説明

小さくなった石鹸と新しい石鹸を合体させる石鹸

【課題】残った小さい固形石鹸を有効利用できる固形石鹸を提供する。
【解決手段】あらかじめ通常よりも多めの水分を含ませた石鹸素地を固形化し、手で容易に変形が可能な柔らかい、たとえば粘土程度の柔らかさの固形石鹸とし、小さくなった古い固形石鹸と、新しい大きな固形石鹸の間に挟み込み、接着し、手で圧力を加えると、自身が変形し、固形石鹸同士の隙間を埋めて完全にひとつの固形石鹸として接合される。接合直後はまだ分離しやすいが、1日から数日乾燥させることで水分が蒸発、硬化し、しっかりとしたひとつの固形石鹸ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使っていくうちに小さくなってくる固形石鹸を、同様に小さくなった固形石鹸同士もしくは、新しい大きな固形石鹸に合体させることにより、ひとつの大きな固形石鹸を作り、小さくなった固形石鹸を捨てることなく再利用することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、さまざまな産業でエコロジーやリサイクルが進んでいる。たとえば特許文献1には、小さくなった固形石鹸を新しい固形石鹸に接合する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−45478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固形石鹸を使用していると、最初のうちは大きくて使いやすく、手を洗う場合もお風呂で体を洗う場合も容易に泡を立てることができる。しかし使用を重ねるうち、徐々に固形石鹸は小さくなり、やがて使いにくくなってくる。完全に固形石鹸が無くなるまで使用する場合もあるが、多くの場合、小さくなると、新しい固形石鹸を使い始める。このとき、小さくなった固形石鹸を廃棄する場合もあるし、捨てるに捨てきれず、放置されることもあるが、なくなってしまうまで使い切ることが容易ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般的に知られている事として、固形石鹸の硬さは、水分含量が多いほど、柔らかくなることが知られている。本発明は、固形石鹸の製造の工程で石鹸素地の水分含量を高め、水分含量が高めの状態で固形化し、たとえば柔らかい粘土のような固さに落ち着くようにし、手で容易に変形できる半生状の軟質な固形石鹸を作ることにより、小さい固形石鹸と新しい大きな固形石鹸、あるいは小さい固形石鹸同士の間に入り、接着剤として作用させることができるようにした。

【0006】
本発明固形石鹸は、固形石鹸同士の間に入り、手の力によって圧力を加え接合する過程で、接合面の凹凸に沿って容易に変形し、それぞれの固形石鹸の間の空間を埋めてゆき、手の力によって形を整えて最終的にひとつの固形石鹸に合体させることができるようにした。接合した直後は容易に接合面が剥離しやすい柔らかい状態だが、1日、もしくは数日ほど放置、乾燥することにより本発明固形石鹸に含有していた水分が、蒸発及び、接合している固形石鹸に吸収され、それに伴い本発明固形石鹸が硬化し、接着力が向上し、接合面が再び剥離することなく、ひとつの固形石鹸としてなる。もともと原材料が固形石鹸のため、ひとつの固形石鹸として継続して使い続けることができる。また、その後使用に伴い小さくなってきたら、再び本発明固形石鹸を使い、新しい大きな固形石鹸に接合、合体することができる。
【0007】
本発明固形石鹸は、水分含有が多いため、製造した状態のまま放置しておくと数日の間に水分が蒸発して硬化し、本来の柔らかさを失ってしまう。そのため、製造の過程で、お菓子の飴やキャラメルなどと同じビニールなどにより、水分を逃がさないための密封包装を行う。ビニールなどによって水分が蒸発しないように密封された本発明固形石鹸は、手で容易に変形が可能な柔らかい状態、たとえば粘土程度の柔らかさを実際に開封して使うときまで長期間維持することができる。
【発明の効果】
【0008】
従来は、使っているうちに小さくなってしまった固形石鹸を最後まで使い切ることができずに廃棄してしまったり、あるいはもったいないなどの事情で捨てきれずに放置したままになっていることがあったが、本発明固形石鹸により、小さくなった固形石鹸と、新しい大きな固形石鹸をひとつに接合、合体させることができるようになる。合体してひとつになった固形石鹸は、翌日、もしくは数日の間に水分が蒸発及び、接合面から水分が吸収されて硬化し、接着力も向上し、ひとつの固形石鹸として利用が可能となる。合体によって出来上がった固形石鹸も、使用に伴い後日小さくなってくるが、本発明固形石鹸により再び新しい大きな固形石鹸に接合することが可能であり、連続して使うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明固形石鹸(b)と、大きな新しい固形石鹸(a)と小さくなった古い固形石鹸(c)と並べた図
【図2】本発明固形石鹸を、大きな新しい固形石鹸と小さくなった古い固形石鹸の間に挟む前の様子
【図3】本発明固形石鹸を、大きな新しい固形石鹸と小さくなった古い固形石鹸の間に挟んで形を整えた様子
【図4】本発明固形石鹸を、小さくなった古い固形石鹸同士で挟んでいく様子。(a)は接合前、(b)は接合を行ったあと形を整えた断面図、(c)は接合後に斜めから見た様子
【図5】本発明固形石鹸を、柔らかいまま、水分含量を維持するために、製造過程でビニールなどで密封包装した状態
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1において、新しい固形石鹸(a)と小さくなった古い固形石鹸(c)を接合するための本発明固形石鹸(b)を並べて配置した様子を示す。本発明固形石鹸は、製造過程で石鹸素地に水分を多めに添加した状態のまま固化させたもの、もしくは、通常石鹸素地を型に入れて固化させた後、数週間の乾燥工程に入るものを、通常よりも短い期間で乾燥工程を終了させ、手で容易に変形が可能な硬度、たとえば最終的に粘土のような質感の柔らかさに仕上げる。大きさは、小さくなった古い固形石鹸と対比してやや小さく、接合の時に変形し、隙間を埋めていく過程で最終的に本発明固形石鹸が余ったり、あふれ出ない程度の容積に落ち着くように工夫する。比較的大きな固形石鹸同士を接合する場合は本発明固形石鹸を2個使うなどの工夫も可能である。
【0011】
図2において、新しい大きな固形石鹸3と、小さくなった古い固形石鹸1の間に、本発明固形石鹸2を挟む様子を示す。
【0012】
図3において、新しい大きな固形石鹸6と、小さくなった古い固形石鹸4の間に、本発明固形石鹸5を挟み、接合したまま、手で圧力を加えると、本発明固形石鹸5は、粘土のような柔らかさによって変形し、新しい大きな固形石鹸6と、小さくなった古い固形石鹸4の間にある空間を埋め尽くすように広がってゆく。その後、手や指によって整形し、最終的に滑らかな曲面を形成し、ひとつの大きな固形石鹸となるようにする。最後は、新しい大きな固形石鹸9の上に、滑らかに形を整えられた本発明固形石鹸8と、その上に古くなった小さな固形石鹸7が、滑らかな曲面を描きひとつの固形石鹸としてなる。この段階では本発明固形石鹸8は、接合部分が柔らかいため接着力が弱く、剥離してしまう可能性があるため、1日もしくは数日ほどこのまま保管する。その間に、本発明固形石鹸の柔らかさを維持するために含まれていた水分が蒸発、及び、接合されたそれぞれの固形石鹸本体に水分が吸収され、硬度が増し、接着力も向上し、最終的には硬いひとつの大きな固形石鹸が出来上がる。

【0013】
図4(a)において、小さくなった古い固形石鹸10と、同様の大きさの小さくなった古い固形石鹸12の間に、本発明固形石鹸11を挟んでひとつの大きな固形石鹸を作る様子を示す。挟んだ後に手で圧力を加えると、本発明固形石鹸14のように変形し、隙間を埋めるように広がり、指で整形するとひとつの固形石鹸(b)となる。
【0014】
図5において、本発明固形石鹸19の保存方法を示す。本発明固形石鹸は、手で容易に変形が可能な硬さ、たとえば柔らかい粘土のような柔らかさを、製造の過程で多めに添加された水分含有量によって維持することができるため、製造後、水分が蒸発しないように、飴やキャラメルなどをパッケージするようなビニール18によって密封包装することによって長期間保存できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
昨今、多くの産業でエコロジーもしくはリサイクルの強化が進んでおり、固形石鹸においても、小さくなった古い固形石鹸を捨てる、もしくは放置することなく再利用できるようにする製品を販売することは、産業上大きな効果を与える可能性がある。
【符号の説明】
【0016】
1 使っているうちに小さくなった固形石鹸
2 本発明固形石鹸
3 新しい大きな固形石鹸
4 使っているうちに小さくなった固形石鹸
5 隙間を埋めるように変形した本発明固形石鹸
6 新しい大きな固形石鹸
7 使っているうちに小さくなった固形石鹸
8 隙間を埋めるように変形した本発明固形石鹸
9 新しい大きな固形石鹸
10 使っているうちに小さくなった固形石鹸
11 本発明固形石鹸
12 使っているうちに小さくなった固形石鹸
13 使っているうちに小さくなった固形石鹸
14 隙間を埋めるように変形した本発明固形石鹸
15 使っているうちに小さくなった固形石鹸
16 使っているうちに小さくなった固形石鹸
17 隙間を埋めるように変形した本発明固形石鹸
18 本発明固形石鹸を水分を逃がさないように密閉包装するビニール
19 本発明固形石鹸
20 本発明固形石鹸を水分を逃がさないように密閉包装するビニール
21 本発明固形石鹸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形石鹸同士を接合、接着する固形石鹸であって、水分含量が高く、手で容易に変形できる程度の柔らかさ、たとえば粘土のような柔らかさを持ち、固形石鹸同士の間に入れて接合し、手で加圧すると、自身の形が変形し固形石鹸同士の隙間を埋めて、なおかつ固形石鹸同士を接合、接着できることを特徴とする固形石鹸。
【請求項2】
固形石鹸同士を接合、接着する固形石鹸であって、水分含量が高く、手で容易に変形できる程度の柔らかさ、たとえば粘土のような柔らかさを持ち、固形石鹸同士の間に入れて接合し、手で加圧すると、自身の形が変形し固形石鹸同士の隙間を埋めて、なおかつ固形石鹸同士を接合、接着できることを特徴とし、接合後、1日から数日の間に水分が蒸発、及び接合されている固形石鹸の接合面からも水分が吸収されることによって水分含量が低下し、接着力が向上し、及び固形石鹸の硬度も向上し、接合面が剥離することなくひとつの大きな固形石鹸としてなることを特徴とする請求項1記載の固形石鹸。
【請求項3】
固形石鹸同士を接合、接着する固形石鹸であって、水分含量が高く、手で容易に変形できる程度の柔らかさ、たとえば粘土のような柔らかさを持ち、固形石鹸同士の間に入れて接合し、手で加圧すると、自身の形が変形し固形石鹸同士の隙間を埋めて、なおかつ固形石鹸同士を接合、接着できることを特徴とする固形石鹸において、その粘土のような柔らかさを維持するために、1回分の使用量ずつ、ビニールやプラスチックなどで密閉包装することにより、水分の蒸発を防ぎ、長期間の保存ができることを特徴とする請求項1もしくは請求項2記載の固形石鹸。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate