などである。上記エポキシ化合物はトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用される。
【0019】
RFL処理液はレゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物をゴムラテックスと混合したものであり、この場合レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は1:2〜2:1にすることが接着力を高める上で好適である。モル比が1/2未満では、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂の三次元化反応が進み過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシンとホルムアルデヒドの反応があまり進まないため、接着力が低下する。
【0020】
ゴムラテックスとしては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムなどがあげられる。
【0021】
また、レゾルシン−ホルムアルデヒドの初期縮合物と上記ゴムラテックスの固形分質量比は1:2〜1:8が好ましく、この範囲を維持すれば接着力を高める上で好適である。上記の比が1/2未満の場合には、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が多くなり、RFL皮膜が固くなり動的な接着が悪くなり、他方1/8を超えると、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が少なくなるため、RFL皮膜が柔らかくなり、接着力が低下する。
【0022】
更に、上記RFL液には加硫促進剤や加硫剤を添加してもよく、添加する加硫促進剤は、含硫黄加硫促進剤であり、具体的には2−メルカプトベンゾチアゾール(M)やその塩類(例えば、亜鉛塩、ナトリウム塩、シクロヘキシルアミン塩等)ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)等のチアゾール類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)等のスルフェンアミド類、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等のチウラム類、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(TP)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(PZ)ジエチルジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(EZ)等のジチオカルバミン酸塩類等がある。
【0023】
また、加硫剤としては、硫黄、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛)、過酸化物等があり、上記加硫促進剤と併用することができる。
【0024】
歯付ベルト1の歯部表面を被覆する歯布5としては、平織物、綾織物、朱子織物などからなる帆布が用いられる。これらの織物のベルト長手方向に配置される緯糸としては、例えば0.3〜1.2デニールのパラ系アラミド繊維のフィラメント原糸を収束したマルチフィラメント糸をベルト長手方向の緯糸全量の20〜80重量%含んだものが好ましい。
【0025】
即ち、緯糸はパラ系アラミド繊維のマルチフィラメント糸を含んだ糸であり、このパラ系アラミド繊維のマルチフィラメント糸にメタ系アラミド繊維からなる糸とを含めることができる。具体的な緯糸の構成は、パラ系アラミド繊維のマルチフィラメント糸、メタ系アラミド繊維からなる紡績糸、そしてウレタン弾性糸の3種の糸を合撚したものである。
【0026】
また、他の具体的な緯糸の構成は、パラ系アラミド繊維のマルチフィラメント糸、脂肪族繊維糸(6ナイロン、66ナイロン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等)、そしてウレタン弾性糸の3種の糸を合撚したものであってもよい。
【0027】
歯布5の経糸としては、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維からなるアラミド繊維のフィラメント糸、6ナイロン、6.6ナイロン、12ナイロン等のポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル等のフィラメント糸からなる。好ましくは、アラミド繊維のフィラメント糸が緯糸5にパラ系アラミド繊維のフィラメント原糸を収束したマルチフィラメント糸を使用すれば、剛性のバランスが取れ、均一な厚みの歯布になる。
【0028】
しかし、上記経糸と緯糸の材質はこれらに限定されるものではなく、またその他の形態としてはコード、不織布、編布などが挙げられ特に限定されるものではない。また歯布はソーキング、スプレディング、コーチングなどにより接着ゴムを付着することが望ましい。この際、導電性粉末を混入することもできる。
【0029】
Vリブドベルト10に用いるカバー帆布15は、織物、編物、不織布などから選択される繊維基材である。構成する繊維素材としては、公知公用のものが使用できるが、例えば綿、麻等の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられる。織物の場合は、これらの糸を平織、綾織、朱子織等することにより製織される。
【0030】
上記カバー帆布15は、公知技術に従ってレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス液(RFL液)に浸漬することが好ましい。またRFL液に浸漬後、未加硫ゴムをカバー帆布15に擦り込むフリクションを行ったり、ゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理することができる。尚、RFL液には適宜導電性粉末を混合して処理反に導電性を付与したり、公知の界面活性剤を0.1〜5.0質量%加えてもよい。
【0031】
尚、これら導電性ベルト本体を構成するゴム層を以下のゴム組成物で構成する。図1で示す平ベルトにおいては、搬送部24及び非搬送部22を該ゴム組成物で構成することができる。また図2で示す歯付ベルト1においては、背部4、歯部2を該ゴム組成物で構成することができ、図3に示すVリブドベルト10においては、接着層14、圧縮層16を該ゴム組成物で構成することができる。
【0032】
導電性ベルトを構成するゴムとしては、水素化ニトリルゴム、アクリロニトリルゴム、エチレン−α−オレフィンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、クロロスルホン化ポリエチレン、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ハイパロン、シリコンゴム、フッ素ゴムなどを単体でもしくは混合して用いることができる。
【0033】
酸化アンチモンドープ酸化錫を被覆した酸化チタン粒子は、酸化アンチモンドープ酸化錫を酸化チタン粒子の表面に均一にコーティングした白色度の高い導電性粉末であって、平均一次粒子径が0.005〜0.1μmのものが好ましく用いられる。またその構成は、酸化チタンが70〜90重量%、酸化アンチモンドープ酸化錫10〜30重量%(酸化アンチモン0.1〜5重量%、酸化錫5〜29.9重量%)となるよう構成されることが望ましい。酸化アンチモンドープ酸化錫が10重量%未満では、酸化チタン粒子を完全に被覆することが困難なため、充分な導電性を得ることが難しく、一方で30重量%を超えても、導電性の向上があまり見られない。また酸化アンチモンが0.1重量%未満であるとドープ効果が低く、5重量%を超えると白色度が低下する恐れがある。
【0034】
酸化アンチモンドープ酸化錫を被覆した酸化チタン粒子は、ゴム100重量部に対して0.1〜40重量部配合することが望ましい。0.1重量部未満の場合は、帯電防止、高白色化の効果に乏しく、40重量部を超えると、作業性や加工性などに問題がある。
【0035】
また、上記の導電性粉末以外にもゴムに通常用いられるような補強材、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、オイル、ワックス、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、短繊維、粘着付与剤、スコーチ防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、そして共架橋剤などの配合剤を本発明の目的を逸脱しない範囲で添加することができる。
【0036】
尚、ゴム組成物には白色を呈するシリカを配合することが望ましい。シリカは、ゴム組成物の補強効果を高めるとともに、体積抵抗率を調整することができる。配合量としてはゴム100質量部に対して20〜40質量部の範囲で配合することが望ましい。20質量部未満であると補強効果が充分ではなく、40質量部を超えると作業性が悪化する恐れがある。
【0037】
上記ゴムの架橋には、硫黄や有機過酸化物が使用される。有機過酸化物としては具体的には、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1.1−t−ブチルペロキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(t−ブチルペロキシ)ヘキサン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(t−ブチルペロキシ)ヘキサン−3、ビス(t−ブチルペロキシジ−イソプロピル)ベンゼン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(ベンゾイルペロキシ)ヘキサン、t−ブチルペロキシベンゾアート、t−ブチルペロキシ−2−エチル−ヘキシルカーボネートが挙げられる。この有機過酸化物は、単独もしくは混合物として、通常ゴム100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲で使用される。
【0038】
また加硫促進剤を配合しても良い。加硫促進剤としてはチアゾール系、チウラム系、スルフェンアミド系の加硫促進剤が例示でき、チアゾール系加硫促進剤としては、具体的に2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ジベンドチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩等があり、チウラム系加硫促進剤としては、具体的にテトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラム・ジスルフィド等があり、またスルフェンアミド系加硫促進剤としては、具体的にN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等がある。また、他の加硫促進剤としては、ビスマレイミド、エチレンチオウレアなども使用できる。これら加硫促進剤は単独で使用してもよいし、2種以上の組み合わせで使用してもよい。
【0039】
また、架橋助剤(co−agent)を配合することによって、架橋度を上げて粘着摩耗等の問題を防止することができる。架橋助剤として挙げられるものとしては、TIAC、TAC、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、オキシム類、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−N’−m−フェニレンビスマレイミド、硫黄など通常、有機過酸化物架橋に用いるものであるが、なかでもN−N’−m−フェニレンビスマレイミドが好ましい。その配合量はゴム100重量部に対して、0.5〜10重量部が望ましく、0.5質量部未満では添加による効果が顕著でなく、10質量部を超えると引裂き力や接着力が低下するといった不具合がある。
【0040】
上記ゴム組成物は帯電防止機能を発揮するためには体積固有抵抗率が7logΩ・cm以下に調整されてなることが望ましい。抵抗値は練り条件によっても調整されることから、使用する混練機種によって、適切なフィルファクター、回転数、練り時間等を設定することが好ましい。尚、高フィルファクター、高回転数、長時間の練りなど練り条件が厳しくなると、カーボンストラクチャーが破壊されて抵抗値が上昇する傾向にある。混練機において体積固有抵抗率を調整されたゴム組成物は、その後の成形において抵抗値に大きな影響は現れず、様々な加工法を適用することが可能である。
【0041】
尚、導電性ベルトは上述した平ベルト、歯付ベルト、Vリブドベルトに限定されるものではなく、Vベルトなども本発明の技術範囲に属するものである。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を具体的な実施例を伴って説明する。
【0043】
表1に示す配合に従いゴム組成物を調整し、バンバリーミキサーで混練後、カレンダーロールにて圧延してゴムシートを作製した。尚、導電性粉末の平均一次粒子径は0.02μmであった。ベルト構成としては、非搬送部を形成する厚さ0.4mmのゴムシート、心体層を構成するポリエステルからなる厚さ0.1mmの編布、及び搬送部を形成する厚さ0.5mmのゴムシートを順に円筒状モールドに巻き付けて加硫して円筒状成形体を作製した。該円筒状成形体を所定幅にカットし、1.0mm厚×10mm幅×200mm周長の平ベルトを得た。この平ベルトの体積抵抗、ゴム硬度そして外観(色調)を評価した。
【0044】
【表1】

【0045】
結果、導電性粉末が配合されていない比較例1では、体積抵抗値が高く、帯電防止機能を奏しないことが判った。カーボンブラックを配合した比較例2では、帯電防止機能は満足するものの、ベルトが黒色を呈しており、また酸化アンチモンドープ酸化錫を配合した比較例3では、灰青白色を呈していて、共に白色度としては不充分なものであった。一方で、実施例は体積抵抗値が低く、白色度の高いベルトを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明にかかる導電性ベルトは、帯電防止機能を必要とされる分野に適用でき、具体的にはOA機器などに装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る搬送ベルトの断面斜視図である。
【図2】本発明に係る歯付ベルトの断面斜視図である。
【図3】本発明に係るVリブドベルトの断面斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 歯付ベルト
2 歯部
3 心線
4 背部
5 歯布
10 Vリブドベルト
12 伸張部
13 心線
14 接着層
15 カバー帆布
16 圧縮部
21 平ベルト
22 非搬送部
23 心体層
24 搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化アンチモンドープ酸化錫を被覆した酸化チタン粒子を配合したゴム組成物で構成されることを特徴とする導電性ベルト。
【請求項2】
ゴム100重量部に対して酸化アンチモンドープ酸化錫を被覆した酸化チタン粒子が0.1〜40重量部配合されている請求項1記載の導電性ベルト。
【請求項3】
ゴム組成物はシリカが配合されている請求項1又は2記載の導電性ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−70999(P2006−70999A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255192(P2004−255192)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】