説明

導電性ポリエステル繊維

【課題】特定の範囲の電気抵抗値を有し、繊維の長手方向における電気抵抗値のバラツキが少なく、かつ操業性よく得ることが可能であり、制電作業着、ユニフォームなどの衣料用途や、カーテンなどのインテリア用途及び産業資材用途のみならず、電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等に用いられる帯電ブラシ、クリーナーブラシに使用できる導電性ポリエステル繊維を提供する。
【解決手段】複数の単糸で構成されたマルチフィラメントであって、単糸の成分の少なくとも一部がエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、ポリアルキレングリコールを10〜30質量%含有するポリエステルであることを特徴とする導電性ポリエステル繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアルキレングリコールを導電性物質として含有するポリエステルを少なくとも一部の構成成分とするポリエステル繊維であって、導電性特定の範囲の電気抵抗値を有し、かつ長さ方向の導電性能(電気抵抗値)のバラツキが少ないため、制電作業着、ユニフォームなどの衣料用途や、カーテンなどのインテリア用途及び産業資材用途のみならず、電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等に用いられる帯電、除電ブラシ、クリーナーブラシに好適に使用される導電性ポリエステル繊維に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等の疎水性ポリマーからなる繊維は、機械特性、耐薬品性、耐候性等の多くの長所を有しており、衣料用途のみならず産業資材用途にも広く用いられている。しかし、これらの繊維は摩擦等による静電気の発生が著しいため、空気中の粉塵を吸引して美観を低下させたり、人体に電撃を与えて不快感を与えたり、さらにはスパークによる電子機器への障害や、引火性物質への引火爆発等の問題を引き起こす場合がある。そこで、これらの問題を解決するために繊維に導電性を付与することが提案され、多くの研究がなされてきた。
【0003】
特許文献1には、カーボンブラックや金属粉等の導電性粒子を含有する導電性成分を非導電性ポリマーで包み込んだ芯鞘型の複合繊維が記載されている。このような芯鞘型の複合繊維であれば、導電性粒子は繊維の内部のみに存在するので、操業時のトラブルは生じにくく、操業性よく得ることが可能であった。しかしながら、導電性粒子が繊維内部のみに存在するため、導電性能は不十分であった。
【0004】
一方、特許文献2には、導電性粒子を含有する導電性成分を鞘部に配した芯鞘型の導電性複合繊維が記載されている。このような導電性複合繊維は、特許文献1に記載の繊維と比較すると、操業時のトラブルは生じやすいものであったが、導電性能はかなり満足できるものであった。
【0005】
また、近年では、衣料用途以外でも、特に電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等の分野に導電糸が用いられることが多くなった。
【0006】
従来、このような分野に使用する導電糸としては、セルロース系繊維が多く用いられていたが、ポリエステルやポリアミド繊維においても多く提案されてきている。
【0007】
しかしながら、特許文献1、2のような複合繊維(導電部と非導電部が存在する繊維)
では、断面と側面で抵抗値が異なることにより、均一な電気抵抗値が得られにくく、安定した導電性能を得ることが困難であった。また、繰り返し使用するうちに繊維が摩耗し、繊維の一部が欠落することにより、使用当初と同様の電気抵抗値を示すことができなくなり、長期にわたって安定した導電性能を得ることができないという問題もあった。
【0008】
このような問題を解決すべく、特許文献3に示すように、単成分型(複合繊維ではなく、繊維全体にカーボンブラックが含有されているポリエステル導電性繊維)での検討を行っている。しかしながら、カーボンブラックは、一次粒径は小さいものの、2次凝集及びストラクチャー構造により、実粒径は大きいものとなる。このため、操業性が著しく悪くなり、特に、単糸繊度が2dtex以下の繊維を得ることは困難であった。さらには、電気抵抗値のバラツキ(繊維の糸長方向における電気抵抗値のバラツキ)が大きくなるという問題がある。また、カーボンブラックを使用した場合、繊維全体が黒色を有してしまうばかりでなく、染色が出来ないという問題がある。
【0009】
通常、カーボンブラックを含有するポリエステル系導電糸の場合、電気抵抗値は1×106 〜1×109 Ω/cmであり、この範囲でないと安定した電気抵抗値が得られ難い。
【0010】
しかしながら、上記のような電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等の分野においては、帯電ブラシや除電ブラシ、クリーニングブラシ等の様々な用途に使用されるため、用途によって要求される電気抵抗値の範囲も異なるものとなる。特に、電気抵抗値が5×10〜5×1013Ω/cmの領域で安定した電気抵抗値を有するポリエステル繊維を得ることは非常に困難であり、未だに開発されていないのが現状である。
【特許文献1】特開平09−143821号公報
【特許文献2】WO2002/075030号公報
【特許文献3】特開2004−183180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明では上記のような問題点を解決し、特定の範囲の電気抵抗値を有し、繊維の長手方向における電気抵抗値のバラツキが少なく、かつ操業性よく得ることが可能であり、衣料、資材用途のみならず、電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等の帯電ブラシ、クリーニングブラシに好適に使用することができ、かつ色調にも優れた導電性ポリエステル繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
【0013】
すなわち、本発明は、複数の単糸で構成されたマルチフィラメントであって、単糸の成分の少なくとも一部がエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、ポリアルキレングリコールを10〜30質量%含有するポリエステルであることを特徴とする導電性ポリエステル繊維を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の導電性ポリエステル繊維は、特定の範囲の電気抵抗値を有し、繊維の長手方向における電気抵抗値のバラツキが少なく、操業性よく得ることができ、かつ色調も優れているため、衣料、資材用途のみならず、電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等の帯電ブラシ、クリーニングブラシに好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の導電性ポリエステル繊維は、複数の単糸で構成されたマルチフィラメントであって、単糸はポリエステルからなるものである。そして、単糸を構成するポリエステルは、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、ポリアルキレングリコールを10〜30質量%含有するポリエステル(ポリエステルAとする)である。
【0016】
つまり、本発明の繊維を構成する単糸は、ポリエステルAのみからなるもの(単成分型)であっても、ポリエステルAと他の成分とからなるもの(複合型)のいずれであってもよい。複合型の繊維の場合には、鞘成分にポリエステルAを配した芯鞘型の複合繊維や、島成分にポリエステルAを配し、少なくともその一部が繊維表面に露出した海島型の複合繊維とすることが好ましい。また、他の成分としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等を挙げることができるが、ポリエステルを用いることが好ましい。
【0017】
中でも、本発明の繊維を電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等に用いられる帯電、除電ブラシ、クリーナーブラシに使用する際には、繰り返し使用するうちに繊維が摩耗することから、摩耗により繊維の一部が欠落しても使用当初と同様の導電性能を有することができるものとして、単成分型の繊維とすることが好ましい。
【0018】
本発明の繊維においては、ポリアルキレングリコールを導電性成分として用いるものであり、通常用いられるカーボンブラックを使用していないため、摩耗によるカーボンブラックの脱落もなく、外部へのカーボンブラックの飛散もない。このため、繊維の長手方向の電気抵抗値のバラツキ(標準偏差)が小さく、均一な導電性能を長期間維持することができる。また、色調が良好であり染色が可能であるため、多用途での使用が可能となる。
【0019】
ポリエステルAは、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、ポリアルキレングリコールを10〜30質量%含有するものであり、中でも12〜28質量%含有することが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリアルキレングリコールの分子量は特に限定するものではないが、分子量が300〜10000のものが好ましい。
【0020】
そして、これらのポリアルキレングリコールは、共重合されたものであっても、また末端封鎖により共重合性を失ったものでもよい。共重合される場合は2種類以上のランダム共重合体またはブロック共重合体であってもよい。
【0021】
このように、本発明においては、ポリアルキレングリコールを導電性成分として最適な量含有するポリエステルとすることにより、電気抵抗値が5×1010 〜5×1013 Ω/cmであり、繊維の長手方向の電気抵抗値のバラツキ(標準偏差)が0.3以下であるポリエステル繊維とすることができるものである。
【0022】
つまり、通常、カーボンブラックを含有するポリエステル系導電糸の電気抵抗値は、使用するカーボンブラックの導電特性と繊維中のカーボン濃度及びポリエステルの特性により決定されるが、1×106 〜1×109 Ω/cmの領域でないと安定した導電性能(繊維の長手方向の電気抵抗値のバラツキが小さい)が得られ難い。特に、電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等に用いられる帯電、除電ブラシ、クリーナーブラシ等で使用する際に要求される、電気抵抗値が5×1010 〜5×1013 Ω/cmの領域においては、安定した導電性能を得ることは非常に困難であった。
【0023】
本発明においては、導電成分であるカーボンブラックを使用する代わりに、親水基であるポリアルキレングリコールを含有させることにより、電気抵抗値が5×1010 〜5×1013Ω/cmの領域で安定した電気抵抗値を有する導電性ポリエステル繊維を得ることができるものである。
【0024】
なお、本発明における導電性ポリエステル繊維の電気抵抗値は、繊維の糸長方向に100m毎に長さ10cmの試験片を20個採取し、この10cmの試験片の間(両端間)に500Vの電圧をかけて、測定環境20℃、20%RHの条件下、東亜電波工業社製の抵抗値測定機「SM-10E」を使用して測定する。そして、試験片20個の平均値とする。
【0025】
また、本発明における導電性ポリエステル繊維の長手方向の電気抵抗値のバラツキを示す指標である標準偏差は、上記のようにして試験片を500個(500ポイントとは試験片500個で)採取し、上記と同様にして電気抵抗値を測定し、標準偏差を算出するものである。
【0026】
ポリエステルAにおけるポリアルキレングリコールの含有量が10質量%未満であると、親水基が不足するため、電気抵抗値が高くなり、5×1010〜5×1013 Ω/cmの範囲のものが得られない。
【0027】
一方、ポリエステルAにおけるポリアルキレングリコールの含有量が30質量%を超えると、ポリエステル繊維中の親水基量が多くなりすぎるために、水分依存性が高くなり、繊維の長手方向の電気抵抗値のバラツキ(標準偏差)が0.3を超えるものとなる。
さらには、融点が著しく低下し、耐熱性に劣るものとなるばかりではなく、操業性も悪化する。
【0028】
そして、ポリエステルA中には5−アルカリ金属イソフタル酸成分を0.3〜6.0モル%共重合していることが好ましい。上記成分を共重合することにより、さらに電気抵抗値が安定したものとなる。
【0029】
すなわち、5−アルカリ金属イソフタル酸成分の極性基をポリエステルAに共重合させることにより、繊維中に水分を取り込みやすくすることができるため、安定した電気抵抗値とすることができる。
【0030】
5−アルカリ金属イソフタル酸成分の共重合量としては、0.3モル%未満であると、極性基の効果が少なくなる。一方、6.0モル%を超えると、ポリエステルAが増粘されるため、操業性が悪くなるばかりでなく、繊維強度が著しく低下する。
【0031】
5−アルカリ金属イソフタル酸成分として用いられている化合物の中で特に好ましいものとしては、3,5-ジ〔カルボメトキシ〕ベンゼンスルホン酸ナトリウム(またはカリウムもしくはリチウム)、3,5-ジ〔β-ヒドロキシエトキシカルボニル 〕ベンゼンスルホン酸ナトリウム〔またはカリウムもしくはリチウム)等を挙げることができる。
【0032】
また、本発明のポリエステルA中には、結晶性を向上させるために、タルクやマイカ等の結晶核剤を添加してもよい。
【0033】
さらには、本発明の効果を損なわない範囲でならば、本発明の導電性ポリエステル繊維中に第三成分が含有(共重合やブレンド)されていてもよい。このような第三成分としては、フタル酸、イソフタル酸、5-アルカリ金属イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸成分が挙げられる。そして、これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0034】
そして、本発明の導電性ポリエステル繊維は、カーボンブラックを含有しないことが好ましい。カーボンブラックは、一次粒径は小さいものの、2次凝集やストラクチャー構造を呈することにより、実粒径は大きくなる。このため、操業性が著しく悪くなる等の問題があり、特に、単糸繊度が2dtex以下の繊維を得ることは困難となる。
【0035】
したがって、本発明の導電性ポリエステル繊維は、単糸繊度が2dtex以下のものを操業性よく得ることができ、さらには、色調も非常に良好なものとなり、染色が可能であり、あらゆる用途に使用可能となる。
【0036】
中でも本発明の導電性ポリエステル繊維は、繊維の色調を示すL値が50以上であることが好ましく、中でも60以上であることが好ましい。本発明におけるL値とは、本発明の導電性ポリエステル繊維を筒編して、MINORUTA社製色彩色差計 CR-300にて測定するものである。L値が50未満であると、色調に劣るものとなり、染色が困難となるため多用途で使用し難いものとなる。
【0037】
本発明の導電性ポリエステル繊維は、電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等の分野において、帯電ブラシや除電ブラシ、クリーニングブラシ等に使用することが好ましく、このため、得られる画質や製糸性の面から、単糸繊度は0.5〜4.0デシテックスとすることが好ましい。中でも単糸繊度1.5〜3.5デシテックスとすることが好ましい。
また、単糸数は特に限定するものではないが、10〜200とすることが好ましい。
【実施例】
【0038】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。実施例中の各種の値の測定方法、評価方法は以下の通りである。
1.電気抵抗値
上記の方法で測定した。
2.電気抵抗値のバラツキ(標準偏差)
上記の方法で測定した。
3.色調(L値)
上記の方法で測定した。
4.操業性
24時間連続して紡糸を行い、この間の切れ糸回数(一錘あたり)により以下のように3段階で評価した。
○:切糸なし
△:切糸1〜2回
×:切糸3回以上
【0039】
実施例1
ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体(BHET)の存在するエステル化反応缶に、モル比1/1.6 のテレフタル酸とエチレングリコールとのスラリーを連続的に供給し、温度 250℃、圧力0.05kg/cm2 、滞留時間8時間の条件でエステル化反応を行い、エステル化反応率が95%のBHETを連続的に得た。このBHET50kgを重合槽に移送し、数平均分子量が6000であるポリエチレングリコールと5-スルホイソフタル酸ナトリウムを添加した後、275 ℃に加熱し、触媒として三酸化アンチモンを及びリン化合物としてリン酸トリエチルを添加し、常法により減圧下で重縮合反応を行い、ポリエステルAを得た。ポリエステルAは、極限粘度(フェノールと四塩化エタンとの等質量混合液を溶媒とし、温度20℃で測定した)0.64のポリエチレングリコールを15質量%含有し、5-スルホイソフタル酸ナトリウムが、1mol共重合されたポリエチレンテレフタレートであり、常法によりチップ化した。
上記チップを常法により乾燥した後、270℃の押出機に供給し、通常の溶融紡糸装置(紡糸口金には孔径0.25mmの紡糸孔36個が穿設)を用いて溶融紡糸を行った。紡糸された糸条を空気流により冷却し、オイリング装置を通過させて0.5質量%の付着量となるように油剤を付与した。続いて、速度800m/minのローラで引き取り、捲取機にて巻き取り、264dtex/36fの未延伸糸を得た。そして、この未延伸糸を95℃の熱ローラ間で2.64倍に延伸し、さらに、180℃のヒートプレートで熱処理を行った後に巻き取り、100dtex/36fの導電性ポリエステル繊維を得た。
【0040】
実施例2〜3、比較例1〜3
ポリエステルA中のポリエチレングリコールの含有量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0041】
実施例4〜5
ポリエステルA中の5-スルホイソフタル酸ナトリウムの含有量を表1に示すように変更した以外は実施例2と同様に行った。
【0042】
実施例6
孔径0.2mmの紡糸孔72個が穿設された紡糸口金を使用した以外は、実施例1と同様に行った。
【0043】
実施例7
吐出量を変更し、56dtex/72f の導電性ポリエステル繊維を得た以外は、実施例1と同様に行った。
【0044】
比較例4
常法により重縮合反応を行って得た、極限粘度0.68のポリエチレンテレフタレートチップにカーボンブラックを20質量%となるように溶融混練し、常法によりチップ化し、導電性チップを得た。導電性チップを常法により乾燥した後、実施例7と同様にして、56dtex/72fの導電性ポリエステル繊維を得た。
【0045】
実施例1〜7、比較例1〜4で得られた導電性ポリエステル繊維の特性値及び評価を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表1から明らかなように、実施例1〜7で得られた導電性ポリエステル繊維は、操業性よく得ることができ、5×1010〜5×1013Ω/cmの範囲の電気抵抗値を有し、かつ電気抵抗値のバラツキも小さいものであり、安定した導電性能を有するものであった。さらにはL値も50以上であり、色調にも優れていた。
一方、比較例1の導電性ポリエステル繊維は、ポリエステルA中のポリエチレングリコールの含有量が少ないために、導電性能が乏しく、測定不可能であった。比較例2の導電性ポリエステル繊維は、ポリエステルA中のポリエチレングリコールの含有量が多いため、電気抵抗値のバラツキが大きいものとなった。比較例3の導電性ポリエステル繊維は、ポリエステルA中のポリエチレングリコールの含有量が多すぎたため、操業性が悪かったばかりでなく、電気抵抗値のバラツキも大きいものとなった。比較例4の導電性ポリエステル繊維は、カーボンブラックを含有するものであったため、L値が低く、色調に劣るものであり、また、操業性も悪かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単糸で構成されたマルチフィラメントであって、単糸の成分の少なくとも一部がエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、ポリアルキレングリコールを10〜30質量%含有するポリエステルであることを特徴とする導電性ポリエステル繊維。
【請求項2】
電気抵抗値が5×1010 〜5×1013 Ω/cmであり、繊維の長手方向の電気抵抗値のバラツキ(標準偏差)が0.3以下である請求項1記載の導電性ポリエステル繊維。
【請求項3】
ポリエステル中に5−アルカリ金属イソフタル酸成分を0.3〜6.0モル%共重合してなることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性ポリエステル繊維。
【請求項4】
繊維の色調を示すL値が50以上である請求項1〜3いずれかに記載の導電性ポリエステル繊維。

【公開番号】特開2007−284847(P2007−284847A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116785(P2006−116785)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000228073)日本エステル株式会社 (273)
【Fターム(参考)】