説明

少ない容量の液体製品、特に、化粧品または医薬品を分配するためのエアレスディスペンサー

本発明は、少量の液体製品を分配するために使用されるエアレスディスペンサーに関する。本発明のディスペンサーは、第1の部品(1)および第2の部品(2)から構成され、第1の部品(1)は、テーパー状のボア(13)の壁上にあるチャネルネットワーク(12)と連絡する、スプレーノズル(10)を備え、第2の部品(2)は、上記のボア内に第1の部品を固定するための、剛性のフランジ(23)を備えた、変形可能なレザバ(21)を備える。フランジの外周は、傾斜面(22)を備え、傾斜面(22)は、上記のチャネルネットワーク(12)の反対側に、円形チャンバを規定し、そして、第1の部品の壁と一緒になって、内部の周縁にある出口溝(25)を形成する。出口溝は、可撓性リップ(20)によって半径方向に規定され、第1の部品または第2の部品により支えられる、取り込み弁を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少ない容量の液体製品、特に、化粧品または医薬品の分配のための、エアレスディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
香水の分野において、これらのディスペンサーは、一般に、リフト機構(例えば、予圧(precompression)または弁)を備えた小容量(数ml)レザバを備える、小型のスプレーから構成され、このリフト機構は、アクチュエータを手動で押すことによって、製品の試料を蒸気の形態で分配するという仕事を有する。
【0003】
しかし、これらの小さな寸法を念頭に置くと、これらのディスペンサーを構成する部品は、複雑であり、そして、作製および組立てが困難であるので、それにより、その再販の価格が高くなる。
【0004】
特に、組立ての間に、正確な相対的位置を達成するために、互いの間での部品の位置合わせが、作動障害の多くの原因となる。
【0005】
さらに、特に、ポンプが用いられる場合、レザバの容量に対するリフト機構が占める割合はかなり大きく、これは、試験のために、減らされた量の製品を受け取る消費者に対して、ペナルティーとなる。
【0006】
最後に、ディスペンサーを保管および運搬するという作業が、極めて繊細なものである。なぜならば、ポンプまたは弁のアクチュエータは、突出しており、そして、リフト機構に対してしっかりと取り付けられていないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの技術的な問題を、満足できる様式で解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明によれば、テーパー状の内部のボアの壁内に局部的に設けられたチャネルネットワークと連絡する、スプレーノズルを備える第1の部品と、この第1の部品のボア内への取り付けのための剛性のフランジを備えた、変形可能なレザバを備える第2の部品とを備え、上記フランジは、その外周に、チャネルネットワークの反対側に円形チャンバ(chambre tourbillonnaire)の境界を定める傾斜面を有し、可撓性リップにより半径方向に境界を定められた周縁の出口溝を上記第1の部品の壁と形成し、可撓性リップは、第1の部品または第2の部品上に作られた、取り込み弁を形成する、ディスペンサーによって達成される。
【0009】
1つの有利な特徴によれば、上記フランジは、2つの部品の防水性の組立てを確実にすするために、上記ボアの壁内に設けられた、補完的な要素と協働する、フック要素を備える。
【0010】
第1のバリエーションによれば、第2の部品のフランジは、回転対称を有する。
【0011】
別の特徴によれば、ディスペンサーは、上記レザバを覆うことができるように、上記第1の部品から下向きに延びるか、または、上記第2の部品の前記フランジに接続された、外側スカートを備える。
【0012】
あるバリエーションによれば、上記スカートは、上記レザバの間接的な操作を可能にするように、伸縮自在に変形可能である。
【0013】
別のバリエーションによれば、上記スカートは、外部包装要素のフックのための周縁の凹部を有する。
【0014】
上記第1の部品は、好ましくは、手で持ちやすくするための凹形の頂面を備える。
【0015】
さらなるバリエーションによれば、上記レザバは、ガセットの形態の、可撓性バッグから構成される。
【0016】
別の特徴によれば、レザバの底部は、軸方向の圧縮を可能にする、操作ボタンを備える。
【0017】
レザバは、好ましくは、全内容物が分散されたときに、上記第1の部品の壁に対して停止部材として機能し得る内部ボスを備える。
【0018】
別のバリエーションによれば、ディスペンサーは、上記ノズルをブロックすることが意図されたタブを備える、取り外し可能なプラグを備える。
【0019】
本発明のディスペンサーは、非常に小型であり、そして、単に、例えば、プラスチック材料の成形によって容易に製造され得る単純な構造の2つの部品から構成される。
【0020】
さらに、これらの部品の組立ては、単純であり、そして、容易に自動化可能である。なぜならば、互いの間の部品の位置合わせが必要とされないからである。
【0021】
製品をリフトするための機構がないことにより、ディスペンサーの信頼性が保証され、そして、特に試供品の分野において、顧客に対して非常に魅力的な価格になる。
【0022】
最終的に、このディスペンサーが作動する様式は、特に、人間工学的であり、そして、正確かつ定量のスプレー噴霧を提供する。
【0023】
本発明は、図面を参照してなされる以下の説明を読むことにより、より良く理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図面に示されるディスペンサーは、香水または化粧品の試供品のような、少量の液体製品をスプレー噴霧するために設計されている。
【0025】
本発明によれば、ディスペンサーは、図1Bの断面図に示されるように、管11を介して、テーパー状の内部ボア13の壁内に局部的に設けられたチャネルネットワーク12と連絡する、側方ノズル10を備える第1の部品1を備える。
【0026】
ディスペンサーはまた、第1の部品1のボア13内に取り付けるための剛性のフランジ23を備える、変形可能なレザバ21(この図においては、ガセットを備えた可撓性バッグの形態)を備えた第2の部品2を備える。
【0027】
この目的で、フランジ23は、第2の部品2の内部に第1の部品1を防水性にスナップばめすることを確実にするために、ボア13の壁内に設けられた、補完的な要素14(この場合は、ラッシュの形状(forme d’un jonc))と協働するフック要素24を備える。
【0028】
しかし、特に、ねじ止めまたは接着剤による固定のような、2つの部品を互いに取り付けるための他の手段が提供され得る。
【0029】
図示される本発明の実施形態において、フランジ23は、回転対称を有するレザバ21の開放端を覆って延びる。
【0030】
フランジ23は、フランジの外周上で、チャネルネットワーク12の反対側に、仏国特許出願番号FR 03 04418に記載される型の円形チャンバの境界を定める、傾斜面22を有する。
【0031】
傾斜面22は、第1の部品1および第2の部品2を組立てた後に、クラッド法により、チャネルネットワーク12の防水性のシーリングを確実にする。
【0032】
フランジ23は対称であるので、2つの部品の互いに関する角度調節は必要ではなく、これは、組立て作業をかなり単純化し、組立ては、単に、第1の部品1および第2の部品2を軸方向に並べて、これらを互いにスナップばめすることによって行なわれる。
【0033】
フランジ23は、傾斜面22に隣接する1つの壁を備え、この壁は、第1の部品1の内壁と一緒になって、圧力下で、レザバ21から円形チャンバの方向に製品を通過させるための、周縁溝25を形成する。溝25は、扇形の垂直方向スロット16によって、フランジ23の傾斜面22と、ボア13の内壁との間で、円形チャンバのいずれかの側に配置された環状の空間17と連絡する(図1Cおよび3Dを参照のこと)。
【0034】
溝25は、上流端から下流端に向かって、溝25、スロット16、環状の空間17および円形チャンバから構成される、出口回路のための取り込み弁を形成する、可撓性の環状リップ20により半径方向に境界を定められる。
【0035】
リップ20は、この場合、第2の部品2のフランジ23上に設けられるが、本発明のバリエーション(図示されず)によれば、第1の部品1上に設けることも可能である。
【0036】
図1A、1Bおよび1Cに示される本発明の実施形態において、第1の部品1は、人差し指で持つための凹形の頂面15を備え、その一方で、レザバ21の底部21aは、親指により、レザバを軸方向に直接圧縮させることを可能にする、作動ボタン26を備える。圧迫点または同心性の溝26aの存在により、手で支えることが容易になる。
【0037】
さらに、レザバは、ボタン26から内向きに延び、そして、製品の分配および放出速度を最適化するために、第1の部品1の壁に対して停止部材として機能し得る、内部ボス27を備える。
【0038】
第1の部品1からは、レザバ21を覆うことができる、外側スカート3が下向きに延びている。
【0039】
スカート3は、外部包装要素のフックのための周縁凹部30を有する(図示されず)。
【0040】
保管時には、ディスペンサーは、スプレーノズルをブロックすることが意図されたタブ40を備える取り外し可能なプラグ4を備え得る(図3Aを参照のこと)。
【0041】
図2Aおよび2Bに示される本発明の実施形態において、外側スカート3は、伸縮自在に変形可能であり、そしてこの場合、フランジ23の頂部に接続されている。
【0042】
この様式において、第2の部品2は、二重壁で提供される。
【0043】
この場合、レザバを圧縮するという目的でのレザバ21の取扱いは、スカート3を側方に押し潰し、そして/または、締付けることによって、間接的に行なわれ得、スカート3は、次いで、元の形状に戻って、レザバ21の変形した壁を隠す。
【0044】
このバリエーションはまた、この場合のレザバの変形が、軸方向ではなく横方向のものであるので、ディスペンサーの長さを延ばすことを可能にし、そして、顧客に、この型の製品に一般的な外観およびディスペンサーの持ち方を提供することを可能にする。
【0045】
明らかに、レザバを変形させるこの様式はまた、スカート3を部品1に接続することによって、図1Aに示される本発明の実施形態にも適用され得る。
【0046】
本発明によるディスペンサーの作動は、製品の分配する際の種々の工程に従って、以下に記載される。
【0047】
出口回路のブロック(図3A)に対応する、不使用時には、リップ20の頂端は、部品1の内壁に対して、防水性の様式のままである。
【0048】
レザバ21の底部21aを手で押すことによって、図3Bに示されるように、レザバ21内に圧力が生成する場合(図1Aに示される本発明の実施形態に当てはまる)、製品は、レザバ10の頂部へと押し出され、そして、リップ20を変形させる。製品は、次いで、リップ20の縁部とボア13の内壁との間に漏れ出ることによって放出され、溝25に入る;次いで、製品は、スロット16を通って、フランジ23の頂端部の上を通過し、分周性の環状の空間17に入る(図3Dに詳細が示される)。
【0049】
製品の流れは、溝25の2つの対称なセクションへと分割され、次いで、円形チャンバの方向に放出され、そして、2つの側方の取り込み口12a、12bによって、空間17から供給される。製品は、次いで、チャネル12によって加速され、その後、ノズル10を介して、スプレーの形態で、外側へと発射される。
【0050】
ボス27が、レザバ21の頂部開口部によって、第1の部品1に対して停止部材として機能すると、容量が終わる。
【0051】
明らかに、レザバ21の寸法、そして特に容量、ならびに、その変形能は、ボス27の運動の終わりが、製品の単一の正確な用量(適用可能な場合は、数用量)の分配に対応するように、決定される。
【0052】
レザバ21内部の圧迫が停止すると、リップ20のその防水性のブロック位置への復帰が、図3Cに示されるように、伸縮自在の様式で行なわれ、これにより、空気がレザバ21に入ることを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】図1Aは、本発明による、ディスペンサーの一実施形態の正面図を示す。
【図1B】図1Bは、図1Aのディスペンサーの軸方向の断面図を示す。
【図1C】図1Cは、図1Aのディスペンサーの横方向(水平方向)の断面図を示す。
【図2A】図2Aは、本発明による、ディスペンサーの第2の実施形態の斜視図を示す。
【図2B】図2Bは、図2Aのディスペンサーの断面図である。
【図3A】図3Aは、図1Aおよび1Bのディスペンサーを異なる位置で示す。
【図3B】図3Bは、図1Aおよび1Bのディスペンサーを異なる位置で示す。
【図3C】図3Cは、図1Aおよび1Bのディスペンサーを異なる位置で示す。
【図3D】図3Dは、図1Cに規定される、断面平面に従った、図3Bの詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少ない容量の液体製品のためのエアレスディスペンサーであって、該ディスペンサーは、テーパー状の内部のボア(13)の壁内に局部的に配置されたチャネルネットワーク(12)と連絡する、スプレーノズル(10)を備える第1の部品(1)と、該第1の部品のボア内への取り付けのための剛性のフランジ(23)を備えた、変形可能なレザバ(21)を備える第2の部品(2)とを備え、該フランジは、該フランジの外周上に、該チャネルネットワーク(12)の反対側に円形チャンバの境界を定める傾斜面(22)を有し、該第1の部品の壁と、可撓性リップ(20)により半径方向に境界を定められた周縁の出口溝(25)を形成し、該可撓性リップ(20)は、該第1の部品または該第2の部品上に作られた、取り込み弁を形成する、ディスペンサー。
【請求項2】
前記フランジ(23)が、フック要素(24)を備え、該フック要素は、前記ボア(13)の壁内に設けられた補完的な要素(14)と協働して、前記第1の部品(1)および前記第2の部品(2)の防水性の組立てを確実にする、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記第2の部品(2)の前記フランジ(23)が、回転対称を有する、請求項1〜2のいずれか1項に記載のディスペンサー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスペンサーであって、該ディスペンサーは、前記レザバ(21)を覆うことができるように、前記第1の部品(1)から下向きに延びるか、または、前記第2の部品(2)の前記フランジ(23)に接続された、外側スカート(3)を備える、ディスペンサー。
【請求項5】
前記レザバ(21)の間接的な操作が可能であるように、前記スカート(3)が伸縮自在に変形可能である、請求項4に記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記スカートが、外部包装要素のフックのための周縁の凹部(30)を有する、請求項4に記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記第1の部品(1)は、手で持ちやすくする、凹形の頂面(14)を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスペンサー。
【請求項8】
前記レザバ(21)が、ガセットを備える可撓性バッグから構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のディスペンサー。
【請求項9】
前記レザバ(21)の底部(21a)が、軸方向の圧縮を可能にする操作ボタン(26)を備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載のディスペンサー。
【請求項10】
前記レザバ(21)が、前記容量の終わりに、前記第1の部品(1)の壁に対する停止部材として機能し得る内部ボス(27)を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のディスペンサー。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のディスペンサーであって、該ディスペンサーは、前記ノズル(10)をブロックすることが意図されたタブ(40)を備える、取り外し可能なプラグ(4)を備える、ディスペンサー。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公表番号】特表2007−532289(P2007−532289A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506798(P2007−506798)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000639
【国際公開番号】WO2005/107954
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(505091064)レクサム ディスペンシング システムズ (6)