説明

小口用キャップ及び小口用キャップの取付構造

【課題】製造及び施工コストを抑えることができ、床材への施工作業が簡便な小口用キャップを提供する。
【解決手段】本発明は、内部に長さ方向に延在する中空部7を有するとともに、該中空部7を形成する一の壁部4に係止穴Pが形成された床材1の小口Tを閉塞する小口用キャップ2であって、小口Tを覆う蓋部8と、該蓋部8に形成されて中空部7内に嵌合する嵌合壁部9Bと、該嵌合壁部9Bに形成され、係止穴Pに係止させる係止凸部とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルコニー等の床材に使用される小口用キャップ及び小口用キャップの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バルコニー等の床材として、合成樹脂材料を用いて押出成形により形成されるデッキ材が広く用いられている。このデッキ材は、天板部、底板部、側壁部及び柱壁部を用いて一方向に長尺に形成されるとともに、床材の軽量化などを図るために、内部に長手方向に形成された中空部を有し、その両端(小口)が開放された状態となっている。したがって、前記デッキ材は、例えばバルコニー等にエクステリア材として敷設された際に、前記開放された小口から雨水や塵埃類や虫等が浸入するのを防ぎ、美観を持たせるように、小口用キャップで閉塞されるようになっている。
そして、従来の小口用キャップのデッキ材への固定は、図8に示すように、蓋部101の裏面101aがデッキ材102の小口Tに当接され、かつ、蓋部101の裏面101aに設けた取付部103がデッキ材102の側壁部104,104に当接された状態で、ビス105を取付部103に形成した孔106からデッキ材102の側壁部104に向けて螺入することによって行われていた(例えば、下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−91717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の小口用キャップ100では、デッキ材102への固定をビス105により行わなければならないため、小口用キャップ100の構造が複雑になるとともに、部品点数が多くなるため小口用キャップ100の製造コスト及び施工コストが嵩むという問題があった。
また、デッキ材102に小口用キャップ100を嵌着させた状態で、デッキ材102の両側壁部104側においてビス105を螺着しなければならないため、ビス105の位置決め時、施工作業の効率が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、内部に長さ方向に延在する中空部を有するとともに、該中空部を形成する一の壁部に係止穴が形成された床材の小口を閉塞する小口用キャップであって、前記小口を覆う蓋部と、該蓋部に形成されて前記中空部内に嵌合する嵌合壁部と、該嵌合壁部に形成され、前記係止穴に係止させる係止凸部とを備えていることを特徴とする。
本発明では、小口用キャップの床材への固定において、床材に形成された係止穴に小口用キャップの嵌合壁部に形成された係止凸部を係止させることができるため、ビス等の別部材の使用を要しない。
また、小口用キャップの床材への係止においてビス等の螺入を必要としないため、小口キャップの施工作業を簡便に行うことができる。
請求項2の発明は、前記係止穴が貫通孔として床材の底板部に形成され、前記係止凸部を前記係止穴に係止させたときに前記中空部と外部とを連通させる水抜き孔が前記係止凸部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の小口用キャップである。
本発明では、嵌合壁部に形成された係止凸部に水抜き孔が形成されており、この水抜き孔が係止穴と連通して床材の外部まで貫通しているため、小口用キャップを床材に固定する係止凸部と床材の中空部内に侵入した水を排水する水抜き孔を兼用することができ、水抜き構造を持たせた小口用キャップをシンプルに構成することができる。
また、水抜き孔を床材の底板部に設けているため、小口用キャップを付した床材の外観を美麗にすることができる。
請求項3の発明は、前記嵌合壁部は、前記蓋部の裏面に互いに対向して設けられた、前記中空部の天板部に当接可能な第1の嵌合壁部と前記中空部の底板部に当接可能な第2の嵌合壁部とを備え、前記第2の嵌合壁部には、前記係止凸部が形成され、前記第1の嵌合壁部には、前記係止凸部の前記水抜き孔に対向する位置にガイド孔が形成され、かつ、前記蓋部の裏面には、前記床材の小口を当接させて、該床材の底板部に前記水抜き孔と連通する前記貫通口を形成するための位置決め壁部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の小口用キャップである。
本発明では、小口用キャップの第1の嵌合壁部に、係止凸部の水抜き孔に対向する位置にガイド孔が形成されており、かつ、前記水抜き孔と連通する前記貫通口を床材の底板部に形成するための位置決め壁部が形成されているため、小口用キャップを利用して、簡便かつ正確に床材の底板部に小口用キャップの水抜き孔と連通させる貫通口を形成することができる。
請求項4の発明は、小口キャップの取付構造であって、内部に長さ方向に延在する中空部を有するとともに該中空部の一の壁部を形成する底板部に係止穴が形成された床材に対して、請求項2に記載の小口用キャップが、その嵌合壁部を前記中空部に嵌合するとともに蓋部が小口を覆うように取り付けられ、前記係止凸部が前記係止穴に係止され、前記水抜き孔及び前記係止穴により前記中空部内と外部とが連通されていることを特徴とする。
本発明では、小口用キャップの床材への固定において、床材に形成された係止穴に小口用キャップの嵌合壁部に形成された係止凸部を係止させることができるため、ビス等の別部材の使用を要しない。
また、小口用キャップの床材への係止においてビス等の螺入を必要としないため、小口キャップの施工作業を簡便に行うことができる。
また、水抜き孔を床材の底板部に設けているため、小口用キャップを付した床材の外観を美麗にすることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の小口用キャップによれば、小口用キャップの床材への固定において、床材に形成された係止穴に小口用キャップの嵌合壁部に形成された係止凸部を係止させることができ、ビス等の別部材の使用を回避することができる。したがって、小口用キャップの固定のための部品点数を抑えて小口用キャップの製造コスト及び小口用キャップの床材への施工コストを抑制することができるという効果を奏する。また、同様の理由から、床材への小口用キャップの施工作業が簡便になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は、本発明の一実施形態として示した小口用キャップとこの小口用キャップの適用対象である床材とを示した分解斜視図である。
【図2】は、本発明の一実施形態として示した小口用キャップであり、(a)は、この小口用キャップの正面図であり、(b)はこの小口用キャップの側面図であり、(c)はこの小口用キャップの底面図である。
【図3】は、本発明の一実施形態として示した小口用キャップの使用方法を示した説明図であり、(a)はその正面図であり、(b)はその側面図である。
【図4】(a),(b)は、本発明の一実施形態として示した小口用キャップの床材への嵌着方法を示した説明図である。
【図5】は、本発明の一実施形態として示した小口用キャップの変形例を一部を断面視して示した側面図である。
【図6】は、本発明の一実施形態として示した小口用キャップの変形例を一部を断面視して示した側面図である。
【図7】(a),(b)は、本発明の一実施形態として示した小口用キャップの変形例の使用方法を示した説明図である。
【図8】は、従来の床材及び小口用キャップ及び床材を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、床材1の両端部(小口)T,Tとこれに取り付けられる小口用キャップ2,2を示した図である。
床材1は、合成樹脂材料により押出成形法等によって形成された長尺の板状部材であって、天板部3、底板部4、側壁部5,5と柱壁部6,6・・とを備えている。床材1の内部には、断面視略矩形で長手方向に延在する複数の中空部7,7・・が形成されている。床材1の底板部4には、小口T付近の所定の位置に中空部7から下方に向かって貫通する係止穴Pが形成されている。この係止穴Pは、床材1を施工現場へ搬入して設置する際に、現場施工されるものである。
【0009】
小口用キャップ2は、合成樹脂材料により射出成形法等により形成された部材であり、蓋部8と、この裏面8aに設けられた嵌合壁部9A・・,9B・・と、図3(a)に示す位置決め壁部10a、10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bを備えている。
【0010】
図1に示すように、蓋部8は、床材1の小口Tの全体を塞ぐように該小口Tの外径輪郭と略対応するよう略矩形に形成されている。
図2(a)に示すように、嵌合壁部は、小口用キャップ2の床材1への装着時に、中空部7に嵌入されて天板部3及び底板部4に内側から当接し、小口用キャップ2が床材1に対してぐらつかないように支持及び固定するものであり、第1の嵌合壁部9Aと第2の嵌合壁部9Bとを備えて構成されている。第1の嵌合壁部9Aは、図1に示す各中空部7,7・・に対応するように設けられ、第2の嵌合壁部9Bは、中央の中空部7を除いて左右の中空部7,7に対応するように設けられている。左右の中空部7,7に対応して設けられた第1及び第2の嵌合壁部9A,9Bは、互いに鉛直方向に離間するよう一対ずつ設けられている。
【0011】
第2の嵌合壁部9Bは、図2(b)、(c)に示すように、蓋部8の裏面8aから該裏面8aに直交する方向に一定寸法突出しており、水平方向に延在する水平板部14Bと、この水平板部14Bの先端側下面に形成された係止凸部20とを備えている。この第2の嵌合壁部9Bは、蓋部8との連結部分を中心として先端が上下方向に移動可能なように弾性変形及び弾性復帰できるようになっている。
係止凸部20は、図4(b)に示すように、第2の嵌合壁部9Bが床材1の中空部7の内部に挿入されたときに係止穴P内に密に嵌合するようになっている。係止凸部20の平面視中央部には、水平板部14Bと共に貫通する水抜き孔21が形成されており、係止凸部20の係止穴Pへの嵌合時に、水抜き孔21と係止穴Pとが貫通して、中空部7と外部Sとが連通するようになっている。
【0012】
一方、第1の嵌合壁部9Aは、図2(a),(b)に示すように、第2の嵌合壁部9Bの水平板部14Bと略同幅かつ略同じ突出寸法でこの水平板部14Bに平行に突出する水平板部14Aとその両端が下方に折曲して延在する側板部15,15とにより断面略コ字状に形成されている。
【0013】
第1の嵌合壁部9Aの水平板部14Aには、鉛直方向に貫通するガイド穴16が第2の嵌合壁部9Bの水抜き孔21と軸線Lを同一にして連通するように形成されている。すなわち、小口用キャップ2を平面視したときに、ガイド穴16の投影部に水抜き孔21が位置するようになっている。ガイド穴16の径寸法は、水抜き孔21の径寸法よりも僅かに小径に形成されている。
【0014】
図3(a)に示すように、位置決め壁部10a、10b,・・・,13a,13bは、第1の嵌合壁部9Aと第2の嵌合壁部9Bの両側方にそれぞれ一対ずつ形成されている。
この位置決め壁部10a、10b,・・・,13a,13bは、図3(a),(b)を参照して詳述すると、床材1の小口Tに蓋部8の裏面8aを当接させて、ガイド穴16を利用して第2の嵌合壁部9Bの水抜き孔21と連通する係止穴Pを底板部4に形成する際に、床材1に対して小口用キャップ2を位置決めする壁部である。
【0015】
そのために、位置決め壁部10a、10b,・・・,13a,13bは、底板部4に上下に貫通する係止穴Pが設けられるべき位置、すなわち、第1の嵌合壁部9A,9A・・のガイド穴16を中空孔7の幅W方向中央に位置させて、側板部15,15・・を底板部4の下面に当接させる位置に小口用キャップ2を固定する位置に設けられている。具体的には、位置決め壁部10b,13bが左右の中空部7の側壁部5,5の内側に当接し、位置決め壁部11b,12bが中央の中空部7を形成する柱壁部6,6の内側に当接し、10a〜13aが10b〜13bに対向する底板部4の下面(図4(a)では上面)に当接する位置に形成されている。
【0016】
小口用キャップ2の材質は、特に限定されるものでなく、ポリプロピレン,塩化ビニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂,酢酸ビニル樹脂,ポリビニルアルコール,ポリビニルアセタール,ポリスチレン,AS樹脂,ABS樹脂,メタクリル樹脂,ポリエチレン,フッ素樹脂,ポリアミド,ポリアセタール,ポリカーボネート,ポリスルホン等の単体もしくはこれらの複合物よりなる合成樹脂材料、ガラス繊維強化プラスチック,炭素繊維強化プラスチック,アラミド繊維強化プラスチック等の樹脂材料に繊維系材料を混入させた複合材料、又は炭素鋼,ステンレス鋼,クロム鋼,マンガン鋼,ニッケルクロム鋼,ニッケルマンガン鋼等を備えてなる金属材料、木材などを用いることができるが、加工性、コスト、強度、耐久性、耐水性、耐候性、穿孔性などを考慮すれば熱可塑性樹脂からなり、射出成型によって製造されることが望ましい。
さらに、小口用2キャップが熱可塑性樹脂からなる場合は、意匠性を高めるため、必要に応じて顔料を混ぜたり、小口用2キャップの表面に凹凸模様を設けてもよい。
【0017】
次に、床材1及び小口用キャップ2を現場で施工する際に、床材1を加工し、更に加工された床材1の小口に小口用キャップ2を取り付ける方法について説明する。
まず、床材1の底板部4に上下方向に貫通する係止穴Pを形成するにあたり、底板部4への穿孔を容易にするために、図3(a),(b)に示すように、床材1の天板部3と底板部4とを上下反対に向けて配置する。
【0018】
この状態の床材1に、位置決め壁部10b〜13bが前述したように、左右の中空部7,7の側壁部5,5の内側及び中央の中空部7の柱壁部6,6の内側に当接し、位置決め壁部10a〜13aが底板部4の下面に当接するように、小口用キャップ2の第1及び第2の嵌合壁部9A,9Bを中空部7,7・・に挿入し、蓋部8の裏面8aに床材1の小口Tを当接させる。
【0019】
そうすると、小口用キャップ2は、第1の嵌合壁部9A,9A・・の各側板部15,15を底板部4の下面(図4では上面)に当接させるとともに、ガイド穴16を中空孔7,7・・の幅W方向中央に位置させた状態で、鉛直方向及び水平方向に位置決めされる。
【0020】
そこで、ドリルの断面径寸法が水抜き孔21の直径よりも僅かに大きい電気ドリル等の穿孔治具を用い、ドリルの先端を一の第1の嵌合壁部9Aのガイド穴16に挿入する。この場合、ガイド穴16は、水抜き孔21よりも僅かに小径に形成されているため、ドリルを挿入した際に、このドリルの中心軸とガイド穴16の中心軸とをずらすことなく容易に軸合わせすることができる。ドリルの先端が床材1の底板部4に到達したら、ドリルの軸線を鉛直方向に維持したまま底板部4を穿孔し、上下方向に貫通する係止穴Pを形成する。この要領で、他の二つの第2の嵌合壁部9Aのガイド穴16を利用し、中空部7,7のそれぞれに対応する係止穴Pを形成する。
【0021】
この場合、ガイド穴16は、水抜き孔21に対向する位置、すなわち、図2(a)に示すように、第1の嵌合壁部9Aにおいて水抜き孔21と軸線Lを同一にして鉛直方向に連通する位置に形成されている。したがって、図3(b)に示した状態でガイド穴16に従って形成された床材1の係止穴Pも、この床材1に小口用キャップ2を装着した際に、水抜き孔21と鉛直方向に連通する位置に形成されるとともに、水抜き孔21よりも僅かに大径に穿孔される。
【0022】
床材1の底板部4に係止穴Pを形成したら、床材1の天板部3と底板部4とを再び反転させて、天板部3を上方に向ける。そして、床材1を設置すべき場所に複数隣接配置し、第1の嵌合壁部9Aが第2の嵌合壁部9Bよりも上部に位置する向きで、小口用キャップ2を床材1の小口Tに取り付ける。
【0023】
この際、図4(a)に示すように、第2の嵌合壁部9Bの係止凸部20が中空部7内に進入し得るように、第2の嵌合壁部9Bを上方に弾性変形させて持ち上げ、この状態で小口用キャップ2を矢印Y1方向に押し込む。すると、第2の嵌合壁部9Bが弾性変形した状態を維持したまま中空部7内を移動する。そして、図4(b)に示すように、係止凸部20が底板部4の係止穴Pに位置したところでこの係止凸部20が係止穴Pに嵌合して第水抜き孔21が係止穴Pと連通し、第2の嵌合壁部9Bが弾性復帰して底板部4に当接するとともに、蓋部8の裏面8aが小口Tに当接して密着した状態で固定される。
【0024】
以上のようにして床材1に小口用キャップ2が嵌着された場合、小口用キャップ2が床材1の小口Tに密着して確実に固定されるため、床材1の中空部7内に雨水、塵埃類や虫等が浸入することを効果的に防止し得る。
そして、床材1と小口用キャップ2との僅かな隙間から雨水が浸入した場合であっても、中空部7内に溜まった雨水が水抜け穴21とこれに連通した係止穴Pから下方に排出される。
【0025】
以上のように、小口用キャップ2によれば、小口用キャップ2の床材1への固定を、床材1に形成した係止穴Pに係止凸部20を係止させて行うことができ、ビス等の別部材の使用を回避することができる。したがって、小口用キャップ2の床材1への固定のための部品点数を抑えることができるとともに、小口用キャップ2の製造コスト及び小口用キャップ2の床材1への施工コストを抑制することができるという効果が得られる。
【0026】
また、係止凸部20に水抜き孔21を形成し、小口用キャップ2を床材1に固定する部材と水抜きをする部材を兼用しているため、小口用キャップ2の構造をシンプルに構成することができ、小口用キャップ2の製造コスト及び施工コストを安価にすることができるという効果が得られる。
【0027】
また、第1の嵌合壁部9Aに水抜き孔21と鉛直方向に連通するガイド穴16を形成するとともに、係止穴Pと水抜き孔21とが連通するように底板部4にガイド穴16を位置決めできる位置決め壁部10a,10b〜13a,13bを設けたため、水抜き孔21に連通させる係止穴Pの穿孔位置を簡便に位置決めすることができるとともに、容易に穿孔作業を行うことができるという効果が得られる。
また更に、水抜き孔21及びこれに連通する係止穴Pが下方に向かって開口しているため、水抜き孔21及び係止穴Pが人目に付かず、床材1及び小口用キャップ2の美観を損ねることを防止することができるという効果が得られる。
【0028】
なお、上記の実施形態において、第2の嵌合壁部9Bの先端部の厚さ寸法は一定に形成されているが、図5に示すように、第2の嵌合壁部9Bの下壁部30が先端方向に向かって漸次上方に向かって薄肉に形成されていてもよい。
第2の嵌合壁部9Bの厚さ寸法をこのような形状とすることによって、小口用キャップ2を床材1の中空部7内に円滑に挿入しやすくすることができるという効果が得られる。
【0029】
更に、上記の実施形態において、係止凸部20は、略円柱状に形成されているが、図6に示すように、第2の嵌合壁部9Bの先端側に向かって漸次突出長さが小さくなるように形成されていてもよい。
係止凸部20をこのような形状とすることによって、第2の嵌合壁部9Bの中空部7への挿入時に係止凸部20を円滑に中空部7内に進入させることができるという効果が得られる。
【0030】
また或いは、図7(a),(b)に示すように、上記の実施形態における円柱状の係止凸部20に代えて、係止凸部20を、円柱形状を半割にして第2の嵌合壁部9Bの基端側に設けた構成としてもよい。
このような構成とすることで、小口用キャップ2を床材1に嵌着させた際に、係止凸部20を係止穴Pにおいて小口用キャップ2の抜き出し方向Y2に抗して係止させ、有効に抜き出し防止を図ることができるとともに、中空部7に進入した雨水を、第2の嵌合壁部9Bの先端部と底板部4との間に設けられた隙間Mから水抜き孔21に早いタイミングで円滑に導いて排出することができるという効果が得られる。
【0031】
なお、上記の実施形態において、位置決め壁部10a、10b,・・・,13a,13bの形成位置及び個数は、小口用キャップ2の上下左右の移動を規制する位置及び個数で設けられていればよく、図3(a)で示された実施態様の位置及び個数に限定されない。具体的には、例えば床材1の天板部3と底板部4の短手方向の各端部3n,4nの厚さ寸法に差異があることをから、これを利用して側板部5,5の外側コーナー部と底板部4の下面(図3(a)では上面)に当接するいずれかの位置とに形成してもよい。少なくとも、側板部5,5の外側コーナー部と、底板部4の下面(図3(a)では上面)に当接するいずれかの位置とに位置決め壁部25a〜25dを形成することで、誤ってこれらの位置決め壁部25a〜25cに天板部3を嵌合させた場合であっても、小口用キャップ2がぐらついて確実に固定できないため、床材1の向きの誤りを気付かせることができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0032】
1 床材
2 小口用キャップ
3 天板部
4 底板部(一の壁部)
7 中空部
8 蓋部
8a 裏面
9A 第1の嵌合壁部
9B 第2の嵌合壁部
10a,10b 位置決め壁部
11a,11b 位置決め壁部
12a,12b 位置決め壁部
13a,13b 位置決め壁部
16 ガイド孔
20 係止凸部
21 水抜き孔
P 係止穴
T 小口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に長さ方向に延在する中空部を有するとともに、該中空部を形成する一の壁部に係止穴が形成された床材の小口を閉塞する小口用キャップであって、
前記小口を覆う蓋部と、
該蓋部に形成されて前記中空部内に嵌合する嵌合壁部と、
該嵌合壁部に形成され、前記係止穴に係止させる係止凸部とを備えていることを特徴とする小口用キャップ。
【請求項2】
前記係止穴が貫通孔として床材の底板部に形成され、
前記係止凸部を前記係止穴に係止させたときに前記中空部と外部とを連通させる水抜き孔が前記係止凸部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の小口用キャップ。
【請求項3】
前記嵌合壁部は、前記蓋部の裏面に互いに対向して設けられた、前記中空部の天板部に当接可能な第1の嵌合壁部と前記中空部の底板部に当接可能な第2の嵌合壁部とを備え、
前記第2の嵌合壁部には、前記係止凸部が形成され、
前記第1の嵌合壁部には、前記係止凸部の前記水抜き孔に対向する位置にガイド孔が形成され、かつ、
前記蓋部の裏面には、前記床材の小口を当接させて、該床材の底板部に前記水抜き孔と連通する前記貫通口を形成するための位置決め壁部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の小口用キャップ。
【請求項4】
内部に長さ方向に延在する中空部を有するとともに該中空部の一の壁部を形成する底板部に係止穴が形成された床材に対して、請求項2に記載の小口用キャップが、その嵌合壁部を前記中空部に嵌合するとともに蓋部が小口を覆うように取り付けられ、
前記係止凸部が前記係止穴に係止され、
前記水抜き孔及び前記係止穴により前記中空部内と外部とが連通されていることを特徴とする小口用キャップの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−79491(P2013−79491A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218702(P2011−218702)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】