説明

導電性部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

【課題】 電子写真装置の導電性部材において、過放電起因のピンホールリーク、および、白ポチ画像の発生を抑制する導電性部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】 導電性基体1の上に表面層2を有する導電性部材であって、表面層2が電子導電性ゴムからなり、かつ、樹脂をシェルとする中空粒子を含有する多孔質体であり、前記樹脂がエチレンオキサイド由来のユニットを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性部材、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置(以下、「電子写真装置」と呼ぶ)に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置には、例えば、帯電部材、現像部材、転写部材などの部材として導電性部材が使用されている。
【0003】
ここで、導電性部材を感光体に当接させて帯電部材として使用する場合において、感光体のピンホールが存在すると、その部分に過大な電流が流れる、いわゆるピンホールリークが生じ、電子写真画像に欠陥を生じさせることがある。感光体のピンホールに過剰な電流が流れると、その電荷がピンホールの周囲にまで流れ込み、ピンホールのサイズの数倍のサイズのドットが電子写真画像に現れることとなる。
ピンホールリークの発生に関して、帯電ローラ側の原因の一つとして過放電がある。帯電ローラの幅方向の表面において、電気抵抗や静電容量にムラが存在した場合、感光体との間の放電電圧が長手方向において分布を持ち、放電が集中する箇所が現れることがある。この放電の集中する箇所においてピンホールリークは発生しやすい。上記したようなピンホールリークの解決手段として、導電性弾性層の表面に導電性弾性層に比べ抵抗の高い樹脂層を保護層として設けることが行われている。確かに、保護層の電気抵抗が高いほど、ピンホールリークを生じにくくなるが、感光体を帯電させる能力(帯電能)は逆に保護層の電気抵抗が高くなるほど低下していく。
また、帯電ローラの幅方向での電気抵抗や静電容量のムラに起因して、感光体の所定箇所に放電が集中した場合、当該箇所の電位が著しく高くなることがある。その結果、当該箇所の電位は、露光によっても十分に下がらず、そこにトナーが十分に付着しないことにより、電子写真画像に白点(以降、「白ポチ」ともいう)が生じることがある。
【0004】
そのため、保護層に導電性粒子を含有させて、保護層の導電性を中抵抗に制御することが行われている(特許文献1)。しかしながら、近年の電子写真画像に求められる品質の高度化に対応するためには、ピンホールリークや白ポチの発生をより確実に抑制することのできる導電性部材が必要であるとの認識を本発明者らは得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−266312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の目的は、感光体の接触帯電用の帯電部材として用いたときに、過放電起因のピンホールリークや白ポチを生じさせにくい導電性部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る導電性部材は、導電性基体および表面層を有する導電性部材であって、
該表面層が、電子導電性ゴムと中空粒子とを含み、該中空粒子は、エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂を含むシェルを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、感光体に対する過剰な放電が抑制され、ピンホールリークに起因する画像欠陥を生じさせにくい導電性部材を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る導電性ローラの断面図である。
【図2】本発明に係る板状の導電性部材の断面図である。
【図3】導電性ローラの電気抵抗値の測定方法の説明図である。
【図4】本発明に係る中空粒子の断面図である。
【図5】本発明に係る電子写真装置の断面図である。
【図6】本発明に係るプロセスカートリッジの断面図である。
【図7】導電性ローラの成形に用いる押出成形装置の概略図である。
【図8】本発明に係る導電性ローラをの加熱発泡に用いる金型の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る導電性部材は、導電性基体と、表面層としての導電性の弾性層を有する。該弾性層は、電子導電性ゴムと中空粒子とを含み、該中空粒子は、エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂を含有するシェルを有している。
電子導電性ゴムからなる導電性部材は、過放電が起こりやすいため、ピンホールリーク、および、白ポチ画像に不利である。エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂をシェルとする中空粒子を含有することにより、シェル中にイオン導電パスを形成することができる。イオン導電パスは過放電を抑制するため、ピンホールリーク、および、白ポチ画像の発生を抑制することができると推察している。
【0011】
<導電性部材>
本発明に係る導電性部材は、例えば、感光体に当接して使用されるものであり、電子写真装置の様々な用途、例えば、帯電部材、現像部材、転写部材などの部材として使用されている。以下、帯電部材を例に説明する。
帯電部材の一例を図1(ローラ形状)、図2(平板形状)に示す。なお、これらの図は、帯電部材の概略断面図を示したものである。以下において、図1に示したローラ形状のもの、すなわち帯電ローラにて詳細に説明する。
【0012】
図1は、導電性基体1と表面層2を有している帯電ローラである。
導電性基体1と導電性ゴムからなる表面層2は、接着剤を介して接着してもよい。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性とするため、接着剤は公知の導電剤を含有することができる。
【0013】
接着剤のバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系等の公知のものを用いることができる。接着剤に導電性を付与するための導電剤としては、後に詳述する導電剤から適宜選択し、単独で、または2種類以上組み合わせて、用いることができる。
【0014】
帯電ローラは、感光体の帯電を良好なものとするため、通常、電気抵抗が、23℃/50%RH環境中において、1×10Ω以上、1×1010Ω以下であることがより好ましい。
一例として、図3に帯電ローラの電気抵抗の測定法を示す。導電性基体1の両端を、荷重のかかった軸受け33により感光体と同じ曲率の円柱形金属32に、平行になるように当接させる。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属32を回転させ、当接した帯電ローラ5を従動回転させながら安定化電源34から直流電圧−200Vを印加する。この時に流れる電流を電流計35で測定し、帯電ローラの抵抗を計算する。本発明において、荷重は各4.9Nとし、円柱形金属32の直径(φ)は30mm、円柱形金属32の回転は周速45mm/秒とした。
【0015】
帯電ローラは、感光体に対して、長手のニップ幅を均一にするという観点から、長手方向中央部が一番太く、長手方向両端部にいくほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状が好ましい。クラウン量は、中央部の外径と中央部から90mm離れた位置の外径との差が、30μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0016】
<導電性基体>
導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる弾性層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。
【0017】
<表面層>
表面層としての弾性層は、電子導電性ゴムと中空粒子とを含む多孔質体からなる。そして、中空粒子はエチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂を含有するシェルを有する。
<<中空粒子>>
中空粒子としては、熱による膨張を伴う粒子、例えば、熱膨張性マイクロカプセルを用いても良いし、熱による膨張を伴わない粒子を用いても良い。
熱による膨張を伴う粒子は、粒子中に揮発性膨張剤を入れておくことにより、熱膨張させることができる。揮発性膨張剤としては低沸点有機溶剤が用いられる。具体的には、例えば、プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどの低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの高沸点液体などが多く用いられるが、これに限定されるものではない。
【0018】
熱による膨張を伴う粒子は、弾性層材料のポリマーに添加し、加硫時に熱膨張させることができる。弾性層中の中空粒子(熱による膨張を伴う粒子であれば熱膨張後)の断面形状を図4に示す。中空粒子は、球状だけでなく、楕円状、扁平状でも構わない。中空粒子の外径(シェルの外径)Dは30μm以上300μm以下が好ましい。シェルの厚さtは0.1μm以上、3.0μm以下が好ましい。本範囲とすることにより、イオン導電パスがより形成されやすくなるため、ピンホールリーク、および、白ポチ画像が発生しにくくなる。
【0019】
前記樹脂はエチレンオキサイド由来のユニットを有する。これにより、イオン導電パスが形成される。樹脂中のエチレンオキサイド由来のユニットの含有量が20重量%以上90重量%以下であることが好ましい。含有量が少ないと、イオン導電パスの形成がされにくく、含有量が多いと、樹脂の強度が弱くなるため、中空粒子が弾性体の加工時に破損しやすくなる。
【0020】
前記樹脂として、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリエチレン共重合体、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体が挙げられる。この中でも好ましくは、ポリエーテルウレタン、または、ポリエーテルエステルアミドである。この樹脂は、弾性層中の粒子形状が維持されやすいため、導電性部材の長期間使用時にイオン導電パスの形成が保たれやすい。
【0021】
中空粒子のシェルにはイオン導電剤を含有させることができる。イオン導電剤としては、アンモニウム塩またはリチウム塩が挙げられる。具体的には、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウムの如き第四級アンモニウム塩、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の有機酸リチウム塩が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。このような構成とすることで弾性層中のイオン導電パスを低抵抗化することができる。さらに四級アンモニウム塩を過塩素酸の構造とすることで、イオンが非局在化しやすく、イオン化した際の安定性が高いため、イオン導電パスを低抵抗化することができる。
【0022】
前記中空粒子の弾性層への添加量は、2部以上20部以下が好ましい。添加量が少ないと、イオン導電パスの形成が少なくなる。添加量が多いと弾性体の空壁率が高くなり、弾性体全体の導電パスの形成が少なくなる。
これら熱膨張性マイクロカプセルは、懸濁重合法、界面重合法、界面沈殿法、液中乾燥法といった公知の製法により製造することができる。
【0023】
懸濁重合法とは、分散安定剤を含有する水相中に、原料モノマーが添加されてなる油相を添加、攪拌混合して該原料モノマーの微細な液滴を形成させ、次いで加熱反応させ重合を行い、熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法である。具体的には、原料モノマー、前記内包物質、重合開始剤、及び架橋剤等を添加させた油相を調製する。次に、分散安定剤、分散安定補助剤等を添加させた水相を調製する。これら油相と水相を混合させ分散液を作製する。この分散液を攪拌混合し、加圧し、加熱反応させることにより、反応生成物を作製する。得られた反応生成物について、ろ過、水洗浄を行い、その後乾燥させることで所望の熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
【0024】
界面重合法とは、乳化分散剤と親水性原料モノマーが添加されてなる水相と、疎水性原料モノマーが添加されてなる油相とを混合させ作製した乳化分散液を加熱反応させ、水相と油相の界面において重合を行い、熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法である。具体的には、親水性の原料モノマー、乳化分散剤を添加させた水相を調製する。次に、疎水性の原料モノマー、前記内包物質、架橋剤を溶解させた油相をそれぞれ調製する。これら水相と油相を混合させ、攪拌混合させることで水相に油相が分散された乳化分散液を調製する。この分散液を攪拌混合し、加圧し、加熱させることで水相と油相の界面で重合が進行し、反応生成物が作製される。得られた反応生成物について、ろ過、水洗浄を行い、その後乾燥させることで所望の熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
【0025】
界面沈殿法とは、温度、PH、溶解度パラメータ等による溶媒と熱可塑性樹脂との溶解度の差を利用して熱可塑性樹脂を析出させ、カプセル化させる製法である。具体的には、まず、あらかじめ重合反応により作製した熱可塑性樹脂を、内包物質を含む溶剤に添加させる。この溶液に、該熱可塑性樹脂に対して溶解度の低い溶媒(貧溶媒)を添加することで、熱可塑性樹脂の粒子を析出させる。この際、貧溶媒に予め内包物質を添加しておいてもよい。または、該熱可塑性樹脂を内包物質を含む溶剤に溶解させ、その後、内包物質を含む貧溶媒を添加してもよい。あるいは、内包物質を含む溶剤に、該熱可塑性樹脂を加熱し溶解させ、その後冷却することで熱可塑性樹脂の粒子を析出させてもよい。いずれの方法においても、ろ過、洗浄、乾燥させることで所望の熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
【0026】
液中乾燥法とは、溶媒にポリマーを溶解させ、分散剤を含む媒体中に加えて分散液を形成させた後に、溶媒を除去してカプセル化させる製法である。具体的には、まず、あらかじめ重合反応により作製した熱可塑性樹脂を、前記内包物質を含む溶剤に溶解させた樹脂溶液を調製する。次に、分散剤を添加した水性媒体中に該樹脂溶液を分散させ、加熱、減圧により溶剤を除去する。その後、ろ過、洗浄、乾燥させることで所望の熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
【0027】
<<電子導電性ゴム>>
前記弾性層は電子導電性ゴムを含む。電子導電性ゴムは、ポリマー自体は導電性を持たないが、ポリマーに添加された電子導電性物質により導電性を発現するものを指す。
具体的な材料としては、ポリマーとして、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)等が挙げられる。電子導電性物質としては、アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀の如き金属系の微粒子や繊維。酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛の如き金属酸化物。前記記載の金属系微粒子、繊維及び金属酸化物表面に、電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより表面処理した複合粒子。カーボンブラック、及び、カーボン系微粒子。
【0028】
カーボンブラックとしては、ブラックファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックを例示することができる。
ファーネスブラックとしては、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、I−ISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、T−HS、T−NS、MAF、FEF、GPF、SRF−HS−HM、SRF−LM、ECF、FEF−HSを例示することができる。サーマルブラックとしては、FT、MTを例示することができる。
【0029】
カーボン系微粒子としては、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン粒子、ピッチ系カーボン粒子を例示することができる。
また、これらの導電剤を、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
導電性弾性層に添加する導電剤の添加量は、弾性層材料100質量部に対して2質量部から200質量部、好ましくは5質量部から100質量部の範囲が適当である。
【0030】
導電剤は、その表面を表面処理してもよい。表面処理剤としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物が使用可能である。これらは一種で使用しても、二種以上を用いても良い。好ましくは、アルコキシシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系又はジルコネート系の各種カップリング剤であり、更に好ましくは、有機ケイ素化合物である。
【0031】
また、弾性層には、硬度等を調整するために、軟化油、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。また、弾性層の厚みの目安としては、0.1mm以上50mm以下、特には1mm以上10mm以下が好ましい。
更に、弾性層の体積抵抗率の目安としては、温度23℃、湿度50%RH環境下で測定したときに、1×10Ω・cm以上、1×1010Ω・cm以下であることが好ましい。
前記弾性層の体積抵抗率は、以下のようにして求める。まず、弾性層に使用するすべての材料を厚さ1mmのシートに成型し、両面に金属を蒸着して電極とガード電極を形成して体積抵抗率測定試料を得る。得られた体積抵抗率測定試料について微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER、(株)アドバンテスト製)を用いて200Vの電圧を印加する。そして、30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。
【0032】
前記弾性層は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物等を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理を挙げることができる。
前記弾性層の形成は、予め所定の膜厚に形成されたシート形状又はチューブ形状の層を導電性基体に接着又は被覆することによって行うことができる。また、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体と弾性層材料を一体的に押出して作製することもできる。前記弾性層材料に導電剤、絶縁性粒子及び充填剤等を分散する方法としては、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等で混合するなど、公知の方法を用いることができる。
【0033】
<電子写真装置>
本発明の導電性部材を備える電子写真装置の1例の概略構成を図5に示す。
電子写真装置は、電子写真感光体、電子写真感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、電子写真感光体上の転写トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置等から構成されている。導電性部材としては、帯電部材、現像部材、転写部材などが挙げられる。
【0034】
電子写真感光体4は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。電子写真感光体は矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
帯電装置は、電子写真感光体4に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ5を有する。帯電ローラ5は、電子写真感光体4の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源19から所定の電圧を印加することにより、電子写真感光体4を所定の電位に帯電する。電子写真感光体4に静電潜像を形成する潜像形成装置11は、例えばレーザービームスキャナーなどの露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体に画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。
【0035】
現像装置は、電子写真感光体4に近接又は接触して配設される現像ローラ6を有する。電子写真感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像をトナー像に可視化現像する。転写装置は、接触式の転写ローラ8を有する。電子写真感光体4からトナー像を普通紙などの転写材7(転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。)に転写する。クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材10、回収容器を有し、転写した後、電子写真感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。
定着装置9は、加熱されたロール等で構成され、転写されたトナー像を転写材7に定着し、機外に排出する。なお、図5において、符号12は帯電前露光装置、13は弾性規制ブレード、14はトナー供給ローラを示す。
【0036】
<プロセスカートリッジ>
図6に示すように、電子写真感光体4、帯電ローラ5を含む帯電装置、現像ローラ6及びトナー供給ローラ14を含む現像装置、及びクリーニング部材10等を一体化し、電子写真装置に着脱可能に設計したプロセスカートリッジを用いることもできる。すなわち、帯電部材が感光体と少なくとも一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジであり、該帯電部材が上記の帯電部材である。また、電子写真装置は、少なくとも、プロセスカートリッジ、露光装置及び定着装置を有し、該プロセスカートリッジが上記のプロセスカートリッジである。なお、図6において、符号30はトナーシールを示す。
【実施例】
【0037】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
製造例A−1 −中空粒子1の作製−
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(重量平均分子量:5000)325質量部に、1,000質量部のトルエンを添加し、さらに175質量部の多価イソシアネート化合物(キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N、75重量%酢酸エチル溶液、武田薬品(株)製)を添加し、トルエン還流下に120℃で5時間反応を行った後、室温まで冷却し、トルエンを減圧除去し、ポリウレタン樹脂を得た。
【0038】
得られたポリウレタン樹脂400質量部、4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)80質量部、黄酸化鉄12質量部、n−ヘキサン62質量部、酢酸エチル380質量部を混合し、あらかじめ作成したポリビニルアルコール0.5%水溶液2000質量部に滴下しながら分散した。得られた樹脂を濾紙濾過にて水中より取り出し、40℃の循風乾燥機にて乾燥した。さらに音波式分級機により解砕して篩い分け、中空粒子1を得た。
【0039】
製造例A−2 −中空粒子2の作製−
製造例A−1の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)をテトラブチルアンモニウムパークロレート(試薬、関東化学製)80質量部に変更した以外は製造例A−1と同様にして中空粒子2を得た。
【0040】
製造例A−3 −中空粒子3の作製−
ステンレス製オートクレーブに、ε−B57−カプロラクタムを留去して、ポリアミドを得た。次に、ポリエチレングリコール(数平均分子量980)500質量部と酢酸ジルコニル1.5質量部を更に加え、245℃、1トール以下の減圧下で5時間重合反応を実施し、精製後ポリエーテルエステルアミド樹脂を得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量は52000、核磁気共鳴分光法(NMR)を用いて測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は60質量%であった。
【0041】
得られたポリエーテルエステルアミド樹脂400質量部、4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)80質量部、黄酸化鉄12質量部、n−ヘキサン62質量部、酢酸エチル380質量部を混合し、あらかじめ作成したポリビニルアルコール0.5%水溶液2000質量部に滴下しながら分散した。このとき、ホモミキサーを用いて5000rpmの条件で撹拌した。得られた樹脂を濾紙濾過にて水中より取り出し、40℃の循風乾燥機にて乾燥した。さらに音波式分級機により解砕して篩い分け、中空粒子3を得た。
【0042】
製造例A−4 −中空粒子4の作製−
製造例A−1のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを100質量部、多価イソシアネート化合物を400質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして中空粒子4を得た。
得られた中空粒子4の平均粒径は48.0μmであった。
【0043】
製造例A−5 −中空粒子5の作製−
製造例A−1のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを400質量部、多価イソシアネート化合物を100質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして中空粒子5を得た。
【0044】
製造例A−6 −中空粒子6の作製−
製造例A−1のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを450質量部、多価イソシアネート化合物を50質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして中空粒子6を得た。
【0045】
製造例A−7 −中空粒子7の作製−
製造例A−1の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)の量を1質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして中空粒子7を得た。
【0046】
製造例A−8 −中空粒子8の作製−
製造例A−1の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)の量を120質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして中空粒子8を得た。
【0047】
製造例A−9 −中空粒子9の作製−
製造例A−3の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)をテトラブチルアンモニウムパークロレート(試薬、関東化学製)4質量部に変更した以外は製造例A−3と同様にして中空粒子9を得た。
【0048】
製造例A−10 −中空粒子10の作製−
製造例A−3の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)をテトラブチルアンモニウムパークロレート(試薬、関東化学製)120質量部に変更した以外は製造例A−3と同様にして中空粒子10を得た。
【0049】
製造例A−11 −中空粒子11の作製−
エチレンオキサイド由来のユニットを含む重合体を調製した。ステンレス製のオートクレーブにテレフタル酸ジメチル32質量部、エチレングリコール20質量部、酢酸マンガン4水和物0.02質量部を入れ、200℃で3時間加熱して、生成するメタノールを留去しながらエステル交換反応を実施した。次に、末端ジアミン変性ポリエチレングリコール(数平均分子量890)49質量部、三酸化アンチモン0.03質量部、トリメチルホスフェート0.015質量部を更に加え、260℃に昇温した。その後、オートクレーブ内を1トール以下に減圧し、過剰のエチレングリコールを留去しつつ、圧力を1トール以下に保ちながら、3時間重合反応を実施した。その後精製し、ポリエーテルアミド樹脂を得た。これを繰り返し、ポリエーテルアミド樹脂400gを得た。GPCで測定した数平均分子量は52000、NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は60質量%であった。
【0050】
得られたポリエーテルアミド樹脂400質量部、4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)80質量部、黄酸化鉄12質量部、n−ヘキサン62質量部、酢酸エチル380質量部を混合し、あらかじめ作成したポリビニルアルコール0.5%水溶液2000質量部に滴下しながら分散した。得られた樹脂を濾紙濾過にて水中より取り出し、40℃の循風乾燥機にて乾燥した。さらに音波式分級機により解砕して篩い分け、中空粒子11を得た。
【0051】
製造例A−12 −中空粒子12の作製−
製造例A−1のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを75質量部、多価イソシアネート化合物を425質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして中空粒子12を得た。
【0052】
製造例A−13 −中空粒子13の作製−
製造例A−1のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを475質量部、多価イソシアネート化合物を25質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして中空粒子13を得た。
【0053】
製造例A−14 −中空粒子14の作製−
製造例A−1の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)をテトラブチルアンモニウムクロリド(試薬、東京化成製)80質量部に変更した以外は製造例A−1と同様にして中空粒子14を得た。
【0054】
製造例A−15 −中空粒子15の作製−
製造例A−1の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)を過塩素酸リチウム(無水)(LiClO)(試薬、キシダ化学製)80質量部に変更した以外は製造例A−1と同様にして中空粒子14を得た。
【0055】
製造例A−16 −中空粒子16の作製−
製造例A−1の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)を四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)(試薬、キシダ化学製)80質量部に変更した以外は製造例A−1と同様にして中空粒子16を得た。
【0056】
製造例A−17 −中空粒子17の作製−
製造例A−3の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)をテトラブチルアンモニウムクロリド(試薬、東京化成製)4質量部に変更した以外は製造例A−3と同様にして中空粒子17を得た。
【0057】
製造例A−18 −中空粒子18の作製−
製造例A−1の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)を配合から除いたこと以外は製造例A−1と同様にして中空粒子18を得た。
【0058】
製造例A−19 −中空粒子19の作製−
製造例A−11の4級アンモニウム塩(LV70、旭電化工業製)を配合から除いたこと以外は製造例11と同様にして中空粒子19を得た。
製造例A−1からA−19で得られた中空粒子の組成および粒径を表21にまとめて示す。なお、中空粒子樹脂中のエチレンオキサイド由来のユニットの含有量はNMRで測定した。
【0059】
製造例B−1 −帯電ローラ1の作製−
直径6mm、長さ258mmのステンレス製棒に、熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20、東洋化学研究所社製)を塗布し、180℃の熱風炉内にて30分間静置して導電性基体を得た。
表面層としての弾性層用のコンパウンド作製にあたり、まず、50℃に調節した密閉型ミキサーにて表1に示した材料を15分間混練し、ゴムコンパウンド1−1を調製した。
【0060】
【表1】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて表2に示した材料を15分間混練して、ゴムコンパウンド1−2を調製した。
【0061】
【表2】

【0062】
続いて、図7に示す送りロール43、クロスヘッド44、押出機45を具備する押出成形装置を用いて、導電性基体1の周囲に、ゴムコンパウンド1−2を、外径がφ10mmとなるように被覆して帯電部材予備成形体を得た。クロスヘッド44は、一般に電線や針金の被覆に用いられている装置であり、押出機45のシリンダのゴム排出部に取り付けて使用されるものである。
【0063】
得られた帯電部材予備成形体を熱風炉にて160℃で1時間加熱したのち、多孔質導電性弾性層の端部を除去して、外径がφ12.5mm、長さが224.2mmの多孔質導電性弾性層を表面層として有する帯電部材を得た。次いで、前記帯電部材の多孔質導電性弾性層の外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨して、多孔質導電性弾性層の外径をφ12mmに調整し、帯電ローラ1を得た。帯電ローラ1の電気抵抗は、2.3×10Ω・cmであった。
【0064】
[帯電ローラの弾性層に含有されている中空粒子の粒径と厚みの測定]
弾性層中の中空粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にて100個観察し、その投影面積を求め、得られた面積の円相当径を計算して平均粒径とした。測定の結果、平均粒径は103μmであった。中空粒子の厚みは、体積平均粒径と同様にして、弾性層中の中空粒子をTEMにて任意の100箇所について厚みを測定し、その平均値を中空粒子の厚みとする。測定の結果、中空粒子の厚みは1.1μmであった。
【0065】
製造例B−2〜B−6 −帯電ローラ2〜6の作製−
製造例B−1において中空粒子1を中空粒子2〜6に変更した以外は製造例B−1と同様にして、帯電ローラ2〜6を作製した。帯電ローラ2〜6の電気抵抗、中空粒子の平均粒径、中空粒子の厚みを表22に示す。
【0066】
製造例B−7 −帯電ローラ7の作製−
EPDM100質量部に対し表3に示した成分を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練しゴムコンパウンド7−1を得た。
【0067】
【表3】

上記ゴムコンパウンド7−1に、加硫剤として硫黄1質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)1質量部を添加し、25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、ゴムコンパウンド7−2を得た。
弾性層用のコンパウンドとして上記のゴムコンパウンド7−2を用いた以外は製造例B−1と同様にして帯電ローラ7を作製した。帯電ローラ7の電気抵抗、中空粒子の平均粒径、中空粒子の厚みを表22に示す。
【0068】
製造例B−8 −帯電ローラ8の作製−
SBR100質量部に対し表4に示した成分を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練してゴムコンパウンド8−1を得た。
【0069】
【表4】

上記ゴムコンパウンド8−1に、加硫剤として硫黄1質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)1質量部を添加し、25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、ゴムコンパウンド8−2を得た。弾性層用のコンパウンドをとして上記のゴムコンパウンド8−2を用いた以外は製造例B−1と同様にして、帯電ローラ8を作製した。
【0070】
製造例B−9 −帯電ローラ9の作製−
製造例B−1において、中空粒子1を中空粒子7に変更した以外は、製造例B−1と同様にして帯電ローラ9を作製した。
【0071】
製造例B−10 −帯電ローラ10の作製−
製造例B−1において、中空粒子1を中空粒子8に変更した以外は、製造例B−1と同様にして帯電ローラ10を作製した。
【0072】
製造例B−11 −帯電ローラ11の作製−
製造例B−1において、加硫温度を140℃に変更した以外は、製造例B−1と同様にして帯電ローラ11を作製した。
【0073】
製造例B−12 −帯電ローラ12の作製−
製造例B−1において、加硫温度を180℃に変更した以外は、製造例B−1と同様にして帯電ローラ12を作製した。
【0074】
製造例B−13 −帯電ローラ13の作製−
製造例B−1において、中空粒子の添加量を9部から2部に変更した以外は、製造例B−1と同様にして帯電ローラ13を作製した。
【0075】
製造例B−14 −帯電ローラ14の作製−
製造例B−1において、中空粒子の添加量を9部から20部に変更した以外は、製造例B−1と同様にして、帯電ローラ14を作製した。
【0076】
製造例B−15 −帯電ローラ15の作製−
実施例B−1と同様にして帯電部材予備成形体を作成した。これを図8に示す、内径がφ12mmの円筒形キャビティを有する金型に設置し、帯電部材予備成形体を加熱・発泡させて多孔質導電性弾性層を得た。前記金型の加熱は図示しないヒータ及び温度調整装置を用いて160℃で20分間行い、さらに得られた多孔質導電性弾性層を熱風炉160℃で30分加熱して二次加硫を施し、外径がφ12mm、長さが224.2mmの帯電ローラ15を得た。
【0077】
製造例B−16 −帯電ローラ16の作製−
製造例B−1において、中空粒子1を中空粒子9に変更した以外は、製造例B−1と同様にして帯電ローラ16を作製した。
【0078】
製造例B−17 −帯電ローラ17の作製−
製造例B−1において、中空粒子1を中空粒子10に変更した以外は、製造例B−1と同様にして帯電ローラ17を作製した。
【0079】
製造例B−18 −帯電ローラ18の作製−
EPDM100質量部に対し表5に示した成分を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練してゴムコンパウンド18−1を得た。
【0080】
【表5】

【0081】
ゴムコンパウンド18−1に、中空粒子A−2(製造例B−2)9質量部、加硫剤として硫黄1質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)1質量部を添加し、25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、ゴムコンパウンド18−2を得た。弾性層用のコンパウンドとしてゴムコンパウンド18−2を用いた以外は製造例B−2と同様にして、帯電ローラ18を作製した。
【0082】
製造例B−19 −帯電ローラ19の作製−
SBR100質量部に対し表6に示した成分を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練してゴムコンパウンド19−1を得た。
【0083】
【表6】

【0084】
ゴムコンパウンド19−1に、中空粒子A−2(製造例B−2)9質量部、加硫剤として硫黄1質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)1質量部を添加し、25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、ゴムコンパウンド19−2を得た。弾性層用のコンパウンドとしてゴムコンパウンド19−2を用いた以外は製造例B−2と同様にして帯電ローラ19を作製した。
【0085】
製造例B−20 −帯電ローラ20の作製−
温度50℃に調節した密閉型ミキサーにて表7に示した材料を15分間混練し、ゴムコンパウンド20−1を調製した。
【0086】
【表7】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて表8に示した材料を15分間混練してゴムコンパウンド20−2を調製した。
【0087】
【表8】

弾性層用のコンパウンドとしてゴムコンパウンド20−2を用いた以外は、製造例B−2と同様にして、帯電ローラ20を作製した。
【0088】
製造例B−21 −帯電ローラ21の作製−
温度50℃に調節した密閉型ミキサーにて表9に示した材料を15分間混練し、ゴムコンパウンド21−1を調製した。
【0089】
【表9】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて表10に示した材料を15分間混練して、ゴムコンパウンド21−2を調製した。
【0090】
【表10】

弾性層用のコンパウンドとしてゴムコンパウンド21−2を用いた以外は、製造例B−2と同様にして帯電ローラ21を作製した。
【0091】
製造例B−22〜B−27 −帯電ローラ22〜27の作製−
製造例B−1において中空粒子1を中空粒子11〜16に変更した以外は製造例B−1と同様にして帯電ローラ22〜27を作製した。
【0092】
製造例B−28 −帯電ローラ28の作製−
温度50℃に調節した密閉型ミキサーにて表11に示した材料を15分間混練してゴムコンパウンド28−1を調製した。
【0093】
【表11】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて表12に示した材料を15分間混練して、ゴムコンパウンド28−2を調製した。
【0094】
【表12】

弾性層用のコンパウンドとしてゴムコンパウンド28−2を用いた以外は製造例B−3と同様にして帯電ローラ28を作製した。
【0095】
製造例B−29〜B−30 −帯電ローラ29〜30の作製−
製造例B−1において中空粒子1を中空粒子17または中空粒子18に変更した以外は、製造例B−1と同様にして帯電ローラ29〜30を作製した。
【0096】
製造例B−31 −帯電ローラ31の作製−
温度50℃に調節した密閉型ミキサーにて表13に示した材料を15分間混練し、ゴムコンパウンド31−1を調製した。
【0097】
【表13】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて表14に示した材料を15分間混練して、ゴムコンパウンド31−2を調製した。
【0098】
【表14】

弾性層用のコンパウンドとしてゴムコンパウンド31−2に変更した以外は製造例B−21と同様にして、帯電ローラ31を作製した。
【0099】
製造例B−32 −帯電ローラ32の作製−
製造例B−1において、中空粒子1を中空粒子19に変更した以外は、製造例B−1と同様にして帯電ローラ32を作製した。
【0100】
製造例B−33 −帯電ローラ33の作製−
温度50℃に調節した密閉型ミキサーにて表15に示した材料を15分間混練し、ゴムコンパウンド33−1を調製した。
【0101】
【表15】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて表16に示した材料を15分間混練して、ゴムコンパウンド33−2を調製した。
【0102】
【表16】

弾性層用のコンパウンドとしてゴムコンパウンド33−2を用いた以外は、製造例B−32と同様にして帯電ローラ33を作製した。
【0103】
製造例C−1 −帯電ローラC1の作製−
直径6mm、長さ258mmのステンレス製棒に、熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20、東洋化学研究所社製)を塗布し、180℃の熱風炉内にて30分間静置して導電性基体を得た。
50℃に調節した密閉型ミキサーにて表17に示した材料を15分間混練してゴムコンパウンドC−1−1を調製した。
【0104】
【表17】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて表18に示した材料を15分間混練して、ゴムコンパウンドC−1−2を調製した。
【0105】
【表18】

【0106】
続いて、図7に示す押出成形装置を用いて、導電性基体1の周面を、ゴムコンパウンドC−1−2で、外径がφ10mmとなるように被覆して帯電部材予備成形体を得た。帯電部材予備成形体のゴムコンパウンド端部を除去して導電性基体1の端部を露出させた。
【0107】
次いで帯電部材予備成形体を図8に模式的に示すように、内径がφ12mmの円筒形キャビティを有する金型に設置して、帯電部材予備成形体を加熱・発泡させて多孔質導電性弾性層を得た。前記金型の加熱は図示しないヒータ及び温度調整装置を用いて160℃で20分間行い、さらに得られた多孔質導電性弾性層を熱風炉160℃で30分加熱して二次加硫を施し、外径がφ12mm、長さが224.2mmの帯電ローラC1を得た。
【0108】
製造例C−2 −帯電ローラC2の作製−
温度50℃に調節した密閉型ミキサーにて表19に示した材料を15分間混練し、ゴムコンパウンドC−2−1を調製した。
【0109】
【表19】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて表20に示した材料を15分間混練して、ゴムコンパウンドC−2−2を調製した。
【0110】
【表20】

【0111】
上記で調製したゴムコンパウンドC−2−2を用いた以外は製造例C−1と同様にして帯電ローラC2を得た。帯電ローラC2の電気抵抗、中空部の径(中空粒子の平均粒径の欄に記載した)を表22に示す。
【0112】
実施例1 −帯電ローラ1の画像評価−
図5に示す構成を有する電子写真装置として、ヒューレット・パッカード社製カラーレーザージェットプリンター(HP Color
LaserJet 4700DN)を記録メディアの出力スピード200mm/秒(A4縦出力)に改造して用いた。画像の解像度は、600dpi、1次帯電の出力は直流電圧−1100Vである。
図6に示す構成を有するプロセスカートリッジとして、上記プリンター用のプロセスカートリッジを用いた(ブラック用)。
【0113】
(白ポチ画像評価)
帯電ローラ1をプロセスカートリッジに組み込んで、低温低湿環境下(15℃、10%RH)、常温常湿環境下(23℃、50%RH)、高温高湿環境下(30℃、85%RH)、の3つの環境において耐久画像評価を行った。
各環境において、E文字1%印字画像で連続耐久を行い、30000枚まで耐久を行った。5000枚毎にハーフトーン画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を出力して、目視にて白ポチを下記の基準にて評価した。
ランクA:白ポチは認められない。
ランクB:白ポチがわずかに認められる。
ランクC:全域にわたって白ポチが認められる。
評価結果を表23に示す。表23に示すように、実施例1の帯電ローラに関しては、低温低湿、常温常湿、高温高湿のいずれの環境においても、30000枚印刷後であっても、ランクAの良好な画像が得られた。
【0114】
(ピンホールリーク評価)
本実施例の帯電ローラにて、ピンホールリーク画像を確認した。
カートリッジの感光体に、表面に対し垂直にピンホールを空けた。ピンホールの大きさは直径が0.3mmであり、深さが下引き層の手前までであった。帯電ローラ1とピンホールを空けた感光体をカートリッジに組み込んだ。電子写真装置にて、高温高湿環境下においてハーフトーン画像を出力して、ピンホールリークの評価を行った。
このときに、感光体上のピンホールの位置から画像出力方向に対し、水平に周囲との画像濃度が著しく異なる場合をピンホールリークが発生していると判断した。白ポチ画像の評価は以下の通り。
○:ピンホールリークが発生していない
×:ピンホールリークが発生している
評価結果を表23に示す。実施例1の帯電ローラは、ピンホールリークが発生せず、良好な画像が得られた。
【0115】
実施例2〜19 −帯電ローラ2〜19の画像評価−
作製した帯電ローラ2〜19に関して、白ポチ画像の評価、および、ピンホールリークの評価を、実施例1と同様の方法で行った。出力画像の評価結果を表26に示す。
低温低湿、常温常湿、高温高湿のいずれの環境においても、30000枚印刷後であっても、白ポチ画像がランクAで、ピンホールリークが発生せず、良好な画像が得られた。
【0116】
実施例20〜27 −帯電ローラ20〜27の画像評価−
作製した帯電ローラ20〜28に関して、白ポチ画像の評価、および、ピンホールリークの評価を、実施例1と同様の方法で行った。出力画像の評価結果を表26に示す。
実施例20〜27の帯電ローラは、高温高湿環境ではBランクの白ポチ画像が、耐久後半に発生するが、他の環境では、30000枚印刷後であっても、Aランクであり、良好な画像が得られた。ピンホールリークは発生していない。
【0117】
実施例28〜33 −帯電ローラ28〜33の画像評価−
作製した帯電ローラ28〜33に関して、白ポチ画像の評価、および、ピンホールリークの評価を、実施例1と同様の方法で行った。出力画像の評価結果を表26に示す。
実施例28〜33の帯電ローラは、高温高湿環境、および、常温常湿環境ではBランクの白ポチ画像が、耐久後半に発生するが、他の環境では、30000枚印刷後であっても、Aランクであり、良好な画像が得られた。ピンホールリークは発生していない。
【0118】
比較例1〜2 −帯電ローラC1〜C2の画像評価−
作製した帯電ローラC1〜C2に関して、白ポチ画像の評価、および、ピンホールリークの評価を、実施例1と同様の方法で行った。出力画像の評価結果を表26に示す。
実施例C1〜C2の帯電ローラは、高温高湿環境では、Bランク、および、Cランクの白ポチ画像が、常温常湿環境、および、低温低湿環境でBランクの白ポチ画像が発生した。また、ピンホールリークが発生した。上記に示すように、本発明の帯電ローラは、白ポチ画像、および、ピンホールリークの発生が抑制され、電子写真装置、プロセスカートリッジに組み込んで好ましいものである。
【0119】
【表21】

【0120】
【表22】

【0121】
【表23】

【符号の説明】
【0122】
1 導電性基体
2 表面層
4 電子写真感光体
5 帯電ローラ
6 現像ローラ
7 転写材
8 転写ローラ 9 定着装置
10 クリーニング部材 11 潜像形成装置
12 帯電前露光装置 13 弾性規制ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体および表面層を有する導電性部材であって、
該表面層が、電子導電性ゴムと中空粒子とを含み、
該中空粒子は、エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂を含むシェルを有していることを特徴とする導電性部材。
【請求項2】
前記シェルが四級アンモニウム塩またはリチウム塩を更に含有する請求項1に記載の導電性部材。
【請求項3】
前記四級アンモニウム塩が過塩素酸を有する請求項2に記載の導電性部材。
【請求項4】
前記樹脂がポリエーテルウレタン及びポリエーテルエステルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、
前記樹脂中のエチレンオキサイド由来のユニットの含有量が20重量%以上90重量%以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導電性部材。
【請求項5】
前記電子導電性ゴムはNBR、SBR及びEPDMからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムにカーボンが配合されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の導電性部材。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の導電性部材が被帯電体と少なくとも一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
帯電部材と、該帯電部材によって帯電可能に構成されている被帯電体とを有する電子写真装置であって、該帯電部材が、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の導電性部材であることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−226109(P2012−226109A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93514(P2011−93514)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】