説明

少なくとも一のロボットを有する連続鋳造設備及び少なくとも一のロボットを備える連続鋳造設備を操作する方法

連続鋳造設備における工程制御された又は自動の介在を行うための少なくとも一のロボット及び予備の装置を備える連続鋳造設備が開示されている。ロボットの最適な使用を確保するため、軌道(7)が連続鋳造設備に割り当てられ、軌道上で移動可能に設けられた直線ギアがロボットに割り当てられ、少なくとも一の停止位置(P、P)及び少なくとも二の作業位置(E、E、E、E)が軌道上のロボットに形成されるとともに、一の作業位置からのみ到達できる作業領域(A、A、A、A)が連続鋳造設備のそれぞれの作業位置に割り当てられ、ロボットのそれぞれの作業位置と割り当てられた作業領域又は供給領域(V、V、V)との間の距離は、ロボットのアーム部(15)の最小及び最大の範囲内に規定され、ロボットは、連続鋳造設備の中央制御装置又は工程コンピュータ(19)に信号伝達方式で接続されたデータ受信装置(20、21)を伴って設けられている。また、本発明は、連続鋳造設備を操作する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造設備における工程制御された又は自動の介在を行うための少なくとも一のロボット及びアクセスを割り当てられた付属装置を有する連続鋳造設備に関する。また、本発明は、ロボットを含む連続鋳造設備の操作のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、例えば鋳造用取鍋のような溶融金属容器からの溶融金属が、チルド鋳型の中にタンディッシュ(tundish)を介して注がれ、チルド鋳型の中で強力冷却の下で形作られ、望ましい断面からなる少なくとも部分的に凝固したストランド(strand)に形成され、連続鋳造設備外へ連続的に搬送される、全てのタイプの連続鋳造設備に適用範囲が亘っている。使用される鋳型の特性によって、鋳造設備は振動筒状鋳型(oscillating tubular mould)及び振動板状鋳型(oscillating plate mould)、軌道式鋳型(track mould)、側板を有する回転鋳造ロール(双ロール鋳造設備)又はベルトで囲まれた鋳型を有して設けることができる。ストランドはスラブ、薄いスラブ、ストリップ、ブルーム又はビレットの断面、及び、望ましい寸法の望ましい予備形状の断面を有することができる。
【0003】
ロボットは連続鋳造設備において、反復性作業を行うため、及び作業者が溶融金属及び鋳造された金属ストランドから放射される高熱、又はスラグ及び金属の飛沫に曝される、危険地域における作業場の問題を除去するために使用されている。ロボットは既に開放型連続鋳造鋳型において使用され、溶湯浴の表面を観察し、鋳型壁の内側に焼き付いた堆積物を除去し、温度を測定し、試料を採取し、及び、これらに類することを行っている。また、ロボットは、シュラウドの交換、鋳造チューブの交換及び側部ゲートの閉塞用板の交換、及びタンディッシュ及び鋳造用取鍋の流出開口部の吹開けに使用されている。さらに、ロボットを使用して、鋳造ストランド又は切断されたスラブ、ブルーム、及びビレットを検査すること、及び連続鋳造設備の出口領域における、例えば着炎(flaming)による欠陥を除去することが知られている。
【0004】
例えば、連続鋳造鋳型における多機能ロボットの使用は既に特許文献1から知られており、一方のロボットは鋳造工程に関するデータを鋳型に装着された測定装置から受け取り、他方のロボットは、例えば光学的検知システムのような検知システムによって鋳型の測定データそのものを取得し、この情報を作業行動の計画及び実施に優先順位を割り当てつつ使用している。ここに述べる据え置き型ロボットは、その配置が鋳型上で使用されるように特に選択されており、よって連続鋳造鋳型に近接する連続鋳造設備の領域で生じるような作業行動を実行するのには好適ではない。
【0005】
連続鋳造設備の単一の作業領域に割り当てられるようなロボットが、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6から知られている。
【0006】
従来、連続鋳造設備の鋳造プラットホームにおけるロボット技術のより大規模な使用が、このようなロボットの集結及び限定領域において行われる混乱した作業を引き起こしている。特許文献7は、多連連続鋳造設備の鋳造プラットホームにおける2台のロボットの使用について開示しており、それぞれのロボットは走行路(runway)に割り当てられ、ロボットはこの走行路上の作業位置に責任を持つことができるようにされ、大きなタンディッシュ上の鋳造チューブを交換し、タンディッシュ及び鋳造チューブの出口開口部における洗浄作業を行っている。それぞれのロボットは区切られた作業領域を割り当てられ、一方のロボットが他方のロボットの作業領域で作業することはできず、よって一方のロボットが壊れたとしても、他方のロボットはこの作業を引き継ぐことはできず、作業者による連続鋳造設備への介在が必要である。全体として、各ロボットの改善された稼働率を同時に達成しないと、ロボットの急増は設備投資及び作業コストを増加させる。
【特許文献1】欧州特許第371482号明細書
【特許文献2】米国特許第5067553号明細書
【特許文献3】特開平5−169206号公報
【特許文献4】特開平9−109100号公報
【特許文献5】特開平7−60434号公報
【特許文献6】特開平5−293615号公報
【特許文献7】特開平3−71959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明の目的は、これらの欠点及び既知の従来技術の困難さを回避し、少なくとも一の最初に記載されたタイプのロボットを有する連続鋳造設備、及び連続鋳造設備へのさまざまな作業を、ロボットの単一作業位置の範囲の外側に位置するさまざまな作業位置で行うことができるロボットを含む連続鋳造設備を操作する方法を提案することである。
【0008】
本発明のまた別の目的は、使用されるロボットの利用度および稼働率を増加させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、走行路を割り当てられた連続鋳造設備、走行機構を割り当てられ、該走行機構が前記走行路上に移動可能に案内されるロボット、走行路上にロボットのために形成され、少なくとも一の停止位置及びそれぞれの作業位置が連続鋳造設備の、作業位置からのみ到達することができる作業領域に割り当てられた少なくとも二の作業位置、ロボットのアーム部の最大及び最小範囲の中で固定されているそれぞれの作業位置と、割り当てられた作業領域又は供給領域との間の距離、及びデータ送信装置及びデータ受信装置を有して設けられ、前記データ受信装置は、前記連続鋳造設備の中央制御装置又は工程用コンピュータに情報伝達技術によって接続されているロボット、によって本発明に従って達成される。
【0010】
連続鋳造設備上の、又は連続鋳造設備の帯域内の作業領域が、走行路上を動かすことができるロボットの前以って決められた作業位置の範囲内にあるように、多くの可能な作業領域を通過する走行路を設けることは、ロボットの限られた1つだけの作業能力を克服し、多くの効果的な作業能力を生成するという効果を有している。必要に応じて、ロボットは、連続鋳造設備の中央制御装置又は工程用コンピュータによってそれぞれの望ましい作業位置へ案内されることができ、そこで必要とされる作業を行う。
【0011】
ロボットのための作業位置は走行路に沿ったロボットの場所を規定し、連続鋳造設備の一以上の作業領域は、この作業位置からロボットの把持部の範囲内に位置する。ロボットの架台が走行機構に強固に、かつ垂直軸の周りに回転可能に固定された、ロボットの実施形態においては、走行路上のロボットの作業位置は走行機構の位置のみによって規定される。ジブを有する回転機構が走行機構上に配置され、実際のロボットがジブの突出する端部にのみ固定されるロボットの実施形態の場合には、ロボットの作業位置を規定するための走行機構の位置に加えて、回転機構のジブの回転角度もまた重要である。
【0012】
ロボットの作業領域は、作業がロボットによって行われる連続鋳造設備の特定の領域又は個々の位置であり、前以て決められた作業位置から始まっている。
【0013】
供給領域(これは空間的な語である)は、ツールの保管場所、関連材料(utility)の保管場所、及びこれらと同様の装置を有する保管場所を備え、ロボットによって受け取られ、届けられるツール、交換部品、及び関連材料のための固定された位置を有している。付属装置中に保管されるものは、第1に、例えばトング(tong)、測定プローブ、グラインディングヘッドのような、作業を行うために必要とされるロボットのためのツールであり、第2に、鋳造チューブ又はすべり弁板のような、連続鋳造設備のための交換部品であり、第3に、例えばキャスティングパウダー(casting powder)のような、連続鋳造設備の連続的な操業のための関連材料である。それぞれの供給領域に設けられたツールの保管場所及び関連材料の保管場所は、据え置き式の、又は可搬式の付属装置によって形成することができ、例えば関連材料の運び台のような可搬式付属装置は必要とされるときに特定の作業位置の供給領域の中に運ばれ、その供給位置から仕込み後に運び出すことが可能である。
【0014】
停止位置は、走行路上のロボットが作業を終え、中央制御装置又は工程制御用コンピュータからの新しい作業信号を待っているときに停止する位置として規定されている。よって、複数のロボットが一の走行路に割り当てられているときには複数の停止位置が形成される。2つのロボットの場合には、2つの停止位置が、好ましくは走行路の反対方向の端部に配置される。
【0015】
また、ロボットによる工程制御された又は自動化された作業の実施は、作業者による手動で遠隔操作された作業の代替的な可能性を有している。これらの手動で遠隔操作された作業は、制御室から、又は他の携帯式制御ユニットの手段によって行うことができる。
【0016】
ロボットのための走行路は、好ましくは起動システムによって、又はオーバーヘッド・モノレール・コンベアの形態の少なくとも一の走行レールによって形成される。前以て決められた作業位置への移動は、対応する制御装置(位置情報送信装置、移動モニターシステム)によって行われる。
【0017】
連続鋳造設備の複数の作業領域で作業するために、走行路が通常の切替え装置を有する分岐路を有すると都合が良い。このことによって、主走行路から離間した作業位置を形成し考慮することができ、複数のロボットを、それらが互いに干渉し合うことなく使用することができる。
【0018】
代替的に、割り当てられた領域への可能な最良の到達ができるように、走行路上のロボットの作業位置を変更するために、走行路の個々の部分が、リフティング機構の手段によって高さを調製することができるように、又は回転機構によって回転することができるように形成される。
【0019】
それぞれのロボットは走行機構を割り当てられ、走行路の設計によって、走行機構上に支持され、若しくは吊り下げられている。作業領域を拡大するために、走行機構はロボットの回転機構を割り当てられても良く、少なくとも2つの作業位置が、ロボット回転機構の回転位置にあるロボットに対して形成される。回転機構は好ましくは延在するジブを備え、この延在するジブの端部にロボットが配置される。ジブは作業環境の要求に適応することができ、例えば、高さを調節可能にすることができる。
【0020】
ロボットは、好ましくは拘束装置によってそのそれぞれの作業位置に固定され、作業からの反作用力によって引き起こされる位置変化を回避する。
【0021】
連続鋳造設備における作業をできるだけ迅速にかつ効率的に行うために、走行路上のロボットの作業位置が、連続鋳造設備の少なくとも一の作業領域と、例えばツール保管場所又は関連材料保管場所のような付属装置の供給領域とを割り当てられていると好都合である。従って、作業を行うために必要な全ての関連材料がロボットに対してそのロボットのアーム部の範囲内で入手可能であり、ツールを変更する又は交換部品を搬送するために追加の操作動作を行う必要が無い。
【0022】
走行路は、連続鋳造設備の全体に沿って、かつ異なる高さで延在していて良く、また、好ましくは走行路がオーバーヘッドコンベアの走行レールとして形成されている場合、上方へ及び下方への傾斜を備えていて良い。走行路は、好ましくは、鋳造プラットホームに及び又は連続鋳造設備の送出領域に限定されている。ここでは、走行路は水平面に好ましく配置されている。
【0023】
好ましい実施形態によれば、2つのロボットが一の走行路上に配置され、好ましくは一のロボットが主ロボットとして連続鋳造設備における作業を行い、第2のロボットが、行われる仕事の優先順位の混乱が生じたとき及び主ロボットに問題が生じたときに予備ロボットとして使用される。ロボット間での、例えば、特定の作業位置への又は手動の遠隔操作による割り当てへの個々のロボットの優先順位の配分による行われるべき仕事の異なる分配は完全に可能であり、本発明の技術範囲内である。
【0024】
また、本発明は、停止位置と少なくとも二の作業位置との間の走行路上を移動することのできる少なくとも一のロボットと、少なくとも二の作業位置とを備え、制御信号が工程用コンピュータ又は中央制御装置から前記ロボットへ発信され、この制御信号に基づいて、選択された作業位置が移動するとともに前記連続鋳造設備における自動化された作業がロボットによって行われ、連続鋳造設備において行われるべき作業のための制御信号は、工程用コンピュータ又は中央制御装置によって行われる作業の優先順位の順に、ロボットへ送信されることを特徴とする連続鋳造設備を操作する方法を包含している。
【0025】
ロボットの作業は連続鋳造設備の工程用コンピュータ又は中央制御装置によって規定されると共に制御され、行われる作業活動は生産される製品の品質に従って決定される。優先順位の割り当ての基礎は鋳造工程の連続的な診断、よって、連続的に収集された測定データ及びデフォルトデータとの比較におけるモデル計算によって形成される。
【0026】
また、ロボット自体も測定データを取り、収集しながら鋳造工程の状態の観察を連続鋳造設備において行っている。これらの測定データは工程用コンピュータまたは中央制御装置に送信され、工程用コンピュータまたは中央制御装置によって処理され、このデータの評価結果は、ロボット又は連続鋳造設備のための制御信号に変換される。
【0027】
走行路上を動かすことができる少なくとも二のロボットが使用される場合、走行路上を動かすことができる第1のロボットは、第1のロボット(主ロボット)として、全ての制御信号を受信し、連続鋳造設備における作業を行い、走行路上を動かすことができる別のロボットは、予備ロボット(従属ロボット)として、好ましくは停止位置に割り当てられる。
【0028】
制御信号に優先順位の混乱が生じた場合に、第1のロボット及び予備ロボットが起動され、これら両方のロボットが、互いに干渉する可能性を排除されつつそれぞれの作業位置へ移動される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明のさらなる利点及び特徴は、後述の典型的な実施形態(これに限定されるわけではない)から添付の図面を参照して明らかになる。
【0030】
連続鋳造設備の鋳造プラットホーム1上で、連続鋳造設備の配置は限定されるわけではないが、概略は、取鍋ノズル(シュラウド)3を有する鋳造用取鍋2と、この鋳造用取鍋2の下に位置し、鋳造用浸漬チューブ5を有するタンディッシュ4とから示され、鋳造用浸漬チューブ5は連続鋳造鋳型6の中に突出している。さらなるタンディッシュ4’が、鋳造プラットホームの待機位置に一点鎖線によって示されている。
【0031】
この鋳造プラットホームには、鋳造設備に工程管理され自動化された介在を行うロボットを備えるための広い可能性があり、多数の据え置き型のロボットの操作又は少なくとも一の可動ロボットの操作が必要である。走行路7は鋳造プラットホーム1の上に、複数の作業領域A,A,A,Aがこの走行路に沿った多数の作業位置E,E,Eから始動する単一のロボット8によって受け持たれるように位置している。ロボット8は、走行路7の一方の端部の停止位置(parking position)P内の待機位置に位置している。同様に使用することができるさらなる停止位置Pが、走行路7の反対側の端部に位置している。供給領域V,V,Vは、鋳造プラットホームの付属装置H,H,Hに設けられ、これら供給領域V,V,Vは作業位置E,E,Eに割り当てられ、ロボットのアーム部15の範囲内に設けられている。鋳造プラットホームの場所的条件がこの配置を許容しない場合には、個々の供給領域をロボットの作業位置の範囲の外側に設けることもできる。しかし、この場合には、作業の完了のためのロボットの作業時間は、必要な供給物の移動のために取られる時間だけ延長される。
【0032】
作業位置E1から、ロボット8は、取鍋ノズル3及びシュラウドに対する作業領域A(鋳造用取鍋)及びA(タンディッシュ)、及び、タンディッシュ4の注入領域における作業を行うことができる。これらの作業領域における休止時間に行われる活動の中には、例えば、シュラウドの交換、取鍋ノズルの焼け付き洗浄又はタンディッシュの中へのキャスティングパウダー(casting powder)の供給がある。これらの作業に必要な、例えば交換用のシュラウド、必要とされる前以って決められた品質及び量の特定のキャスティングパウダー、又はバーナーのような交換部品及び関連材料は、これらの関連材料が付属装置Hの前以って決められた保管場所に、すぐに入手できるように保管されており、割り当てられた供給領域Vからロボットによって取り出される。
【0033】
作業位置Eから始動して、ロボット8は、タンディッシュ4の流出領域、鋳造用浸漬チューブ5及び連続鋳造鋳型の入り口側の開口部に対する作業領域A(鋳型)及びA(タンディッシュ)における作業を行うことができる。これらの作業領域における活動の中には、例えば、タンディッシュの中へのキャスティングパウダーの供給、鋳造用浸漬チューブの交換、タンディッシュの出口開口部の焼き付き洗浄、鋳型の中へのキャスティングパウダーの供給、鋳型の中の浴のレベルの観察、鋳型からの試料の採取などがある。これらの作業に必要な、例えば鋳造される鋼の品質及び所定の時間における鋳造条件のために適当なキャスティングパウダー、鋳造用浸漬チューブ、予備ランスなどのような関連材料及び交換部品は、付属装置Hの供給領域Vからロボットによって取り出される。
【0034】
作業位置E3から始動して、ロボット8は、作業領域A(タンディッシュの交換用スタンド)におけるさらなるタンディッシュ4’へ作業を行うことができ、必要とされる関連材料を付属装置Hの供給領域Vから取り出している。
【0035】
停止位置Pは、一のロボットのみが鋳造プラットホームに設けられている場合には、第2の停止位置としてそのロボットが使用することができる。代替的に、さらなるロボット8’が作業を行うために停止位置Pで待機することができ、より効率的な作業計画を実現することができる。例えば、遅滞が許されない流路の優先順位の作業が、作業領域Aおよび作業領域Aの両方において行われなければならない場合には、制御システムまたは工程用コンピュータがロボット8に指示してその停止位置Pから作業位置Eへ動かし、ロボット8’に指示してその停止位置Pからロボット8’に割り当てられた作業位置Eへ動かす。
【0036】
図2及び図3は、連続鋳造設備における2つの作業位置E及びEにあるロボット8を示している。連続鋳造設備は、鋳造用取鍋2、タンディッシュ4及び連続鋳造鋳型6の外形によって破線で示されている。ロボットの走行路7は2つの走行レール9、9’によって形成され、これら走行レール9、9’は、鋳造プラットホーム1上の所定の距離に、タンディッシュ4及び連続鋳造鋳型6を通過する直線で示されている。ジブ12を有するロボット回転機構11は走行機構10に固定され、互いに対して90度回転されているとともに作業位置E及びEを包含する2つの位置を担当している。ロボットはジブ12の延在する端部に吊り下げられた状態で配置され、2つの作業位置E及びEを担当することができる。ジブ12は、作業位置Eでは一点鎖線によって示され、作業位置Eでは実線によって示されている。図2における腎臓形状の領域を示す線13,14および図3における円形状の領域を示す線13’、14’は、ロボットのアーム部15の作業領域A及びAを図示している。作業位置Eに割り当てられている作業領域Aの中では、鋳造用取鍋2から鋳型6までの全ての主な領域がロボット8から届く範囲内とすることができる。第2の作業位置Eから、作業は作業領域A内において、好ましくはタンディッシュ4から連続鋳造鋳型6への遷移領域内及び連続鋳造鋳型6それ自体において行うことができる。鋳造プラットホームの端部の領域において、ロボットは停止位置Pを割り当てられる。また、供給位置Vはこの停止位置の近傍に設けられ、この供給位置Vから、ロボットは作業に必要な予備物品を取り出すことができる。進行している鋳造作業とは独立して、ロボットの作業のための手動の準備作業を、この停止位置において邪魔されること無く安全に行うことができる。
【0037】
鋳造プラットホーム1には、制御用架台18が設けられ、この制御用架台18から連続鋳造設備はモニターされ、工程用コンピュータまたは中央制御装置によって大幅に自動化された方法で操作される。工程用コンピュータまたは中央制御装置、及び個々のロボットはデータ送信装置20及びデータ受信装置21を割り当てられ、これらデータ送信装置20及びデータ受信装置21を介して、作業を行うために必要な全ての情報が、好ましくは無線リンクで、送信される。
【0038】
ロボットを好ましい作業位置に動かすために、走行路の様々な特別の設計が可能である。図4は、走行路7の昇降可能な走行路部分22を示し、この走行路部分22によって、ロボット8(低部基体部のみが図示されている)は、走行路の平面に対して高い作業位置Eに持ち上げられる。走行路部分22は、押し上げシリンダー23に支持され、押し上げシリンダー23によってだいたいの位置に位置決めされる。ロボット8は、基体部領域におけるロボットの回転軸によって決められた作業位置Eにおいて、拘束装置24によって走行路部分の作業位置に決定的に固定され、結果として、ロボットの制御に重要である固定位置が限定される。
【0039】
図5は走行路部分27を示し、走行路部分27は、走行路部分27の軌道位置が走行路7及び回転した位置と直線になるように、前以て決められた角度の位置へ、垂直な回転軸26の周りに回転することができ、この回転した位置がロボットの作業位置Eを規定する。走行路部分27は、円弧の形状に設けられたレール29の水平面の中で動かすことができる。
【0040】
また、分岐路を、線路において既知の従来の切り替え機を使用して走行路に使用することができる。上方に傾斜した部分及び下方に傾斜した部分が走行路に設けられても良く、例えば、はめば歯車機構を使用することによって、上方及び下方の傾斜を克服することができる。
【0041】
本発明は、ロボットの特定のタイプの使用に限られるものではない。バックリングアーム(buckling−arm)式ロボット又は可搬式ロボットが、最も広範な作業の可能性のため、及び特定の適用を有して、多くの製造者によって普遍的に提供されているので、連続鋳造設備の鋳造プラットホームの使用に対して特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】連続鋳造設備の鋳造プラットホームの一または二のロボットの作業能力を示す図である。
【図2】ロボットの2つの作業位置を有するロボットの回転機構を示す正面図である。
【図3】鋳造プラットホームの2つの作業位置を有する図1によるロボットの回転機構を示す平面図である。
【図4】垂直方向に昇降可能である走行路部分を有するロボットの走行路を示す図である。
【図5】平面内で回転可能な走行路部分を有するロボットの走行路を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1・・・鋳造プラットホーム
7・・・走行路
8,8’・・・ロボット
9,9’・・・走行レール
10・・・走行機構
11・・・ロボット回転機構
12・・・ジブ
15・・・アーム部
19・・・工程用コンピュータ(中央制御装置)
20・・・データ送信装置
21・・・データ受信装置
22,27・・・走行路部分
24・・・拘束装置
、A、A、A・・・作業領域
E、E、E、E・・・作業位置
、H、H・・・予備装置
、P・・・停止位置
、V、V・・・供給領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造設備において工程制御された又は自動化された作業を行い、割り当てられた付属装置にアクセスするための少なくとも一のロボット(8)を有する連続鋳造設備であって、
前記連続鋳造設備は、走行路(7)を割り当てられ、
前記ロボットは、走行機構(10)を割り当てられ、該走行機構は前記走行路上に移動可能に設けられ、
少なくとも一の停止位置(P、P)及び少なくとも二の作業位置(E、E、E、E)が前記走行路上に前記ロボットのために形成され、それぞれの前記作業位置が前記連続鋳造設備の作業領域(A、A、A、A)に割り当てられ、前記作業領域は、前記作業位置からのみ到達することができ、
前記ロボットのそれぞれの作業位置と、前記割り当てられた作業領域又は供給領域(V、V、V)との距離は、前記ロボットのアーム部(15)の最大及び最小範囲内にあるように定められ、
前記ロボットはデータ送信装置及びデータ受信装置(20,21)を有して設けられ、前記データ受信装置は、前記連続鋳造設備の中央制御装置又は工程用コンピュータ(19)に情報伝達技術によって接続されている、
ことを特徴とする連続鋳造設備。
【請求項2】
前記走行路(7)は、起動システムによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造設備。
【請求項3】
前記走行路は、オーバーヘッド・モノレール・コンベアの少なくとも一の走行レール(9,9’)によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造設備。
【請求項4】
前記走行路は、分岐路(切換機)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
【請求項5】
走行路部分(22,27)が、高さを調製することができるように、又は回転することができるように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
【請求項6】
前記走行機構(10)は、ロボット回転機構(11)を割り当てられ、前記少なくとも二の作業位置(E、E)は、前記ロボット回転機構の回転位置にある前記ロボットに対して規定され、前記回転機構は好ましくはジブ(12)を備え、前記ロボット(8)は、前記ジブの延在する端部に配置されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
【請求項7】
前記ロボットは、拘束装置(24)によってその作業位置(E)に固定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
【請求項8】
前記走行路上の前記ロボットの前記それぞれの作業位置(E、E、E、E)は、前記連続鋳造設備の前記少なくとも一の作業領域(A、A、A、A)及び予備装置(H、H、H)(ツール倉庫、付帯設備倉庫)の供給領域(V、V、V)を割り当てられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
【請求項9】
前記走行路(7)は、鋳造プラットホーム(1)上に、好ましくは水平面内に配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
【請求項10】
多数のロボット、好ましくは2つのロボット(8,8’)が一の走行路(7)に割り当てられることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
【請求項11】
走行路上を、停止位置(P、P)と少なくとも二の作業位置(E、E、E、E)との間で移動することのできる少なくとも一のロボットを備える連続鋳造設備を操作する方法であって、
制御信号が工程用コンピュータ(19)又は中央制御装置から前記ロボットへ発信されるステップと、
前記制御信号に基づいて、選択された作業位置が移動し、前記連続鋳造設備における自動化された作業が前記ロボットによって行われるステップと、
を備え、
前記連続鋳造設備において行われる作業のための前記制御信号は、前記工程用コンピュータ又は中央制御装置によって、行われる作業の優先順位の順に、前記ロボットへ送信されることを特徴とする方法。
【請求項12】
測定データが前記連続鋳造設備の前記ロボットによって収集されるステップと、
前記測定データが前記工程用コンピュータ又は中央制御装置に送信されるステップと、
前記測定データが前記工程用コンピュータ又は中央制御装置によって処理されるステップと、
前記データの評価の結果が、前記ロボット又は前記連続鋳造設備のための前記制御信号に変換されるステップと、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
走行路上を動かすことができる少なくとも二の前記ロボットのうちの、前記走行路上を動かすことができる第1のロボットは、主ロボット(マスター)として、全ての前記制御信号を受信し、前記連続鋳造設備の作業を行い、前記走行路上を動かすことができる別のロボットは、予備ロボット(従属)として、好ましくは前記停止位置に割り当てられることを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記制御信号に優先順位の混乱が生じた場合に、前記主ロボット及び予備ロボットが起動され、これら両方のロボットが、互いに干渉する可能性を除去されながらそれぞれの前記作業位置へ移動することを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−500176(P2008−500176A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513722(P2007−513722)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004569
【国際公開番号】WO2005/118182
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(301041586)シーメンス・ファオアーイー・メタルズ・テクノロジーズ・ゲーエムベーハー・ウント・コ (41)
【Fターム(参考)】