説明

導電性粒子の製造方法及びその方法により製造された導電性粒子

【課題】安価かつ簡易に、コア粒子の表面全体において均一に導電層が形成された導電性粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】粉砕媒体を有しない遊星ミルを用いて、コア粒子2と導電性フィラー4とを混合して、コア粒子2の表面2aに導電性フィラー4を付着させることにより、コア粒子2の表面2aにコア粒子2の表面2aを被覆する導電層4を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粒子の製造方法及びその方法により製造された導電性粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、導電層を有する無機系粒子は、多種多様な技術分野で使用されている。例えば、小型化及び軽量化が要求される携帯電話やノート型パソコン等の携帯用電子機器におけるリチウム二次電池の材料や、異方導電性ペースト、異方性導電フィルム、異方性導電接着剤等の異方導電性材料として広く使用されている。
【0003】
この導電性粒子は、コア粒子(無機系粒子)と、当該無機系粒子の表面に形成された導電性フィラーからなる導電層により構成されており、無機系粒子の表面を導電層により被覆することにより無機系粒子自身にはない高度な機能を付与したものである。
【0004】
この導電性粒子としては、例えば、球形状を有するポリスチレン等のコア粒子(樹脂粒子)の表面に導電性フィラーである金が被覆された粒子の表面に,さらに金めっき被膜を形成したものが提案されている。そして、この導電性粒子においては、物理蒸着法や化学蒸着法等の乾式コーティング法により、樹脂粒子の表面に金が被覆されており、この様な方法により、耐久性及び導電性を向上させることができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、コア粒子であるカーボン粒子の表面に導電性フィラーである白金が付着された導電性粒子が提案されている。この導電性粒子においては、カーボン粒子を振動させながら、このカーボン粒子の表面に、物理蒸着法により白金を付着させている。また、物理的蒸着法を行う際に、カーボン粒子と、振動増幅手段とを振動面上に配置し、これらを同時に振動させる構成としている。そして、この様な方法により、カーボン粒子の表面において均一に白金を付着させることができると記載されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−171714号公報
【特許文献2】特開2003−33668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の方法では、コア粒子の表面に導電層を形成するためには、乾式コーティング法を使用しなければならず、この乾式コーティング法は、導電性物質を何らかの手段でターゲットであるコア粒子に向けて飛ばす方法であるため、直進性があり、ターゲットが平板状物である場合は、ターゲットの表面全体に被覆を形成することが可能であるが、ターゲットが粒子である場合は、ターゲットの表面全体に均一に被覆を形成することが困難であるという問題があった。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の方法においては、上述のごとく、別個、振動増幅手段を設ける必要があるため、製造装置の構成が複雑になり、製造コストが増大してしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、安価かつ簡易に、コア粒子の表面全体において均一に導電層を形成できる導電性粒子の製造方法およびその方法により製造された導電性粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、コア粒子と、コア粒子の表面を被覆する導電層とを備える導電性粒子の製造方法であって、粉砕媒体を有しない遊星ミルを用いて、コア粒子と導電層を形成する導電性フィラーとを混合して、コア粒子の表面に導電性フィラーを付着させることにより、コア粒子の表面に導電層を形成することを特徴とする。
【0011】
同構成によれば、別個、振動増幅手段を設けることなく、粉砕媒体を有しない遊星ミルを用いてコア粒子と導電性フィラーとを混合するだけで、コア粒子の表面に導電性フィラーを均一に付着させることができる。従って、安価かつ簡易に、コア粒子の表面全体において均一に導電層が形成された導電性粒子を得ることができる。
【0012】
また、粉砕媒体を使用しないため、原料であるコア粒子と導電性フィラーが粉砕されない。従って、コア粒子と導電性フィラーの粒子径の制御が容易になるため、結果として、導電性粒子の粒子径の制御を容易に行うことが可能になる。また、コア粒子が粉砕されないため、コア粒子と導電性フィラーとを混合する際に、コア粒子の表面における粉砕面の発生を防止することができる。従って、コア粒子に均一な導電層を形成することが可能になる。
【0013】
さらに、粉砕媒体を使用しないため、粉砕媒体と原料であるコア粒子及び導電性フィラーの接触を回避することができる。従って、粉砕媒体に起因するコア粒子及び導電性フィラーの汚染を防止することができるとともに、コア粒子及び導電性フィラーが粉砕媒体の表面に付着するという不都合を防止することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の導電性粒子の製造方法であって、コア粒子に対する導電性フィラーの混合量が、コア粒子100質量部に対して0.1〜6.0質量部であることを特徴とする。
【0015】
同構成によれば、導電率には殆ど寄与しない導電性フィラーの過剰投入に起因するコストアップという不都合を生じることなく、コア粒子の表面全体に導電性フィラーを十分に付着させることが可能になる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の導電性粒子の製造方法であって、コア粒子の平均粒子径をD、導電性フィラーの平均粒子径をDとした場合に、コア粒子の平均粒子径Dと導電性フィラーの平均粒子径Dとの比(D/D)が2531以上16667以下であることを特徴とする。
【0017】
同構成によれば、コア粒子と導電性フィラーの取り扱いが困難になるという不都合を生じることなく、コア粒子に対する導電性フィラーの密着強度の低下を防止することが可能になる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の導電性粒子の製造方法であって、コア粒子が、ガラス粒子、アルミナ粒子、ムライト粒子、及びチタニア粒子からなる群より選ばれる1種であることを特徴とする。
【0019】
同構成によれば、ガラス粒子を使用することにより、導電性粒子の軽量化を図ることができるとともに、導電性粒子の耐熱性を向上させることが可能になる。また、アルミナ粒子、ムライト粒子、チタニア粒子を使用することにより、導電性粒子の耐熱性をさらに向上させることが可能になる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の導電性粒子の製造方法であって、導電性フィラーが、カーボン粒子であることを特徴とする。
【0021】
同構成によれば、カーボン粒子を使用することにより、導電性に優れた導電性粒子を得ることがが可能になる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の導電性粒子の製造方法であって、遊星ミルを用いて、コア粒子と導電性フィラーに対して104G〜150G(ただし、Gは重力加速度)の力を付与することを特徴とする。
【0023】
同構成によれば、導電性フィラーとしてカーボン粒子を使用する場合に、コア粒子の表面全体に導電性フィラーを十分かつ確実に付着させて、コア粒子の表面全体においていっそう均一に導電層を形成させることが可能になる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の導電性粒子の製造方法であって、コア粒子と導電性フィラーとの混合時間が、5分以上20分以下であることを特徴とする。
【0025】
同構成によれば、導電性フィラーとしてカーボン粒子を使用する場合に、コア粒子の表面全体に導電性フィラーを十分かつ確実に付着させて、コア粒子の表面全体においてよりいっそう均一に導電層を形成させることが可能になる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の導電性粒子の製造方法であって、導電性フィラーが、導電性セラミック粒子であることを特徴とする。
【0027】
同構成によれば、導電性セラミック粒子を使用することにより、耐熱性に優れた導電層を形成して、導電性粒子の耐熱性を向上させることができる。
【0028】
なお、請求項9に記載の発明のように、請求項8に記載の導電性粒子の製造方法において、導電性セラミック粒子を、インジウム−スズ酸化物、スズ−アンチモン酸化物、酸化亜鉛、及び酸化スズからなる群より選ばれる1種とすることができる。
【0029】
請求項10に記載の発明は、請求項8または請求項9に記載の導電性粒子の製造方法であって、遊星ミルを用いて、コア粒子と導電性フィラーに対して9G〜26G(ただし、Gは重力加速度)の力を付与することを特徴とする。
【0030】
同構成によれば、導電性フィラーとして導電性セラミック粒子を使用する場合に、コア粒子の表面全体に導電性フィラーを十分かつ確実に付着させて、コア粒子の表面全体においていっそう均一に導電層を形成させることが可能になる。
【0031】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の導電性粒子の製造方法であって、コア粒子と導電性フィラーとの混合時間が、10分以上50分以下であることを特徴とする。
【0032】
同構成によれば、導電性フィラーとして導電性セラミック粒子を使用する場合に、コア粒子の表面全体に導電性フィラーを十分かつ確実に付着させて、コア粒子の表面全体においてよりいっそう均一に導電層を形成させることが可能になる。
【0033】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の製造方法により製造された導電性粒子である。
【0034】
同構成によれば、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の製造方法と同様の効果を得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、安価かつ簡易に、コア粒子の表面全体において均一に導電層が形成された導電性粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る導電性粒子の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る導電性粒子の製造方法において使用する遊星ミルの全体構成を示す断面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2に示す遊星ミルが備えるミルポットの内部におけるコア粒子と導電性フィラーの動作を説明するための図である。
【図5】実施例1で得られた導電性粒子を示す顕微鏡写真(SEM写真)である。
【図6】実施例で使用した抵抗測定装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0038】
図1は、本発明の実施形態に係る導電性粒子の構造を示す断面図である。
【0039】
図1に示すように、導電性粒子1は、コア粒子2と、当該コア粒子2の表面2a上に形成され、コア粒子2の表面2aを被覆する導電層(導電性皮膜)3とを有している。
【0040】
この導電性粒子1は、携帯用電子機器におけるリチウム二次電池の材料や、異方導電性ペースト、異方性導電フィルム、異方性導電接着剤等の異方導電性材料等に使用されるものである。
【0041】
また、図1に示すように、導電層3は、コア粒子2の表面2aに付着した複数の導電性フィラー4により形成されている。
【0042】
コア粒子2としては、特に限定されず、有機系粒子やセラミック粒子等の絶縁性の粒子が使用できるが、導電性粒子1の耐熱性を向上させるとの観点からセラミック粒子であることが好ましい。このセラミック粒子としては、ガラス粒子や、アルミナ粒子、ムライト粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、ジルコン粒子、及びマグネシア粒子等の耐熱性のあるセラミック粒子が好適に使用され、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。また、導電性粒子1の軽量化を図るとともに、導電性粒子1の耐熱性を向上させるとの観点から、ガラス粒子を使うこともできる。
【0043】
また、コア粒子2の形状は、特に限定されず、球状、粒状、針状、フレーク状、板状等のいずれの形状であってもよいが、導電層3を均一に形成するの観点から、コア粒子2の形状は球状が好ましい。
【0044】
また、コア粒子2としては、平均粒子径が、100μm以上500μm以下のものを使用することが好ましい。
【0045】
なお、ここで言う「平均粒子径」とは、一次粒子の平均粒子径のことを言い、50%粒径(D50)を指し、レーザードップラー法を応用した粒度分布測定装置(日機装(株)製、ナノトラック(登録商標)粒度分布測定装置UPA−EX150)等により測定できる。
【0046】
導電性フィラー4としては、特に限定はされないが、本実施形態においては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等のカーボン粒子や、金、銀、銅等の金属粒子、インジウム−スズ酸化物(ITO)、スズ−アンチモン酸化物(ATO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、ガリウム−亜鉛酸化物(GZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)等の金属酸化物系の導電性セラミック粒子が使用が好適に使用され、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。このうち、耐熱性に優れた導電層3を形成して、導電性粒子1の耐熱性を向上させるとの観点から、導電性セラミック粒子を使用することが好ましい。また、導電性に優れた導電性粒子1を得るとの観点から、カーボン粒子を使うこともできる。
【0047】
また、導電性フィラー4の形状やサイズは、コア粒子2の形状やサイズに依存し、コア粒子に相似する粒子形態を有している。導電性フィラー4の形状は、特に限定されず、球状、粒状、針状、フレーク状、板状等のいずれの形状であってもよいが、導電層3を均一に形成するとの観点から、導電性フィラー4の形状は球状が好ましい。
【0048】
また、導電性フィラー4としては、平均粒子径が、0.02μm以上0.04μm以下のものを使用することが好ましい。
【0049】
また、コア粒子2の平均粒子径をD、導電性フィラー4の平均粒子径をDとした場合に、DとDの比(D/D)は2531以上16667以下であることが好ましい。これは、DとDの比が2531未満の場合は、コア粒子2に対する導電性フィラー4のサイズが大きくなるため、コア粒子2に対する導電性フィラー4の密着強度が低下する場合があるためである。また、DとDの比が2531未満、または16667よりも大きい場合は、コア粒子2と導電性フィラー4の取り扱いが困難になるという不都合が生じる場合があるためである。
【0050】
次に、本発明の実施形態に係る導電性粒子の製造方法について説明する。
【0051】
本実施形態における導電性粒子は、コア粒子の粉末と導電性フィラーとを混合することによって得ることができる。
【0052】
そして、本実施形態においては、導電性フィラーとコア粒子の粉末とを攪拌混合するための機器として、遊星ミルを使用する点に特徴がある。
【0053】
一般に、遊星ボールミルは、テーブルに支持した複数個のミルポットを公転させながら自転させ、各ミルポットに被砕物である原料と粉砕媒体である鋼球等のボールを装入して、被砕物をボールに衝突させて粉砕するものである。
【0054】
一方、本実施形態においては、ミルポットに原料であるコア粒子の粉末と導電性フィラーのみを充填し、遊星運動により、コア粒子の粉末と導電性フィラーを混合して攪拌することにより、導電性粒子を製造する構成としている。
【0055】
即ち、本実施形態においては、遊星ボールミルにおいて使用される上述の粉砕媒体である鋼球等のボールを使用しないで、原料であるコア粒子2と導電性フィラー4を粉砕することなく、遊星ミルを用いてコア粒子2と導電性フィラー4とを混合するだけで、コア粒子の粉末の表面に導電性フィラーを均一に付着させて、コア粒子2の表面2aが導電層3により被覆された導電性粒子1を製造する点に特徴がある。
【0056】
このような方法により、上記従来技術とは異なり、別個、振動増幅手段を設けることなく、安価かつ簡易に、コア粒子2の表面2a全体において均一に導電層3が形成された導電性粒子1を得ることができる。
【0057】
図2は本発明の実施形態に係る導電性粒子の製造方法において使用する遊星ミルの全体構成を示す断面図であり、図3は、図2のA−A断面図である。また、図4は、図2に示す遊星ミルが備えるミルポットの内部におけるコア粒子と導電性フィラーの動作を説明するための図である。
【0058】
図2に示すように、遊星ミル10は、回転駆動される垂直な中心軸11と、中心軸11と一体に回転する上下のテーブル12a,12bと、上下のテーブル12a,12bにケーシング13を介して軸受14で回転自在に支持された4個のミルポット15により構成されている。より具体的には、上下のテーブル12a,12bは、4個のミルポット15を回転自在に支持した状態で回転可能な支持部材として機能する。
【0059】
そして、中心軸11に取り付けられた太陽歯車16と各ケーシング13に取り付けられた遊星歯車17との噛み合いによって、各ミルポット15が中心軸11の回りを公転しながら自転する。
【0060】
なお、遊星ミル10全体は防音カバー18で覆われ、基台19に軸受20で支持された中心軸11は、プーリ21に巻き掛けられるベルト(図示省略)で回転駆動されるようになっている。
【0061】
ミルポット15は、ケーシング13に上方から挿入して固定される筒状の本体に上蓋と下蓋を設けたものであり、上蓋を開けて原料であるコア粒子2及び導電性フィラー4が装入され、製造された導電性粒子1は下蓋を開けて取り出される構成となっている。なお、ケーシング13とミルポット15は鋼鉄系材料で形成されている。
【0062】
そして、図4に示すように、各ミルポット15内に、粉末状のコア粒子2と導電性フィラー4を装入(投入)した後、ミルポット15を上下の回転台であるテーブル12a,12bに支持する。そして、中心軸11に取り付けられた太陽歯車16と各ケーシング13に取り付けられた遊星歯車17の噛み合いによって、各ミルポット15が、中心軸11の回りを図中の矢印Aの方向に公転しながらミルポット15自身の回転軸の回りを図中の矢印Bの方向に自転する。
【0063】
そうすると、各ミルポット15において、図4に示すように、コア粒子2と導電性フィラー4が、公転と自転による遠心力を受けて混合され、混合の際のコア粒子2と導電性フィラー4との間の摩擦的作用により、コア粒子2の表面2aに導電性フィラー4が均一に付着し、コア粒子2の表面2aに付着した複数の導電性フィラー4により、コア粒子2の表面2aを被覆する導電層3が均一に形成されることにより、導電性粒子1が形成される。
【0064】
このように、本実施形態においては、粉砕媒体であるボールを有しない遊星ミル10を用いて、コア粒子2と導電層3を形成する導電性フィラー4とを混合して、コア粒子2の表面に導電性フィラー4を付着させて、コア粒子2の表面に導電層3を形成する構成としている。
【0065】
この際、本実施形態における遊星ミル10では、上述のごとく、遊星ボールミルにおいて使用される上述のボールを使用しないため、ミルポット15に投入された原料であるコア粒子2と導電性フィラー4が粉砕されない。従って、コア粒子2と導電性フィラー4の粒子径の制御が容易になるため、結果として、導電性粒子1の粒子径の制御を容易に行うことが可能になる。また、コア粒子2が粉砕されないため、コア粒子2と導電性フィラー4とを混合する際に、コア粒子2の表面における粉砕面の発生を防止することができる。従って、コア粒子2に均一な導電層3を形成することが可能になる。
【0066】
さらに、遊星ボールミルにおいて使用される上述のボールを使用しないため、ボールと原料であるコア粒子2及び導電性フィラー4の接触を回避することができる。従って、ボールに起因するコア粒子2及び導電性フィラー4の汚染を防止することができるとともに、コア粒子2及び導電性フィラー4がボールの表面に付着するという不都合を防止することができる。
【0067】
なお、本実施形態においては、コア粒子2の表面2a全体に導電性フィラー4を十分かつ確実に付着させて、コア粒子2の表面2a全体においていっそう均一に導電層3を形成させるとの観点から、導電性フィラー4としてカーボン粒子を使用する場合は、遊星ミル10を用いて、コア粒子2と導電性フィラー4に対して104G〜150G(ただし、Gは重力加速度)の力(遠心加速度)を付与することが好ましい。また、導電性フィラー4として導電性セラミック粒子を使用する場合は、遊星ミル10を用いて、コア粒子2と導電性フィラー4に対して9G〜26Gの力(遠心加速度)を付与することが好ましい。
【0068】
なお、本実施形態においては、コア粒子2と導電性フィラー4が装入されたミルポット15を、上述のごとく、公転させながら自転させることにより、コア粒子2と導電性フィラー4に対して、上述の重力加速度の力を付与する。
【0069】
また、遊星ミル10を用いて、コア粒子2と導電性フィラー4に対して付与する力(遠心加速度)は、遊星ミルの運転条件から、下記の式(1)に従って算出することができる。
【0070】
(式1)
g*=ω×(H+D×(1+R))/(g×2) (1)
(g*:遠心加速度(G)、ω:公転角速度(rad/s)、H:公転直径(m)=0.38m、D:ミルポット内径(m)=0.1m、R:自転/公転比、g:重力加速度(m/s)=9.8m/s
【0071】
本実施形態では、公転直径H、ミルポット内径Dを、上述の数値に固定し、自転/公転比Rと公転角速度ωを制御することにより、コア粒子2と導電性フィラー4に対して付与する遠心加速度を制御する構成としている。
【0072】
また、自転/公転比Rは、太陽歯車16と遊星歯車17を組み替えることにより、変更することができる。また、公転角速度ωは、インバーター制御することにより、自在に変更することができる。
【0073】
また、コア粒子2の表面2a全体に導電性フィラー4を十分かつ確実に付着させて、コア粒子2の表面2a全体においてよりいっそう均一に導電層を形成させるとの観点から、導電性フィラー4としてカーボン粒子を使用する場合は、遊星ミル10におけるコア粒子2と導電性フィラー4との攪拌混合時間は5〜20分であることが好ましい。また、導電性フィラー4として導電性セラミック粒子を使用する場合は、遊星ミル10におけるコア粒子2と導電性フィラー4との攪拌混合時間は10〜50分であることが好ましい。
【0074】
なお、上述のミルポット15の回転速度、中心軸11の回転速度、及び攪拌時間は、使用するコア粒子2及び導電性フィラー4の種類に応じて、上記範囲内において、適宜、設定することができる。
【0075】
また、ミルポット15に投入されるコア粒子2と導電性フィラー4の投入量は、コア粒子100質量部に対して導電性フィラーの投入量が0.1〜6.0質量部の割合となるように設定する。即ち、コア粒子2に対する導電性フィラー4の混合量を、コア粒子100質量部に対して0.1〜6.0質量部に設定する。
【0076】
これは、導電性フィラー4の投入量(混合量)が0.1質量部未満の場合には、導電性フィラー4の量が少ないため、コア粒子2の表面2a全体に導電性フィラー4を十分に付着させることが困難になる場合があるためであり、また、導電性フィラー4の投入量を6.0質量部よりも多くしても、導電率には殆ど寄与せず、導電性フィラーの投入量の増加に伴いコストがアップするという不都合を生じる場合があるためである。
【0077】
即ち、導電性フィラーの投入量を0.1〜6.0質量部の割合となるように設定することにより、導電率には殆ど寄与しない導電性フィラーの過剰投入に起因するコストアップという不都合を生じることなく、コア粒子の表面全体に導電性フィラーを十分に付着させることが可能になる。
【実施例】
【0078】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0079】
(実施例1)
(導電性粒子の作製)
遊星ミル(栗本鐵工所(株)製、商品名:ハイジー)を使用して、コア粒子と導電性フィラーの混合を行い、導電性粒子を作製した。より具体的には、コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)を使用するとともに、導電性フィラーとして、カーボンブラック(平均粒子径:0.0395μm)を使用した。そして、ミルポットに、アルミナを100g投入するとともに、カーボンブラックを0.2g投入し、コア粒子と導電性フィラーに対して150Gの力を付与して、15分間、アルミナとカーボンブラックの混合を行い、アルミナの表面が、カーボンブラックにより形成された導電層により被覆された導電性粒子を作製した。
【0080】
なお、図5に、本実施例で得られた導電性粒子の顕微鏡写真(SEM写真)を示す。図5に示すように、コア粒子であるアルミナの表面全体において均一に導電層が形成されていることが判る。
【0081】
(導電率測定)
次に、デジタルマルチメータ(ケースレーインスツルメント製、商品名:model2100)を使用して、作製した導電性粒子の抵抗値を測定した。使用した抵抗測定装置を図6に示す。この抵抗測定器20は、中心に内径Dが10mmの貫通孔22を有するシリコン樹脂製のセル21と、貫通孔22に挿入される略円柱形状の電極部23を有する略円柱形状の蓋部材24とを備えている。なお、2つの電極部23は、貫通孔22に挿入した場合に、2つの電極部23の先端部が接触する程度の高さを有している。また、図6に示すように、蓋部材24の側面部には突起部25が設けられており、突起部25には、測定器のリード線26が接続できるようになっている。
【0082】
そして、図6に示すように、貫通孔22の一方から蓋部材24の電極部23を挿入した後、電極部23の先端部上に作製した導電製粒子1(0.5g)を載置して、貫通孔22の内部に導電性粒子1を充填してタッピングを行い、次いで、貫通孔22の他方から他の蓋部材24の電極部23を挿入して、2つの電極部23により、導電性粒子1を挟持し、突起部25に測定器であるデジタルマルチメータ(ケースレーインスツルメント製、商品名:model2100)のリード線26を接続して、導電性粒子1の抵抗値Rを測定した。以上の結果を表1に示す。
【0083】
次いで、図6に示す導電性粒子1の厚み(即ち、2つの電極部23間の距離)Lを測定するとともに、上述の測定した抵抗値Rを使用して、下記の式(2)に従って、作製した導電性粒子の導電率を算出した。
【0084】
(式2)
導電率〔S/cm〕=4L/πDR (2)
(L:導電性粒子の厚み〔cm〕、D:貫通孔の内径〔cm〕、R:抵抗値〔Ω〕)
【0085】
なお、導電性粒子として幅広い用途に適用することが可能であるとの観点から、導電率が0〔S/cm〕より大きく、かつ目視により粒子表面の導電層に欠落が生じていないものを導電性が良好なものとして評価した。以上の結果を表1に示す。
【0086】
(実施例2)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:300μm)を使用するとともに、カーボンブラックの投入量を0.3gに変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0087】
(実施例3)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:200μm)を使用するとともに、カーボンブラックの投入量を0.5gに変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0088】
(実施例4)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:100μm)を使用するとともに、カーボンブラックの投入量を1.0gに変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0089】
(実施例5)
導電性フィラーとして、カーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を0.6g)を使用するとともに、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、アルミナとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0090】
(実施例6)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:300μm)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を1.0g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、アルミナとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0091】
(実施例7)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:200μm)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を1.5g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、アルミナとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0092】
(実施例8)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:100μm)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を3.0g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、アルミナとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0093】
(実施例9)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:200μm)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにATO(平均粒子径:0.02μm、投入量を0.9g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、アルミナとATOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0094】
(実施例10)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:200μm)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりに酸化亜鉛(平均粒子径:0.03μm、投入量を1.2g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、20分間、アルミナと酸化亜鉛の混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0095】
(実施例11)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:200μm)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりに酸化亜鉛(平均粒子径:0.03μm、投入量を2.4g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、40分間、アルミナと酸化亜鉛の混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0096】
(実施例12)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:200μm)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりに酸化スズ(平均粒子径:0.03μm、投入量を1.5g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、20分間、アルミナと酸化亜鉛の混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0097】
(実施例13)
コア粒子としてアルミナ(平均粒子径:500μm)の代わりにアルミナ(平均粒子径:200μm)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりに酸化スズ(平均粒子径:0.03μm、投入量を3.5g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、45分間、アルミナと酸化亜鉛の混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0098】
(実施例14)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:500μm、投入量70g)を使用するとともに、カーボンブラックの投入量を0.1gに変更し、コア粒子と導電性フィラーに対して104Gの力を付与して、10分間、ガラスとカーボンブラックの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0099】
(実施例15)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:300μm、投入量70g)を使用するとともに、コア粒子と導電性フィラーに対して104Gの力を付与して、10分間、ガラスとカーボンブラックの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0100】
(実施例16)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:200μm、投入量70g)を使用するとともに、カーボンブラックの投入量を0.3gに変更し、コア粒子と導電性フィラーに対して104Gの力を付与して、10分間、ガラスとカーボンブラックの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0101】
(実施例17)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:100μm、投入量70g)を使用するとともに、カーボンブラックの投入量を0.3gに変更し、コア粒子と導電性フィラーに対して150Gの力を付与して、20分間、ガラスとカーボンブラックの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0102】
(実施例18)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:500μm、投入量70g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を0.6g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、15分間、ガラスとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0103】
(実施例19)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:300μm、投入量70g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を1.0g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、15分間、ガラスとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0104】
(実施例20)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:200μm、投入量70g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を1.5g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、15分間、ガラスとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0105】
(実施例21)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:100μm、投入量70g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を3.0g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、15分間、ガラスとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0106】
(実施例21)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:200μm、投入量70g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を3.0g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、30分間、ガラスとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0107】
(実施例23)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:200μm、投入量70g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにATO(平均粒子径:0.02μm、投入量を0.9g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、15分間、ガラスとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0108】
(実施例24)
コア粒子としてアルミナの代わりにガラス(平均粒子径:200μm、投入量70g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにATO(平均粒子径:0.02μm、投入量を4.2g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、50分間、ガラスとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0109】
(実施例25)
コア粒子としてアルミナの代わりにムライト(平均粒子径:200μm、投入量80g)を使用するとともに、カーボンブラックの投入量を0.6gに変更し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、15分間、ムライトとカーボンブラックの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0110】
(実施例26)
コア粒子としてアルミナの代わりにムライト(平均粒子径:200μm、投入量80g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を2.0g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、25分間、ムライトとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0111】
(実施例27)
コア粒子としてアルミナの代わりにムライト(平均粒子径:200μm、投入量80g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を4.6g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、25分間、ムライトとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0112】
(実施例28)
コア粒子としてアルミナの代わりにムライト(平均粒子径:200μm、投入量80g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにATO(平均粒子径:0.02μm、投入量を1.2g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して26Gの力を付与して、15分間、ムライトとATOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0113】
(実施例29)
コア粒子としてアルミナの代わりにムライト(平均粒子径:200μm、投入量80g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりに酸化亜鉛(平均粒子径:0.03μm、投入量を3.5g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、25分間、ムライトと酸化亜鉛の混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0114】
(実施例30)
コア粒子としてアルミナの代わりにチタニア(平均粒子径:400μm、投入量120g)を使用するとともに、カーボンブラックの投入量を0.3gに変更し、コア粒子と導電性フィラーに対して150Gの力を付与して、5分間、チタニアとカーボンブラックの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0115】
(実施例31)
コア粒子としてアルミナの代わりにチタニア(平均粒子径:400μm、投入量120g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を0.8g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、10分間、チタニアとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0116】
(実施例32)
コア粒子としてアルミナの代わりにチタニア(平均粒子径:400μm、投入量120g)を使用するとともに、導電性フィラーとしてカーボンブラックの代わりにITO(平均粒子径:0.03μm、投入量を3g)を使用し、コア粒子と導電性フィラーに対して9Gの力を付与して、40分間、チタニアとITOの混合を行ったこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして導電性粒子を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、導電率測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0117】
【表1】

【0118】
表1に示すように、実施例1〜32のいすれの導電性粒子も、高い導電性を有しており、遊星ミルのミルポットに原料であるコア粒子と導電性フィラーのみを充填して、遊星運動により、コア粒子の粉末と導電性フィラーを混合して攪拌するという簡単な方法により、コア粒子の表面全体において均一に導電層が形成された導電性に優れた導電性粒子を得ることができることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上説明したように、本発明は、コア粒子の表面に導電層が被覆された導電性粒子の製造方法及びその方法により製造された導電性粒子に適している。
【符号の説明】
【0120】
1 導電性粒子
2 コア粒子
2a コア粒子の表面
3 導電層
4 導電性フィラー
10 遊星ミル
12a、12b テーブル(支持部材)
15 ミルポット
コア粒子の平均粒子径
導電性フィラーの平均粒子径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア粒子と、前記コア粒子の表面を被覆する導電層とを備える導電性粒子の製造方法であって、
粉砕媒体を有しない遊星ミルを用いて、前記コア粒子と前記導電層を形成する導電性フィラーとを混合して、前記コア粒子の表面に前記導電性フィラーを付着させることにより、前記コア粒子の表面に前記導電層を形成することを特徴とする導電性粒子の製造方法。
【請求項2】
前記コア粒子に対する前記導電性フィラーの混合量が、コア粒子100質量部に対して0.1〜6.0質量部であることを特徴とする請求項1に記載の導電性粒子の製造方法。
【請求項3】
前記コア粒子の平均粒子径をD、前記導電性フィラーの平均粒子径をDとした場合に、コア粒子の平均粒子径Dと前記導電性フィラーの平均粒子径Dとの比(D/D)が2531以上16667以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性粒子の製造方法。
【請求項4】
前記コア粒子が、ガラス粒子、アルミナ粒子、ムライト粒子、及びチタニア粒子からなる群より選ばれる1種であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の導電性粒子の製造方法。
【請求項5】
前記導電性フィラーが、カーボン粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の導電性粒子の製造方法。
【請求項6】
前記遊星ミルを用いて、前記コア粒子と前記導電性フィラーに対して104G〜150G(ただし、Gは重力加速度)の力を付与することを特徴とする請求項5に記載の導電性粒子の製造方法。
【請求項7】
前記コア粒子と前記導電性フィラーとの混合時間が、5分以上20分以下であることを特徴とする請求項6に記載の導電性粒子の製造方法。
【請求項8】
前記導電性フィラーが、導電性セラミック粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の導電性粒子の製造方法。
【請求項9】
前記導電性セラミック粒子が、インジウム−スズ酸化物、スズ−アンチモン酸化物、酸化亜鉛、及び酸化スズからなる群より選ばれる1種であることを特徴とする請求項8に記載の導電性粒子の製造方法。
【請求項10】
前記遊星ミルを用いて、前記コア粒子と前記導電性フィラーに対して9G〜26G(ただし、Gは重力加速度)の力を付与することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の導電性粒子の製造方法。
【請求項11】
前記コア粒子と前記導電性フィラーとの混合時間が、10分以上50分以下であることを特徴とする請求項10に記載の導電性粒子の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の製造方法により製造された導電性粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−129373(P2011−129373A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286686(P2009−286686)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】