説明

導電性ポリアミドマルチフィラメントおよびそのブラシ

【課題】本発明は、電子写真記録方式の画像形成装置において、感光ドラムを傷つけることなく、残留トナーの除去性が良好で、高画質を得るとともに耐久性を向上させることが可能なブラシを与える導電性ポリアミドマルチフィラメントおよびそれからなるブラシを提供することを目的とする。
【解決手段】導電性カーボンを10〜40重量%含有し、かつ炭素数が15から20である高級脂肪酸金属塩を0.5〜5.0重量%含有することを特徴とする導電性ポリアミドマルチフィラメントを用いてなることを特徴とする電子写真記録方式の画像形成装置用ブラシ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンターなどの画像形成装置に用いられる導電性を有する導電性ポリアミドマルチフィラメントに関するものである。特に、クリーナーブラシとして用いたときの、感光ドラム表面上に残留する残留トナーを清掃する機能として好適なものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真記録方式の画像形成装置は、表面に感光物質が塗布された感光ドラムの表面を一様に帯電させる帯電装置、帯電された感光ドラムに光を照射し画像を形成する露光器、トナーを付着させる現像器、記録媒体にトナーを転写させる転写器、感光ドラムに残ったトナーを除去するクリーナーにより形成されている。このような電子写真記録方式の画像形成装置のクリーナーとしては、感光ドラム表面がトナー像形成用に繰り返し使用されるために、記録媒体にトナーを付着させたあとに感光ドラム表面に残る残留トナーを十分に除去する必要がある。クリーナーとしてマルチフィラメントが使用されるが、このマルチフィラメントには、一般にセルロース系繊維やビニロン導電糸、ナイロン系導電糸が用いられている。
【0003】
セルロース系繊維は、温湿度変化による画像品質のバラツキの問題があるとともに、湿式紡糸のため部分的な繊度斑が発生しやすく、印字において感光ドラムへの帯電斑が発生するため、画質の画像品位を得ることが困難であった。
【0004】
また、ビニロン導電糸では、単糸繊度が4〜5デシテックス程度であり、製織したときの導電糸のパイル密度が約3万本/(2.54cm(inch))2程度となりさらなる画像品質を高画質化するために製織したときの高パイル密度化が望まれている。湿式紡糸のため部分的な繊度斑が発生しやすく、印字において感光ドラムへの帯電斑が発生するため、画質の画像品位を得ることが困難であった。
【0005】
また、特許文献1に記載されている通り、高パイル密度化の方法として、単糸繊度の細繊度化が好ましく、溶融紡糸により細繊度化する方法が知られている。溶融紡糸にはポリエステルやポリアミドが知られているが、ポリエステルを導電ブラシとした場合、ポリエステルの曲げ応力が高いため、長期使用すると接触する感光ドラムに傷が入るという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載されている通り、クリーニング装置におけるクリーニング方式としては、ゴムブレードなどのクリーニングブレードを用いたゴムブレード等のクリーニングブレードを用いたブレードクリーニング方式や、導電性ブラシや磁気ブラシやファーブラシ等のクリーニングブラシを用いたブラシクリーニング方式や、クリーニングロールを用いたロールクリーニング方式が知られている。ブレードクリーニング方式は簡便な構成であるがゆえに最も広く用いられているが、クリーニングブレードと被クリーニング体との機械的摺擦によって被クリーニング体の摩耗が進みやすく、被クリーニング体の大幅な長寿命化が計れないという問題がある。特に、高速機にブレードクリーニング方式のクリーニング装置を適用した場合には、クリーニングブレード先端部の摩滅や欠けがより一層顕著となり、クリーニング信頼性を長期に渡って維持できないという問題がある。一方、クリーニングブラシを用いたブラシクリーニング方式は、クリーニング性能の経時劣化が少なく、特に高速機においては、ブレードクリーニング方式に比して有利である。またブラシクリーニング方式は積極的に電界を利用するクリーニング方式であるため、ブレードクリーニング方式では困難であった球状トナーのクリーニングに対しても優位性を有する。しかしながら、ブラシクリーニング方式の場合、ブレードクリーニング方式に比べ、感光ドラム表面の機械的掻き取り力が弱い欠点があった。
【特許文献1】特開2003−306832号公報([0006]段落)
【特許文献2】特開2007−304246号公報([0004]〜[0014]段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、電子写真記録方式の画像形成装置において、感光ドラムを傷つけることなく、残留トナーの除去性が良好で、高画質を得るとともに耐久性を向上させることが可能なブラシを与える導電性ポリアミドマルチフィラメントおよびそれからなるブラシを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のポリアミドマルチフィラメントは主として次の構成を有する。
(1)導電性カーボンを10〜40重量%含有し、かつ炭素数が15から20である高級脂肪酸金属塩を0.5〜5.0重量%含有することを特徴とする導電性ポリアミドマルチフィラメント。
(2)導電性カーボンを10〜40重量%含有し、かつステアリン酸金属塩を0.5〜5.0重量%含有することを特徴とする導電性ポリアミドマルチフィラメント。
(3)導電性カーボンを10〜40重量%含有し、かつ炭素数が15から20である高級脂肪酸亜鉛塩を0.5〜5.0重量%含有することを特徴とする導電性ポリアミドマルチフィラメント。
(4)上記記載の導電性ポリアミドマルチフィラメントを用いてなることを特徴とする電子写真記録方式の画像形成装置ブラシ。
【発明の効果】
【0009】
本発明の導電性ポリアミドマルチフィラメントは、導電カーボンとともに高級脂肪酸金属塩を含有させることにより、導電ブラシとした時に、感光ドラム表面上に残留する残留トナーを清掃する機能として好適な性能が得られるようになった。この導電ブラシを用いた電子写真記録方式の画像形成装置、特に乾式複写機やファクシミリ、プリンター等において、感光ドラムを傷つけることなく、残留トナーの除去性が良好で、高画質を得るとともに印刷耐久性も向上させることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を構成するポリアミドは、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結された高分子量体であって、主としてポリカプロアミド、もしくはポリヘキサメチレンアジパミドからなるポリアミドである。ここでいう主としてとは、ポリカプロアミドではポリカロアミドを構成するε−カプロラクタム単位とし、ポリヘキサメチレンアジパミドではポリヘキサメチレンアジパミドを構成するヘキサメチレンジアンモニウムアジペート単位として80モル%以上であることをいい、さらに好ましくは90モル%以上である。特にポリカプロアミド、ポリヘキサメチレンアジパミドが好ましい。導電性カーボンの分散性の観点から、ポリカプロアミドが特に好ましい。
【0011】
ここで用いる導電性カーボンは、例えばアセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックなど導電性を有する粉末体であれば特に制限はないが、粉末粒子の大きさが小さく、比較的均一である点で、ファーネスブラックが好ましい。粒子が大きいと、紡糸時の濾過圧上昇の抑制や、紡糸時の糸切れ、繊維の強度の向上を考慮すると、20μm以下のものを用いることが好ましい。また、大日本インキ化学工業製の導電性カーボンブラック粒子分散ナイロンペレット”CARBOREX NYRON YT-01”のように、すでに顔料メーカーで分散調合ナイロンペレット中の導電性カーボン粒子を用いても良い。
【0012】
ポリアミドマルチフィラメント内の導電性カーボンを含有せしめる方法としては、ポリアミドペレットへ導電性カーボンをブレンドし溶融する方法、ポリアミドペレットへ高濃度の導電性カーボンを含有するマスタペレットをブレンドし溶融する方法、溶融状態のポリアミドへ導電性カーボンを添加し混練する方法、溶融状態のポリアミドへ溶融状態の高濃度の導電性カーボンを含有するポリアミドを混練する方法などが挙げられる。なかでも導電性カーボンを含有するマスタペレットをブレンドする方法がコストの点から好ましく用いられる。
【0013】
本発明のポリアミドマルチフィラメント中の導電性カーボンの含有量は10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%である。導電性カーボンの含有量が10重量%未満であると、ポリアミドマルチフィラメントの比抵抗値が低下し、印刷した時に印字が出来ないという問題が発生する。また、導電性カーボンの含有量が40重量%を超えるとポリアミドマルチフィラメントの強度が低下し、操業性が不調となる。
【0014】
本発明のポリアミドマルチフィラメントは、導電性ポリアミドマルチフィラメント中に高級脂肪酸金属塩を0.5〜5.0重量%含有することが必要である。好ましくは1.0〜3.0である。高級脂肪酸金属塩は、0.5重量%未満では、クリーニング性能の改善が十分に発現せず、また、5.0重量%を越えると、導電性ポリアミドマルチフィラメントを溶融紡糸するときに、糸切れの原因となり、操業性を悪化させるとともに、異物除去のために設置したフィルターにトラップされ、濾圧上昇の原因となる。また、ポリアミドマルチフィラメントの強度不足による、成型品の物性低下等の問題を引き起こす。
【0015】
ポリアミドマルチフィラメント内の高級脂肪酸金属塩を含有せしめる方法としては、ポリアミドペレットへ高級脂肪酸金属塩をブレンドし溶融する方法、ポリアミドペレットへ高濃度の高級脂肪酸金属塩を含有するマスタペレットをブレンドし溶融する方法、溶融状態のポリアミドへ高級脂肪酸金属塩を添加し混練する方法、ポリアミドの重合前あるいは重合中の段階で原料あるいは反応系へ高級脂肪酸金属塩を添加する方法などが挙げられるが、両者が均一に混ざればいかなる方法でも良い。
【0016】
本発明で用いる高級脂肪酸金属塩における高級脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸,ステアリン酸、アラキジン酸が挙げられる。なかでもコストの点からステアリン酸が好ましい。また、高級脂肪酸金属塩における金属としては亜鉛、マグネシウム等が挙げられ、特に亜鉛が、コストの点から好ましく用いられる。
【0017】
高級脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、アラキジン酸亜鉛など、およびこれらの混合物が挙げられるが、安価に入手可能なステアリン酸亜鉛を用いることがより好ましい。
【0018】
高級脂肪酸金属塩は、感光ドラムに残留したトナーと逆の帯電特性を有し、トナーとの付着力が高いため、これを用いた本発明の導電性ポリアミドマルチフィラメントは高いクリーニング効果を有している。また、感光ドラムとの摩擦低減作用があり、感光ドラムを傷つけることなく長期にわたってクリーニング効果を持続することが可能である。
【0019】
本発明の導電性ポリアミドマルチフィラメントには、本発明の効果を損なわない範囲において種々の添加剤を含んでも良い。この添加剤を例示すれば、マンガン化合物などの安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、導電性付与剤、繊維状強化剤、耐熱剤などである。
【0020】
本発明の導電性ポリアミドマルチフィラメントは、溶融紡糸により得られる。溶融紡糸方法は原料ポリマーを溶融し、吐出孔から吐出し、冷却、給油した後、1000m/min以下の速度で未延伸糸を一旦巻き取り、巻き取った未延伸糸を延伸機に仕掛けて、1.5〜4倍程度延伸する事ことにより得る方法が一般的である。
【0021】
本発明のポリアミドマルチフィラメントの単糸繊度は0.5〜10デシテックスであることが好ましく、0.5〜8デシテックスであることがより好ましい。単糸繊度が0.5デシテックス未満の場合は、紡糸したときの糸切れが多く、製糸性が悪化する。単糸繊度が10デシテックスを超えると、導電糸のパイル密度が小さくなり、複写したときの画質が低くなる。さらにフルカラーや高画質用途の複写機は、感光ドラム上に帯電させる電荷を高密度に付与する必要があり、導電ブラシのパイル密度を上げるために、単糸繊度を小さくすることが有効である。このような観点から、単糸繊度10デシテックス以下であることがより好ましい。
【0022】
本発明の導電性ポリアミドマルチフィラメントは、その比抵抗値が(温度20℃、湿度30%RH)103〜108Ωcmであることが好ましく、103〜107Ωcmがより好ましい。比抵抗値が103Ωcm未満では、本発明の導電性ポリアミドマルチフィラメントを導電ブラシとし、電圧を掛けた時、電子が隣り合う導電糸に移動し、印刷が出来ないという問題が発生する。比抵抗値が108Ωcmを超えると、電圧を掛けても繊維中を電子が移動出来ずに複写が出来ないという問題が発生するからである。なお、上記において比抵抗値は導電性ポリアミドマルチフィラメントを約1000dtexの束状にして、測定糸長10cmとして、65%RHの湿度で18時間以上放置し、振動容量型超絶縁計で電気抵抗を測定し、糸長および断面積から比抵抗値を算出した。
【0023】
上記比抵抗値は導電性カーボン濃度を上げることですることで値を上昇させることができ、導電性カーボン濃度を低くすることで、低下させることができる。
【0024】
かくして得られる本発明のポリアミドマルチフィラメントは、高いクリーニング性を有しているため、電子写真記録方式の画像形成装置に好ましく用いられる。画像形成装置としては乾式複写機、ファクシミリ、またはプリンターが好ましく挙げられる。
【0025】
上記電子写真記録方式の画像形成装置は、通常表面に感光物質が塗布された感光ドラムの表面を一様に帯電させる帯電装置、帯電された感光ドラムに光を照射し画像を形成する露光器、トナーを付着させる現像器、記録媒体にトナーを転写させる転写器、感光ドラムに残ったトナーを除去するクリーナーにより形成されている。
【0026】
電子写真記録方式の画像形成装置に用いられるブラシとしては、感光ドラム上に残存した電荷およびトナーを除去するクリーニングブラシが挙げれらる。クリーニングブラシは上記においてクリーナーと称する部分の部材である。円柱の金属棒に導電性能を有する繊維からなるパイル織物をバイアスに巻き付けたり、フロックにしたものを電植加工によりロールブラシとして加工する方法などがあげられる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。評価方法は、以下の通りである。
【0028】
A.紡糸糸切れ
導電性ポリアミドを270℃で溶融し、1口金当たり1糸条の丸孔口金より吐出量約40gで吐出し、冷却、給油、速度800m/minにて巻取りを実施した。これを1t紡糸した時の糸切れ回数を次の基準で評価した。
○:3回/t未満、△:4〜8回/t未満、×:8回/t以上。
【0029】
B.紡糸時フィルタ濾圧上昇
導電性ポリアミドを溶融紡糸する際に、紡糸フィルタの濾過圧力Pを測定することによって、下記(2)式から算出し次の基準で評価した。
○:0〜10MPa未満、△:10以上〜20MPa未満、×:20MPa以上
P=P0−P1 (1)
P0:紡糸開始時の濾圧(MPa)
P1:紡糸開始から24時間後の濾圧(MPa)。
【0030】
C.印刷耐久性
電子写真学会が発行するテストチャートを複写し、1枚目と20000枚印字した後の印刷状態(かすれ、スジ)を比較し、下記の、次の基準で10人が評価した。
10点:差異なし(かすれもスジもない)。
5点:やや差異が見られる(目立たないが、かすれ、スジがある)。
1点:差異が見られる(かすれ、スジが明確に観察される)。
これを10人分合計した点数で次の基準で分類した。
◎:75点以上
・ :50点以上75点未満
△:25点以上50点未満
×:25点未満。
【0031】
実施例1
導電性カーボン35重量%を含有するナイロンベースレジンのマスターペレット(大日本インキ化学工業製、商品名 ”CARBOREX NYRON YT-01”)をナイロン6ペレットとブレンドし、カーボン濃度25重量%とし、ステアリン酸亜鉛粉末(日本油脂製、商品名“ジンクステアレートG”)を導電性ポリアミド中2.0重量%になるように添加した。これを巻取り速度800m/minで溶融紡糸し、さらに延伸倍率2.2倍にて延伸し、糸条繊度170デシテックス、30フィラメントの導電性マルチフィラメントヤーンを得た。この時の紡糸糸切れは2.0回/tであり○であった。紡糸時フィルタ濾圧上昇は1MPaであり○であった。得られた導電性カーボン含有ポリアミドマルチフィラメントの比抵抗値は105Ωcmであった。得られたフィラメントをフロックに加工した後、電植加工によりロールブラシとして加工し、レーザービームプリンターに組み込んで印刷耐久性の評価を実施した結果、印刷耐久性は◎であった。
【0032】
実施例2〜5
ステアリン酸亜鉛の添加量および導電性カーボン濃度を表1の添加量および濃度に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電性マルチフィラメントヤーンを得、評価した。実施例2は、濾圧上昇は1MPaであり○、紡糸糸切は1.5回/tあり○、印刷耐久性が○であった。実施例3は、濾圧上昇は2MPaであり○、紡糸糸切は2.5回/tあり○、印刷耐久性が◎であった。実施例4は、濾圧上昇は0.5MPaであり○、紡糸糸切は1.0回/tあり○、印刷耐久性が◎であった。実施例5は、濾圧上昇は7MPaであり○、紡糸糸切は4.0回/tあり○、印刷耐久性が◎であった。
【0033】
実施例6
高級脂肪酸金属塩をステアリン酸マグネシウムに変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電性マルチフィラメントヤーンを得、評価した。この時の紡糸糸切れは1.5回/tであり○であった。紡糸時フィルタ濾圧上昇は1MPaであり○であった。印刷耐久性は◎であった。
【0034】
比較例1
導電性カーボン濃度を5重量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電性マルチフィラメントヤーンを得、評価した。この時の紡糸糸切れは1.0回/tであり○であった。紡糸時フィルタ濾圧上昇は1MPaであり○であった。印刷耐久性は×であった。
【0035】
比較例2
導電性カーボン濃度を50%に変更したペレットを使用した以外は、実施例1と同様の方法で導電性マルチフィラメントヤーンを得、評価した。この時の紡糸糸切れは15.0回/tであり×であった。紡糸時フィルタ濾圧上昇は13MPaであり△であった。印刷耐久性は◎であった。
【0036】
比較例3
高級脂肪酸金属塩を添加しない以外は、実施例1と同様の方法で導電性マルチフィラメントヤーンを得た。この時の紡糸糸切れは1.0回/tであり○であった。紡糸時フィルタ濾圧上昇は1MPaであり○であった。印刷耐久性は×であった。
【0037】
比較例4
ステアリン酸亜鉛の添加量を0.3重量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電性マルチフィラメントヤーンを得た。この時の紡糸糸切れは1.0回/tであり○であった。紡糸時フィルタ濾圧上昇は1MPaであり○であった。印刷耐久性は△であった。
【0038】
比較例5
ステアリン酸亜鉛の添加量を10重量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電性マルチフィラメントヤーンを得た。この時の紡糸糸切れは10回/tであり×であった。紡糸時フィルタ濾圧上昇は12MPaであり△であった。印刷耐久性は◎であった。
【0039】
比較例6
高級脂肪酸金属塩をラウリン酸亜鉛に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電性マルチフィラメントヤーンを得た。この時の紡糸糸切れは1.5回/tであり○であった。紡糸時フィルタ濾圧上昇は1MPaであり○であった。印刷耐久性は×であった。
【0040】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性カーボンを10〜40重量%含有し、かつ炭素数が15から20である高級脂肪酸金属塩を0.5〜5.0重量%含有することを特徴とする導電性ポリアミドマルチフィラメント。
【請求項2】
炭素数が15から20である高級脂肪酸がステアリン酸であることを特徴とする請求項1記載の導電性ポリアミドマルチフィラメント。
【請求項3】
炭素数が15から20である高級脂肪酸金属塩における金属が亜鉛であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか記載の導電性ポリアミドマルチフィラメント。
【請求項4】
請求項1〜4のいずれか記載の導電性ポリアミドマルチフィラメントを用いてなることを特徴とする電子写真記録方式の画像形成装置用ブラシ。

【公開番号】特開2009−210655(P2009−210655A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51264(P2008−51264)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】