説明

小型マッサージ装置

【課題】構造が簡単でかつ安価であって効率よくさらに心地よくマッサージを行なうことができるようにする。
【解決手段】基端側に把持部6を有する長尺状のケース2と、ケース2の先端側に同一方向に突出するように設けられた固定揉み体3及び可動揉み体4と、駆動機構5とを備える。可動揉み体4は、マッサージ部18と、このマッサージ部18の基端側で当該マッサージ部18と一体的に形成されたアーム部19とを備える。固定揉み体3は、マッサージ部300とこのマッサージ部300の基端側で当該マッサージ部300を支持する支持体301及び保持部材302とを備える。駆動機構5は、可動揉み体4のアーム部19の駆動軸39を回転駆動させて可動揉み体4を固定揉み体3に対して近接離反させると共に、固定揉み体3のマッサージ部300を振動させる駆動モータ35を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持部を有して手持ち使用が可能になされた小型マッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手持ち使用が可能なマッサージ装置として、種々なものが知られている。これらのマッサージ装置は、主として肩をマッサージするために開発されており、ケースには一対の揉み体が設けられ、これら揉み体の相互間を使用者の肩へ嵌めて両揉み体を肩の前後両側へ振り分け配置させ、両方の揉み体を相対的に近接離反させるといったマッサージ動作をさせるようになっている。
例えば、特開2007−159936号公報(特許文献1)に開示されたマッサージ装置は、基端側に把持部を有する長尺状のケースと、ケースの先端側に同一方向に突出するように設けられた固定揉み体及び可動揉み体と、可動揉み体を固定揉み体に対して近接離反させる駆動機構とを備える。可動揉み体は、ケースの先端側に設けられた開口部から突出したマッサージ部と、このマッサージ部の基端側で当該マッサージ部と一体的に形成されたアーム部とを備える。駆動機構は、アーム部の基端側を偏心駆動可能に支持する駆動軸と、アーム部の中途部を枢支する支持軸と、支持軸とケース側とを連結しかつ可動揉み体の近接離反する方向と略同じ方向に揺動するリンク部材と、駆動軸を回転駆動する駆動モータとを備える。
【0003】
このマッサージ装置によると、駆動軸を回転させることでアーム部の基端部が偏心移動すると共に、可動揉み体が近接離反する方向と略同じ方向にリンク部材を揺動するため、可動揉み体が近接離反を繰り返すマッサージ動作をする。このとき、リンク部材を可動揉み体が近接離反する方向と略同じ向きに揺動させていることから可動揉み体(マッサージ部)の軌道での近接離反範囲が大きくなり、可動揉み体のみを揺動させるだけで肩等のマッサージを十分に行なうことができるようになる。
【特許文献1】特開2007−159936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示されたマッサージ装置は、構造が簡単でかつ安価であって効率よく肩の挟み込みマッサージを行なうことができるものであるが、可動揉み体に対向して設けられた固定揉み体の硬さ(剛性感)を好まない使用者も存在する。また、挟み込みマッサージだけではなく、他態様の心地のよいマッサージを望む使用者も多く存在する。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、構造が簡単でかつ安価であって、且つ心地のよいマッサージを行なうことができる小型マッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る小型マッサージ装置は、基端側に把持部を有する長尺状のケースと、前記ケースの先端側に同一方向に突出するように設けられた固定揉み体及び可動揉み体と、前記可動揉み体を前記固定揉み体に対して近接離反させる駆動機構とを備え、前記可動揉み体は、前記ケースの先端側に設けられた開口部から突出したマッサージ部と、このマッサージ部の基端側で当該マッサージ部と一体的に形成されたアーム部とを備え、前記駆動機構は、前記アーム部の基端側を偏心駆動可能に支持する駆動軸と、アーム部の中途部を枢支する支持軸と、前記支持軸とケース側とを連結しかつ前記可動揉み体の近接離反する方向と略同じ方向に揺動するリンク部材と、前記駆動軸を回転駆動する駆動モータとを備え、前記固定揉み体は、前記ケースの先端側に設けられた開口部から突出した振動マッサージ部と、前記駆動モータの回転力により前記振動マッサージ部を振動させる振動機構とを備えることを特徴とする。
【0006】
これによれば、駆動軸を回転させることでアーム部の基端部が偏心移動すると共に、可動揉み体が近接離反する方向と略同じ方向にリンク部材を揺動するため、可動揉み体が近接離反を繰り返すマッサージ動作をする。このとき、リンク部材を可動揉み体が近接離反する方向と略同じ向きに揺動させていることから可動揉み体(マッサージ部)の軌道での近接離反範囲が大きくなり、可動揉み体のみを揺動させるだけで肩等のマッサージを十分に行なうことができるようになる。
さらに、可動揉み体に対向して設けられた固定揉み体は、駆動モータの回転力を用いた振動機構により振動マッサージ部が振動される。このため、振動マッサージ部が振動しない場合に比べて、使用者が振動マッサージ部の硬さ(剛性感)を感じることを抑制しつつ多様な揉み感覚を付与できるようになる。
【0007】
好ましくは、前記駆動モータの両端面からモータ回転軸が伸長されており、前記モータ回転軸の一方端が前記駆動機構の駆動軸を回転駆動し、他方端が前記振動機構を回転駆動するように構成するとよい。
また、前記振動機構は、モータ回転軸の他方端の回転力を偏心に起因する振動に変換し、前記振動マッサージ部を振動させるとよい。
好ましくは、前記振動機構は、前記モータ回転軸の他方端に円板面が垂直に設けられ前記モータ回転軸と回転中心を一致させた第1の回転円板と、前記第1の回転円板に円板面が互いに対向するように設けられ前記第1の回転円板の回転中心を偏心させた第2の回転円板と、前記第2の回転円板を回転自在に保持する保持部材と、前記保持部材と前記振動マッサージ部とを連結する支持部材と、前記振動マッサージ部を支持する弾性部材とを含むとよい。
【0008】
この構成によると、駆動モータにより回転された第1の回転円板と第2の回転円板とが偏心していることにより発生する振動が保持部材を介して振動マッサージ部に伝達される。このため、振動マッサージ部が駆動モータにより振動され、使用者に振動マッサージ部を介して振動マッサージが付与される。
好ましくは、前記弾性部材は、前記保持部材と前記駆動モータのハウジングに固設された支持体とを連結するとよい。
さらに、前記可動揉み体と前記固定揉み体との相互間に使用者の肩を嵌め入れた際に、前記駆動モータが使用者の肩の上方に位置するように駆動モータがケース内に配置されているとよい。
【0009】
これによれば、駆動モータの荷重が可動揉み体や固定揉み体に対して下向きに負荷をかけた状態になる。このようなことから、可動揉み体や固定揉み体をマッサージ動作させたときに各揉み体が上方へ逃げるような位置ズレを起こしにくくなる。従って使用者は、凝りを感じている箇所(マッサージしたい箇所)、或いはツボ位置に対し、揉み体を、安定させたまま(定置させたまま)継続してマッサージを受けることができるようになる。なお、駆動モータの荷重を利用することでウエイトを別途設ける必要がなくなり、それだけ装置重量が重くなりすぎるのを防止できると共に、部品点数の少数化、及びコストダウン等が図れるという利点がある。
【0010】
また好ましくは、前記固定揉み体が、可動揉み体に対しケースの長手方向に沿って移動自在となっているとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、より多くの使用者に対して優れたマッサージ効果をさらに実現させることができ、且つ構造が簡単でかつ安価な小型マッサージ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1〜図8は、本発明に係るマッサージ装置の一実施形態を示している。
図1に示すように、このマッサージ装置1は、ケース2と、ケース2の先端側に突出状態で固定された振動揉み体3(固定揉み体)と、ケース2の先端側に突出状態で設けられかつ振動揉み体3に対して近接離反する可動揉み体4とを備えている。
以下、説明の便宜上、図2の紙面左右を前後方向とし、図2の紙面貫通方向を左右方向とする。図3の紙面左右は左右方向となり、図3の紙面貫通方向は前後方向となる。
【0013】
図1〜図4に示すように、ケース2は樹脂等により長尺状に形成され、その先端側の内部に可動揉み体4を近接離反させる駆動機構5が格納されている。このケース2の基端側は棒状に細長くなっていて棒状の部分が手で持つことのできる把持部6とされている。この把持部6は略直線状とされ、把持部6の中途部に駆動機構5を駆動させるためのスイッチ7が設けられている。
ケース2の先端側は把持部6よりも前後幅や左右幅が大きく形成されている。以降、把持部6よりも前後幅や左右幅が大きい部分をヘッド部9とする。ヘッド部9の先端側(ケース2の先端側)での前面9aは、略同じ幅で長手方向に延設形成されていて側面視で円弧状に形成されている。ヘッド部9の前面9aであって円弧状に形成された部分を円弧部10とすると、その円弧部10(円弧状の前面9a)に開口部12が設けられている。なお、ケース2の円弧部10における円弧中心は後述する固定軸38の軸心とされている。
【0014】
ヘッド部9には開口部12を覆う帯状のカバー13が設けられている。この帯状のカバー13は円弧部10(ケース2の円弧状の前面)に沿うように円弧状に形成されている。 なお、カバー13の円弧中心は、ケース2の円弧部10と同様に後述する固定軸38の軸心とされている。
このようなカバー13は、ケース2の円弧部10に沿って移動するようにケース2の内側に配置されている。カバー13は後述するように可動揉み体4の近接離反動作に応じてケース13の内側でスライド移動するようになっている。カバー13には開口部14が設けられている。カバー13の一端(ケース2の背面側)には係止片15が突出状に設けられている。
【0015】
このマッサージ装置1の可動揉み体4を揺動させたり振動揉み体3を振動させたりする駆動モータ35はケース2内に収められている。詳しくは後述するように、駆動モータ35はその回転軸35aがケース2の長手方向に向くようにヘッド部9内に配置され、可動揉み体4と振動揉み体3との相互間に使用者の肩を嵌め入れた使用状態において、図5に示すように、使用者の肩の略上方に位置するように位置設定されている。このマッサージ装置1を構成する部材の中で最も重量の重い駆動モータ35が使用者の肩の略上方に位置することにより、マッサージ装置1の重心が使用者の肩の略上方になるのでマッサージ装置1を安定させる(マッサージ装置1が腹部側や背中側にずれないで安定させる)ことができる。
【0016】
なお、把持部6の下端部には、電源コード(図示略)を導出させつつこの電源コードの折れ曲がりを防止するためのコードガイド8が設けられている。このコードガイド8には吊り掛け用のリング部8aが設けられており、このリング部8aを利用して、マッサージ装置1の不使用時に壁などから吊り下げることができるようになっている。また、把持部6は、上記のように直線的なまっすぐな棒状として形成してもよいが、持ち易さが向上するように、緩いカーブが付されたものとしもよい。このとき、カーブの向きは、使用状態のとき、把持部6の下端部ほど使用者側へ近寄るようになる向きである。また、スイッチ7をマッサージ動作の種類選択や強弱切替などを行なう構成としてもよい。
【0017】
可動揉み体4は、振動揉み体3と同一方向に突出するように、円弧部10の開口部12及びカバー13の開口部14に挿通していてヘッド部9内で揺動自在に支持されている。
図4に示すように、可動揉み体4は、開口部12及び開口部14に挿通されたマッサージ部18と、ヘッド部10内で支持されたアーム部19とを備えている。マッサージ部18は矩形状に形成されていて指圧面18aを有している。指圧面18aは図示しない軟質性を有するゴムや樹脂、布などで覆われている。
マッサージ部18の基端側はヘッド部9内に位置されていて、当該基端側にアーム部19が一体的に連結されている。
【0018】
図6及び図7に示すように、アーム部19は板状の第1板材20と板状の第2板材21とで左右二股状に構成されており、アーム部19でマッサージ部18を挟み込むように、マッサージ部18の基端側に第1板材20の先端及び第2板材21の先端が連結されている。アーム部19の基端側、即ち、第1板材20の基端側と第2板材21の基端側には後述する偏心カム22が嵌合される円弧状の嵌合部16(嵌合溝)が形成されている。アーム部19の中途部、即ち、第1板材20の中途部と第2板材21の中途部には軸心を左右に向けた支持軸23が設けられている。
【0019】
振動揉み体3はマッサージ部300(振動マッサージ部)を有しており、当該マッサージ部300は、ケース2の前面9aから外方に突出した支持体301及び保持部材302に取り付けられている。振動揉み体3のマッサージ部300は円弧状に形成された曲面を有している。マッサージ部300は図示しない軟質性を有するゴムや樹脂、布などで覆われている。後述するように、この振動揉み体3のマッサージ部300は、駆動モータ35の作動により、振動(微振動、バイブレーション)する。
このマッサージ装置1の可動揉み体4を揺動させたり振動揉み体3を振動させたりする駆動モータ35を含む駆動機構5はヘッド部9内に設けられており、駆動モータ35と、可動揉み体4を揺動させる変換機構36、リンク部材37、支持軸23、固定軸38及び駆動軸39と、振動揉み体3を振動させる振動機構を有している。
【0020】
駆動モータ35はスイッチ7のオン、オフの切換によって回転又は停止するもので、ねじ部材26の後方に配置されている。この駆動モータ35は、その回転軸35a及び回転軸303がケース2の長手方向に向くようにヘッド部9内に配置され、可動揉み体4と振動揉み体3との相互間に使用者の肩を嵌め入れた際に、使用者の肩の略上方に位置するように位置設定されている(図5を参照)。
図6及び図7に示すように、駆動モータ35の回転軸35aが収納されたモータケース40内には、ウォームギア41とウォームホイール42を有する変換機構36が設けられ、駆動モータ35の回転軸35aの回転駆動がウォームギア41及びウォームホイール42を介して駆動軸39に伝達されるようになっている。ウォームホイール42に駆動軸39が連結されている。
【0021】
駆動軸39は円板状に形成された偏心カム22の回転軸とされ、駆動軸39の軸心は左右方向に向けられて駆動モータ35の近傍に配置されている。
偏心カム22は可動揉み体4のアーム部19に取り付けられている。具体的には、左右に離間して配置された偏心カム22が第1板材20の嵌合部16に嵌合されると共に、第2板材21の嵌合部16に嵌合されている。
したがって、アーム部19、即ち、第1板材20及び第2板材21の基端側は駆動軸39に対して偏心した状態で枢支されている。言い換えれば、アーム部19の基端側は駆動軸39によって偏心駆動するようになっている。
【0022】
モータケース40の先端側には支持台45が一体的に形成されている。具体的には、モータケース40の先端側にはケース2の前面9a側へ向けて突出した左右一対の支持部46、47が形成されており、この左右各支持部46、47により支持台45が構成されている。
左右各支持部46、47は、第1板材20と第2板材21との間に配置され、支持部46、47に固定軸38が回転自在に支持さている。固定軸38はその軸心が左右方向に向けられた状態でヘッド部10内に配置されている。この固定軸38とカバー13との間にはカバー13をケース2の基端側に付勢する弾性体33が設けられている。詳しくは、弾性体33の一端がカバー13の係止片15に係止され、弾性体33の他端が固定軸33に嵌装されている。
【0023】
リンク部材37はアーム部19に挟まれるように配置され、リンク部材37の基端側はケース2側に設けられた固定軸38に連結されている。また、リンク部材37の先端側は固定軸38よりも前面9a側に配置され、かつ支持軸23に連結されている。
詳しくは、リンク部材37は第1リンク50と、第2リンク51とを有しており、第1リンク50と第2リンク51とは、第1板材20と第2板材21との間に配置されている。そして、第1リンク50の基端側は固定軸38の一端に連結され、第1リンク50の先端側は支持軸23の一端に連結されている。第2リンク51の基端側は固定軸38の他端に連結され、第2リンク51の先端側は支持軸23の他端に連結されている。
【0024】
これにより、リンク部材37は、固定軸38を枢支点として揺動自在に支持されている。
以上により、駆動機構5の軸、即ち、支持軸23、固定軸38、駆動軸39の軸心は略平行になっている。固定軸38の前方側には支持軸23が位置し、固定軸38の下側(ケース2の基端側)には駆動軸39が位置し、駆動軸39と支持軸23との間に固定軸38が位置した状態になっている。また、リンク部材37(第1リンク50と、第2リンク51)、アーム部19、偏心カム22、支持台45(左右各支持部46、47)によって四節リンク機構が構成されていると見ることができる。
【0025】
一方、モータ回転軸の他方端303の回転力を偏心駆動させ、振動揉み体3を振動させる振動機構は以下のような構成を有している。
駆動モータ35の回転軸35aは、振動揉み体3側においては回転軸303として延設されている。駆動モータ35においては、回転軸35aと回転軸303とが同じ回転中心上に設けられている。
図8に示すように、この振動揉み体3は、後述する駆動モータ35の回転軸35aの反対側に突設された回転軸303に固設された回転円板304(第1の回転円板)と、回転円板304の中心軸から偏心させた中心軸で回転するように回転円板304に円板面を対向して固設された回転円板305(第2の回転円板)と、回転円板305を保持部材302に対して回転自在に保持するベアリング306とを含む。さらに、保持部材302の先端には、支持部材であるL字取付具308がボルト等で固設されており、L字取付具308には、マッサージ部300と一体化された取付部309がボルト等で固設されている。このため、この振動揉み体3の保持部材302、L字取付具308、取付部309及びマッサージ部300は、一体化されていることになる。
【0026】
一方、302の上方に平行に設けられた支持体301は、その一端が駆動モータ35のハウジングにボルト等で固設されている。支持体301と保持部材302とは、弾性部材307により連結されている。この弾性部材307としては、例えばゴム製の部材が挙げられる。
以上により、振動揉み体3は、駆動モータ35の回転軸303に偏心させてその回転軸が取り付けられた回転円板305が回転すると、保持部材302並びに保持部材302に一体的に設けられたL字取付具308、取付部309及びマッサージ部300が図8の紙面左右方向に往復運動する。駆動モータ35のハウジングに取り付けられた支持体301と、この保持部材302とは、弾性部材307により連結されているので、駆動モータ35が回転すると、マッサージ部300が振動(バイブレーション)する。
【0027】
次に駆動機構5を駆動させた際の可動揉み体4及びリンク部材37、並びに、振動揉み体3及び保持部材302の動作について説明する。
スイッチ7をONして駆動モータ35を駆動させると、可動揉み体4及びリンク部材37並びに振動揉み体3及び保持部材302が動作する。
詳しくは、駆動モータ35を駆動すると回転軸35a及びウォームギア41等の変換機構36を介して駆動軸39が回転する。そして、駆動軸39が回転するとアーム部19の基端部が駆動軸39を中心として偏心移動をすると共に、偏心移動に伴ってリンク部材37が揺動する。
【0028】
リンク部材37の先端側はケース2の円弧部10に沿いながらケース2の長手方向に向けて往復運動(ケース2の先端側から基端側へ移動すると共に、基端側から先端側へ移動する)をする。
一方で、可動揉み体4のマッサージ部18の先端側はケース2の長手方向(近接離反方向)に向けて往復運動をする(ケース2の先端側から基端側へ移動すると共に、基端側から先端側へ移動する)。
さらに、詳しくは、駆動モータ35を駆動すると、回転軸35aと同軸であって振動揉み体3側に伸ばされた回転軸303が回転して、回転円板304が回転する。回転円板304が回転すると、回転円板304の円板面に対向するようにその円板面が固設された回転円板305が回転する。これらの回転円板304と回転円板305とはその中心軸が偏心して取り付けられている。このため、ベアリング305で回転自在に支持された保持部材302が図8の紙面における左右方向に往復運動するが、もう一方の支持体301が駆動モータ35のハウジング部に固設されていると共に、支持体301が弾性部材307を介して保持部材302並びに保持部材302に一体的に設けられたL字取付具308、取付部309及びマッサージ部300に連結されているため、駆動モータ35の回転によりマッサージ部300に振動が発生する。
【0029】
なお、このマッサージ部300の振動の周波数は、基本的には駆動モータ35の回転数(回転軸35aと回転軸303との間にギヤが設けられているときにはそのギヤ比にも影響を受ける)により定まる。このマッサージ部300の振動の振幅は、基本的には回転円板304と回転円板305との偏心の度合いにより定まり、弾性部材307の硬さ等にも影響を受ける。本実施形態においては、この振動揉み体3がマッサージ部300を備えているが振動しない場合において痛みを感じている使用者が、その痛みを感じない程度の振動(振幅及び周波数)が振動揉み体3のマッサージ部300で発生するように設計されることが好ましい。
【0030】
以上のようにして、本実施形態に係るマッサージ装置1によると、可動揉み体4においては、リンク部材37の先端側とマッサージ部の先端側との両者はともにケース2の長手方向に略沿うように同一方向に揺動している。可動揉み体4を移動させるためのリンク部材37を、可動揉み体4の近接離反方向と略同一の方向(ケース2の長手方向)に揺動させるようにしていることから、リンク部材37によって揺動される可動揉み体4において、当該可動揉み体4の近接離反範囲は大きくなる。可動揉み体4の近接離反範囲が大きくなるため、可動揉み体4のみ揺動させるだけで肩(特に背中側)を十分に挟んでマッサージすることが可能となる。
【0031】
さらに、本実施形態に係るマッサージ装置1によると、可動揉み体4に対向するように設けられた振動揉み体3においては、使用者の肩に当接しているときに、マッサージ部300が振動する。このときに、マッサージ部300には適度な荷重(このマッサージ装置1の駆動モータ35等の荷重)が付加されており、マッサージ部300の振動が使用者の肩に伝達される。このため、肩(特に胸側)に対して、効果的なバイブレーションマッサージが施されるようになる。
以上のように、近接離反範囲が大きな可動揉み体4及び可動揉み体4に対向する振動揉み体3により、より多くの使用者に対してマッサージ効果をさらに実現させるために、構造が簡単でかつ安価であって効率よくさらに心地よくマッサージを行なうことができる小型(ハンディタイプ)マッサージ装置を提供することができる。
【0032】
本発明のマッサージ装置は上記の実施形態に限定しない。
例えば、振動揉み体3を振動(バイブレーション)させる構造は、上述したものに限定されるものではない。例えば、回転円板304と回転円板305との2部材で構成していたが、回転軸303を偏心させて回転円板305のみで構成しても良い。さらに、振動揉み体3のマッサージ部300を、可動揉み体4のマッサージ部18にケース2の長手方向に沿って直線的に近づけたり遠ざけたりするようにして使用者の肩の厚みに対応させるようにしても構わない。
【0033】
また、本発明のマッサージ装置は、肩の使用に限らず、首、腕、脚など、身体の他の部位で使用することも可能であって、それらの場合、それぞれの使用部位に合わせた最適な持ち方をすればよく、或いは装置の姿勢を変えてその一部(ヘッド部9等)を床や椅子などへ預け置いたり、或いは他人に持ってもらったりするなど、様々な使い方ができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係るマッサージ装置の全体斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るマッサージ装置の全体側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るマッサージ装置の全体正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るマッサージ装置の側面断面図である。
【図5】使用状態を示す斜視図である。
【図6】背面側から見た駆動機構の斜視図である。
【図7】正面側から見た駆動機構の斜視図である。
【図8】図4の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0035】
1 マッサージ装置
2 ケース
3 振動揉み体
4 可動揉み体
5 駆動機構
6 把持部
12 開口部(ケースの開口部)
13 カバー
14 開口部(カバーの開口部)
18 マッサージ部(可動揉み体のマッサージ部)
19 アーム部
23 支持軸
35 駆動モータ
37 リンク部材
38 固定軸
39 駆動軸
300 マッサージ部(振動揉み体のマッサージ部)
301、302 支持体
303 回転軸
304、305 回転円板
306 ベアリング
307 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側に把持部を有する長尺状のケースと、前記ケースの先端側に同一方向に突出するように設けられた固定揉み体及び可動揉み体と、前記可動揉み体を前記固定揉み体に対して近接離反させる駆動機構とを備え、
前記可動揉み体は、前記ケースの先端側に設けられた開口部から突出したマッサージ部と、このマッサージ部の基端側で当該マッサージ部と一体的に形成されたアーム部とを備え、
前記駆動機構は、前記アーム部の基端側を偏心駆動可能に支持する駆動軸と、アーム部の中途部を枢支する支持軸と、前記支持軸とケース側とを連結しかつ前記可動揉み体の近接離反する方向と略同じ方向に揺動するリンク部材と、前記駆動軸を回転駆動する駆動モータとを備え、
前記固定揉み体は、前記ケースの先端側に設けられた開口部から突出した振動マッサージ部と、前記駆動モータの回転力により前記振動マッサージ部を振動させる振動機構とを備えることを特徴とする小型マッサージ装置。
【請求項2】
前記駆動モータの両端面からモータ回転軸が伸長されており、
前記モータ回転軸の一方端が前記駆動機構の駆動軸を回転駆動し、他方端が前記振動機構を回転駆動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の小型マッサージ装置。
【請求項3】
前記振動機構は、モータ回転軸の他方端の回転力を偏心に起因する振動に変換し、前記振動マッサージ部を振動させることを特徴とする請求項2に記載の小型マッサージ装置。
【請求項4】
前記振動機構は、前記モータ回転軸の他方端に円板面が垂直に設けられ前記モータ回転軸と回転中心を一致させた第1の回転円板と、前記第1の回転円板に円板面が互いに対向するように設けられ前記第1の回転円板の回転中心を偏心させた第2の回転円板と、前記第2の回転円板を回転自在に保持する保持部材と、前記保持部材と前記振動マッサージ部とを連結する支持部材と、前記振動マッサージ部を支持する弾性部材とを含むことを特徴とする請求項3に記載の小型マッサージ装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記保持部材と前記駆動モータのハウジングに固設された支持体とを連結することを特徴とする請求項4に記載の小型マッサージ装置。
【請求項6】
前記可動揉み体と前記固定揉み体との相互間に使用者の肩を嵌め入れた際に、前記駆動モータが使用者の肩の上方に位置するように駆動モータがケース内に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の小型マッサージ装置。
【請求項7】
前記固定揉み体が、可動揉み体に対しケースの長手方向に沿って移動自在となっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の小型マッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−82329(P2010−82329A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256626(P2008−256626)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(592009214)大東電機工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】