説明

小型部品保持具

【課題】小型部品の寸法によらずに、複数の小型部品を容易に保持及び離脱することのできる小型部品保持具を提供すること。
【解決手段】配列された複数の小型部品それぞれに接する挟持面11を有し、互いに並行に配設された複数の第1挟持部12と、前記複数の小型部品それぞれを前記第1挟持部12とで挟持することができるように、前記第1挟持部12に向かって並行移動可能に配列された複数の第2挟持部22とを、備えて成ることを特徴とする小型部品保持具1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小型部品保持具に関し、さらに詳しくは、小型部品の寸法によらずに、複数の小型部品を容易に保持及び離脱することのできる小型部品保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、チップコンデンサ等の小型部品等を製造する際等に、この小型部品を製造可能な複数の小型部品用部材等を一挙に保持する保持具が用いられている。小型部品を保持する保持具として、例えば、特許文献1には、「少なくとも1の端縁において外に向かって開いておりかつ電子部品の寸法に応じた大きさとされている凹部を形成することにより、電子部品保持部が構成されており、前記凹部の少なくとも対向している一対の側面が弾性材により構成されていることを特徴とする、電子部品保持具」が記載されている。
【0003】
また、特許文献1の電子部品保持具と同様の保持具として、特許文献2には、「外部電極ペーストが塗布される複数の電子部品が第1,第2の端面を結ぶ側面部分において保持される複数の電子部品保持部が長手方向に形成されており、各電子部品保持部は長手方向に延びる一方端縁において外側に向かって開いた形状とされており、保持されている電子部品の第1,第2の端面が前記長さ方向と直交する方向において露出されるように構成されている板状の電子部品保持具」が記載されている。
【0004】
これらの電子部品保持具は、「その電子部品保持部に、該電子部品保持部に応じた寸法の電子部品を挿入し、保持させ」た状態で、使用される。すなわち、これらの電子部品保持具は、その電子部品保持部に形成された凹部に、この凹部に応じた寸法の電子部品を圧入して、電子部品を保持する。
【0005】
ところが、保持される小型部品はきわめて小型であるから、特許文献1及び2の記載の電子部品保持具において、ほぼ同じ寸法に調整された凹部に複数の小型部品を同じ状態に圧入するのは困難であった。また、圧入された小型部品を前記凹部から取り外すときに、凹部の対向内側面を構成する弾性材によって、小型部品が飛散して、小型部品を紛失し、及び/又は、破損等することがあった。
【0006】
さらに、これらの電子部品保持具では、特定の寸法を有する小型部品しか保持することができず、小型部品の寸法に応じて、適した寸法の凹部を有する電子部品保持具をその都度準備する必要があった。特に、近年、小型部品は、その用途、機能等に応じて種々の寸法に設定されると共に、超小型化が急速に進展しており、異なる寸法を有する小型部品又は超小型化された複数の小型部品を、その寸法によらずに、保持することのできる小型部品保持具が望まれている。
【0007】
【特許文献1】特開平6−304875号公報
【特許文献2】特開2004−228507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の課題は、小型部品の寸法によらずに、複数の小型部品を容易に保持及び離脱することのできる小型部品保持具を提供することに、ある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、配列された複数の小型部品それぞれに接する挟持面を有し、互いに並行に配設された複数の第1挟持部と、前記複数の小型部品それぞれを前記第1挟持部とで挟持することができるように、前記第1挟持部に向かって並行移動可能に配列された複数の第2挟持部とを、備えて成ることを特徴とする小型部品保持具であり、
請求項2は、前記複数の第2挟持部は、前記複数の小型部品それぞれに接する挟持面を有し、互いに並行に配設されて成ることを特徴とする請求項1に記載の小型部品保持具であり、
請求項3は、前記複数の第1挟持部それぞれは、一方向に延在する基部に設けられて成り、前記複数の第2挟持部それぞれは、一方向に延在する基部に設けられて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の小型部品保持具であり、
請求項4は、前記複数の第1挟持部それぞれは、前記挟持面に弾性層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の小型部品保持具であり、
請求項5は、前記複数の第2挟持部それぞれは、前記挟持面に弾性層を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の小型部品保持具である。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る小型部品保持具は、複数の第1挟持部と、第1挟持部に向かって並行移動可能に配列された複数の第2挟持部とを備えて成るから、第1挟持部と第2挟持部との間隔を挟持される小型部品の寸法に応じて適宜調整することができ、その結果、保持されるべき小型部品の寸法によらずに、特に、小型部品が超小型化されていても、第1挟持部と第2挟持部との間隔を狭めることによって、複数の小型部品を容易に挟持することができ、第1挟持部と第2挟持部との間隔を広げることによって、飛散させることなく複数の小型部品を容易に取り外すことができる。したがって、この発明によれば、小型部品の寸法によらずに、複数の小型部品を容易に保持及び離脱することのできる小型部品保持具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明に係る小型部品保持具に保持される小型部品は、この発明に係る小型部品保持具に保持される必要性のある小型部品、例えば、小型器具、小型機械要素及び小型電子部品等が挙げられ、また、この発明に係る小型部品保持具に保持される必要性のある小型部品を製造可能な小型部品用部材、例えば、小型器具用部材、小型機械要素用部材及び小型電子部品用部材等が挙げられる。したがって、この発明においては、小型部品と小型部品用部材とは明確に区別される必要はない。これら小型部品の中でも、この発明に係る小型部品保持具を保持するのに好適な小型部品として、小型電子部品及び/又は小型電子部品用部材等が挙げられる。小型電子部品及び小型電子部品用部材としては、例えば、コンデンサチップ(チップコンデンサとも称されることがある。)、インダクタチップ、抵抗体チップ等の完成品若しくは未完成品等、及び/又は、これらを製造可能な、例えば、角柱体若しくは円柱体、一端部に鍔を有する角柱体若しくは円柱体、両端部に鍔を有する角柱体若しくは円柱体等が挙げられる。例えば、小型部品として、その軸長が0.4mm以上1.6mm以下の角柱体又は円柱体等の小型部品用部材等が挙げられる。
【0012】
この発明に係る小型部品保持具は、例えば、このような小型電子部品及び/又は小型電子部品用部材の保持用として好適である。特に、この発明に係る小型部品保持具は、少なくとも二箇所に導電性ペーストを塗布する必要のある小型電子部品用部材の保持用として好適である。
【0013】
この発明に係る小型部品保持具の一実施例である小型部品保持具を、図を参照して、説明する。図2に示されるように、この小型部品保持具1は、第1の挟持部材10と、第2の挟持部材20とを備え、第1の挟持部材10と第2の挟持部材20とによって小型部品を挟持して、保持する。
【0014】
第1の挟持部材10は、図1及び図2に示されるように、一方向に延在する第1基部13と複数の第1挟持部12とを有して成る。
【0015】
この第1基部13は、複数の第1挟持部12を配設することができる限り種々の設計変更に基づく各種の形態にすることができる。例えば、第1の挟持部材10における第1基部13は、図1及び図2に示されるように、長手方向の断面が方形の棒状体に形成されている。第1基部13の端部は、図1等に示されていないが、後述するように、自由端とされている。
【0016】
図1及び図2に示されるように、第1挟持部12は、第1基部13における長手方向の一方の端縁から前記長手方向に対して略直角の方向に延設され、前記長手方向の端縁に所定の間隔Dをおいて互いに並行に配設されて成る。このように、第1挟持部12は片状を成している(以下、第1挟持片12と称することがある。)。前記所定の間隔Dは、例えば、挟持する小型部品の幅、第1挟持片12の幅W及び後述する第2挟持片22の幅、並びに、後述する第2の挟持部材20の並行移動量等を考慮して決定される。
【0017】
第1挟持片12それぞれは、その強度を維持し、小型部品を挟持することができる幅Wに適宜調整される。第1挟持片12それぞれは、小型部品を挟持することができる長さLに適宜調整されればよく、例えば、挟持する小型部品の長さと略同一又はわずかに短い長さであるのが、後述するように、小型部品をより一層強固に保持することができる点で、好ましい。第1挟持片12それぞれは、小型部品を挟持することができる高さHに適宜調整されればよく、例えば、挟持する小型部品の高さよりも小さな高さに調整されているのがよい。第1の挟持部材10においては、第1挟持片12それぞれは、挟持する小型部品の長さと略同一の長さL、及び、第1基部13の高さと略同一の高さHに調整されている。
【0018】
この第1挟持片12それぞれは、その延設方向における一方の側面に、小型部品それぞれに接する第1挟持面11が形成されている。第1の挟持部材10においては、後述する第2の挟持部材20を並行移動させたときに、後述する第2挟持部22に接近する側の側面(図2において、第1挟持片12の左側面)に第1挟持面11が形成されている。この第1挟持面11は、小型部品それぞれに接して挟持することができるように前記側面に形成されていればよく、例えば、図2に示されるように、前記側面全体が第1挟持面11とされていてもよく、前記側面の一部に第1挟持面11が形成されていてもよい。第1挟持面11は、小型部品の側面に応じて、任意の形状、角度に形成することができ、第1の挟持部材10においては、第1挟持面11それぞれは平滑かつ垂直な面に形成されている。
【0019】
図2に示されるように、第2の挟持部材20は、第2挟持面21が形成される第2挟持部22の側面が異なる以外は、第1の挟持部材10と基本的に同様に構成されている。すなわち、第2の挟持部材20は、一方向に延在する第2基部23と複数の第2挟持部22とを有して成り、第2挟持部22は片状を成している(以下、第2挟持片22と称することがある。)そして、この第2の挟持部材20を第1挟持片12に向かって並行移動することによって、後述するように、第2挟持片22すなわち第2挟持面21が、第1挟持片12すなわち第1挟持面11と、複数の小型部品それぞれを、挟持することができるように、配列されている。
【0020】
第2挟持面21は、第2挟持片22を第1挟持片12に向かって並行移動させたときに、第1挟持片12に接近する側の側面(図2において、第2挟持片22の右側面)全体に平滑かつ垂直に形成されている。
【0021】
第1の挟持部材10と第2の挟持部材20とはそれぞれ別体とされ、第1基部13の端部(図1等において図示しない。)と、第2基部23の端部(図1等において図示しない。)とは結合されていない。したがって、第1の挟持部材10と第2の挟持部材20とはそれぞれ、手動等によって、相対的に並行移動可能である。また、小型部品を保持した状態における第1の挟持部材10と第2の挟持部材20との固定は、手動、クリップ等の挟持具、バンド等の固定具、ボルトとナットとの組合せ等の固定具等を用いて、行うことができる。
【0022】
次に、この小型部品保持具1の使用方法を説明する。この小型部品保持具1に小型部品、例えば、コンデンサチップ本体5を保持するには、図3に示されるように、複数のコンデンサチップ本体5を所定の間隔で起立状態に配列する。前記所定の間隔は、コンデンサチップ本体5それぞれが第1の挟持部材10における隣接する2つの第1挟持片12の間に位置する間隔であればよく、図3に示されるように、第1挟持片12が配設された間隔Dと略同一の間隔であれば操作性が向上する。コンデンサチップ本体5をこのような状態に配列する手段は、特に限定されず、例えば、コンデンサチップ本体5が通過可能な複数の貫通孔が一列に配設された板状の整列具等を用いる方法等が好適に採用される。
【0023】
次いで、図3に示されるように、起立状態に配列された複数のコンデンサチップ本体5の両側に、第1の挟持部材10及び第2の挟持部材20を配置する。このとき、第1の挟持部材10は、隣り合うコンデンサチップ本体5間に第1挟持片12それぞれが位置するように、第1挟持片12をコンデンサチップ本体5側に向けて、配置され、かつ、第2の挟持部材20は、隣り合うコンデンサチップ本体5間に第2挟持片22それぞれが位置するように、好ましくは、図3に示されるように、第1挟持片12と対面しないように、第2挟持片22をコンデンサチップ本体5側に向けて、配置される。コンデンサチップ本体5はその軸線方向における両端面近傍に電極が形成されるから、第1の挟持部材10及び第2の挟持部材20が配置される高さは、コンデンサチップ本体5における軸線方向の略中央部近傍とされる。
【0024】
次いで、このように配置された第1の挟持部材10及び/又は第2の挟持部材20を起立状態に配列された複数のコンデンサチップ本体5側に移動し、図4に示されるように、コンデンサチップ本体5それぞれを、第1の挟持部材10における隣接する第1挟持片12の間であって第2の挟持部材20における隣接する第2挟持片22の間に、すなわち、第1挟持面11と第2挟持面22との間に、配置する。
【0025】
次いで、この状態を維持したまま、第2の挟持部材20を、第1の挟持部材10に対して、第1の挟持部材10とでコンデンサチップ本体5それぞれを挟持可能な方向(図4において右方向)に相対的にコンデンサチップ本体5の寸法に応じて所定の距離だけ並行移動する。そうすると、第1の挟持部材10における第1挟持片12の第1挟持面11に向かって、第2の挟持部材20における第2挟持片22の第2挟持面21が相対的に並行移動し、第1挟持面11がコンデンサチップ本体5の1側面に当接すると共に、第2挟持面21がコンデンサチップ本体5における前記1側面の反対側の側面(背中合わせの側面)に当接する。この状態を維持して、第1の挟持部材10及び第2の挟持部材20を前記挟持具又は固定具等により固定すると、図5及び図6に示されるように、コンデンサチップ本体5は第1挟持片12及び第2挟持片22に挟持され、小型部品保持具1に一挙に保持される。
【0026】
一方、小型部品保持具1に保持されたコンデンサチップ本体5を小型部品保持具1から取り外すには、コンデンサチップ本体5を保持する手順と逆の手順を経ればよい。すなわち、図5及び図6に示される保持状態において、第2の挟持部材20を、第1の挟持部材10に対して、コンデンサチップ本体5を挟持している第1挟持面11と第2挟持面21とが互いに離間する方向(図4において左方向)に相対的に並行移動する。そうすると、図4に示される状態になる。次いで、第1の挟持部材10及び/又は第2の挟持部材20を、第1基部13と第2基部23との軸線が離間する方向に、相対移動する。そうすると、例えば、図3に示される状態になり、コンデンサチップ本体5それぞれを小型部品保持具1から一挙に取り外すことができる。
【0027】
このように、小型部品保持具1は、第1挟持片12と第2挟持片22との間隔を挟持するコンデンサチップ本体5の寸法に応じて調整することができるから、コンデンサチップ本体5の寸法が異なっていても、同様にして、小型部品保持具1で保持することができる。したがって、小型部品保持具1は、挟持するコンデンサチップ本体5の寸法に応じて適宜選択される必要はなく、一種の小型部品保持具1で種々の寸法を有する複数のコンデンサチップ本体5を保持することができる。
【0028】
そして、前記のように、小型部品保持具1によるコンデンサチップ本体5の保持及び取り外しは、第1の挟持部材10及び/又は第2の挟持部材20を相対的に並行移動(前後進)させるだけであるから、コンデンサチップ本体5を凹部に圧入するような強制的に挟持することがなく、複数のコンデンサチップ本体5の保持も取り外しも容易に行うことができる。したがって、小型部品保持具1は、複数のコンデンサチップ本体5を小型部品保持具1から取り外すときに、コンデンサチップ本体5が飛散することも、コンデンサチップ本体5を紛失することも、コンデンサチップ本体5が破損、損壊等することも、効果的に防止することができるうえ、第1挟持片12及び第2挟持片22等の削れカス・破片等が発生することも、コンデンサチップ本体5に付着することも効果的に防止することができる。
【0029】
さらに、小型部品保持具1は、コンデンサチップ本体5を第1挟持片12と第2挟持片22とで挟持することによって、保持するから、第1挟持片12及び第2挟持片22等が劣化することもなく、長期間にわたって複数のコンデンサチップ本体5を所望のように保持することができる。
【0030】
また、小型部品保持具1における第1挟持片12と第2挟持片22とはそれぞれ、コンデンサチップ本体5の長さと略同一の長さLに調整されているから、図5及び図6に示されるように、第1挟持面11と第2挟持面21とでコンデンサチップ本体5の背中合わせになっている一方の2面を挟持すると共に、第1基部13における長手方向の端縁と第2基部23における長手方向の端縁とで、コンデンサチップ本体5の背中合わせになっている他方の2面を挟持することができる。したがって、小型部品保持具1は、コンデンサチップ本体5のすべての側面を挟持することができるから、コンデンサチップ本体5は強固に保持される。
【0031】
この小型部品保持具1は、第1の挟持部材10における第1挟持片12及び第2の挟持部材20における第2挟持片22の高さHがいずれもコンデンサチップ本体5の軸線長さよりも小さく調整されているから、小型部品保持具1における軸線方向の両端部近傍が小型部品保持具1の上面及び下面から突出した状態に、複数のコンデンサチップ本体5を保持することができる。したがって、この小型部品保持具1は、例えば、軸線方向の両端部近傍等の少なくとも二箇所に導電性ペーストを塗布する必要のある小型電子部品用部材の保持用として特に好適である。
【0032】
この発明に係る小型部品保持具の別の一実施例である小型部品保持具を、図を参照して、説明する。図7に示されるように、この小型部品保持具2は、2つの第1の挟持部材10a及び10bと、第3の挟持部材30とを備え、第1の挟持部材10a及び10bと第3の挟持部材30とによって小型部品を挟持して、保持する。
【0033】
第1の挟持部材10a及び10bは、高さ(厚さ)以外は、小型部品保持具1における第1の挟持部材10と基本的に同様に、構成されている。第3の挟持部材30は、第3挟持面31が第1の挟持部材10における第1挟持面11の反対側の側面(図7(A)において第1挟持片12の右側面)に形成されている以外は、小型部品保持具1における第1の挟持部材10と基本的に同様に、構成されている。そして、第1の挟持部材10a及び10b並びに第3の挟持部材30は、これらを積層したときの合計高さが挟持する小型部品の高さよりも小さな高さになるように、それぞれの高さが調整されている。小型部品保持具2においては、第1の挟持部材10a及び10b並びに第3の挟持部材30はそれぞれ同じ高さに調整されている。
【0034】
小型部品保持具2は、小型部品保持具1と異なり、図7(A)及び(B)に示されるように、第1の挟持部材10a及び10b並びに第3の挟持部材30が積層されて成る。第1の挟持部材10a及び10b並びに第3の挟持部材30それぞれの端部(図1等において図示しない。)は、結合されていても、されていなくてもよい。
【0035】
第1の挟持部材10a及び10b並びに第3の挟持部材30それぞれの端部が、ボルトとナットとの組合せ等の固定具60等によって、固定に構成された例を図11に示す。図11に示されるように、小型部品保持具2における第1の挟持部材10a及び10b並びに第3の挟持部材30それぞれの端部に固定具60を構成するボルト61を貫通させる貫通溝62が、第1基部13及び第3基部33の軸線方向に沿って、形成されている。ボルト61は、第1の挟持部材10a、第3の挟持部材30及び第1の挟持部材10bを、この順で貫通し、その頭部は第1の挟持部材10aの表面上に、その端部は第3の挟持部材30の表面上で図示しないナットに螺合されている。この固定具60において、例えば、第3の挟持部材30を第1の挟持部材10a及び10bに対して相対的に移動させる場合には、ナットを緩めればよく、第1の挟持部材10a及び10b並びに第3の挟持部材30を固定する場合には、ナットを締めればよい。
【0036】
この小型部品保持具2の使用方法を説明する。この小型部品保持具2に小型部品、例えば、コンデンサチップ本体5を保持するには、図8(A)に示されるように、小型部品保持具1の場合と同様にして、複数のコンデンサチップ本体5を前記所定の間隔で起立状態に配列し、起立状態に配列された複数のコンデンサチップ本体5に並列に小型部品保持具2を配置する。このとき、図8(A)に示されるように、小型部品保持具2は、第1の挟持部材10aにおける第1挟持片12a、第1の挟持部材10bにおける第1挟持片12b及び第3の挟持部材30における第3挟持部(以下、第3挟持片と称することがある。)32それぞれが隣り合うコンデンサチップ本体5間に位置するように、配置されている。小型部品保持具2が配置される高さは、コンデンサチップ本体5における軸線方向の略中央部近傍とされる。
【0037】
次いで、このように配置された小型部品保持具2を起立状態に配列されたコンデンサチップ本体5側に移動し、コンデンサチップ本体5それぞれを、第1の挟持部材10aにおける隣接する第1挟持片12aの間、第1の挟持部材10bにおける隣接する第1挟持片12bの間、及び、第3の挟持部材30における隣接する第3挟持片32の間に、配置する。
【0038】
次いで、この状態を維持したまま、第3の挟持部材30を、第1の挟持部材10a及び10bに対して、第1の挟持部材10a及び10bとでコンデンサチップ本体5それぞれを挟持可能な方向(図8(A)において右方向)に相対的にコンデンサチップ本体5の寸法に応じて所定の距離だけ並行移動する。そうすると、第1挟持片12aの第1挟持面11a及び第1挟持片12bの第1挟持面11bに向かって、第3挟持片32の第3挟持面31が相対的に並行移動し、第1挟持面11a及び第1挟持面11bがコンデンサチップ本体5の1側面に当接すると共に、第3挟持面31がコンデンサチップ本体5における前記1側面の反対側の側面(背中合わせの側面)に当接する。この状態を維持して、第1の挟持部材10a及び10b並びに第3の挟持部材30を固定すると、図8(B)及び図8(C)に示されるように、複数のコンデンサチップ本体5は第1挟持片12a及び第1挟持片12bと第3挟持片32とに挟持され、小型部品保持具2に一挙に保持される。
【0039】
一方、小型部品保持具2に保持されたコンデンサチップ本体5を小型部品保持具2から取り外すには、コンデンサチップ本体5を保持する手順と逆の手順を経ればよい。すなわち、図8(B)及び図8(C)に示される保持状態において、第3の挟持部材30を、第1の挟持部材10a及び10bに対して、コンデンサチップ本体5を挟持している第1挟持面11a及び第1挟持面11bと第3挟持面31とが互いに離間する方向(図8(B)及び図8(C)において左方向)に相対的に並行移動する。そうすると、例えば、図8(A)に示される状態になり、コンデンサチップ本体5それぞれを小型部品保持具2から一挙に取り外すことができる。
【0040】
このように、小型部品保持具2は、第1挟持片12a及び第1挟持片12bと第3挟持片32との間隔を挟持するコンデンサチップ本体5の寸法に応じて調整することができるから、コンデンサチップ本体5の寸法が異なっていても、同様にして、小型部品保持具2で保持することができる。そして、このように、小型部品保持具2によるコンデンサチップ本体5の保持及び取り外しは、第1の挟持部材10a及び10b、並びに/又は、第3の挟持部材30を相対的に並行移動(前後進)させるだけであるから、複数のコンデンサチップ本体5の保持も取り外しも一挙に容易に行うことができる。さらに、小型部品保持具2は、コンデンサチップ本体5を第1挟持片12a及び12bと第3挟持片32で挟持することによって、保持するから、長期間にわたってコンデンサチップ本体5を所望のように保持することができる。
【0041】
また、小型部品保持具2における第1挟持片12a及び12bと第3挟持片32とはそれぞれ、コンデンサチップ本体5の長さと略同一の長さLに調整されているから、図8(B)に示されるように、第1挟持面11a及び11bと第3挟持面31とでコンデンサチップ本体5の背中合わせになっている一方の2面を挟持すると共に、第1基部13a及び13b並びに第3基部33における長手方向の端縁がコンデンサチップ本体5それぞれの側面に接する。したがって、小型部品保持具2は、コンデンサチップ本体5の背中合わせの2側面を挟持し、残りの1側面に接することができるから、コンデンサチップ本体5は強固に保持される。
【0042】
この小型部品保持具2は、小型部品保持具1と同様に、例えば、軸線方向の両端部近傍等の少なくとも二箇所に導電性ペーストを塗布する必要のある小型電子部品用部材の保持用として特に好適である。
【0043】
この発明に係る小型部品保持具のまた別の一実施例である小型部品保持具を、図を参照して、説明する。図9に示されるように、この小型部品保持具3は、2つの第1の挟持部材10a及び10bと第4の挟持部材40とを備え、第1の挟持部材10a及び10bと第4の挟持部材40とによって小型部品を挟持して、保持する。
【0044】
第1の挟持部材10a及び10bそれぞれは、小型部品保持具1における第1の挟持部材10と基本的に同様に、構成されている。
【0045】
第4の挟持部材40は、図9に示されるように、一方向に延在する第4基部43と複数の第4挟持部42とを有して成る。第4基部43は、小型部品保持具1における第1基部13と基本的に同様に、構成されている。
【0046】
第4挟持部42は、第4基部43における長手方向の両端縁から前記長手方向に対して略直角の方向に延設され、前記長手方向の両端縁に前記所定の間隔をおいて互いに並行に配設されて成る。このように、第4挟持部42は片状を成している(以下、第4挟持片42と称することがある。)。第4基部43における長手方向の一方の端縁から延設された第4挟持片42と、第4基部43における長手方向の他方の端縁から延設された第4挟持片42とが、第4基部43における長手方向に対する同一垂線を軸線とするように、第4基部43における長手方向に対して、対照に形成されている。第4挟持片42それぞれは、第4基部43における長手方向の両端縁に対照に形成されている以外は、小型部品保持具1における第2挟持片22と基本的に同様に、構成されている。
【0047】
第4挟持面41は、第4挟持片42を第1挟持片12a及び12bに向かって並行移動させたときに、第1挟持片12a及び12bに接近する側の側面(図9において、第4挟持片42の右側面)全体に平滑かつ垂直に形成されている。そして、この第4の挟持部材40を第1挟持片12a及び12bに向かって並行移動することによって、後述するように、第4挟持片42すなわち第4挟持面41が、第1挟持片12a及び12bすなわち第1挟持面11a及び11bと、複数の小型部品それぞれを、挟持することができるように、配列されている。
【0048】
2つの第1の挟持部材10a及び10bと第4の挟持部材40とはそれぞれ別体とされ、第1基部13の端部(図9において図示しない。)と、第4基部43の端部(図9等において図示しない。)とは自由端とされ、結合されていない。したがって、2つの第1の挟持部材10と第4の挟持部材40とはそれぞれ、手動等によって、相対的に並行移動可能である。
【0049】
次に、この小型部品保持具3の使用方法を説明する。この小型部品保持具3に複数の小型部品、例えば、コンデンサチップ本体5を保持するには、小型部品保持具1と同様に、一方の第1の挟持部材10aと第4の挟持部材40との間に所定の間隔で起立状態に配列された複数のコンデンサチップ本体5が位置し、かつ、他方の第1の挟持部材10bと第4の挟持部材40との間に所定の間隔で起立状態に配列された複数のコンデンサチップ本体5が位置するように、2つの第1の挟持部材10a及び10bと第4の挟持部材40とをそれぞれ配置する。
【0050】
次いで、小型部品保持具1と同様にして、2つの第1の挟持部材10a及び10bをそれぞれ起立状態に配列されたコンデンサチップ本体5側に移動し、2列に配列されたコンデンサチップ本体5のそれぞれの列を、一方の第1の挟持部材10aと第4の挟持部材40とに当接させ、かつ、他方の第1の挟持部材10bと第4の挟持部材40とに当接させる。
【0051】
次いで、この状態を維持したまま、第4の挟持部材40を、第1の挟持部材10a及び10bに対して、第1の挟持部材10a及び10bとでコンデンサチップ本体5それぞれを挟持可能な方向(図9において右方向)に相対的にコンデンサチップ本体5の寸法に応じて所定の距離だけ並行移動する。そうすると、第1挟持片12a及び12bの第1挟持面11a及び11bに向かって、第4挟持片42の第4挟持面41が相対的に並行移動し、第1挟持面11a及び11bがコンデンサチップ本体5の1側面に当接すると共に、第4挟持面41がコンデンサチップ本体5における前記1側面の反対側の側面(背中合わせの側面)に当接する。この状態を維持して、2つの第1の挟持部材10a及び10bと第4の挟持部材40を固定すると、コンデンサチップ本体5それぞれは第1挟持片12a及び12bと第4挟持片42とに挟持され、2列に配列されたコンデンサチップ本体5が小型部品保持具3に保持される。
【0052】
一方、小型部品保持具3に保持された複数のコンデンサチップ本体5を小型部品保持具3から取り外すには、コンデンサチップ本体5を保持する手順と逆の手順を経ればよい。
【0053】
このように、小型部品保持具3は、第1挟持片12a及び12bと第4挟持片42との間隔を挟持するコンデンサチップ本体5の寸法に応じて調整することができるから、コンデンサチップ本体5の寸法が異なっていても、同様にして、小型部品保持具3で保持することができる。そして、このように、小型部品保持具3によるコンデンサチップ本体5の保持及び取り外しは、第1の挟持部材10a及び10b及び/又は第4の挟持部材40を相対的に並行移動(前後進)させるだけであるから、複数のコンデンサチップ本体5の保持も取り外しも容易に行うことができる。さらに、小型部品保持具3は、コンデンサチップ本体5を第1挟持片12a及び12bと第4挟持片42で挟持することによって、保持するから、長期間にわたって複数のコンデンサチップ本体5を所望のように保持することができる。
【0054】
また、小型部品保持具3における第1挟持片12a及び12bと第4挟持片42とはそれぞれ、コンデンサチップ本体5の長さと略同一の長さLに調整されているから、第1挟持面11a及び11bと第4挟持面41とでコンデンサチップ本体5の背中合わせになっている一方の2面を挟持すると共に、第1基部13a及び13bにおける長手方向の端縁と第4基部43における長手方向の端縁とで、コンデンサチップ本体5の背中合わせになっている他方の2面を挟持することができるから、コンデンサチップ本体5は強固に保持される。
【0055】
さらに、小型部品保持具3は、第4基部43における長手方向の両端縁それぞれに第4挟持片42が形成されているから、2つの第1の挟持部材10a及び10bを用いることによって、2列に配列されたコンデンサチップ本体5を、一挙に、又は、順に、保持し、取り外すことができる。
【0056】
この小型部品保持具3は、小型部品保持具1と同様に、例えば、軸線方向の両端部近傍等の少なくとも二箇所に導電性ペーストを塗布する必要のある小型電子部品用部材の保持用として特に好適である。
【0057】
この発明に係る小型部品保持具を構成する挟持部材の別の一実施例を、図を参照して、説明する。図10に示されるように、この挟持部材50は、挟持する小型部品に接触する可能性がある位置(平面)、例えば、片状を成す第5挟持部(以下、第5挟持片と称することがある。)52の側面及び第5基部53における長手方向の端縁に、弾性部材54が設けられている。すなわち、第5の挟持部材50は、弾性部材を設けた以外は、第1の挟持部材10と基本的に同様であり、図10に示されるように、一方向に延在する第5基部53と、第5基部53における長手方向の端縁に互いに並行に配設された複数の第5挟持片52と、第5挟持片52の両側面、及び、第5基部53における端縁であって隣接する第5挟持片52間に形成された弾性部材とを備え、前記弾性部材が形成された第5挟持面51を有して成る。
【0058】
挟持する小型部品に接触する可能性がある位置(平面)に弾性部材54が設けられていると、小型部品を挟持する工程中、小型部品の挟持中、及び/又は、小型部品を取り外す工程中に、小型部品が損傷、破損等することを効果的に防止することができる。
【0059】
この発明に係る小型部品保持具のさらにまた別の一実施例である小型部品保持具を、図を参照して、説明する。図12及び図13に示されるように、この小型部品保持具4は、第6の挟持部材70と第7の挟持部材80とを備え、第6の挟持部材70と第7の挟持部材80とによって小型部品を挟持して、保持する。
【0060】
第6の挟持部材70は、図12(a)及び図13に示されるように、前記小型部品保持具1における第1の挟持部材10を、第1挟持部12それぞれの端面と第1基部13の背面とを当接した状態に、複数連結してなる挟持部材であり、一対の隅部を切り欠いた平板状を成している。したがって、第6の挟持部材70における第6挟持部72それぞれは、図12(a)及び図13に示されるように、第6基部73と連結している。換言すると、第6の挟持部材70は、小型部品を保持する複数の第1の保持孔74が複数穿孔された平板状に形成され、第1の保持孔74それぞれは、互いに一方向に並行に延在する複数の第6基部73と、前記第6基部73に略直角に連接し、前記第6基部73をそれぞれ連結する第6挟持部72とから画成され、第1の保持孔74の内壁面の一つが第6挟持面71と成っている。
【0061】
図12(a)及び図13に示されるように、第6の挟持部材70は、対向する一対の隅部の切り欠き部それぞれから突出する壁状を成す第1の移動案内手段75が、形成されている。この第1の移動案内手段75は、その内側表面に、第1の移動案内手段75の長手方向に沿って、複数の第1の移動案内溝(図示しない)が互いに並行に形成されている。
【0062】
第6の挟持部材70は、前記小型部品保持具1における第1の挟持部材10と同様に、第6挟持部72の幅、長さ及び高さ等が適宜調整され、小型部品を第1の保持孔74内に挿通することができる限り種々の設計変更に基づく各種の形態にすることができる。
【0063】
第7の挟持部材80は、その寸法及び第2の移動案内手段85が異なる以外は、第6の挟持部材70と基本的に同様に形成されている。別言すると、第7の挟持部材80は、図12(b)及び図13に示されるように、前記小型部品保持具1における第2の挟持部材20を、第2挟持部22それぞれの端面と第2基部23の背面とを当接した状態に、複数連結してなる挟持部材であり、一対の隅部を切り欠いた平板状を成している。換言すると、第7の挟持部材80は、小型部品を保持する複数の第2の保持孔84が複数穿孔された平板状に形成され、第2の保持孔84それぞれは、互いに一方向に並行に延在する複数の第7基部83と、前記第7基部83に略直角に連接し、前記第7基部83をそれぞれ連結する第7挟持部82とから画成され、第2の保持孔84の内壁面の一つが第7挟持面81と成っている。
【0064】
図12(b)及び図13に示されるように、第7の挟持部材80は、対向する一対の隅部の切り欠き部それぞれの側面に第2の移動案内手段85が、形成されている。この第2の移動案内手段85は、その側面に、第2の移動案内手段85の長手方向に沿って、複数の第2の移動案内溝86が互いに並行に形成され、第1の移動案内手段75における複数の第1の移動案内溝(図示しない)に噛み合い、第6の挟持部材70及び/又は第7の挟持部材80の相対的な移動を案内する。
【0065】
図13に示されるように、第7の挟持部材80は、第6の挟持部材70の下部に配置されたときに、第1の移動案内手段75における複数の第1の移動案内溝及び第2の移動案内手段85における第2の移動案内溝86が噛み合う寸法に形成されている。
【0066】
第7の挟持部材80は、第6の挟持部材70と同様に、各種の形態にすることができる。なお、第6の挟持部材70及び第7の挟持部材80の合計厚さはコンデンサチップ本体5の軸線長さよりも小さく調整されている。
【0067】
図13に示されるように、小型部品保持具4は、クリップ63によって、第6の挟持部材70と第7の挟持部材80とを所定の相対的な位置で固定される。
【0068】
次に、この小型部品保持具4の使用方法を説明する。この小型部品保持具4に小型部品、例えば、コンデンサチップ本体5を保持するには、小型部品保持具1の場合と同様にして、複数のコンデンサチップ本体5を前記所定の間隔で起立状態に配列し、起立状態に配列された複数のコンデンサチップ本体5を、第6の挟持部材70における第1の保持孔74及び第7の挟持部材80における第2の保持孔84を挿通するように、第6の挟持部材70及び第7の挟持部材80を配置する。第6の挟持部材70及び第7の挟持部材80が配置される高さは、コンデンサチップ本体5における軸線方向の略中央部近傍とされる。
【0069】
次いで、この状態を維持したまま、第7の挟持部材80を、第6の挟持部材70に対して、第6の挟持部材70とでコンデンサチップ本体5それぞれを挟持可能な方向に、すなわち、第7の挟持部材80の対角線方向に、相対的にコンデンサチップ本体5の寸法に応じて所定の距離だけ並行移動する。そうすると、第1の保持孔74及び第2の保持孔84がそれぞれ相対的に対角線方向に移動し、第6挟持面71、第6基部73の内側側面、第7挟持面81及び第7基部83の内側側面がコンデンサチップ本体5における側面すべてに当接し、すなわち、第1の保持孔74と第2の保持孔84とでコンデンサチップ本体5の側面すべてが挟持される。この状態を維持して、第6の挟持部材70及び第7の挟持部材80をクリップ63で固定すると、図13(b)に示されるように、複数のコンデンサチップ本体5を小型部品保持具4に一挙に保持することができる。
【0070】
一方、小型部品保持具4に保持されたコンデンサチップ本体5を小型部品保持具4から取り外すには、コンデンサチップ本体5を保持する手順と逆の手順を経ればよい。この手順により、コンデンサチップ本体5それぞれを小型部品保持具4から一挙に取り外すことができる。
【0071】
このように、小型部品保持具4は、第6挟持部72と第7挟持部82との間隔を挟持するコンデンサチップ本体5の寸法に応じて調整することができるから、コンデンサチップ本体5の寸法が異なっていても、同様にして、小型部品保持具4で保持することができる。したがって、小型部品保持具4は、挟持するコンデンサチップ本体5の寸法に応じて適宜選択される必要はなく、一種の小型部品保持具4で種々の寸法を有する複数のコンデンサチップ本体5を保持することができる。
【0072】
そして、前記のように、小型部品保持具4によるコンデンサチップ本体5の保持及び取り外しは、第6の挟持部材70及び/又は第7の挟持部材80を相対的に並行移動(前後進)させるだけであるから、コンデンサチップ本体5を凹部に圧入するような強制的に挟持することがなく、複数のコンデンサチップ本体5の保持も取り外しも容易に行うことができる。したがって、小型部品保持具4は、複数のコンデンサチップ本体5を小型部品保持具4から取り外すときに、コンデンサチップ本体5が飛散することも、コンデンサチップ本体5を紛失することも、コンデンサチップ本体5が破損、損壊等することも、効果的に防止することができるうえ、第6挟持部72及び第7挟持部82等の削れカス・破片等が発生することも、コンデンサチップ本体5に付着することも効果的に防止することができる。
【0073】
さらに、小型部品保持具4は、コンデンサチップ本体5を第6挟持部72と第7挟持部82とで挟持することによって、保持するから、第6挟持部72及び第7挟持部82等が劣化することもなく、長期間にわたって複数のコンデンサチップ本体5を所望のように保持することができる。
【0074】
また、小型部品保持具4における第6挟持部72と第7挟持部82とはそれぞれ、第6の挟持部材70及び/又は第7の挟持部材80の対角線方向に前後進されるから、コンデンサチップ本体5の背中合わせになっている2面をそれぞれ挟持することができる。したがって、小型部品保持具4は、コンデンサチップ本体5のすべての側面を挟持することができるから、コンデンサチップ本体5は強固に保持される。
【0075】
この小型部品保持具4は、第6の挟持部材70及び第7の挟持部材80の合計厚さがコンデンサチップ本体5の軸線長さよりも小さく調整されているから、小型部品保持具4における軸線方向の両端部近傍が小型部品保持具4の上面及び下面から突出した状態に、複数のコンデンサチップ本体5を保持することができる。したがって、この小型部品保持具4は、例えば、軸線方向の両端部近傍等の少なくとも二箇所に導電性ペーストを塗布する必要のある小型電子部品用部材の保持用として特に好適である。
【0076】
そして、この小型部品保持具4は、図12及び図13に示されるように、前記保持治具1〜3に比して、より多数のコンデンサチップ本体5を一挙に保持し、取り外すことができる。
【0077】
小型部品保持具における挟持部材の基部は、挟持部及び小型部品を保持又は支持可能な材料で形成されればよく、このような材料として、例えば、ステンレス鋼及びアルミニウム等の金属製プレート、アルミニウム箔及び銅箔等の金属箔、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム又は樹脂板、和紙、合成紙及びポリエチレンラミネート紙等の紙、並びに、布、ガラス繊維及びガラス板等のセラミックス、並びに、ガラスエポキシ樹脂板等の複合材料等を挙げることができる。
【0078】
小型部品保持具における挟持部材の挟持部は、小型部品を保持又は支持可能な材料で形成されればよく、このような材料として、例えば、基部で例示した材料が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン等が好適に挙げられる。
【0079】
挟持部材に設けられる弾性部材54は、弾性を有する材料で形成されればよく、このような材料として、例えば、フッ素系ゴム、シリコーンゴム、天然ゴム等の各種ゴム、ウレタン系エラストマー、スチレン−ブタジエン共重合エラストマー等の各種エラストマー等が挙げられる。これらのなかでも、耐候性、耐熱性及び耐薬品性に優れる点で、シリコーンゴムであるのが好ましい。
【0080】
小型部品保持具における挟持部材は、例えば、前記材料の板状部材から切り出して、又は、前記材料を成形等して、製造することができる。挟持面は、通常の方法、例えば、研削、切削、研磨等によって、所望の形状に調整されることができる。
【0081】
この発明に係る小型部品保持具は、前記のように、挟持部を並行移動することによって、小型部品を挟持して、保持することができるから、小型部品保持具における挟持部材及び挟持部の寸法等は高精度に形成される必要はなく、通常の加工方法、成形方法等を適宜採用するよって、容易かつ安価に小型部品保持具を製造することができる。
【0082】
この発明における小型部品保持具は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、小型部品保持具1及び2は一列に配列された小型部品を保持し、小型部品保持具3は二列に配列された小型部品を保持するのに使用されるが、この発明においては、例えば、複数の第4の挟持部材を交互に配置することによって、3列以上に配列された小型部品を一挙に、又は、順に保持することができる。
【0083】
また、小型部品保持具1〜4はいずれも、角柱体のコンデンサチップ本体5を保持する態様を挙げて、説明されているが、この発明において、小型部品保持具に保持される小型部品は、角柱体である必要はなく、円柱体等であっても、挟持面によって所望のように保持されることができる。
【0084】
また、小型部品保持具1、2及び3はいずれも、各挟持部材10、10a、10b、20、30、40及び50が別体として構成されているが、この発明においては、各挟持部材は別体として構成されている必要はなく、例えば、図11に示される構成により、挟持部材それぞれが一体に結合されていてもよい。この構成により、少なくとも一方の挟持部材を並行移動することができ、この挟持部材を固定することができる。
【0085】
さらに、各挟持部材はいずれも、各挟持部12、22、32、42、52、72及び82が各基部13、23、33、43、53、73及び83における長手方向の両端縁から前記長手方向に対して略直角の方向に延設されているが、この発明において、挟持部は基部の長手方向に対して略直角の方向に延設されている必要はなく、長手方向に対して所定の角度、例えば、25〜165°の角度を成す方向に延設されていてもよい。
【0086】
また、小型部品保持具4において、第1の移動案内手段75及び第2の移動案内手段85は、第6の挟持部材70及び第7の挟持部材80における対向する一対の隅部における切り欠き部に形成され、小型部品の保持に際して、第7の挟持部材80が第6の挟持部材70に対して、相対的にその対角線方向に移動されるが、この発明において、第1の移動案内手段及び第2の移動案内手段は、第6の挟持部材70及び第7の挟持部材80における対向する一対の隅部における切り欠き部に形成される必要はなく、その側面に沿って形成されてもよい。この場合は、小型部品の保持に際して、第7の挟持部材80を第6の挟持部材70に対して相対的に側面の長手方向に移動される。
【0087】
さらに、小型部品保持具4において、第6の挟持部材70及び第7の挟持部材80はクリップ63で固定されているが、この発明においては、第6の挟持部材及び第7の挟持部材はクリップで固定される必要はなく、手動、バンド等の固定具、ボルトとナットとの組合せ等の固定具等を用いて、固定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、この発明に係る小型部品保持具の一実施例である小型部品保持具における挟持部材の一実施例を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、この発明に係る小型部品保持具の一実施例である小型部品保持具を示す概略上面図である。
【図3】図3は、この発明に係る小型部品保持具の一実施例である小型部品保持具に小型部品を保持する方法において、小型部品、第1の挟持部材及び第2の挟持部材の配置例を示す保持方法説明図である。
【図4】図4は、この発明に係る小型部品保持具の一実施例である小型部品保持具に小型部品を保持する方法において、小型部品を第1挟持片12の間であって第2挟持片22の間に位置させた状態を示す保持方法説明図である。
【図5】図5はこの発明に係る小型部品保持具の一実施例である小型部品保持具に小型部品を保持した状態を示す上面図である。
【図6】図6はこの発明に係る小型部品保持具の一実施例である小型部品保持具に小型部品を保持した状態を示す正面図である。
【図7】図7は、この発明に係る小型部品保持具の別の一実施例である小型部品保持具を示す図であり、図7(A)はこの発明に係る小型部品保持具の別の一実施例である小型部品保持具を示す上面図であり、図7(B)はこの発明に係る小型部品保持具の別の一実施例である小型部品保持具を示す正面図である。
【図8】図8は、この発明に係る小型部品保持具の別の一実施例である小型部品保持具に小型部品を保持する方法を説明する説明図であり、図8(A)はこの発明に係る小型部品保持具の別の一実施例である小型部品保持具に小型部品を保持する方法において、小型部品及び小型部品保持具の配置例を示す保持方法説明図であり、図8(B)はこの発明に係る小型部品保持具の別の一実施例である小型部品保持具に小型部品を保持した状態を示す上面図であり、図8(C)はこの発明に係る小型部品保持具の別の一実施例である小型部品保持具に小型部品を保持した状態を示す正面図である。
【図9】図9は、この発明に係る小型部品保持具のまた別の一実施例である小型部品保持具を示す図である。
【図10】図10は、この発明に係る小型部品保持具における挟持部材の別の一実施例を示す概略斜視図である。
【図11】図11は、小型部品保持具2における固定具の一実施例を説明する説明図である。
【図12】図12は、この発明に係る小型部品保持具のさらにまた別の一実施例である小型部品保持具を示す概略斜視図であり、図12(a)はこの一実施例における第6の挟持部材を示す概略斜視図であり、図12(b)はこの一実施例における第7の挟持部材を示す概略斜視図である。
【図13】図13は、この発明に係る小型部品保持具のさらにまた別の一実施例である小型部品保持具を示す説明図であり、図13(a)は小型部品保持具の固定状態を説明する説明図であり、図13(b)はこの発明に係る小型部品保持具のさらにまた一実施例である小型部品保持具に小型部品を保持した状態を示す上面図である。
【符号の説明】
【0089】
1、2、3、4 小型部品保持具
5 コンデンサチップ本体
10、10a、10b 第1の挟持部材
11、11a、11b 第1挟持面
12、12a、12b 第1挟持部(第1挟持片)
13、13a、13b 第1基部
20 第2の挟持部材
21 第2挟持面
22 第2挟持部(第2挟持片)
23 第2基部
30 第3の挟持部材
31 第3挟持面
32 第3挟持部(第3挟持片)
33 第3基部
40 第4の挟持部材
41 第4挟持面
42 第4挟持部(第4挟持片)
43 第4基部
50 第5の挟持部材
51 第5挟持面
52 第5挟持部(第5挟持片)
53 第5基部
54 弾性部材
60 固定具
61 ボルト
62 貫通溝
63 クリップ
70 第6の挟持部材
71 第6挟持面
72 第6挟持部
73 第6基部
74 第1の保持孔
75 第1の移動案内手段
80 第7の挟持部材
81 第7挟持面
82 第7挟持部
83 第7基部
84 第2の保持孔
85 第2の移動案内手段
86 第2の移動案内溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列された複数の小型部品それぞれに接する挟持面を有し、互いに並行に配設された複数の第1挟持部と、
前記複数の小型部品それぞれを前記第1挟持部とで挟持することができるように、前記第1挟持部に向かって並行移動可能に配列された複数の第2挟持部とを、備えて成ることを特徴とする小型部品保持具。
【請求項2】
前記複数の第2挟持部は、前記複数の小型部品それぞれに接する挟持面を有し、互いに並行に配設されて成ることを特徴とする請求項1に記載の小型部品保持具。
【請求項3】
前記複数の第1挟持部それぞれは、一方向に延在する基部に設けられて成り、
前記複数の第2挟持部それぞれは、一方向に延在する基部に設けられて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の小型部品保持具。
【請求項4】
前記複数の第1挟持部それぞれは、前記挟持面に弾性層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の小型部品保持具。
【請求項5】
前記複数の第2挟持部それぞれは、前記挟持面に弾性層を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の小型部品保持具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2008−284640(P2008−284640A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130988(P2007−130988)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【復代理人】
【識別番号】100118809
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 育男
【Fターム(参考)】