説明

導電性金属膜形成用感光材料、導電性金属膜の製造方法、導電性金属膜、及びプラズマディスプレイパネル用透光性電磁波シールド膜

【課題】 抵抗値が低減された導電性金属膜を提供することができる導電性金属膜形成用感光材料を提供すること。
【解決手段】 本発明の導電性金属膜形成用感光材は、支持体上に銀塩乳剤を含む乳剤層を有し、前記乳剤層を露光して現像処理を施し、好ましくはさらに物理現像および/またはメッキ処理を施すことにより導電性金属膜を製造できるものであり、乳剤層の膨潤率が150%以上とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CRT(陰極線管)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)、FED(フィールドエミッションディスプレイ)などのディスプレイ前面、電子レンジ、電子機器、プリント配線板などから発生する電磁波を遮蔽でき、かつ、透明性を有する導電性金属膜を形成するための感光材料に関する。また、本発明は、導電性金属膜の製造方法、導電性金属膜、及びプラズマディスプレイパネル用透光性電磁波シールド膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電気設備や電子応用設備の利用の増加に伴い、電磁波障害(Electro-Magnetic Interference:EMI)が急増している。EMIは、電子、電気機器の誤動作、障害の原因になるほか、これらの装置のオペレーターにも健康障害を与えることが指摘されている。このため、電子電気機器では、電磁波放出の強さを規格又は規制内に抑えることが要求されている。
【0003】
上記EMIの対策には電磁波をシールドする必要があるが、それには金属の電磁波を貫通させない性質を利用すればよいことは自明である。例えば、筐体を金属体又は高導電体にする方法や、回路基板と回路基板との間に金属板を挿入する方法、ケーブルを金属箔で覆う方法などが採用されている。しかし、CRT、PDPなどではオペレーターが画面に表示される文字等を認識する必要があるため、ディスプレイにおける透明性が要求される。このため、前記の方法では、いずれもディスプレイ前面が不透明になることが多く、電磁波のシールド法としては不適切なものであった。
【0004】
特に、PDPは、CRT等と比較すると多量の電磁波を発生するため、より強い電磁波シールド能が求められている。電磁波シールド能は、簡便には表面抵抗値で表すことができ、CRT用の透光性電磁波シールド材料では、表面抵抗値はおよそ300Ω/sq以下であることが要求されるのに対し、PDP用の透光性電磁波シールド材料では、2.5Ω/sq以下が要求され、PDPを用いた民生用プラズマテレビにおいては、1.5Ω/sq以下とする必要性が高く、より望ましくは0.1Ω/sq以下という極めて高い導電性が要求されている。
また、透明性に関する要求レベルは、CRT用としておよそ70%以上、PDP用として80%以上が要求されており、更により高い透明性が望まれている。
【0005】
上記の問題を解決するために、以下に示されるように、開口部を有する金属メッシュを利用して電磁波シールド性と透明性とを両立させる種々の材料・方法がこれまで提案されている。
【0006】
(1)導電性繊維
例えば、特許文献1には、導電性繊維からなる電磁波シールド材が開示されている。しかし、このシールド材はメッシュ線幅が太くディスプレイ画面をシールドすると、画面が暗くなり、ディスプレイに表示された文字が見えにくいという欠点があった。
【0007】
(2)無電解メッキ加工メッシュ
無電解メッキ触媒を印刷法で格子状パターンとして印刷し、次いで無電解メッキを行う方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3など)。しかし、印刷される触媒の線幅は60μm程度と太く、比較的小さな線幅、緻密なパターンが要求されるディスプレイの用途としては不適切であった。
さらに、無電解メッキ触媒を含有するフォトレジストを塗布して露光と現像を行うことにより無電解メッキ触媒のパターンを形成した後、無電解メッキする方法が提案されている(例えば、特許文献4)。しかし、導電膜の可視光透過率は72%であり、透明性が不十分であった。更には、露光後に大部分を除去する無電解メッキ触媒として極めて高価なパラジウムを用いる必要があるため、製造コストの面でも問題があった。
【0008】
(3)フォトリソグラフィー法を利用したエッチング加工メッシュ
フォトリソグラフィー法を利用したエッチング加工により、透明基体上に金属薄膜のメッシュを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献5〜8など)。この方法では、微細加工が可能であるため、高開口率(高透過率)のメッシュを作成することができ、強力な電磁波放出も遮蔽できるという利点を有する。しかし、その製造工程は煩雑かつ複雑で、生産コストが高価になるという間題点があった。また、エッチング工法によるところから、格子模様の交点部が直線部分の線幅より太い問題があることが知られている。また、モアレの問題も指摘され、改善が要望されていた。
【0009】
(4)銀塩を用いた導電性金属銀パターンの形成方法
銀塩を利用した感光材料は、従来主に、画像や映像を記録・伝達するための材料として利用されてきた。例えばカラーネガフィルム、黒白ネガフィルム、映画用フィルム、カラーリバーサルフィルム等の写真フィルム、カラーペーパー、黒白印画紙などの写真用印画紙等であり、更にまた、金属銀を露光パターン通りに形成できることを利用したエマルジョンマスク(フォトマスク)等が汎用されている。これらはすべて銀塩を露光・現像して得られる画像自体に価値があり、画像そのものを利用している。
【0010】
しかしながら、銀塩から得られる現像銀は金属銀であることから、製法次第では金属銀の導電性を利用することが可能と考えられる。このような提案は古くから近年まで散見され、導電性銀薄膜の具体的形成法を開示した例として、1960年代に物理現像核に銀を沈着させる銀塩拡散転写法によって金属銀薄膜パターンを形成する方法が、特許文献9に開示されている。また同様の銀塩拡散転写法を利用して得た光透過性のない均一な銀薄膜がマイクロ波減衰機能を有することが特許文献10に開示されている。またこの原理をそのまま用い、インスタント黒白スライドフィルムを用いて簡便に露光・現像を行って導電性パターンを形成する方法が、非特許文献1及び特許文献11に記載されている。また、銀塩拡散転写法の原理によって、プラズマディスプレイ用の表示電極に利用可能な導電性の銀膜を形成する方法が特許文献12に記載されている。
【0011】
上記文献に記載された方法では、導電性金属パターンが形成される層に特別に調製された物理現像核が露光部・未露光部の区別なく均一に設けられる。このため、金属銀膜が生成しない露光部に、不透明な物理現像核が残存し、光線透過性が損なわれるという欠点があった。特に、金属パターン材料をCRTやPDP等ディスプレイの透光性電磁波シールド材料として利用する場合には、上記の欠点は重大である。
また、高い導電性を得ることも困難で、高い導電性を得るために厚い銀膜を得ようとすると、透明性が損なわれる問題があった。したがって、上記銀塩拡散転写法をそのまま用いても、電子ディスプレイ機器の画像表示面からの電磁波をシールドするのに好適な、光透過性と導電性の優れた透光性電磁波シールド材料は得ることができなかった。
また、銀塩拡散転写法を用いないで、通常の市販のネガフィルムを利用し、現像、物理現像、メッキ工程を通じて導電性を付与した場合、導電性と透明性の点において、CRTやPDPの透光性電磁波シールド材料として利用するには不十分なものであった。
【0012】
さらに、特許文献13には、銀塩感光材料を用いた透光性電磁波シールド材料の製造方法が開示されている。特許文献13に記載の製造方法は、支持体上に設けられた銀塩含有層を露光し、現像処理した後、現像処理により形成された金属銀部を物理現像及び/又はメッキ処理することにより導電性金属粒子を担持させるというものである。この方法によれば、高いEMIシールド性と高い透明性とを両立した透光性電磁波シールド膜を得ることができる。
【0013】
【特許文献1】特開平5−327274号公報
【特許文献2】特開平11−170420号公報
【特許文献3】特開平5−283889号公報
【特許文献4】特開平11−170421号公報
【特許文献5】特開2003−46293号公報
【特許文献6】特開2003−23290号公報
【特許文献7】特開平5−16281号公報
【特許文献8】特開平10−338848号公報
【特許文献9】特公昭42−23746号公報
【特許文献10】特公昭43−12862号公報
【特許文献11】国際公開WO 01/51276号公報
【特許文献12】特開2000−149773号公報
【特許文献13】特開2004−221564号公報
【非特許文献1】アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)、2000年発刊、第72巻、645項
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のように銀塩感光材料を用いて透光性電磁波シールド材料を形成する場合には、現像によって形成される銀(現像銀)の電気抵抗をより小さくすることが望まれている。現像銀の抵抗をより下げることは、透光性電磁波シールド材料のシールド性を高めることができるため、その利用価値を高める。また、上記特許文献13のように現像銀へ物理現像および/またはメッキ処理を施す場合には、現像銀の電気抵抗を小さくすることで、メッキ速度の向上や均一性の向上が期待される。
現像銀の電気抵抗値をより低減するには銀塩感光材料からゼラチンなどのバインダーを減らし、ハロゲン化銀粒子の密度を上げることが有効と考えられるが、これには限界があり、現像銀の電気抵抗値をより低減する技術の開発が望まれていた。
【0015】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、抵抗値が低減された導電性金属膜を形成することができる導電性金属膜形成用感光材料を提供することである。
また、本発明のさらなる目的は、抵抗値が低減された透光性電磁波シールド膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち、本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1. 支持体上に銀塩乳剤を含む乳剤層を有し、前記乳剤層を露光して現像処理を施すことにより導電性金属膜を製造可能な導電性金属膜形成用感光材料であって、
前記乳剤層の膨潤率が150%以上であることを特徴とする導電性金属膜形成用感光材料。
2. 支持体上に銀塩乳剤を含む乳剤層を有し、前記乳剤層を露光して現像処理を施し、さらに物理現像および/またはメッキ処理を施すことにより導電性金属膜を製造可能な導電性金属膜形成用感光材料であって、
前記乳剤層の膨潤率が150%以上であることを特徴とする導電性金属膜形成用感光材料。
3. 前記乳剤層のAg/ゼラチンの重量比率が4以上であることを特徴とする上記1又は2に記載の導電性金属膜形成用感光材料。
4. 前記乳剤層のAg/ゼラチンの重量比率が6以上10以下であることを特徴とする上記1又は2に記載の導電性金属膜形成用感光材料。
5. 前記乳剤層の塗布銀量が5g/m2以上であることを特徴とする上記1から4いずれかに記載の導電性金属膜形成用感光材料。
6. 前記乳剤層の膨潤率が250%以上であることを特徴とする上記1から5いずれかに記載の導電性金属膜形成用感光材料。
7. 前記乳剤層が実質的に最上層に配置されていることを特徴とする上記1から6いずれかに記載の導電性金属膜形成用感光材料。
8. 上記1から7いずれかに記載の導電性金属膜形成用感光材料を、露光後現像処理することを特徴とする導電性金属膜の製造方法。
9. 上記1から7のいずれかに記載の導電性金属膜形成用感光材料を、露光後現像処理を施し、さらに物理現像および/またはメッキ処理を施すことを特徴とする導電性金属膜の製造方法。
10. 前記導電性金属膜形成用感光材料を部分的に露光することによって金属銀部を部分的に形成することにより、露光パターンに応じた導電性金属パターンを形成することを特徴とする上記8又は9に記載の導電性金属膜の製造方法。
11. 前記露光部のみに金属銀部を形成することを特徴とする上記10に記載の導電性金属膜の製造方法。
12. 上記8から11いずれかに記載の製造方法によって製造されることを特徴とする導電性金属膜。
13. 上記12に記載の導電性金属膜であって、前記導電性金属部以外の部分が光透過性であることを特徴とする導電性金属膜。
14. 上記13に記載の導電性金属膜を有することを特徴とするプラズマディスプレイ用透光性電磁波シールド膜。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、乳剤層の膨潤率を150%以上とすることにより、抵抗値が低減された導電性金属膜が得られる導電性金属膜形成用感光材料を提供することができる。また、本発明によれば、電磁波シールド性が高くメッキ速度や均一性に優れた透光性導電性電磁波シールド膜を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の導電性膜形成用感光材料及びこの感光材料を用いて形成される透光性電磁波シールド膜について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味として使用される。
【0019】
1.導電性金属膜形成用感光材料
[乳剤層]
本発明に係る感光材料は、支持体上に、光センサーとして銀塩乳剤を含む乳剤層(銀塩含有層)を有する。乳剤層の膨潤率が150%であることを特徴とする。本発明において、膨潤率は以下のように定義する。
膨潤率(%)=100×((b)−(a))/(a)
上記式において、(a)は乾燥時の乳剤層膜厚、(b)は25℃の蒸留水に1分間浸漬した後の乳剤層膜厚を示している。
乳剤層膜厚(a)の測定は、例えば試料の断面を走査型電子顕微鏡で観察することによって測定できる。膨潤後の乳剤層膜厚(b)は、膨潤した試料を液体窒素により凍結乾燥した後の試料断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより測定可能である。
【0020】
本発明において、感光材料の乳剤層の膨潤率は150%以上であることを必要とするが、好ましい範囲の膨潤率は乳剤層のAg/バインダー比に依存する。すなわち膜中のバインダー部は膨潤可能であるがハロゲン化銀粒子は膨潤しないため、バインダー部の膨潤率が同じであってもAg/バインダー比率が高いほど乳剤層全体の膨潤率は低下するからである。本発明において、好ましい乳剤層の膨潤率は、乳剤層のAg/バインダー比が4.5以下の場合は250%以上であり、乳剤層のAg/バインダー比が4.5以上6未満の場合は200%以上であり、乳剤層のAg/バインダー比が6以上の場合は150%以上である。本発明の最も好ましいAg/バインダー比の範囲である6以上10以下のAg/バインダー比の場合、乳剤層の膨潤率は150%以上が好ましく、180%以上がより好ましい。
本発明において膨潤率に上限は無いが、膨潤率が高すぎると処理中の膜強度が低下し、膜が傷つきやすくなる等の問題を生じる為、膨潤率は350%以下であることが好ましい。なお、乳剤層の膨潤率は、硬膜剤の添加量、塗布後の乳剤層のpHや含水率によって制御可能である。
【0021】
乳剤層には、銀塩乳剤のほか、必要に応じて、染料、バインダー、溶媒等を含有することができる。以下、乳剤層に含まれる各成分について説明する。
【0022】
<銀塩乳剤>
本発明で用いられる銀塩乳剤としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩や酢酸銀などの有機銀塩が挙げられる。銀塩乳剤は、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本発明においても用いることができる。
【0023】
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgBrやAgClを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
【0024】
尚、ここで、「AgBr(臭化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
【0025】
なお、ハロゲン化銀乳剤における沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モルあたり1.5mol%であることが好ましい。沃化銀含有率を1.5mol%とすることにより、カブリを防止し、圧力性を改善することができる。より好ましい沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モルあたり1mol%以下である。
【0026】
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成されるパターン状金属銀層の画像品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
尚、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
【0027】
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることができ、立方体、14面体が好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部或いは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
【0028】
ハロゲン化銀乳剤は、P. Glafkides 著 Chimie etPhysique Photographique (Paul Montel 社刊、1967年)、G. F. Dufin 著Photographic Emulsion Chemistry (The Forcal Press刊、1966年)、V. L.Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion (The ForcalPress 刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0029】
すなわち、ハロゲン化銀乳剤の調製方法としては、酸性法、中性法等のいずれでもよく、又、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩とを反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いてもよい。
また、銀粒子の形成方法としては、粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。さらに、同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることも好ましい。係る方法としてより好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号各公報に記載されている。
好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンが挙げられる。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10-5〜10-2モルが好ましい。
上記コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に好ましく用いることができる。
【0030】
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号広報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において早く銀を成長させることが好ましい。
ハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。
また、ハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズの異なる複数種類のハロゲン化銀乳剤を混合してもよい。
【0031】
ハロゲン化銀乳剤は、VIII族、VIIB族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物、オスミウム化合物などを含有することが好ましい。これら化合物は、各種の配位子を有する化合物であってよく、配位子として例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオンなどや、こうした擬ハロゲン、アンモニアのほか、アミン類(メチルアミン、エチレンジアミン等)、ヘテロ環化合物(イミダゾール、チアゾール、5−メチルチアゾール、メルカプトイミダゾールなど)、尿素、チオ尿素等の、有機分子を挙げることができる。
また、高感度化のためにはK4〔Fe(CN)6〕やK4〔Ru(CN)6〕、K3〔Cr(CN)6〕のごとき六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
【0032】
上記ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。水溶性ロジウム化合物としては、例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩、K3Rh2Br9等が挙げられる。
これらのロジウム化合物は、水或いは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、或いはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0033】
上記イリジウム化合物としては、K2IrCl6、K3IrCl6等のヘキサクロロイリジウム錯塩、ヘキサブロモイリジウム錯塩、ヘキサアンミンイリジウム錯塩、ペンタクロロニトロシルイリジウム錯塩等が挙げられる。
上記ルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウム、K4〔Ru(CN)6〕等が挙げられる。
上記鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0034】
上記ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加され、特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6〕‐n
(ここで、MはRu、またはOsを表し、nは0、1、2、3または4を表す。)
この場合、対イオンは重要性を持たず、例えば、アンモニウム若しくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
〔RuCl6-3、〔RuCl4(H2O)2-1、〔RuCl5(NO)〕-2、〔RuBr5(NS)〕-2、〔Ru(CO)3Cl3-2、〔Ru(CO)Cl5-2、〔Ru(CO)Br5-2、〔OsCl6-3、〔OsCl5(NO)〕-2、〔Os(NO)(CN)5-2、〔Os(NS)Br5-2、〔Os(CN)6-4、〔Os(O)2(CN)5-4
【0036】
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当り10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
【0037】
その他、本発明では、Pd(II)イオンおよび/またはPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。
このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解メッキの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
【0038】
ハロゲン化銀に含まれるPdイオンおよび/またはPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の、銀のモル数に対して10-4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4や、Na2PdCl4等が挙げられる。
【0039】
本発明では、さらに光センサーとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感の方法としては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感等カルコゲン増感、金増感などの貴金属増感、還元増感等を用いることができる。これらは、単独または組み合わせて用いられる。上記化学増感の方法を組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などの組み合わせが好ましい。
【0040】
上記硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化し、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-5〜10-3モルである。
【0041】
上記セレン増感に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、上記セレン増感は、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0042】
上記テルル増感剤に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。具体的には、米国特許US第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980)、 ibid 1102(1979)、 ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Selenium and Tellunium Compounds)、Vol 1(1986)、同 Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平5−313284号公報中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
【0043】
セレン増感剤およびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いる。化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
【0044】
また、上記貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられ、特に金増感が好ましい。金増感に用いられる金増感剤としては、具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、チオグルコース金(I)、チオマンノース金(I)などが挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10-7〜10-2モル程度を用いることができる。本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0045】
また、ハロゲン化銀乳剤に対しては還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。上記ハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特許(EP)293917に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。ハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるもの)の併用であってもよい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
【0046】
なお、銀塩乳剤の塗設量に特に制限は無い。乳剤の塗設量が多すぎると感光材料のコスト上昇、現像時間の延長等が問題となるが、銀塩乳剤の塗設量を増やすほどより低い抵抗値の現像銀形成に有効である。導電性膜形成用銀塩感光材料として好ましい銀塩乳剤の塗設量は、銀量換算で2g/mから15g/mの範囲であり、4g/mから10g/mであることがより好ましい。
【0047】
<バインダー>
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダーを用いることができる。本発明において上記バインダーとしては、非水溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーのいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
上記バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロースおよびその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
【0048】
乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができるが、乳剤層中のバインダー比がより高いほど低い抵抗値の現像銀形成が可能であり好ましい。ただしAg/バインダー比が高くなりすぎるとハロゲン化銀粒子の凝集や塗布性悪化が問題となる。本発明において、Ag/バインダー重量比率が3以上であることが好ましく、4.5以上12以下であることがより好ましく、6以上10以下であることが最も好ましい。
また、バインダーの種類としてはゼラチンが最も好ましい。
【0049】
<硬膜剤>
本発明に係る感光材料の乳剤層およびその他の親水性コロイド層は、硬膜剤によって硬膜されることが好ましい。
硬膜剤としては、無機又は有機のゼラチン硬化剤を単独又は組合せて用いることができる。例えば活性ビニル化合物(1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホニル)メチルエーテル、N,N′−メチレンビス−〔β−(ビニルスルホニル)プロピオンアミド〕など)活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジンなど)、ムコハロゲン酸類(ムコクロル酸など)、N−カルバモイルピリジニウム塩類((1−モルホリ、カルボニル−3−ピリジニオ)メタンスルホナートなど)ハロアミジニウム塩類(1−(1−クロロ−1−ピリジノメチレン)ピロリジニウム、2−ナフタレンスルホナートなど)を単独または組合せて用いることができる。なかでも、特開昭53−41220、同53−57257、同59−162546、同60−80846に記載の活性ビニル化合物および米国特許3,325,287号に記載の活性ハロゲン化合物が好ましい。以下にゼラチン硬化剤の代表的な化合物例を示す。
【0050】
【化1】

【0051】
【化2】

【0052】
【化3】

【0053】
前述したように、乳剤層の硬膜剤の添加量等を調製することにより、乳剤層の膨潤率を任意にコントロールすることができる。
乳剤層へ添加する硬膜剤量の好ましい範囲は、硬膜剤添加後の感光材料の保存温湿度、保存期間、感光材料の膜pHおよび感光材料に含まれるバインダー量等によって異なるため、一概には決まらない。特に硬膜剤はバインダーと反応する前に感光材料の同一面側に位置する全層にわたって拡散し得るため、硬膜剤の好ましい添加量は乳剤層を含む感光材料の同一面側の全バインダー量に依存する。本発明の感光材料の、好ましい硬膜剤の含有量は、乳剤層を含む感光材料の同一面側の総バインダー量に対して0.2重量%〜15重量%の範囲であり、より好ましくは0.5重量%〜6重量%の範囲である。
また前述のように硬膜剤は拡散し得るため、硬膜剤の添加位置は乳剤層である必要は無く、乳剤層と同一面側のいずれの層にも好ましく添加でき、また複数の層に分割して添加することも好ましい。
【0054】
<染料>
感光材料には、少なくとも乳剤層に染料が含まれていてもよい。該染料は、フィルター染料として若しくはイラジエーション防止その他種々の目的で乳剤層に含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。本発明に好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
【0055】
このほか、本発明に使用することができる染料としては、現像または定着の処理時に脱色させる固体微粒子分散状の染料としては、特開平3−138640号公報記載のシアニン染料、ピリリウム染料およびアミニウム染料が挙げられる。また、処理時に脱色しない染料として、特開平9−96891号公報記載のカルボキシル基を有するシアニン染料、特開平8−245902号公報記載の酸性基を含まないシアニン染料および同8−333519号公報記載のレーキ型シアニン染料、特開平1−266536号公報記載のシアニン染料、特開平3−136038号公報記載のホロポーラ型シアニン染料、特開昭62−299959号公報記載のピリリウム染料、特開平7−253639号公報記載のポリマー型シアニン染料、特開平2−282244号公報記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開昭63−131135号公報記載の光散乱粒子、特開平9−5913号公報記載のYb3+化合物および特開平7−113072号公報記載のITO粉末等が挙げられる。また、特開平9−179243号公報記載の一般式(F1)、一般式(F2)で表される染料で、具体的には同公報記載の化合物F35〜F112も用いることができる。
【0056】
また、上記染料としては、水溶性染料を含有することができる。このような水溶性染料としては、オキソノール染料、ベンジリデン染料、メロシアニン染料、シアニン染料およびアゾ染料が挙げられる。中でも本発明においては、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料およびベンジリデン染料が有用である。本発明に用い得る水溶性染料の具体例としては、英国特許584,609号明細書、同1,177,429号明細書、特開昭48−85130号公報、同49−99620号公報、同49−114420号公報、同52−20822号公報、同59−154439号公報、同59−208548号公報、米国特許2,274,782号明細書、同2,533,472号明細書、同2,956,879号明細書、同3,148,187号明細書、同3,177,078号明細書、同3,247,127号明細書、同3,540,887号明細書、同3,575,704号明細書、同3,653,905号明細書、同3,718,427号明細書に記載されたものが挙げられる。
【0057】
上記乳剤層中における染料の含有量は、イラジエーション防止などの効果と、添加量増加による感度低下の観点から、全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
【0058】
<溶媒>
上記乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等アルコール類、アセトンなどケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本発明の乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、前記乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0059】
[支持体]
本発明に係る感光材料の支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などを用いることができる。
上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさおよび価格の点から、上記プラスチックフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
【0060】
本発明により得られる導電性金属膜がディスプレイ用の電磁波シールド材料として用いられる場合、支持体は透明プラスチック等の透明基材であることが好ましい。この場合におけるプラスチックフィルムまたはプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。
また、支持体は着色したものでもよい。支持体は単層でもよいし、2層以上からなる多層フィルムでもよい。
【0061】
支持体としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、本発明により得られる導電性金属膜がディスプレイ用電磁波シールド膜の用途として用いられる場合は、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、かつ端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
【0062】
[感光材料の形成]
本発明に係る感光材料は、上記成分を含有する乳剤層用塗布液を支持体上に塗布することにより形成することができる。塗布手段としてはいずれの塗布手段を用いてもよい。
塗布後の乳剤層のpHとしては、前述の膨潤率を達成するために、3.0〜9.0の範囲とするのが好ましく、4.0〜7.0の範囲とすることが好ましい。ここで乳剤層のpHは、塗布膜の表面に蒸留水を1滴20μリットルを滴下し表面電極を接して25℃1分後のpH値を読みとった値と定義する。また、乳剤層の含水率は、乳剤層の総バインダー量に対して50重量%以下の範囲が好ましく、5〜30重量%の範囲とすることが好ましい。
【0063】
本発明に係る感光材料は、乳剤層以外にも他の機能層を有していてもよい。他の機能層としては、例えば、乳剤層側には保護層、UL層、下塗り層等を設けることができるし、乳剤層を有しない側にはバック層等を設けることができる。
なお、乳剤層は実質的に最上層に配置されていることが好ましい。ここで、「乳剤層が実質的に最上層である」とは、乳剤層が実際に最上層に配置されている場合のみならず、乳剤層の上に設けられた層の総膜厚が0.5μm以下であることを意味する。乳剤層の上に設けられた層の総膜厚は、好ましくは0.2μm以下である。また、乳剤層の膜厚は、特に限定されないが、0.2〜20μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
【0064】
2.導電性金属膜
上記の感光材料を用いて、透光性電磁波シールド膜として好適な導電性金属膜を製造することができる。
導電性膜を製造するには、上記で説明した感光材料の乳剤層を露光し、続いて現像処理(現像、定着、水洗等を含む)を施す。これにより、支持体上に露光された箇所に現像銀が形成された導電性金属膜が得られる。
さらに、現像処理後、必要に応じて物理現像および/またはメッキ処理を施すことによって金属銀部に導電性金属を担持させることができる。これにより、より導電性が高められた導電性金属膜が得られる。以下、導電性金属膜を製造方法における各工程について説明する。
【0065】
[露光]
露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0066】
上記光源としては、例えば、陰極線(CRT)を用いた走査露光を挙げることができる。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種又は2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
【0067】
また本発明では、露光は種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、本発明における露光は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザー又は半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
【0068】
レーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月の第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
【0069】
また、露光は格子状等にパターン状に露光することができる。パターン状に露光する方法としては、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
【0070】
[現像処理]
現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士写真フィルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの現像液、またはそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
リス現像液としては、KODAK社製のD85などを用いることができる。
【0071】
また、現像液としてジヒドロキシベンゼン系現像主薬を用いることができる。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩などが挙げられるが、特にハイドロキノンが好ましい。上記ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と超加成性を示す補助現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン類やp−アミノフェノール類が挙げられる。本発明の製造方法において用いる現像液としては、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と1−フェニル−3−ピラゾリドン類との組合せ;またはジヒドロキシベンゼン系現像主薬とp−アミノフェノール類との組合せが好ましく用いられる。
【0072】
補助現像主薬として用いられる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体と組み合わせられる現像主薬としては、具体的に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
上記p−アミノフェノール系補助現像主薬としては、N−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は、通常0.05〜0.8モル/Lの量で用いられるのが好ましく、0.23モル/L以上で使用するのがより好ましく、さらに好ましくは、0.23〜0.6モル/Lの範囲である。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類若しくはp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には、前者を0.23〜0.6モル/L、さらに好ましくは0.23〜0.5モル/L、後者を0.06モル/L以下、さらに好ましくは0.03モル/L〜0.003モル/Lの量で用いるのが好ましい。
【0073】
現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて単に「現像液」という場合がある)には、通常用いられる添加剤(例えば、保恒剤、キレート剤)を含有することができる。上記保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩が挙げられる。該亜硫酸塩は、0.20モル/L以上用いられることが好ましく、さらに好ましくは0.3モル/L以上用いられるが、余りに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2モル/Lとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7モル/Lである。
【0074】
また、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用してアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。ここでアスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸、および、その立体異性体であるエリソルビン酸やそのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム塩)などを包含する。上記アスコルビン酸誘導体としては、エリソルビン酸ナトリウムを用いることが素材コストの点で好ましい。上記アスコルビン酸誘導体の添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。上記保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0075】
上記以外に現像液に用いることのできる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムの如き現像抑制剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドの如き有機溶剤;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤や、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。上記ベンゾイミダゾール系化合物としては、具体的に、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンズイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロベンズトリアゾール、4−〔(2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ〕ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらベンゾイミダゾール系化合物の含有量は、通常、現像液1リットル当り0.01〜10mmolであり、より好ましくは、0.1〜2mmolである。
【0076】
さらに上記現像液中には、各種の有機・無機のキレート剤を併用することができる。上記無機キレート剤としては、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。一方、上記有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
【0077】
これらキレート剤の添加量としては、現像液1リットル当り好ましくは、1×10-4〜1×10-1モル、より好ましくは1×10-3〜1×10-2モルである。
【0078】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、特開昭56−24347号、特公昭56−46585号、特公昭62−2849号、特開平4−362942号の各公報記載の化合物を用いることができる。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。さらに現像液には、必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0079】
現像処理温度および時間は相互に関係し、全処理時間との関係において決定されるが、一般に現像温度は約20℃〜約50℃が好ましく、25〜45℃がさらに好ましい。また、現像時間は5秒〜2分が好ましく、7秒〜1分30秒がさらに好ましい。
【0080】
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
【0081】
上記定着工程で使用する定着液の好ましい成分としては、以下が挙げられる。
すなわち、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、必要により酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ホウ酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、タイロン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸これらの塩等を含むことが好ましい。近年の環境保護の観点からは、ホウ酸は含まれない方が好ましい。本発明に用いられる定着液の定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどが挙げられ、定着速度の点からはチオ硫酸アンモニウムが好ましいが、近年の環境保護の観点からチオ硫酸ナトリウムが使われてもよい。これら既知の定着剤の使用量は適宜変えることができ、一般には約0.1〜約2モル/リットルである。特に好ましくは、0.2〜1.5モル/リットルである。定着液には所望により、硬膜剤(例えば水溶性アルミニウム化合物)、保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸)、pH調整剤(例えば、アンモニア、硫酸)、キレート剤、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤を含むことができる。
【0082】
上記界面活性剤としては、例えば硫酸化物、スルホン化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6740号公報記載の両性界面活性剤などが挙げられる。また、上記定着液には、公知の消泡剤を添加してもよい。
上記湿潤剤としては、例えば、アルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。また、上記定着促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号の各公報に記載のチオ尿素誘導体;分子内に3重結合を持つアルコール;米国特許US第4126459号明細書記載のチオエーテル化合物;特開平4−229860号公報記載のメソイオン化合物などが挙げられ、特開平2−44355号公報記載の化合物を用いてもよい。また、上記pH緩衝剤としては、例えば酢酸、リンゴ酸、こはく酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸などの有機酸や、ホウ酸、リン酸塩、亜硫酸塩などの無機緩衝剤が使用できる。上記pH緩衝剤として好ましくは、酢酸、酒石酸、亜硫酸塩が用いられる。ここでpH緩衝剤は、現像液の持ち込みによる定着剤のpH上昇を防ぐ目的で使用され、好ましくは0.01〜1.0モル/リットル、より好ましくは0.02〜0.6モル/リットル程度用いる。定着液のpHは4.0〜6.5が好ましく、特に好ましくは4.5〜6.0の範囲である。また、上記色素溶出促進剤として、特開昭64−4739号公報記載の化合物を用いることもできる。
【0083】
定着液中の硬膜剤としては、水溶性アルミニウム塩、クロム塩が挙げられる。上記硬膜剤として好ましい化合物は、水溶性アルミニウム塩であり、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明バンなどが挙げられる。上記硬膜剤の好ましい添加量は0.01モル〜0.2モル/リットルであり、さらに好ましくは0.03〜0.08モル/リットルである。
【0084】
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
【0085】
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。水洗処理または安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。このため、節水処理が可能となるのみならず、自現機設置の配管を不要とすることができる。水洗水の補充量を少なくする方法としては、古くから多段向流方式(例えば2段、3段など)が知られている。この多段向流方式を本発明の製造方法に適用した場合、定着後の感光材料は徐々に正常な方向、即ち定着液で汚れていない処理液の方向に順次接触して処理されていくので、さらに効率のよい水洗がなされる。また、水洗を少量の水で行う場合は、特開昭63−18350号、同62−287252号各公報などに記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減のためには、種々の酸化剤添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。さらに、上記方法においては、水洗浴または安定化浴に防黴手段を施した水を、処理に応じて補充することによって生じた水洗浴または安定化浴からのオーバーフロー液の一部または全部を、特開昭60−235133号公報に記載されているようにその前の処理工程である定着能を有する処理液に利用することもできる。また、少量水洗時に発生し易い水泡ムラ防止および/またはスクイズローラーに付着する処理剤成分が処理されたフィルムに転写することを防止するために、水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。
【0086】
また、水洗処理または安定化処理においては、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗槽に設置してもよい。また、水洗処理に続いて安定化処理においては、特開平2−201357号、同2−132435号、同1−102553号、特開昭46−44446号の各公報に記載の化合物を含有した浴を、感光材料の最終浴として使用してもよい。この際、必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Alなどの金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防かび剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。水洗工程または安定化工程に用いられる水としては水道水のほか脱イオン処理した水やハロゲン、紫外線殺菌灯や各種酸化剤(オゾン、過酸化水素、塩素酸塩など)等によって殺菌された水を使用することが好ましい。また、特開平4−39652号、特開平5−241309号公報記載の化合物を含む水洗水を使用してもよい。
水洗処理または安定化温度における浴温度および時間は0〜50℃、5秒〜2分であることが好ましい。
【0087】
現像処理後の露光部における金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができる。
【0088】
現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
【0089】
[物理現像・メッキ処理]
前記露光および現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像および/またはメッキ処理を行うことができる。物理現像および/またはメッキ処理を行う場合、物理現像またはメッキ処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とメッキ処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。なお、金属銀部に物理現像および/またはメッキ処理を施したものを「導電性金属部」と称する。
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
【0090】
本発明において、メッキ処理は、無電解メッキ(化学還元メッキや置換メッキ)、電解メッキ、または無電解メッキと電解メッキの両方を用いることができる。無電解メッキは、公知の無電解メッキ技術を用いることができ、例えば、プリント配線板などで用いられている無電解メッキ技術を用いることができ、無電解メッキは無電解銅メッキであることが好ましい。
無電解銅メッキ液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤として、ホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子として、EDTA,トリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やメッキ皮膜の平滑性向上の為の添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。
電解銅メッキ浴としては、硫酸銅浴やピロリン酸銅浴が挙げられる。
【0091】
また、電解メッキは、公知の電解メッキ技術を用いることができる。電解メッキに用いるメッキ液としては、銅メッキの場合は、硫酸銅五水塩を30〜300g/L、硫酸を30〜300g/Lを含むものを用いることができる。なお、ニッケルメッキの場合は、硫酸ニッケル、塩酸ニッケル等、銀メッキの場合は、シアン化銀等を含むものを用いることができる。また、めっき液には、界面活性剤、硫黄化合物、窒素化合物等の添加剤を添加しても良い。
また、電解メッキにおける印加電圧は、1〜100Vの範囲であることが好ましく、2〜60Vの範囲であることがより好ましい。
【0092】
メッキ処理時のメッキ速度は、緩やかな条件で行うことができ、さらに5μm/hr以上の高速メッキも可能である。メッキ処理において、メッキ液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTAなどの配位子など種々の添加剤を用いることができる。
【0093】
物理現像および/またはメッキ処理によって形成される導電性金属部は、導電性金属粒子を担持するため良好な導電性が得られる。導電性金属部が形成された導電性金属膜の表面抵抗値は、10Ω/sq以下であることが好ましく、2.5Ω/sq以下であることがより好ましく、1.5Ω/sq以下であることがさらに好ましく、0.1Ω/sq以下であることが最も好ましい。
【0094】
導電性金属膜が透光性電磁波シールド材料として用いられる場合、導電性金属部の線幅は20μm以下であることが好ましく、15μm未満であることが好ましく、10μm未満であることがさらに好ましく、7μm未満であることが最も好ましい。線間隔は50μm以上であることが好ましい。また、導電性金属部は、アース接続などの目的においては、その線幅が20μmより広い部分を有していてもよい。
【0095】
また、上記の導電性金属部以外の部分は、透明性を有している(以下、この導電性金属部以外の透明性を有する部分を光透過性部という。)。光透過性部の透過率は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、97%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが最も好ましい。なお、光透過性部の透過率とは、支持体の光吸収および反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の平均で示される透過率を指し、(透光性電磁波シールド材料の透明部の透過率)/(支持体の透過率)×100(%)で表される。
【0096】
[酸化処理]
現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像および/またはメッキ処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過率をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。上述の通り、酸化処理は、乳剤層の露光および現像処理後、或いは物理現像またはメッキ処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像またはメッキ処理後のそれぞれで行ってもよい。
【0097】
本発明では、さらに露光および現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解メッキまたは物理現像速度を促進させることができる。
【0098】
[黒化処理]
導電性金属部において、コントラストを高くし、かつ導電性金属部が経時的に酸化され退色されるのを防止する観点から、導電性金属部の表面が黒化処理されることが好ましい。黒化処理は、黒化銅、黒化ニッケル、黒化スズ、黒化ニッケル−スズ、黒化ニッケル−亜鉛等の電解液に浸漬することによって行うことができる。また、プリント配線板分野で行われている方法を用いて行うことができ、例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/l)、水酸化ナトリウム(15g/l)、リン酸三ナトリウム(12g/l)の水溶液中で、95℃で2分間処理することにより黒化処理を行うこともできる。
【0099】
3.透光性電磁波シールド膜
本発明に係る導電性金属膜は、高い電磁波シールド性及び透光性を有しているため、CRT、EL、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、その他の画像表示グラットパネル、あるいはCCDに代表される撮像用半導体集積回路などに組み込んで、電磁波シールド膜として用いることができる。特に、プラズマディスプレイに対して、その輝度を著しく損なわずに、その画質を維持または向上させることができるため、プラズマディスプレイに用いることが好ましい。
なお、本発明に係る導電性金属膜の用途としては、上記表示装置等に限定されず、電磁波を発生する測定装置、測定機器や製造装置の内部をのぞくための窓や筐体や、電波塔や高圧線等により電磁波障害を受ける恐れのある建造物の窓や自動車の窓等に設けることができる。
【0100】
透光性電磁波シールド膜として用いる場合、上記の導電性金属膜には接着剤層を設けることができる。また、接着剤層上には剥離可能な保護フィルムを貼付しておくことができる。以下、これらについて説明する。
<接着剤層>
接着剤層は、導電性金属膜を他のディスプレイ等に貼り付ける側に設ける。上記導電性金属膜の金属銀部(又は導電性金属部)が形成されている側の面に接着剤層を設けても良いし、金属銀部(又は導電性金属部)が形成されている側とは反対の面に設けてもよい。接着剤層の厚さは、金属銀部(又は導電性金属部)厚さ以上とすることが好ましく、例えば、10〜80μmの範囲とすることができ、20〜50μmとすることがより好ましい。
【0101】
接着剤層における接着剤の屈折率は1.40〜1.70であることが好ましい。屈折率を1.40〜1.70とすることにより、導電性金属膜の支持体の屈折率と接着剤の屈折率との差を小さくし、可視光透過率が低下するのを防ぐことができる。
【0102】
また、接着剤は、加熱または加圧により流動する接着剤であることが好ましく、特に、200℃以下の加熱または1Kgf/cm2以上の加圧により流動性を示す接着剤であることが好ましい。
このような接着剤を用いることにより、導電性金属膜を被着体であるディスプレイやプラスチック板に接着剤層を流動させて接着することができるので、ラミネートや加圧成形、特に加圧成形により、また曲面、複雑形状を有する被着体にも容易に接着することができる。
このためには、接着剤の軟化温度が200℃以下であると好ましい。透光性電磁波シールド膜の用途から、使用される環境が通常80℃未満であるので接着剤層の軟化温度は、80℃以上が好ましく、加工性から80〜120℃が最も好ましい。軟化温度は、粘度が1012ポイズ以下になる温度のことで、通常その温度では1〜10秒程度の時間のうちに流動が認められる。
【0103】
上記のような加熱または加圧により流動する接着剤としては、主に以下に示す熱可塑性樹脂が代表的なものとしてあげられる。たとえば天然ゴム(屈折率n=1.52)、ポリイソプレン(n=1.521)、ポリ−1,2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.513)、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−1,3−ブタジエン(n=1.515)などの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン(n=1.456)、ポリオキシプロピレン(n=1.450)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.459)、ポリビニルブチルエーテル(n=1.456)などのポリエーテル類、ポリビニルアセテート(n=1.467)、ポリビニルプロピオネート(n=1.467)などのポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリスルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)、ポリエチルアクリレート(n=1.469)、ポリブチルアクリレート(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.464)、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、ポリオキシカルボニルテトラメチレン(n=1.465)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイソプロピルメタクリレート(n=1.473)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.475)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート(n=1.487)、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.489)、ポリメチルメタクリレート(n=1.489)などのポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使用することも可能である。
【0104】
さらにアクリル樹脂とアクリル以外との共重合樹脂としてはエポキシアクリレート(n=1.48〜1.60)、ウレタンアクリレート(n=1.5〜1.6)、ポリエーテルアクリレート(n=1.48〜1.49)、ポリエステルアクリレート(n=1.48〜1.54)なども使うこともできる。特に接着性の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレートなどのように分子内に水酸基を有するポリマーは接着性向上に有効である。これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。
一方、接着剤ポリマーの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの、以下同様)は、500以上のものを使用することが好ましい。分子量が500以下では接着剤組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下するおそれがある。
【0105】
接着剤には、硬化剤(架橋剤)を含有させることができる。接着剤の硬化剤としてはトリエチレンテトラミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどのアミン類、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ドデシルコハク酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの酸無水物、ジアミノジフェニルスルホン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ポリアミド樹脂、ジシアンジアミド、エチルメチルイミダゾールなどを使うことができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0106】
硬化剤の添加量は、接着剤ポリマー100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で選択するのがよい。この添加量が、0.1重量部未満であると硬化が不十分となり、50重量部を越えると過剰架橋となり、接着性に悪影響を与える場合がある。
【0107】
また、硬膜剤の他にも、接着剤には必要に応じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤や粘着付与剤などの添加剤を配合してもよい。
導電性金属膜上に接着剤層を形成するには、上記の接着剤ポリマー、硬化剤、その他添加剤等を含む接着剤層組成物を、例えば金属銀部(又は導電性金属部)の一部または全面を被覆するように塗布し、溶媒乾燥、加熱硬化することにより形成することができる。
【0108】
<保護フィルム>
本発明に係る透光性電磁波シールド膜には、剥離可能な保護フィルムを設けることができる。保護フィルムは、透過性電磁波シールド膜の両面に有していてもよいし、片面のみ(例えば、金属銀部又は導電性金属部上)に有していてもよい。
透光性電磁波シールド膜は後述するように、最表面の強化、反射防止性の付与、防汚性の付与等の効果を有する機能性フィルムをさらに貼合することが多いので、保護フィルムを透光性電磁波シールド膜に設ける場合には保護フィルムは剥離可能なものであることが望ましい。
保護フィルムの剥離強度は、5mN/25mm幅〜5N/25mm幅であることが好ましく、より好ましくは10mN/25mm幅〜100mN/25mm幅である。下限未満では、剥離が容易過ぎ、取扱い中や不用意な接触により保護フィルムが剥離する恐れがあり、好ましくなく、また上限を超えると、剥離のために大きな力を要する上、剥離の際に、メッシュ状の金属箔が透明基材フィルム(もしくは接着剤層から)剥離する恐れがあり、やはり好ましくない。
【0109】
保護フィルムを構成するフィルムとしては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、もしくはアクリル樹脂等の樹脂フィルムを用いることが好ましい。また、保護フィルムの貼合面にコロナ放電処理を施しておくか、易接着層を積層しておくことが好ましい。
【0110】
<機能性フィルム>
透光性電磁波シールド膜をディスプレイ(特にプラズマディスプレイ)に用いる場合には、以下に説明する機能性を有する機能性フィルムを貼付することにより、各機能性を付与することが好ましい。機能性フィルムは粘着剤等を介して透光性電磁波シールド膜に貼付することができる。
(反射防止性・防眩性)
透光性電磁波シールド膜には、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)性、または、鏡像の映り込みを防止する防眩(AG:アンチグレア)性、またはその両特性を備えた反射防止防眩(ARAG)性のいずれかの機能性を付与することが好ましい。
これらの性能により、照明器具等の映り込みによって表示画面が見づらくなってしまうのを防止できる。また、膜表面の可視光線反射率が低くすることにより、映り込み防止だけではなく、コントラスト等を向上させることができる。反射防止性・防眩性を有する機能性フィルムを透光性電磁波シールド膜に貼付した場合の可視光線反射率は、2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
【0111】
上記のような機能性フィルムは、適当な透明基材上に反射防止性・防眩性を有する機能層を設けることにより形成することができる。
反射防止層としては、例えば、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、窒化物、硫化物等の無機化合物またはシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したもの等で形成することができる。
【0112】
防眩性層としては、0.1μm〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する層から形成することができる。具体的には、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂に、シリカ、有機珪素化合物、メラミン、アクリル等の無機化合物または有機化合物の粒子を分散させインキ化したものを塗布、硬化することにより形成することが可能である。
粒子の平均粒径は、1〜40μm程度が好ましい。
また、防眩性層としては、上記の熱硬化型または光硬化型樹脂を塗布した後、所望のグロス値または表面状態を有する型を押しつけ硬化することによっても形成することができる。
防眩性層を設けた場合の透光性電磁波シールド膜のヘイズは0.5%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以上10%以下である。ヘイズが小さすぎると防眩性が不十分であり、ヘイズが大きすぎると透過像鮮明度が低くなる傾向がある。
【0113】
(ハードコート性)
透光性電磁波シールド膜に耐擦傷性を付加するために、機能性フィルムがハードコート性を有していることも好適である。ハードコート層としてはアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂等が挙げられるが、その種類も形成方法も特に限定されない。ハードコート層の厚さは、1〜50μm程度であることが好ましい。ハードコート層上に上記の反射防止層および/または防眩層を形成すると、耐擦傷性・反射防止性および/または防眩性を有する機能性フィルムが得られ好適である。
ハードコート性が付与された透光性電磁波シールド膜の表面硬度は、JIS(K―5400)に従った鉛筆硬度が少なくともHであることが好ましく、より好ましくは2H、さらに好ましくは3H以上である。
【0114】
(帯電防止性)
静電気帯電によるホコリの付着や、人体との接触による静電気放電を防止するため、透過性電磁波シールド膜には、帯電防止性が付与されることが好ましい。
帯電防止性を有する機能性フィルムとしては、導電性の高いフィルムを用いることができ、例えば導電性が面抵抗で1011Ω/□程度以下であれば良い。
導電性の高いフィルムは、透明基材上に帯電防止層を設けることにより形成することができる。帯電防止層に用いる帯電防止剤としては、具体的には、商品名ペレスタット(三洋化成社製)、商品名エレクトロスリッパー(花王社製)等が挙げられる。他に、ITOをはじめとする公知の透明導電膜やITO超微粒子や酸化スズ超微粒子をはじめとする導電性超微粒子を分散させた導電膜で帯電防止層を形成しても良い。上述のハードコート層、反射防止層、防眩層等に、導電性微粒子を含有させる等して帯電防止性を付与してもよい。
【0115】
(防汚性)
透光性電磁波シールド膜が防汚性を有していると、指紋等の汚れ防止や汚れが付いたときに簡単に取り除くことができるので好適である。
防汚性を有する機能性フィルムは、例えば透明基材上に防汚性を有する化合物を付与することにより得られる。防汚性を有する化合物としては、水および/または油脂に対して非濡性を有する化合物であればよく、例えばフッ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。フッ素化合物として具体的には商品名オプツール(ダイキン社製)等が挙げられ、ケイ素化合物としては、商品名タカタクォンタム(日本油脂社製)等が挙げられる。
【0116】
(紫外線カット性)
透光性電磁波シールド膜には、後述する色素や透明基材の劣化等を防ぐ目的で紫外線カット性を付与することが好ましい。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、透明基材自体に紫外線吸収剤を含有させる方法や透明基材上に紫外線吸収層を設けることにより形成することができる。
色素を保護するのに必要な紫外線カット能としては、波長380nmより短い紫外線領域の透過率が、20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、紫外線吸収剤や紫外線を反射または吸収する無機化合物を含有する層を透明基材上に形成することにより得られる。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等、従来公知のものを使用でき、その種類・濃度は、分散または溶解させる媒体への分散性・溶解性、吸収波長・吸収係数、媒体の厚さ等から決まり、特に限定されるものではない。
【0117】
なお、紫外線カット性を有する機能性フィルムは、可視光線領域の吸収が少なく、著しく可視光線透過率が低下したり黄色等の色を呈することがないことが好ましい。
また、機能性フィルムに後述する色素を含有する層が形成されている場合は、その層よりも外側に紫外線カット性を有する層が存在することが望ましい。
【0118】
(ガスバリア性)
透光性電磁波シールド膜を常温常湿よりも高い温度・湿度環境化で使用すると、水分により後述する色素が劣化したり、貼り合せに用いる接着剤中や貼合界面に水分が凝集して曇ったり、水分による影響で接着剤が相分離して析出して曇ったりすることがあるので、透光性電磁波シールド膜はガスバリア性を有していることが好ましい。
このような色素劣化や曇りを防ぐためには、色素を含有する層や接着剤層への水分の侵入を防ぐことが肝要であり、機能性フィルムの水蒸気透過度が10g/m・day以下、好ましくは5g/m・day以下であることが好適である。
【0119】
(その他の光学特性)
プラズマディスプレイは強度の近赤外線を発生するため、透光性電磁波シールド膜を特にプラズマディスプレイに用いる場合は、近赤外線カット性を付与することが好ましい。
近赤外線カット性を有する機能性フィルムとしては、波長領域800〜1000nmにおける透過率を25%以下であるものが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
【0120】
また、透光性電磁波シールド膜をプラズマディスプレイに用いる場合、その透過色がニュートラルグレーまたはブルーグレーであることが好ましい。これは、プラズマディスプレイの発光特性およびコントラストを維持または向上させるためであり、また、標準白色より若干高めの色温度の白色が好まれる場合があるからである。
【0121】
さらに、カラープラズマディスプレイはその色再現性が不十分と言われており、特に、赤色表示の発光スペクトルは、波長580nmから700nm程度までにわたる数本の発光ピークを示しており、比較的強い短波長側の発光ピークにより赤色発光がオレンジに近い色純度の良くないものとなってしまう問題がある。そこで、機能性フィルムはその原因である蛍光体または放電ガスからの不要発光を選択的に低減させる機能を有することが好ましい。
【0122】
これら光学特性は、色素を用いることによって制御できる。つまり、近赤外線カットには近赤外線吸収剤を用い、また、不要発光の低減には不要発光を選択的に吸収する色素を用いて、所望の光学特性とすることができ、また、光学フィルターの色調も可視領域に適当な吸収のある色素を用いて好適なものとすることができる。
【0123】
色素としては、可視領域に所望の吸収波長を有する一般の染料または顔料や、近赤外線吸収剤として知られている化合物を用いることができ、その種類は特に限定されるものではないが、例えばアントラキノン系、フタロシアニン系、メチン系、アゾメチン系、オキサジン系、イモニウム系、アゾ系、スチリル系、クマリン系、ポルフィリン系、ジベンゾフラノン系、ジケトピロロピロール系、ローダミン系、キサンテン系、ピロメテン系、ジチオール系化合物、ジイミニウム系化合物等の一般に市販もされている有機色素が挙げられる。
【0124】
プラズマディスプレイはパネル表面の温度が高く、環境の温度が高いときは透光性電磁波シールド膜の温度も上がるため、色素は、例えば80℃程度で劣化しない耐熱性を有していることが好適である。
また、色素によっては耐光性に乏しいものもあるが、このような色素を用いることでプラズマディスプレイの発光や外光の紫外線・可視光線による劣化が問題になる場合は、前述のように機能性フィルムに紫外線吸収剤を含有させたり、紫外線を透過しない層を設けることによって、紫外線や可視光線による色素の劣化を防止することが好ましい。
熱、光に加えて、湿度や、これらの複合した環境においても同様である。劣化すると光学フィルターの透過特性が変わってしまい、色調が変化したり近赤外線カット能が低下する場合がある。
また、透明基材を形成するための樹脂組成物や、塗布層を形成するための塗布組成物中に溶解又は分散させるために、色素は溶媒への溶解性や分散性も高いことが好ましい。
【0125】
また、色素の濃度は、色素の吸収波長・吸収係数、透光性電磁波シールド膜に要求される透過特性・透過率、そして分散させる媒体または塗膜の種類・厚さから適宜設定することができる。
機能性フィルムに色素を含有させる場合、透明基材の内部に含有していてもよいし、基材表面に色素を含有する層をコーティングしてもよい。また、異なる吸収波長を有する色素2種類以上を混合して一つの層中に含有させてもよいし、色素を含有する層を2層以上有していても良い。
【0126】
また、色素は金属との接触によっても劣化する場合があるため、このような色素を用いる場合、色素を含有する機能性フィルムは、色素を含有する層が透光性電磁波シールド膜上の金属銀部或いは導電性金属部と接触しないように配置することが更に好ましい。
【0127】
機能性フィルムを貼付した透光性電磁波シールド膜をディスプレイに装着する際には、通常、機能性フィルムが外側、粘着剤層がディスプレイ側となるように装着する。
ここで、透光性電磁波シールド膜の電磁波シールド能が低下させないために、金属銀部或いは導電性金属部にアースをとることが望ましい。このため、透光性電磁波シールド膜上にアースをとるための導通部を形成し、この導通部がディスプレイ本体のアース部に電気的に接触するようにすることが望ましい。導通部は、透光性電磁波シールド膜の周縁部に沿って金属銀部或いは導電性金属部の周りに設けられていることが好適である。
導通部はメッシュパターンにより形成されていてもよいし、パターニングされていない、例えば金属箔ベタにより形成されていてもよいが、ディスプレイ本体のアース部との電気的接触を良好とする為には、金属箔ベタのようにパターニングされていないことが好ましい。
【実施例】
【0128】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
(乳剤Aの調整)
・1液:
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 1.6g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液
水 300ml
硝酸銀 150g
・3液
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl 20%水溶液) 7ml
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液)およびヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl20% 水溶液)は、粉末をそれぞれKCl 20%水溶液、NaCl20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0129】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.15μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.18μmまで粒子を成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
・4液
水 100ml
硝酸銀 50g
・5液
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
【0130】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、下記に示すアニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた。(pH3.2±0.2の範囲であった)次に上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン8gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7-テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.18μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=60μS/m、密度=1.28×103kg/m3、粘度=60mPa・sとなった。)
【0131】
【化4】

【0132】
(試料1−1の作製)
下記に示す両面が塩化ビニリデンを含む防湿層下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、UL層/乳剤層の構成となるように塗布して試料1−1を作製した。以下に各層の調製方法、塗布量および塗布方法を示す。
<乳剤層>
乳剤Aに増感色素(sd-1)5.7×10-4モル/モルAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10-4モル/モルAg、化合物(Cpd-3)8.0×10-4モル/モルAgを加え、良く混合した。
次いで1,3,3a,7-テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、界面活性剤(Sa-1)、(Sa-2)、(Sa-3)を各々塗布量が60mg/m2、40mg/m2、2mg/m2になるように添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。このようにして調製した乳剤層塗布液を下記支持体上にAg7.6g/m2、ゼラチン1.1g/m2になるように塗布した。
【0133】
<UL層>
ゼラチン 0.23g/m2
化合物(Cpd-7) 40mg/m2
化合物(Cpd-14) 10mg/m2
防腐剤(プロキセル) 1.5mg/m2
【0134】
なお、各層の塗布液は、下記構造(Z)で表される増粘剤を加え、粘度調整した。
【0135】
【化5】

【0136】
また、本発明で使用したサンプルは下記組成のバック層および導電層を形成した。
<バック層>
ゼラチン 3.3g/m2
化合物(Cpd-15) 40mg/m2
化合物(Cpd-16) 20mg/m2
化合物(Cpd-17) 90mg/m2
化合物(Cpd-18) 40mg/m2
化合物(Cpd-19) 26mg/m2
1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノール 60mg/m2
ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径6.5μm ) 30mg/m2
流動パラフィン 78mg/m2
化合物(Cpd-7) 120mg/m2
硝酸カルシウム 20mg/m2
防腐剤(プロキセル) 12mg/m2
【0137】
<導電層>
ゼラチン 0.1g/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
SnO2/Sb(9/1重量比、平均粒子径0.25μ) 200mg/m2
防腐剤(プロキセル) 0.3mg/m2
【0138】
【化6】

【0139】
【化7】

【0140】
【化8】

【0141】
【化9】

【0142】
<支持体>
二軸延伸したポリエチレンテレフタレート支持体(厚み100μm)の両面に下記組成の下塗層第1層及び第2層を塗布した。
【0143】
<下塗層1層>
コア−シェル型塩化ビニリデン共重合体(1) 15g
2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 0.25g
ポリスチレン微粒子(平均粒径3μ) 0.05g
化合物(Cpd-20) 0.20g
コロイダルシリカ(スノーテックスZL:粒径70〜100μm 日産化学(株)製) 0.12g
水を加えて 100g
さらに、10重量%のKOHを加え、pH=6に調整した塗布液を乾燥温度180℃2分間で、乾燥膜厚が0.9μmになるように塗布した。
【0144】
<下塗層第2層>
ゼラチン 1g
メチルセルロース 0.05g
化合物(Cpd-21) 0.02g
C12H25O(CH2CH2O)10H 0.03g
プロキセル 3.5×10-3
酢酸 0.2g
水を加えて 100g
この塗布液を乾燥温度170℃2分間で、乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布した。
【0145】
【化10】

【0146】
<塗布方法>
上記下塗層を施した支持体上に、まず乳剤面側として支持体に近い側よりUL層、乳剤層の順に2層を、35℃に保ちながらスライドビードコーター方式により同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。ここで、硬膜剤であるCpd-7は塗布直前にUL層へ前述の量添加し、UL層から拡散させることにより乳剤層へ含有させた。そして、乳剤面とは反対側には、支持体に近い側より、導電層、バック層の順に、カーテンコーター方式により硬膜剤液を加えながら同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。各々のセットゾーンを通過した時点では、塗布液は充分なセット性を示した。引き続き乾燥ゾーンにて両面を同時に乾燥した。
【0147】
得られた試料1−1は、塗布銀量が7.6g/m2、乳剤層のAg/ゼラチン重量比が6.9、膨潤率が209%、Ag/ゼラチン重量比と膨潤率の積が13.2である乳剤層を、最上層に有する感光材料であった。ここで乳剤層の膨潤率は以下のように求めた。すなわち、乾燥時の試料の切片を走査型電子顕微鏡で観察することにより乾燥時の乳剤層の膜厚(a)を求め、25℃の蒸留水に1分間浸漬した後液体窒素により凍結乾燥した試料の切片を走査型電子顕微鏡で観察することにより膨潤時の乳剤層の膜厚(b)を求め、膨潤率を次式で算出した。
膨潤率(%)=100×((b)−(a))/(a)
【0148】
(試料1−2〜1−12の作製)
試料1−1に対して、塗布銀量、塗布ゼラチン量および(Cpd-7)の塗布量を表1に示すように変更したことのみ異なる試料を作製し、試料1−2〜試料1−12を得た。ここで乳剤層のAg/ゼラチン重量比の変更は、水洗・脱塩後の乳剤に加えるゼラチン量を変更することにより行い、塗布銀量の変更は乳剤層の塗布量を変更することにより行なった。
【0149】
このようにして得られた試料1−1〜1−12に対して、下記の露光、現像およびメッキ処理を施した。
【0150】
(露光・現像処理)
乾燥させた各試料の乳剤層上にライン/スペース=15μm/285μm(ピッチ300μm)の現像銀像を与えうる格子状のパターンを、大日本スクリーン(株)製のイメージセッターFT-R5055を使用して露光した。このとき露光量は各試料に合わせて最適となるよう調節した。
露光後の各試料に対し以下の処理を施すことにより、各々2種類の導電性膜(導電性膜a及び導電性膜b)を作成した。
導電性膜a:以下に示す現像処理を施すことにより、導電性金属部が現像銀からなる導電性膜を作成した。
導電性膜b:以下に示す現像処理及びそれに続くメッキ処理を施すことにより、導電性金属部が現像銀及び銅からなる導電性膜を作成した。
【0151】
・現像処理
処理工程 温 度 時 間
黒白現像 20℃ 60秒
定着 35℃ 40秒
リンス1* 35℃ 60秒
リンス2* 35℃ 60秒
乾 燥 50℃ 60秒
【0152】
・メッキ処理
酸洗浄 35℃ 30秒
電解めっき1 35℃ 30秒 電圧 70V
電解めっき2 35℃ 30秒 電圧 20V
電解めっき3 35℃ 30秒 電圧 10V
電解めっき4 35℃ 30秒 電圧 5V
リンス3* 35℃ 10秒
リンス4* 35℃ 10秒
防錆液 35℃ 30秒
リンス5* 25℃ 60秒
リンス6* 25℃ 60秒
乾 燥 50℃ 60秒
* 水洗過程は、リンス2から1、リンス4から3、リンス6から5への2タンク向流方式とした。
【0153】
各処理液の組成は以下の通りである。
〔黒白現像液 1L処方〕
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
【0154】
〔定着液 1L処方〕
ATS 1.2 モル
沃化アンモニウム 5 g
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
【0155】
〔酸洗浄液 1L処方〕
硫酸 190 g
塩酸(35%) 0.06 mL
カパーグリームPCM 5 mL
(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)
純水を加えて 1 L
【0156】
〔電解めっき液 1L処方〕
・電解銅めっき液組成(補充液も同組成)
硫酸銅五水塩 75 g
硫酸 190 g
塩酸(35%) 0.06 mL
カパーグリームPCM 5 mL
(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)
純水を加えて 1 L
【0157】
〔防錆液 1L処方〕
硝酸ナトリウム 0.2モル/L水溶液
【0158】
〔リンス液 1L処方(リンス1〜6は共通)〕
脱イオン水(導電率5μS/cm以下) 1000 mL
pH 6.5に調製
【0159】
なお、黒白現像液の酸化還元電位は、回転白金電極を現像液中に浸漬して求めた浸浴電位で表示すると−340mVvsSCEであった。
【0160】
各試料に上記の露光、処理を行い、金属銀部或いは導電性金属部および金属が実質的に存在しない光透過部からなる導電性金属膜が形成された。ここで金属銀部或いは導電性金属部は露光パターンに応じたメッシュ状パターンを呈しており、ライン/スペース幅はいずれの試料においても15μm/285μmであった。またいずれの試料においても、光透過部の開口率は約90%であった。
【0161】
(評価1)
得られた各導電性金属膜に関し、導電性金属膜aについては表面抵抗率を、導電性金属膜bについてはメッキの均一性を下記方法によって評価した。
(1)表面抵抗率
各試料によって作成した導電性金属膜aの表面抵抗率を、三菱化学(株)低抵抗率計ロレスターGP/ASPプローブを用いて、JIS7194に従い測定した。
(2)メッキ均一性
各試料によって作成した導電性金属膜bのメッキの均一性を、目視にて観察し、下記ランク付けを行なった。
5:メッキムラがほとんど認められず、非常に好ましいレベル。
4:メッキムラが僅かに認められるが、好ましいレベル。
3:メッキムラが認められるが許容レベル。
2:メッキムラがはっきり認められ、許容外のレベル。
1:メッキがごく一部でのみしか進行せず、許容外のレベル。
メッキムラレベルが上記の評価値いずれかの中間のレベルの場合には、該当する評価値の平均値によって評価値とした。
【0162】
(評価2)
試料1−1〜1−12を未露光のまま現像処理を行い、目視により各試料上を観察して黒色でスポット状の現像銀が形成されているか否かを評価した。なお、評価基準は以下の通りとした。
<黒色スポットの発生頻度の評価基準(現像後の試料1mを観察)>
レベルA:黒色スポット数0〜3個。
レベルB:黒色スポット数4個〜10個。
レベルC:黒色スポット数10個以上。
得られた評価結果を表1に示す。
【0163】
【表1】

【0164】
表1から、試料の膨潤率が高いほどメッキ前の段階での表面抵抗率が低く、導電性膜形成用の感光材料として好ましいことが分かる。また、試料の膨潤率が高いほどメッキ後のメッキの均一性が優れており、メッキ付与を行なって導電性膜を形成する場合においても感光材料の膨潤率を高めることが有効であることが分かる。また膨潤率が近い場合には、乳剤層のAg/ゼラチン重量比が高いほど表面抵抗が低くかつメッキがより均一であり、導電性膜形成用の感光材料として好ましいことが分かる。
また、(評価2)において形成された黒色スポットは、意図せず形成されたものであり、好ましくないものである。表1に示されるとおり、黒色スポットはAg/ゼラチン重量比がより高い試料ほど発生頻度が高い結果であった。黒色スポット部を光学顕微鏡で観察すると、銀が凝集している状態が観察され、黒色スポットの発生はゼラチンが少ないことによるハロゲン化銀粒子の凝集に起因すると推定された。乳剤層のAg/ゼラチン比を高めることは表面抵抗値を下げるのに有効であるが、一方でハロゲン化銀の凝集が懸念される。本発明のように高い膨潤値に設定することはこの懸念に対し、より低いAg/ゼラチン比でより低い抵抗値を得ることが可能となるという意味で、極めて有効であると言える。
【0165】
〔実施例2〕
(試料2−1〜2−4の作製)
実施例1の試料1−1に対し、乳剤層に2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-1,3,5-トリアジンナトリウム塩を90mg/m2、ゼラチンに対して15wt%の粒径10μmのコロイダルシリカ、水性ラテックス(aqL-6)を100mg/m2、ポリエチルアクリレートラテックスを150mg/m2、メチルアクリレートと2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と2-アセトキシエチルメタクリレートのラテックス共重合体(重量比88:5:7)を150mg/m2、コアシェル型ラテックス(コア:スチレン/ブタジエン共重合体(重量比37/63)、シェル:スチレン/2-アセトキシエチルアクリレート(重量比84/16)、コア/シェル比=50/50)を150mg/m2を加えた以外は全く同じ方法により、試料2−1を得た。
試料2−1に対し、塗布銀量、塗布ゼラチン量および(Cpd-7)の塗布量を表2に示す如く変更したことのみ異なる試料を作成し、試料2−2〜試料2−4を得た。ここで乳剤層のAg/ゼラチン重量比の変更は、水洗・脱塩後の乳剤に加えるゼラチン量を変更することにより行い、塗布銀量の変更は乳剤層の塗布量を変更することにより行なった。
【0166】
得られた各試料に対し、実施例1と同様の露光、現像処理、およびメッキ処理を施すことにより、メッキ前の表面抵抗率およびメッキ後のメッキ均一性を評価した。結果を表2に示す。
【0167】
【表2】

【0168】
表2から、乳剤層に上述のように化合物を加えた感光材料においても本発明が有効であることが明らかである。
【0169】
〔実施例3〕
実施例1で作成した試料1−1〜1−4に対し、分光増感色素SD−1を下記SD−2に変更し、Cpd−14を下記Cpd−YFに変更し、さらにバック層の塗設を行わなかったことのみ異なる試料を作製し、試料3−1〜3−4を得た。また実施例2で作成した試料2−1〜2−4に対し、分光増感色素SD−1を下記SD−2に変更し、Cpd-14を下記Cpd−YFに変更し、さらにバック層の塗設を行わなかったことのみ異なる試料を作成し、試料3−5〜3−8を得た。ここでSD−2およびCpd−YFの塗設量は、各々SD−1およびCpd−14と同量(モル/m)とした。
【0170】
得られた試料に対し、高圧水銀灯を光源とする密着プリンターで最線幅10μm、格子間隔300μmのメッシュ状フォトマスクを介して露光を与えた後、実施例1と同様の現像処理およびメッキ処理を施すことにより、現像銀の表面抵抗およびメッキ均一性を評価した。
実施例1と同様の評価を行ったところ、本発明の試料3−1,2,4〜6,8において、本発明の優れた効果が確認された。また、試料3−1〜3−8を高圧水銀灯を光源とする密着プリンターで全面に渡って露光を与えた後、同様に現像処理、メッキ処理を行い評価したところ、膨潤値が高い試料ほど表面抵抗率が低くまたメッキが均一な結果を得た。本発明の効果は試料の露光パターンによらず得られることが示された。
【0171】
【化11】

【0172】
〔実施例4〕
実施例3で作製した試料3−1、3−2、3−5、3−6に対し、青色半導体レーザーを搭載したイメージセッター(ESCHER−GRAD社製Cobalt8、レーザー波長410nm)を用いて、線幅15μm、ピッチ300μmのメッシュパターン状の露光を与えた。露光後の各試料に対し、実施例1と同様の現像処理およびメッキ処理を行った。
得られたメッキ後の各試料に対し、アドバンテスト法で電磁波シールド能を調べたところ、いずれの試料においても30MHzから1GHz範囲で30dB以上のシールド特性を有しており、本発明の感光材料は電磁波シールド性を有する導電性金属膜の製造に有効であることを確認した。また、いずれの試料においても85%以上の開口率を有しており、本発明の感光材料はプラズマディスプレイパネル用等の透光性電磁波シールド膜の作製に有効なことを確認した。
【0173】
〔実施例5〕
実施例3で作製した試料3−1に対し、塗布時に下記保護層上層および保護層下層を乳剤層の外側に塗布したことのみ異なる試料を作成し、試料5−1を得た。試料3−1および5−1に関し、実施例3同様の全面露光および現像処理を施すことにより、金属部が現像銀からなる導電性膜を作成した。得られた導電性膜について実施例4と同様に電磁波シールド能を測定した結果、両者とも好ましい電磁波シールド能を示した。本発明は乳剤層の外側に保護層を有する場合でも有効であることが示された。
<保護層上層>
ゼラチン 0.3g/m2
平均3.5μmの不定形シリカマット剤 25mg/m2
化合物(Cpd-8)(ゼラチン分散物) 20mg/m2
粒径10〜20μmのコロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスC)
30mg/m2
化合物(Cpd-9) 50mg/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
化合物(Cpd-10) 20mg/m2
化合物(Cpd-11) 20mg/m2
防腐剤(プロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)) 1mg/m2
【0174】
<保護層下層>
ゼラチン 0.5g/m2
1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 10mg/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd-13) 3mg/m2
防腐剤(プロキセル) 1.5mg/m2
【0175】
〔実施例6〕
実施例4で作製したメッキ後の導電性金属膜を、さらに銅黒化処理液で処理して銅表面を黒化した。使用した黒化処理液は市販のコパーブラック(株式会社アイソレート化学研究所製)を用いた。
PET面側に、総厚みが28μmの保護フィルム(パナック工業(株)製、品番;HT−25)をラミネーターローラーを用いて貼り合わせを行った。また、導電性金属部側にも、ポリエチレンフィルムにアクリル系粘着剤層が積層された総厚みが65μmの保護フィルム((株)サンエー化研製、品名;サニテクトY-26F)をラミネーターローラーを用いて貼り合わせを行った。
【0176】
次いで、PET面を貼り合わせ面にして厚さ2.5mm、外形寸法950mm×550mmのガラス板に透明なアクリル系粘着材を介して貼り合わせた。
【0177】
次に、外縁部20mmを除いた内側の導電性金属部の上に、厚さ25μmのアクリル系透光性粘着材を介して、厚さ100μmPETフィルム、反射防止層、近赤外線吸収剤含有層からなる反射防止機能付近赤外線吸収フィルム(住友大阪セメント(株)製 商品名クリアラスAR/NIR)を貼り合わせた。該アクリル系透光性粘着材層中には透過特性を調整する調色色素(三井化学製 PS−Red−G、PS−Violet−RC)を含有させた。
さらに、ガラス板の反対側の面には、粘着材を介して反射防止フィルム(日本油脂(株)製 商品名リアルック8201)を貼り合わせて、ディスプレイ用透光性電磁波シールド膜を作製した。
【0178】
得られたディスプレイ用透光性電磁波シールド膜は、導電性金属部が黒色であってディスプレイ画像が金属色を帯びることがないものであった。また、保護フィルムを用いたため傷や金属メッシュの欠陥な極めて少ないものであった。
また、このディスプレイ用透光性電磁波シールド膜は、実用上問題ない電磁波遮蔽能及び近赤外線カット能(300〜800nmの透過率が15%以下)を有し、両面に有する反射防止層により視認性に優れていた。また、色素を含有させることによって、調色機能を付与できており、プラズマディスプレイ等に好適に使用できることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に銀塩乳剤を含む乳剤層を有し、前記乳剤層を露光して現像処理を施すことにより導電性金属膜を製造可能な導電性金属膜形成用感光材料であって、
前記乳剤層の膨潤率が150%以上であることを特徴とする導電性金属膜形成用感光材料。
【請求項2】
支持体上に銀塩乳剤を含む乳剤層を有し、前記乳剤層を露光して現像処理を施し、さらに物理現像および/またはメッキ処理を施すことにより導電性金属膜を製造可能な導電性金属膜形成用感光材料であって、
前記乳剤層の膨潤率が150%以上であることを特徴とする導電性金属膜形成用感光材料。
【請求項3】
前記乳剤層のAg/ゼラチンの重量比率が4以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性金属膜形成用感光材料。
【請求項4】
前記乳剤層のAg/ゼラチンの重量比率が6以上10以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性金属膜形成用感光材料。
【請求項5】
前記乳剤層の塗布銀量が5g/m2以上であることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の導電性金属膜形成用感光材料。
【請求項6】
前記乳剤層の膨潤率が250%以上であることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の導電性金属膜形成用感光材料。
【請求項7】
前記乳剤層が実質的に最上層に配置されていることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載の導電性金属膜形成用感光材料。
【請求項8】
請求項1から7いずれかに記載の導電性金属膜形成用感光材料を、露光後現像処理することを特徴とする導電性金属膜の製造方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載の導電性金属膜形成用感光材料を、露光後現像処理を施し、さらに物理現像および/またはメッキ処理を施すことを特徴とする導電性金属膜の製造方法。
【請求項10】
前記導電性金属膜形成用感光材料を部分的に露光することによって金属銀部を部分的に形成することにより、露光パターンに応じた導電性金属パターンを形成することを特徴とする請求項8又は9に記載の導電性金属膜の製造方法。
【請求項11】
前記露光部のみに金属銀部を形成することを特徴とする請求項10に記載の導電性金属膜の製造方法。
【請求項12】
請求項8から11いずれかに記載の製造方法によって製造されることを特徴とする導電性金属膜。
【請求項13】
請求項12に記載の導電性金属膜であって、前記導電性金属部以外の部分が光透過性であることを特徴とする導電性金属膜。
【請求項14】
請求項13に記載の導電性金属膜を有することを特徴とするプラズマディスプレイ用透光性電磁波シールド膜。

【公開番号】特開2006−332459(P2006−332459A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156146(P2005−156146)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】